ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

リバイバルドラマ「Wの悲劇」土屋太鳳、中山美穂、美村里江、鶴見辰吾… ドラマの原作・キャストなど…

リバイバルドラマ「Wの悲劇」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 摩子
  2. 会長
  3. 和辻家
  4. ママ
  5. 春生
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  7. 警察
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  14. 結婚
  15. 和辻
  16. 強盗
  17. 自分
  18. 道彦
  19. 犯人
  20. 別荘

f:id:dramalog:20200224233232p:plain

リバイバルドラマ「Wの悲劇」』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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リバイバルドラマ「Wの悲劇」[字]

殺人を犯した娘の摩子(土屋太鳳)をかばおうと、母の淑枝(中山美穂)は居合わせた一族に隠ぺいを頼み込む。うまく隠しおおせると思われたが、事件は意外な結末を迎える。

詳細情報
番組内容
和辻家別荘のパーティーで、和辻摩子(土屋太鳳)が大伯父の与兵衛(大和田伸也)を刺し殺すという事件が起きた。摩子の母・淑枝(中山美穂)は娘の正当防衛だと訴え、集まった一族に事件の隠ぺいを頼み込む。摩子の父・道彦(岡本健一)や与兵衛の主治医・間崎(吉田栄作)、与兵衛の弟・繁(鶴見辰吾)らが強盗殺人に見せかけた隠ぺい工作を始める。招待客だった摩子の先輩・春生(美村里江)も片棒を担ぐことになってしまう。
出演者
【出演】土屋太鳳,中山美穂美村里江鶴見辰吾,松本岳,大和田伸也吉田栄作渡辺いっけい岡本健一夏木マリ,生島勇輝,斉藤陽一郎,浅見小四郎,井下宣久,松嶋健太,福井博章,宮澤寿,山本康平ほか
原作・脚本
【原作】夏樹静子,【脚本】池田奈津子

 

 


♬~

(摩子)春生さん!

摩子ちゃん!

お待たせしました。
ううん。 あっ 何か持ちますか?

ああ 大丈夫 大丈夫。
本当に お邪魔じゃなかったかな?

ご親戚で水入らずのところに。
いや とんでもないです!

おじい様のお誕生日なんて
毎年のことですから。

春生さんこそ
せっかくのお休みに こんな遠くまで。

全然! 避暑地の別荘で休暇なんて
すてきじゃない。

よかった。

台本の出来は どう?

どうでしょう。 なんとか秋の公演までに
仕上げたいんですけど…。

私の指導は厳しいわよ。

心しておきます。

(笑い声)

でも 本当に頑張りたいんです。

これが最後かもしれないから。

え?

行きましょう!
あ… うん。

でも 本当に気持ちのいいところね。
そうなんです。 羨ましいわ。

摩子ちゃんのおじい様って

あの和辻薬品の会長なんだよね?

はい。 正確には 母のおじですけど。

どうぞ。
あっ…。

♬~

ようこそ いらっしゃいました。
春生さんね?

摩子の母の淑枝です。

一条春生です。
お招き ありがとうございます。

この度は 摩子が無理をお願いしまして。

あなた こちら 摩子ちゃんがお招きした
演劇部の先輩。

摩子の父です。
遠いところを ありがとうございます。

こちらこそ こんなすてきな別荘で
過ごせるなんて 光栄です。

お疲れになったでしょう。
摩子ちゃん お部屋に案内してさしあげて。

はい。
じゃ 失礼します。

(春生)かわいらしいお母様ね。

子どもみたいなんですよ。
どっちが娘だか分からないくらい。

(笑い声)

お父様も優しそうで。 確か 大学の…?

はい 生物学の教授です。

私のこと
本当の娘みたいに よくしてくれて。

実は母 再婚なんです。
私の実の父とは ずっと前に離婚してて。

そうだったの。

でも 母は今 すごく幸せなんですよ。

♬~

(春生)わあ すてき!

いいお宅ね。

(繁)これはこれは。 え? あっ。
あなたが春生先輩ですか。 はい。

はじめまして。 会長の弟の繁です。

摩子 先輩が こんな美人だなんて
聞いてないぞ。

繁おじ様!
あっ すみません。

(卓夫)繁おじさんには
気を付けた方がいいですよ。

生っ粋の遊び人だと
社内でも評判の人ですから。

心外だな。 会長ほどじゃないさ。 ハハッ。

はじめまして 和辻卓夫です。
はじめまして。

摩子ちゃんのお兄様?
ハハ… いとこですよ。

(鐘平)摩子ちゃんのいとこで
婚約者… ですよね?

(春生)婚約者?
鐘平先生!

僕は そのつもりですけどね。
で 結婚後は 腰を据えて

次期社長の座を狙うんでしょう?
…の つもりです。

もう鐘平先生も ちゃかさないで下さい。
あっ 先生…?

申し遅れました。
会長の主治医の間崎です。

(春生)お医者様。
会長も お元気とはいえ ご高齢なんでね。

長い休みの時は
私が こうやって同行するんですよ。

年寄り扱いするのは やめてもらおうか。

あなた 血圧に障りますわよ。

血圧なんぞで
いちいち 休んでなんかいられない。

ハハッ。 それこそ 体に悪い。

(みね)遠いところ
お疲れになったでしょう。

大おじ様 大おば様
こちら 一条春生さん。

はじめまして。 会長には
いつも うちの劇団にお力添え頂き

感謝しております。
劇団?

摩子に頼まれて
協賛してさしあげているじゃないですか。

ああ そうだったね。

春生さんは 私の台本に
アドバイスして下さるために

わざわざ来て下さったのよ。

春生さんでしたかね。
摩子も 舞台やらに関わるのは

これが最後なんでね
思いっきり やらせてやって下さい。

最後…?
(与兵衛)いいね 摩子。

卒業後は 和辻家の女として
嫁ぐことだけを考えていればいいんだ。

分かってるな?

はい。

うん。 私はね 古くさい人間なんでね
女性が 手に職だとか自立だとか

そんなのは どうも
ピンと来ないんですよ。

本当に そんなことで
女が幸せになれるのか。

女の幸せとは 男を支え 守ってもらう。

どんなに時代が変わっても

それだけは変わりません。

今日のディナーは 何だね?

今夜は お肉にいたしましょう。

焼き過ぎるなよ。

承知しております。 ね? 淑枝さん。

はい。

(雷鳴)

(卓夫)雨か。

通り雨でしょう すぐにやみますよ。

(繁)そういえば 兄貴は?

今夜は 飲み過ぎたみたいでしたからね。

もう部屋に行って
休んでるんじゃないんですか。

春生さん 兄には気を付けて下さいよ。
ああ見えて 好色なんです。

和辻家の男は そろいもそろって
美しい女性に目がなくてね。

はあ…。

それで 摩子ちゃんの本は
完成したんですか?

おおかたは。 今 摩子ちゃんが
最後の手直しをしているはずです。

出来は どうですか?
いい出来です。

でも まさか摩子ちゃんに
こんな一面があるなんて…。

こんな一面?

えっと…。

(ドアが開く音)

私…。

おじい様を…。

おじい様を…

殺してしまった。

♬~

ハッ…!

(ナイフが落ちる音)

♬~

会長!

ハッ…! あなた…。

亡くなっています。
そんな… 嘘だろ。

(繁)摩子ちゃんが…。

まとめると こういうことだね?

君は 夕食後
8時20分ごろ 会長に話があると言われ

部屋に呼び出された。
すると会長は 摩子ちゃんの恋愛経験を

しつこく聞いてきて ベッドに座らせた。

で 会長は 摩子ちゃんを
自分のものにしようと… 襲ってきた。

とっさに 君は
乱暴するなら自殺しますと言って

近くの果物籠にあった
果物ナイフを手にした。

でも 会長は 理性を失っていて
がむしゃらに襲いかかってきた。

もみ合ったはずみで…。

(すすり泣き)

摩子ちゃん。

それにしても
兄貴の女癖が悪いのは知っていたが…。

ひどすぎる。 まさか摩子ちゃんまで…。

本当に どうしようもない人。

どのような原因にせよ
娘が大変な不始末をしでかしました。

あなた…。
一族の皆様には
おわびの申しようもありません。

このとおりです!

でも これから どうすれば?

どうって 一刻も早く…

警察に連絡するしかないでしょう。

駄目よ! 駄目。

この子を警察に渡すなんて…。
(道彦)淑枝。

摩子ちゃんは
正当防衛を主張できないんでしょうか?

いいえ 警察に知らせることは
私も賛成できません。

それでは 一族の恥を
世間に さらすようなもの。

それだけは
絶対に防がなければなりません。

(道彦)つまり この事実を
世間や警察から隠蔽すべきと?

(卓夫)そんなこと できるんですか?

できるかどうか分かりません。
でも 今となっては

せめて あの人と
和辻家の名誉を守ることが

私たちにできる
精いっぱいの供養ではないですか。

どうやら みんなの意見は
一致したみたいだな。

ここにいる誰もが
摩子ちゃんを愛している。

同時に
一族の名誉を守りたいと思っている。

春生さんも分かって頂けますよね?

春生さん。

無理を承知で申し上げます。
あなたも協力して頂けませんか。

ママ!
あなたの劇団への協賛を

摩子は おじ様に必死に頼んだんです。

春生さんは 本当に才能のある人
すばらしい劇団だって。

摩子自身も お小遣いをはたいて
チケットを買い集めては

みんなに宣伝をして…。
摩子は 本当に あなたに憧れて

力を尽くしてきました。

この子のために
どうか 協力して頂けないでしょうか。

私からも お願いします!

(泣き声)

まずは 摩子ちゃんに
容疑がかからないように

この別荘から遠ざけましょう。
遠ざける?

摩子ちゃんを一旦 東京へ帰し
事件は そのあと発生した格好にする。

例えば…
強盗が押し入って 会長は殺されたとか?

そんな偽装 できるんですかね?

いくつか方法はあります。

(繁)死亡推定時刻を遅らせる?

遺体を冷やすことで 死後硬直を
実際より遅らせることができるんです。

皆さんは 氷を袋に入れて下さい。
あまり入れ過ぎないように。

なるほど。 そうすれば警察は
摩子が東京へたったあとに

事件があったと推定すると?
そういうことです。

この辺りで 夜食の出前をやっている店は
ありませんか?

ホテルの洋食なら
やってると思いますけれど。

洋食…。 では グラタンを8人前
頼んで頂けませんか。 はあ?

今夜は 会長にも遅くまで起きていて
頂いたことにしなければなりません。

摩子ちゃんが東京へ帰ったあとも

みんなでカードでもやるのが
いいでしょう。 そして途中で夜食をとる。

それは ぜひ
会長にも食べてもらわなくては。

は? 食べてもらうって どうやって?

僕に任せて下さい。

君は これを持って東京へ帰るんだ。
凶器と返り血を浴びたシャツ。

それに会長の手近な金品が入ってる。

向こうに着いたら これをどこか
人目のつかない場所に捨てるんだ。

いいね?
は… はい。

君が東京へ帰る理由は?

おじい様の誕生日プレゼントを
うちに忘れたから。

よし。 淑枝さん 摩子ちゃんにハイヤーを。
はい。

やんだみたいね。

春生さん。

こんなことに巻き込んでしまって

私 何て言って謝ったらいいか…。

いいのよ。 あなたは悪くない。

でも 一つだけ聞いていい?

本当に… 摩子ちゃんが会長を刺したの?

私が おじい様を殺しました。

間違いありません。

摩子ちゃん ハイヤー来たわよ。

そろそろか。

(玄関のチャイム)

焦らないで。 打ち合わせどおりに。

はい。

お待たせいたしました。
湖南亭でございます。

こちらに置いて下さい。
かしこまりました。

会長のは どうする?
あ… あの人も

もう お風呂から上がられる頃ですね。
私が呼んでまいりましょう。

こちら 伝票でございます。
8人前だな。

はい 8名様分でございます。

ありがとうございました。
(繁)ご苦労さま。

(卓夫)何に使うんです?

これらを使って すり潰したグラタンを
会長に注入するんです。

そうすれば 会長の死亡時刻は
グラタンを食べたあと

つまり 夜10時以降と見せかけられる。

摩子が東京へたったあと
ということですね?

そのとおりです。

あの… いかがですか?

ミキサーに かけてみたんですけど。

少し やりすぎかもしれませんね。
もう少し 咀嚼した感じに見えないと。

♬~

(繁)強盗犯 逃走の足跡ってことか。
(鐘平)雨が降っていたのは 幸いでした。

そこまで! 戻って下さい。
(卓夫)はい。

今度は 侵入した足跡か。

そこの明かりを壊しましょう。
重ならないように!

分かってます。

これでドアノブをくるんで。

♬~

お世話さまでした。

♬~

キャッ!

(柏木)摩子 淑枝いるか?

帰って下さい。

何だ その顔。 父親だぞ?

相変わらず 絵が売れなくてよ。

ったく 世の中 芸術ってもんが
分かんねえやつばっかでよ。

お金なら貸せません。
うちは誰もいないので。

淑枝 どこだ? あの男と一緒か?
帰って下さい!

どうせ 和辻の金目当てで
結婚したような男だろうが! さっさと…。

帰って!

おい 摩子。

[ 回想 ]
(柏木)さっさと 親に金借りてこいよ!

えい! あっ。

ママを いじめないで!

どいてろ。 ガキどいてろ ほら。

(柏木)早く行け!
(殴打する音)

♬~

(鐘平)いいですか
もう一度 流れを確認します。

我々は 夕食後からカードを始めた。
淑枝さんは 夕食の片づけ。

春生さんは 摩子ちゃんの台本のチェック。

室内には音楽がかかり
我々はゲームに熱中していた。

だから 誰一人
会長の寝室の物音には 気付かなかったと。

だからって
本当にポーカーする必要あるのかね?

(鐘平)くどいようですが ここで
カードをやっていたということが

我々 皆の大事なアリバイになるんです。

警察は当然 一人一人に その点を確認し

ゲームの詳しい勝敗まで
しつこく問いただすに違いありません。

ボロを出さないためには
実際にゲームに興じるしかないと?

そういうことです。

(ため息)

(春生)<「うちは
とても奇妙な家なんです。

ずっと おじい様という存在に
おびえてきた私たち。

実は誰もが本当の自分を隠してる」>

<「例えば おじ。 紳士を装いながら

何人も女の人をつくってる。
まるで ふしだらな手品師。

父は 家族を愛していると言いながら

研究ばかりで家に帰ってこない。
まるで 善人気取りのペテン師。

私と婚約したいと言う いとこ。

彼の愛が ほかにあることを
私は知ってるの。

嘘つきの道化師。

主治医の先生 有能なお医者様なのに

どうしてホームドクターなんて
やってらっしゃるの?

正体不明のちん入者。

そして そんな男たちの あれこれを
気付かぬふりをする女たち。

まるで
飾り物のイミテーションフラワー。

誰もが自分を偽る家族。

そんな中にいると
私は自分が分からなくなってしまう。

ひょっとしたら
私も私という役割を演じているだけ。

ドレスを着せられた
泥人形なんじゃないかって」>

(みね)それで
遺体は いつ発見したことに?

朝起きた奥様が 会長の様子を見に行って
発見したことにしましょう。

(繁)何時がいいかな?
死亡推定時刻を曖昧にするためには

なるべく 後に ずらした方が
いいでしょうから…。

となると 9時ぐらいですか?
いや 寝坊したことにしても

8時ぐらいが限度でしょうか。
通報するのは…。

俺!?

私が。
あなた…。

大丈夫だ。 うまくやるよ。

頑張りましょう。
本当の戦いは これからです。

和辻家の繁栄を祈って。

(乾杯する音)

(あくび)

(並木)中里課長!
おはようさん。 今日も平和じゃんねえ。

何言ってんすか! 殺人事件発生です。

(警報)

発見現場は旭日丘地区の別荘。

通報者は 和辻道彦。
殺害されたのは 和辻与兵衛 70歳。

和辻与兵衛?
あの和辻薬品の会長です。

(サイレン)

失礼しますよ。

ご苦労さんだねえ。

もういいかね?
はい。

ああ…。

(並木)中里さん。
うん? 裏口に

容疑者のものと思われる足跡が。
うん。

ほ~う。 おいっ おっ。

おう 中ちゃん。 お疲れさまです。
朝から働いとるねえ。

あ~ え~。

(ドアが開く音)

あ~ 悪いですね。 富士河口署の中里です。

並木です。
え~ 皆さんが
昨晩 ここに居合わせた方々ですね?

ご遺体を発見された奥様っちゅうのは?
(みね)私です。

確か 金品が なくなっておったと?

ええ 寝室にあったダイヤと
エメラルドのタイタックとカフスボタン

それに 現金100万円と
あと 証券のいくつかが…。

ほかの部屋は どうでしたか?

特に何も。

強盗に襲われた時 ご主人は
まだ起きておられたわけですよね?

だって パジャマじゃなく
ガウンを着ておられた。

確か みねさん おっしゃってましたよね?
会長は お酒を召し上がると

着替えずに
そのまま眠ってしまう癖があると。

ええ そうです。
昨晩も よく飲んでましたから。

きっと ガウンのまま…。

寝込んでしまったんでしょうね。
が 強盗の物音で目を覚まし

飛び起きた途端 刺された。

ん? とすると あの毛布は?

犯人が会長を殺したあと 寝ているように
工作したのかもしれません。

明かりも消されていましたし。
おかげで我々は

今朝まで異常に気付けなかった。

とりあえず お一人ずつ
話聞かせてもらえますかね。 悪いですね。

(並木)お願いします。
段取って。 はい。

昨晩は 夕食後
遅くまでカードをやっていました。

ん? カードっちゅうと?
(卓夫)ポーカーです。

大おじの誕生日には
いつも みんなでやるのが恒例でして。

途中 ちょっと小腹がすいたと
大おじが言いだして 夜食を…。
夜食?

近所の洋食屋で出前を頼んだんです。

どちらですかね?
ホテルの湖南亭さんで。

マカロニグラタンを8人前。
(並木)それ 何時ごろですか?

午後10時前だったと思います。

それは
会長さんも召し上がったんですね?

はい。 確か 半分ほど。

食べ終わると 会長は眠くなったと言って
一人で寝室まで引きあげられたんです。

残った我々は そのあとも
ポーカーに熱中してしまいまして。

会長さんの部屋から
何か物音は聞こえませんでしたかね?

いいえ 残念ながら。
ポーカーが盛り上がっていましたし

音楽もかかっていたので…。

ほかの皆さんがポーカーをやっとる間
あなたは 何を?

ずっと 摩子ちゃんの台本を
読み直していました。

その間 誰か部屋を出入りする人は
おらんかったですかね?

いや 部屋を出る人なんていませんよ。
何しろ真剣勝負でしたからね。

えっ? ちゅうと
ちゃんと勝敗とかつけて?

もちろんですよ! 昨晩は
最後まで もつれましてね。

最後のラウンドでは 卓夫がフルハウス
勝負に出たんですが 義姉さんが…。

私がストレートフラッシュで勝ちました。

それ 何時ごろまでやったんです?

1時過ぎだったでしょうか…。

それから私は
自分の部屋に行って休みました。

ご主人の様子は
確認されなかったんですか?

いえ しましたよ。
寝る前に 扉を少し開けて。

そん時 スタンドが倒れとったことには
気付かんかったですか?

気付きませんでした。
明かりも消えていましたし

毛布も掛かっていたので
ぐっすり休んでいるとばかり。

失礼なんですけど
ご主人とは 寝室は別々…?
はい。

自宅でも別です。 この年ですから
その方が お互い気楽で。

それで 朝まで異常に気付かなかったと?

はい。 8時過ぎになっても下に来ないので
おかしいと思って

起こしに行ったんです。 そしたら…。

どう思う?

特に不審な点もないですし
普通に考えて強盗殺人でしょう。

普通に考えりゃな。
え?

まあ とりあえず
全員の話を聞いてみねえと。

全員?

あ~っ もう一人 めいっ子の…。

摩子ちゃん! 摩子ちゃん。

ママ!

あなたが 摩子さんですね?

はい…。

え~っと
あなたが この別荘に来られたのは

おとといの昼。
ほかの皆さんと ご一緒だったと?

はい。
そんで 昨晩9時半でしたか?

一人だけ ハイヤー
東京の自宅に戻られた?
はい。

一体 何で?

おじい様の誕生日プレゼントを
自宅に忘れてしまって

どうしても 今日 渡したかったので。

東京の自宅に着いたのは
何時ごろですかね?

夜の12時ごろだったと思います。

朝になったらプレゼントを持って
すぐに引き返すつもりでした。

でも 家を出る前に
会社の秘書室から電話があって

事件のことを…。

それで そのまま
車で ここに送ってもらったと?

はい。

(並木)そのプレゼントっていうのは?
はい ここに。

これ ちょっと
中見ても いいですかね?

あ… どうぞ。
悪いね。

開けますよ。

おじい様は これを召し上がりながら

お誕生日を祝われるのを
楽しみにされてたんです。

だから どうしても今日中に渡したくて。

はい 悪かったですねえ。 元に戻して。
はい。

最後に もう一つだけ。 あなた 会長さんに
随分 かわいがられとったそうですね。

犯人のことで 何か思い当たるようなこと
ありませんかね?

私には 何も分かりません。

(並木)
解剖の結果 被害者の胃の内容物から

夜食のグラタンと思われるものが
検出されました。 このことから

殺害時刻は 夜食の出前があった
午後10時以降と見られます。

更に死後硬直の状態を踏まえると

死亡推定時刻は 午後11時から
深夜2時と考えられます。

(署長)となると その3時間のうち
どこかで強盗が侵入し

殺害に及んだということになるな。
ちょっといいですかねえ。

うん… 確かに 事実関係だけを見りゃ
強盗ですがね

何で犯人は 被害者の部屋だけ
狙い澄ましたように入ったんですかね?

あのお屋敷には ほかの部屋にも
金品は 山ほどあったっちゅうのに。

おかしい点は まだありまして
あのお屋敷は 別荘じゃんねえ。

ふだんは 誰もおらんのだから
そういう日に 空き巣で入りゃ楽なのに

あえて
人が いっぺえ泊まってる時を選んどる。

しかも無人だった ほかの部屋は避けて
与兵衛氏がいた寝室だけを狙っとる。

強盗が わざわざ そんなことしますかね?

しかし 強盗でなければ 逆に何だ?
怨恨か? 恨みを晴らすのに

親戚が集まっている時間に
わざわざ押しかける。

そっちの方が不自然だろう。

(テレビ)「山梨県旭日丘地区の別荘で

和辻薬品会長の和辻与兵衛氏が
遺体となって発見された事件で

警察は 強盗殺人事件と見て
捜査を続けています」。

どうやら警察は 今のところ
強盗と思い込んでいるようですね。

ひとまず 成功ってことか。

皆さん 本当に ありがとうございました。

娘のために ここまで…。
本当に 何と お礼を言っていいか。

(すすり泣き)

まあ 座って下さいよ。

(玄関のチャイム)

あなた… 警察の方が
もう一度 中を見せてほしいって。

こんなことして意味あるんすかね?

何か見落としてることが
あるかもしれんずら。

でも 強盗入ったの あの部屋だけですよ?

こんなとこ見たって…。

あっ。 何だ? これ。

広すぎて
掃除 行き届いてないんすかねえ?

小麦粉?

台本 返してほしい?
はい。

いいけど… でも どうして?

処分したいんです。
やっぱり 内容が気に入らなくて。

でも 捨てることはないんじゃない?
いい出来だし 取っておけば?

いいえ 捨てたいんです。

今…?

今 捨てたいんです どうしても。

あっ。 悪いね お嬢さん方
こちらの部屋 よろしいですかね?

はい。 ご苦労さまです。
いえいえ 悪いね。

ねえ あの台本「Wの悲劇
私は面白かったな。

摩子ちゃんの 違った面が見られて。

Wは ウーマンのWなんでしょう?

摩子ちゃんは 女性の悲劇が書き…。
もういいんです。

でも…。 とにかく捨てて下さい。
お願いします。

中里さ~ん ここは もう鑑識が
隅から隅まで実況見分してますよ!

念のため!

う~ん?

何すか? これ。 袋。
はい。

え~っと 捜査によると
スニーカーは ウィルシューズ社製

ベーシックモデル 26センチです。
で~ ここ。

(並木)
あっ 帰りのあとを行きが踏んでる!

犯人が外から侵入したのなら
こんな足跡がつくことは

絶対にありえんわな。
まさか
僕たちが見落としたなんてことは…。

ありえんわな~。
ですよね。

え~ おいおい…。

取っといて。

♬~

26。
26! そろっとるわ。 袋。

(並木)はい!

≪(エンジン音)

どうして あんなヘマをしたんだ!?
お… 俺は ヘマなんか。

じゃあ あの小麦粉は何だ?
知りませんよ!

足跡は何だ? お前のミスだろうが。

だから知りませんって! 俺は
絶対に重ねて踏んでなんかいませんよ。

おじさんたちだって見てましたよね?

確かに注意して見てたけど
重なってはいなかった。

それにスニーカーを隠す時も 小麦粉が
こぼれないよう気を付けましたよ。

しかし だったら
あの足跡と小麦粉は何だ?
(鐘平)誰か!

このかばんを開けませんでしたか?

チューブの切れ端がないんです。
切れ端?

遺体にチューブを入れた際
長さを調節するために切ったんです。

どこにも見当たらない…。

どこかに落としたんじゃ?

そんなことはしません。
確かに ここに入れたんです!

まさか それも警察に見つかったってこと
ないよな…?

そんなことになったら 偽装工作が
全て水の泡じゃないですか!

あるはずのない足跡がつき
ないはずの小麦粉が散らばった。

そして 確かにあったはずの
チューブの切れ端が消えた!

何が言いたいんです?

つまり わざとやったんじゃ
ないかってことですよ ここにいる誰かが。

摩子ちゃんを
誰かが陥れようとしてるってこと…?

まさか… 一体 何のために?

さあね?
この中に裏切り者がいるってこと。

そして そいつは
摩子ちゃんだけじゃなく

俺たち全員を
陥れようとしてるってことだ!

(みね)おやめなさい! 今は
身内を疑ってる場合ではありません。

我々は 和辻家の名誉を守るためにも
今まで以上に結束するしかありません!

いいですね?

屋敷内で見つけた このスニーカーは

裏口で採取された足紋と
同じ型のもんでした。

つまり犯人は 強盗じゃなく

和辻家内部の人間と見て
間違いないと思われます。

で 和辻家の事情聴取は どうなってる?
はい。

え~ まずは被害者の和辻与兵衛。

女癖が悪いことでは
若い頃から大変なものだったようです。

いまだに数人の女性を囲っている
という噂もあり

妻のみねも
さんざん泣かされてきたようです。

なるほど。 みねには
与兵衛の殺害動機があると。

次に 弟の和辻 繁ですが
このところ 与兵衛氏と衝突があり

近々 役員を解任されることが
決まっていたようです。

(署長)繁にも殺害動機が?

おいっ子の和辻卓夫も同様です。

卓夫は 和辻摩子の婚約者と
公言していますが

与兵衛と齟齬があり 摩子との婚約が
ご破算になりかけていたようです。

(署長)卓夫もか?
和辻道彦にも動機があります。

道彦は 10年前に和辻淑枝と結婚。

周囲からは
おしどり夫婦との評判ですが

与兵衛と金銭面で押し問答があったと
噂がありました。

(並木)更に 主治医の間崎鐘平にも動機が。
理由は分かっていませんが

与兵衛氏から 今年いっぱいで
主治医の解任を言い渡されたようです。

(署長)つまり 5人とも与兵衛に対して
何らかの恨みがあると? (並木)はい。

逆に言えば 殺害動機だけで
容疑者を絞るのは

不可能ということになります。

ちょっといいですかね。
事件の全貌をあぶり出すために

別の角度からの追及を
してみたいんですが。

別の角度?

和辻家の一枚岩を壊したいじゃんねえ。

こんなもんが見つかりましてね。

分かります?

これ 重なっとるでしょ?

誰かが わざと残したとしか
考えられんのです。

つまり 皆さんにとって裏切り者が
こん中におるっちゅうことです。

さて ここで皆さんに
注意してほしいことがあります。

皆さん 相続に関する規定は
どのぐらい ご存じですかね?

亡くなった与兵衛氏が残した個人資産は
株式を含めて およそ200億。

大層な遺産ですねえ。
それは ここにいる皆さんで

分け合うことになるわけだ。
本来ならばね。

私も調べてみて初めて知ったんですけど

民法には 相続欠格の条項っちゅうのが
ありましてね。

え~ 「不届きな行為をした者には
相続の資格はなくなる」とあるんです。

つまり 例えば
被相続人が殺害されたことを知って

その人を告発
または告訴しなかったものは

相続権を失うんです。
となると 相続人である皆さんが

もし 今 犯人をかばっているのなら
全員が相続権を失うことになるわけです。

ちゅうわけで 皆さん

身内を かばい合っとる
場合じゃないっちゅうことは

お分かりになりましたね。

何か話をしたくなった方は
いつでも警察へいらして下さい。

あ~ 忘れちょし。

これも 会長さんのベッドの下から
見つかりました。

じゃあ 署で待ってるじゃんねえ。

(卓夫)どうなってるんですか!?
偽装工作が全部バレたじゃないですか!

(道彦)しかも まさか相続が…。

なくなるのは 相続だけじゃないですよ。

世間に 和辻家のスキャンダルがバレたら
うちの株は暴落するだろうな。

(卓夫)そんな… 嘘だろ。
和辻は めちゃくちゃじゃないか。

そもそも 裏切ったのは誰なんですかね?

決まってるじゃないか。
内心 和辻家を めちゃくちゃに

させたがっていたやつだよ!
(卓夫)そんな人が?

心当たりあるんじゃないか? 卓夫。
何だよ 突然。

(繁)この前 会長から
摩子ちゃんとの婚約破棄を

言い渡されたらしいじゃないか。

[ 回想 ] 私は 嘘は嫌いな男だ。

どういうことですか?

摩子以外に 女関係が一切ないって
言ったのは どこの誰だ!?

違うんです。 これは…。

婚約は なしだ。
お前が この椅子に座ることは

未来永ごう ありえない。

さぞや 兄貴を恨んでるんだろうな。
まさか やけになって和辻に仕返しし…。

いい加減なことを言わないで下さい!
和辻家を恨んでいるのは

そっちでしょうが。
何だと? 聞きましたよ。

役員の立場を利用して
会社の金を使い込んだっていう噂。

(繁)役員を解任?

頼むよ 兄貴! 俺たち 二人三脚で
うちの会社を支えてきたじゃないか。

たった2人の兄弟だろ。
兄弟?

誰と誰の話だ?

私の会社に お前の席は もうない。

あんたこそ 和辻なんて

めちゃくちゃになってしまえばいいと
思ってんだろ!?

お前 誰に向かって口…。

見苦しいですよ! いい大人が。

(繁)かっこいいですね。
さすが きれい事が板についてる。

きれい事?
そもそも 誰より
和辻に恨みを持っていたのは

道彦さん あんたでしょうが!

(道彦)私が人生を懸けて
打ち込んできた研究です。

で この研究 出資すれば
来年の うちの売り上げは どうなる?

来年? そんなに早く結果は…。

(笑い声)

確かに 短期的な売り上げにはなりません。
しかし この出資は

将来 必ず和辻家の利益になります。
どうか ご理解を。

この研究 価値はゼロだ。

(繁)残念でしたね
研究費のために淑枝さんと結婚したのに。

繁おじ様。
(繁)おっと! 和辻家を恨んでいたのは

あなたもでしょう 淑枝さん。
前の夫… 売れない画家だっけ?

離婚したあと 結婚の失敗を親戚中から
さんざん罵られていたっけ。

お前は 和辻家の恥だ!

申し訳ありませんでした。

(繁)さぞや 和辻を呪ってるんだろうね!

もう このくらいにしましょうよ。
こんな言い合いは間違っています。

何を偉そうに。 そもそも間違っていたのは
あんたのプランじゃないのか?

何ですって?
僕に任せて下さいだっけ?

よく言うよ。 あんたみたいな
よそ者を信じた俺がバカだった。

よそ者?
(卓夫)よそ者でしょうが。

会長に 金魚のフンみたいに
くっついているだけの。

よく そんな…! 和辻家のために
僕は 身の危険を冒してまで

ここまでやったんです!
(みねの笑い声)

和辻家のためですって?

あなた よくそんなことが言えますね。

和辻家の崩壊を 誰よりも望んでいるのは
あなたではなくて?

どういうことです?

この男は
与兵衛が外でつくった女の子どもです。

(みね)与兵衛に取り入るようにして
主治医になったんですよ。

ところが 正体を気付かれた途端
今年いっぱいで解任と言われた。 ホホホ。

そうよね? 先生。

ご苦労だった。
お待ち下さい!

なぜです!?

私が あなたの息子だからですか?
だったら せめて僕のこと…

いえ 母がいたことを認めて下さい!
お願いします!

そんな女は… 記憶にない。

和辻家の崩壊を 誰よりも望んでいるのは
間違いなく この男。

この男は 和辻を
腹の底から恨んでるに違いありません。

恨んで… 当然じゃないですか。

僕の母は 僕をみごもった途端

あの男に捨てられたんです。

最後は 不幸なまま… 病気で。

そりゃ恨みますよ。

恨んで恨んで…!

この男に取りついてやろうと
思いましたよ!

俺を一生ないがしろにできないように!

俺を疑いたきゃ疑えばいい。
どうせ こんな家

どうにでもなればいいと思っていたんだ!

望みどおりだよ!

いい気味だ…。

(すすり泣き)

何だよ これ…。
全員が おじさんを恨んでたってことか。

(繁)すみませんね 春生さん
和辻家の醜態を お見せして。

(春生)ねえ 摩子ちゃん。

本当に 会長を刺したのは あなたなの?

やっぱり 信じられないんです!
摩子ちゃんが あんなこと。

何言ってるんですか。

ひょっとして 摩子ちゃん…

誰か かばってるんじゃ?

(笑い声)

何言ってるんですか 春生さん。
全然違います。

私が殺したに決まってるじゃないですか!

摩子ちゃん…。

せっかくなんで…
本当のこと話しましょうか。

実は…

おじい様に襲われそうになったなんて
嘘です。

私が おじい様を殺したくて殺したの。

私だって 和辻家を恨んでた。

私が あんなに
演劇を続けたいって言ったのに

おじい様は 耳も貸してくれなくて…!
摩子。

和辻家の女の仕事は 男を支えること?
バカみたい。

じゃあ 女って何なの!?
外で遊んでいる男の人たちを支えるだけ?

そんな人生 絶対嫌! だから殺したの。

春生さん。

私 この家の人たちが
ずっと嫌いだったんです。

和辻家の男の人たちは 傲慢で不潔で…。

でも 私が本当に嫌いなのは
和辻家の女の人。

男の人に従って 泣き寝入りするだけ。
この家から逃げる勇気もない!

ママ あなたもよ。

私は あなたが一番嫌い!

摩子…。

こんなくだらない人たちを
私が かばうわけない!

おじい様は 私が この手で殺したんです!

(ドアが閉まる音)

♬~

さっき 摩子ちゃんが
お母さんに言ったことは

本心じゃないんじゃないですか?

あなたの幸せを喜んでいた摩子ちゃんが
あんなこと言うわけない。

摩子ちゃんが書いた 舞台の台本。

猫の額ほどの菜園の相続を巡る
親族同士の争いを描いた物語。

登場人物は
和辻家の皆さんに そっくりなんです。

そして 主人公の少女が
誰よりも愛しているのが 母親です。

主人公に こんなセリフがあるんです。

「私 お母さんのためだったら
何だってできる!」。

摩子ちゃんは この台本を捨ててほしいと
私に言ったんです。

このセリフを書いたのを誰かに見られたら
真相がバレてしまう。

そう思ったんじゃないですか?

(ため息)

もし 摩子ちゃんが
誰かを かばっているのなら…

今 一番つらい思いをしてるのは
摩子ちゃんです。

このままじゃ 摩子ちゃんは犯人として
誰かに 警察に突き出されてしまいます!

私は そんなの耐えられません。

すみません。 どうか ご勘弁を。

さっさと 親に金借りてこいよ!

(悲鳴)

えい! あっ。

ママを いじめないで!

どいてろ。 ガキどいてろ ほら。

(殴打する音)

借りてこいよ おら!

こんな時間に散歩ですかね?

ちょっと夜風に当たりたくて…。
何か ご用ですか?

いや~ 周辺をね
もういっぺん 当たっとったんですが

残念ながら
捜し物は見つかりませんでしたが。

探しとったんは 事件に関わる
ある重要なもんでしてね。

何だと思います?

凶器ですよ 殺害に使われた。
それに 返り血がかかった衣服も。

屋敷内も 皆さんの手荷物も
くまなくチェックしたんですがね

見つからんのですわ。
これ どういうことか分かります?

誰かが外に
捨てに行ったっちゅうことですよ。

あの晩。

あの晩 それができた人間が
一人だけおりますわな。

この事件も そろそろ
終わりに近づいてるみてえじゃんねえ。

一番疑わしいのは 和辻摩子ですわ。
あのチューブのトリックは

明らかに 摩子を容疑から外すために
仕組まれたもんです。

それが逆説的に
犯人は摩子だと示唆しとるわけです。

(署長)摩子をかばうために
ほかの全員が口裏合わせをしたと?

恐らくは。
(署長)逮捕状は請求できないのか?

残念ながら 証拠がねえ…。
とはいえ 昨晩の様子だと

和辻家は もう崩壊寸前です。

いずれ 誰かが音を上げて
真実を漏らしに来るでしょう。

じゃなきゃ 本人が自白しに来るでしょう。

(春生)まさか
自首するつもりじゃないでしょうね?

どうして?

警察は もう分かってます。 私が犯人だと。

違うでしょ!
あなたは 誰かをかばって…。

誰も かばってません!

私が殺したんです。

警察に電話します。

(食器が割れる音)

駄目よ。
ママ…。

あなたに そんなことさせない!
絶対駄目よ!

ママ。

私 もう決めたの。

♬~

ママ?

ハッ…!
ママ! 淑枝さん!

何してるんですか!?
あ~ もう! 先生… 鐘平先生!

鐘平先生!

(鐘平)心配ないよ。 幸い 傷は浅かった。

(道彦)どうして こんなこと!?

摩子ちゃん お願い! 警察には 絶対に…。

(みね)警察?
(卓夫)どういうことだよ?

いいかい 摩子ちゃん 君が警察に行って
本当のことを話したら

我々全員 相続欠格になってしまう。
どういうことか分かってるね?

バカなことは やめなさい。
もはや 君一人の問題じゃないんだから!

(並木)どん詰まりですね。

状況証拠しかないから逮捕状は取れない!

くそっ。

あの子 誰かに
引き止められとるんじゃないかねえ。
え?

恐らく家族の誰かによ。

和辻淑枝は 確か再婚だったね?

え? はい… 確かそうです。

前の夫は 柏木 徹。 画家です。

淑枝は 親族の反対を押し切って
駆け落ち同然に結婚。

しかし 結婚生活は
経済的に相当厳しかったようです。

その上 夫は家庭内暴力が激しく
淑枝は 何度も病院に運ばれています。

別れたのは いつよ?
13年前です。

あの子が9歳ん時か。
はい。 関係者によると

和辻家に出戻ってからは
一族に さんざん非難されたようです。

[ 回想 ] (与兵衛)お前は 和辻家の恥だ!

あ~ 離婚なんぞしおって…。

今すぐ ここで 我々に謝りなさい。
結婚は間違いだったと。

それとも 和辻家を出ていくか?

お前のような愚かな女が

たった一人で 子どもを育てられるとでも
思っているのか?

♬~

私が間違っていました。

和辻家の皆様に ご迷惑をおかけしました。

申し訳ありませんでした。

♬~

ママ…。

安心して
もう警察に行くなんて言わないから。

でもね 万が一 警察に捕まったら
その時 私は…。

摩子ちゃん。

そんな顔しないで!

私 うれしいんだよ。
やっと ママの役に立てて。

だから私 あの夜のことは

一つも後悔してない。

(ドアが開く音)

ママ?

おじ様が…。

おじ様が 私に乱暴を…。

えっ…。

ハッ…!

摩子ちゃん… ママ どうしたらいい?

ママ…。

どうしたらいい? ねえ 摩子ちゃん…。
ママ 落ち着いて!

大丈夫だから。 ね? 大丈夫だから…。

♬~

二度とママを不幸になんかさせない。

身代わりになったのは
ママのためなんかじゃないよ。

自分のためなの。

私 ずっと自分に腹が立ってた。

いつもママが ひどい目に遭うのを

ただ見ているだけで…。

もう二度と
あんな悔しい思いはしたくない。

いつか私が…。

私の方が ちゃんとママを守りたいって。

摩子…。

ねえ 私 今度こそ
ちゃんとママを守れたでしょう?

役に立てたよね?

ママ?

ああ…。

ごめんなさい。 私 あなたに…。

あなたに 嘘を。

え…?

嘘? ママ 何言ってるの?

許してね。 やっと幸せになれたから

失ってしまうのが怖くて
だから あの人に言われるまま…。

あの人?

事件の夜 和辻与兵衛の相続人は
全員 あの別荘にいたんだったね?

え? あ~ はい。 全員 あそこに
いたみたいですね 偶然にも。

本当に偶然なのかい?

あの人に嫌われたくなかった。

だから… 言われるまま あなたに

私が おじ様を刺したなんていう嘘を。

どういうこと?

おじい様を殺したのは ママじゃないの?

誰なの? ママに嘘をつかせたのって。

まさか…。

何の話をしてる?

父さんも まぜてくれないか。

あなた 許して
私 摩子に本当のことを…。

(ため息)

おじい様を殺したのは あなたなの?

どうして? おじい様に何の恨みが!?

恨み?
私にとっては 恨みも憎しみもないよ。

一番大事なのは研究だ。
それ以外に大事なものなどない。

全ては 研究費のため
科学の進歩のために計画したんだ。

待って あなた
計画って どういうこと?

あなたは おじ様と口論になって
それで 誤って殺してしまったのよね?

ね? そうでしょう? ねえ。 黙れ!
ママ!

ママ!
君の母親は しかたのない女だな。

あれほど口外するなと言ったのに。

その上 せっかく自首しようとした君を
引き止めるなんて。

おかげで 計画の一部を
変更しなければならなくなった。

け… 計画?
言っただろ。

研究費を手に入れるための計画だと。

おじい様の遺産を手に入れたいってこと?
それ以外に何がある?

で… でも さっき
遺産は 誰も手に入らないって。

確かに民法では
被相続人が殺害されたことを知って

これを告発しなかった場合
相続できないことになっている。

だが 実は
民法891条には ただし書きがあるんだ。

つまり 偽装工作に協力した者のうち

殺害者の摩子に直系の淑枝だけは

会長の遺産を
まるまる引き継ぐことができる。

200億は 丸ごと淑枝のものになるんだ。

そして 淑枝の財産なら
私なら どうにでもなる。

この法律を知った時
全ての計画を思いついた。

あの晩を選んだのは ちょうど相続人の
全員が そろっていたからだった。

会長。

あ~っ!

ハッ…!

こんなことするつもり なかったんだ。

研究資金のことで口論になって
会長がナイフを持って脅すんだよ。

「くだらん研究を続けるなら
この家を出てけ!」って。

それで もみ合いになって…。

あなた…。

もう終わりだ。 僕は 刑務所行きだ…!

駄目よ! そんなことさせられない。

淑枝…。
あなたに そんなことさせるくらいなら

私がやったことにします。
それは駄目だ!

君が かぶってしまったら
僕ら家族は めちゃくちゃになる!

でも… じゃあ どうしたら?

一つだけ 方法がある。

それが 君だよ。

摩子。

やっ!

あの晩 淑枝に こう言ったんだ。
「摩子がやったとなれば

全員が あの子を
かばうと言いだすだろう。

家族が3人とも幸せになるには
これしか方法はない。

摩子は 絶対に捕まらないから
安心しろ」と。

淑枝は 君に自分が殺したと言った。

このあとは ある種の賭けだった。

だが 君は期待どおり
身代わりになると言いだしてくれた。

私… おじい様を殺してしまった。

ねらいどおりだったよ。 おかげで
和辻の人々は 君をかばうと言いだして

せっせと偽装工作に取り組んでくれた。

(道彦)あとは 私が
淡々と作業を続けるだけだった。

これで警察に偽装が露見。

淑枝を除く 相続人全員が
相続欠格に陥った。

つまり 遺産は全て
無事に私の研究資金になったわけだ。

だが その前に 最後の仕事がある。

君に 自殺してもらうことだよ。

犯行を苦にしてね。

やっ! やめ…!

やめて!

摩子ちゃん 逃げて!

(悲鳴)
春生さん… 春生さん! (道彦)動くな!

どうして こんな…。
そんなに研究が大事なの!?

当たり前じゃないか。
そのために くだらない結婚までしたんだ。

くだらない… 結婚?

くだらないね 結婚も君の母親も。

自分という軸のない惨めな女じゃないか。
愛してると言ったら

頭から信じて ホイホイついてきたよ。
フッ 悲劇だね。

不幸になると
女は 知性さえも喪失してしまう。 ハッ。

許さない。

ママに そんなこと言ったら許さない。
黙りなさい。

嘘つき!
ママを幸せにするって言ったのに!

黙れ!

偉そうな口をきく女が 大嫌いでね!

和辻家に生まれ 和辻家の中で死んでゆく。

どうだ?
和辻の女に ふさわしい最期だろ!

(うなり声)

うっ…!

♬~

(うめき声)

♬~

分かってたの…。

この人が 私を愛してないって。

でも 前の結婚みたいに
失敗するのが怖かった。

ママ。

だから 演じ続けたかったの!

幸せな妻…。

(泣き声)

(ドアが開く音)

♬~

で~! 間に合わんかった。

♬~

(卓夫)これで和辻家も終わりだ。

とっくに終わってたよ。 ずっと前からな。

大丈夫ですか?

♬~

(春生)もう3年。

あれからバブルも崩壊して
土地も株価も暴落して

何だか 全部 夢だったみたい。

この前ね 仕事で
あの別荘の近くまで行ったの。

売りに出されてた。

不思議ね 3年前は
あんなに立派に見えたのに。

最初から立派なんかじゃなかったんです。

そうそう! 摩子ちゃん。

これ… おめでとう!

最優秀賞! すごいじゃない。

ありがとうございます。

ラストシーンを書き換えたのが
よかったのね。 はい…。

小さな菜園を巡って
争い続けてきた家族たち。

だけど最後に その資産には
何の価値もなかったことを知る。

最後のセリフが好きよ。

「これでもう私たちは
誰も憎まなくていいんだ」。

不思議と似てるんです。
今の和辻家の人たちと。

あれから お母さんとは?

会ってないの?

会わない方がいいんだろうなって。

私たちは ずっと…

お互いが お互いを
守っているつもりでした。

でも本当は ただ もたれ合いながら
生きてきただけなのかもしれません。

これからも 会わずに?

分かりません。

でも いつか…

もう一度
母と出会い直してみたい気もします。

和辻家の母と娘としてではなく

ただの母と娘として。

♬~

♬~