ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おかしな刑事 京都スペシャル 伊東四朗、羽田美智子、正名僕蔵、小倉久寛… ドラマのキャストなど…

『おかしな刑事 京都スペシャル』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 鴨志田
  2. 邦彦
  3. 柏木
  4. 京都
  5. 瑤子
  6. 蘭子
  7. 河北
  8. 彼女
  9. 万里江
  10. 大崎
  11. 先生
  12. 東蘭子
  13. 伏見
  14. 大沼櫂
  15. 東邦彦
  16. 和田
  17. 撮影所
  18. 大沼
  19. 部屋
  20. SNS

f:id:dramalog:20200119230641p:plain

『おかしな刑事 京都スペシャル』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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(本ページの情報は投稿日時時点のものです。最新の配信状況は Paravi サイトにてご確認ください。)

(詳細はFODプレミアム公式ホームページにてご確認ください。)

 

おかしな刑事 京都スペシャル[解][字]

鴨志田刑事が有給休暇の京都旅!?昭和名女優殺人事件。伊東四朗里見浩太朗 レジェンド共演が実現!警視庁&京都府警の合同捜査網~幻の絵画に秘めた40年前の悲劇!

詳細情報
◇番組内容
鴨志田新一(伊東四朗)は、警視庁東王子署の警部補。娘・岡崎真実(羽田美智子)は警察庁刑事局のエリート警視だが、鴨志田と真実が実の親子だということは、2人の職場の人間は誰も知らない…。有給休暇を消化しようと京都を訪れた鴨志田は、同じ宿に泊まっていた河北龍之介(里見浩太朗)から、洗剤を20円で売りつけられて面食らう。宿の女将・夏井寧子(あめくみちこ)によると、河北は“関西経済界のドン”とよばれる大物!!
◇番組内容2
約40年前に引退した元大女優・東蘭子(雪代敬子)が、自宅で遺体となって発見される。高価な時計が盗まれていたため、所轄署の刑事・柏木恒(加藤虎ノ介)らは強盗殺人を疑うが、真実は現場の状況から強盗は偽装だと直感。蘭子の家に飾られていた、若き日の画家・大沼櫂(大石吾朗)の作品らしき絵画に着目する。
◇出演者
伊東四朗羽田美智子正名僕蔵小倉久寛佐渡稔、斉藤暁松金よね子大石吾朗あめくみちこ加藤虎ノ介里見浩太朗 他
◇スタッフ
【脚本】岡崎由紀子
【音楽】吉川清之
【監督】田村孝蔵
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/prime-sun/

 

 


♬~

♬~

(鴨志田新一)
あっ おはようございます。

(河北龍之介)おはようございます。

洗濯ですか?
ええ。 宿にね…!

あっ…。

宿に頼むと 高く取られるでしょ。

今の この季節だったら
すぐ乾きますからね。 ハハッ…。

ああ~ なるほど。

ああ… あなたも連泊ですか?
ええ。

だったら 下着ぐらい
洗ったほうがいいでしょう。

こんなものに お金払うの
馬鹿馬鹿しいですよ。

ああ…。

ああ よろしかったら
洗剤ありますからね。

どうぞ。
はあ… こりゃ どうも。

20円です。
えっ?

20円。

20円…。 ああ はいはい。 はい。

20円。

はい 失礼。

何者?

♬~

行ってくれ。

ふ~ん。

河北龍之介?

(夏井寧子)そう。
泣く子も黙る関西経済界のドン。

はあ。 そんなお金持ちが
どうして この旅館に?

安いからでしょ。

京都にいる間は いつも
うちに泊まってくださるの。

お金持ちほど金に細かいってのは
本当なんだな。

それより 鴨志田さん
どこか行きたい所ある?

久しぶりの京都なんでしょ?
どこでも案内するわよ。

ありがとう。 そうだな…。

♬~

♬~

ここは 縁結びの神様なのよ。

うん じゃあ
お守りでも買っていくか。

♬~

(岡崎真実)ああっ!

ああ… せっかく願いを込めて
きれいなお顔にしたのに…。

どうも すみません…。
私の結婚が…。

どうしてくれる…!

嘘! 鴨志田さん?

こりゃ驚いた。

神頼みで京都まで来るほど
お前 焦ってたの?

京都は仕事です。

ああ そういえば
最近 見かけなかったな。

そういう鴨志田さんこそ…。
どなた?

ああ 京都の古い友人でね
夏井寧子さん。

西陣で旅館をやっております。

あの うるさい課長がさ
有休を消化しろってうるさいから

京都に遊びに来ました。

そう~ それで こちらの旅館に?

あっ そうだ。

よろしければ こちら。

今晩 開催される大沼櫂展の

オープニングパーティー
招待状です。

えっ… いいんですか?

ええ。 鴨志田… いいえ

父が 大変お世話になってるようで
ございますから。

父…!?
父… 父ですね はい…。

お前の言葉はトゲがあるんだよ。

彼女 帰っちまったじゃないか。

どうせ あとで合流するんでしょ?

さあ 着いた。

ここが 今 私が居候してる家よ。

えっ? 「姉小路」?

フフフフッ。 行人くんの
もう一人の伯母さんの家なの。

美術展の警備の仕事で

2週間前から
お世話になってるのよ。 早く。

こっち こっち。

ただいま!

ねっ。 鴨志田さん 上がって。

はい…。

誰もいないのかな?

こっちよ。

♬~

よいしょー!

どいて どいて どいて!

よいしょ…。

う~ん… よいしょ。

せーの…。

てやーっ!

おい ちょっと待って。
君 森くんじゃないか?

(森 聡子)鴨志田さん!

こんな所で 何をやってるんだ?

見て わかりません? 掃除です。

掃除は わかってるよ。

そうじゃなくて なぜ
京都まで来て こうやって 雑巾…。

いや ああっ…!

うん…?

ああっ! どうも。

ハハハハハ…。

なんだ? これは。

実は 真実さんから

海外美術館との契約の仕事を
紹介して頂きまして。

我々も
ここに泊まり込んでいるんです。

へえ~ 先生も?

タダで泊めてもらう代わりに
毎日 掃除をするのが約束でして。

ああ… 待てよ。
という事は お前もやってるのか?

私は トイレと お風呂掃除。

朝 苦手だから 夜中にやってるわ。

はあ~ お前が? 掃除?
うん。

一遍 見とこう。

ええっ? どういう意味よ。
ハハハハ…。

(姉小路和子)ほらほら
手ぇ休めたら あきまへんえ。

ああっ! はい おば様。

何?

(和子)ちょっと目ぇ離したら
すぐ これですわ。

そこに 草 残ってますやんか。

はっ! ただいま!

雑巾がけは終わったみたいやな。

今日も 心を込めて掃除しました。

まあ 今日のところは
これでええやろ。

明日からも おきばりやす。

では 私は着替えてきます。
はい。

こちらはんは?

ああ… あの 私の父です。
たまたま京都に来ていたもので。

いやあ
あなたが噂の鴨志田はん?

鴨志田新一と申します。
あの… 噂というのは…。

行人の伯母の和子どす。
あっ 恐縮です。

横浜のおば様とは…?

由紀子は うちの妹どす。

姉小路家は
元々 京のお公家さんで

こちらが本家なんですって。

なるほど。
いやあ 素晴らしいお屋敷です。

(和子)古いだけが取りえの家どす。

何しろ 先の戦争にも
焼け残りましたさかい。

ああ という事は
少なくとも築75年以上…。

嫌やわ 鴨志田はん。

京都で先の戦争言うたら
応仁の乱の事どすわ。

応仁の…!?
ああ。

ああ そうですよね!

(一同の笑い声)

ほな うちは
ちょっと出てきますよって

ごゆっくり。
えっ どちらへ?

エステどす。
エステ!?

そやかて 今夜は 大沼櫂様に
お会いできますのやろ?

モデルになっとくれやすなんて
言われたら

脱がなあきませんやないの。

いや かなわんわ~。

その「大沼会」というのは
何かの寄り合いですか?

(真実・和子)はっ?
はっ…?

まさか 鴨志田さん
知らなかったの?

真実はん。 この人 あきまへんわ。

日本人として あり得へん!

そこまで言いますか。

大沼櫂様は 京都の生んだ
現代最高の日本人画家。

若うして フランスへ渡り

その地で大成功を収めはった
櫂様の 初の里帰り展覧会が

今回 京都を皮切りに
日本各地で行われるんどす。

そして 今夜は

そのオープニングパーティー
なんどすえ。

ほう そうどすか。

♬~

ほう… 厳重警備だな。

そりゃ そうよ。

展示される絵は
フランスだけじゃなくて

欧米各国の美術館から
借り受けてるんだもの。

総額何十億に上ると思ってるの?

そこに どうして武井先生が?

直前に ロサンゼルスの美術館との
契約書に 不備が発覚したの。

それで 武井先生から

ロスにいる行人くんに
連絡してもらったのよ。

へえ~。

おっ! 噂をすれば…。

(水村万里江)本当に
先生には お世話になりました。

ああ お安いご用ですよ。
ハハッ 三つぞろいだ。

勝負服だな。

あれしか持ってないもん。

(万里江)その時は
また手伝って頂けますか?

もちろんですとも。

この武井昭一 人生の全てをかけて
お手伝いさせて頂きます。

今 武井先生としゃべってる
女の人が

キュレーターの水村万里江さん。

おお クレーターか。

キュレーター!

美術についての専門知識を持ち

こういう展覧会の企画や構成まで
担当する学芸員の事よ。

ほう~。 そのクレーターに
武井先生は ほの字ってわけだな。

(寧子)
鴨志田さん お待たせしました。

ようこそ。

(和子)真実は~ん!
ああ おば様!

どうぞ どうぞ こちらに。
おばです。

(司会者)ええ 皆様
本日は お忙しいところ

大沼櫂展オープニングパーティー
お越し頂き

誠にありがとうございます。

さあ
それでは ご紹介致しましょう。

日本が生んだ世界のオーヌマ
大沼櫂画伯です。

(拍手)

(大沼 櫂)
ボンジュール トゥールモンド。

ええ… こんにちは 大沼です。

私は 舞鶴で生まれ

ここ 京都の美大
学生生活を送りました。

香川県出身の妻と出会ったのも
この町でした。

それは もう奇跡でした。

その出会いによって
私の創作意欲は奮い立たされ

一心不乱に
妻を描き続けたんです。

今回の この里帰り展覧会を
誰よりも喜んでいるのは

私のミューズであり
最愛のパートナーだった

亡き妻の瑤子ではないかと
思います。

(拍手)

(寧子)河北さんだわ。

いや 珍しい。

金にならん事には
絶対に動かへんお人やて

噂どすけどな。

(鐘の音)

乾杯!
はい。

警察庁のお前が
展覧会の警備とは珍しいな。

それは 表向き。

実は もう一つ
別の任務があるんだけど

そっちは内緒よ。
へえ~。

それにしても
大沼櫂 全く知らなかった。

鴨志田さん SNSやらないしね。

SM?
(せき込み)

何?
SNS! もう。

例えばね これ。

「うちのオバチャンちの壁に
かかっている絵」

「もしかしてオーヌマカイ?」

今 日本中で 大沼櫂作品の
発掘ブームが起きてるのよ。

発掘って まるで遺跡だな。

大沼先生
京都での画学生時代は貧乏で

お金の代わりに よく絵を描いて
渡していたんだって。

それが今になって
米屋の蔵とか酒屋とか

あちこちで見つかってるの。

押し入れの絵がさ
一気に お宝だもん。

そりゃ 騒ぎにもなるわよ!

なあ。
うん?

うちに こんな絵なかった?

ところで 鴨志田さん
明日は どうしてるの?

まだ決めてないけど。

私は
付き合ってあげられないからね。

大沼先生のテレビの取材に
同行するから。

別に付き合ってくださらなくて
結構ですよ。

そうだよね。 彼女がいるもんね。

悪いな 俺だけ。

でも…

あの人 どっかで
会った気がするんだけど…。

まさか。 似た人だろ?

そうかな…。

いや やっぱり どこかで会ってる。

♬~

(きしむ音)

(東 蘭子)はっ… 誰か来て!

誰… 誰か… 助けて!
た… 助け… 助けて!

(殴る音)
(蘭子)ああーっ!

♬~

やーっ!

うりゃーっ!
オラッ!

うりゃーっ!

おおっ… やーっ!

オラーッ!

ああーっ! イタタタタッ…。

あとで 吠え面かくんじゃねえぞ!
この野郎。

おい いくぞ。
覚えてろ コラッ!

♬~

(深沢 明)カット カット!

そこのエキストラ

もっと こう
悪そうな顔はできないのか?

(白岩由希奈)でも 監督

エキストラさんに
そこまでの注文は…。

だったら もっと役に合った
エキストラ探してこい。

そんな無茶な…。

はい きましたよ。
はい チーズ。

(カメラのシャッター音)
はいはい はいはい もう一枚。

見~つけた!

では 先生方 NO.2でやります。
はい。

(白岩)こちらで お願いします。
あっ えっ…?

(白岩)
深沢組のエキストラさんです。

大至急でよろしく。
鴨志田さん…。

準備ができたら連絡ください。
(中山茂子)オッケー。

あの… すいません。
それじゃあ よろしく。

ちょっと… 質問! 質問!

あの…
俺は どうなっちゃうんだ…?

いやあ 懐かしいな。

学生時代 この撮影所でね
アルバイトしてた。

(明石尚吾)へえ~。
その時 撮影所で出会ったのが

瑤子夫人ですね?
(大沼)ああ。

いやあ… 彼女はね
駆け出しの大部屋女優でね。

あの頃は 2人とも貧しかった。

(明石)はあ… そうですね。

(明石)今日は 当時
お二人の仲を取り持った方に

お越し頂いてます。

覚えていらっしゃいますか?
映画美術家の牧錬次さんです。

どうぞ!
(大沼)牧って… 牧か?

(牧 錬次)櫂! 久しぶりやな~。

(大沼)おお! 我が良き友よ。

鴨志田さん…!

寧子さん
この人 何やってるんですか?

し… 知らないんだけど…。
じゃあ なんで ここに…?

撮影 見学してたら
急に呼ばれて ここに。

ここに?
そうなんです。 顔が どうこう…。

なんで こんな着物を
着てるんですか?

いやいや わからないんですけど。
カツラ? まさかの。

えーっ…! 嘘!
あら~。

ちょっと 寧子さん
止めてくださいよ。

いや 私に言われても…
強引にね 呼ばれちゃったから。

はあ? ちょっと…。

ちょっと ごめんなさいね。
あっ ああ…。

はあ?
ちょっと… 鴨志田さん…!

ちょっと…。

何やってるんですか?
わかりません…!

おい! 大変だ!

(牧)おい! 何があったんや?

それが 東蘭子さんの家に

パトカーが
集まってるらしいんですが。

牧さん。 東さんって
一人暮らしでしたよね?

(牧)うん。

東蘭子?
東蘭子って 確か…。

うん。 30年以上前に引退した
大女優だ。

俺もファンだったよ。

(パトカーのサイレン)

♬~

(伏見公平)柏木さん!

(伏見)こちら 通報してくださった
家政婦さんです。

京都府警 鴨川東署の柏木です。

(海野祥江)海野と申します。

何か なくなってるものは
ありませんか?

(祥江)そこに置いてあった
アンティークの時計が…。

蘭子さんが
大切にしていたものです。

(伏見)強盗の仕業ですね。

庭から ガラスを割って
入ったようです。

海野さんは
いつも 何時ぐらいに ご出勤を?

8時前には
来るようにしてますけど。

今朝も その時間に?

はい。 ところが
今朝は 玄関の鍵が開いていて…。

蘭子さん?

蘭子さん?

おはようございます。

蘭子さん!

蘭… 蘭子さん…。

キャーッ!!

(柏木)詳しい事は
解剖してみないとわかりませんが

東さんは
夜のうちに殺されたみたいです。

夜のうちに…。

東さんは ここで一人暮らしを?

はい。 20年ほど前に
ご主人に先立たれて

それからは お一人で…。

奥様と呼ばれると

結婚生活を思い出すと
おっしゃるので

蘭子さんと お呼びしていました。

他に ご家族は?

甥の邦彦さんが
たまに訪ねてきますけど。

甥の邦彦?

東邦彦さんです。

彼が 最後に来たのは?

おとといです。

いつものように
お金の無心に来て

蘭子さんは
本当に情けないと言いながら

30万円ほど渡していました。

(東 邦彦)どうして…。

どうして 僕を置いて
死んじゃったんだよ!

伯母さん!

(邦彦)伯母さん! ううっ…。

♬~

(ため息)

何が 「僕を置いて」じゃ。
くっさい芝居しよって。

(三条惟光)中学生で
大麻パーティーやってた

札付きの不良だよ。

東蘭子の遺産相続人は
あいつなんでしょう?

殺しの動機としては十分や。

だが 現場の状況は
どう見ても強盗だろう。

盗まれたアンティークの時計は
時価200万だそうだ。

200万?

♬~

(ため息)

そんな高価なもん
置いとくんやったら

防犯カメラぐらい
つけときぃな。

ここで 何やってんの?

えっ? ああ おっとっとっと…!
危ない!

あっ… どうも すみません。

なんで こんな おばはんが中に?

おばはん?
まさか おじさんやないやろ?

あ… あんた 失礼な人ね。

私は こういう者です。

警察庁? 警視!?

現在 大沼櫂展の警備責任者として
京都に滞在中です。

あの… その… 警備責任者が
なんで こちらに?

それよりも
このガラスなんだけど

破片が ここまで飛び散ってるわ。
えっ?

強盗に入ろうと
外から割ったなら

ガラスの破片は
内側に入るはずなんだけど。

ほんまや…。

この窓は
内側から割られたらしいわね。

って事は…。

中を見せてもらっても
いいかしら?

えーと…。

鴨川東署刑事課 柏木恒警部補。

警察庁刑事局 岡崎真実警視です。

被害者は そこで
後頭部 殴られて 倒れてました。

凶器は ここにあったのね?
はい トロフィーです。

なんのトロフィー?

蘭子さんが 初めて
主演女優賞を取った時のものです。

あの… こちらは?

第一発見者の家政婦さんで。
海野祥江と申します。

警察庁の岡崎です。

他の部屋も見せてもらえますか?

はい どうぞ。

これだわ…。

やっぱり ここにあったのね。

この絵が 何か?

このSNS 見た事ない?

(柏木)「うちのオバチャンちの壁に
かかっている絵」

「もしかしてオーヌマカイ?」

今は削除してあるんだけど

この写真を投稿したのは
東邦彦なの。

邦彦が?

海野さん この絵は
いつから ここにあるんですか?

さあ…。
私が こちらで働き始めた頃には

もう
ここに飾ってあったと思います。

でも そんな有名な
画家の絵だったなんて…。

♬~

(アナウンス)「深沢組
セット撮影を開始します」

「関係者の方は

NO.6ステージに
お集まりください」

いいですか? あなたの役は
錦市場の顔役です。

何があっても 怖い顔で
正面をにらんでいてください。

怖い顔って どうすればいいの?
はい。 そのままで十分ですから。

そのままって…。
お願いします。

(由希奈)各部 準備いいですか?
それでは 本番いきます!

鴨志田さん しっかり!

(ベル)

用意 スタート!

♬~

(深沢)カーット!

オーケー!

(ため息)

明日も ここに来て。

8時から撮影開始だから
6時に撮影所入りして

結髪さんに
カツラつけてもらってください。

いや 明日って…。
じゃあ。

6時ですよ。
いや…。

返事を聞かない人たちだなあ…。
(由希奈)セット移動します!

ハハハ…! 鴨志田さん すごい!
役者デビューね。

俺が一番びっくりしてる。
アハハ…。

これって 江戸時代の絵師
伊藤若冲を描くお正月映画で

主役は加賀山譲なんですって!

もし 会ったら
サインもらっておいて。

腹減ったな。 何か食べて帰るか。
ああ いいですね。

ちょっと ちょっと!
その格好で帰らないで!

ああ… そうですよね。
嫌だ… すいません。

あれは?

(由希奈)スタジオに蘭子さんの
祭壇を作る事になったんです。

30年以上前に引退したとはいえ
ここの看板女優でしたから。

やっぱり 亡くなったんですか。

なんでも
強盗に殺されたそうです。

強盗…?

♬~

♬~

(万里江)先生!
こちらにいらっしゃいましたか。

ああ 水村くん。
会場にいなくていいのかね?

大沼櫂展 動員数が
美術館の初日最高を

記録しそうです。
おお! そうかね。

先生は このまま CM撮影で
東京へ行くと伺ったので

直接 お伝えしようかと。
ああ…。

君たちのおかげだな。
いえ…。

ところで 岡崎さんは?

ああ あの人なら なんだか

もっと大事な用事ができたとかで
そっちへ行ったよ。

世界のオーヌマより
大事な事って…。

いいんだよ。 もう
ずーっと張り付かれてたから

正直 ホッとしてる。

美人と言ったってな
警察は警察だからね。

(三条)ええ… あの それで

自分も捜査に加わると
言ってまして…。

あっ いや おっしゃられて
おりましてですね… ええ。

えっ?

警察庁田中刑事局長が
そのような事を?

えっ? あっ…。

それじゃあ 仕方ありませんね。
はい。

粗相のないように
おもてなしします。

はい。 では…。

話は通じたかしら?

はい。 ええ…

府警本部は 岡崎警視に
捜査に加わって頂くようにと…。

えー 警察庁の岡崎です。

皆さん 改めて よろしく。

皆さんは
大沼櫂の展覧会の警備責任者が

どうして ここにいるんだろうと

不思議に思われていると
思います。

その事を説明する前に
窓ガラスの破片の話を。

柏木警部補。

柏木警部補?
(柏木)はい。

ほら あれ。 説明して。

えー…
鑑識が改めて調べたところ

庭の芝生の敷地には
広範囲にわたって

ガラスが飛び散っていた。

これは ガラスが
外から割られたんじゃなくて

内側から割られた事を示している。

(伏見)ええ?

(柏木)つまり 犯人は

外から
ガラスを割ったんじゃなくて

別の方法で侵入して

あとからガラスを割ったと
考えられる。

なんのために?

恐らく 強盗を偽装しようと
したんでしょう。

偽装強盗?

先ほどの話に戻ります。

私が なぜ ここにいるのか…。

実は 先日 ベルリンで盗まれた
大沼櫂の初期の絵が

アムステルダム

闇のオークションにかけられた
という情報が

インターポールから
警察庁にもたらされました。

(一同)インターポール?

落札額は100万ユーロ。
日本円にして約1億2000万です。

1億2000万!?

しかも 噂では
買ったのは日本人だとか。

私が 警察庁から
大沼櫂展に派遣されたのは

展覧会の警備を監督しながら

盗難美術品の闇ルートを
探るためだったんです。

(一同)おお…。

皆さんは 少し前からSNS

「#もしかしてオーヌマカイ?」
という投稿が

盛り上がってる事 ご存じですか?

東蘭子の甥の邦彦も
こんな投稿をしてた。

(伏見)「うちのオバチャンちの壁に
かかっている絵」

「もしかしてオーヌマカイ?」

この投稿は
1週間前のものですが

おととい 削除されています。

これは 一つの仮説ですが
犯人は この投稿を見て

東蘭子邸に
盗みに入ったんじゃないかしら?

ところが
絵を盗む前に本人に見つかり

思わず 殺してしまった。

そして その場にあった
アンティークの時計を盗んで

強盗の仕業に見せかけた
ってわけですね?

(一同)おお…。

あの その絵が本物だとして

どのぐらいの価値が
あるんですか?

恐らく 5000~6000万は
下らないはずです。

しかし 邦彦のSNS
公開されていますから

誰でも閲覧できるんですよ。

そうなると
被疑者は無限大だ!

でも 課長 ここが東蘭子の家って
わかる人間は

そう多くないですよ。

そう。
まずは 邦彦の事を知ってる人間。

そして
東蘭子と その家を知ってる人間。

邦彦の交友関係か。
そして 何より

これが 本当に大沼櫂の絵だと
気がつく人間となると…。

俺は ホシは
邦彦本人や思いますけどね。

柏木くん…。

あいつやったら
年中 東邸に出入りできるし

怪しまれずに
合鍵 作る事もできるでしょう。

(ざわめき)

合鍵を使って 絵を盗むために
伯母さんの家に侵入して

騒いだ伯母さんを
思わず殺してしまったとしたら…。

いや… それなら
絵を持って逃げるだろう。 なあ?

そんなん 伯母さんが死んだら

黙ってたって
自分のものになりますやんか。

それもそうだな。

大事なんは
自分が犯人と思われへん事や。

だから 強盗に見せかけるために

ガラスを割って
金目のものを持ち出した。

あの中から
アンティーク時計を選んだのは

それが
あの中で一番高価なものだと

知っていたからね?
そのとおりや。

あんた いけてるで!
(三条)ちょっと…!

警視に なんていう口の利き方!
(柏木)すんまへん。

いや 柏木警部補
あんたも いけてるわ!

(一同の笑い声)
えー 皆さん。

明日は 朝イチで
東邦彦を聴取しましょう。

(一同)はい!

(武井)ですから なぜ この絵が

限りなく本物に近いと
言われているかというとですね

まず 背景。

背景?
ええ。

この窓が パリで大沼櫂が

最初に住んだ部屋の窓
そっくりなんです。 ほら。

おお…。

(武井)この写真で
わかりますでしょ?

なるほど。
(武井)次に

瑤子夫人の座っている椅子の形。

ああ… はいはい。 はい。

それに何より
彼女の この表情です。

ほら どことなく
悲しげな目をしてるでしょう?

このあと 瑤子夫人は
自殺してしまうのですが

ここには その予兆のような
暗い影が ほの見えるのです。

先生 詩人だね。
アハッ! フフフ…。

(聡子)全部
万里江さんの受け売りですけどね。

(武井)うるさいんだよ いちいち!
ったく…。

ところで 先生たちは

展覧会が始まってるのに
まだ 東京に帰らないの?

ええ。 実は この自伝を海外で
翻訳出版する話がありまして

そちらの契約も私が。

この画伯が自伝を?
はい。

もちろん 実際 書いたのは
ゴーストライターですけど。

ああ! 愛で結ばれた2人。

しかし 異国の貧乏生活で
妻は次第に心を病んでいき…。

最愛の夫の負担にだけは
なりたくないと

自ら セーヌ川に身を投げる!

ポチャーン…。

ねえ? これ 映画化されたら

全米が泣いて
大ヒット間違いなし!

手数料で がっぽり儲かれば

もう こんな家に居候しなくて
済むんだ! ハハ…。

ただいま。
(聡子)あっ おかえりなさい。

おかえり。 風呂 沸いてるぞ。
ああ ありがとう…。

はあ!? なんで
鴨志田さんがここにいるの?

ああ 東蘭子さんの事件が
気になってさ。

それなら
意外と早く解決するかもよ。

肝心の絵は無事だったし
強盗も どうやら偽装みたい。

偽装って なぜ わかったんだ?

ねえ 京都といえば
科捜研が有名よね。

ああ。
鴨志田さんさ…。

真実は~ん。
はい!

あんた 昨日
お掃除サボりはりましたやろ?

あっ! 忘れてた…。

今日は いつもの分に加えて

風呂釜掃除も
やっといておくれやす。

はい! かしこまりました。

ほな 鴨志田さん ごゆっくり。

うわあ… 怖っ!

鴨志田さん 頑張ってね。

はい これ 朝ご飯。
撮影所で食べて。

ありがとう。 ハハハ…。

ああ そういえば

せっけん 20円で売る
あのドケチ富豪は?

アハハ… ゆうべのうちに
出張にいらっしゃいました。

ああ そう。

はい どうぞ。
はい ありがとう。

じゃあ いってきます。
へえ。

あんじょう おきばりやす。
はい。

(邦彦)まさか あの絵
本当に大沼櫂だったんですか?

まあ 専門家が言うてましたから
まず間違いないんでしょう。

信じられないな。

(伏見)信じてないなら
なぜ SNSに投稿したんです?

流行ってたからね。
一丁噛みですよ。

でも いざアップしたら
売ってくれとか 家 教えろとか

なんか 反響がすごくて。

正直 ビビって削除したわけ。

ところで
おとといの夜は どちらに?

女の部屋に しけ込んでました。

女?
(伏見)その女性のお名前は?

ミオちゃんって言ったかな…。
朝まで ずーっと一緒でしたよ。

(由希奈)お待たせしました。
それでは 行きましょうか。

お願いします。

はい 出来上がり。

よう 似合うてるわ。 親分さん。
ああ どうも…。

あっ…。

ああ…
これ 東蘭子さんですよね?

うん そう。 懐かしいなあ…。

あっ ここにいるん 私。

へえ~。 昔は かわいかったんだ。

「昔は」って…。

あっ 蘭子さんの隣にいるん
瑤子ちゃん。

瑤子さんっていうのは 確か…。

うん。 大沼櫂の奥さん。

これね 瑤子ちゃんが
大沼さんに付いて

フランスに行く事になった時
最後に集まって撮った写真。

わかります。
あの絵のモデルの人だ。

国費留学生いうても
なんの保証もないでしょう?

京大生の彼氏のほうが
ずっと ええって

みんな 止めたんやけど

本人の決意は固くてね。
京大生?

蘭子さんが みんなに呼びかけて
集まったんよ。

まさか あんなに早うに
死んでしまうなんて…。

生きとったら 今頃
左うちわやったのになあ。

それにしても 東蘭子という人は

役柄そのままの人だったんですね。

うん。
面倒見が良うて 正義感があって

『姉御』シリーズの あのまんま。

きっと 2人とも

今頃
あの世で再会してるんやろうね。

(伏見)秋山美央 25歳 フリーター。

邦彦が一緒にいたと
言っていたのは この女です。

住まいは ここか。

見たところ
防犯カメラはありませんね。

(チャイム)

(秋山美央)はい。
(伏見)警察です。

ちょっと お話 伺いたいんですが。
(美央)警察?

(柏木)あんた
この男 知ってるやんな?

ええ まあ。

おとといの夜 朝まで一緒にいたと
言ってるんですが 本当ですか?

ええ まあ…。

なんや 曖昧な返事やな。

だって ぐっすり寝てたから…。

寝てた?

私 先月 飲み屋で
ナンパされたのね。 そいつに。

そしたら おととい

お前の部屋が見てみたいとか
言って

ビール片手に 家に来たんだ。

(2人)乾杯。

(美央の声)
でも 2人とも疲れてたのか

すぐ眠っちゃって。

(美央の声)
気がついたら朝だったの。

ちょっと すみません。

その時 飲んだのは
このビールですか?

うん。

(柏木)警視。

出ました。
えっ?

(伏見)秋山美央の部屋から
押収した缶ビールから

睡眠導入剤が検出されたんです。
本当?

(柏木)邦彦は アリバイ作りのために
女を利用したんです。

睡眠導入剤で眠らせて その間に

東蘭子の家に行って
帰ってきたんです。

(三条)決定的だな。

すぐに 身柄を確保してください。
(刑事たち)はい!

♬~

(いびき)

(パトカーのサイレン)

刑事さん! こっち こっち!
こっちですよ。

(柏木)東邦彦! 東!

(柏木)おらんな。

とりあえず
各所に緊急手配します。

頼むわ。

(伏見)マンションエントランスの
防犯カメラ映像です。

11時55分に 慌てた様子で出て行く
邦彦が映っていました。

♬~

ここ! もう一度 よく見せて。
(伏見)はい。

ストップ!
(伏見)はい。

札束よ。

このかばん いっぱいで
大体1億やで。

アリバイが崩れる事を見越して
逃げたのね。

それから
邦彦の部屋から これが。

パソコン?

重い…。 はい 立ち上げて。

充電 大丈夫?
検索履歴 全部出して。

ねえ 早くして。
ちょっと待ってください。

(警笛)

(坂下純次)署長! 大変です。

なんだね? 坂下くん。

おお… 工藤くんも。
(工藤 潔)これを。

たった今 京都府警から

強盗殺人の指名手配書が
届きました。

あの東蘭子殺しの被疑者が

東京へ逃亡したそうです。

何? 東蘭子殺しの?

はい。
私 ファンだったんだよ。

12時過ぎに京都駅で
新幹線に乗ったところが

防犯カメラに映っていたとか。

もう3時じゃないか!

その時間じゃ
とっくに東京に着いてるぞ。

で… ちょっと
下のほうをご覧ください。

下?

あっ いえ…
この書類の下のほうでございます。

(せき払い)

坂下くん
岡崎警視の名前があるじゃないか。

(坂下)そうなんです。

警視は現在 鴨川東署で
捜査にあたっておられるとの事。

被疑者は 大学時代
王子に住んでいたとあります。

という事は この辺りに
潜伏している可能性が…。

署長 これは

東王子署が手柄を上げる
チャンスでございます!

そのとおりだ 坂下くん。

手分けして 東邦彦の
学生時代の友人をあたりたまえ!

(坂下・工藤)はい!

ああ そう。 わかった。
ありがとう。

今から1時間ぐらい前に

東京駅の新幹線ホームの
防犯カメラに

スポーツバッグを持った
邦彦に よう似た男が

映ってたそうです。
1時間前?

邦彦は
東京に土地勘ありますからね。

見つけるの 難しくなりました。

そっちは 警視庁に任せましょう。

私たちは 事件前の邦彦の
立ち回り先をあたりましょう。

え~!

「え~!」って 何?
いや…。

警察庁のキャリアいうたら

デスクに座ってるだけや
思うてましたから。

父親に似たのかな…。

はい?
んっ? ううん なんでもない。

ほら もう さっさと案内する!

結局 俺が案内するんか…。
当たり前でしょう?

私 京都の地理なんて
全然わかんないんだから。

いや そっち違いますよ!

早く言ってよ。

そういうところは
サッチョウやな…。

まずは 邦彦が
パソコンで検索していた喫茶店ね。

ちょっと!
歩くの速いんだけど…!

(柏木)
そうですか? ごめんなさいね。

♬~

(須磨雄太)
ああ そうです。 この男ですよ。

おとといの
午後3時頃だったかな?

そこの席で 誰かと
待ち合わせをしてたんですけど…。

♬~

(須磨の声)
相手の男が こいつに

持ってきたスポーツバッグを
渡したところで…。

見てんじゃねえよ この野郎!

こっちは かばんの中身なんて
全然 見てないのに…。

そのスポーツバッグって
これですか?

(須磨)ええ これです。

あの様子じゃ…

中は 大麻かなんかかなって
マスターと話してたんですよね。

その相手の男の顔は見ました?

ああ… 帽子をかぶってたから
顔は見えませんでした。

あっ でも 恰幅のいい

なんか
堂々とした初老の男でしたよ。

十中八九 中身は現金ですね。

その現金が
仮に1億としてよ

帽子の男は邦彦に
あの絵を盗むように頼んで

前金として1億を渡した
って事かしら?

それやのに
邦彦は絵を持ち出す事もできず

あまつさえ
殺人を犯してしまった。

あまつさえ?
なんか 古い言葉ね。

あっ つい…。 いや…。

こう見えて 国文科なんですわ。

へえ~…。
あっ もしかしたら

邦彦が逃げてるのは
警察からやなくて

なんらかの組織かもしれませんよ。
組織…。

(由希奈)
えー このシーンはですね

錦市場の八百屋の
総領息子に生まれた若冲

実際に みんなの前で絵を描き

八百屋は継がず 絵師になると
宣言するシーンです。

いよいよ 主役の登場ですね。
ハハ…。

あれ? 主演の加賀山譲は…。

ハハッ… 悪いね。
カガジョーじゃなくて。

実際に 絵 描くシーンなんで
手だけ俺の吹き替えなんや。

ああ…。
すぐ終わりますからね。

静かにしててください。
はい。

それでは シーン38 カット7
若冲の手のアップ いきます。

用意 スタート!

♬~

カット!

(深沢)オーケー。

こりゃ驚いた…。 あなた 天才だ。

ああ すいません。
ここにサインして頂けますか?

ええ? 俺でええの?
はい。

たった今
すごい技を見せて頂いたんで

興奮してます。
ああ…。

この道40年。

職人芸と呼んでくれ。 はい。

あの これは…?

牧の「ま」。 俺のサイン。
じゃあ お疲れ。

あっ はい。
ありがとうございました。

ありがとうございました!
(携帯電話の振動音)

おっ…。

♬~

鴨志田さん 遅い!

それがさ
メーキャップを落とすのに

時間がかかっちゃってね。
メーキャップって…。

それよりも
このみたらし団子 おいしいよ。

そりゃあ そうだろう。

みたらし団子発祥の地は
京都の下鴨神社なんだから。

そうなの?
ああ。

京都が本家だったのか…。
姉小路家と同じね。

ところで 休暇中の俺に
わざわざ相談とは なんだ?

実は

鴨志田さんが泊まっている旅館の
寧子さんの事なんだけど…。

ずっと どこかで会ってるような
気がしてたんだけど

やっと思い出したの。

こっちに来る前に読んだ
捜査資料の中に

ちらっと出てた。

そうか…。

(真実の声)20年ほど前

美術品専門の窃盗団が
暗躍した時があって

その時 一味の一人として
逮捕されたのが

彼女だったのよね。

その時 逮捕したのは俺だった。

鴨志田さんが!?

別に隠してたわけじゃない。

寧子さんは 立派に更生したんだ。

(寧子の声)「私は今

古毬館という旅館で
女将をしています」

「やっと 人様に誇れる仕事が
出来るようになりました」

「これもひとえに
鴨志田さんのお陰です」

「どうぞ いつでも泊まりに
いらっしゃってください」という

手紙をもらったんだよ。

だから 休暇を
京都で過ごす事にしたのね。

彼女が何かの犯罪に関わった
という証拠でもあるのか?

ううん…。

でも 大金が動いてる。

大金?

この小さな絵に

1億のお金を出す人間が
いたようなの。

1億!?

この事件の陰にいるのは

かなり大きな組織じゃないか
って…。

いずれにしても 彼女は無関係だ。

なんの怪しいところもない!

鴨志田さんは
女の人に甘いから…。

そういうお前は どうなんだ?
えっ?

鴨川東署に いい男は
いないのですかと聞いております。

いい男なんて いないわよ。

国文科卒の
おしゃべり男がいるだけ。

ほう…。
はあ…。

名前だけは
源氏物語』なんだけどなあ…。

(警笛)

(女性)ああ 邦彦ね。

最近 顔出してませんか?

いいえ。

大体 彼 この界隈じゃ
あちこちでトラブって

出禁になってるし。
出禁?

うちのツケも踏み倒したままよ!

あっ どうだった?
ああ こっちも駄目です。

邦彦の評判 最悪ですよ。

東邦彦は学生時代

東京のFラン大学に籍だけ置いて
遊び歩いていたようだ。

逃亡中のあいつを
助けてくれるような

仲間がいるとは思えないな。
(携帯電話の着信音)

おお 和田。 どうした?

…邦彦が?

ああ。 2時間ほど前に
チェックインして

ついさっき出てったそうだ。

ついさっき出ていった?

(店員)どうぞ。
邦彦の服装は

京都駅の防犯カメラと同じ
グレーっぽいTシャツにジーンズ。

ピアスにネックレスに
ブレスレット。

かばんは持っていません。
手ぶらです。

(男性)大丈夫ですか?

(女性)キャーッ!
(男性)うわっ!

(パトカーのサイレン)

(和田)係長。

(工藤)東邦彦… 間違いないな。

今のところ 犯人らしき人物の
目撃証言はありませんね。

そうか…。

(和田)ポケットに

王子駅前のコインロッカーの鍵が。

コインロッカーの鍵?

(携帯電話の着信音)

はい 岡崎です。

なんですって!?

えっ? 邦彦が王子で!?

岡崎警視!
東王子署署長の星田です!

「星田署長 ご無沙汰しています」

「すでに お聞きの事と思いますが

今回の事件は
広域捜査の対象となり

鴨川東署と東王子署
双方の捜査本部を

私が統括する事になりました」

(一同)はい!

「捜査情報を共有し 早期の
事件解決を目指してください」

(和田)はい!
(大崎)もちろんです!

課長 邪魔ですよ。

(工藤)「解剖の結果
死亡推定時刻は

昨夜23時から24時の間と
判明しました」

「遺体の腹部には
このナイフが刺さっており

これが致命傷だったと思われます」

(大崎)「それから
被害者のポケットから

中身の入った財布が
発見されましたが

スマホは見つかっていません」

(和田)「恐らく
犯人が持ち去ったものかと…」

(大崎)「あと あの… 王子駅前の
コインロッカーの鍵が見つかり

中から これが。 和田」
「現金の入っていた

プッシュドハードの
スポーツバッグです」

(大崎)「数えたところ
ちょうど1億円でした」

(坂下)「それで…
邦彦でございますが

えー 上京してすぐ

王子駅前のコインロッカーに
このバッグを預け

漫画喫茶に潜伏」

「そのあと 誰かに呼び出され

現場で殺害された模様と
思われます。 以上!」

ご苦労さまでした。
引き続き目撃情報を探すとともに

現場周辺の防犯カメラ映像の
分析を進めてください。

(和田)「はい!」
(大崎)「わかりました!」

(柏木)これは
見せしめの殺人やないか?

見せしめ?

邦彦は1億円を受け取ったのに
絵を手に入れる事ができず

金を持って逃亡した。

そう仮定したら…。

お金を出した人間が
怒るのは当然ね。

東王子署が見つけた1億円を

バッグごと こっちに
移送してもらいましょう。

こっちの科捜研で
徹底的に分析したら

何か出てくるかもしれません。

「京都の科捜研?」

「あっ それなら 私がお届けに」

「あっ いえいえ
署長が行くまでもございません」

「私が参ります」
「何 言ってんだ 坂下くん!」

とりあえず スポーツバッグの
メーカーが特定されました。

1班は このバッグの出どころを
洗ってください。

(一同)はい!

(柏木)えー 喫茶店
邦彦に1億円を渡した男は

身長170から175センチ。
恰幅のいい初老の男性。

あとは この男を追う。
(一同)はい!

京都駅から東京駅
そして 王子まで

この男は必ず
邦彦のあとを追ってるはずです。

なんとしても
この男を捜し出してください!

(一同)はい!

わっ!
ちょっと あんた。

こんなとこで何やってるの?
いや 別に怪しい者じゃ…。

身分証明書 見せてもらおうか?

ああ はい。

♬~

もしもし? 柏木やけど。

柏木?

ああ。
今 怪しい男に職質してんのよ。

免許証の確認してもらえる?

ああ それって…。

(柏木)同業者やったら
同業者 言うてくださいよ。

ああ すいません。
京都へは休暇で来てるもんで…。

あの つかぬ事を聞きますが

「柏木さん」って
源氏物語』に出てきますよね?

女三宮と不義密通してますね。
ああ…。

はあ…。 名前だけは
源氏物語』なんだけどなあ…。

もしかして 大学は国文科?

(柏木)ええ まあ。
なるほど。

はあ… あいつの趣味も
よくわからんなあ…。

あっ これですね?

へえ~… 意外と小さいんだ。

うん。 でも 確かに瑤子さんだ。

(柏木)この絵のモデルを
知ってるんですか?

いやあ 直接は。

ただ 最近 太秦の撮影所で

女優をしていた頃の写真を
見る機会がありましてね。

太秦の撮影所?
はい。

どうしました?

あっ いえ…。

♬~

「ま」?

あっ… おはよう。

ああ どうも。 ああ どうも。
ハハハ…。

(アナウンス)「深沢組 食後13時開始で

引き続き
NO.6ステージに入ります」

すいません
ここ いいでしょうか?

どうぞ。 …あっ あれ?

あんた 『若冲』の現場にいた…。

はい 鴨志田と申します。
昨日は ありがとうございました。

いえいえ サインねだられるなんて
ほとんどないから

嬉しかったですよ。
ハハ…。

いやあ すごい才能で。

あなたのような人が
贋作を手掛けたら

誰も見破れないでしょうねえ。

鴨志田さん 私は活動屋です。
贋作は作りません。

それに 私は 自分の作品が
悪事に使われる事のないように

作品には必ず 印を付けてます。

印?
ええ。

カメラに映らんとこに
こっそりと。

ああ… ひらがなの「ま」?

あっ。 ハハ…。

そやから 贋作として流通する事は
絶対にないんです。

という事は
大沼櫂の偽物を描いた時には

悪事に使用されるという認識は
なかったわけですよね?

あなた… これを どこで?

東蘭子さんの家に
掛かっていました。

蘭子さんの?

そやけど
頼まれた時に そんな説明は…。

頼まれた…?

あなた 一体 何者ですか?

(伏見)それでは
1億円の入ったバッグは

こちらから科捜研に届けますので。

遠いところ お疲れさまでした。

(大崎)どうも。
(伏見)どうも。

はあ…。 なんだ…。

科捜研に行くの
楽しみにしてきたんだけどなあ。

何? 俺たちの京都って
これで終わり?

えっ…。
(携帯電話の着信音)

あっ ちょっと…。
(携帯電話の着信音)

カモさん。
おう。

(大崎)食堂って どこですか?

ああ… どうもすいません。
すいません。

おーい! こっち こっち!
ああ…!

カモさん なんで京都に?

休暇中だよ。 話してなかったか?
(大崎)はい。

いや それより お前たちが
京都にいてくれて助かった。

入って。

こちらに説明してやってくれ。

この人
自分がデカだって言うんですよ。

ああ… えー こちらは
鴨志田新一さん。

我々と同じ
東王子署の刑事です。

よろしいですか?
あっ… ええ。

それで さっきの話なんですが

あなた 誰かに頼まれたと
おっしゃいましたよね?

ええ。 1週間前
SNSを見たという ある人から

SNSと そっくりに描いてほしい
という依頼を受けたんです。

私は贋作は作らない。

裏にサイン入れるけど
それでもええのかと言うたところ

自分で眺めるだけやから
構わないと。

いくらで請け負ったんですか?

100万!?

いいえ。

1000万です。
(大崎・和田)えっ!?

その依頼人というのは
一体 どこの誰なんですか?

旅館の女将です。
西陣の古毬館という…。

古毬館?

旦那さん…!

始まりませんわ!
危ない 危ない!

やめなはれ!
無理ですよ!

私には もう 荷が重すぎます!

ああっ!

(深沢)カーット!

はい カットです!
(深沢)オーケー!

次いくぞ。

監督 顔役がいません!

何? どこ行ったんだよ
あの怖い顔は。

それが 撮影所まで来たのに
帰っちゃったらしいんです。

なんだって? 主役が来てるのに
エキストラがいないって

どういう事なんだよ。
なんとかしろ!

(寧子)牧さんの話は本当です。

悪い仲間とは
縁を切ったんじゃなかったのか?

昔の仲間とは
一切関係ありません。

ただ お客さんに頼まれて…。

依頼人は?

河北龍之介さんです。

河北?

…って あの
河北コンツェルンの?

実は この旅館のオーナーも
河北さんなんですよ。

えっ?

京大生だった頃
下宿していた家なんですって。

それが建て替えられると知り

ご自分で買い取って
旅館になさったんです。

じゃあ
あの人が泊まっていた部屋も?

学生時代に住んでらした
部屋だとか。

他にも 思い出のお寺の周りに
再開発計画があると知ったら

辺り一帯の土地を買い占めて
景観を守ったり…。

ケチなようでいて
中身は豪胆な方なんですよ。

その河北さんが あの絵を?

どうしても…

どうしても 同じものが欲しいと
おっしゃって…。

頼むよ。

なんとかならんか?

でも 私 もう そういう仕事は…。

(河北)金なら いくらでも出すぞ。

頼む! このとおりだ!

理由は聞いたのか?

聞いちゃいけない気がして…。

牧さんの噂は

撮影所にすごい人がいるって
だいぶ前から聞いてましたから…。

それで 思い切って
お願いに行ったんです。

すいません! 警察です。
ちょっと お話 伺いたいんですが。

このかばんなんですが 最近売れた
という事はありますか?

ああ ああ ああ…。

このバッグやったら
先週も 1個 売れましたわ。

買った人を覚えていますか?
ええ よう覚えてます!

もう全然似合わへん人やったんで。

あの 店内に
防犯カメラはありますか?

はあ…。

(三条)あっ ちょっと待った!
(キーを打つ音)

(三条)あれ? これは…。

課長 知ってる人?

いや 知ってるも何も

関西経済界のドンと言われた
河北龍之介だよ!

えっ?
(電話)

(柏木)はい 捜査本部。
もう一回 見せて。

(柏木)なんやて?
わかった ありがとう。

河北だよ これ!

課長 東王子署の刑事たちが
河北の本社に向かったそうです。

東王子署が?

申し訳ございません。

会長は
本日 出社しておりませんが。

(大崎)では
会長室に案内してください。

これ なんだかわかりますか?

(大崎)家宅捜索令状です。

(解錠音)
こちらが会長室です。

どうぞ。
どうも。

(2人)おお~…。

捜すか。
ああ。

♬~

ないな…。

大変だぞ こりゃ。
ああ。

♬~

♬~

和田…。
ん?

広い。
うん。

もう一回 捜すか。
…だな。

おい。
(大崎)ん?

(2人)おお!

おっ…。

えっ…。
おいおい!

♬~

うわあ…。

おお…!

秘密の部屋か。

へえ~! これは すごいな。

(大崎)カモさん これって…。

ああ。
全て 瑤子さんを描いた絵だ。

(和田)瑤子って?

若い頃 大部屋女優だった
大沼櫂の奥さんだよ。

へえ~…。

なあ お前たち
鴨川東署と連絡取って 合流しろ。

カモさんは?
ああ 俺は

ちょっと行くとこがある。
えっ どこへ?

柏木警部補に
よろしく言っておいてくれ。

わかりました。

(大崎)河北コンツェルン
隠し部屋にあった絵です。

出します。

これよ これ!
ベルリンで盗まれた絵!

(柏木)100万ユーロで落札された
っちゅう絵画か。

闇オークションで競り落とした
日本人っていうのは

河北龍之介の事だったのね。

(柏木)それにしても
すごい情熱…。

いや 執念やな。

河北龍之介と
大沼瑤子さんとの間には

何かがあったのかしら?

(柏木)そういえば…。

やっぱり 2人は同い年や。
同い年?

しかも 出身は同じ香川県や。

よし…。

どこ行くの?
(柏木)撮影所。

大沼瑤子の過去を調べてくる。
撮影所?

(柏木)みんなは
河北の行方を追ってくれ。

多分 本物の絵を持って逃げてる。
わかったわ!

♬~

(柏木)これや。
鴨志田さんが言うてた写真。

ここに写ってるの
大沼櫂夫人の瑤子さんですよね?

(茂子)うん そうですけど。

あなた 当時の事をご存じで?

(茂子)ここにいるん 私やもん。

ほな 彼女に 当時

京大生のストーカーがいた
っていう噂 ありませんでした?

ストーカー?

あっ… 40年前やから
ストーカーっちゅう言葉はないか。

えー…。
彼氏やったら おったよ 京大生の。

瑤子ちゃんの高校の同級生で
京大のエリートで。

まあ 役者にしたいような
ええ男やったわ。

その人の名前は?

確か… 芥川…。
芥川?

違う。 なんやったかな…。

なんとか龍之介。

河北! 河北龍之介!

そう! それ それ!

まあ 言うても
惚れてたんは京大生のほうで

瑤子ちゃんのほうは

ええ友達くらいにしか
思てへんかったみたいやけど。

そういう事かい…。

そやけど あんた ええ顔してるね。

まあ… 名前だけは『源氏物語
言われますけど。

いや そんな雅な世界やなくて。

そやな…

陰のある渡世人とか
似合いそうやわ~。

陰のある渡世人…。

(鐘の音)

(鐘の音)

やはり こちらでしたか。

あなたは…。

はい あの 古毬館でお会いした
鴨志田新一です。

(河北)昔から 何かあると
いつも ここに来るんですよ。

この庭を見てると
心が落ち着くんです。

ですから 周辺の再開発計画が
持ち上がった時も

土地を丸ごと買収して
景観を守ったんですね。

宿の女将から聞きましたか。
ああ… はい。

ですから
あなたがいらっしゃるとしたら

ここだと わかってました。

ハハ… さすがは刑事さん。

えっ? ご存じでしたか。
ハハ…。

ここは 瑤子さんとの
思い出の場所なんです。

大沼櫂の奥さんですね。

私と彼女は
高校の同級生でしてね。

四国から 一緒に
この京都に出てきたんです。

私は大学に行って

彼女は
女優さんになりたいと言って

撮影所に入ったんです。

手も握った事もないような
淡い関係でしたが…。

私は ひそかに

卒業したらプロポーズしよう

そう 心に決めていたんです。

なのに 瑤子さんは
大沼さんのところへ…。

ある日 偶然 質屋で…

一枚の絵を見つけました。

(河北の声)
彼女がモデルの裸体画です。

♬~

(河北)瑤子さん…!

(河北)この野郎…!
(殴る音)

(殴る音)

(瑤子)やめて! やめて!

瑤子さん! もっと
自分を大切にしなきゃ駄目だ!

こんな奴に…!

(瑤子)違うの!

私から モデルをさせてと
お願いしたのよ!

櫂 大丈夫?
指 怪我してない?

大丈夫? しっかりして!
ごめんなさい…。

失恋ですよ。 フッ…。

私の完敗でした。

その後 彼女は

その画家と一緒になって
パリに渡り

やがて 精神を病んで
自殺をしたという事です。

それから 私は
愛するという事をやめました。

ひたすら

会社を大きくする事だけに
没頭しました。

♬~

それからは 彼女の絵を集める事に
執念を燃やした

というわけですね?

彼女のヌードを
人目にさらしたくなかったんです。

自分だけのものに
しておきたかった。

その絵は…。

お見せしましょう。

♬~

瑤子さんです。

(河北)恐らく 彼女がパリに渡って
5年目くらいの

自殺をする直前の彼女だ。

河北さん…。

あなたの言いたい事は
わかってますよ。

社会的地位にある者が
いつまで逃げ回ってるんだ。

早く 警察に出頭しろ。

そう言いたいんですよね?

その瑤子さんと
一晩 過ごしたんでしょ?

もういいじゃないですか。

やれやれ…。

あなた 私が殺人犯だと
そう言いたいんですか?

えっ?

私がね この絵を受け取ったのは
さきおとといの夜ですよ。

さきおとといの夜?
そう。

事件のあった あの日
私は 喫茶店

前金の5000万と贋作を
邦彦に渡しました。

そして その夜に

邦彦から この本物の絵を
手に入れたんです。

恐らく

邦彦は 合鍵か何かを使って

蘭子さんの家に
忍び込んだんでしょう。

いやあ 焦ったよ。

途中で
伯母さんが起きてきちゃってさ。

蘭子さんが起きた?

心配いらない
俺の姿は見られてないから。

ただ…。
(河北)ただ なんだ?

いや なんでもない。

残りの5000万だ。

♬~

じゃあ また。
なんかあったら よろしく。

(鴨志田の声)邦彦は

蘭子さんが起きてきたと
言ったんですよね?

ええ。 それに

直前に人を殺してきたような殺気

そんなものは
微塵にも感じませんでしたよ。

もちろん 邦彦を殺したのも
私ではありませんよ。

その間は どちらに
いらっしゃったんですか?

大阪のホテルです。

ホテル…。
(河北)ええ。

(河北の声)三日三晩
ホテルから一歩も出ずに

その絵と一緒にいました。

瑤子さんが
何かを訴えてるような気がして

離れられませんでしたよ。

何か 訴えてる?

そういえば この絵
なんか 妙な感じなんですよね。

あっ そうだ。

河北さん これから ちょっと
付き合って頂けませんか?

(坂下)えっ?
なんだ 帰ってこないのか。

いや まあ いいけど…
まあ 好きにしたまえ。 うん。

今の電話
大崎たちですか?

ああ。 今日は
京都に泊まるそうだよ。

それより 現場近くの防犯カメラに
不審な人物が映っていました。

河北龍之介か?
(工藤)いや それが

東邦彦のあとをつけているのは
全く違う人間なんです。

なんだって?

(日野和正)じゃあ
マリコくん 頼んだよ。

(日野)ああ! これはカモさん。
お久しぶりです。

いやあ 所長 しばらくです。

実はね ちょっと
お願いしたい事があって。

こちらが持ってる
この絵なんですが

まあ 本物だとは
思うんですけど

ちょっと気になる事があって
調べてほしいんです。

お願いします。

わかりました。
調べてみましょう。

(武井)これで
契約も無事完了です。

いやあ
楽しみですなあ。

先生の 愛にあふれた生き様が
知れ渡れば

絵の値段も もっと上がりますよ。
なあ 森くん。

(聡子)はい!
雑巾がけから おさらばです!

(万里江)先生 岡崎警視が。

(大沼)ああ… いやあ
久しぶりですね 岡崎警視。

展覧会の警備より大切な用件
というのは どうなりました?

おかげさまで解決しました。

おっ…。

真相は
あなたの絵が証明してくれました。

そもそも 今回の事件は

東邦彦という男が
この画像をSNSに上げた事が

引き金になっていました。

ああ… その投稿なら知ってます。

この絵は
随分前に描いたものですけども

それが何か?

大体 何十年も前に描いた絵なんて
いちいち覚えていないでしょう。

そうかな? 本当は
覚えてるんじゃありませんか?

この絵を 京都の科捜研で
調べてもらいました。

すると 瑤子さんの肌の部分だけ

絵の具が塗り重ねられている事が
わかったんです。

これのX線の写真が… これです。

これは… まさか!

はい。

背中や顔に
あざや傷が無数にありました。

(日野)この絵のモデルは
DVを受けています。

DV?

パリに留学したものの
あなたの才能は全く評価されず

その鬱憤を

奥様に暴力を振るう事で
晴らしていたんですね。

(大沼)お前が疫病神なんだよ。

辛気くさい顔しやがって!
(瑤子)やめて!

笑えよ! 笑ってみせろよ!
ああっ!

(瑤子)うっ… うっ!

(鴨志田の声)衝動的に
ありのままの彼女を描いていた

あなたは その後…。

座れよ。

(鴨志田の声)
傷だらけの背中や顔に

きれいな肌色を
塗り直していませんでしたか?

想像で決めつけないでください。

先生の絵には
奥様への愛があふれています。

いいんだよ 水村くん。
(万里江)でも…。

(ため息)

そのとおりです。

その絵を描いたあと

瑤子は 遺書を残して
その絵を持って 姿を消しました。

(万里江)先生…。

死んだものと思ってました。
自殺したんだと…。

ところが ほぼ40年ぶりに
その絵が出てきて

しかも それが
東蘭子の家にあると知って

私は もう パニックになって…。

蘭子さんは

大部屋女優だった瑤子を
特別に かわいがっていたと

聞いてました。

ならば
何もかも知ってるんじゃないかと

もう 怖くなって…。

先生 いけません。
これは誘導尋問です。

この人たちの言う事は
ハッタリよ。

そのX線写真だって
CGで作ったに決まってるわ。

どこがハッタリなんだ?

だって
あの絵は偽物だったんだから。

えっ?

万里江さん

あなた 今 あの絵は偽物だったと
おっしゃいましたね。

キュレーターですから

贋作は
ひと目見れば わかります。

確かに 現在 東邸の踊り場に
掛けられている絵は 偽物です。

でも オープニングパーティー
あった夜

屋敷に忍び込んだ東邦彦が
贋作と取り換えるまでは

本物が飾られていたんです。

…えっ?

今 飾ってある絵が贋作だと
知っているのは

そのあと 屋敷に入って
絵を見た人間。

つまり

蘭子さんを殺した犯人だけ
なんですよ。

水村万里江さんですね。

警視庁東王子署の工藤です。

同じく大崎です。
(和田)和田です。

昨夜 東京都北区の防犯カメラに

東邦彦のあとをつけていく
あなたの姿が記録されていました。

東蘭子さん 殺したんも
甥の邦彦 殺したんも

水村さん あんたやね?

万里江さん?

だって…

だって 仕方なかったのよ!

私は 今
大沼櫂の研究では第一人者なの。

このまま 大沼櫂が巨匠になれば

キュレーターとしての私も
世界のトップクラスになる!

なのに 妻にDVしてたなんて…。

そんな事 世間に知られたら
大沼櫂なんて すぐに終わるわ!

君は 私を そんなふうに…!

夫婦愛が売りだったくせに。

DV男の絵なんて 誰が買うのよ。

この馬鹿野郎!
(大沼)ああっ!

(聡子)先生!?

(柏木)行こうか。

世の中 女は一人じゃないよ。

何度でも!

この状況で
慰めの言葉なんかいらないよ…。

(たたく音)
(せき)

(柏木)きっかけは
東邦彦のSNSやね?

最初に見た時は興奮しました。

これこそ
埋もれていた傑作だって…。

でも 先生は そうではなかった。

(万里江)先生
どうして否定なさるんです?

素晴らしい作品じゃありませんか。

君は なんにも知らないから
そんな事が言えるんだよ!

ああっ…!

もし あの絵が話題になり
下絵が明らかになったら

私は… 私は終わりだ。

下絵?

(万里江の声)そこで 私は

蘭子さんに
会いに行く事にしたんです。

(チャイム)
(万里江)東さん?

(万里江の声)すると 玄関には
鍵がかかっていませんでした。

(万里江)
東さん 夜分恐れ入ります。

絵の事で お話…。

どなた?
(万里江)あっ あの 私…。

あっ… 泥棒!
誰か来て! 誰か来てーっ!

違います!
あの… 鍵が開いてました!

誰か助けて! 助けて!
(万里江)あの… あの…。

(蘭子)あっ!

(殴る音)
(蘭子)ああっ…。

(万里江の荒い息)

でも それは
巧妙に作られた贋作でした。

あんたの部屋から
これが見つかった。

これ盗んで 窓ガラス割ったん
あんたやな?

ええ。

(割れる音)

(万里江の声)窓ガラスを割って

そこにあった一番高そうな時計を
持ち出して…。

(大崎の声)
強盗に見せかけようとした。

(工藤)邦彦を殺したのは?

私たち 以前から顔見知りで

あいつは 絵を持って逃げる時
私が来たのを見てたんです。

♬~

(邦彦)俺さ
伯母さん殺し 疑われてて

これから逃げるんだけど…

あの人 殺したの あんただよね?

なるほどね。 絵を取り換えたのは
あなただったのね。

そこで 私たちは

彼が学生時代に住んでたという
東京の王子で

落ち合う事にしたんです。

♬~

(万里江の声)でも 私は
話し合うつもりなんかなかった。

♬~

(刺す音)
(邦彦)うっ!

(邦彦)あっ! ああっ…!

馬鹿でした! 本当に…。

(三条)岡崎警視。

これを。

今まで気づかなかったのは
うかつでした。

えっ…。
どうします?

河北さんに関しては
鴨志田さんに任せましょう。

(河北)鴨志田さん 私ね
会長の職を辞する事にしました。

そうですか。

何もかも 私の非常識な行動から
始まった事ですからね。

責任を取らないと…。

そうですね。

あの絵も 本来の持ち主に
返したほうがいいでしょう。

邦彦の他に
蘭子さんに身内がいたんですか?

いや 相続人は いません。

まさか 大沼に返せと?

違います。
じゃあ 誰ですか?

瑤子さんにです。

…ええっ?

彼女は生きています。

彼女は 遺書を残して
自殺したように見せかけて

あの絵を持って
帰国しています。

まさか…!

(鐘の音)

同じ京都に住んでいたくせに

あなたには 生きていた事さえ
知らせてなかった。

随分な人ですよね。

鴨志田さん 私は…。

それでも 会いに行きますか?

はい。

あっ いけない。 間に合わない。

今から どこ行くんです?
いや 撮影所です。

昨日すっぽかした分 まだ
撮影が残ってるもんですから。

いってきます。 それじゃあ。
あっ…。

鴨志田さん
また いつか どこかで…。

はい。 いつか どこかで
お会いしたいもんです。

いってらっしゃい。
はい。

♬~

(チャイム)

瑤子さん。

河北さん?

♬~

こんなに老けちゃって

昔の面影なんて
全然ないでしょう?

お互いさまだよ。

これじゃ どこで会っても
お互い わからないですね。

フフッ…。
そうかもしれませんね。

でも それでもいいんです。

この空の下で
あなたが生きていてくれた。

私は… 幸せですよ。

♬~

(柏木)さてと…。

事件は解決したけど

警視は まだ
京都にいるんですよね?

大沼櫂展も
来月までやってるし…。

明日 帰ります 残念だけど。

なんや…。

寂しなるな。
ええコンビやったのに。

ねえ 柏木さん。

よかったら 今夜…。

今夜?

一杯 行きません?

あっ…。

フフッ…!

こっちでいいんですよね?
ああ 合ってます 合ってます~。

だから ちょっと…
歩くの速いですって!

まさか あんたが来てくれるとは。

掃除要員が増えて 助かります!

(柏木)掃除…。

いや…! 鴨志田さん。

お前だって そのつもりで
この人 呼んだんだろ?

ちょっと!
はあ? はあ?

なんか お二人 気が合ってますね
まるで親子みたいに。

えっ? いや…。
(くしゃみ)

あっ! 先生
そんなとこで いじけてないで

こっち来ましょうよ。
別に いじけてなんか…。

大体 ずるいんですよ
鴨志田さんばっかり。

なんですか?
スクリーンデビューって。

あっ ああ! それ それ。

おかげさまで
次回作も出演が決まりました。

はっ?
ジャーン!

えっ 何? 何?

『秘密諜報員 芭蕉』?

へえ~。

あっ!
鴨志田さんの名前が載ってる!

そりゃそうだ。 今度はね
結構 せりふのある役でね。

ヘヘッ…!

撮影のため
年末年始は また京都だよ。

はあ?

これ 私も 出演してみいひんか
言われてるやつですよ。

柏木さんも?

なんやったかな?

陰のある渡世人役 探してる
言うてましたわ。

えっ? 刑事が渡世人って
どうかと思うな。

鴨志田さんかて
錦市場の顔役やったでしょう。

はーい。
(聡子)フフッ…。

(チャイム)

(聡子)誰か来たみたいですね。

うちが呼んだんどす。

おかげで家もきれいになったし
最後の晩くらい

京都らしいおもてなし
させてもらおう 思いましてなあ。

(真実・聡子)ええっ?

こんばんは。
こんばんは。

こんばんは。

うわあ 舞妓さんだ!

(3人)おおきに。

へえ~。
普通の家にも来てくれるんだ。

うちを なんや思うてますの?
えっ?

姉小路の本家どすえ。
ねえ~!

(聡子)先生 舞妓さんですよ!
舞妓さん!

(武井)舞妓さん… 本物だ!
本物だ!

(武井)おば様! さすがです!
おば様…。

♬~(歌と三味線)

おっ 出ました! 出ました!

♬~(歌と三味線)

(柏木)よし! 俺も!

えっ?
えっ!?

嘘!
柏木警部補…。

(真実・鴨志田)ハハハハハ…!

へえ~。
意外と いい奴じゃないか。

えっ?
鴨志田さん 今 なんて言ったの?

独り言です。
嫌だ!

もうちょっと大きな声で言って。
独り言です!

もう一回 言って! ハハハ…!
ねえ もう一回 言って!

(関本好美)やめて!

(小坂留美)臨場要請です。

〈検視官 倉石は
物言わぬ死者の声を聞く〉

(倉石義男)
まだ根こそぎ拾えてねえ!

(裁判長)被告人は無罪。
(関本直子)病気だったら

人を殺してもいいって
言うんですか?

(笠間大志)死刑にしろ!

(倉石)俺のとは違うなあ…。