ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

贋作 男はつらいよ 第2話 桂雀々、常盤貴子、松下奈緒、綾田俊樹… ドラマの原作・キャストなど…

『ドラマ 贋作 男はつらいよ(2)「石切慕情」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 歌子
  2. 石切
  3. 今日
  4. お前
  5. 沖縄
  6. 先生
  7. お兄ちゃん
  8. ハッ
  9. 誤解
  10. お父ちゃん
  11. 仕事
  12. 失礼
  13. 当事者
  14. 寅次郎
  15. デンボ
  16. パッ
  17. ホッ
  18. 結婚
  19. 大学
  20. 大阪

f:id:dramalog:20200112230523p:plain

『ドラマ 贋作 男はつらいよ(2)「石切慕情」』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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(本ページの情報は投稿日時時点のものです。最新の配信状況は Paravi サイトにてご確認ください。)

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ドラマ 贋作 男はつらいよ(2)「石切慕情」[字]

寅次郎(桂雀々)が石切神社でお参りをして家に帰ると、箱根で出会った女性の一人・高見歌子(松下奈緒)が、寅次郎を訪ねて「くるまや」にやってきた。

詳細情報
番組内容
寅次郎(桂雀々)が石切神社でお参りをして家に帰ると、箱根で出会った女性の一人・歌子(松下奈緒)がくるまやを訪ねてくる。寅次郎やさくら(常盤貴子)がもてなし、楽しいひと時を過ごす。「また来ます」と笑顔で帰って行った歌子だが、実は一人悩みを抱えていた。数日後、ある決心をし再び歌子は「くるまや」を訪れるのだが、タイミング悪く寅次郎は不在。
出演者
【出演】桂雀々常盤貴子松下奈緒綾田俊樹,松寺千恵美,北山雅康,曾我廼家寛太郎,福丸怜乎,わかぎゑふ,野村たかし,平泉成
原作・脚本
【原作】山田洋次,【脚本】山田洋次,朝原雄三

 

 


(寅次郎)石切様 今日は 昨日の分と

ある不幸な娘の将来についてのお頼みを
2日分 納めに参りました。

何とぞ よろしくお願いいたします。

しもた~。
百円入れたつもりが 五百円やった。

あああ…。
ああっ… ちょちょ…。

すんまへん。
おばあちゃん お百度参りかいな。

ご苦労さんやな。 どっから来はったん?

尼崎や。
遠いとこから。 御利益あったか?

石切さんは デンボの神さんやさかいな。

おばあちゃん
デンボが出来てんの? どこに?

おなごに聞くこと違うがな。

てれんでもええがな その年で。
なあ どこにぃな?

男はんには言われへんとこや。
色っぽいこと言うなあ。

まあええわ お大事に。

♬~

(さくら)ありがとうございました。

(つね)さくらちゃん
寅ちゃん まだ帰ってけえへんかな?

石切さんに行く言うてたけど

帰り道 ご近所さんに
挨拶でもしてんのとちゃうやろか。

しゃべりやさかいな 昔から。

(歌子)すいません。

お願いします。
あっ… はい! いらっしゃいませ。

よもぎ団子 1つ。
12個入りでよろしいですか?

はい。

あの~… さくらさん ですよね?

はい そうですけど。

ああ やっぱり! 私 高見歌子といいます。
寅さんの知り合いの。

兄の?
はい。

実は 友達から 寅さんが30年ぶりに
石切に帰ってきてはるって聞いて。

ああ! あの歌子さん。
箱根で一緒になった言うてた…。

あっ… いや あの ご存じなんですか?
いや その節はお世話になりました。

こちらに 寅さん いらっしゃいます?

はい… いてますけど 今ちょうど留守で。

ごめん ごめん さくら。
昼飯食うたら 午後はバリバリ働くから。

寅さん!

私… 歌子です。

歌子ちゃん 来てたんかいな!

みどりとマリから
寅さんが実家に帰ってるって聞いたら

私も会いとうなって 来てしもたんよ。

よう来た よう来た。
…で あれから どないしてたん?

元気やよ!
箱根で寅さんに会うて元気もろたから。

寅さんこそ どないしたの?
30年ぶりに大阪に戻ってくるやなんて。

わしも 箱根で歌子ちゃんから
石切の話 聞いたやろ?

何や 無性に 故郷が恋しなってもうてな。

…で 一大決心で帰ってきたんや。

ああ… 懐かしかったでしょう?

いや 懐かしいも何も
いろいろ変わってもうてな

すっかり浦島太郎の気分や。
そう。

例えばの話が このさくら。

まだ おかっぱやったんや。
かわいらしい妹やってんけど

このとおり すっかり
オバハンになってしもうて

びっくりしてしまうわ もう。
よう言うわ。

お兄ちゃんこそ 面影はあるけど
私の記憶の中では もっと男らしい

ちょっと苦みばしったような
かっこええ男の子やったんやから。

何を言うてんねん。 わしは今でも
苦みばしっとるやないかい。

(笑い声)

さくら いつまで歌子ちゃん
こんなとこ立たしてんねん。

あの~ ちょっと上がってもらおう
上がってもらおう。

いいえ… あの 私は…。
いや かまへん かまへんって。

遠いとこから
来てもろてんねやないかいな。

あっ お昼まだやろ?
おばちゃん 昼 出来てるな?

さあさ
一緒に食べよう お粗末なお昼やけど。

いや でも そんな急に来て図々しいわ。
ええから ええから もう。

よかったら どうぞ。
ほんま 大したお昼やないんですけどね。

ええから ええから もう…。
どうぞ 上がって。

おっちゃん よもぎ団子 2つな。
悪い悪い。 今日 店じまいやねん。

(佳代)ちょっと 何言うてんの!
もう来んでええよ。 何 何…?

これ…。

遅くなってごめんなさい。

何ぼも入ってへんで。
ほんの気持ちだけや。

ありがとう お兄ちゃん。

(竜造)お前にも 人並みの
兄貴らしい気持ちがあったんやなあ。

寅ちゃんにも見せてやりたかったわ。

きれいやったんやで
さくらちゃんの花嫁姿。

ちゃっちゃと しまいぃな。
てれくさいがな。

すぐに お届けにあがらないと
いけなかったんですけど

仕事やら何やらで バタバタしてしまって
ほんまにごめんなさい。

ええの ええの
どっちみち10年遅れの祝いやから。

わしも
こっちへ帰ってきたこっちゃからな。

おばちゃん そんなことより
料理 どんどん持ってきて。

はいはい。
あっ 歌子ちゃん 足 崩してや。

あっ すいません。
これな
今朝 寅ちゃんが取ってきてくれた

カボチャ 炊いたん。
うわ~ おいしそう!

わし 取ってきてん これ。
おいしそうやろ?

焼きナス。 これも今朝 取れたやつ。
もらいもんやけどな。 おいしそう。

このトマトも
さくらが家から持ってきたやつか?

そう 新しいだけが取り柄やけど。

歌子さん お漬物なんか好き?
はい!

これもな 今朝取れた漬物。

そんなアホな 取れるかい。
(笑い声)

(博)あっ いらっしゃい。

私の連れ合い。
裏の印刷工場で働いてんの。

博です。
博!

歌子です。 歌子さん!
お邪魔してます。

失礼します。 おっ 焼きナスか!
うれしいな。

お好きですか?
はい 大好物です。

この人 焼きナスさえ食べさしといたら
ほかは何も要らんの。

いや 私も好きです。

タイのお刺身やの ビフテキやのて
言いますけど

僕にとっては
これが一番のごちそうなんですわ。

安上がりに出来とるんやなあ
お前の旦那は。

結局
貧乏暮らしの地が出てしまうんやわ。

まあ そういうこっちゃな。
そら しゃあない。 (笑い声)

さくら。
何?

これやから 大阪のオバハンは。
何やの?

これから お食事する時にやな
痔の出る話するか? 汚いわあ。

違うて! その痔と違うやん。
うん? どの痔やねん。

えっ? いぼ痔? 切れ痔?
違うて言うてるやんか!

嫌やわ 恥ずかしい!
こっちの方が恥ずかしいわ。

よう おっちゃんも おばちゃんも
さくら どういう教育してきたんや。

ねえ? 歌子ちゃん。

フフフ…。

何せ
こういう庶民の集まった家やから

歌子ちゃんの家みたいな
高尚な話はでけへんねん。

おい 博
高尚な話が無理やったら

労働者らしい パ~ッと陽気になるような
おもろい話の一つでもせんかい。

面白い話やったら 兄さんがしはったら
ええやないですか?

落語家の修業をしてたんやから。

寅さん 落語家の修業してたの?

まあ 昔な。 うん。
ちょっと やったっちゅうわけや。

私 父のCDなんかで
落語 よう聞くのよ。

志ん朝さんとか 小さんさんとかの全集を。

あっ 志ん朝 小さんというのは
江戸落語でな

わしが習ったのは
上方の落語 大阪落語やねん。

東京と大阪では違うの?

違うんや。 全然 やり方が違うのと

スタート…
歴史のスタートが違うんやな。

ほんで まあ 東京は
こういったお座敷で こんな近くで

噺家さんを呼んで
ほんで 旦那衆が こう並んでるわけね。

何か面白いことやってみろ
落語やってみろって言うた時に

その時に 噺家が こんなお座敷やから
大きい声 張り上げんでもええやんか。

ちっちゃい声で ボソボソ ボソボソ
コチョコチョ コチョコチョ…。

(声を潜めていく)

「えっ えっ えっ?」っていう 一つの…
入っていく…

「何を言うてるんだろう? この人」
っていうのが

一つの話術のテクニックやねん これな。

最後には コチョコチョ… 言うて

「冗談言っちゃいけねえ!」。
「わあ~っ!」。

(笑い声)
これが江戸落語のパターンや。

上方はやな お座敷と違うんや。

始まったのが
大道 外でやってるもんやね。

こう たたきながら
通行人の足を止めなあかんから

必死やねん これが。 しゃべんので。

棒の一つも持ってやな
「さあさあ さあさあ さあさあ…!」。

呼んどいて 「何や 何や 何や 何や?」。
呼んどいて 「さあさあ さあさあ!

この線から入っては いかんぞ!」。

「呼ぶなよ。 ほんなら お前。 何や
来てもうたがな」っていうような

もう一つのパターンやけどな。
とりあえず グ~ッと呼んどいて

しゃべっていく。
「さあさあ さあさあ さあさあ…!

御用とお急ぎでないお方は
ゆっくりと聞いてらっしゃい。

夜目 遠目 笠の内
もののあやめ 取り方が分からん。

山寺の鐘は ゴウゴウと鳴るといえども
童子一人来りて 鐘に撞木を当てざれば

鐘が鳴るやら 撞木が鳴るやら
とんと その音色が分からぬ道理じゃ。

わしの口上も聞いてもらわぬと
何のことか さっぱり分からぬ道理じゃ。

さて
手前 持ち出したる この棗の中には

一寸八分 唐子ぜんまい人形が
仕掛けある。

喉には 8枚の歯車
背中には 12枚のコハゼ。

これをこう 地の上に置く時には

天の光 地の湿りを受けて
陰陽 合体いたし

棗の蓋をパッと取る時には

ツカツカツカと走るのは
虎の小走り 虎走り

雀 駒どり 駒返し 孔雀雷鳥の舞
人形の芸当は 12通りある。

当代人形作りの名人
あまたありといえども

まず 京にては紫随

大阪表には
竹田縫之助 近江の大掾 藤原の朝臣

手前 持ち出したるは
武田近江が津守細工。

ただいま 試してご覧に入れるが
その前に ちょっとお断りをしておく。

これをやってみせると お立ち会いの中で
投げ銭や放り銭をなさる方があるが

それは お断りをする。 大道にて
未熟なる渡世といたすといえども

いやしくも天下の浪人
投げ銭 放り銭を拾うわけにはいかん。

しからば 投げ銭を拾わずにして
何をもって渡世するやと

お尋ねの方があったが
手前 長年 渡世といたしきたったは

これなる軍中膏 蟇蟾酥は
四六のガマの… 油じゃ!」。

(拍手と歓声)

いや~ 大したもんやで~。

すごいわ! 寅さん ほんまに
落語家さんになったら よかったのに。

よう覚えてられるもんやな
あんな長い文句を。

ああ 噺やったら
10や20は 今でも全然楽勝かな。

えっ そんなに!? お兄ちゃんに
そんな記憶力があったんや!

おかしなもんやなあ。

落語やったら
すぐ覚えられるねんけどな

学校の勉強の教科書なんか
全然覚えられへんかったなあ。

あっ そういえば お前 小学校の時

九九覚えんの
えらい苦労しとったもんなあ。

そうそう。 私 何べんも教えてあげたもん。
お兄ちゃんの方が年上やのに。

わしな 今もな 七の段があかんねん。

シチイチガ シチ。 シチニ ジュウシ。
シチシチ シ… になったら もう

ああ 頭の中で
数字がな 踊りだしよんねん!

(笑い声)
分かるやろ? これ。

(社長)博さん 昼飯の時間にすまん。

どないしても
今月の消費税の計算が合わへんねん。

裏の工場のタコ社長。
わしと同級生やねん。

この男も 九九に弱いねん。
クク?

(笑い声)
弱そうやろ? これ。 完璧に 「クク?」。

(笑い声)

さくらさんは ず~っと石切ですか?

うん。 ず~っと石切。

高校は 清水谷やったんやけどね。
ふ~ん。

はい じゃあ これ。
ありがとうございます。

さんざん ごちそうなった上に
こんなに お土産まで頂いてしもて。

とんでもない。 私たちが こんな時間まで
引き止めてしもたんやし。

皆さんに よろしく言うて下さい。

私 あんなに楽しい時間 過ごしたん
初めて。

寅さんの話は面白いし
皆さん 温こうて にぎやかで。

うちなんか 父と二人っきりでしょ?
ほんま羨ましい。

歌子さん?

さくらさん 私 今日
ここに来られて ほんまによかった。

また寄せてもろても ええかしら?

もちろん大歓迎。
今度は お父さんも連れてらっしゃい。

好物のお団子と
お兄ちゃんの落語を餌にして。

ああ 来ます。 きっと来ます。

(踏切の警報音)

じゃあ 今日は これで。

寅さんに また来ますって言うて下さい。

気を付けて帰ってね。
ありがとうございました。

おおきに またどうぞ。

ただいま。

おう! 歌子ちゃん 元気で帰ったか?

かっこつけてんと見送りに行ったら
よかったがな。 うるさいっちゅうねや。

「とっても楽しかった。
皆さんによろしく」って。

そうか そうか。

「また寄らせてほしい。
また来ます」って言うてはったわ。

「また来ます」て 歌子ちゃんが?
うん。

そうか… 「また来る」てか…。

この汚い うちに。

よし! さあ みんな ちょっと
集まって 集まって 集まって。

重要なお話があります。
集まった さあさあ 集まった。

みんな 分かってるな?
あの子は 日頃

小説家の辛気臭いお父ちゃんと
二人っきりの さみしい暮らしやねん。

なんとか この家で楽しく もてなして
慰めたらなあかんねん。

さくら 特にお前や。

お前は同じ女の先輩として
歌子ちゃんの気持ちとかを察して

優しく相談に乗ったり それとのう
アドバイスなんかしてやれ。 分かったな?

私も 女の先輩やけど。

何を図々しいこと言うてんねんな。

おい 博。 お前
今度 歌子ちゃんが来るまでに

おもろい話の一つや二つは見つけとけ。

おっちゃ~ん 年寄りは
いてるだけで気色悪いんやから

せめて 嫌らしい目で 歌子ちゃん
見ることだけは気を付けること。

わしは そんな目で見てへんで。

よっしゃ! 晩飯出来るまで
わし ちょっと横になってくるわ。

長時間 お宅らと相手してたら
もう しんどなってもうたわ。

(寅次郎の鼻歌)

さくら あれが
30年ぶりに帰ってきた男の態度か?

帰ってきてから まだ3日目やで。

(ため息)

ゆうべは 仕事 はかどったみたいやね。

(修吉)ああ。

ペンの音が ずっとしてた。

聞こえてたか。 うん。

夜中に目ぇ覚まして お父さんの部屋から
カリカリ ペンの音が聞こえてきたら

ああ 仕事頑張ってんねんなって思うの。

そやけど その音が聞こえんで

歩き回る音や せきばらいばっかり
聞こえてくる時は

何や こっちまで つろうなって。

ふ~ん。

ごめん。 コーヒー切れてたから
紅茶でもええ?

いつかのコーヒー うまかったな。

あれ 高いねんよ。 3倍もすんねんから。

けど 明日 お給料日やから
買うてきてあげよっか? 特別に。

給料日て
お前 何ぼぐらいもろうてんのや?

それは この間 教えてあげたでしょ?

そやったか? うん。
ハハ…。

お父さん。
何や?

あの~…

もういっぺん
正邦さんに会うてくれへん?

来月 学会で
沖縄から大阪に出てくるんやって。

改めて お父さんに挨拶したいって。

あかん?

俺は あの男を信用できん。

あっちで
正邦さんに女の人が出来たんは

私のせいもあるんよ。

私も苦しんだけど
正邦さんも苦しんだし

きっぱり 女の人とは別れてくれた。

何べんも ちゃんと謝ってくれたし…。

そやから 私 どうしても…。

結婚したいんなら勝手にしたらええ!

今更 わしが会う必要なんかない。

(満男)ごちそうさま!
今日 塾は?

ない。 今日 学校終わったら
くるまや行くわ。

何か 用?

寅のおっちゃんが
退屈やから遊びに来いって。

花札教えてもらうねん。
行ってきま~す!

おい… 何か連絡ないんか?
誰から?

歌子さんからや。

あれへんけど。

もう どれぐらい たつ?
歌子さんが来てから。

さあ… 2週間くらいかな?

最初の1週間くらいは
お義兄さん期待して

だいぶ張り切ってはったけど

だんだん 顔 暗なってきたやろ?
元気なくなってきた。

けったいなお兄ちゃん。

お疲れさまです。
お疲れさま~。 また明日。

さいなら。

おばちゃんとこ 今日 何?
お好み焼きや。

また?
よっ。

あっ 博さん お疲れ。
ああ お疲れさん。

今日も
結局 来えへんかったんか? 歌子さん。

お義兄さんは? お昼ごはん食べたら
2階へ上がって それっきり。

結局 一日中 ブラブラしてて
ため息ばっかりついてなあ。

昨日の ちょうど今頃やったかいなあ
わしが ここで夕刊読んどったらな

寅のやつ 階段
トントント~ンと下りてきて

そこへ 腰 下ろしよったんや。

そしたらな あの柱時計が
ボ~ン ボ~ンと鳴ってな

…で 世にも悲しげな声で

「あ~あ とうとう
今日も来えへんかったなあ」っと こうや。

やっぱり 恋煩いとちゃうか?
寅ちゃんが?

やめてえな。

いや わしもな そうかも分からんなあと
思とったんや。

≪(足音)
し~っ 下りてくる。

何 何? ナガシマ選手 引退?

(ため息)

(柱時計の時報)

はあ~
とうとう 今日も来えへんかったなあ。

さくら… わし 何か言わへんかったか?
ううん 別に。

ほんまか!? 博。
ええ。 何も聞こえませんでした。

そうか? それやったらええねんけど。

(ため息)

あ~あ かわいそうに 寅やん! えっ?

今日も とうとう
彼女 来えへんかったか! アハハハ…!

何が? えっ? 何や 何や?

ああっ 寅やん!

こら タコ! 何がおかしいんや
こら お前は!

誤解や 寅やん。 わてにもな…。

お兄ちゃん!
もういっぺん
会えるのを楽しみにしてんのやないかい。

お前… ちょっと来い!
謝るから 堪忍して!

謝るから 堪忍してえな!
やめて!

(暴れる音)
(社長)毛 むしらんといて…!

お巡りさん。 はい?
ちょっと 道 聞きたいんやけど。

ああ はい。 どちらでしょう?

この辺りにな
偉い小説家の先生が住んではるやろ。

高見っちゅう名前の。
はあ?

ちょっと調べてえな。
気難しい顔した芸術家の家や。

ごっつい別嬪の
歌子ちゃんという娘さんの いてはる。

ご自宅の住所など そういう個人情報は
警察ではお教えできません。

そんなケチなこと言わんと。

お知り合いでしたら
お宅に電話しはったらどないですか?

わし 携帯電話 持ってないがな。
第一 番号 知らんし。

大体の方角でええねん 大体の。
あとは自分で探すから。

あなた 個人情報保護法というの
ご存じでしょう?

知らん。 何やねん それ。

そういう法律があって 個人宅の住所を
お教えするわけにはいきません。

何 偉そうに。
道も教えられへんて 何のための警察や。

それは住民の安全と治安を守るための…。

もう ええわ! もう。
ポリに助けてもらおうと思たん

俺が間違いやったわ。
ほんまに この… 税金泥棒が!

うわっ ちょっと!
こら! 待ちなさい ちょっと!

ああ… ああ もう!

ちょっと待ちなさい!

この四つ辻を右に曲がった
突き当たりにあります。

右に曲がってね… 分かりました。
どうもありがとうございました。 どうも。

(チャイム)

(チャイムが鳴り続ける)

こんにちは!

何の御用でしょうか?

高見歌子さんのお宅は
こちらでしょうか?

そうですけど?
あっ 歌子さんのお父上ですか?

私 歌子さんの友人で 石切から参りました
車 寅次郎と申します。

歌子さんは ご在宅でしょうか?
いや…

娘は友人に会うとかで
外出しておりますが。

ああ… 外出。

石切の寅次郎さん
あなたのことは歌子から聞いています。

聞いてはります? 歌子ちゃんから。

そのうち帰ってくるかも分かりません。

上がって待ちますか?
お茶も出ませんけど。

あっ 待ちます 待ちます!
これ お父さんの大好物の草団子。

はい どうぞ。 あ~ こっち?
あっ 立派なうちやなあ!

先生 失礼します~。

お茶 入りました。
お団子食べて下さいな。

ありがとう。
悪いね そんなことまでさせて。

どうせ 歌子ちゃん帰ってくるまで
暇でっさかいなあ。

あ~ なるほどなあ…。

ここで小説書いてはりますの?

もう 部屋中 芸術の香りがしますわ。

すっごいなあ また ここ。
わあ ぎょうさん 本が並んでるなあ。

中学校の図書館みたいやん これ。
わあ…。

これ 皆 全部読みはりましたん?

まあ 大体は。

一日中 この陰気な部屋で 本読んだり
小説書いたりしてはりますのん?

そういうことや。

たまには健康のために
ちょっと動かした方がよろしで 体を。

そやな。 近くで散歩するとか
ジョギングするとか。

駅からの途中に 大きなスポーツジムが
ありましたやんか。

そんなとこで運動するような年やない。

そんなことおまへんで。

わしね
この前までね 清掃員やってましてん

フィットネスクラブの。

そら すごいわ 平日
もう たくさんな 年寄りばっかりや。

ほら もう
長生きが生きがいやっちゅうて

健康のためやったら死んでもええちゅう
訳の分からん 60代 70代 80代。

これがまた すごいのが
ダンベル 10キロ 20キロ平気や。

アアッ ホッ ホッ ヘッ ホッ ヘッ ホッ
ヘッ ホッ ハッ ハッ ハッ ハッ…。

さすがに
そないテンポよく いきませんねん。

年齢的にね 重たいですもん
10キロ 20キロ。

ウッ… アア… アア… ハァ…。

ハッ ハッ ハッ… ンン~。
ハァ ハァ ハァ…。

もう今更鍛えてどないすんねん
っちゅうぐらいね もう痛々しい!

アアッ… アッ アッ オオ…。

いててて… 筋が~! ウウウ…。

ンン~!

いてててて…。
どう見てもね リハビリなんですよ。

まあ 下がね プールになってますねん。

1から3コースまで これ
水中エアロビクス…

アクアビクスいうてね
インストラクターが

プールサイドで踊りますねん こう。

こうして ワン ツー ワン ツーって
踊るのはええねんけど

下 満タンで いっぱい…。

人 人 人だらけで水が見えないぐらい
人なのに こんな広げられますかいな。

もう絶対 こっち側に
ポ~ン 当たってしまうんですよ。

ズボ~ッ ズボ~ッ。
だから こんな状態 こ~んな。

ず~っと「他人の関係」よ ほら。

♬「パッ パッ パパッパ ズズンズン
パッ パッ パパッパ」

♬「逢う時には いつでも他人の二人
バッ バッ ババッバ」

…っていうて これが まあ 疲れる疲れる。

ダイエットになったかな思てね
プールから ガ~ッと上がってきた時に

体が ブワ~ッて これ
高野豆腐みたいになってますねん。

ふやけて ふやけて
これが おかしい おかしい…。

先生 聞いてはります?

仕事があるんでな
君の相手はしてられへん。

歌子を待つのやったら
茶の間で待っててくれるか? 静かにな。

はあ?

静かにできんのやったら 帰ってくれ。

帰ってくれ?
(舌打ち)

なるほど。
歌子ちゃんが言うてたとおりの

非常識なオトンやで。

人が わざわざ手土産さげて
娘を訪ねてきたっちゅうのに

帰ってくれというのは
どういうこっちゃねん。

普通やったら お茶の一つ… いや
ウイスキー ブランデーの 一つでも

勧めて もてなすのが
当たり前と違うんかい。

仮にも 先生と呼ばれるような
人間やったらやな

なじみの小料理屋にでも招待して
「どうも 娘がお世話になって…」と

礼をするのが父親としての務めやろ。

悪いが 仕事があるんでな。

なにが仕事やねん。

どうせ 人妻が二枚目と よろめくような
くだらんもん書いてんのやろ。

そら 奥さんにも逃げられるわけや。

歌子ちゃんが不幸そうなんも
無理あらへんわ。

あんたみたいなんが
たった一人のお父ちゃんではな。

君 失礼やぞ!

ええか? おっさん。 奥さんに逃げられ
一人娘には煙たがられ

そういう態度では いつか家族も友達も
いてへんようになってまうぞ。

一人 この陰気な さみしい
本だらけのカビ臭い部屋で孤独死や。

栄養失調のスルメみたいになって
死んでしまうのが オチやぞ。

帰ってくれ! 不愉快や!

不愉快なんは こっちや。
誰が お前となんか一緒におるか。

今すぐ帰ったるわ! ケッタクソの悪い!
(ドアの開閉音)

(階段を下りる足音)

≪今のうちに
よう考えてた方がええぞ!

歌子ちゃんが嫁に行ったあとの
孤独な老後のことをな!

(玄関のドアの開閉音)

「栄養失調のスルメ」て…。

スルメは とっくに干からびてるがな。

♬「いのち短かし 恋せよおとめ」

これ おいしいねんで。
ああ おおきに。

≪(寅次郎の歌声)
寅やんの声や!

あっ ほんに! ええっ?

≪(寅次郎の歌声)

ああ… よう おばちゃん。 ただいま。

こないな時間まで どこで飲んでたん?
ごはんは?

いや 要らん 要らん。
おもんないから ミナミで飲んでたんや。

お~ タコ! お前 また
人のうちで 飯 食うてんのかい。

あ~ 酔うたわ…。

歌子さんのお父さんと
けんかしたんやて?

そうやがな
感じの悪いやっちゃで ほんまに。

あんなもんと二人っきりでな
歌子ちゃんが住んでるかと思うたら

もうな かわいそうで かわいそうで
歌子ちゃんが。

えっ 何で知ってんの? わしが
歌子ちゃんのお父ちゃんと会うたこと。

歌子さん 夕方 ここに来て
さっきまで待ってたんや。

えっ 歌子ちゃん ここに来てたん!?
来てたんよ。

お父ちゃんのことで お前に謝りたいて
帝塚山の家から飛んできたそうや。

そうかいな… ここに来てたか。
来てたんや。

わしと入れ違いで帰ってもうたん?

今 さくらちゃんの家にいてるはずやで。

さくらのとこ?
何で さくらのとこなんかに。

お父ちゃんのこと
いろいろ話してるうちに

歌子さん
だんだん悲しそうな顔になって

ほんで さくらちゃんが
自分の家で 話 聞いてあげよう

いうことになって連れてったんや。

余計なことしやがって さくらのやつ。

おばちゃんもな
何で引き止めてくれへんかったんや。

あんな さくらみたいな ひよっこ
何が分かるっちゅうねん。

よし! わし さくらのとこ行ってくるわ。
ちょっと待ちなはれ!

そない 真っ赤っかな顔して…。

そやがな! 真面目な話 してる
歌子さんに失礼やで。

わしがいたら
真面目な話ができへんのかいな。

お前に話あったら
ここで待っとったやろ。

お前には聞かせたない話も
あるっちゅうこっちゃ。

何やの?
わしに聞かせたない話っちゅうのは。

そら いろいろあるやろ。
娘としての 父親への接し方とか。

あんなクソ親父
蹴飛ばしたったらええねん。

そんなわけにいくかいな。
たった一人のお父ちゃんやねんから。

恋愛問題とか結婚問題とか

男がおったら
話しにくいこともあるがな。

さくらの家にかて 男おるやないか。
博のやつが。

博さんは既婚者やがな。
独身の寅やんとは違うで。

まあ 寅やんが 歌子さんの
恋愛とか 結婚とか 愛情問題の

当事者になる可能性もあんねんからな。

う… わしが? 当事者?

それは… お前 何を言うてんねん
そんなわけないやろう お前。

わしと歌子ちゃんが そんな…
誤解すんなよ お前。

そやろか わしの誤解やろか?

誤解 誤解!

そうか… 愛情問題となると
これは さくらと歌子ちゃんと女同士で

しっかり話し合ってもらった方が
ええかも分からんな。

よっしゃ!
わしは ちょっと酔いをさまして

一定の結論が出た頃合いに
迎えに行くことにしよか。

おばちゃん 上で横になってくるわ。

冷静な判断をするために…。

当事者として。

社長。
えっ?

なにが愛情問題や。 寅のアホ
その気になってしまいよるがな。

すっかり当事者のつもりやで あれ。

もし あいつが 歌子さんの
愛情問題の当事者やとしたら

「頼みますから
愛するのだけは やめて頂きたい…。

サブイボが出ますから」。

そういう当事者や。

何で あないにアホやねんやろなあ。

≪♬「いのち短かし」
えっ?

そう… それで
沖縄の大学で働いてはんの。

海洋生物学の研究というても
僕らには ピンと来えへんけど…。

具体的には サンゴ。
サンゴ礁の研究してるの。

今 世界中で… もちろん 沖縄でも

サンゴ礁
どんどん消滅してってるんやって。

そやから
大学の研究職いうても仕事の半分は

サンゴ礁の保護運動みたいなことを
やってるみたい。

やっぱり インテリさんなんや。

ううん。 一年中 海に潜ってるから

体は ごついし
色は黒いし 髪はボサボサで。

大学の先生や言うても
誰も信じへんくらい。

けど モテるんでしょ?
女の人が ほっとかへんくらい。

歌子さん その人の浮気のことは
もう吹っ切れたの?

話を聞いた時は ショックやったけど
結局は きちんと別れてくれたし

もともとは 私が沖縄についていくことを
躊躇したんが原因やったんやし。

その人に ついていけへんかったんは
やっぱり お父さんが反対しはったから?

父は 彼の向こう見ずな性格や
口の利き方が気に入らんて

いろいろ言うてたんですけど

彼が沖縄で働くことになって
私が 自分のそばを離れてしまうんが

一番の 反対の原因やったと思うんです。

それは… 気持ちも分かるけど。

普通の人と違て お湯の一つも
自分で よう沸かさん人なんです。

難儀やなあ そういう昭和の男は。

今頃 どうしてるんやろ? ごはんなんか
ちゃんと食べてんのかなあ?

あっ… ごめんなさい。 何か 愚痴
こぼしに来たみたいになってしもうて。

ううん そんなことあれへん。

なあ さくら… 生きてるうちには

誰かが傷ついたり
さみしい思いをしても

結果 しゃあないいうことも
あんのんと違うかなあ?

どういうこと?

仮にやで 歌子さんが お父さんのせいで
結婚を諦めたとしても

それで 誰も幸せになれへんやろ?

それはそうかもしれんけど

うちには 母はいてへんし
父は えらい偏固で わがままやし

親戚や兄弟 近所づきあいなんか
できへん人やし

とてもやないけど
あの家で 1人暮らしやなんて…。

ほんまに そやろか?

歌子さんが できへんと
思い込んでるだけなんと違うかな。

娘のためなら
お父さんは それをしようと頑張れる

耐えられるんと違うかな?

お二人から見たら
私なんて 情けない女でしょ。

いつまでも ウジウジ迷うてばっかりで
ほんま みっともない。

ええやないの みっとものうても。

それは
歌子さんが優しい娘さんやからよ。

幸せですよ あなたのお父さんは。

そうやろか?

もし お父さんが一人になって
困ったことが起こったとしても

それはまた
その時に 一生懸命考えたらええのよ。

先のことば~っかり心配せんと。

何か問題があったら
僕らが力になりますよ 及ばずながら。

お兄ちゃんなんか
歌子さんのためやったら何でもやるわ。

やる やる!
(笑い声)

私… 勇気が出てきました。
今晩 ええお話聞かせてもろて。

いや~ ちょっと冷えてきたねえ。
ありがとうございました。

お兄ちゃん!
あら さくら!

うそ~ ここ お前のうち?

あら 歌子さん?
何言うてんの。

お兄ちゃん
歌子さんのこと迎えに来てくれたん?

いやいや いやいや…。
寅さん

お昼間は 父が失礼なことして
ほんまに ごめんなさい。

私 それを謝りたくて
父と大げんかして石切に来たの。

何か誤解があったんかな?

わし 全然楽しくお話しした
つもりやったけど お父ちゃんと。

お帰り?
はい。

あっ わしも帰ろうかな…
歌子ちゃん 帰ろ帰ろ。

おう 行こ行こ 帰ろ帰ろ…。

あっ じゃあ 失礼します。
ありがとうございました。

気ぃ付けて。
はい。

歌子ちゃん ほんま 偶然やなあ
よかった よかった。

箱根で寅さんに会うた時 楽しかった
あの時の旅は。

「バター!」いうやつな。
(笑い声)

寅さんに会うたら
みんな 楽しくなるんやないかしら。

うちの父なんかでも。

どっちか言うたら
わし 明るい方の性格やからな ハハハ…。

何べんも言うようやけど
ほんまに寅さんに会えてよかった。

ほんまかいな。
わしも そない言うてもろたら

めちゃくちゃ うれしいわ。

今晩も さくらさんたちと
いろいろ話せたし。

どんな話 したん?
わしの悪口ちゃうの?

違う違う。 そんなこと言うてへんわ。

どんな話?

実は… 結婚の相談してたん。

誰の?

私の。

歌子ちゃんに
そんな好きな人がおったん?

うん。

どんな人?

やっぱり 背が すら~っと高くて
二枚目のイケメンやろな。

ううん。

日焼けして 色は真っ黒やし
イケメンとは お世辞にも言えへんけど

でもね… 自由で陽気で楽しい人。

私… そこが好きなの。

ひょっとして
それ わしの知ってる人?

寅さんは知らないわ。

今は沖縄に住んでるの。

父が反対してるのもあって 長いこと…
何やかんやで 5年悩んでたの。

そやけど 今晩
さくらさんたちの話聞いて 私 決めたの。

その人と結婚しようって。

その人 沖縄で何してはんの?

大学で サンゴの研究してるの。

サンゴ?
そう。

そやから 大学の研究者いうても
一日中 海で泳ぎ回ってるような人。

寅さんと会うたら 仲ようなって
きっと意気投合すると思うわ。

ハハ… そうやな。

わしも昔 サンゴのネックレスとか
置物売ってたもんな。

えっ?
(笑い声)

そうかあ 沖縄かあ…。

♬「私が あなたにほれたのは」

♬「ちょうど十九の春でした」

♬「いまさら離縁と言うならば」

♬「元の十九にしておくれ」

寅さん 19の頃 何してたん?

わしなあ ほれっぽかったからなあ
もう恋ばっかりしてたわ ぎょうさんな。

たくさん 女の人 泣かせたんやろ。

いや… 逆に よう泣かされたわ。

あっ… おてんとさんも ほら
泣きだしたがな。

ああ… これ
さくらさんが出がけに持たせてくれたん。

よし… はい。

寅さん… もし 私が幸せになれたら
それは寅さんのおかげやわ。

だって 寅さんに会えへんかったら
自分一人で悩んで

諦めてしもてたかもしれへんのよ
その人のこと。

♬「朝に咲く花、 朝顔
昼に咲く花、 ひまわりでぇ」

(2人)♬「夜に咲く花、 何の花
私とあなたの愛の花ぁ」

♬~

いらっしゃいませ。 いかがですか?

粗茶ですけど。

あっ… さくらさんですか?

あなたには特にお世話になったようで。

とんでもありません。
何のお役にも立ちませんで。

歌子さんは 今 沖縄ですか?

あちらに移る下準備とやらで
しばらくは。

ああ… お寂しゅうなりますなあ。

あんなええ娘さんが
いてはれへんようになると。

ああ… まあ…。

あっ そうそう…。

あの これ… 相手の男が
家に挨拶に来た時に 持参したものでして。

ちょっと珍しい泡盛やそうで。

寅次郎君に飲んでもらえればと。

あっ 結構なものを
ありがとうございます。

お兄ちゃん 何してんのやろう?
もう帰ってくる思います。

≪(佳代)寅さん 帰ってきました。

よう 小説家の先生やないか!

あんじょう 歌子ちゃんのこと頼んだか?
石切の神さんに。

ああ。

この石切神社の由来には
諸説 いろいろあるようやけど

最近 読んだものによると
イシキリというのは

エミシ語のイシキルイの訛
っちゅう説やった。

エミシ語というのはな
古代のアイヌ語

それが何で このはるか大阪の地にまで
伝わってきたかというと…。

要らん要らん 要らんねん 要らんねん
そんな難しい話 要らんねん もう。

よう拝んどいたら よろしいのやがな
はい 行きますよ もう。

あっ… ハハッ。

あら デンボのおばあちゃん
久しぶりやな。 また来てたん?

結願のお礼参りやがな。

あっ デンボ取れたん?
石切さんのおかげや。

ややこしいとこのデンボやろ?
鏡で よう確かめなあかんで こう。

やらしいな このどスケベが!

スケベの先生。
おい!

先生 一杯やりながら
女の話でもしまひょかいな。

えっ? 詳しいんでっしゃろ?
色っぽい小説書いてはるから。

君は かなり誤解してるな 俺の小説を。

さっきの デンボのオバハン
誘いましょか? えっ?

もう 先生も これから
1人暮らしで寂しいですわいな。

あのね これから 今から行くね これ
おもろいおじさんがいてますねん。

石切のなぞなぞおじさん いうてね。
めちゃくちゃ面白いおじさんや。

紹介しますわ。

ちょっと聞いて
最初はムカつきますけど

だんだん だんだん
笑いになってきますねん 本当に…。

誰や? このおっさん。
寅さ~ん。

(社長)落書き 一枚で!?
20万や。

受け取るわけにいかへんでしょ。
困ると言ってるだろう。

しつこいっちゅうのに。
どこにいてんの? 今。

祇園通いて…。
♬「とら と~ら」