ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

森村誠一 終着駅シリーズ36 雪の螢 片岡鶴太郎、森口瑤子、宮本真希… ドラマの原作・キャストなど…

森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ36 雪の螢』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 栄子
  2. 島村昌子
  3. 子供
  4. 主人
  5. 泉田
  6. 昌子
  7. 根岸
  8. 瑞泉亭
  9. 代目
  10. 耀一郎
  11. 牛尾
  12. 島村
  13. 雪螢
  14. 本当
  15. 一人
  16. 名前
  17. 自殺
  18. 諏訪
  19. 泉田栄子
  20. 愛人

f:id:dramalog:20200109221050p:plain

 

森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ36 雪の螢』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ36 雪の螢[解][字]

主演・片岡鶴太郎×原作・森村誠一 終着駅シリーズ最新作!!
愛人殺し疑惑の妻!! …さらにもうひとり“別の愛人”の影!?
“雪の螢”が教えてくれた切なすぎる真相とは―

詳細情報
◇番組内容
新宿の空き地で、妊娠4カ月の根岸いずみ(黒川芽以)の遺体が見つかった。臨場した新宿西署の牛尾正直刑事(片岡鶴太郎)は、いずみと愛人関係にあった老舗料亭社長・泉田耀造(宮川一朗太)を訪ねるも、なんと泉田は直前に脳梗塞で亡くなってしまう。牛尾は、妻・栄子(森口瑤子)の証言から、“もうひとり別の女性”の影を感じ…。
◇出演者
片岡鶴太郎
森口瑤子宮本真希宮川一朗太松村邦洋黒川芽以、青山倫子、徳井優秋野太作岡江久美子
◇スタッフ
【原作】森村誠一
【脚本】橋本綾
【監督】池広一夫
◇おしらせ
☆番組HP
 https://www.tv-asahi.co.jp/shuchakueki/

 

 


♬~

(泉田耀造)はあ…。

(泉田栄子)あなた。

ああ?

どう? 本店のほうは。

ああ… 専務の西村たちが
よくやってくれてるから

心配ない。 繁盛してる。

(栄子)だったら 毎月1週間も

諏訪に行く必要は
ないんじゃない?

そういうわけにはいかないよ…。

どういったって 瑞泉亭は
諏訪が本店だし

泉田の本家も
まだ そのままだしな。

フフフッ…。
…そう。

じゃあ 私も覚悟しなきゃ
いけないかもしれないわね。

何…? 何か言ったか?

(栄子)ううん なんでもない。

♬~

(パトカーのサイレン)

(サイレン)

(牛尾正直)身元不明?

(大上刑事)
身元がわかるようなものを

何も持っていないんです
この被害者。

いかにも外出って感じの服装だし
化粧もしてますから

バッグやスマホを持ってない
はずはないと思うんですが

今のところ どこにも…。

恐らく
持ち去られたんだと思います。

死因は 後頭部を強打されたための
脳挫傷

地面にも
血は あまり落ちていませんので

どこか別の場所で殺害されて

ここに運ばれてきた可能性も
あるそうです。

死亡推定時刻は

昨日 11月16日の
午後10時頃から12時頃までの間。

♬~

(海野)解剖の結果
胃の中には

肉 海老 数種類の野菜が
未消化の状態で残されており

その上 多量のアルコール分も
検出されました。

それらの消化状態により

被害者が殺害される
約2時間ほど前

午後8時から9時までの間に

どこかで飲食をしたものと
考えられます。

鑑識からは 以上です。

(山路刑事)
ガイ者の身元なんですが

依然として不明のままです。

身元を割り出すための手掛かりは
今のところ唯一の遺留品である

ガイ者自身が身につけていた
衣服などに頼らざるを得ません。

コート スーツ 下着などなど
それに 時計やネックレスなども

全て フランスの高級ブランド品で
靴はイタリア製だそうです。

その身元に関する事なんですが

これは 被害者のコートの下に
付着していたものなんですが

これは トドノネオオワタムシ
という虫なんだそうです。

(山路)虫?

10月から12月頃にかけて

北海道や東北 それに信州を中心に
空中を飛翔するんだそうです。

だとすると ガイ者は北海道や東北
信州に在住しているか

あるいは その辺りを旅行した人物
って事になるわけか。

(坂本課長)いずれにしても
まずは身元だ。

できるだけ早く
身元を突き止めてもらいたい。

それから… 最後にもう一つ。

ガイ者は妊娠していた。

妊娠4カ月 16週目で

胎児の性別は まだ判別できない
段階だそうだが

一つの命であった事は
間違いない。

犯人は 一人の若い女性の命を
奪っただけではなく

母親のお腹の中の小さな命も
奪った事になるわけだ。

この事をしっかりと
胸に刻み込んで

徹底的な捜査を
心がけてもらいたい。

以上だ。
(一同)はい!

(山路)西谷。
(西谷刑事)はい。

(山路)あの… あそこの店
なんだっけ?

♬~

これが虫ですか…。
雪にしか見えませんね。

雪虫」とか「雪螢」とか
言われてるそうだ。

へえ~ 雪螢ですか…。

(電話)

(大上)はい 捜査本部。

はい。

ええ わかりました。

(大上)牛尾さん。

ガイ者の身元 判明しそうです。

(フロントマン)昨日の夜 7時頃
お出かけになられたまま

まだ
お帰りにならないものですから

それで 先ほど交番へ。

その写真は
チェックインされた時に

あの防犯カメラが撮った写真です。

間違いありませんね。

名前は?
根岸いずみ様。

住所は 諏訪市本町
グランビューヒルズ501となっています。

〈翌日 私たちは
諏訪に向かいました〉

(吉岡隆一)信じられませんよ!

いずみさんが殺されたなんて…。

赤ちゃんが生まれるって
あんなに喜んでたのに…。

もう 名前も付けたって

いずみさんや泉田さんも
本当に 喜びようで…。

泉田さんというのは
赤ちゃんのお父さんなんですか?

はい。 このマンションは

泉田さんが借りてた
マンションなんですよ。

じゃあ この部屋は

泉田耀造さんが
根岸さんに住まわせていた…

そういう事ですか?
(吉岡)はい。

どういう方なんですか?
泉田耀造さんという方は。

瑞泉亭の社長さんですよ。

瑞泉亭?
はい。

(大上)瑞泉亭なら
東京にもありますよ。

超高級な鉄板焼きから
居酒屋まで。

最近は フレンチやイタリアンの
店なんかも出してて。

その瑞泉亭ですよね?
そうです。

瑞泉亭は 元々 諏訪では
何代も続く老舗の料亭で

経営者の泉田家も
諏訪では有名な旧家なんですよ。

その泉田耀造さんって この人?

ええ そうです!
この人ですよ!

泉田さんのお住まい
おわかりでしたら…。

(西村真弓)社長でしたら
今 台湾に行かれてますけど。

台湾?
(真弓)はい。

あちらに出店する
計画がございまして その準備で。

いつ 行かれたんですか?
台湾へは。

(真弓)5日前の13日に出発して

今夜遅くに 東京のご自宅へ
戻られると聞いております。

お一人で
いらっしゃったんですか?

主人と… あっ…。

こちらのお店を任されている
専務の西村と

2人で行かれましたけど。

でしたら
こちらに在住の方で

泉田さんと
親しくしてらっしゃる方

どなたか ご存じありませんか?

(田代)いずみちゃんの事なら
知ってますけど 彼女 何か…?

一昨日の夜 新宿で殺されました。

(田代)えっ!?
じゃあ 赤ちゃん…。

いずみちゃん
妊娠してたんですけど

その赤ちゃん…。

残念ですが…。
そんな…!

あの… 泉田は
もう この事を?

まだ ご存じじゃないと思います。

(田代)知ったら
どんなにショックを受けるか…。

6代目が生まれる。
これで ようやく

瑞泉亭も泉田の家も
未来に繋がるって

そりゃあ
もう大喜びでしたのに…。

田代さんは

泉田さんといずみさんが
どういうふうに知り合ったのか

ご存じですか?

3年前の夏でしたか…

泉田がキャバクラに行ってみたい
と言い出して その時…。

(根岸いずみ)
ねえねえ 私と結婚しない?

結婚? ハッハッハッ!

だって
私と社長さんが結婚したら

私は 「泉田いずみ」に
なるわけじゃない?

いや これ
かなりイケてると思わない?

いや 「いいね!」
1万くらいもらえると思う。

私は 泉田いずみだ~!

やだ 面白い!
いいね 泉田いずみ!

よ~し じゃあ
泉田いずみちゃんに

「いいね!」 10万点~!

いいな~!

(田代の声)その時から 泉田の奴
「面白い子だ」って

いずみちゃんの事が
気に入っちゃって…。

それで 愛人関係になった…
そういう事ですね?

そうです。

その いずみさんが
殺害された事に関して

何か 心当たり
おありになりませんか?

いや ありません 全く。

(田代典子)あなた…。

あら… お客様。

忘年会の事で ちょっと。
…何?

あとにします。

失礼しました。 ごゆっくり。

すいません…。
うちのかみさん

泉田の奥さんと
すごく仲がいいんです。

いずみちゃんの事を
知ったりしたら

それこそ
即行で知らせてしまうだろうし

そうなると…。

じゃあ 泉田さんの奥さんは

根岸さんの事は
ご存じないわけですね?

いや わかりません。

そこそこの恨みやつらみは
あったとしても

殺すまでの深い恨みや憎しみは
ないような気がする 諏訪には。

だとすると
動機は 東京にあるか

あるいは 動機など全くない
単なる金目当ての流しの犯行

そういう事になるな。
こっちで

今日 何か わかった事は?
2つ わかった。

1つは ガイ者の所持品が
見つかった事だ。

今日の昼頃 中央公園の
ゴミ箱の中に捨てられていたのを

トロール中の警官が見つけた。

(西谷)財布の中は 空っぽで

現金は もちろん
カード類も全て消えてました。

携帯は?
(山路)なかった。

携帯だけ捨ててないという事は
ちょっと引っかかるけどな。

自分の情報が入ってるから…
となると

顔見知りって事になりますよね。

2つ目は?

ホテルを出て9分後の
ガイ者の足取りがわかった。

9分後?

西新宿10丁目にある不動産会社の
玄関の防犯カメラが

ガイ者の姿を捉えてた。

♬~

(山路)これで 終わりだ。

終わりって… 確か この先にも
カメラありますよね?

ここから 50~60メートルほど行った
コンビニの入り口に。

(山路)そのコンビニのカメラには
映ってないんだ。

(大上)映ってない?

車だな…。

不動産会社からコンビニまでの
道のどこかで

タクシーを拾ったか

あるいは 車に乗った知り合いに
会うかした。

タクシー会社に
問い合わせはしてるが

今のところ 回答はない。
いずれにしても 空白の5時間だ。

午後7時11分から

殺害された午後10時頃から
12時頃までの約5時間。

その間 どこにいたかだ。

(解錠音)

おかえりなさい。
お疲れさまでした。

本当 疲れたよ…。

風呂は沸いてるか?
沸いてます。

風呂入って 寝る。
はい。

ご苦労さま。 ねえ 上がって。
お茶いれるから。

(西村 晃)いえ もう遅いですし
車 待たせてますから。

ああ そう。 じゃあ 荷物もらうわ。
(西村)お願いします。

足 どうかされたんですか?

あっ… ちょっと転んじゃって。
フフフッ。

じゃあ あと お願いします。
(井上 学)ご苦労さん。

(車のドアの開閉音)
何か あったんですかね?

何か あったんですか?
(井上)おたくは?

新宿西署の牛尾と申します。
大上です。

新宿西が なんでまた…。
四谷中央署の井上です。

泉田耀造さんに
お聞きしたい事がありまして。

だったら 残念ですが
ひと足違いですね。

ひと足違い?

つい先ほど 亡くなりましたから
泉田さん。

えっ…!?
事故ですか? それとも…。

(井上)救急隊員の話では
脳梗塞じゃないかって。

脳梗塞

(井上)奥さんの話では

いつもの朝と
同じだったそうなんです。

(井上の声)起きて
シャワーを浴びて

朝食を食べ始めたので

奥さんは 庭に出て
掃除を始めたんだそうです。

(井上の声)その間 約20分ほど。

で 奥さんが戻ってみたら…。

(井上の声)慌てて 救急車を
呼んだそうなんですが…。

一応 不審死という事になって。

解剖ですか…。

いいか? 頼んだぞ。

あの男性は?

泉田氏の会社の西村専務です。

諏訪の本店を
任されている人だそうです。

台湾へ一緒に行ってて 昨日は
東京へ泊まったそうなんですが

ご主人が倒れたのを見て
奥さんが慌てて呼んだそうです。

病死で間違いないと思いますが

解剖結果が出たら
署のほうに連絡します。

お願いします。
じゃあ。

♬~

死因は 脳梗塞だそうだ。

奥さんの供述 並びに

泉田氏の遺体にも
不審な点 及び外傷等はなく

事件性は認められないというのが
四谷中央署の見解だそうです。

泉田氏は 4年前にも一度 諏訪で
軽い脳梗塞を起こしており

友人の病院に入院してた事が
あったんだそうです。

じゃあ 泉田耀造氏の死と
うちのヤマは なんの関係もない

そういう事ですね?
そうだな…。

奥さんにも 一応
事情を聴くつもりでいます。

こんな状況の時に 奥さんには
申し訳ないと思いますが。

(西村)ああ いや 無理だ。
私は そちらには行けない。

ああ 全て 君に任せる。

ああ わかった。
そのように手配してくれ。 頼むぞ。

あなた…
奥様が ちょっと来てほしいって。

わかった。

刑事さん…。
西村さん

先日は ありがとうございました。

まだ 何か?

こんな時に
申し訳ないんですが

奥様に ちょっと
お話を伺いたいと思いまして。

あっ… 主人です。

西村です。

(真弓)あちらです。

恐れ入ります。
新宿西署の牛尾と申します。

大上です。
どうぞ。

なんでしょうか?
お聞きになりたい事って。

奥さんは 根岸いずみという女性を
ご存じじゃありませんか?

この女性なんですが…。

いずみさんって…。

主人の愛人の?

ご存じだったんですか?

会った事はありません。

ただ 主人から
「いずみ」という名前は…。

へえ…
こんな若い人だったんだ。

もっと年上の人かと…。

この方が
どうかなさったんですか?

4日前の11月16日の夜

新宿区内の空き地で
死体で発見されました。

他殺です。
…えっ?

それで 奥さんにも
お話を伺いたいと思いまして。

西村さんたちも こちらへ
いらっしゃるんですか?

私の事をとても心配してくれて…。

瑞泉亭にとっても 私にとっても
本当に頼りになる方たちです。

先ほど 「いずみ」という名前は
ご主人から お聞きになったと

おっしゃいましたが
それは いつ頃の事で

どういった状況だったのか
お話し頂けますか?

1カ月ほど前の事です。

栄子…。

頼む 別れてくれ!
えっ?

離婚してくれ!!

あなた…。

いずみが…
彼女が妊娠した。

えっ?

瑞泉亭の6代目
泉田の跡取りが生まれるんだ。

彼女と正式に結婚して

きちんとした形で
6代目を産ませてやりたい!

どうしても
子供が欲しいんだ 俺!

5代続いた店も家も
俺の代で潰したくない。

なんとしてでも
6代目 7代目に繋ぎたいんだ!

わかってくれるよな?

頼む!

しょうがないわね…。

でも ちゃんと約束は守ってね。

約束?

離婚届は 子供が生まれたその日に
出すという約束。

子供を産めなかった
という理由だけで

離婚を迫られる女の
ささやかな抵抗…。

それだけが
唯一の離婚の条件だって

主人にも
前から言ってありましたから。

わかりました。

最後に もう一つだけ。

11月16日の夜 午後10時頃から
12時頃までの間ですが

奥さんは どちらに
いらっしゃいましたか?

16日…。

4日前の夜です。

島村さん… 島村さん?

♬~

ねえ 16日の夜
10時頃から12時ぐらいの間

その時間だったら 私たち
ここで 一緒にいたわよね?

(島村昌子)16日でしたら
私が こちらへ

お邪魔した日ですから
一緒に おりましたけど。

失礼ですが…。

以前 主人が脳梗塞で入院した時の
諏訪の病院の看護師さんです。

島村といいます。

諏訪の病院を辞められて
東京に来る事になったって

あの日の夜
挨拶に来てくださって。

何時頃
いらっしゃったんですか?

夕飯を済ませてから
来ましたから

7時過ぎだったと思います。

お帰りになられたのは?

帰るつもりだったんですけど
子供が眠ってしまって…。

起こすと かわいそうだから
泊まっていきなさいって

奥様がおっしゃって
くださったものですから

お言葉に甘えて 翌朝。

じゃあ 午後7時頃から翌朝まで
ご一緒に いられたわけですね?

はい。
ママ!

(昌子)ああ…!

駄目じゃない
入ってきたりしちゃ。

(昌子)申し訳ありません。

いえ…。
我々は これで失礼致しますので。

〈事件は その後

全く
動かなくなってしまいました〉

〈1週間が経ち…〉

〈10日が過ぎ…〉

〈12月に入っても 私たちは

被害者の空白の5時間を
埋める事は もちろん

手掛かりすら 見つけ出す事が
できなかったのです〉

(蕎麦をすする音)

(大上)うん?

へえ~!

牛尾さん。
泉田夫人… あの奥さん

瑞泉亭グループの社長に
就任したそうですよ。

結局 一番得したのは
あの奥さんだったって事ですかね。

30分ほど いいかな?
はい?

この前 聞き忘れた事が
気になる。

大した事じゃないんですが

先日 奥さんは 根岸さんの写真を
ご覧になった時

ご主人の愛人が こんなに
若い人だとは思わなかったと

そう おっしゃいましたが
どうして そう思われたのかと…。

それだったら… 波風ですね。

波風?

3年ほど前から

諏訪から帰ってくる主人の
荷物の中に

おかしなものが紛れ込んで
くるようになったんです。

(栄子の声)
最初は 口紅とハンカチ。

それから 手鏡だったり

髪の毛がついたままの
ブラシだったり…。

あっ…。

誰かが意図的に
明らかに入れてるんだって

そう思ったんです 私。

そういうものを
入れる事によって

私と主人の間に波風が起きる事を
期待してるんだって。

それで… 波風ですか。

だから 私 主人にも言わないで
ずっと無視してたんです。

(栄子の声)そしたら…。

♬~

(栄子の声)とてもよくできた
お弁当だったんです。

栄養のバランスが取れていて

ちゃんと 彩りも考えられていて

それでいて
主人の好物が詰められていて…。

そのお弁当を見て
勝手に思い込んでしまったんです。

若い人じゃないなって。

だから あの人の写真を見て
びっくりしてしまって。

若い人でも ちゃんと
できるんですね あんな料理。

ちょっと 感心しました。

わかりました…。

お忙しいのに
申し訳ありませんでした。

(ノック)

諏訪本店の西村専務が至急…。

ああ… あなた 確か…。

はい。 先日 社長のお宅で
お目にかかった島村です。

私も こんな立場に
なってしまったものですから

仕事も忙しくなるし
体の事も気になりますので

秘書兼看護師として
働いてもらってます。

そうですか。

じゃあ お子さんは どちらかに
預けてらっしゃるんですか?

(昌子)シッターさんに
見て頂いてます。

でしたら 安心ですね。

それでは。

(ドアの開閉音)

何を聞きに来たんですか?
あの刑事さん。

大した事 聞かれてないから
気にする事ないわ。

大した事じゃなくても…

話して頂かなくては困ります。

もしも また 何か聞かれた時

奥さんと私で
言ってる事が違ったりしたら

それこそ…!

何を聞きに来たんですか?
あの刑事さん。

〈見事なほどの弁当と
被害者が結びつかず

違和感を感じていました〉

料理なんか するんだろうか?
あの被害者は…。

いずみちゃんですか?

いや 料理はできないと
思いますよ 彼女。

できない?

「いや 泉田がしょっちゅう
ぼやいてましたから」

6代目を産んで もうすぐ正式な
瑞泉亭の女将になるんだから

飯ぐらいは炊けるように
なってくれよって。

飯も炊けない?

だったら 一体
誰が そんな弁当…。

そのお弁当を見て
勝手に思い込んでしまったんです。

若い人じゃないなって。

別の女…?

もしかしたら…

もう一人 別の女…。

(西谷)よし 降りろ。

(川島礼二)離せ! 俺
なんもしてねえっつってんだろ!

離せ…!
(西谷)おとなしくしろ オラ!

(礼二)なんだよ てめえは…!
(西谷)おとなしくしろ!

山さん。
ん?

今の 歌舞伎町の礼二だよな。
なんかしたの?

根岸いずみ殺しの容疑者だ。
えっ!?

(西谷)おとなしくしろ!
(礼二)離せよ!

(山路)おい おいおい!
お前 この女の子 知ってるよな?

知りませんけど!

根岸いずみ
諏訪在住の23歳の女の子だけど?

だから 知らないってば!

だったら
これは 一体 どういう事なのか

説明してもらおうか!

(礼二)誰が こんな写真…。

(山路)お前のファンだそうだ。
俺のファン?

私の礼二様が あんな女と…

と思わずシャッターを
押してしまったものの

女のほうが
その直後に殺されたと知り

どうしようかと 悩んで 悩んで

ようやく心を決めて
垂れ込んでくれたってわけだ。

いいファン 持ってるよなあ お前。

さあ 話してもらおうか。
あの夜 一体 何があったのか。

なんもないっすよ! 俺は ただ
仕事してただけなんすから!

山路さんだって 俺の仕事
知ってるじゃないっすか!

俺は 女の子を芸能事務所や
クラブなんかにスカウトする

夢のある仕事をしてるんすよ!

いつものように
声をかけたわけだ?

「キャバクラで働かないか?」って。

すいません。 君 OLさん?
学生さんかな?

ちょっと
いいバイトあるんだけど

ちょっと
話 聞いてくんないかな?

聞いてあげてもいいけど
私 お腹すいてんの。

なんか食べに行こうかと
思ってんだけど。

だったら ごちそうするよ!
何がいい?

フレンチ?
それとも イタリアン?

じゃあ…

北青山にある
瑞泉亭に行きたいんだけど。

瑞泉亭?

で 行ったのか? 瑞泉亭へ。

(礼二の声)行きましたよ!

刑事さんたちだって
知ってるでしょ

あの店が どんな店か…。

総理大臣様々が

外国の大統領とか
女王なんかを招くような

超高級な店じゃないっすか。

もう 頭の中が
計算機みたいになっちまってさ

1人3万として
2人で6万でしょ?

それに 酒やらサービス料やらも
つくじゃないっすか。

それにしても よく食うし
よく飲むんだわ あの女。

酒も料理も
次から次へと注文して…。

それから どうしたんだ?

逃げられたよ…。

逃げられた?

ねえ お腹いっぱいに
なっちゃったからさ

ちょっと歩かない?
ん?

ぶらぶらと この辺りを お散歩。
(礼二)いいねえ お散歩。

フフ… じゃあ 先 行ってるね。

はい お願いします。

(礼二の声)で 外 出てみたら…。

どこ行った?

あの女…!

クソッ!

(礼二の声)
もう 腹立って 腹立って…。

で 追いかけていって殺した。
そういう事だな?

そんな事してませんよ 俺は!
やってねえって…!

(大上)店の従業員は
礼二の言うように

ガイ者が先に店を出た事は
認めていますが

ガイ者が逃げたのか それとも
2人で一緒に帰ったのかまでは

わからないそうです。
それ以降なんですが

1人でマンションへ帰って
布団をかぶって寝てたという

礼二の供述は
確認が取れませんでした。

店を出た9時半以降のアリバイ
ないわけだな?

ありません。
よっしゃ! これで決まりだ。

今晩 泊めて
明日から徹底的にやろう!

いやいやいや。
今日は帰すしかないだろう。

ええっ!?
本人は否定してるし

アリバイがないという事だけで
勾留する事はできん。

開けよ! コラ ちくしょう…。

遅えな…。

偉そうによ! ああっ!

おい コラ! 何やってんだ…!

♬~

〈やはり 気になっていました〉

〈根岸いずみの他に

もう一人いるかもしれない
女の事が…〉

〈結局 私は 課長の許可をもらい

翌朝 再び 諏訪へ向かいました〉

♬~

〈ですが 私の思いとは裏腹に

親しい友人たちからも

瑞泉亭の従業員たちからも

返ってくる答えは
全て同じでした〉

〈「そういう女性に
心当たりはない」…〉

もう一人ですか…。

いずみさんとは
タイプの違う女性で

料理が上手な人だと思うんですが

心当たりありませんか?
そういう人に。

いえ 私は…。

もう一人の泉田さんの愛人
っていうのが

いずみさんを殺した
犯人なんですか?

いえ そういう事は全く…。

ただ そういう女性が
存在したんじゃないかと思って

そう思っただけで…。

もしかしたら あの事件とも
何か関係があるんだろうか?

事件?

2年ほど前
ここの玄関の前にお金を…

それも かなりの額の
金額のお金を

いずみさんに投げつけた女が
いるんです。

金を投げつけた女?

(遠藤一夫)確かに
そういう事件がありましたねえ。

(遠藤)確か 2年前だったから…
えーと…。

いやね 通報があってね
駆けつけたんですけれども

いやいやいや…
そりゃ すごかったですよ。 ええ。

お金を投げられたほうの
女性がですね

「こいつを逮捕しろ
刑務所 入れろ!」っつってね

「死刑にしろ!」なんつって
もう大変…。

で 一方の その
お金を投げたほうの女は もう

ひと言もしゃべらない…
黙っちゃってね。 ええ。

…ああ あった あった これだ。
ありました?

えー この事件があった…
事件でもないんですな。

あの… 当日に 訴え
取り下げられてますからね。 ええ。

えー まあ 2年前の2月の5日
午前11時と。

その女性の名前…

金を投げつけた女性の名前
教えてください。

投げつけた?
えっと 投げつけた…。

島村昌子ですね。

島村昌子?

職業は看護師。

松岡総合病院の勤務と
なってますな。

あの人…?

♬~

4年前に 泉田耀造さんが
脳梗塞で倒れた時に

入院なさったのが
こちらの病院で

その時の担当看護師は
島村昌子さんだったという事は

泉田さんの奥さんから聞きました。

島村昌子さんは ひと月ほど前に
こちらを辞めてらっしゃいますが

なぜ お辞めになったのか
その理由を…。

(松岡 進)看護師として
あるまじき行為をしたので

辞めてもらいました。

具体的に話して頂けませんか?

もしかしたら 根岸いずみさんは
こちらで診察を?

この事は
泉田に頼まれてましたから

誰にも話した事はありません。

ひと月ほど前…。

健康的には
全く問題ないそうだから

あとは
しっかり食べて 運動もして

ストレスをためないようにして
その日に備える事だ。 うん。

いずみちゃんだったら
元気な赤ちゃんを産めるよ。

保証する。

元気な男の子の赤ちゃんだよ
先生。

男の子に決まってるんだから。

ねえ~?
アッハハ…。

そうなってほしいけど
こればっかりはな。

ねえ もう 何 言ってんのよ。

男の子なの。 絶対に男の子!

瑞泉亭の6代目 泉田耀一郎くん!

ウフフフ…!
(泉田)アハハハ…!

なんなのよ? あんた。

(いずみ)いっ…!

(泉田)大丈夫か!?
(いずみ)痛いな もう!

(松岡の声)すぐに島村くんを
呼んで 事情を聴きました。

一体 何があったんだ?
根岸さんと!

もしかして… 泉田なのか?

泉田が原因なのか!?

まさか 君 泉田と…!?

そうなのか? 島村くん!

君 泉田と何かあったのか?

(松岡の声)その夜
泉田を問い詰めました。

付き合ったのは
たったの5カ月だったけど

ちゃんと手切れ金だって渡したし

彼女のほうも受け取ってんだぜ
その金!

(舌打ち)

なのに… いい加減にしてほしいよ
まったく!

(携帯電話の着信音)

牛尾だ。
(大上)「あっ 牛尾さん」

「島村昌子の事で ちょっと
引っかかる事が出てきました」

引っかかる事?

彼女の子供
あの男の子なんですが

あの子の名前
耀一郎っていうんです。

よういちろう?

よういちろうの「よう」の字は
泉田耀造の「耀」の字なのか?

(大上)そうなんです。
その耀一郎なんです。

生まれたのは 2年前の2月10日。

島村昌子は未婚で
父親の欄は空白なんですが

牛尾さん もしかして

あの子の父親って
泉田耀造なんじゃないかって…。

恐らく そうだと思う。

もしもし 私だ。

だとすると
モーさんが気にしていた

泉田耀造の
もう一人の愛人というのは

島村昌子の事なのか?

そうだと思います。

(電話を切る音)

生まれたのは
2年前の2月10日…。

だとすると…。

ええ 間違いありません。

あの騒ぎがあったのは
2年前の2月5日です。

だったら 島村昌子は

お腹の大きな状態で
そんな事したわけですか?

お腹の大きな状態?

島村昌子は
騒ぎを起こした5日後

2月10日に子供を産んでますから。

(遠藤)いやあ そんな馬鹿な!

いや だって
あの島村昌子という女性は

お腹なんて
大きくなかったですよ?

えっ?

♬~

(チャイム)

ああ… 恐れ入ります。

以前 お隣の401号室に
お住まいだった

島村昌子さんの事 ちょっと
お聞きしたいんですが…。

(田村松子)誰? おたく。

東京の新宿西署の牛尾と申します。

東京の警察!?
ええ。

あんた まさか

昌ちゃんが あの女を殺したと
思ってんじゃないでしょうね!?

根岸いずみさん
ご存じなんですか?

知ってるわよ。

あの女が万里ちゃんに
どんなひどい事したか

どんなに苦しめたか!

あの… 万里ちゃんというのは?

ハッ…。

そんな事も知らないで
昌ちゃんの事 疑ってるわけ!?

信じられない!

万里ちゃんっていうのは
昌ちゃんの妹。

ほら 同じ病院で
一緒に看護師してた。

もしかして お子さん…

耀一郎というお子さんを
産んだのは

昌子さんじゃなくて
その万里ちゃんという人ですか?

(松子)そのとおり!

(山路)じゃあ
泉田耀造のもう一人の愛人は

島村昌子ではなく

妹の島村万里子だった
ってわけだな?

泉田耀造氏が入院した時に

担当看護師として彼についたのが
姉の島村昌子。

愛人になり
耀一郎という子供を産んだのが

妹の島村万里子。

これが2人の顔写真です。

右が姉の昌子 左が妹の万里子。

でも 牛尾さん。 妹の万里子には

あの子が生まれた その日に
死亡届が出されてるんですが

これは 一体…?

自分の命と引き換えに
あの子を産んだんだそうだ

島村万里子は…。

島村万里子は未婚でしたし

姉の昌子が 自分の子供として
出生届を出したんだと思います。

だとしたら 今回の事件は
一体 どういう事になるんだ?

本妻のアリバイを
亭主の愛人の姉が証言した…。

アリバイの共有じゃないかと
思います。

という事は
2人は共犯だったという事か?

2人は共謀して
根岸いずみを殺した。

そういう事になるわけか。

その可能性を考えるべきだと思う。

泉田栄子は 根岸いずみの妊娠で

離婚問題を突きつけられていたし

島村昌子のほうは
妹が死んだのは

根岸いずみのせいだと
ひどく恨んでたそうなんです。

島村万里子の妊娠を知った
被害者は

島村万里子と お腹の赤ちゃんを

殺そうとした事が
あったんだそうです。

瑞泉亭の6代目を産むのは
私なんだから

あんたなんかに産ませるもんか!

(いずみ)逃げんなよ!
(島村万里子)やめて!

(いずみ)
あんたなんか殺してやる!

子供と一緒に殺してやるんだ!
(万里子)やめて…!

(松子)ちょっと…
何やってんのよ あんた!

警察 呼ぶわよ!

(牛尾の声)一度だけじゃ
なかったそうです。

♬~

うわっ! あっ…!

(山路)ちょっといいかな
モーさん。

モーさんが言わんとしてる事は
よくわかった。

けど それにしては 2人とも
動機が薄すぎやしないか?

泉田栄子の離婚問題ですが

彼女は 亭主の愛人の存在に
気づいていても

嫉妬するわけでもなく

愛人に対しても 無視する程度で
そんなに怒りは向けていません。

そんな女が 離婚を
突きつけられたからといって

愛人を殺してしまおうと
思うほどの

激しい感情を
抱くもんでしょうか?

島村昌子のほうも そうだ。

どんなに恨んでいたとしても
しょせんは妹の事で

その妹も もう
2年も前に死んでしまっている。

ましてや 彼女は今

妹から託された子供を
育てなきゃならない立場にいます。

そんな女が
いくら憎んでいたとしても

殺人なんていう大きなリスクを
背負ったりするでしょうか?

共謀して殺すにしては
薄すぎるような気がするけどな

2人とも 動機が。

その点については
私も 山さんに賛成だ。

しかし 島村昌子が
ガイ者を恨んでいた人物

しかも ひと月前には
ガイ者に暴力を振るっていた

という事が判明した以上

島村昌子はもちろんだが

泉田栄子も当然
容疑者と考えるべきだと思う。

よって 今のところ 本件は

容疑者として 泉田栄子 島村昌子

それに 川島礼二の3名。

明日からは この3名を
徹底的にマークだ。

いいな?
(一同)はい!

♬~

動機が薄すぎる…。

〈泉田栄子

島村昌子

そして 被害者の根岸いずみ〉

〈この3人には
何か もっと別の事情

私たちが
全く気づいていない何かが

隠されているのではないか?〉

〈そう思い出し始めていました〉

時間の問題?

マンションのお隣だった
田村さんが

万里子の事も

あの子が 私じゃなく
万里子が産んだ子供だって事も

あの刑事に話したそうですから…。

警察は いずれ… いえ…。

もう 私たちの事に
気づいてるはずですから。

ですから できるだけ早く
あの子の事…。

そのつもりはないわ。

えっ…?

あの子の認知は しないって事。

奥さん 私
前にも話しましたよね?

そうして頂けないんだったら
私…。

(栄子)警察に行く?

ええ 行きます。

それでもいいと
おっしゃるんですか?

(栄子)ねえ 昌子さん。

取引しない?

取引…?

そう 取引。

〈改めて 翌日から
目撃者捜しが始まりました〉

あと 外に1カ所 ありましたね?
それだけですか?

♬~

大上。 悪いんだが…。
わかってます。

この前 課長や山さんが言ってた
動機の薄さ。

それが気になってるんですよね?
牛尾さんは。

我々が全く知らない
本当の動機…

隠された動機が
あるような気がするんだ。

だから もう一度
諏訪に行ってみようと思ってる。

行ってください。 こっちは私が。

(典子)栄子さんの事?

もしかしたら 刑事さんは

栄子さんの事を
疑ってらっしゃるんですか?

泉田栄子さんは
容疑者の一人です。

そんな…。

栄子さんは そんな人じゃないわ!
人を殺すような人じゃ…!

その疑いを晴らすためにも
ぜひとも お話を伺いたいんです。

何を お聞きになりたいんですか?

奥さんは 泉田栄子さんから
島村昌子

あるいは その妹さんで
島村万里子という人の事を

お聞きになってませんか?

島村昌子 島村万里子…。

いえ ありませんけど。
でしたら

根岸いずみさんについては
どうでしょう?

その人の事だったら 栄子さんが

主人に愛人がいるみたいなの
と言った事は聞いた事があります。

いつの事です?
2年前です。

あの時 私 栄子さんに
つらい思いをさせちゃって…。

つらい思い?

息子が大学に合格して

栄子さんが
お祝いを持ってきてくれたんです。

その時…。

(栄子)
あんなに小さかった信ちゃんが

もう大学生だなんて…。

(典子)栄子さんには
小さい時から

随分 かわいがってもらったわよね
あの子。

私が怒ると

すぐに栄子さんのとこに
泣きつきに行って。

(栄子)そうそう。

「ママがいけないの。
ママの事 叱って!」って。

(2人の笑い声)

でも これで
あなたも ひと安心ね。

ホテル学科を選んだっていう事は

ここを継ぐ決心をした
って事でしょ?

フフ… 本当 ようやく。

これで肩の荷が下りた
って感じがする。

一時期は
ここも私たちの代で終わり

そう思ってたもの。

フフッ… それがようやく…。

これからは あの子が5代目
6代目って繋いでってくれて…。

ごめんなさい。 栄子さん 私…。

えっ? 何?

あっ… やだ 気にしないでよ。

うちにだって いるのよ 6代目は。

(典子)えっ?

瑞泉亭 6代目 泉田耀一郎 21歳。

生まれていたらの話だけどね。

生まれていたら?

流産したみたいなんです
栄子さん…。

つまり 生まれてこなかった
そのお子さんに

耀一郎という名前を付けて
年を数えていた…。

今でも 時々
話しかけてしまう事があるの。

今日は寒いわねとか
庭のツツジがきれいよとか…。

フフフ… 本当 馬鹿みたい。
21年も経ってるのに…。

そんな事ないわよ。

女だったら 誰でも
同じ事するんじゃないかしら…。

でも 男の人は駄目ね。

うちの主人なんか

あの子の事なんか
とっくに忘れて

愛人なんか作っちゃって…。

(典子)愛人!?

そういう人がいるみたいなの
こっちに。

(典子)えっ!?

(栄子)主人が
そういう人を作るのは

もちろん
遊びもあるんでしょうけど

子供が欲しいんだと思うの。

瑞泉亭と泉田家の
6代目を継いでくれる子供が…。

だからね
その人に子供ができたら

離婚してほしいって
言われると思うんだ。

そしたらね 私

「よかったわね。 いいわよ」って
言ってあげるつもり。

そんな…!

ただね 一つだけ条件があるって
主人に いつも言ってるの。

男の子が生まれたとしても

耀一郎っていう名前だけは
付けないでほしいって。

フフ…
黙って別れてあげるんだから

それぐらいの頼み
聞いてくれてもいいわよね。

だから もしも
主人や その女の人が

生まれてくる子供に
耀一郎っていう名前を付けたら

私 許さない。

絶対に許さない。

耀一郎は あの子だけだもの。

あの子一人だけ…。

♬~

もう一人の耀一郎…。

瑞泉亭の6代目 泉田耀一郎くん。

根岸いずみの子供。

(牛尾の声)島村昌子の妹
島村万里子が残した子供。

そして 23年前に失った
自分自身の子供。

♬~

3人の耀一郎…。

(栄子の声)主人や その女の人が

生まれてくる子供に
耀一郎っていう名前を付けたら

私 許さない。 絶対に許さない。

それが動機?

泉田栄子が
根岸いずみと子供を殺した動機?

(携帯電話の着信音)

(携帯電話の操作音)

牛尾です。
「モーさん…」

島村昌子が死んだ。

えっ?

根岸いずみ殺害の犯行を告白した
遺書を残して 自殺した。

自殺…?

どこで? どこで死んだんですか?
島村昌子は。

♬~

♬~

(谷口修司の声)死亡推定時刻は

昨日 12月11日の
午後3時から5時頃までの間。

(谷口)ここは 市内から
30~40分はかかるんですが

ちょっとした
観光スポットなんです。

もっとも 冬場は
ほとんど 人は来ないんですが。

島村昌子は あそこから
投身自殺を図ったものと

思われます。

島村昌子は証拠を残していたと
聞きましたが それは?

(谷口)
強盗の犯行に見せかけるために

財布の中から
金を抜き取ったそうなんですが

怖くて使えなかったと
遺書に書いてます。

全部で7万3000円あります。

(谷口)それから
こちらが遺書です。

自筆の遺書で
筆跡鑑定は これからなんですが

島村昌子の字である事は
間違いなさそうです。

(昌子の声)「ご迷惑をかけて
申し訳ありません」

「先月 11月16日の夜

新宿区内の空地で
根岸いずみさんを殺したのは

私です」

「本当に申し訳ありませんでした」

(昌子の声)
「私と根岸さんとの関係は

新宿西署の刑事さん達は
御存知だと思います」

「“妹が死んだのは
根岸さんのせい"

そう思い 私は何年も
根岸さんを恨んでいました」

(昌子の声)「あの日の夜
泉田さんの家へ行った帰りに

根岸さんと会ってしまったんです」

(昌子の声)
「根岸さんは酔っていて

又 私や妹の悪口を
言い出したんです」

「その根岸さんを見てるうちに

忘れようと思ってた
恨みや憎しみが

又 噴き出してきて…」

「根岸さんを
あの空地に連れて行き

落ちていた鉄パイプで…」

(殴る音)

(昌子の声)「根岸さんの後頭部を
殴りつけたのです」

(昌子の声)「そのまま
諏訪へ帰るつもりでした」

「でも 疑われるのが怖くなり

泉田さんの奥さんに

“協力してくれなければ
泉田さんと いずみさんが

妹に対して
どんな ひどいことをしたか

瑞泉亭の前に立って
毎日毎日 大声で叫んでやる"

そう脅して
アリバイ工作をしました」

〈あとは
謝罪の言葉が続いていました〉

〈納得がいきませんでした〉

〈島村昌子が自殺するとは
思えなかったのです〉

奥さんは

島村昌子さんが なぜ
ここを死に場所に選んだのか

心当たりが おありになりますか?

牛尾さんは 雪螢をご存じ?

雪螢?

一度だけ見た事があります。

死体で発見された時

いずみさんのコートに
付着してましたから。

私は 雪螢の事なんて
全く知らなかった。

教えてくれたのは
昌子さん。

昌子さんが10歳ぐらいの事だった
っていうから

もう 30年近くも前に

お父さんとお母さんと
妹の万里子さんと

家族4人で
ここに来た事があったそうなの。

(父親)よいしょ。
じゃあ お母さんに渡してきて。

(栄子の声)
夕方になって 帰ろうとしたら

雪が降ってきたって言うの。

雪だ!
えっ?

行こ 行こ!

(栄子の声)そしたら お父さんが

これは雪じゃなくて
雪螢って言うんだよって

教えてくれたそうなの。

(栄子の声)どういうものかは
わからなかったけど

きれいだと思ったって言ってた。

キラキラ光って
とってもきれいだったって。

(栄子)ご両親が
事故で亡くなったのは

その直後で

妹さんとは 別々に
親戚に引き取られていったから

その日の事は
とてもよく覚えてるって

そう言ってた。

自分の人生の中で
一番幸せな一日だったって。

「もう一度 雪螢が見たい」。

そう言ってた 昌子さん。

見る事ができたら
どんなにいいだろうって…。

神様って意地悪ね。

あんなに願ってたのに…。

せめて 死んでいく時くらい

見せてくれたっていいのに…。

本当 意地悪ね 神様って。

もう一人いたんですね

耀一郎という名前のお子さんは。

♬~

今回の事件は

3人の耀一郎さんと
3人の母親が

顔を合わせてしまったから
起きた。

そう思っております 私は。

昨日の
午後3時頃から5時頃までの間

奥さんは
どちらにいらっしゃいましたか?

♬~

その時間だったら 私は
瑞泉亭の諏訪本店におりました。

その事を証明してくださる方は
どなたか…。

昨日は 主人の思い出を語る会と

私の社長就任の報告会を兼ねた
集まりが

本店でありました。

そのお客様たちに聞いて頂ければ。

100人のお客様たちに。

♬~

その間 会が始まった3時から
お開きになった午後6時頃まで

奥さんは ずっと こちらに
いらっしゃったんですか?

ええ いらっしゃいましたけど。

例えば 30分とか40分とか

姿が見えなくなった
というような事は…?

ああ… それでしたら

会が始まって
挨拶をされてからすぐに

本宅の仏間へ入られましたけど。

本宅の仏間?

(真弓の声)はい。 ここの裏手に
泉田家の本宅がございまして。

その仏間へ
お入りになったんです。

ご先祖に社長就任の
報告をしたいと おっしゃって。

(牛尾の声)午後3時半頃から
約1時間ほどの間

泉田栄子の姿を目撃した人物は
誰もいない。

(牛尾の声)1時間あれば

現場へ行き ここへ戻ってくる事は
可能だ。

泉田栄子には
アリバイがない。

〈島村昌子の死は 自殺ではない〉

〈偽装された自殺 殺人〉

〈そう思いました〉

(牛尾の声)もう一人いたんですね
耀一郎という名前のお子さんは。

今回の事件は

3人の耀一郎さんと
3人の母親が

顔を合わせてしまったから
起きた。

そう思っております 私は。

♬~

じゃあ モーさんは

島村昌子は自殺ではなく殺し

泉田栄子が
自殺に見せかけて殺した

そう言うのか?

証拠は
今のところ 何もありません。

ですが
その可能性も考えるべきだと…。

ないない。
その可能性は100パーセントない。

だったら この自筆の遺書は
一体 どう解釈すればいいんだ?

泉田栄子に脅されて
書かされたにしちゃあ

字に全く乱れがない。

となると トリックか?

この遺書には

つじつまの合わない箇所が
いくつかある。

1つ目は 現場の空き地の事だ。

島村昌子は
諏訪生まれの諏訪育ちで

東京へ来た事は
ほとんどありません。

その島村昌子が

なぜ あんな空き地を知ってたのか
という疑問です。

2つ目は 子供の存在です。

事件当夜 島村昌子は

あの子を連れて
泉田家へ行った事は

間違いありません。

その帰りに
ガイ者に会ってしまったのなら

子供を連れて現場へ行き
子供を連れたままで 殺した。

そういう事になる。
そんな事は考えられない。

そういう事か…。

それだけじゃありません。

アリバイ工作のために
泉田栄子を脅したという事も

どう考えても…。

しかし 自筆の遺書がある以上

本部としては
この遺書を尊重せざるを得ない。

それでも モーさんが あくまでも

島村昌子は自殺ではなく殺人

それも 泉田栄子が関与していると
考えるのなら

その証拠を モーさん自身が
見つけ出してくるしかない。

ただし
そんなに時間は やれない。

3日間だ。 いいな? それで。

はい。

(踏切の警報音)

(牛尾澄枝)どうして?
事件は片付いたんじゃないの?

(澄枝)犯人の女の人が

犯行を認める遺書を残して
自殺したって

さっきニュースで…。

彼女には子供がいるんだ。

それも まだ3歳にもならない
小さな子供だ。

そんな子供を残して
自殺するはずなんてないんだ。

絶対にない。

でも 逆っていう事も
あるんじゃないのかしら?

逆?

その子がいたからこそ
自ら 死を選ぶって事。

ええ…?

人を殺した人は いつも

人殺し 殺人犯っていう
レッテルが付くわ。

そして その子供にも

人殺しの子 殺人犯の子っていう
レッテルが貼られる。

(澄枝の声)
ひそひそと ささやかれて

冷たい視線 向けられて…。

その度に その子は
つらい思いをしなきゃならない。

親を恨むだろうし 憎むと思う。

自分のせいじゃないのに

つらい人生 生きなきゃならないわ
その子は。

〈妻の言葉の一つ一つが
胸に突き刺さりました〉

〈迷いが生じ始めていました〉

〈本部や妻の言うように

島村昌子は
本当に自殺だったのか…〉

〈それとも

私が主張しているように
偽装された自殺 殺人なのか…〉

♬~

(栄子の声)牛尾さんは

雪螢をご存じ?

雪螢…。

♬~

(2人の笑い声)

(2人の外国語)

身長差…。

♬~

なんですか? また。

君は 背高いね。

181センチですけど…。
ああ。

根岸さんの身長が158センチ。

君とは20センチほど違う。

だけど この写真 見ると

さほど身長差があるようには
見えない。

(礼二)
ああ! 靴っすよ 牛尾さん。 靴。

靴?

あの時 彼女は

こんなに高いヒールの 銀色の靴
履いてて…。

《いや 違う》

(牛尾の声)彼女が
事件当夜 履いていたのは

ヒールの低い 黒い…。

♬~

《もしかしたら あの靴…》

(栄子)島村さん…。

《死体が履いていた あの靴…》

ありがとう。

(2人)おはようございます。
(栄子)おはよう。 おはよう。

(パトカーのサイレン)

(パトカーのサイレン)

この靴は 根岸いずみさんが
死体となって発見された時に

履いていた靴です。

奥さんは 靴を 下駄箱などへ
おしまいになる時

靴の甲の部分… 前の部分が

見えるようにして
おしまいになるようですね。

その場合 靴を
こう お持ちになるはずです。

こういうふうに。

この靴の甲の内側から

奥さんの
人さし指 中指 薬指の指紋が…。

指紋が付いていないように
ちゃんと拭き取ったのに…。

そこまでは
気がつきませんでした。

あの日の夜…。

申し訳ありません こんな時間に。
(栄子)いいえ。 上がって。

はい ここ座って。

(栄子)どうぞ。
(昌子)あっ すみません。

お子さん?

耀一郎といいます。

…えっ?

ご主人のお名前から
「耀」という字を1文字頂いて

耀一郎と名付けました。

もうすぐ3歳になります。

(栄子の声)
いずみさんだけじゃなく

愛人も子供も
もう一人いたんだと思いました。

しかも
もう生まれている子供がって…。

♬~

(昌子)今日は
これをお返ししようと思って。

ご主人が いずみさんを通して
妹に渡そうとなさってた

手切れ金です。
妹さん…!?

もっと早くに
お返しすべきだったんですが

受け取って頂けなかったり
したもんですから…。

あの 妹さんにって…?

諏訪からお帰りになるご主人の
かばんの中に

おかしなものを入れていたのは
妹です。

あっ…。

じゃあ 妹さんが主人の…。

じゃあ その子は…。

(昌子)妹の子供です。

自分の命と引き換えに
あの子を産みました 妹は。

…えっ?

あの子が生まれた時には
もう 息を引き取ってましたから

抱いてやる事も 名前を呼ぶ事も
結局 一度も…。

(昌子)でも あの子が
お腹の中にいる時から

耀一郎と名前を付けて
よく話しかけてました。

耀ちゃん 耀ちゃんって。

♬~

(栄子)主人と万里子さんが
そういう関係になって

関係が終わるまで
半年足らずだったそうです。

半年も経たないうちに
いずみさんと出会って

いずみさんに夢中になって…。

主人は 一人っ子で
甘やかされて育ったせいか

嫌な事や
つらい思いをするような事は

人に押し付けて

自分は逃げ出してしまうような
ところがありました。

万里子さんとの別れ話も
いずみさんに押し付けて。

手切れ金も いずみさんに
渡してもらったそうなんです。

これ 100万 入ってるから。

たったの5カ月に
100万も払ってあげるんだよ。

感謝しなきゃ。
私は そんなお金は

頂くつもりはありません。

泉田さんからは もっと
大事なものを頂きましたから。

馬鹿じゃないの?
あんたって。

金より大事なものなんて
この世の中に…。

子供です。
子供?

もう 名前も付けました。

耀一郎です。

瑞泉亭の6代目になる子です。

この子が生まれたら
きっと会ってくださると思います。

喜んで認知してくださると。

ふざけんじゃないよ!
(ガラスの割れる音)

あんたに 6代目なんか
産めるはずないでしょ?

あんたは
これで終わりなんだよ!

瑞泉亭の6代目を産むのは
私なんだから

あんたなんかに産ませるもんか!

(栄子の声)こんな事は
もうご存じですよね。

ええ 聞きました。

歩道橋で突き飛ばされた事も。

それから 妹さんは
うつ状態のようになって

外へは一歩も出なくなり

口も ほとんど利かなくなった
という事も。

つらかったって言っていました
昌子さん…。

そんな妹さんを見てるのは
本当につらかったって。

(栄子の声)でも 子供が生まれたら
きっと また元気になる。

前みたいに 笑ったり 歌ったり
するようになるって そう…。

(栄子の声)でも 結局…。

(泣き声)

(昌子)万里子! 万里子…。

なんで? なんで…? 万里子…。

(泣き声)

♬~

(栄子の声)その時 決心したって
言っていました。

この子の存在は
主人には知らせまいって。

自分の子として
一人で育てていこうって。

だったら

なんで この人は
うちに来たんだろうって

思いました。

あなた 私に
まだ肝心な事 話してないわ。

あなたの本当の目的は

あの子を
主人に認知させる事なんでしょ?

正式な瑞泉亭の6代目として
主人に認めさせる事。

そうなんでしょ?

そんなつもり 全くありません。

お金をお返ししたら

あの子の事は
自分の子供だと言って

すぐに帰るつもりでした。

ただ… ただ一度だけ

あの子に一度だけ
父親を見せてやりたかったんです。

あの子が大きくなれば

いつか必ず
父親の事を聞く日が来ます。

「僕のお父さんは誰?
どういう人?」って。

そう聞かれた時に
答えてやりたいんです。

(昌子)「耀ちゃんは小さかったから
覚えてないかもしれないけど

一度だけ お父さんに
会った事があるのよ」って。

「かわいいねって
言ってくれたのよ」って…。

(昌子)これから先

一生 父親の事を知らないまんま
生きていく子です。

ですから 一度だけ…。
そう思って…。

でも 泉田さんは
いらっしゃらなかった。

顔を見せてやる事は
できませんでした。

それも
あの子の運命なんだと思います。

ご主人にも奥様にも

もう お目にかかる事は
ないと思います。

(栄子の声)その時…。

(栄子)
刑事さんのおっしゃるとおりに

なってしまったんです。

3人の耀一郎と

3人の母親が
顔を合わせてしまった…。

(いずみの声)ねえ~。

門も玄関も鍵かかってなかったよ。

お邪魔しまーす。

(昌子)あなた…。

なんで こんなとこにいんのよ
あんた!

(栄子)あなた もしかして…。

アハッ…。

せっかく東京に来たんだから
挨拶しとこうと思って。

もうすぐ泉田いずみになる
いずみで~す!

で この子は

瑞泉亭の6代目
泉田耀一郎で~す!

耀一郎?

そう。 パパと一緒に付けました。

ね~? 耀ちゃん。

へえ~ あんたが石女。

いしおんな?
(いずみ)ウフフ…。

パパが言ってた。

「うちの奥さんは子供が産めない
うまずめなんだ」って。

あなた なんて事を…!

石の女って書くんだね
うまずめって。 だから 石女。

(いずみ)パパが教えてくれました。

(いずみ)
ねえ さっさと離婚してよ!

何が この子が生まれた日にだよ。

それとも もしかして 奥さん

その日までに妊娠しようとでも
思ってるわけ?

(いずみ)いやいやいや
無理無理 無理無理!

だって 奥さん… ちょっと…。

(いずみ)アハハハ…! いや…。

(島村耀一郎)ママ…。

♬~

あなたのお子さんは
名前を変えなければいけないわね。

えっ?

この子が泉田耀一郎だから。

瑞泉亭の6代目になる子。

えっ?

(栄子)2年前に生まれてたのよ
6代目は。

2年前って まさか…。

そう あなたが産ませまいとして
殺そうとしていた

島村万里子さんのお子さん。

明日 主人が帰ってきたら
認知してもらう事になってるの。

ねえ そうよね? 島村さん。
(昌子)…ええ。

この家で主人と一緒に
育てていく事になると思うわ。

正式な6代目として。

そしたら あなたのお子さんは
どうなるかしらね?

ふざけんじゃないよ。

そんな事させるわけないでしょ。

耀一郎は この子だけなんだから。

この子が6代目なんだから!

そんなガキ 殺してやる!!

やめて! やめてよ!

(昌子)やめて!
(いずみ)邪魔すんな!

(昌子)やめて!

(昌子)ちょっと!

(いずみ)邪魔すんな!

(昌子)駄目!

♬~

6代目は 一人だけなんだから!

(いずみ)そんな子は いらない!
私の子だけなんだから!!

(殴る音)

あっ! あっ…。

島村さん あなた…。

あっ! ああ…!

どうしよう? どうしよう 私!

私…!

警察…。

待って 待って!

こんな女のために
警察なんて行く事ない。

絶対にない!
でも…。

あなたが警察に行ったら
この子 どうするの?

誰が面倒見るの?

この子と別れてもいいの?
もう二度と抱けなくてもいいの?

(泣き声)

だったら…

私の言うとおりにして。

いいわね?

あの空き地の事は
前から知っていました。

半年ほど前に 店を開く予定で

あの空き地を見に行った事が
あるんです。

あそこだったら大丈夫。
人は来ない。

そう思って

あの子を寝かしつけて

昌子さんと

私の車で
いずみさんを運びました。

(昌子と栄子の荒い息遣い)

(牛尾の声)
その時に気づいたんですね

靴を忘れてしまった事に。

奥さん!

裸足のままだったら 家の中で
殺されたのが わかってしまう。

入るといいんだけど…。

行きましょう。
うん。

(踏む音)
あっ!

奥さん どうかしました?

ちょっと…。

あっ ガラス片!

ちょっと痛いですけど
我慢してください。

(栄子の荒い息遣い)

縛ります。

縛ります。

あっ つかまってください。
私 支えますから。

ありがとう。
肩に…。

(栄子の声)
なんとか 家にたどり着いて…。

よく眠ってます あの子。

(栄子)ねえ 島村さん あれ…。

(栄子)
あのバッグ 中身を取り出して

私たちに関係するものは
どこかに捨てなくちゃ…。

(栄子)手袋してね!

何かあったの?

(栄子)島村さん?

(栄子の声)それが…。

これです。

♬~

その時

私たちは初めて

自分たちが
どれだけひどい事をしたかに

気がついたんです。

あの人も

私たちと一緒だったんです。

我が子が 無事に
生まれてきてくれる事を祈り

幸せになってくれる事を祈ってる

普通の
一人の母親だったんです…。

それなのに 私たちは
そのお母さんと赤ちゃんを…。

(栄子の声)何時間も
ただ そこに座っていました

私たち…。

お願いがあります。

あの子を…

耀一郎を認知してくださるよう
ご主人を説得してください。

正式な6代目として この家で
奥さんが育ててください。

島村さん…。

欲が… 欲が出ました。

欲?

そうしてくださらないんだったら
私 警察に行って

奥さんが あの人を殺したって
そう…。

お願いできますよね?

悲しすぎる脅迫…。

島村さんが死ぬ決心をしたのは

恐らく その時だったんでしょう。

置いていかなければならない
耀一郎くんを

島村さんは
奥さんに託したかった。

でも
自分の心を悟られまいとして

それで
そんな脅迫めいた言葉で…。

死ぬ決心をしたって…
牛尾さん…。

島村昌子さんは 自殺でした。

♬~

その事については

私は奥さんに
謝らなければなりません。

本当に 本当に
申し訳ありませんでした。

でも どうしてですか?
あんなに疑っていらしたのに。

家内が教えてくれたんです。

(栄子)奥様が?

私は 母親というものは

我が子を…

それも小さな我が子を残して
自殺などできるはずはない。

そう思ってました。

でも 家内が

逆もまた あるんじゃないかって。

逆?

世間は本当に冷たいわ。

人を殺した人にはもちろんだけど

その人たちのお子さんたちにも。

でも その親が罪を悔いて

被害者にも世間にもわびて
自殺したとしたら

世間は 少しは
許してくれるんじゃないか

自分の事は許さなくても

子供に向けられる視線は
和らぐんじゃないかって

そのお母さん そう思ったと思う。

そのお母さん そのお子さんの事を
心から愛してたのよ。

幸せな人生を
生きてほしかったんだわ。

でも そのためには
自分が死ぬしか

その子の前から
永遠に消えてあげるしか…。

子供を放り出したんじゃない。

多分 その子を託せる人が

その子の将来を
見守ってくれる人がいるっていう

確信があったんじゃないかしら。

だから…。

はっきりわかったのは

これを見た時です。

雪螢です。

雪螢?

崖の上で
奥さんは おっしゃいましたよね。

神様って意地悪ね。

あんなに願ってたのに…。

せめて 死んでいく時くらい

見せてくれたっていいのに…。

本当 意地悪ね 神様って。

あの時は 奥さんが

口封じのために島村さんを殺した
と思い込んでましたので

素直に奥さんの言葉が
聞けませんでした。

でも この写真を見て ようやく…。

奥さんの あの言葉は
優しい言葉でした。

島村さんの死を
心から悲しんでいる言葉。

奥さんは 島村さんが
死ぬ決心をしてるという事は

ご存じだったんですね?

気がついていました。

あの人が脅迫を始めた
その時から…。

(栄子)あの人の心残りは

あの子だけなんだなって
思いました。

この人の望みをかなえてあげたら
この人は きっと死んでしまう。

そう思ったんです。

それで

「主人が帰ってきたら
主人と相談する」って そう…。

その主人も死んでしまって…。

私 昌子さんに
取引を提案したんです。

取引?

あなたが警察に行ってくれたら

私が
この子を瑞泉亭の6代目として

正式に泉田家に迎え入れてあげる。

約束する。

一人で罪を背負えって
言ってるんじゃないの。

私の事を話してくれていい。

行ってくれるわよね? 警察に…。

(栄子の声)本当に そうしようと
思っていました。

この人を死なせないためには
そうするしかない。

そう思って…。

(栄子の声)そしたら…。

奥さんは 雪螢をご存じですか?

雪螢?

(栄子の声)その時 初めて
雪螢の話を聞いたんです。

私 あの子に
見せてやりたいんです。

♬~

耀一郎と一緒に見たいんです。

ですから…

雪螢が舞う日までは…。

だったら 3人で
一緒に見に行きましょうよ 雪螢。

そのあとの事は
それから考えればいい。

いいわよね? それで。

はい。

「雪螢が舞う日まで」
そう約束したんだから

少なくとも その日までは
この人は死んだりしない。

そう思って
少し安心していました。

それなのに…。

とっても素晴らしい
スピーチでした!

(栄子)本当に? フフフ…。

耀ちゃんも ママとおばちゃんと
一緒に聞いたんだよね

社長のスピーチ。
うん!

とっても素晴らしかったから
こうやって

パチパチってやったんだよね。
うん!

本当に? どうやってやったの?
パチパチってやってくれたの?

うん。
アハハ! ありがとう ありがとう。

島村さんなんて 感動したって
もう泣きそうになってました。

あっ ねえ そういえば
島村さん どこにいるのかしら?

島村さん
変な事おっしゃってたんです。

変な事?
うん。

今日は 雪螢が舞ってるから
ちょっと見に行ってくるわ。

雪螢なんて舞ってませんよ。

私には見えるの。

(栄子)駄目よ 約束したでしょ!

3人で一緒に見に行こうって
約束したでしょ!

あの子 残して どうするのよ!

私に どうしろっていうのよ!

♬~

(滝の音)

ああ…!

こんな事 言ってはいけないのは
わかってるんですけど…。

本当に わかってるんですけど…。

私…。

楽しかったんです。

幸せだったんです この27日間…。

(栄子)あっ! え~!

すごい すごい。

(栄子の声)あの子と遊んで…。

(栄子の声)
あの子と買い物に行って…。