ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

贋作 男はつらいよ 第1話 桂雀々、常盤貴子、松下奈緒、綾田俊樹… ドラマの原作・キャストなど…

『ドラマ 贋作 男はつらいよ[新](1)「大阪の寅やん」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 歌子
  2. お前
  3. 石切
  4. お兄ちゃん
  5. 結婚
  6. 一人
  7. 社長
  8. 親父
  9. 名前
  10. 今日
  11. お店
  12. 兄貴
  13. 息子
  14. 大阪
  15. 浴衣
  16. お父ちゃん
  17. ハァ
  18. 佳代
  19. 芸術家
  20. 最後

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『ドラマ 贋作 男はつらいよ[新](1)「大阪の寅やん」』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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ドラマ 贋作 男はつらいよ[新](1)「大阪の寅やん」[字]

30年前、父親と大げんかをして、たった一人の妹さくら(常盤貴子)を残し家を飛び出した寅さんこと車寅次郎(桂雀々)が甘味どころ「くるまや」に戻ってきた。

詳細情報
番組内容
秋の観光シーズンを迎える箱根の旅館。関西から来た高見歌子(松下奈緒)たち3人組を部屋に案内する車寅次郎(桂雀々)。地元が大阪という共通の話題から歌子たちと大いに盛り上がり里心が芽生える。30年前、父親と大げんかをして、たった一人の妹さくら(常盤貴子)を残して家を出た寅さんこと寅次郎が、東大阪市石切神社の参道にある甘味どころ「くるまや」に帰ってきた。
出演者
【出演】桂雀々常盤貴子松下奈緒綾田俊樹,松寺千恵美,北山雅康,曾我廼家寛太郎,小出優子,福丸怜乎,森レイ子,宍戸美和公松金よね子平泉成笹野高史
原作・脚本
【原作】山田洋次,【脚本】山田洋次,朝原雄三

 

 


(歌子)撮ろか? うん。
ほら マリも。

私も じゃあ 入る。
うん。

はい… はい いくよ。 はい チーズ!
(シャッター音)

あ~ しんどっ。 ず~っと歩きっ放しで…。

足 痛い~。

やっぱり 年やな。 若いつもりでも。

そやかて さっき 歌子に声かけてきた
男の人おったやん。 あれ 何?

中国からの留学生やって。

中国人? 学生にしては
えらい老けてたなあ。

あ~あ
せっかく箱根まで足運んできたけど

ええ男は なかなか見当たらへんなあ。

3人一緒の最後の旅行なんやから

やっぱり パ~ッて
海外旅行にしとけばよかった。

そんなこと言うたかて あんた 年明けには
ギリシャでしょ? ハネムーン。

あいつ
「ミロのヴィーナス」見たかったんやて。

今は
パリのルーブル美術館やっちゅうねん。

あ~あ もう やめとこかな
あんなアホと結婚すんの。

え~ そんな…。
(笑い声)

行こか。
次 どこ?

うん? バスに乗って
星の王子さまミュージアム

あ~。
星の王子さまか~。

もうちょっと身近な王子様
探してんねんけどなあ。
(笑い声)

ごめんください。

は~い!

いらっしゃいませ。
お待ちしておりました。

予約した仲村です。

はい 仲村様 3名様
1泊でご予約ですね。
はい。

お疲れさまでございました。

係の者がね すぐに お部屋に
ご案内させて頂きますのでね。

今 ちょっとシーズン中で
バタバタしてまして ごめんなさいね。

すぐにね。

寅さ~ん 寅さ~ん! 手 空いてます?

(寅次郎)はい~!

女将 何でしょう? 何でございましょう?

お客様を
お部屋に ご案内してちょうだい。

はい!
百合の間に 3名様。

承知いたしました。
美しいお客さんのためには

美しい花の名前のお部屋ですよね。

あっ 嫌やわ~。 部屋の名前なんて
大抵 花の名前やん。 なあ?

いいえ。
例えば お向かいのお部屋なんかは

中年男性を中心に利用して頂く
ハゲの間になっとります。

うそ!
あっ あれは萩の間でしたか。

(笑い声)
お荷物 お預かりいたします。

あっ すいません。
いや ごめんなさい…。

はい はい すみません…。
どうぞ どうぞ。 どうぞ こちらへどうぞ。

あっちが西?
うん?

富士山 見えるかな?
うそ!

トランクは あちらに収納しましたんで。

あっ ありがとうございます。

お食事は1階 食堂で
6時からご用意できますが。

はあ じゃあ… 6時半にお願いします。

はい。 お風呂は 1階に
大浴場に露天風呂。

どちらも 24時間ご利用して頂けます。

内風呂と洗面所が あちら。

タオルと浴衣は
そちらに置いてございますんで。

あっ そうそう
浴衣のサイズ ちょっと見てきますね。

浴衣 浴衣 浴衣…。

浴衣はMサイズとSサイズ
2枚ずつありました。

あっ ちょちょ… 私が お茶やりますんで。

ええ 大丈夫です 大丈夫です。
ありがとうございます。

このね ポットのお湯が熱すぎるんですよ。

もう 近頃のお嬢ちゃんときたらね

中には沸きたての熱湯を 急須に
ジャブジャブ入れる人がいますけど

ぞっとしますよね。 そんな人は
絶対 僕は 嫁にもらいません。

あっ もっとも 向こうも
断るでしょうけどね。 ハハハハハ…。

結構いい深蒸し茶
使っておりますんでね

こう 急須の中で かき混ぜたりせずに
静かに待つ。

ちょっとずつ注いでいってね 順繰りに

最後の滴が おいしいとこなんで…。

え~… よいしょ!

はい できました。
はい どうぞ。

ありがとうございます。
どういたしまして。

もしかして おじさん 大阪の人?

あっ バレてしまいました?
私たちも関西やから。

あっ なあなあ なあなあ
このおじさん 大阪の人やて。

え~!?
やっぱり!?

私も すぐに お客さんら
関西の人やと分かりましたよ。

言葉もそうですけど こんな別嬪さん
関西にしかおらんもん。

よう言うわ 嫌やわあ!
どっから来はったんですか?

私と彼女は大阪で…。
私が神戸。

あっ そうですか! どうぞ ごゆっくり。

ねえ おじさん 大阪のどこ?

あっ 端っこの方や。 東大阪
石切ちゅうとこやけど 知ってはる?

知ってるわよ。
石切神社のあるとこでしょう?

有名なとこやもん。 長い参道があって

占いのお店や お土産屋さんが
ずらっと並んで。

行ったことあんの?
うん。

石切にお参りするのが
私の父のお気に入りの散歩コースで

それにつきおうて時々行ったわ。

あっ おいしいお団子屋さんがあって
いい町よ。

あっ おじさん 時々お帰りになるの?

いやいやいや…
もう お嬢さんらには分からんような

ゴチャゴチャした訳があってな

実家には… 10年も 20年も 30年…
一度も帰ったことあらへんな。

へえ~。

お嬢ちゃん 団子食べた?
何ちゅう店がおいしかった?

あ~… まあ どこで食べてもおいしいけど
父が好きなんは…

何ていうお店やったかな?
あの~ 石切さんから

300メーターか それくらい
離れたところにある古いお店で…。

あっ あっ くるまやさんいうお店やわ。

お父さん 甘いもの好きなん?
芸術家やのに?

芸術家やて お団子食べます。
嫌や 似合わへん。

(笑い声)

お嬢ちゃん その くるまやっちゅう団子屋
よう繁盛してた?

それとも
今にも潰れそうな不景気な店やった?

あ~… まあ古いお店やけど
お掃除も行き届いてて ええお店よ。

きれいな女将さんも おって。

その女将さんて 年 いくつくらいや?
オバハンか? それとも まだ若いんか?

あ~ そうね…
年は 30の終わりか 40前後。

ほんまに感じのええ きれいな人やった。

名前も覚えとるわ。
あら 何ちゅう名前?

いい名前よ… さくらさん。
(2人)ふ~ん。

ご主人らしい人が 時々
さくらって呼ぶから分かったんやけど。

そうか 亭主がいてるんか…。

どんなやつや?
おとなしそうな男か? その亭主。

あ~ よさそうな人やったけど。

わしみたいな
ええ加減そうな男と違うか?

あ~ もう全然違う。

あっ ごめんなさい。
ちょっと…。 (笑い声)

おじさん どないしたん?
急に元気なくなって。

久しぶりに思い出したよってんな…
生まれ故郷を。

そうか…。

(戸が開く音)
失礼します。

あら 寅さん まだいたの?

厨房で 水道のポンプが調子悪いって
みんな 捜してたわよ。

あっ あかん! あっ 長居しました。
どうぞ ごゆっくり。

遅くなって申し訳ありませんでした。

こちらのお部屋を担当させて頂きます
真田と申します。

当館のご案内の方は…。

さっきのおじさんが してくれはりました。
あっ そうですか。 じゃあ お茶を…。

それも あのおじさんが
いれてくれはりました。

そうですか。 じゃあ ちょっと…。

あっ。 あの~ 大阪の人やって
言うてはりましたけど

長いんですか? この旅館。

いいえ。 まだ
半年も たってないんじゃないかしら。

ある日 トランク 一つで
ふらっと やって来て

ここに泊まりながら…
香具師っていうんですか?

お祭りや観光地の屋台で物を売る
その仕事してたみたいですけど

1週間ほど たって
女将さんが お勘定をお願いしたら

「申し訳ない 1万円しか持ってない」って。
うわ~…。

宿代の代わりに
ここで働かせてくれって言うんです。

旅館業って雑用みたいなことは
いくらでもあるもんでしょ?

「警察呼ぶよりは」って使ってみたら
これが器用な人でね 役に立つの。

今じゃ もう みんな 「寅さん 寅さん」って
便利に頼ってるんですよ。

へえ~。
寅さんか…。

ひろみちゃ~ん バルブ開けてみて!

≪あっ 直った! 寅さん 直りました!
オッケーで~す。

水も滴るええ男になってしもた ほんま。
ハァ…。

(ドライヤーの音)
あ~あ 3人一緒に寝んのも

今夜が最後かもな。

自分が結婚するせいで
最後になるんやないの!

そやけど いずれはお嫁に行かな
あかんのやし。 (スイッチを押す音)

マリかて結婚すんねやろ
そのうち 昇一君と。

さあな…。

あいつ 態度 はっきりせえへんねん。

まあ うちは どっちでもええねんけどな。

歌子んとこは どうなってんの?

相変わらず お父さん 反対してんのんか?

まあね。

歌子の気持ちは変わらへんのやろ?

うん。

何で父のように
自由な ものの考え方をする人間が

私の結婚となると
あんなに頑固になってしまうんやろ?

それは歌子がかわいいからやん。

私のことがかわいいと思うんやったら

私の思うようにさしてくれるのが
ほんまと違う?

そうは簡単にいかんのが
親子の難しいとこや。

ましてや 父一人 娘一人。

うちみたいに 女三人姉妹と違うもんな。

あんたは親に反対されへんかった?
全然。

もう もろてくれる人が現れただけでも
ありがたいって。

後がつかえてんねんから
はよ 売れてまえって

もう バーゲンセールの大売り出しや!
ハハハ… 何それ。

さっ 寝よっか。
明日は山歩きの予定やし。

寝ましょ 寝ましょ。
夜更かしは美容に悪いで。

(スイッチを押す音)
おやすみなさ~い。

おやすみ。
おやすみ。

お荷物は お預かりしときますから。

5時までには取りに戻ります。
どうも お世話になりました。

ありがとうございました。
楽しんできて下さいね。

行ってきます。
ちょちょ… ちょっと待って。

寅さん!

これ 山歩きのお供。

お水と わしが売ってた飴ちゃんや
持ってって。

あっ…。
いや ええの?

だって
これ 寅さんの売り物やないの?

石切の様子を教えてもろたお礼やがな。
遠慮せんと持ってって。

ありがとうございます。

あっ そうや。 寅さん
私たちと一緒に写真撮ってくれへん?

えっ わしと? うん!
いや ええの? わしなんかと。

お願いします。
いや ヘヘヘヘ… ええのか?

あらあら あらあら…。

いや… そうか? いやいや…。
はい。

私 入ってる これ? もっと寄って。
あ~ はい…。

はい 撮りま~す!
寅さん 笑って 笑って。

はい 1 2の 3!

バター!

あっ 間違うてもうた!
チ… チーズやった。

(笑い声)
バター言うてしもうた。

♬~

痛い痛い… 痛い痛い…。

いや そないおもろかったか? これ。

そない… そないウケるの? これ。

こんにちは。
こんにちは。

寅さん 大丈夫?
大丈夫 大丈夫…。

こんなん慣れてる… おっとっと…。

はい お疲れさま~!

ありがとう 寅さん 助かったわ。
何をおっしゃる はい。

また どっかで会いましょね。
うん。 気ぃ付けてな。

はい。

箱根で 石切出身の番頭さんに
会えるやなんて思えへんかった。

楽しいお話や
いっぱいお世話して下さって

ありがとうございました。
いや 何をおっしゃいますやら。

じゃあ また。

ちょ… ちょっと… ちょっと お嬢ちゃん。
ちょっと。

うん?

実は… 頼みたいことがあんねんけど。

何?
大阪に戻ったら 近いうちに

石切に 団子食べに行ったりする?
お父ちゃんと一緒に。

あ~… そりゃ まあ
行くかもしれへんけど。

そしたら 昨日 話に出た
くるまやっちゅうケチな団子屋に寄って

さくらという若女将やねんけど
これ渡してくれへんやろか?

実は あんただけに言うけどな
さくらっちゅうのは わしの妹やねん。

えっ!?
向こうは もう忘れてるかもしらんけどな。

何十年も帰ってへんねやから。

そやけど 「遠い旅の空の下から
いつも お前の幸せを祈ってるで」と

そう伝えといてくれへんやろか?
なっ? 頼むわ。

なっ? これ…。
いや… 困るわ。

だって もし さくらさんが
これ 受け取ってくれへんかったら

どないしたらええの?
そら… その時は

石切さんのお賽銭に回してやな

くるまやの繁盛を
願ってくれたらええんや。

いや そんな…。
頼むわ。

≪(2人)歌子?
ほらほら 呼んでるわ。 電車来た。

あの子らには ないしょやで。 行こ行こ。

ちょっと… ねえ 寅さん! ねえ…。

≪(犬の吠え声)

ただいま。

(ノック)

ただいま戻りました。

旅行 楽しかった。

(修吉)うん…。

ごはん ちゃんと食べてた?

うん…。

今 おなかすいてへん?

うん… まだええ。

はい これ お土産。

さあ ようお参りで。 味見していってや!

また 帰り寄らしてもらうわ。
はいはい お願いします。

(住職)ハァ ハァ…。
いらっしゃい いらっしゃい!

どうですか? あっ 味見していってね!

(さくら)お待ち遠さま。
お団子12個入りになります。

また よろしゅうお願いします。

おおきに。

佳代ちゃん そしたら あと お願いね。
(佳代)は~い。

(竜造)おい さくら。 うん?
もう3時過ぎてるで。

忘れとんのちゃうやろな 法恩寺の坊主。

そんなことあれへんて。 お昼に
お寺さんへ電話して 確認しといたから。

(社長)ハァ… あ~ よかった
まだ始まってへんかった。

いや 急になあ 税務署が来よって
もう絞られとったんやがなあ。

(博)すんません 社長。 忙しいのに。

いやいや。 ここの先代となあ
うちの親父は親友やったんやさかい。

兄貴は よう飲んどったなあ
お前の親父と。

(つね)飲み過ぎや。
あんな飲まへんかったら

さくらちゃん 一人残して
早死になんか せえへんかったのに。

まあまあ
お弔い上げの日に故人の悪口はないで。

そんな酒飲みやったんですか。
さくらからは

優しいお父ちゃんやったって
よう聞いてるけど。

さくらには優しかったわ。
そのかわり 寅には きつかったなあ。

確かに よう しばいとったなあ。

いや 寅やんも
もう 手のつけられん悪ガキやったしな。

(満男)寅やんて誰?

あんたの伯父さんよ。

今日が
兄貴の三十三回忌っちゅうことは

寅が出てってから何年になるんや?

35年。
はあ そうなるか…。

今頃 どこで何してんねやろなあ?

生きてることは生きてんねやろ。

さあなあ。

≪(佳代)女将さん
おじゅっさん 来はりました。

どうも ご苦労さまです。
おおきに。

い~ よいしょ! ハァ…。
あっ 遅うなってすんません。

あんまり 坂がきついさかい
途中 谷やんとこで休んでたんや。

今 お水を。
いや 結構。

後がつかえてるよってな
早速 始めさしてもらいますわ。

よろしゅうお願いいたします。

皆さん おそろいですな?
(一同)はい。

肝心の跡取り息子は おりまへんけどな。

跡取り息子? あっ 寅のことかいな。
相変わらず音信不通か?

お恥ずかしいこって。 なっ?

平造さんの最後の法要やっちゅうのに
もう親不孝なこっちゃ!

♬~

(読経)

おじさん お団子ですか?

おねえちゃん 誰の葬式や?
葬式?

この家 誰が逝てしもうたんや?

ああ 葬式やあらへん。
ご法要ですねん 先代のご主人の。

先代の主人? わしの親父か。
はい?

そうか 親父の法事か…。

こら 神様… いやいや
仏様のお引き回しやな。

ちょっと おねえちゃん
待たせてもらうで。

(読経)

おねえちゃん このうちの娘さん?

違います。 うち アルバイト。
あっ そうか。

あの~ お団子は?
要らん 要らん。

(鈴の音)

茶の味といい 店の造りといい
昔のまんまやな。

(住職)滞りなく…。
お疲れさまでした。

さあ みんな 足 楽にして…。
(社長)あ~ しびれた。

あ~ お茶出しますんで。
(社長)あ~ すんまへんな。

佳代ちゃん お団子お願いね
用意してあった。

(佳代)はい。
(住職)お~ 満男君
よう辛抱したな 足しびれたやろ。

いらっしゃいませ。 堪忍して下さいね
ちょっと取り込んでまして。

何しましょう?
お団子にしましょか?

何か 御用ですか?

さくらや… お前…。

あの… どちらさんですか?

わしの この顔に見覚えあらへんか?

お兄ちゃん?

そうや… わしや! お兄ちゃんや。

寅!
ほんまや 寅ちゃんや!

寅やん!
寅!

おっちゃん おばちゃん
ほんまに久しぶりです。

妹 さくらのお嫁入りにあたっては
わしの代わりに

いろいろと骨を折ってもうて
ありがとうございました。

いや 何より 子どもやったさくらを
こんな立派に育ててもうて

感謝の言葉もあれへんわ。

おっちゃん おばちゃんも すっかり
ジジイ ババアになってもうたけど

よう 長らえたこっちゃな。

寅… お前 ほんま 寅か!?
ほんまの寅やがな!

ちょっと
見た目 変わったかも分からんけど

正真正銘の寅次郎やがな。

間違いないわ。
30年前の やんちゃ坊主の寅や。

何で? 何で 急に今頃帰ってきたの?

何でて… それは あれやがな あの~

虫が知らせるちゅうの あるやろがな。
何でも虫ちゅうのは知らせるもんや。

ほら… 疝気の虫とか
腹の虫とか 水虫とかな。

…で おけら 毛虫
ゲージ カニボーフリ セミ カワズ

ヤンマ ヂョウチョに キリギリスに
ハータハタ ブンブの背中は…。

何十年も 一体どこで何をしてたの!?

恐ろしい顔すなよ。
まあ いろいろあったわいな。

まっ その話は おいおいと…。

おっ あれ 何かいな…
お前の亭主かいな ハズバンドかいな?

初めまして 博といいます。

これが息子の満男です。

へえ~! 息子がいてたんかいな。
わし 知らんうちに伯父さんやないか。

さくらに似て
賢そうな顔しとるやないか。

満男君
伯父さんに似んでよかったなあ。

社長
あんただけは ちょっとも変わらんなあ。

どないや?
相変わらず 裏の工場は不景気か?

違う 違う。 わしは息子やがな。

寅やんの同級生の幸太郎や!

お前 二代目か!

親父は
3年前に死んでしもうたんやがな。

頭のハゲ具合といい ギョロ目といい
親父そっくりやな。

完全な二代目の
おう タコ社長やがな これ。

ほ… ほっといてくれ もう!
(笑い声)

寅ちゃん あんた よう帰ってきたなあ!

さくら 今日は
お父ちゃんの弔い上げだけやあれへんで。

お前の兄ちゃんの30年ぶりの
歓迎会や。

兄貴が生きとったら どんだけ喜んだか!
ほんまやなあ。

寅 そんなとこに立ってんと お前
上がれ 上がれ。

お前の家やないか。
親父の位牌を拝ませてもらうわ。

そうせえ そうせえ。
いや 実にめでたい弔い上げやがな!

新手のオレオレ詐欺とちゃいますのか
それ。

ほんまもんの寅や。 間違いあらへん。

よう見たら…
あの顔 ちょっとも変わってへん。

何で 急に帰ってきたんやろか?

案外 えらい出世して
故郷へ錦を飾りに戻ってきたとか?

まさか
あの寅やんが そない出世するか?

病気になって余命いくばくもないとか?

大きな声出して 元気そのもんや。

律儀に結婚の報告とか?
もう50過ぎてんねんで?

昔っからな
ほれっぽい性格やったからなあ。

よっしゃ! わし 今から
あの くるまや行って 顔見てくるわ。

やめとけ。
えっ?

今日ぐらい
身内で積もる話もあるやろう。

それもそうやなあ。
30年ぶりやもんなあ。

あたしら夫婦には
子どもが出来へんかったさかいな。

はい。
あっ おおきに。

寅ちゃんが
いつか帰ってきてくれたらなあって

ず~っと思てたんや。
ちょちょちょ… ちょっと もう…。

まさか 兄貴の三十三回忌になあ。
ほんまですね。

ああ… あらら。
おお おお… ええ飲みっぷりやがな。

はい。
兄貴とそっくり おんなじやで 寅。

あ~ ありがとう。 しかし
身内ちゅうのは ありがたいもんやな。

何十年離れてても こないして いっぺん
膝つきあわして 酒飲み始るとやなあ

あっちゅう間に時が戻るっちゅうか
昔のまんまみたいな気がするなあ。

やっぱり
どっか 血ぃつながっとんのやな うん。

お義兄さんは お話が上手やから
僕も初対面のような気がしませんわ。

なあ さくら?

博君。 さくらは小さい頃から
結構 気の強いとこあるから

君も苦労してるやろ。

これからは何かあったら
何でも わしに相談してや。

さくらちゃん どないしたんや?

そない仏頂面してんと
寅ちゃんにお酌でもしてあげて ほら。

ええねん ええねん。
さくらが素直になられへん その気持ち

わしにも
ちょっと分かるような気ぃすんねん。

ねえ お兄ちゃん。

お兄ちゃんが
30年前に ここを出てから 今日まで

ずっと 「ナシのつぶて」やってんよ。

私が どんな気持ちで
お兄ちゃんを待ってたか分かる?

一体 今まで何してたの?

今まで どこに住んで
どんな暮らしをしてたの?

それをちゃんと
話 してくれへんかったら 私…

お兄ちゃんが帰ってきたことを
素直に喜ぶわけにはいかへんのよ。

今まで何してきたて…。

そんな 人に聞かせるような成り行きと
違うねんけどな。

ちゃんと 話 して! 何もかも!

たった一人の妹に
そう言われたら もう… しゃあないな。

まず この石切を飛び出して
落ち着いたんが難波や。

最初に勤めたんが
千日前のラーメン屋や。

こっから
1時間もかからんとこやないか。

ほんに。
まだ 15のガキやったからな。

ところが そのラーメン屋がな
半年で潰れてしもたんや。

あらま いきなり!

給料 未払い。 店にあった
中古の せこいラジオが退職金代わりや。

ひどい話やなあ。

テレビも家具も何にもない部屋に戻って
一人っきりでな

たまたま つけた ラジオから
聞こえてきたんが

桂 圭雀の落語やったんや。

わし それ聞いて 石切出てから
初めて声出して笑うたんや。

金もない 仕事もない 友達もおらん
ミナミの大都会で独りぼっちのわしを

こんなに元気づけてくれる
落語ちゅうもんに

心底 感動してしもうてな

それである日 圭雀師匠のとこへ
弟子にしてくれって頼みに行ったんや。

弟子になったんですか? 落語家の。

ええ師匠やってな

わしの身の上話 聞いてくれて
なかなか面白そうな子や言うて。

…で それで その日から
住み込みの内弟子になったんや。

「驚き 桃の木 山椒の木」やなあ。
落語の修業しとったんか。

内弟子の修業ちゅうのはな 朝から晩まで
師匠の身の回りのお世話が全般で

お宅の炊事 洗濯 掃除から
犬の散歩まで

ありとあらゆる雑用せないかんねん。

それで その合間合間に落語の稽古や。
鍛えられたで あれは。

それ どれぐらい続けたんですか?
その修業を。

まっ かれこれ3年。
大変やったなあ。

わしも 一人前の落語家になろう思て
必死やったからな。

「石の上にも三年」ちゅうことあるやろ?

3年たった頃に
師匠に認められて ついにや 初舞台や。

あらら。
苦労が報われたわけやな。

それがな 会場に集まった
お客さんの顔を見た途端に

寝ててもしゃべれるほど稽古したネタが
ポ~ンと飛んでしもうてな

結局 ひと言もしゃべれんまま
ド~ンド~ンと太鼓が鳴って

お辞儀して 高座を降りてもうたんや。

ハハハハハ…。

それでな 師匠や兄弟子にも
顔合わせられんようになってもうて

東京行きの新幹線 飛び乗ったんや。

あっ 思い出した。
前にも そんなようなことがあったなあ。

寅が小学校の学芸会の時。

そうそう! たったひと言の文句やのに

あんた
何べんも何べんもお稽古してたもんなあ。

お前が スズメになって 「あっ 朝が来た。
チュン チュン チュン チュン」。

これが出てけえへんかったんや。
あっ そうや そうや!

そんなこと あった あった。
お義兄さんは本番に弱いんですね。

そっか。 わし 本番に弱いんやな そっか。
ハハハハハ…。

東京に出て どないしたん?

何や しょうもない
アルバイトしてるうちに

知り合ったんが テキヤの親分や。

不思議なもんやで~。
テキヤ屋台の前やったらな

お客さんが何ぼ いてても緊張せえへん。
飛ぶように品物が売れてな。

それからは 体一つ 口一つで
全国 旅暮らしや。

30年ぶりに ここへ帰ってきた
っちゅうわけや。

どや? さくら
兄ちゃんのこと分かってくれたか?

よし! ほなちょっと小便行ってくるわ。

もう一つだけ聞きたいの。

何や?

お兄ちゃん
結婚はしてへんの? 奥さんは?

お前 そういう話は
もうちょっと気ぃ遣うて聞いたれよ。

まあ… 目下のところは
独身ちゅうわけやけどな。

そしたら奥さんもろたことはあるの?
子どもは?

お前
何ぼ 兄妹でも礼儀ちゅうのがあるやろ。

セクハラっちゅう言葉 知ってるやろ?

そやけど…。

そら まあ いろいろあったわいな
まあ何ちゅうか… ほら あの~

本番に弱い男っちゅうわけや。

もうええやろ 今日はお開きにしようや。

疲れた。 小便行って寝る。

さくらちゃん
2階にお布団敷いてこうか。

私 やるわ。
そうか。

ああっ あかん あかん。 えっ?
お開き お開き。 はいはい。

まだ残っとるがな…。
お開きですよ。 よいしょ。

(階段を上る足音)

ああ 酔うた酔うた。

この部屋 こない狭い部屋やったか?

ほんま言うたらね 何年か前までは

もし お兄ちゃんが帰ってきたら
絶対 文句言うたろうと思うててん。

そうかて お兄ちゃんが出ていってすぐに
お父ちゃんが死んで

お母ちゃんも死んで…
私 ものすごい寂しかったから。

おっちゃんも おばちゃんも
ほんま ようしてくれたけど

私 お兄ちゃんのこと恨んでてん。

堪忍やで さくら。

わしかて ずっと気にしてたんや
たった一人の妹のことを。

そやけど こないヤクザな兄貴が
帰ってきても

喜んでもらえるわけないしな…。

そうか… わしのことを恨んだか…。

そうやろな。

そやね… 恨んでたわ。

でも 私も大人になって
結婚して 母親になったら

いつの間にか
行方不明になった お兄ちゃんが

年下の弟みたいに思えてきて…。

乱暴ばっかりする 心配な不良の弟。

そやから ついつい
叱りとうなってしもて…。

ごめんね。

お兄ちゃんも 30年ぶりに帰ってきて
疲れたやろし 大変やったのに

優しい言葉一つ かけられへんで。

(いびき)

(ふすまを閉める音)

行ってきま~す!
行っといで。 行っといで。

今日 帰りに くるまや寄ってもええ?
何で?

昨日のおっちゃん おもろい顔やから
また見たい。

こら 満男。
(ため息)

(満男)行ってきま~す!
(ドアの開閉音)

やっぱり 夢やなかったんやね。

ため息つくことないやないか。

ゆうべは よう寝られへんかったわ。
これから どうするつもりなんやろ?

いてもろうたら ええやないか。 もともと
あの店の跡取り息子やねんから。

旅から旅への暮らしっちゅう年ちゃうで
お義兄さん。

そやけど…。

(笑い声)
おはようございます。

おはよう。 今 見てきたで寅やんの顔。

びっくりしたやろ さくらちゃんも。
はい。 あんまり突然なんで。

わし 五十肩で 肩 上がらん言うたら
これ 1, 000円で売りつけられたわ。

電子ネックレス。

この手のもん売って
商売してたんやってなあ。

すいません…。
かまへん かまへん。

寅やんの説明 聞いてたら
ただそれだけで

肩が軽~うなった気がするわ うん。

おはよう。
おはようございま~す。

おっちゃん おばちゃん おはよう。

≪(つね)おはよう さくらちゃん。
おはようさん。

お兄ちゃんは?
元気なもんや。

早起きして 店の前 掃除して

朝から 飯3杯も食べて。
ハハハハハ。

ご近所さんに挨拶したら
石切さんにお参りしてくるちゅうて

さっき出ていったけど
見かけへんかった?

ううん… そう 石切さんに。

放蕩息子の
帰郷報告っちゅうやっちゃなあ。

あっ あら? あら?

カ~ッ しもうた もう~。
小銭忘れてしもうたがな もう。

まっ ツケにしといてもらいます。

30年ぶりに石切に帰ってまいりました。

これからは 心 入れ替えて
地道にやってまいりますので

何とぞ よろしくお願いいたします。

(女性の話し声)

うそ! え~ いいやん!
私 だって末吉やで…。

よう!

寅さん?
(2人)あっ あっ 寅さん!

ほんまに寅さん!?
ほんまに寅さん。

お嬢ちゃんら よ~う来たな。

何で? 何で ここにおるん?
何でて ここは わしの故郷やがな。

帰ってきたの? いつ?

それが つい昨日のこっちゃ。
うそ~!

そんな偶然て あれへんよ!
ほんま奇跡みたい。

これも石切さんのお引き合わせやな。
…で お嬢ちゃん 何の用?

会社お休みやから 観光に。
ほう。

初めて来たけど
ええとこやね 寅さんの生まれ故郷。

せやろ? あっ お参り 済んだ?
うん。

ほな この辺 案内したるわ。
ええの!? めっちゃ うれしい!

おいで おいで。
やった~!

ありがとうございました~。
バイバ~イ。

寅ちゃん どないしたんやろなあ?
なかなか帰ってけえへんねけど。

懐かしなって
あっちこっち フラフラしとんのやろ。

石切さん見てこうかな。

おう さくら来てたんかいな。
マリちゃん みどりちゃん

こっちこっち こっちこっち…。

あ~ ここが寅さんの実家?
歌子の言うてた。

渋いお店やんか~。 ええ感じの。

あっ さくら 何 ぼけっとしてんの。
お客さん お連れしたで。 お茶 お茶。

いらっしゃいませ。 さあ こちらの席へ。

お邪魔します~。
はい 座って座って。

団子の味は まあまあやからな。

おっちゃん 草団子2人前!
お… おう。

あっ お茶来た お茶来た。
はい どうぞ。

これが わしの妹のさくら。
うわさの看板女将。

うわ~ ほんまに美人さんや~。

そやけど
寅さんに ちっとも似てへんなあ。

似てへんか?
まあ オカン 違うからな。

わしとは腹違いの妹や。
ああ…。

こんにちは。
こんにちは。

初めまして。
おいでやす。 はい どうぞ。

こちらのお嬢さん方
寅ちゃんのお知り合い?

ちょっと前な
箱根の旅館で一緒やってん。

その節は お世話になりました。
あっ 寅さん 寅さん あの時の写真 写真!

あっ…。

(つね)まあ 楽しそうに!

これ 「バター!」な。
(2人)アハハハハ!

そやけど 寅さんに会うた言うたら
歌子が悔しがるやろうなあ。

えっ 何でや?
何でて… 歌子いうたら

あれから
寅さんの話ば~っかりしてんねんもん。

えっ… へえ~。
帰り道も寅さんの話ば~っかり。

こっち帰ってきてからも
時々 ため息ついたりして

あ~あ 寅さんに もういっぺん会いたいわ
な~んて言うたりして。

そ… そうかいな。

(つね)歌子さんって この娘さん?

そうそう そうそう。
お前 なかなかやるやないか。

隅に置けんな。
いや 違う違う!
何を言うてんの おっちゃん。

皆さん かわいらしいお嬢さんやから
世間の男どもが ほっとかへんやろう。

おっちゃん やめて。 失礼やわ。

ほんまのとこは どないやの?

私は ずっと つきおうてる人がいてて
この人は年明けに結婚なんです。

それで独身最後の記念旅行。

もう つまらん男に
引っ掛かってしまいまして。

(笑い声)

もう一人の方は どないなの?
結婚は間近かいな。

もう一人て?
ほら え~っと…

何とかいう名前の ほら あの~
帝塚山に住んではる…。

歌子ちゃん?
あっ ああ… そんな名前やったかな うん。

(2人)アハハハハ!

アホらし… 知ってるくせにな。
アハハハハ!

あの子は まだやねん。

けど こんなかわいい人やったら
恋人ぐらいは…。

どうやろなあ…。
引っ込み思案なんです 歌子ちゃん。

中学生の頃
ご両親が離婚してもうて

そのあと ずっと
彼女が お父さんのお世話してて。

お父さんの?
お父さん 小説家で

えらい変わった人なんです。

芸術家らしいで。
えっ 芸術家?

年中 難しいこと考えてんねんて
芸術的に。

わしらなんか まるっきり分からん
もう面倒なことをな。

顔なんか こんな怖~い顔してな
年中 便秘気味。

(2人)アハハハハ!
便秘て。

実際… 掃除 洗濯 まるで駄目。
料理はもちろん

今どき スーパーで
買い物一つできひん父親やからって

歌子ちゃん ぼやいてんの。

お嫁に行って 一人きりにすんの
気にしてて。

(つね)そら やっかいなお父ちゃんやなあ。
娘さんも気の毒に…。

さあ はよ食べてみて。

(竜造)100%純正 砂糖使うてんねん。
ええから…。

へえ~! 今どき 親父のために嫁に行かん
孝行娘なんぞ いてんのかいな。

どうぞ。
あっ おおきに。

アホ! お前の知ってるような
アバズレ女と一緒にすな。

芸術家のお嬢さんやぞ。

わしは箱根で歌子ちゃんの顔を
初めて見た時に ピ~ンと来たんや。

この子には どっか暗い陰がある
不幸があるとな。

そうなん?
なんとか幸せになってもらいたい。

できたら
ええ婿さんの一人でも探してやりたい。

そういう気持ちになって別れたんや。

おばちゃん 長い間 商売してるよしみで
誰か知らんか? ええ男。

う~ん せやけど
その歌子さんて娘さんに

いっぺんも会うたことあらへんしな。

何で そんな冷たいことが言えんねん。

顔も知らん他人でも
幸せを願うてやんのが

人としての務めやろが。

おい 二代目!
(社長)えっ?

お前の顔の広いとこで
誰か ええ婿さん 知らんか?

あ~… うちの工場に一人いてるけどな
独身のええ男が。

なあ 博さん?
あっ 坂本君のことですか。

何を考えてんねん。
お前んとこで働いてる

低所得者層の嫁にやれるような娘と
違うねん 歌子ちゃんは。

悪おましたな 低所得者層で。

いてへんかなあ? あの子の暗い顔を
パッと輝かせてやれるような

明るく 優しい心を持った男は。

さくら お前の知り合いにいてへんか?

さあ? それやったら

お兄ちゃんが パ~ッと輝かせてあげたら
ええやないの。 独り者なんやし。

いやいや… さくら お前
ひと事やと思うて

乱暴なこと言うたら あかんで。

そりゃあ わしかて
優しいて明るいとこはあるけど

歌子ちゃんの相手やなんて
そら ちょっと

身びいきが過ぎるんと違うかなあ?
そやろか?

第一 年が違うがな。 なあ 社長?

う~ん… 年は関係ないんと違うか。

お前 意外と
ものの分かる大人になったなあ。

そうか… 経営者の視点から見たら
そういう考えになんねや…。

なるほど なるほどなあ… ふ~ん。

ほな 歌子ちゃんの問題は
今後とも継続的に考えるとして

今晩は この辺でお開きにいたしましょう。
皆さん おやすみなさい。

チャチャ~ン チャ~ン チャン…。

(寅次郎の鼻歌)

どういうの? あれ。

ひょっとして あいつ
本気で考えとんのと ちゃうか?

シャレが分からんと。
そんな アホな。

石切様 今日は 昨日の分と

ある不幸な娘の将来についての
お頼みを 2日分 納めに参りました。

何とぞ よろしくお願いいたします。

しもた~。
百円のつもりが 五百円あげてもうた。

すいません。 お願いします。

は~い いらっしゃいませ。

よもぎ団子を一つ お願いします。

12個入りので よろしいですね?

(博)恋煩いとちゃうか?
こんな状態 こ~んな。 聞いてはります?

寅さんに会うたら み~んな
楽しくなるんやないかしら?

結婚したいんなら 勝手にしたらええ。

(社長)かわいそうに。
こら タコ!