ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

天 赤木しげる葬式編「アカギと7人の男たち」岸谷五朗、吉田栄作… ドラマの原作・キャスト・主題歌など…

『天 赤木しげる葬式編「アカギと7人の男たち」岸谷五朗』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 赤木
  2. 人間
  3. アンタ
  4. お前
  5. 勝負
  6. 人生
  7. 成功
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  9. 意識
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  11. 最後
  12. 本当
  13. 失敗
  14. 通夜
  15. 家族
  16. 気持
  17. 金光
  18. 最初
  19. 山下
  20. 自分

f:id:dramalog:20200103094101p:plain

『天 赤木しげる葬式編「アカギと7人の男たち」岸谷五朗』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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天 赤木しげる葬式編「アカギと7人の男たち」岸谷五朗[字]

岸谷五朗主演!2018年にドラマ化された麻雀漫画の続編。カリスマ的人気を誇る漫画家・福本伸行の原点にして真骨頂とも言える、伝説の赤木しげる(吉田栄作)の最期!

詳細情報
番組内容
死闘ともいえる東西戦から3年。井川ひろゆき古川雄輝)に、赤木しげる吉田栄作)の告別式を報せるメールが届いた。参列後に「親しい者たちで通夜を執り行う」と言われ、戸惑うひろゆきの前に現れた喪主は、赤木本人!呆然とするひろゆきに、赤木は「俺はあと数時間のち、死ぬ手はずとなっている」と告げる。集められた天貴史(岸谷五朗)ら東西戦で相まみえたメンバー一人ひとりが、赤木と最期の対峙を繰り広げる…。
出演者
【出演者】
 天貴史…岸谷五朗
 井川ひろゆき古川雄輝
 浅井銀次…田中要次
 五十嵐健…星田英利
 金光修蔵…田山涼成
 僧我三威…でんでん
 原田克美…的場浩司
 赤木しげる吉田栄作
出演者②
【出演者】
 蔵持…聡太郎
 僧我の黒服…黄地裕樹
 雀士・山下…近藤廉
 雀士・荒木…小倉遥
 雀士・滝沢…滝沢和典
原作・脚本・演出
【原作】福本伸行「天 天和通りの快男児」(竹書房
【脚本】宮本正樹
【監督】二宮崇
音楽
【音楽】
 諸橋邦行

【主題歌】
 バラ色の日々 / THE YELLOW MONKEY
ホームページ
www.tv-tokyo.co.jp/ten/

 

 


今まで一度も負けたことがない。
無敵の雀士。

東西対決?
裏麻雀界の東西決戦なんだ。

混ぜてくれ。
天と赤木が揃ってこその東。

苦戦するぜ そのザマじゃ。

久しぶりに こっちに戻ってきたが
楽しかったよ。

さぁ 対局もついに大詰め。
南四局です。

ここまでのトップは 井川。

四千百点差で
山下が追っています。

えぇ 井川選手は
四千百点差ありますので

ノーテンでも優勝ですね。

山下選手は
八百 千六百以上のツモ上がりか

二千三百以上の直撃。

滝沢選手は 三倍満以上のツモか
井川選手からの役満直撃。

荒木選手は
役満ツモとなっております。

厳しいですね。
リーチ。

あっと ここで 山下がリーチ。

役は リーチ ピンフ
待ちはイースーソー。

一発ツモか ツモって裏ドラを乗せれば
山下が逆転です。

スーソー待ちは 山に4枚残り。

サンゾーが3枚見えていて
ウーソーが2枚見え。

絶好の待ちに見えますね。

あぁ 井川もドラのウーピンを切れば
テンパイとなります。

待ちは サブローマン。
しかし このドラを勝負できるか?

う~ん 厳しいですね。

でも これは
いくと思いますけどね。

上がれば優勝ですし。
反対に上がられてしまったら

優勝を逃す結果と
なってしまいます。

《いや…
ここで振るわけにはいかない》

さすがに
ドラは勝負できなかった。

さぁ 山下のツモは?

あっ 井川 ドラを勝負していれば
上がっていました。

やはり これが
麻雀というものなんでしょうか?

そうですね。 ただ
これは 井川選手 きついですね。

ツモ。

おっと 山下 ツモりました。
さぁ 裏ドラは?

乗った。 山下の逆転優勝です。

いやぁ これは 勝負どころで
勝負にいった山下選手と

いけなかった井川選手との差が
出てしまいましたね。

ただ これは 井川選手

本当に悔しいと思いますよ。
そうですね。

(一同)ありがとうございました。

いらっしゃいませ。
ブレンドコーヒー。

はい かしこまりました。

(バイブ音)

えっ…。

(読経)

赤木さん どうして…。

あの…。

井川様ですよね?

はい。

実は このあと 親しい者たちで
通夜を執り行う予定なのですが

ご出席願えないでしょうか?

通夜?
はい。

はぁ…。

でも 通夜って普通
告別式の前に…。

それが 今回は特別でして。

この告別式後
という段取りになっております。

はぁ…。

しばらくお待ちください。

《しかし
ずいぶん変なこと言うな。

初めて聞くぞ
告別式のあとの通夜なんて》

すみません。
長い間 お待たせしました。

ここから先は 喪主が案内する
手はずでございます。

喪主?
はい。

ご一緒に
通夜の席に お向かいください。

よう! ひろ 久しぶりだな。

赤木さん!

なんです これは?
冗談が過ぎますよ。

それが冗談じゃねえんだよ。
冗談じゃないですか。

どうして
こんな人騒がせな真似を?

まぁ 落ち着けよ。

でも 赤木さん
どうして こんなことを?

どうもこうもねえさ。
今日は 俺の葬式なんだ。

あの 葬式っていうのは
つまりその 生前葬っていうか

生きてるうちにやる
あれのことですか?

似てるが 少し違うな。

違う?

生前葬ってのは その人間が

そのあとも
まぁ 生きていくわけだが…。

俺は あと数時間のち
死ぬ手はずになってる。

えっ?

天さん!

いったい 何なんですか? これは。

赤木に聞いたとおり 葬式だ。

でも これから死ぬって
冗談ですよね?

ねぇ どうなんですか?

あぁ すまん すまん。
紹介してなかったな。

金光さん
コイツが井川ひろゆきです。

はじめまして 金光です。

赤木とは昔から
長いつきあいがある者です。

井川です。

(襖の開く音)

なんで アンタたちが?

たまたま東京におってな。

赤木が死んだゆうから来てみたら
このザマや。

人を おちょくんのも
ええかげんにせぇ!

原田様 僧我様ですね。

大変失礼をいたしました。

私は 今回
この葬儀を取り仕切っている

金光と申します。

実は今回は 赤木の希望で

東西戦のメンバーの方々を
通夜に お招きいたしました。

ほんで
赤木の状態はどうなんや?

これが 今 現在の
赤木の脳の状態です。

すでに 脳に萎縮が認められ

病気の進行は
かなり進んでいます。

何なんです? この病気って。

アルツハイマーです。

それも 進行の速い早発性。

通常3年も経つと
何もかも忘れて 廃人化し…。

赤木は そのことを知り
決しました。

本当に訳がわからなくなる前に

己の人生 自ら閉じようと。

ひろゆき

赤木しげるという男は

金や名声や権力
そんなものには一切触れず

ただ自分が自分であること

それのみを求め続け
生きてきた男だ。

その誇りが今
日に日に失われてきている。

おそらくヤツにとって

生きる理由が もうねえのさ。

でも 赤木さんはまだ
全然変な様子は…。

いや…
それが そうでもないらしいわ。

例えば 今日の日付とか

そういうのが
もう わからへんねんて。

あともう 計算とか
簡単なもんもできへん。

記憶も どんどん失われとる。

ただ なんでか

あの赤木らしい口利きとか

わいらが考える赤木らしさ

あの知性は 残ってるって。

で 死ぬゆうて
どないして死ぬんや?

その死に方は

1990年
アメリカの医師 ジャック・キヴォーキアンが

死期の迫った患者を
安楽死に導いた際に使った

マーシトロンという装置の原理を
そっくり使用します。

赤木が スイッチを押すと

赤木の静脈にセットされた
注射器から

まず チオペンタールという

人間を数秒で
深い昏睡状態に導く薬

その麻酔薬を注入します。

その1分後 同じ注射器から
今度は 心臓の動きを止める

塩化カリウムとスクシニルコリンを混ぜた
薬液を注入。

これで赤木は
苦しみのない深い昏睡の中

心停止を起こし 絶命します。

ったく ややこしいことしおって。

それで なんで わしらが
集められたんだ?

あっ… すみません。

一番大切なことを
お伝えしておりませんでした。

赤木が最後に

私を含めた ここにいる七人と
一人ずつ

語り合いたいと言っております。

えっ?

赤木の死を

引き止められる可能性が
あるということだ。

最初はやっぱり 金光か。

おじゃまするぜ。

しかし 知り合いに
話のわかる坊主がいて

本当 助かった。

感謝するぜ 今回のことは。

よせよ。

礼には およばねえよ。

人が死ぬときに
いろいろ世話をやくのは

俺が日常してること。

面倒なことなんか何にもねえ。

そうか… しかし なんていうか

常々 逆だと思ってたんだ。
逆?

通夜のことさ。

死んでから
みんなに集まってもらったって

死んだ当人は
何が何やら わからねえ。

せっかく集まってもらうなら
死ぬ前だ。

死ぬ前に会って
話があるなら 話しておくべきだ。

確かにな。

そう考えたとき 東西戦だった。

(赤木)あれが俺の最後の真剣勝負。

死の際に話をするなら
あの連中だ。

あの連中と最後に
ひと言 ふた言 言葉を交わし

逝くことができたら
それに勝る引き際はねえ。

そう考え 今回は
金光に無理を言った。

なに… そんなことはべつに
かまわねえが。

うん?

なんていうのか…。

本当にいいのか?

これで死んじまって。

もちろんだ。

俺は このまんま

死にてえんだ。

俺は ずっと迷ってきた。

ホントに こんなことを
していいのかと。

平静を装いながらも ずっと。

俺は冷たい人間なんじゃないかと。

冷たい人間が こんな面倒なことに
首を突っ込むもんか。

冷たいヤツってのは
いつだって傍観者だ。

アンタは 温かい男さ。

すまなかったな
嫌な役目だった。

赤木…
1つだけ約束してくれないか。

約束?

俺は もう止めん。

止めないが これから
俺以外の男6人が それぞれ

それぞれのやり方で
おそらく引き止めるだろう。

バカなことはするなと。

そのときに
意地になってほしくねえ。

なってほしくねえんだ。

ちょっとでも やめよう
死ぬのを延期しようと思ったら

恥ずかしくないから
そうしてくれ。

意地で死なないでくれ。

心が引き返したら
これまでの姿勢をかなぐり捨て

引き返してくれ 赤木。

それだけは 誓ってくれないか。

いいさ 約束しよう。

意地じゃ突っ込まねえ。

死ぬときは

心から死ぬ。

(引き戸の開閉音)

お次は健か。

ヘヘ… へぇ すっげえな。

金光 アイツ 情けないわ

坊主のくせに説得できへんって。

そんなん坊主が言うて
アカンかったもんを

ワイが言うたかて 赤木はんの決意
変わるはずあらへん なぁ?

ああ ワイは止めへんで。

だってよ ワイより強い雀士が
1人おらんようになんねんで。

こんなおいしい話ないもん。

そやからな こんなん言うたら
あれやけど…。

死ぬんやったら はよ死んで。

なんや?

らしくねえな 健。

らしくない?

いや 本当にそう思ってるなら
それでいいんだよ。

本音やで。
そうか。

わかった じゃあ終わりだ。

健 達者でな。

ウソや! すまん ウソやって!

ワイがこんなに
あこがれてる人やのに

こんな死に方
せんとってくれって!

奇遇だな こりゃ。

は?

俺も お前にあこがれてたんだよ。

アンタ 何言うてんの?

お前は まっすぐ
かっこつけずに打ってたな。

きれいだなって
俺は ずっと思ってた。

生きてると
人は どこかかっこつけ始める。

でもお前は そんなことなかった。

風通しのいい生き方してんなって
ずっと思ってた。

ウソじゃねえ。

ただ…。

腕がイマイチ。

怒るなよ。

だから もしかしたら
食うに困ってたかもしれねえ。

でも実は 俺よりずっと

自由に生きてたかもな。

最高じゃねえか それって。

そのまんま生きろ。

俺が消えても変わるなよ。

見てるぜ あの世から。

赤木はん…。

(引き戸が開く音)

おう 銀次か。

どんな気分だ これから死ぬって。

おいおい。
だって心配じゃねえかよ 赤木。

死んじまうんだぞ もうすぐ。

まあ 死んで
もし すべてが消えるとしたら

それまで。
まったくのゼロなんだから

心配するには あたらない。

または 死んで もし何かが…。

いうならば魂
あるいは ある種の意識

生が残っているとしたら

それは 痛い かゆいという神経

この面倒くさい体と脳と
つながってねえんだから

生身の今よりは
過ごしやすそうだ。

つまり 意識が消えようと
残ろうとオーケー 楽ちんさ。

赤木…。
ん?

その魂 意識みたいなもんは
残るのかな?

残らねえとは
言い切れねえんじゃねえか。

そうだな。

そうだよな。

もっと その話をしてくれ。

悪いのか?

この間 ガンが再発して転移した。

今度はリンパだ。
もう手術は効かない。

化学療法も
効果は あてにできない。

赤木…。

怖いんだよ 俺は。

もうすぐ死んじまうかと思うと。

銀次 俺たちは
もともと無生物だった。

人は さかのぼれば その昔

砂粒 海に溶けたちりだの
砂利だのの

よどみみたいな
もんだったんだろう。

そこに原始的な生命が生まれ

進化に進化を重ね
人間になった。

だとすれば
つまり無生物の中に

生き物のもと
種があったってことになる。

その種ってのは ある意志

意識みたいな
もんだったんじゃねえか。

つまり 無生物の中にある
生命になろうとする気持ち。

それはイコール はかりを超えた
俺たちの生命なんじゃないかと。

死ぬことは その命に戻ることだ。

消滅しようがねえのさ。

すでに今あるものは
存在し続ける 形を変えてな。

そういう意味じゃ まあ
不死だわな。

死ぬことは 決して
おっかなくなんかねえんだよ。

安心しろ。

俺が 俺が先に死んでやる。

きれいに死んでやるから。

だから 受け入れてやれ 死を。

できるかぎり温かく
迎え入れてやれ。

俺の感触じゃ
死ってヤツは悪いヤツじゃない。

できるさ お前ならできる。

俺の見てきたかぎりじゃ
温かい人間は

温かく死んでいける。

おっかなくなんかねえんだよ
銀次。

赤木…。

(引き戸が開く音)

よう。

なんだ まだまだ
元気そうじゃねえか。

いやぁ そうでもねえ。

今は どこに行くにも
人の手が必要だ。

赤木よ アンタの体が
どうなってるかわからんが

冗談じゃねえ!

勝手に死ぬなんて許せん。

だが アンタが決めたことだ。

どうしても死ぬというんなら

ワシとの決着後だ。

やれやれ それで
そんなもの持ってきたのか。

これからする勝負で

もし わしが負けたら 死のう!

腹を切る!

その代わり わしが勝ったら

アンタが生きるんだ。

それは おもしれえ。

辛気臭え話や説教も

あんまり続くと
気がめいってくる。

それより そんなふうに
割り切って

勝負に持ち込まれたほうが
かえって 気が楽だ。

だからよ ホントに
受けてやりてえんだが

ちょっと それは無理だな。

ああ?

僧我 俺には もう
それが よくわからんのよ。

誰が 麻雀をやると言った?

牌は使うが 別種目だ。

別種目?
ナインだ。

ナイン?

牌はなんでもいいんだが
今回は ピンズでいくか。

まずは 互いに

イーピンから キューピンまでの牌を持つ。

これがいうなら
それぞれの持ち駒だ。

あとは 互いに この牌を
相手に見えぬように持ち

任意の一牌を伏せて出す。

牌を開いて 数字が多いほうが
勝ちというギャンブル。

勝ったほうは 負けた相手の
牌を持って帰れる。

このウーピンとスーピンが
勝った陣営の得点

つまり 9点。

もし 引き分けた場合は

牌は そのまま テーブルに残し
どちらのものにもならない。

これだけだ。

これを 9戦 繰り返し 最終的に

牌の合計点が多いほうが
勝ちというゲーム。

オッケーだ。

おもしろそうじゃねえか
この牌遊び。

やるか。

《なぜだ…。

ほとんど無作為に切っている

こっちの牌が どうしてわかる?

どうなってやがる…》

《5連続…。

バカな なぜ こんなことが?

まるで 悪い夢のよう》

僧我…。

聞くまでもねえが もし
すべて終わって引き分けたら

勝負なし 再戦もなしだ。

最初の このギャンブルが
なかった状態に戻る。

つまり お前は生き 俺は死ぬ。

かまわねえな それで。

ああ。

引き分けたら死なせてやるわ。

好きにせい!

わかった。

まったく どうなってるんだ。

化け物が!

しかし そんな アンタと
しのぎが削れて

わしは幸せだ。

もう お目にかかれねえだろうな。

アンタみたいな男には。

だからってわけじゃねえが

何も死ぬことはねえ。

ボケたっていいじゃねえか。

残った意識の中で人生を楽しめる。

茶でも飲んでろってか。

そうさ そういう幸せもある。

いらねえよ そんな幸せ。

勝負ができなきゃ無意味だ。

無意味?

俺にとっちゃあ
勝負が人生のすべて。

おい おい 何を言ってるんだ?

そんなむちゃくちゃあるかい。

すべてなんかじゃねえ!

ほかにも 女や酒とかいろいろ。

そんなものは 全部 休憩だよ。

休みってことだ あんなものは。

勝負と勝負のはざまの
息継ぎにすぎねえ。

おい おい 赤木。

それは違う!

めちゃくちゃ 偏った考え方だ。

そのとおり。

俺は偏ってる。

俺は 唯一 それを誇りに
ここまで生きてきた。

僧我 ってなわけだ。

分けたら死なせろ。

唯一 それだけが
俺に残された道なんだよ。

《偏っている…。

しかし だからこそ
ここまで 超人的な能力を

赤木は持ち得た。

次に引き分けたら 残るは 2牌。

つまり 事実上
この7戦が最終戦

どうした? 早く出してくれよ。

《終わった》

赤木よ…。

《どういうことだ?

勝負する必要などない。

もう引き分けは確定した…。

わかってないのか?

7戦で 引き分けが
確定したことが。

もっと言えば どちらの数が
上かなんてことも…。

いや しかし…。

そうか 本能。

赤木の勝負師としての本能が

この勝負を赤木にとって
最高の形

すべて 引き分けという形に
仕上げきろうとしたのか…》

どうした?

いや…。

これで 9戦すべて引き分け。

見ろ。

こんなことってあるか?

これは 万が一にも
きかない出来事。

こんなこと ほかの
誰にも理解できない。

アンタだけの世界。
僧我。

それは違う。

お前との勝負が そうさせたんだ。

赤木 もう十分だ。

そうだ。

確かに アンタが朽ちて
死ぬなんて似合わん。

アンタは わしら凡人の感覚や

論理を超えて 生きてきた人間。

天外の人間だ。

天外者は 天外者のまま
死ぬのがふさわしい。

認めてやるわ。

それが 赤木しげるのしぜんだと。

先生 大丈夫ですか?

たぶん 誰も止められねえだろう
あの決意は。

はぁ。

不都合だよな。

わしみたいな老いぼれが生きて

ああしてる分にはピンピンしてる
赤木が死ぬんだから。

しかし
きれいだったなぁ さっきのは。

は?

まばゆいばかりの光が連なって
まるで天の川のようだった。

奇跡を見せてもらったんだよ
ついさっき。

奇跡ですか?

信じられるか?

ナインをやったら
全部引き分けにされたわ。

そ そんなことが…。

これでよかったのだ。

赤木には あの死がふさわしい。

赤木は 確かに 大変な天才だが

同時に社会生活を送る者としては
破綻者でもあった。

唯一 ヤツは あの能力を頼りに
ここまで生き延びてきた。

だから それを失ったら
もう死ぬしかない。

いいよな。
いらないという決断があっていい。

どこまでも生きなくったっていい。
はい。

その幻想が
どれほど人を苦しめてきたことか。

できることなら

人は自由に生き
自由に死んでいきたい。

赤木は ただ
それをやろうとしてるだけなんだ。

なんの難しい話じゃない。

ハァー。

楽になったわ。

心に風が通った感じだ。

恥じることはない。

わしらは 死んでいいのだ。

時 満ちたなら…。

(引き戸が開く音)

それにしてもと わいは思う。

ヤボな念押しで気が引けるが

おどれ ホンマに
ただの1%も生きる気ないんか?

ゼロか? ホンマに心から。

1どころか 3はある。
あ?

3%は生きたい。
未練がねえわけじゃねえさ。

おいおい せやったら…。
原田 しかたのねえ3なんだよ。

なんや それ?

生きてる以上 生きたい
って気持ちは完全には消せない。

3くらいは混ざる。
どう頑張ってもな。

なら これはもう
甘んじて受けるしかねえ。

そう簡単には死ねないと
これが死の味と観念するしかねえ。

まぁ 機械なら

オンとオフに100%切り替えることも
できるだろうが

人間は ちと面倒よ。

ただまぁ 逆に言えば

通常生きてるときも 何%かは
死にたい気持ちが混ざってる。

死にたい?

とりあえず俺にはあった。
そういう気分 感性が。

だから ここぞという場面で
助かるよりむしろ死ぬだろう。

それで結構という選択が混ざった。

大事な場面で死に向かう一打が。

なるほど こりゃかなわん。

生きようとする人間の
一打は読めても

死のうって人間

死に向かう一打なんぞ
わかるわけない 読めんわ。

半ば死んどる人間の言葉は
わからん。

ハハハ…。

ええやないか。

たとえわずかでも
生きたきゃ生きろや。

くどくど言いたないが
誰が考えたってせやろが。

わかんねえだろうな。

お前は 積む人間だから
わからねえ。

積む?
簡単だ。

お前も気付いてんだろ
うすうすは。

おめえ 今 ろくに生きてねえ。
は?

苦しむぜ それじゃあ
死の際 死のふちで。

何言うてんねん?
まるでわからん。

だから お前は積み過ぎたんだよ。

お前は 成功を積み過ぎた。

おいおい
おどれ何を言いだすんや。

動けねえだろ?

お前 今 動けねえだろ? 満足に。

まあ 最初は 必要な
意味ある成功だった。

勝つことによって
人の命は 輝き光を放つ。

そういう生の輝きは
最初 成功とつながっていた。

なのに どういうわけか

積み上げていくと
ある段階で その性質が変わる。

成功は 生の輝きでなく
枷になる。

いつの間にか 人間を支配し
乗っ取りにくる。

成功が 成功し続ける人生を
要求してくる。

本当は
あえて ここは失敗をする。

あるいは ゆっくりする。

そんな選択だって
人にはあるはずなのに

積み上げた成功が
それを許さねえ。

それは なんでもできそうに見える
暴力団の組長

それも半端な組じゃねえ

関西で1 2を争う
巨大組織の頂点

原田克美でも変わらない。

原田 正直言ってみ。

お前 汲々としてるだろ。

お前は 成功という名の

棺の中にいる。

もう満足に動けない。

死に体みたいな 人生さ。

《せや なるほどな。

生きながら わいは
半ば死んどった。

少なくとも十分に生きとらん。

気付かんかったわ。

大した目利き 直感や。

そのとおりかもしれんわ 赤木よ》

次の方 どうぞ。

行ってきます。

ここに イーピンからキューピンまでの
ピンズが2枚ずつ 計18枚ある。

つまり イーピンが2枚
ってことになるんだが

このイーピンを
2連続で今 お前が引いたら

その奇跡に敬意を表し
生き残ろう。

決心を翻し 生き残る。

本当ですか!
ただし

もし2連続で引けなかった場合

お前の腕を1本もらおう。

えっ…。

どうする?

《18牌中2牌ってことは
1回目の確率が18分の2

2回目が17分の1。

つまり 153分の1。

ひどい確率だ》

フッ 何考え込んでんだよ。

いいか ひろ。

俺を生かしたいと思うなら
こんなもん 即受けだよ 即受け。

考えんなよ 負けの可能性なんて。
えっ?

今回みたいな場合は
勝ちに賭けりゃいい。

しかし 確率があまりにも…。

負けたときは
反故にしちめえばいいんだ。

腕1本なんて
そんなバカな取り決めはしてねえと。

死んでくヤツとの約束なんか
知ったこっちゃねえって。

それは…。

ハァー。

お前は そういう ズルいというか
いいかげんなところがない。

え? どうして牌を…。

まさか…。

かくのとおり乱戦よ
勝負事は大抵。

通用しねえ お前の生真面目さは。

足を取られて終わりだ。

だから もっと
いいかげんになればいい。

勝負事において
真面目であることは

悪癖だ。

赤木さん…。

おそらく それが
お前を止めちまった。

なぜ それを…。

お前の全体から濁りを感じた。
えっ?

命ってのは すなわち輝き。

輝きを感じない人間は
命を喜ばせていない。

どうして命が
喜ばないかといったら

それは ひどく単純な話。

動いてねえんだ。

わけわからねえんじゃねえか?
この3年 何やってるんだか。

わからない
赤木さんには わからない。

わからねえ。

やろうと思っても
最初から萎えてしまう。

そんな人間の気持ちがわからない。

なぜなら
なんでもできる人だから。

そうかな?
そうです。

けどよ 仮にそうだとしても

そういう才能みてえなことと
命は関係ない。

いわゆる凡庸なヤツの中にも
輝いてるヤツはたくさんいる だろ?

決めんなよ。
自分が勝てねえなんて。

しかし…。
わかったもんじゃねえ。

勝ち負けは わからない。

だいいち いいじゃねえか
仮に負けても。

えっ?

何かをして 仮にそれが
失敗に終わってもいい。

そりゃあ 小さな
ちょっとした失敗ならいいですよ。

でも 大きく
人生そのものに関わる失敗は…。

それもいい。

世間でいうところの
失敗の人生も いい。

いや
めちゃくちゃです。

どこがいいっていうんですか?
そんな人生の。

失敗の人生っていったら
つまり その

誰にも認められず 軽んじられ
疎まれ 嫌われる

軽蔑や貧窮
そんな人生ってことでしょ!?

そいつは嫌だなぁ。

でしょ!? そんな…
そんな はめに陥るくらいなら

まだ今のほうが
まともっていうか

それなりっていうか…。

やっぱり そこか。

はっ?

お前は今
今のほうがまともって言ったが

その まともってのはなんだ?

えっ…。

平均値 世間並みってことか?

そういう恥ずかしくねえ暮らし
ってことか?

いや それは…。

そこだよ。

お前を苦しめているものの正体は。

正常でありたいって価値観と
自分の本心。

心の底に眠る

野心みてぇなものとの板ばさみに
苦しんでいたんだ。

気持ちわりぃじゃねえか
正しい人間 正しい人生なんて。

ありはしねえんだって
そんなもん もともと。

話しておきたかったんだ。

今日 それだけだは。

いかにも お前

その辺に
ひっかかってそうだったからよ。

赤木さん…。

無論 気持ちはわかる。

誰だって成功してぇ。

カネや地位や名声
そんなものに憧れる。

だが
それは人生そのものじゃない。

そんなものは全部 飾りだ。

その成功に向けての行為

熱量そのものが
生きてるってこと。

実ってやつだ。

わかるか?

成功を目指すなと
言ってるんじゃない。

それを気にして
思い煩い 止まってしまうこと。

熱を失ってしまうこと。

それが問題だ。

いいじゃねえか 三流で。

熱い三流なら 上等よ。

かまわねえ。

まるで かまわねえ話だ。

だから 恐れるな。

失敗を 恐れるな。

もう こぎだせよ
まともから放たれた人生に。

赤木さん…。

こっちに来て
この話を聞いたとき

最初 しかたないと思った。

何しろ 仮にも赤木しげる
アンタほどの男が決めたことだ。

俺たちが ああだこうだ
もう口をはさむべきことじゃない。

そう思った。

つまり
正常な意識で言っている以上

もう 口を出すべきことじゃない。

だから 黙って見送ろう
そう思った。

しかし…。

考えが変わった。

赤木 アンタ死んじゃだめだ。

アンタ やり終えていない。

あぁ?

確かに ついてねえ。

よりによって
現代医学でもお手上げの

難病中の難病
アルツハイマーになっちまうなんて

不幸の極みだ。

しかし その不幸…。

病も含めて 赤木しげるの人生
なんじゃないのか?

仮に病が進行して 夢ん中…。

いろいろな失態を
演じるようになったとしても

そいつも含め 赤木しげるだ。

それを やりとおしてこそ
赤木しげるの人生は完結する。

なるほど。

そういう考えも
わからねえわけじゃねえ。

尊重するよ それはそれで。

だがまぁ そりゃ
そうしてぇもんが

ただ そうすりゃいいだけの話。

俺は ごめんだ。

チッ いいとこどりかよ…。

まぁ 聞けよ。

確かに人は ほっといても
自然に死ぬんだから

通常 俺もそれに任せる。

ただ 今回の場合

俺は このままほっときゃ
死の際の数年

どうしても
誰かの世話を受けることになる。

嫌なんだよ。

俺は
1人で生活を保てなくなったら

死にてぇんだよ どうあれ。

天よ そんなにおかしいか?
俺の言い分。

こういう話になると
どういうわけか

みんな口をそろえて
生きろ 生きろの連呼。

問答無用に 生きなきゃいけねえ
って話になるんだが

果たして 本当にそうか?

それって
ただ 生かすだけの医療。

ただ患者を延命することに
躍起の医者たち。

そんな連中の言い分と
基本的におんなじじゃねえか。

患者本人の意志なんて
知ったこっちゃねえ。

1分でも1秒でも生かしゃオーケー
万々歳って

おかしくねえか? これ。

いいんだよ 人は死んで。

俺は死ぬよ。

命は二の次
それより 自分が大事だ。

赤木 違う。

肝心の俺が 消えた命に
どんな意味がある。

そこがまるで違う。

消えやしないんだ
どうあれ 赤木しげるは。

繰り返しだ そっから先は。

確かに
俺が丸ごと消えるわけじゃなく

何かが残るんだろうが
いらねえんだよ。

そんな自分は…。

せまくないか
そんな考えは…。

なぜ決めつけるんだ 無意味だと。

1杯 やろうか。

付き合えよ 最後の1杯だ。

フッ そんな顔すんなよ。

俺は結構
悪くなかったと思ってんだぜ。

なんだかんだ言って こうやって
50年以上生きてこれたわけだし。

もちろん この病気になったことは
つきがねえ。

最悪だ。

最悪だが
それでもなんとか

俺は俺として
死んでいけることになった。

十分だ。

ほら グラスを持てよ。

酌み交わそうじゃねえか。

最後の酒だ。

いいかな そろそろ。

赤木…。

ありがとよ 天。

これで さよならだ。

だめだ。

どうあっても だめだ
終わらせられない。

だって
アンタにはやり残したことがある。

あぁ?

他の多くの大抵の人間が

この世で 得て味わって
死んでいくのに

赤木ほどの人が なぜか無縁
やってないことがある。

かまけすぎたわ アンタ。

勝負にかまけ
やくざに生きすぎた。

その やくざな暮らし
放とうが失わせた。

赤木しげるから 家族を。

聞いたことがねえ

赤木しげるが 家族について
何か話してるのを。

たぶん いねえ。

そりゃあ そうだって

この死の際に そんな人間が
1人も来てねえんだから。

そりゃあ いねえ。

だいいち そもそも

アンタが誰かとつるんだり
話し込んだり

なんて姿を思い出せねえ。

いつも距離をおいていた。

他人と
深くつながろうとしなかった。

今にして思えば

アンタ 避けてたんだ。

弱くなっちまうもんな。

死んでもいいって人間が
死ねなくなったら。

でも もういいじゃねえか
引退だもの。

こんな病気になったら
さすがの赤木しげる

勝負事からは 引退だ。

なぁに とはいえ
そう気落ちすることもねえ。

次 次にいこう。

赤木しげるがやり残した 家族。

こいつを築こう。

俺 結婚したんだよ。

だから 遠慮なく
転がり込んできてくれ。

それで やっていこう。

少しずつ親しんでいこう。

3年 5年 10年…。

なんでもない毎日を
ともに暮らして

時には 腹が立ったり
めんどくさかったりしながら

そうやって
徐々になっていくんだ。

家族ってのは
どうしても 時間がかかる。

それは しようがない。

けど…。

死の際には たどり着けるんだ。

俺と 俺の嫁さんと 赤木。

血は つながってなくても
家族になる。

それをやって 死のう。

そいつをやって 死のう!

でなきゃ 俺が 死にきれない。

俺の悔いになる。

赤木しげる

独りぼっちで
死なせたとあっちゃ

俺が 耐えられない。

ありがてぇ話だが…。

まぁ やめとこう。

赤木…。

だって そうじゃねえか 天。

俺の孤独は
誰に頼まれたわけじゃねえ。

俺が 好きでやってきたことだ。

なら そのツケが回って 今

多少 心寂しい
最期になったとしても

それは それで しかたねえ。

俺には それが ふさわしい。

違う!

俺だ!

俺が 死なせたくねえんだ!

俺!

俺のために…。

俺のために 生きてくれって
言ってるんだ!

かなわねえな オメエにはよ。

あっ 赤木…。

ありがとよ 天。

最後に あったけぇ言葉だった。

救われたよ。

家族は いずとも

俺に 友は いたんだ。

赤木…。

じゃあな。

おいっ! おい 赤木っ!

おいっ!

なんで…。

なんで わかってくれねえんだ!

あるじゃねえか
まだ 命の灯が!

消えてねえじゃねえか!

まだ 消えてなきゃ

どんな奇跡が起きるか
わからねえ!

天よ

俺も そんなことを
考えねえわけじゃなかった。

しかし ちと おせぇな。

なに?

スカスカだ 俺の脳は 今。

予感がある。

あと 2日か 3日…。

いや ひょっとしたら
明日かもしれねえ。

ここ数日で
俺は 大きく失われる。

そうなったら

今ある俺 その意志 信念ごと
吹っ飛んじまうかもしれねえ。

だからよ…。

逝かなくっちゃ。

なんでなんだよ…。

無念じゃねえのかよ 赤木!

あぁ 無念だ。

くたばることは 無念だ。

しかし しかたねえんだよ これも。

無念であることが
そのまま 生の証。

生きてるってことは
不本意の連続だ。

けどよ たぶん それでいいんだ。

無念が 願いを光らせる。

嫌いじゃなかった。

なにか 願いを持つこと

そして 同時に

今ある現実と 合意すること

そんな生き方が 好きだった。

たぶん…。

愛してた… 無念を。

だからよ…。

いいんだよ これで。

赤木…。

(引き戸を開ける音)

赤木!
赤木はん!
赤木さん!

天! どうなっとる?

赤木は スイッチを押した。

赤木さん!
赤木はん!

赤木!
赤木さん!
赤木!

赤木!
赤木さん!
赤木!

《そうか 来てくれたのか…。

勘がいいなぁ コイツら。

もったいねえ。

あぁ 意識が遠のく…。

遠のく…。

ふ~ん これが死か。

なんだ やっぱり怖くねえ。

たいして…》

《手を離そう。

生まれ落ち
気がついたら 手にしていた

この赤木しげるという 幻想 意識。

手を離そう もう それからも。

今生の最後の別れは
他人に告げることでなく

告げられることでもなく

俺が 俺自身に伝える

最後の言葉。

そうだ。 そう 完成だ。

たぶん 人間は 死んで完成する》

《風…。

なんて いい風なんだ。

散っていく。

俺も あの葉と一緒だ。

そうか これが 死か…。

よし いけ 放たれろ。

飛散しろ 赤木しげる!》

赤木!
おい 赤木!
赤木はん!

おい 赤木!

赤木!
赤木さん!
赤木はん!

赤木っ!
赤木!

赤木はん!
赤木さん… 赤木さん!
赤木!

赤木はんって!

赤木はん…。

赤木…。

アホんだら。

(暮石を削る音)

おい 田口!

あっ あっ あのっ! 違う 違う…。
おい テメエ…。

ちょっ 違う 違う…。

ったく あの野郎。

しようがねえなぁ。

うわぁ 削られてる。

お守り代わりに 削っていくヤツらが
後を絶たないらしいぜ。

ったく 関係ねえっちゅうの。

勝てやしねえよ
こんなもん 持ってたって。

チッ 墓 冷やして
どうすんだっつうの。

ハハハ 頭冷やせ
ってことじゃないですかね?

ハハハ…。

でも 幸せ者ですよね つくづく。

俺 知りませんよ

死んでから
こんなふうに 慕われる人。

みんな 赤木さんのカケラを持って

赤木さんと
バクチをしているような

生きてるような

そんな気に
なってるんじゃないですかね。

散っていってるんだ。

みんなの胸に
赤木しげるが 少しずつ。

ひでぇ ぬすっとどもだが

でも そのカケラを大事にするなら

ケチなこと言わずに
削らせてやるか 赤木。

フッ こだわらねえだろ?

どうせ お前は
死んだあとの墓のことなど。

(猫の鳴き声)

だからな 許してやってくれ。

みんな好きなんだ お前が。