ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

朗読屋 ~山口発地域ドラマ~ 吉岡秀隆、吉岡里帆、市原悦子… ドラマの原作・キャスト・主題歌など…

『朗読屋~山口発地域ドラマ~』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. サユリ
  2. 仕事
  3. 朗読
  4. 今日
  5. キツネ
  6. 奥様
  7. 倉田
  8. 早川
  9. 図書館
  10. 大切
  11. 中也
  12. 彼女
  13. お願い
  14. 訓練
  15. 場所
  16. イカ
  17. ゾンビ
  18. ブランコ
  19. ボタン
  20. 気持

f:id:dramalog:20191225195812p:plain

『朗読屋~山口発地域ドラマ~』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

無料で民放各局の動画視聴ができるTVerティーバー)!まずはココから!
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、以下バナーから各社のラインナップを調べてみるといいかもしれませんね。

(本ページの情報は投稿日時時点のものです。最新の配信状況は Paravi サイトにてご確認ください。)

(詳細はFODプレミアム公式ホームページにてご確認ください。)

 

朗読屋~山口発地域ドラマ~[字][再]

中原中也の詩を軸に、美しい風景と詩の朗読が響き合うファンタジックで心温まる物語【作】荻上直子【出演】吉岡秀隆吉岡里帆緒川たまき山下真司市原悦子ほか

詳細情報
番組内容
山口県が生んだ詩人・中原中也の詩を軸に、美しい風景と詩の朗読が響き合う、ファンタジックで心温まる物語です。妻に去られ、眠れない日々を過ごす主人公マモルは、深夜、ひょんなことから“24時間図書館”を訪れ、朗読屋の仕事を紹介されます。雇い主で、中原中也を愛する老婦人と過ごすひとときのなか、思わぬ形で妻の思いを知ることに…。【作】荻上直子【出演】吉岡秀隆吉岡里帆緒川たまき山下真司市原悦子ほか
出演者
【出演】吉岡秀隆吉岡里帆緒川たまき市川実日子前野朋哉,富岡英里子,カニエ・ナハ,田口心暖,矢山治,宮木秀明,坂口聡,山下真司市原悦子
原作・脚本
【作】荻上直子
音楽
【音楽】光田康典

 

 


≪(バイクが走る音)

♬~

(舌打ち)

(角田)ちょっと
何やってんすか!

ほんと 何しても駄目な人だなぁ。
(マモル)すいません。

(ため息)

♬~

(角田)えっ!?
ちょっと… 西園寺さん!

ストレスからくる不眠…。

そうですね うつ病の初期症状と
言ってもいいと思います。

少し 仕事を お休みになった方が
いいと思います。

多いんですよ
それぐらいの年齢の方は。

まあ あまり
頑張りすぎないで下さい。

♬~

 

はい。
(サユリ)久しぶり。 びっくりした?

うん。
(サユリ)元気?

元気… です。

(サユリ)やだ…
なに 敬語 使ってるの?

君は? 元気だった?

(サユリ)うん まあね。 何してた?

うん… 雨が降ってきたから
洗濯物を取り込んでた。

(サユリ)雨?
うん。

(サユリ)そう…
私の所は降ってない。

(サユリ)新しい仕事は見つかった?

いや 清掃のバイト
始めたんだけど…。

(サユリ)使えなそう。
うん。

ことごとく使えなくて
今日 辞めた。

(サユリ)嫌よ 元旦那が
野たれ死にだなんて。

寝覚めが悪い。

(サユリ)ねえ あなた
私が出てっても

悲しくも何ともなかったでしょ。

えっ?
(サユリ)やっぱり。

ごめん 悲しいとかは
よく分からないんだ。

でも 君が出ていってから
よく眠れない。

(サユリ)そう。 でも それは
私のせいではなく

きっと あなた自身の
心の問題よ。

前の会社で いろいろあったし。

うん…。

(ため息)

夜中も開いてる図書館が
あればいいのに。

世の 眠れない人々のために。

(サユリ)あるわよ。

(むせる声)

まさか…。

私 そこで あなたと
一緒に暮らしてる時

たまに夜中に行ったもの。

どこにあるの? その図書館は。
(サユリ)教えてあげない。

私の取って置きの場所
だったんだもの。

探せば ある。 あると思えば ある。

見つけられる人には見つけられる。
そういうもんよ。

(サユリの笑い声)

(サユリ)聞きたい事があるの。
うん?

(サユリ)そこを出る時
私の持ち物は全て

捨てるか 持っていくか
したつもりなんだけど

大切なものが
ひとつ 見つからない。

指輪?

(サユリ)それは
わざわざ置いていった。

そう。
(サユリ)分からないって事は

あなた 何も見つけてないのね。
何?

(サユリ)ねえ 約束してくれる?
うん?

(サユリ)もし 私の忘れ物を
見つけても

何も見ないで 直ちに捨てて。

えっ…?

(サユリ)絶対に すぐ捨てて。
ねえ お願い。

分かった。

(サユリ)話せてよかった。
僕も。

(サユリ)じゃあ。

うん。

♬~

あ~。

取って置きの場所…。

♬~

探せば ある。 あると思えば ある。

見つけられる人には
見つけられる…。

♬~

えっ…?

♬~

あっ。

♬~

あの… これ お願いします。

(ひとみ)初めての ご利用ですか?
はい。

では こちらに
記入 お願いします。

えっ?

干からびたゾンビ
みたいな顔してますよ。

えっ?
眠れるといいですね。

♬~

はい。 今月22日までの
貸し出しとなります。

ご利用ありがとうございます。

あの~ つかぬ事を伺いますが

夜の図書館で働くって
どんな感じですか?

本好きには たまりません。
昼間より ずっと静かですし

何よりも 夜の音を聞きながら
仕事ができます。

給料は まあ 安いけど。

羨ましいな。 本に囲まれて
仕事をするなんて。

たまに パートの募集があります。

ほんとに? あっ いや…
今は 募集はしていません。

そうですよね。

すいませんでした。 ちょっと
聞いてみたかっただけだから。

どうも ありがとう。

あの…
図書館の仕事ではないのですが

別の仕事なら…。

叔母の働いている所で
朗読する人を探しているようで

どなたか いい人いないかって
言われていて。

本に関わる仕事ですし それに…

とても印象的な声なので。
声?

もちろん 嫌だったら
断って下さい。

いや 興味あります。

すみません。

ここに行きたいんですけど。

(倉田)何しに行くんきゃ?
朗読の仕事があるって聞いて。

ああ…。

あのばあさん
まだ生きとるんきゃあ。 えっ?

♬~

(ドアが開く音)

(早川)西園寺様
いらっしゃいませ。

お待ちしておりました。
はぁ…。

(ノック)
(玲子)はい。

(早川)これを読んで下さい。

はい いや あの…。
説明は後ほど。

とにかく これを朗読して下さい。

はぁ…。

(せきばらい)

「幾時代かがありまして

茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
今夜此処での一と殷盛り

今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁

そこに一つのブランコだ

見えるともないブランコだ」。

「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」。

探していました… その声を。

(ベルの音)

おめでとうございます 西園寺様。
あなたが合格者です。

はっ? 何の?

では 3日後に お願いします。

はい。
これ 前金です。

あっ どうも。

♬~

しかしながら 西園寺様

あなたの朗読は
まるで駄目です。 えっ?

今日のところは
しかたがないと思いますが

全く 気持ちが こもっていない。

これは もう
見事なまでに全くです。

ただ読めばいいと
思っている。 はぁ…。

できるだけ厳粛に
それでいて 内側には

燃え上がるような感情を込めて
読むように 心がけて下さい。

訓練するように。
はい。

朗読を なめるな。
すいません。

♬~

あら… キンモクセイの香り。

えっ?
秋だわ。

わぁっ!

(倉田)♬「ポッカリ月が出ましたら」

♬「舟を浮べて出掛けませう」

♬「波はヒタヒタ打つでせう」

こんばんは。
こんばんは。

どうでした? 朗読の仕事。

決まりました。
何だか よく分かんないけど。

そうですか。 よかった。
いや… よかったんだろうか。

何というか キツネに
つままれたような感じなんです。

キツネ… ですか。

キツネの嫁入り。 キツネに小豆飯。

虎の威を借るキツネ。

キツネにゾンビ。
そんなの あったっけ? いいえ。

まだ ひどい顔してる?
はい。 干からびたゾンビです。

うまく眠れないんだ。

図書館は
いつでも開いております。

とにかく 朗読の仕事
やってみようと思います。

ありがとうございました。
いえ。

あっ…。

干からびたサボテンを復活させるには
どうしたらいいか知ってますか?

たっぷり水を飲ませて
日に当てる。

干からびたゾンビも同じです。
そうなの?

♬~

今日の波は… フロリダね。

ええ 奥様。

ねえ もしかして あなた

私が お金持ちだから
何でも できるって

そう思ってらっしゃる?
はあ まあ…。

そうでしょう。

私も そう思ってたの。
お恥ずかしい話だけど。

でも 全然。
そんな簡単な事ではなかったわ。

私はね 父の声が
聞きたかったんです。

私が幼いころ 枕元で
本を読んで下さった父の声。

この耳で もう一度 聞いて
父の事を思い出したかったの。

父の声を探して
いろいろな方に来て頂いた。

つまり オーディションね。

地球上には そっくりの顔の人が
3人いるって言うでしょ。

きっと 声だって 似ている人が
いるはずだって そう思って。

でもね 早川は
まるで要領を得ず

地域の朗読会だの
妙な大会へ行っては

ろくでもない男性を集めてくるし。
(せきばらい)

私の体は その間

どんどん 使い物に
ならなくなってしまって。

でも どれだけ
お金と時間をかけても

見つからなかった。
どなたの声も違ってたわ。

だから もう すっかり
諦めようとしてたんです。

そこへ あなたが現れて。

しかし 奥様 図書館で働く
めいに相談したのは

この私でございますが。
もっと早くに

相談して下されば
よろしかったのに。

ずいぶん無駄な時間を
過ごしました。 嘆かわしい。

嘆かわしいって 奥様
それは言い過ぎでしょ。

♬~

でも おかしなものね~。

(笑い声)
どうしてもって思っている間は

なかなか 欲しいものが
手に入らないのに

気持ちを手放した途端に

風のように
あなたの声が やってきた。

(笑い声)

さあ 今日の朗読を
お願い致します。

はい。

♬~

「ある朝 僕は 空の 中に
黒い 旗が はためくを 見た。

はたはた それは
はためいて ゐたが

音は きこえぬ 高きが ゆゑに。

手繰り 下ろさうと 僕は したが

綱も なければ それも 叶はず」。

これ 本日の謝礼です。

恐縮です。 ええ 恐縮すべき
金額です。

全く 準備が なされていない。

すいません…。

はっきり申し上げます。
奥様は もう長くはありません。

えっ…?

奥様を 心穏やかに
見送って差し上げるのが

私の最後の仕事です。

奥様を満足させられないような
朗読をするなら

この私が許しません!

訓練するように。
はぁ…。

でも どうすれば…。

例えば 詩が生まれた場所で
作者になった気持ちで

詩を読んでみるのも
いいでしょう。

文字の裏に隠れた感情が

ふつふつと湧き出てきますから。

詩が生まれた場所…。

サンマ。
えっ?

サンマ 食べたいわ。
はぁ…。

では ごきげんよう
失礼します。

♬~

(倉田)♬「ポッカリ月が出ましたら
舟を浮べて出掛けませう」

♬「波はヒタヒタ打つでせう
風も少しは」

それ この間も歌ってましたけど
何の歌ですか?

降りい! えっ?
しゃんしゃん降りんきゃ!

そんな…
こんな 海の ど真ん中で。

ええから はよ降りい! えっ!?
中也を知らんボケが

はなから わしの船に
乗るないやあ!

あっ!? わりゃ どこのもんきゃ。
い… いば… 茨城です。

へじゃあ 何しに来たんか?
妻が… 元妻ですけど。

…が こちらの生まれで。
元妻?

こん度は 許してやる。
けど 次 来る時は

ようけ勉強してけぇ。
山口ちゅうたら 中也いやあ。

中也ゆうたら 山口やあ。
当たり前じゃろうや。

チュウヤって 中原中也ですか?

われが呼び捨てにすんないやあ。
すいません! すいません!

あのばあさんも
こねえなもん雇うて

もうろくしとりゃあせんか。

おみゃあ まさか ここのイカ

まだ食うちょらんちゅう事は
ないろうのお。

イカイカですか?

♬~

(緑)いらっしゃいませ~。

キツネうどんと… イカ 下さい。

(緑)ふっ… 変な組み合わせ。

あっ。
あっ!

♬~

すっごく食べづらいんですけど…。

どうぞ 遠慮なく。

(緑)何しに来たんですか?
いまさら。

もう この辺りに
用は ないはずですけど。

彼女から スサ図書館の事 聞いて
行ってみたくなったんだ。

姉から連絡があったんですか?

1週間くらい前に。
何か言ってました?

忘れ物があるとかなんとか。
あとは?

指輪は わざわざ置いてったとか。

それだけ?
大体…。

む~。 きっと もう戻りませんね。

何とも思わないんですか?

何を思ったらいいの?

姉が いなくなって
寂しくないんですか?

捜そうとか思わないんですか?

そんな ひどい顔してるから

姉の事 思って 毎晩
眠れないのかと思ったのに。

眠れないのは 事実だけど…。

(緑)姉が出ていった理由が
分かる気がします。

(テーブルをたたく音)
(緑)姉は言っていました。

一見 優男に見えるけど
いつも ボケっとしてて

何を考えているのか
よく分からない。

優柔不断で
大事な決断が できない。

そのくせ 仕事バカで
家庭を顧みず

何をやらしても
全てにおいて不器用で

なっ…
…んの取り柄もない人だけど

あなたの声だけは
好きだったって。

♬~

<「長門峡
水は流れてありにけり。

寒い寒い日なりき。

われは料亭にありぬ。
酒酌みてありぬ。

われのほか別に
客とてもなかりけり。

水は 恰も魂あるものの如く
流れ流れてありにけり。

やがても蜜柑の如き夕陽
欄干にこぼれたり。

あゝ!
ーーそのやうな時もありき

寒い寒い 日なりき」>

「ホラホラ これが僕の骨だ

生きてゐた時の苦労にみちた

あのけがらはしい肉を破って

しらじらと雨に洗はれ

ヌツクと出た 骨の尖。

故郷の小川のへりに

半ばは枯れた草に立つて

見てゐるのは ーー僕?

恰度 立札ほどの高さに

骨はしらじらととんがつてゐる」。

ああ…。
(せきこみ)

気持ちいい。
(せきこみ)

今日の波は… コルシカ島ね。

ええ 奥様。

早川ったらね あなたは もう
きっと来ないなんて言うのよ。

私のような腐った老人に 喜んで
詩を読んで下さる方なんて

いやしないって。
そんな事…。

あれだけの謝礼があれば
別ですけどね。 (せきこみ)

早川は ほんとに意地悪なの。
気にしないでちょうだい。

はぁ…。

父も 中也の詩が 好きでした。

本日の謝礼です。
ありがとうございます。

訓練は
しているようですね。 はい。

しかし まだまだ
足りていない。 はい。

人に聞かせようという意志が
あまり感じられません。

一人で訓練するよりも
誰かに向かって

詩を読んで聞かせてみては
どうでしょう。 はぁ…。

あなた 大切な人は
いらっしゃいますか? えっ?

大切な人を思って詩を読めば

おのずと 声に 優しさが
含まれるものですが

あなたには それがない。

それとも 優しさが足りなくて
大切な人を失った?

中也様の詩は 大切な誰かを
思っているからこそ

悲しみが いっぱい
詰まっているんです。

早川さんも
好きなんですね 中也様。

そりゃあ… 中也様は
とにかく いい男でしたから。

知り合い…
知り合いだったんですか?

まさか! いくら何でも
そんな時代から生きていません。

ですよね。

ああ… 雨の匂い。 えっ?
早く お帰りなさい。

そして 今晩は
カレーを食べなさい。 はっ?

雨の日は カレー。
昔から そう決まっているんです。

はぁ…。
では ごきげんよう

失礼します。

雨の日は カレー。

多分 叔母だけが信じてる
迷信です。

誰に聞いても そんな話
聞いた事ないって言われて。

でも よかった 誘って頂いて。

さいころから
そう言われ続けてきたから

雨の日に カレー食べないと
何だか モヤモヤするんです。

英才教育だ ある意味。
やめて下さいよ~。

あの… 詩の朗読を
聞いてもらいたいんだ。

中也の詩?

訓練しないと
叔母さんに たたられる。

大げさ。

♬~

「サーカス小屋は高い梁

そこに一つのブランコだ

見えるともないブランコだ

頭倒さに手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋のもと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」。

♬~

「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」。

♬~

「秋の夜は はるかの彼方に

小石ばかりの 河原があって

それに陽は さらさらと」。
(せきこみ)

「さらさらと
射してゐるのでありました」。

奥様。
だ… 大丈夫ですか?

(せきこみ)

早川…。 (せきこみ)
あの例の薬を早く。

お持ちします。
お願い。 早く。

(せきこみ)

ごめんなさい。
いいえ。

背中 さすって下さる?
はい。

(せきこみ)

朗読 続けましょうか?
もういいの。

今日は…。
(せきこみ)

私の話を聞いて下さい。
はぁ…。

この家 無駄に広いでしょ。

隠れる所が いっぱい あるの。

私は 父と
よく かくれんぼをしました。

そのうち 世の中が
戦争一色になって…

父は いつも
難しい顔をしていました。

ある日 父は 私に
にっこり 優しく ほほ笑んで

そうして言ったんです。

「玲子 久しぶりに お父様と
かくれんぼをしよう」って。

そうして 父は 私を 一度

ぎゅっと 力強く抱き締めて

頭をなでて下さった。

[ 回想 ] 1 2 3 4 5

6 7 8 9 10!

もういいかい?

♬~

もういいかい? お父様?

もういいかい?

いくら呼んでも それっきり
父の返事は なかった。

半年後に 父が戦死したという
知らせが入りました。

私は 父が もう この世に
いないなんて 信じられなくて

きっと まだ
このうちの どこかに…。

どこかに
隠れているんじゃないかって

あちこち捜し回ったの。

戦争が終わっても ず~っと…。

(せきこみ)

無理なさらないで下さい。
大丈夫です。

次は… いや
次があったらですけど。

そんな…。 あなたが 今度 詩を
選んで下さらない?

ぼ… 僕が?
何でもいいの。

考えておきます。
ありがとう。

(せきこみ)

♬~

(倉田)♬「舟を浮べて
出掛けませう」

♬「波はヒタヒタ打つでせう
風も少しはあるでせう」

♬「沖に出たらば暗いでせう」

♬「櫂から滴垂る水の音は」

♬「昵懇しいものに聞こえませう」

♬「あなたの言葉の杜切れ間を」

お願いします。
はい。

あっ。
はい。

いや… あの青い手帳って…。

♬~

[ 回想 ] (サユリ)もし 私の忘れ物を
見つけても

何も見ないで 直ちに捨てて。

(戸を開ける音)

いらっしゃ~い。

どうも。

♬~

忘れ物を見つけたら

ただちに捨ててくれって
言われました。

でも どうしても
捨てられなくて。

彼女が去ってから
うまく眠れなくなりました。

眠れない布団の中で

彼女がいたころの風景を
思い出そうとしました。

狭い部屋で すれ違うと
ほんのり漂う彼女の匂い…。

好きだったはずなのに
思い出せませんでした。

休日は よく一緒に
ごはんを食べたのに

彼女が どんな茶わんで
ごはんを食べていたのか

思い出せません。

いつも 玄関に置いてあったはずの
彼女のサンダルの形

あごの ほくろは
右側だったか左側だったか

ずっと 一緒にいたのに…。

僕は 全部 忙しさのせいにして…。

♬~

そんな事を考えていたら

余計 眠れなくなりました。

つまり あなたが言いたい事は
捨ててくれと言われた

姉の手帳を 見ていいかどうか
という事ですか? はい。

私の許しを得たところで
どうにもならないと思うけど。

でも あなたしか
聞ける人がいない。

姉は 妊娠していました。 多分。

えっ?

(緑)ほんの数か月間でしたけど。

(緑)その間は とても幸せそうな
優しい顔をしていました。

だから そのあとは
相当 きつそうだった。

女には 分かるんですよ
そういうの。

ちょっとした顔つきとかで。

(緑)その手帳は きっと

姉が あなたに宛てた
手紙なのかもしれません。

そう考えれば 恐らく
読んでいいものだと思います。

「汚れつちまつた悲しみに

いたいたしくも怖気づき

汚れつちまつた悲しみに

なすところもなく日は暮れる…」。

ほれ。
いや… 僕 弱いんで。

飲めよ。
一杯だけ。 のっ。

じゃあ 頂きます。

おっ… おっ!
おっ なあんだ 飲めらあや!

(倉田)中也はのお 大切なもんを
なあようにしてきたからのお。

弟 親友。

好きになったおなご。
息子も。

(倉田)じゃけえ 喪失の底から
叫ばれた詩にゃあ

むしろ 生命力が あふれちょる。

おみゃあも 大切な何かを
なあようにしたんじゃろう?

へえじゃなけにゃあ
こねえなとこに来りゃあせんやあ。

でも 僕には分からないんです。

寂しいとか 悲しいとか
そういった事が。

分かろうとせんでも
感じたらええんじゃあ。

痛みの訳なんて
分かりゃあせんけど

そのうち 確かに感じるいやあ。

(倉田)つげや ほら。
はい。

(倉田)今日は飲むぞ!

(マモルが吐く音)

♬~

「汚れつちまつた悲しみに

今日も小雪の降りかかる」。

「汚れつちまつた悲しみに

今日も風さへ吹きすぎる」。

「汚れつちまつた悲しみは」。

(男)「汚れつちまつた悲しみは

たとへば狐の革裘」。

(男)「汚れつちまつた悲しみは

小雪のかかつてちぢこまる」。

♬~

「汚れつちまつた悲しみは

なにのぞむなくねがふなく」。

(2人)「汚れつちまつた悲しみは

倦怠のうちに死を夢む」。

♬~

(ノック)

こんにちは。

どうぞ お願いします。

「月夜の晩に ボタンが一つ

波打際に 落ちてゐた。

それを拾って 役立てようと
僕は思つたわけでもないが

なぜだかそれを捨てるに忍びず

僕はそれを 袂に入れた。

月夜の晩に ボタンが一つ
波打際に 落ちてゐた。

それを拾って 役立てようと
僕は思つたわけでもないが

月に向かつて それは抛れず

浪に向かつて それは抛れず

僕はそれを 袂に入れた」。

「月夜の晩に 拾つたボタンは

指先に沁み 心に沁みた」。

「月夜の晩に 拾つたボタンは

どうして
それが 捨てられようか?」。

すばらしかった。
いえ。

どうも
ありがとう… ございました。

お願いがあるの。

はい。

最後の お願い。

「もういいよ」って
言って下さらない?

そしたら 私 うまく…
旅立てると思うのよ。

僕には 言えません。

私は 十分 生きました。

今度こそ お父様を捜しに行くの。

きっと 見つかると思う。

お願い…。 お願いします。

もう… いい… かい?

♬~

もういいよ。

♬~

もう… いいよ。

♬~

はい どうぞ。
えっ? ああ…。

あぁ~! ありがとう。

ぐっすり眠っていました。

君の姿が見えなかったから

ちょっと待ってようと
思ったら つい。

図書館は 居眠りに もってこいの
場所ですから。 まったく…。

おば様が亡くなりました。

とても静かに 優しい顔で
逝ってしまいました。

それで…

消えてしまったんです…
私の叔母。

えっ… 早川さん?
ええ。

えっ… どういう事?
分かりません。

昔から分からない人でしたし。

うわさだと どうも
おば様の遺産を

たくさん譲り受けたようで…。

そっか。 じゃあ 今頃

コルシカ島行きの飛行機かも。
もちろん ファーストクラスで。

超豪華客船かもしれません。
うん。

あっ でも もしかしたら
キツネに戻って 山に帰ったのかも。

(あくび)

あれだけ寝たのに まだ眠い。
帰るよ。

ぐっすり眠って下さい。
心ゆくまで。 うん。

起きたら 何しますか?

妻を捜してみようと思う。

一度 顔を合わせて 話をしないと。

じゃあ また。

ご利用ありがとうございます。

♬~

♬~

♬~