ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おしん 一挙再放送 第37週・太平洋戦争編 田中裕子、並樹史朗… ドラマの原作・キャスト・音楽など…

おしん 一挙再放送▽第37週・太平洋戦争編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 戦争
  2. 希望
  3. 竜三
  4. 日本
  5. 初子
  6. 仕事
  7. 自分
  8. お前
  9. 学校
  10. 気持
  11. 主人
  12. 一緒
  13. 終戦
  14. お母さん
  15. ジミー
  16. 闇屋
  17. 一度
  18. 協力
  19. 空襲
  20. 責任

f:id:dramalog:20191215090543p:plain

おしん 一挙再放送▽第37週・太平洋戦争編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

無料で民放各局の動画視聴ができるTVerティーバー)!まずはココから!
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、以下バナーから各社のラインナップを調べてみるといいかもしれませんね。

(本ページの情報は投稿日時時点のものです。最新の配信状況は Paravi サイトにてご確認ください。)

(詳細はFODプレミアム公式ホームページにてご確認ください。)

 

おしん 一挙再放送▽第37週・太平洋戦争編[字]

主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。

詳細情報
番組内容
昭和20年8月15日正午、おしん(田中裕子)は、ラジオの玉音放送で、初めて15年にわたる長い長い戦争の時代が終わったことを知った。その放送は、聞き取りにくく、おしんたちには何がなんだかわからなかったが、日本が戦争に敗れ、降伏したことだけは理解できた。しかし、終戦とは具体的にどういうことなのか、おしんにも誰にも見当もつかず、ただただ、ぼう然とするばかりであった。
出演者
【出演】田中裕子,並樹史朗,長島裕子,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一

 

 


♬~
(テーマ音楽)

♬~

(玉音放送)

昭和20年8月15日 正午
おしんは ラジオで

天皇玉音放送というのを聴いた。
終戦詔勅であった。

満州事変で始まった
15年にわたる戦争の時代は

終わったのである。

しかし
終戦とは どういう事なのか

おしんにも 誰にも
見当もつかなかった。

(玉音放送)

(希望)天皇陛下って
こんな お声だったのか…。

初めて 聞いた。

(竜三)畏れ多い事だ。

天皇陛下御自ら 国民に向かって
放送なさるなんて 前代未聞だ。

(おしん)天皇陛下
やめると おっしゃったら

本当に 戦争しなくて
いいんですか? 当たり前だ!

どんなに 軍部に 力があったって
日本は 天皇の統べたもう国だ。

天皇のご命令には
従わなきゃならん。

そのために 天皇陛下御自ら
国民に向かって

放送なさったんだ。

本当に終わったんだよ 戦争は…。

「終わった 終わった」って
言ったって

結局 日本は負けたんでしょ?

負けたら
一体 どうなるんですか?

日本って国は
無くなってしまうんですか?

私たちは 一体 どうすれば…。

母さん
とにかく もう 空襲はないよ。

戦地へ行ってる軍隊だって

今日からは
もう 戦わなくていいんだ!

(初子)じゃあ みんな
日本へ帰ってこられるの?

雄さんだって 生きてらしたら
帰ってこられるのね!

母さん。 禎ちゃんだって
もう 迎えに行けるんだよ。

一緒に暮らせるんだよ もう。
仁だって…。

仁…。

仁 今日 出撃するって…。
飛んでる もう!

(希望)そんなバカな!
戦争は もう終わったんだよ!

もしかしたら 出撃しないで
済んでるかもしれない。

戦争が終わるって事 分かって
中止になるって事だって…。

戦争が終わったって知らないで
飛んだら

仁は 犬死にじゃないの!

母さん
僕 仁の航空隊 行ってみる!

何か分かるかもしれないよ!

空襲がなきゃ
汽車だって出てるよ もう!

(竜三)そんな所へ行って
何が分かるって言うんだ!

父さん…。

お前たちには
終戦って事の厳しさが

どんなものだか
分かっちゃいないから!

日本には もう
軍隊なんか ありゃしないんだ!

航空隊だって どうなってるか…。

まだ そんな事…。

ろうそくの明かりじゃ
目 疲れますよ。

明日 また 明るくなって
なさったら?

灯火管制 せっかく
しなくて済んだら

また 電気 つかないんですもんね。

起きてても 何にも できやしない。

日本が負けるなんて
夢にも思っていなかった。

絶対に 勝つはずだったのに!

今頃 そんな事 おっしゃっても…。

私は 後悔してるんじゃないよ。

私は 私なりに信じて
戦争にも協力してきた。

軍のおかげで 初めて
仕事らしい仕事もさせてもらった。

男として 存分の事してきたんだ。

むしろ 精いっぱい生きられた事を
ありがたいと感謝しているよ。

あんた…。

ただ… 人は 私の生き方を
間違っていたと言うだろう。

私は 軍と手を結んで
仕事をしてきた。

隣組の組長として
戦争への協力も 押しつけてきた。

私の勧めで 志願兵として
少年航空隊に入った少年もいる。

その中には もう
帰ってこない少年もいた。

国債だって
随分 買わせてしまった。

それも 今となっては 反故だ。

でも
それは あんたのせいじゃないわ。

少年志願兵だって 国債だって

みんな お国のためだって

お上に
押しつけられてきたもんじゃ

ありませんか。

私が無視する事だってできたんだ。

だが 私は それをしなかった。

もちろん 私には
私の信念があって やった事だ。

それを悔いる気持ちは 全くない。

しかし 戦争に協力して
罪もない人たちを

不幸に陥れてしまった責任は
消えやしないんだ!

しかたないでしょ…

戦争だったんだもの。

この戦争は みんな

正しいと思って
ここまで やってきたんですよ。

♬~

眠れないのか?
あんたも?

おしん…。

お前と一緒になって
何年になるかね?

え~ そうですね…
私も 45ですからね。

結婚した時が 22でしょう。

いやね。 20年以上になりますよ。

何か 昨日みたいな気もするし…

随分 昔のような気もするし…。

いろんな事 あったもんね。

うん…。

お前には
苦労ばっかりさせてしまったな。

ふがいない亭主で
すまなかったと思ってるよ。

どうして?

あんたは
やる時は やったじゃない。

子ども服のお店 持った時だって

大きな縫製工場にしたでしょう。

魚屋 やった時も
骨身惜しまず働いて

皆さんに かわいがって頂いたわ。

連隊に 魚 入れるようになって

とうとう
軍の衣料品の監督工場にまで

こぎ着けたんですからね。

みんな あんたの力と才覚で
たたき上げてきたもんですよ。

やっぱり 男だなって 私…。

よく 頑張っていらしたわ。

お前が いてくれたからだ。

私の人生で
一番 すばらしかった事は

お前と巡り会えた事だ。

何ですか?
今頃 そんな事 おっしゃって。

一度 言ってみたかったんだ。

お前のおかげで

私は 男としての仕事も
存分にできた。

子どもにも恵まれた。

お前から 数え切れないほどの
幸せを もらった。

ありがとう… おしん

私だって…。

あんた いてくれたから

つらい時だって

つらいと思わなかった。

これからだって

どんな事があっても

あんた いてくれたら
乗り越えられる。

♬~

あんた。

♬~

(希望)父さん!

(竜三)もう
国民服 着る事もないからね。

軍で お世話になった人に
挨拶に行ってくるよ。

やっぱり 背広は いいですね。
父さんには それが 一番 似合う。

ありがとう。 初子 朝風呂なんて
何年かぶりだった。

戦争中の垢 落としたよ。
さっぱりした。

よかった。

じゃあ…。
気を付けて。

♬~

それが おしん
竜三を見た最後の姿となった。

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(竜三)禎!

(禎)父さん!
ああ…。

よかった! やっと うちへ帰れる。
母さんの所へ帰れる!

何してたんだい? こんな所で。

父さんか母さんが
迎えに来てくれるの 待ってたの。

朝から ず~っと。
禎…。

戦争 終わったんでしょ?
もう 空襲 ないんでしょ?

だから おうちへ帰れるよって
おじさんが。

ああ。 もうすぐ 母さんの所へ
帰れるようになる。

もうしばらくの我慢だ。

きっと 母さんが
迎えに来てくれるからね。

父さん…。 禎は 父さんと帰る!
だから 待ってたんだもん!

今日はね 父さん
禎の顔を見に来たんだよ。

よかったよ 元気で…。

よく辛抱したね! 偉かったよ 禎。

父さん
迎えに来てくれたんじゃないの?

日本は 戦争に負けてしまった。
もうすぐ アメリカ軍がやって来る。

そうしたら 日本人に
どんな乱暴するか分からない。

そんなとこへ帰ってきたら
せっかく 空襲にも遭わないで

無事だったのが 何のためだったか
分かりゃしない。

だから 禎は ここで…。

分かったね。

今まで 我慢できたじゃないか。
もう少しだ!

きっと 迎えに来てくれる?

うん!

禎…。

もし みんな 無事で また
一緒に暮らせるようになったら

母さんの事 大事にするんだぞ。
お前は たった一人の娘だ。

母さんの いい相談相手に
ならなきゃ。

頼んだよ。

禎の髪は
母さんの髪に そっくりだね。

いい髪をしている。

父さん
お前が 文金高島田 結って

お嫁に行くのを見たかったよ…。

きっと 母さんが 父さんの所へ

お嫁に来た時のように

きれいな花嫁姿だろうね…。

禎…。

誰からも愛される
優しい娘になるんだぞ。

母さんのように
どんな人にも思いやりのある

あったかい大きな愛情 持ってたら
きっと 誰からも好かれる。

父さんの分まで 幸せになるんだ。

♬~

その夜 竜三は
田倉家には 帰ってこなかった。

次の夜も
おしんたちの心配をよそに

竜三は 帰宅しなかった。

(おしん)お帰りなさい!

あんた?

(初子)母さん?
(希望)父さん 帰ってきたの?

変ね。 今 確かに
父さんの声がしたのよ。

おしん おしん」って。
玄関の戸 たたく音も…。

嘘じゃないのよ!
はっきり 聞いたんだから!

夢じゃないの?
眠れないで 起きてたのよ。

(初子)私は 何にも…。
(希望)父さんの事

ずっと 気にしてるから。
きっと 空耳だよ。

(玄関の戸の開閉音)

何だ 希望ちゃん…。

御苦労さん。 何か分かった?

連隊へ行ってみたけど
全然 誰にも会えないんだ。

庭では 山のような書類
焼いてたりなんかして

みんな 大騒ぎで…。

じゃあ 父さんの消息
聞くどころじゃないわね。

今 帰ったら これ…。
父さんからだよ。

やっぱり ちゃんと
連絡していらしたじゃないですか。

心配して損しちゃった。

(竜三)「突然
こんな便りを受け取ったら

さぞ びっくりする事と
思います。

…が 私には 十分 熟慮の末
心に決めた事なのです。

私は 今までに 一度たりとも

日本の勝利を疑った事は
ありませんでした。

全身全霊を打ち込んで
日本の勝利のために

粉骨砕身 働いてきたのです。

おしんにも 子どもたちにも
そう教えてきました。

その結果 雄も仁も
戦争で失う事になりました。

隣組でも 少年志願兵を
航空隊に送り込み

その一人は 大空で散華しました。
隣組の皆さんにも

どれほど 迷惑をかける事に
なったかしれません。

その責任は 重大です。
もちろん

その責任は 私の死をもってしても
償えるものでは ありません。

しかし 雄と仁を殺した父親として
また 一人の人間として

戦争に協力した罪は
せめて 私の命を懸けて

許しを請うよりほかないと
思っています。

私にとって 死を選ぶ事は
戦争に協力した人間として

当然 受けなければならない
報いです。

たとえ 生きたとしても
罪を背負って 一生 歩くのは

死ぬ事よりも
はるかに苦しいでしょう。

私には とても
そんな強さは ありません。

また 他国の支配を受ける日本で
生き長らえる屈辱にも

とても 耐えられません。

おしん。 私は 一つの時代を
精いっぱい 生きてきました。

悔いは ありません。

もうすぐ 雄と仁にも会えます。

ありがとう おしん

本当に ありがとう。

竜三。 おしん殿」。

(初子)母さん…。

父さんが… 死んだ。

♬~

母さん…。

終戦の日の夜…

父さんと いろいろ
遅くまで 話 したのよ…。

今から思うと 父さん あん時に
もう覚悟しておいでになったんだ。

それが
母さんには 分からなかった…。

二十何年 一緒に暮らしてきて

父さんの気持ちが見抜けなかった。

(初子)父さんが自殺なさるなんて
信じられない!

母さんや禎ちゃんを残して
そんな事できるはずがないわ!

父さん…

捜しに行かなきゃ!

母さん!

すいません! あの~

田倉さんの おうちの方ですか?
うん…。

だったら
田倉竜三さんという お人は?

父です。 父が 何か?

…なら こちらは?
母です。

あ~ よかった。
随分 捜しました。

このまま 来て頂けますか?
私が ご案内致しますよって…。

あ… あの~。
あっ こりゃ 慌ててしもうて…。

私は この奥の村役場の者ですが

電話も通じへんし
警察に知らせるいうても

警察なんて
もう ないのも同じ事やし

それやったら いっそ 私がと
気の重い役目を

引き受けてしもうて…。
じゃあ… 父さん!

(役場の男)持ってはった
財布の中に

住所 氏名や 血液型 書いた紙が
入ってましたよって

一応 お知らせにあがりました。
(希望)母さん!

(役場の男)でも もしかすると
人違いかもしれません。

ですけど
心当たりが おありでしたら

確かめて頂けましたらと…。

♬~

主人でございます。

(役場の男)そうですか…。

宮城の前でも
日本と命運を共にして

自害をする人が
随分いると聞いています。

ご主人も
恐らく 同じお気持ちで

いらしたんでしょうな…。

見つけた村の衆の話では 林の中で
きちんと 正座されたまま

衣服の乱れもなく
突っ伏しておられたそうです。

すぐに 村の医者に
担ぎ込んだんですが

もう 1日以上も
たっていたとかで…。

検視した医者も
感服しておりました。

短刀で
見事に 心臓を一突きして

立派な ご最期やったと…。

(セミ時雨)

♬~
(テーマ音楽)

♬~

竜三が自決した。

終戦詔勅を聴いた翌日であった。

おしんが知らせを受け
竜三の死と対面をしたのは

それから 2日後であった。

村人の好意で その村の火葬場で
竜三を だびに付し

おしんは お骨になった
竜三を抱いて 帰宅した。

♬~

(おしん)あんた… 帰りましたよ。

(初子)母さん。 まさか 父さん…。

ホントは うちに連れて帰って
初ちゃんにも 禎にも

お別れしてやって
ほしかったんだけど

うちまで連れて帰ってくれる
車も人もないし…。

父さん!

(希望)とにかく 明日 僕が
禎ちゃんを迎えに行ってくるよ。

それからって事になるけど
お葬式の手配なんかは?

父さん
あんな山の中で亡くなって…。

誰にも見つからない
ような所だったって

村の人が話してくれた。

父さん きっと 誰にも知れずに

ひっそり あのまま
土へ帰るおつもりだったと…

母さん そんな気がするの。

だから お葬式なんて
大げさな事したら

かえって 父さん
つらいんじゃないかしら。

禎ちゃんが知ったら
どんなに悲しむか…。

禎ちゃん 父さんに
一番 かわいがられてたし

父さんっ子だったから…。

父さん 勝手すぎる!
こんなに ひどい戦争の中を

せっかく 生き残ったっていうのに
命を粗末にして!

後に残された者が どんな思いを
するかも 考えないで…!

初ちゃん! 母さんや禎ちゃんが
かわいそう!

雄さんだって 仁ちゃんだって…

帰ってきたら
どんなに がっかりするか…。

父さんはね…

雄や仁が戦死したと
信じておられたのよ。

生きるより死ぬ方が
楽だって言うけど

父さん あんな死に方するには
よほどの覚悟がないと…。

でも 死んで 雄と仁に会える…

それ 楽しみに
していらしたんだから…

母さん それだけで救われる。

(希望)今頃 3人で会って
笑ってるかな。

会えるはずないでしょ!

雄さんだって 仁ちゃんだって
必ず 生きてるんだから!

私たちだけの お葬式を
済ませましょう。

父さんが
あんな死に方なさった事は

私たちだけの胸に しまって…。

それが 父さんのお気持ちを

大事にする事だと思うの…。

(亀次郎)おしんさん おんね?
おしんさん!

あ~ おったとね。
お兄さん…。

おふくろば
連れてきたさい。

お母さん?

(亀次郎)どがんしても来って
言って 聞かんとじゃっけん

しかたんなしに…。

(清)この ふうけ者が!
(亀次郎)お母さん…。

戦争に協力した責任ば取っとは
何ね!?

お前の責任は こいから
おしんさんや禎の暮らしば

立てていく事じゃなかか?
そいば 一人 さっさと

楽になってしもうて!
そがん卑怯な事の あっね!

残された おしんさんや禎は

どがんして 生きていくて
言うとか!

お母さん…。
お前は 意気地なしたい!

何もかも のうなってしもうて

もう やり直す
かい性のなかけん

逃げただけじゃなかか!

こがん情けなか息子ば持ったって
思うぎ

おしんさんにも 申し訳のうして
顔向けも でけんたいね…。

お母さん…。

私は
竜三を 立派だと思っています。

戦争が終わったら

戦争中は
自分も黙っていたくせに

自分一人は
戦争に反対してきたみたいに

「バカな戦争だった」とか
「間違った戦争だった」とか

偉そうな事 言って…。

私も そうでした。

暮らしが
豊かになるためだったらって

竜三の仕事に
目をつぶってきました。

戦争のおかげで 自分だって
ぬくぬく 暮らしてきたくせに

今になって
戦争を憎んでるんです。

雄や仁を奪った戦争を
恨んでるんです。

そんな人間に比べたら

竜三は どんなに立派か…。

自分の信念を通して生きて

それが崩れた時に
節を曲げないで

自分の生き方に
けじめをつけました。

私は そんな竜三が好きです。

大好きです。

あの人との結婚生活では
いろんな事がありました。

別れようと思った事も
一度や二度では ありません。

でも 今は ホントに

一緒になれてよかったと
思っています。

あの人に巡り会えて

二十何年 妻でいられた事を

心から 誇りに思っております。

おしんさん…。

竜三は
よか人ば 女房に持ったたいね。

あたいよりも 誰よりも
竜三の事ば

よう分かってくれとう
おしんさんと連れ添うて…。

竜三の遺書にも 「オイの人生で
一番 幸せやったとは

よか伴侶に恵まれた事」て
書いてあった。

そいが あたいにも
やっと よう分かったと…。

おしんさん 無理ばして
来たかいの あったたいね。

もう 竜三のためには 泣かん。

ただ おしんさんの事が…。

お父さんにも
言われてきたとばってん

禎と一緒に
佐賀さん帰ってこんね。

ここじゃ
食べる物にも困っじゃろう。

ありがとうございます。

でも お母さん…

私には 初子も希望もおります。

雄や仁の事も
まだ 諦めておりません。

確かに戦死したって証拠を
見るまでは

何年でも 何十年でも
必ず帰ってくると信じております。

2人の帰ってくるのを
ここで 待っていたいんです。

そがんさい…。 そいが

母親の気持ちっちゅうもんたいね。

お母さん…。

おしんさん。

長か間 竜三のごた
わがままか男の面倒ば

見てもろうて ありがとう。

改めて 礼ば言いますばい。

まあ あたいも 年たい。
こいで 佐賀さん帰っぎ

もう二度と おしんさんにも
会えんじゃろう。

あ~ 礼ば言えて よかった!

ハハハハハ。

翌日 おしんの引き止めるのも
聞かず

お清は 竜三の骨の一かけらを
懐に抱いて

佐賀へ帰っていった。

お清が去って間もない 8月28日
占領軍が 厚木飛行場に到着した。

そのニュースに
おびえている時の事であった。

さあ お茶にしようか。 ねっ。
はい。

(いびき)

はあ~。

(いびき)

仁…?

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)仁が帰ってる…。

仁が寝てるの。
(初子)母さん…。

いびき かいてる。

(希望)母さん 大丈夫?

何が?
しっかりして 母さん!

いや~ね 母さん 正気よ。
ホントなんだから!

汚い顔して!

仁だ!

母さん 生きてる…。
生きて帰ってきたんだ 仁ちゃん。

おい 仁!
そのままに しといてやろう。

好きなだけ 寝かせてやろう。

人に さんざん 心配かけやがって。
全く!

手紙ぐらい よこすもんだぞ!
のんきなもんだ。

でも よかった…。 やっぱり
元気で帰ってきたじゃないの。

ねっ 母さん。
うん!

そうだ! お風呂 お風呂!
ホント 何か臭うね。

僕が たくから!

じゃあ 母さん
何か 食べる物 こしらえなきゃ!

佐賀の おばあちゃまから頂いた
もち米と小豆が。

そうだ。 ちょうど よかった。
じゃあ お赤飯でも ふかして…。

お赤飯 時間かかるから
起きてすぐ食べられる

すいとんか何か…。
はい! うん!

風呂 沸いたんだけどな
まだ寝てる。

すいとんも出来たのに…。
よっぽど 疲れてるんだ。

(仁)いい匂いだな。 うどんか?

(希望)仁!

そうだ。 俺 うちへ帰ってたんだ。
何だ? 何の連絡もなしに。

(仁)そんな暇なんか あるか!

突然 戦争は終わったって
言われて…。

それから 徹夜で 何日も
書類の焼却やら

いろんな後始末やらで
追いまくられて…。

そのうち
アメリカ軍が進駐してきたら

一戦を交えようなんて計画も
出てきたり…。

何が何だか分からないうちに

今度は
アメリカ軍が やって来る前に

さっさと出ていけ」って
命令で追い出されて…。

全く 日本帝国海軍も
お粗末なもんだよ。

母さん
仁は 出撃したんだとばっかり…。

「元気で行ってまいります」って
あの葉書

最後のつもりじゃなかったの?
そうなんだよ。

俺は 同期の少年飛行兵の中で
一番に選ばれて

鹿児島で
待機する事になってたんだ。

それが 運悪く
乗る飛行機が故障して

鹿児島へも行けなくて
もたもたしてるうちに終戦でさ…。

あんな悔しい事は なかったよ!
(初子)何 言ってるの?

運がよかったんじゃない。

飛行機が故障していなかったら
今頃は 仁ちゃん…。

死ぬ覚悟は できてたんだよ!

あの時 死んでたら
日本が負けた事も

アメリカ軍に占領される事も
知らないで済んだのに!

おめおめ 生き恥さらして!
仁…。

これから 何のために
生きればいいんだよ?

目的も理想も無くなっちまった。
俺は 抜け殻だよ もう!

仁… お帰りなさい。

よく 無事に
帰ってきてくれたね。

母さん…。

俺たち 何のために あんな
苦しい訓練に 耐えてきたんだよ。

大勢の先輩たちが死んでったのも
みんな 無駄だったなんて…。

そんなバカな話があるもんか!

あの戦争が間違ってたなんて
言われたら

戦死した先輩たちは
浮かばれやしないじゃないかよ!

俺たちは
一体 どうしたらいいんだよ…。

俺は 本当に 祖国のために
命を捨てるつもりだった…。

天皇陛下のために
潔く 大空に散る事が

俺の使命だと信じてた。

だのに 今度は
草の根を食っても生きる事が

天皇陛下の赤子としての
務めだって訓示を受けて

隊を追われた。 俺は もう 何を
信じていいのか分からないよ!

仁…。

母さん この戦争が正しかったとか
間違ってたとか

そんな事 言うつもりはない。

この戦争が
どんなものであろうとも

でも お前は 一つの目的に
命を懸けて 打ち込んだんだ。

それでいいじゃないの。
若い時に 一度でも

そんなものに巡り合えるなんて
幸せな事なんだよ。

きっと いい思い出になる。

「俺だって 純粋に あんなに
燃えた時があったんだ」って…

いい思い出にして
生きていかなきゃ。

父さんだって

戦争に協力した事に
責任は 感じていらしても

日本の勝利を疑わずに
精いっぱい 働いた事を

悔やんでは
いらっしゃらなかった。

自分の信念を通して 生きた事を
満足して 亡くなったんだ。

母さん…。

「無事 帰りました」って

父さんに…。

(仁)俺 父さんの気持ち
よく分かるよ!

父さんも僕も 同じものを
信じてきて 見事に裏切られた!

今までの 俺たちの生き方は
完全に否定されてしまって

全く 別な日本が
生まれようとしている。

「そんな日本に 節を曲げてまで
生きていたくはない」って

父さんの気持ち 僕も同じだよ!
仁…。

僕も死にたいよ! 父さんのように
死ねたら 僕も信念を通せる!

楽にもなれる!
仁ちゃん…。

でも 僕には
父さんみたいな勇気は ないよ。

敵艦になら
突っ込む覚悟もできたのに…。

意気地がないんだな…。

母さんの顔 見たら
やっぱり 生きていたい!

生き恥さらしたって
生きていたい!

(希望)仁 いいんだ。
それで いいんだよ。

占領軍が進駐してきて
日本は 何もかも変わるだろう。

そうしたら 大事なのは
生きるって事なんだ。

上から押しつけられるような事は
もう たくさんだ!

1日で変わってしまうような事を
信じさせられたら

いい迷惑だからな。 これからは
自分のためだけに 生きていく。

忠君愛国なんて クソ食らえだ!

希望…。
それくらいの気持ちじゃないと

これから
日本で生き残れやしないぞ!

ああ! 俺は 女々しく たくましく
生き抜いてやるよ!

信じてたものに裏切られたんだ。
もう 何も信じないよ!

一度 死んだと思ったら
怖いものもない!

居直って 生き抜いてやるよ!

はい!
(仁)頂きます! はい!

あんたが すいとん 嫌いな事は
分かってるんだけども

昼は 我慢して。
夜は お赤飯 ふかすから。

相変わらず
こんな物 食べてるのか。

軍隊とは 違うのよ。
航空隊にいた時だって

食事は ひどくて
腹 すかせてばかりいたけど

ちゃんと 米の飯は
食わせてもらってたからね。

すいとんだって
ぜいたくな方なんだから。

サツマイモとか 大豆のかすの
ふかしパンとか 芋のつるとか…。

みんな 大変なの。

母さん 俺 航空隊から
砂糖や缶詰 もらってきたんだ。

それ 農家へ持ってって
米や野菜と換えてくるよ。

それを 町で また 品物と換えて

その品物を 農家へ持ってって
また 米や野菜と換えて…。

仁が そんな事…。
闇屋じゃない それじゃ。

構うもんか! もう
法律も警察も ありゃしないよ!

国が 庶民の生活を
守ってくれないんだ。

一人一人が 自分で食ってく事を
考えなきゃな。 仁…。

俺が頑張るよ!
何だって やってやる!

雄兄さんが帰ってくるまでは
僕が このうちの責任者だからね。

♬~

(仁)お代わり!
はい!

終戦の混乱の中で
竜三を失った おしんにとって

仁が帰ってきてくれた事は

どんなに心強いか
分からなかった。

それは 雄を待つ希望にもなった。

しかも 仁は 帰った翌日から
リュックサックを背負って

買い出しに
出かけていったのである。

遅いですね 仁ちゃん…。

どこまで行ったのかね。
何にも分かんないくせに

「大丈夫 大丈夫」って。 止めたって
聞きゃしないんだから!

いつか 希望ちゃんが
母さんの着物 持って

買い出しに行った事が
あったでしょ。

結局 何にも買えないで帰ってきて
「もう二度と嫌だ」って…。

なりも大きいし
言う事も一人前だけども

希望も仁も まだ16だもんね。

闇屋でも何でも やってやるなんて
大きな事 言ったって

何ができるもんか。

まあ やる気があるのは
悪い事じゃないけど…。

はあ…。 仁 待ってても
いつになるか分からないから

先 お夕飯 済ませちゃおうか。
はい。

(戸が激しく開く音)

仁!

(仁)米1升に 大豆1升。
これは うちの分。

仁 あんた…。
さすがに 砂糖と缶詰というのは

値打ちがあるんだね。
5軒ぐらい 回って

たちまち 持ってった物は
さばけちまったよ。

見ず知らずのうちへ
入ってったのか?

当たり前だ 初めての村だもん!
でも みんなと仲良くなったよ。

「少年飛行兵で 死に損なって
こういう事しなきゃ

食べていけないんだ」って話すと
同情してくれてね。

これからは いいお得意様だよ。

「どんな物が 一番 欲しいか」って
聞いたら

せっけんとか手拭いとか
子どもの洋服とか着物とか

いろいろ 言ってくれた。

だから 換えてもらった米や大豆や
野菜を 町へ持ってって

そういう物と換えてきたよ。
町の どこで?

焼け残った店や うちへ
手当たりしだい入って

また 事情を話してさ。
思いどおりの物とは

換えられなかったけど
まあまあ 成果は上々だよ。

母さん せっけん 要るのなら
置いとこうか? 手拭いもあるよ。

いや~
うちは まだ 昔のあるから いい。

隊でもらった砂糖や缶詰の
あるうちは

新しいとこ開拓して 顔なじみの
農家を 一軒でも増やすんだ。

本当の商売は それからだ!

うちで食べる食料くらいは
もうけになると思うよ 母さん。

禎だって 連れて帰って
大丈夫だよ。

占領軍の進駐も
うまくいってるらしいし…。

希望。 明日にでも 禎を
迎えに行ってやってくれないか。

母さん。 父さんの事 禎には
病気だったって話した方が…。

自殺なんて言ったって
父さんの気持ち

とても 禎には
理解できやしないんだからさ。

仁は 誰に似たんだろうね。
仁が こんな事 できるなんて…。

一度 死んだと思ったら
どんな事だって やれるよ!

恥ずかしいなんて
言っちゃいられないもんね!

♬~

(禎)おいしいね! みんなと
食べると 本当に おいしいね!

(仁)禎 好きなだけ食べるんだぞ!

兄さん 絶対 お前に
ひもじい思いは させないからな!

食事は 貧しくても 子どもたちと
一緒に囲める食卓を

おしん
しみじみ 幸せだと思った。

やがて 9月が来て
全国で 学校が再開され始めた。

終戦後 ただ 夢中で
その日を送っていた田倉家にも

仁と希望の将来を考える
一つの節目が訪れていた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(希望)はあ… はあ…。

(仁)希望 大丈夫か?
うん。 けど 疲れたよ。

何だよ これくらいの事で!
さあ!

(仁)いつも 出入りしてる
地主の奥さんに

花嫁衣装 探してきてくれって
頼まれたんだ。

11月に 娘さんが
お嫁に行くんだって。

どうしても
着せてやりたいからって。

(初子)見事なものね。

こんな物 持ってる人が
今でも いるのね。

焼け残ったうちには まだまだ
いろんな物があるんだよ。

でも 年寄りや女こどもばかりで
買い出しにも行けなくてね。

でも 仁には 感心させられるよ。

見ず知らずの家だって
のこのこ 入り込んで

誰とでも 仲良くなっちゃってさ。
才能だね やっぱり!

(仁)希望みたいに ブスッとしてたら
できる商売も できないぞ。

(希望)僕は 荷物持ちで
ついてってるだけだもん。

あっ そうそう これ 乾燥芋。
禎ちゃんに。

農家で お茶うけに
出してくれたんだ。

希望ったら 食べないで
もらってきたんだよ。

(禎)ありがとう!

初ちゃんが結婚する時も きっと
花嫁衣装 見つけてくるからね。

でも 雄さん
いつ 帰ってこられるか…。

大丈夫だよ!
戦死の公報が入ったのに

生きて帰ってきた人がいるって
言うんだ!

ましてや フィリピンなんて
分かってたまるもんか。

政府は ポツダム宣言の条項によって

海外にいる日本兵の復員を
開始するそうだけど

満州から東南アジア
太平洋の島々…

民間人も入れたら
どのくらいになるかな。

きっと その中に交じって
帰ってくるよ 雄兄さんも。

もうすぐだよ!

希望。 明日 持っていく物を
ちゃんと詰めといてくれよ。

うん。
さあ 風呂に入るかな。

(おしん)仁。 もう 闇屋の
まねみたいな事 やめなさい。

希望も仁も 学校 行かなきゃ。
学校?

中学が始まるって。

冗談じゃないよ。
今更 学校だなんて…。

僕は 中学4年を卒業した事に
なってるんだ。

それで十分だよ。
何 言ってるの。

あんたたちは 中学校3年で
軍需工場へ動員されて

それで あんまり
ろくに勉強もしてないでしょ。

もう一度
中学4年から やり直して…。

(仁)学校へなんか行って
何になるんだよ?

今は それどころじゃないだろ。
とにかく働いて 食べる事が…。

そんな事は 母さんが考えます。
母さんに 何ができるんだよ。

店なんて いつ やれるか
分からないんだぞ。

母さんだってね
仁の やってる事ぐらい。

あんたが生まれる前は
魚の行商して 歩いてたのよ。

まあ 母さんね
いろいろ 考えてみたけど

まだ 店 出すには 早すぎるし…。

担ぎ屋やって まあ
なんとか やるよりほかないわね。

あんたたちが やったあと
母さんが引き受けるから。

母さん…。
むちゃだよ その年して!

俺たちだって へばるほどの
重い荷物 背負って

満員の電車に しがみついたり

歩き回ったりできるはずが
ないだろ。

バカにしないでちょうだい。
あんたたちと私 鍛え方が違うの。

でも 母さんは
長い事 働いてないんだし…。

荷物ってのはね
力で運ぶんじゃないのよ。

ちゃんと コツがあるんだから。
母さんが いらっしゃるのなら

私も 荷物持ちに ついていきます。
(仁)いいよ!

僕だって やっと
この仕事に慣れてきたんだ。

今 やめたら
何もかも 水の泡じゃないか。

仁!
学校へは 行かないよ!

母さんが 何て言ったって
行かない! 行く必要ない!

じゃあ あんた 一生 大の男が
担ぎ屋するって言うのかい?

この商売で 資金が貯まったら
店をやって…。

あんたね
好きな事やっても構わないけど

母さんは 希望と仁に
ちゃんと 教育 受けさせるのが

母親の務めだと思ってるの。
学校へは 行ってもらいます。

世の中 混乱してて 今は

学校なんか行くのは バカバカしいと
思うかもしれないけど

世の中
落ち着いてきてごらんなさい。

大学 行っとかないと!
大学?

当たり前だろ 男の子なんだから!
母さんの言う事

聞けないんだったら
それでもいい。

ただし 闇屋のまねなんかは
もう二度とさせないからね。

それでも 学校 行かないって
言うんだったら

好きなとこ出ていって
好きな事しなさい!

母さん あんたたちに
食べさせてもらうつもりは

毛頭ないんだから!
母さん!

やがて 担ぎ屋は
おしんと初子の仕事になり

10月に入って
仁と希望は 中学4年に

禎は 小学校4年に復学した。
おしんは かつて

魚屋の行商で回った事のある
農家へも 顔を出し

メリケン粉 卵 野菜などを
仕入れては 町へ運んで さばく。

町でも 魚屋時代のお得意が
ひいきにしてくれて

おしんの商売にも
小さな光が見え始めた。

戦争さえ なかったらな。
うちも 売り食いで

タンスの中は 空っぽや。
いつまで続くか…。

でも あんたが来てくれるおかげで
助かるわ。

おじいちゃんが
病気で寝込んでるでしょ。

せめて 白い御飯ぐらい
食べさせてやりたいんやけど

病人 抱えてちゃ
買い出しにも行かれへんしね。

何だかね
だんだん 高くなるばっかりで

申し訳ありませんね。
しかたないわ。

みんな 配給だけでは足りへんし
物がないんやもの。

けど あんたも 因果やな。

せっかく 軍の仕事して
うまい事いってたと思ったら

また こんな事
せんならんやなんて…。

でもね 昔のお客さんに
随分 助けてもらってるんです。

まあ 戦争が終わって

軍人に偉そうな顔されんで
済むだけでも ええわ。

それに アメリカ軍が進駐してきたら
どないな事になるか

心配してたんやけど
大した騒ぎも起こらんと…。

占領軍 怖がってたのが
夢みたいやわ。 そうですね。

戦争 終わった時は
ホント どうなるのかと思って

お先 真っ暗だったけども

まあ 何か 働いてれば
食べていけそうですし。

ああ。 あんたとこも 家が
焼け残っただけ 不幸中の幸いや。

防空壕や掘っ立て小屋で
暮らしている人かて

ぎょうさん いるんやよって…。
そうなんです。

それはね
ありがたいと思ってるんですよ。

外地からも どんどん
引き揚げてきてるらしいけど

丸裸で帰ってくるんやもんね。

ホンマに 戦争に負けるいうのは
情けないもんやね。 よいしょ。

あっ すいませんね。

はい はい。 よいしょ!

大丈夫か?
はい。

お母さん! 変な人が うちに来て
仁兄ちゃんと ケンカしてる!

「ここは 私たちの家だから
すぐ 出ていけ」って!

ここが あなたのうちだって証拠が
どこに あるんですか?

(文造)君たちこそ
このうちが 君たちのものだって

証拠があるのかね!?
勝手に 人のうちに住み着いて!

出ていかないと 警察に
訴えてやる! あ~ どうぞ!

俺たちに やましいとこなんて
ないんだからね!

母さん…。

あっ あんたが
このうちを乗っ取った張本人か?

どういう事でしょうか?
そりゃ こっちで聞きたいね!

ここは 私のうちなんだ!
軍の仕事で行ったから

空き家になるんで
軍に借りてもらったが

帰ってきたら すぐに明け渡すって
約束だったんだ!

とにかく
こうして 帰ってきたんだから

即刻 明け渡してもらいたいね!

じゃあ あなたが
釜山に赴任なさったっていう…。

それじゃ
引き揚げていらしたんですか?

事情は 分かってるようだな。

だったら
さっさと出ていくんだね。

このうちは 持ち主の方が
あちらで永住なさるというんで

主人が 生前 軍を通じて
譲り受けたもんなんです。

お金も ちゃんと支払いました。

このうちは
私どもで買ったんです。

そんなバカな!

(勝子)あなた! ありました!
ありました! ありました!

ありましたよ!
私のトランクに入ってました!

そうか!
ほら ちゃ~んと見なさい!

これはね ここのうちを
軍隊に貸した時の契約書よ。

大畠文造ってのが 主人の名前。
分かった?

ふん!
子どものくせに 生意気な!

「このうちの持ち主だって証拠は
あるか」だって!

あ~ 「盗っ人 たけだけしい」とは
この事だわ!

人が釜山にいて 分からないの
いい事に どさくさに紛れて

乗っ取ろうったって
そうは いかないんだから!

ねえ
あなた ご覧になりまして?

まあ あなたが大事にしてらした庭
メチャメチャにして

木も何も引っこ抜いて
防空壕は掘る 畑は作る。

目も当てられませんよ!

元のとおりにして
返してもらわなくちゃ!

お言葉ですけども このうちは
私どものものになったから

食料がない時に 畑にしたんです。
自分のうちだと思うから

空襲の時に
火の粉を浴びながらでも

一生懸命 消火して
焼けずに済んだんです。

人のうちだと思ったら
そんな事まで

誰がするもんですか!
「自分のうち 自分のうち」って

じゃあ あなた
譲渡契約書でも持ってるの?

持ってるなら
見せてもらおうじゃないの!

実は 終戦 間もなく
主人が死にまして

こういう契約上の事は
はっきり分かりません。

でも 主人は
嘘をつく人では ありません。

私たちに 家を残せたって
安心して 死んだんです。

私は 主人を信じております!

いやしくも これだけのうちを
売ったり買ったりするのに

そんなに いい加減な事で
済むと思ってんの?

ものを言うのは
書類なんですからね!

それを見せなさいって
言ってんの!

どうぞ。

何ですか? これは。

軍の方に支払った
このうちの代金の受取です。

何回かに分けて
払ったんですけども

最後に まとめて 軍の方から
受領証を頂きました。

あきれたもんだ。
連隊長の判が押してあるが

こんなもの
何の効力もありゃしない。

釜山に永住なさるからって
連隊の方に このうちの処分を

委任なさったんじゃ
なかったんですか?

私は 軍の仕事で行ったから

内地での事は いろいろ
軍の方へ頼んではいきましたよ。

このうちの事だって 誰か
軍関係の人に貸してほしいって。

しかし 売ってくれなどとは…。

あちらに
永住なさるおつもりだったら

このうちは
要らないはずじゃありませんか。

そんな事 決めてませんよ!

とにかく
軍隊は 無くなっちまったんだ。

軍が出した書類なんか
あんた みんな 反故だよ。

この私との契約書がない限り
あんたは どうしようもないんだ。

じゃあ うちが… うちの主人が
支払ったお金は

どうなるんでしょうか?
そんな事は 私が知るもんかね。

お宅の方では
一銭も うちのお金を

受け取ってらっしゃらないって
おっしゃるんですか?

あんた!
うちが お金を受け取っといて

しらを切ってるとでも言うの?
じゃあ 一体 このお金は どこに?

軍の人たちに 猫ばばでも
決め込まれたんじゃないの?

軍人ったって
ろくでもないのばっかり

そろってるから 日本は
こんなになっちまったのよ。

おかげで 私たちだって
何もかも あっちへ置いて

命からがら 逃げてきたんだから。
このうちだけが頼りなのよ!

(征子)お母さ~ん!
はい?

おなか すいた~。

(茂男)いつまで ゴタゴタしてんだよ。
早く 飯にしてくれよ。

(佳子)ねえ お風呂 沸かして!
たまんないわ 気持ち悪くて!

はい はい。 え~ とにかく
お米と炭 届けさせなくちゃね。

ちょっと 頼んできて下さいな。
何 言ってんだ?

昔の店は みんな 焼けちまって
なかったじゃないか。

じゃあ どっか探して。 いくら
内地は 物がないって言ったって

お金さえ払えば 手に入るでしょ?
(文造)う~ん…。

お母さん…。
あっ ごめん ごめん。

おなか すいたね。
今すぐ 支度するから。

あんた! あんた
まだ ここに居座るつもりなの?

このうちは 私のうちです。
誰にも遠慮しません。

あんた…。
食料は おありなんですか?

配給 もらっておいでに
ならないんでしょ?

お金があったって
おいそれとは 買えないんですよ。

今日は うちの方で
お宅の分も こしらえます。

雑炊ぐらいしか できませんけど
みんな それで

我慢してるんですから。
結構よ! そんな事で

ごまかされて たまるもんですか!
いや まあ

今夜のとこは しかたないだろう。
すぐに出ていけったって

この人たちだって
行く所もないんだろうし…。

まあ できるだけ早く
引っ越し先を見つけてもらって…。

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

おしんが 自分のものになったと
信じていた家に

突然 前の持ち主が引き揚げてき

「誰にも売った覚えはない」と
居直ると

おしんたちに 立ち退きを迫った。

もちろん おしんには
出ていく気持ちなどなく

結局 一つ屋根の下で

2組の家族の 不愉快な同居生活が
始まった。

♬~

(仁)どうだった?

(おしん)残務整理で いらした方に
お会いしたけども

何も分からないって…。
そんなバカな!

判を押してある以上
責任があるはずだろ?

無理よ。 軍隊が
無くなってしまったんだもの。

それに 実際は 部下の方が 間に
入って下さったらしいんだけど

今となっては
その人を調べようもないって…。

じゃあ 泣き寝入りなの? 俺たち。
しかたないだろう…。

敗戦で 何もかも
おかしくなっちゃったんだから…。

≪♬~(ラジオ)

うるさい!
仁!

≪(佳子)うるさいのなら
出ていけばいいだろ!

誰も いてほしくて 置いて
やってるんじゃないんだからね!

何だと!?
よしなさい!

≪(勝子)ずうずうしいったら
ありゃしないわね!

行く所がないって言うから
住む所が見つかるまでって

置いてやってるのに! まあ うち
探そうともしないで 居座って

文句言えた義理じゃ
ないだろうにね!

仁! 相手にするんじゃないの!

(仁)一体 いつまで
こんな生活が続くんだよ!

母さん あいつらを
追い出せないんだったら

ここを出ようよ! あんなやつと
一緒に暮らすんだったら

野宿でも何でもした方が
よっぽど ましだよ!

雄が帰ってくるまでは
ここ 動けないのよ。

雄は このうちに
帰ってくるんだから。

あれぐらい言われたからって
何よ。

雨露しのげるだけでも
ありがたいと思わなきゃ。

母さんは 平気よ。

父さんは ちゃんと お金を払って
このうちを買って下すった。

空襲からだって このうち
守ったのは 私たちなんだから。

出ていく理由なんか
何にもないのよ!

(禎)ねえ また お餅 焼いてるよ。
よく お餅なんて あるね。 禎!

でも いい匂いだな。
お餅 焼く匂いって…。

おしんには 子どもたちの気持ちが
よく分かっていた。

ふびんで ならなかった。

…が 出たら最後
野宿するよりほかない。

身を寄せる知人も 家を借りる
金もない おしんであった。

今は ただ 5人家族が
飢えないで済むように

担ぎ屋に精出す事が
おしんの務めであった。

そして いつか 何もかも
我慢の半年が過ぎていた。

何度も言うようやけど 取締りが
厳しいなってるよってな

気ぃ付けんと。
もし 引っ掛かったらな

荷物なんか放り出して
逃げた方がええで。

荷物 持ってて 捕まったら
それが証拠になって

ただでは済まへんよってな。

(汽笛)

(汽車の走行音)

お巡りが張り込んでるぞ!
逃げろ!

(初子)母さん 早く!
慌てる事ないよ!

母さん! なにも 悪い事
してる訳じゃないんだ。

母さん…。

(警官1)おい!
(警官2)待て待て。 荷物を開けろ。

ただの買い出しじゃないな。

米は 統制品だ。 勝手に売ったり
買ったりしたらいかん事は

分かってるんだろうな。
分かっています。

だから 商売してるんです。
何だと!?

うちは 主人 亡くなりました。

長男は 出征したまま
まだ 帰ってきません。

働き手がいないのに 5人の家族
養っていかなきゃならないんです。

でも 働き口なくて
私ができる事っていったら

闇屋ぐらいなもんなんですよ!
これ 止められたら

たちまち 家族5人
飢え死にしなきゃならないんです。

それとも 金のない者は
黙って死ねって事ですか?

つべこべ 言うな! 署まで来い!
さあ 来い!

闇屋やっちゃいけないって
言うんだったら

闇屋やらないで生きていける方法
教えて下さい!

私ら なにも 好きで こんな事
やってるんじゃありません!

ほかに生きていける方法
あるんだったら

誰が こんな事したいもんですか!
私ら 取り締まる前に 誰もが

まともに働いて生きていける方法
考えてくれるのが

お上の仕事ってもんじゃ
ないんですか! 何を生意気な!

文句があったらな 署で聞く!
さあ 来い! ほら!

(希望)禎ちゃん。

サツマイモのふかしたの 残ってるよ。
食べたら?

どうしたのかな 母さん…。
もうすぐ 帰ってくるよ。

(ジミー)Oh! Hello, how are you?
Charming little face!

Look, I have something for you.
Some chocolates.

(佳子)もらっときなさい。 ジミーは
優しい人なのよ。 ねっ ジミー。

もらうな!
何よ! せっかく ジミーが…。

何が ジミーだ! アメリカ兵が 日本に
何をしたか分かってるのか!

空襲で 何百万という非戦闘員を
殺した!

広島と長崎では
原子爆弾を落として

どんな残虐な大量殺人をしたか!

そんなやつから
物をもらうくらいなら

飢え死にした方が ましだよ!
よくも そんな!

まあ! ジミーさん
よく いらして下さいましたわね。

あんたたちは 人間のクズだよ!

同胞を殺した男たちに
こびを売って! 淫売! パン助

何だって!? もう許さないからね!

淫売を淫売と言って
どこが悪いんだよ!

人が同情して 置いてやってんのに
もう 堪忍袋の緒が切れたわ!

さあ! とにかく出てらっしゃい!

明日にでも 出てらっしゃいよ!
出てってよ!

ねえ ジミー さあ どうぞ どうぞ
上がって下さいね!

私ね あなたの事 ベリー ベリー
待ってたの! ねえ まあ!

≪♬~(ラジオ)

≪(佳子の笑い声)

(禎)母さん。 アメリカ兵って
何でも持ってくるのね。

この間なんか
こんな大きな お肉の塊。

お砂糖だって
真っ白くて サラサラしてるの

大きな袋に いっぱい!
禎ちゃん!

私 さっきのチョコレート
もらっとけばよかった。

仁!

母さん 明日 山形 行ってくる。
母さん…。

(希望)何しに?
汽車なんて ろくに走ってないよ!

何日 かかるか…。

ここを出たいの。 このままじゃ
みんな 駄目になってしまう。

母さん…。

山形 行ったら 少しは お金
貸してもらえるかもしれない。

ここを出るには
お金も要るもの…。

どんな事だって やるよ。
僕も 学校やめて

母さんの仕事 手伝う。
また そんな事…。

母さんは あんたたちに
勉強してもらいたいから

ここを出るつもりにも
なったのよ。

農家の暮らしも 少しは
よくなったみたいだから

相談に乗ってもらえるかも
しれないしね。

まあ 母さんには そこしか
当てにできる所がないし…。

≪♬~(ラジオ)

どうも どうも
ありがとうございます。

また お願いするっす。
(とら)また 来てけらっしゃい。

どうも どうも。 どうも どうも。

おしんさん!

まあ 随分 御無沙汰しまして…。

よく来たこと~!
大変だったっけべ!

(庄治)おしん

よく来たな~!
町の暮らしは 大変だべ?

この辺りだって わざわざ
買い出しに来る衆が増えてよ。

俺たちも 長い間 貧乏小作で
つらい思いしたけんど

やっと 辛抱したかいがあった!
おしん! いよいよ 日本も

小作や地主の制度が
無くなるってよ!

マッカーサー元帥の命令でな 農地改革が
断行される事になって

村は 今 その話で大変なんだ!
本当に そんな事が?

やっと
農民が報われる時代が来るんだ。

よかったな。

いろいろ
難しい話もあるらしいけんど

小作が 地主から
安く土地を買う事になるそうだ。

おしん。 もし 銭の話で来たんなら
今は 到底 無理だ。

旦那から 土地 分けてもらう事に
なったら たちまち 銭が要る。

うちだって 人から
借りてえぐらいなんだから。

(とら)それに
長男さ 嫁 もらう事になって

新しいうち 建ててみっかなと
思って…。

まあ 先立つものは 銭だもの。
なんぼあっても 足んねえんだず。

いいあんばいな事に 村の山の杉ば
切り出す事になってよ

それば 分けてもらうつもりには
してるんだけんどな…。

杉って…。 切り出して売るの?

ああ。 40年ばかり たったのが
あって…。

何せ 焼け跡の復興で
需要が なんぼでもあるんだと。

40年になるのが…。

8つん時だった。

杉苗 背負って 山 登った…。

毎日 毎日
山 登って つらかった…。

この杉が大きくなったら

みんな 私が買おうと思った。

こんなに苦労して 植えたのに

人にやるのは もったいねえって。

なのに 買うどころか…

借金しに帰ってきて…。

おしん
兄ちゃん!

杉 売れたら 1, 000円でも ええ。
貸してけろ! お願いします!

おしん
このうち 守ってきたのは 俺だ。

なんぼ うちば出て 好きな事
してえと思ったか 分かんねえ!

長かったぞ おしん…。

それが や~っと…。

杉だって 田んぼだって
俺が食う物も食わねえで

血 にじむような思いして
残してきたもんだ!

俺の命 削って
俺の命と引き換えに…。

(とら)おしんさん
早く 中さ入ってけらっしゃい!

(庄治)おしん ゆっくりしていけ。
腹いっぱい 食って…。

今の俺たちに してやれるのは
それぐらいの事だ…。

♬~

おしんには 言いたい事が
山ほどあった。

…が 何も言う気には
なれなかった。

兄に頼ろうとした自分の甘さが
悔やまれるだけであった。

せめて 庄治と とらの もてなしを
故郷の思い出に 伊勢へ帰ろうと

おしん
寂しく 心に決めていた。