ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おしん 一挙再放送 第36週・太平洋戦争編 田中裕子、並樹史朗… ドラマの原作・キャスト・音楽など…

おしん 一挙再放送▽第36週・太平洋戦争編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 竜三
  2. 希望
  3. 空襲
  4. 戦争
  5. 工場
  6. 初子
  7. 日本
  8. 今日
  9. 心配
  10. 一緒
  11. 入隊
  12. 明日
  13. 面会
  14. 一人
  15. 元気
  16. 自分
  17. お国
  18. お前
  19. バカ
  20. 安全

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おしん 一挙再放送▽第36週・太平洋戦争編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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おしん 一挙再放送▽第36週・太平洋戦争編[字]

主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。

詳細情報
番組内容
昭和18年秋、20歳の雄(ゆう)は、軍隊へ入隊するために、大学生活なかばで、下宿を引き払い、両親の家へ帰って来た。おしん(田中裕子)は、学生の間は兵隊にとられることはないと信じていたので、思いもかけないことであった。雄の入隊を前に、おしんは入隊のことには触れず、雄も平静に気持ちの整理をしているようであった。しかし、おしんにとっては、骨身を削るような毎日で、一生でいちばん長いひと月であった。
出演者
【出演】田中裕子,並樹史朗,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一

 

 


♬~
(テーマ音楽)

♬~

昭和18年 秋 文科系学生の
徴兵猶予が打ち切られ

二十歳になっていた雄は
大学生活半ばで

京都の下宿を引き払い
両親の家へ帰ってきた。

学生の間だけは 兵隊に
とられる事はないと信じていた

おしんには
思いもかけない事であった。

(初子)どうしてですか? 雄さん
まだ 大学 卒業していないのに…。

(おしん)だんだん
戦争が激しくなって

大陸から東南アジア 南の果てまでも
戦線は広がってるのよ。

兵隊さんが いくら いたって
足りないのよ。

それなら
なにも 大学生でなくたって

ほかに いくらでも まだ…。

今はね 15や16で志願して
少年兵になる人だって いるのよ。

それ 考えたらね…。

(竜三)入隊は 12月の1日だ。
まだ ひとつき以上もある。

それまで 心残りのないように

うちで ゆっくり
過ごさせてやったらいいさ。

そのあとは どうなるんですか?
うん。 今までは 入隊した部隊で

3か月の新兵教育を終えて
大学を卒業しとる者は

幹部候補生としての教育を
受けなければならないんだが

まあ どっちにしても
兵役は 免れられんのだ。

外地へ送られる事も
覚悟しなきゃならんな。

じゃあ…

入隊する日までしか
好きな事させてやれないんだ…。

おしん…。

まだ
戦死すると限った訳じゃない!

この戦争さえ終われば いつか
また 自由な日は来るんだ!

しばらくの辛抱だ!

周りが動揺しとったんじゃ
雄だって 気が めいるだろう。

明るく 送ってやるんだ!

(カラスの鳴き声)

(雄)初ちゃん…。

とうとう 来たよ。
男に生まれた以上 当然の義務だ。

覚悟は できてる。

初ちゃんが いてくれて
よかった。

初ちゃんが いてくれたら
僕は 安心して 出ていける。

いつまでも 母さんの力に
なってやってほしい。

まだ しばらく うちに
いらっしゃれるんですってね。

その間 雄さんのお好きなもの
こしらえます。

何でも 召し上がりたいもの
おっしゃって下さい。

初ちゃん…。

≪雄。 入っていい?
はい。

父さんがね 雄にって ヨウカン
持って帰ってきて下さったの。

ヨウカンか。
ある所には あるんだね まだ。

みんな 困ってる時に
申し訳ないような気がするけどね。

うちは まだ食べる物には
不自由しないで済んでるから…。

このままじゃ 日本は どうなるか
分かりゃしないな。

何としても勝たなきゃ
今に 日本人の半分が

飢え死にする事に
なりかねないもんな。

雄。 軍隊もね このごろ
食べる物が ひどいらしいよ。

量が少なくて それで
猛訓練させられるんだって…。

いいんだ。 そんな事は
我慢できる。 ただ…

僕は 母さんが どんな思いをして
僕を育ててくれたか

よく知ってる。
そんな事 考えたら

いくら 忠君愛国って いったって
むざむざとは 死ねやしない。

僕は僕なりに 今の自分が 何を
しなければならないかって事も

死っていうものへの
心構えみたいなものも

できたつもりだ。

でも 母さんの事 思うと…。

母さん 軍国の母って
いわれる人みたいに

「お国のために 死になさい」なんて
言えやしない。

ただ 雄が納得できる生き方さえ
してくれたら それでいい。

雄。 人は それぞれ
考え方が違うのね。

父さんと母さんも違う。
雄と母さんだって違う。

だから 雄が これでいいんだって
信じれるんだったら

たとえ お前が 戦争に
命 懸けたって 母さん 諦める。

でも もし お前が 戦争なんて
意味がないと思うんだったら

脱走したっていい。

母さん…。

自分で
悔いのないように生きてって

母さん 言ってるんだよ。

母さんに 心 残されたんだったら
母さんだって つらいだけだ。

雄の人生は
雄だけのもんだからね。

ありがとう 母さん。

僕は 親不孝する事に
なるかもしれない。

でも どんな事があっても

僕が自分で納得して
選んだ道だと思って

許してほしい。

母さん 肩 もんでやる!

いいよ。
もんでやりたいんだよ!

この肩には
随分 お世話になったもんな。

僕 母さんに おぶわれて
方々 行った事 忘れないもん。

母さん 僕は 必ず帰ってくるよ。

帰ってきて
また 母さんの肩 もむんだ。

きっと 帰ってくるよ。

それから ひとつき。

おしんも初子も わざと
雄の入隊の事には触れず

雄も 平静に 気持ちの整理を
しているようであった。

そして
いつか 入隊の日が来ていた。

さあ これを 肩に。

これだけは 勘弁して下さい。
こんな物 掛けて

みんなに見送られて
出ていくなんて 真っ平だな。

何を言ってるんだ!

隣組や婦人会の人たちも
みんな そのつもりで

お前を送り出そうと
してくれてるんだ。

今更 断る訳には…。
僕は一人で

静かに入隊したいんです。
それだけは 通させて下さい。

今まで 出征兵士たちは みんな
そうやって 盛大に

送られてきたんだよ。 お前だけ
勝手なまねをする訳には…。

雄が そういう希望なんだったら

見送りは
辞退させて頂きましょうよ。

私だって あんな儀式は
意味がないと思っていたんです。

意味がないとは 何だ!?

お前たちには
みんなの好意が分からんのか!?

あんた。

こんな日に つまらない事で
言い合うなんて…。 ねっ。

わがまま 言って
申し訳ありません。

しかたがない。 壮行会は
中止するように頼んでこよう。

いいのよ。

みんな 義理で
出て下さるだけなんだから。

母さんだって 今まで そうだった。

母さんにも父さんにも
誰にも送ってもらいたくないんだ。

本当に 一人で行かせてほしい。
何気なく 出ていきたいんだよ。

とうとう
これを渡す日が来ちゃった。

つらいから
今日まで渡せないでいたの。

随分 千人針も作ったけど

雄さんのためだけには
作りたくなかったのに…。

ありがとう。

お元気で…。
必ず 帰ってきて下さい。

初ちゃん…。

僕は 随分 迷った。

このまま 胸にしまっておいた方が
いいとも思った。

でも やっぱり 初ちゃんには
待っていてほしい。

僕は 初ちゃんを
終生の伴侶と決めている。

高等学校へ入って
京都へ行った時

初ちゃんが 僕にとって
どんなに大事な人か分かったんだ。

初ちゃんが好きなんだよ。

いつ 結婚できる時が来るか
分からない。

「待っていてくれ」と言ったって
二度と会えないかもしれない。

それでも 待っていてほしい!

初ちゃん!

私も待ってるつもりだった…。

必ず 元気で帰ってきて…。

♬~

帰ってくる。

初ちゃんが
待ってくれてるんだ。

帰ってくる。

♬~

じゃあ。

ここで いいよ。

♬~

盛大な見送りもなく
雄は一人で 田倉家を後にした。

おしん
雄の気持ちを大切に思う事で

送ってやれない母親の切なさに
耐えていた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

学生の徴兵猶予が打ち切られ
学業半ばで入隊した雄は

新兵としての教育を
受ける事になった。

雄の様子も分からないまま
やがて 昭和19年5月になっていた。

(おしん)
雄は どうしてるんでしょうかね。
何かしてやりたくたって

何にもしてやれないんだもの。
食べる物ぐらい

ちゃんと 食べさせて
もらってるんでしょうかね。

(竜三)そんな事 気にしたって
しょうがないだろうが。

雄は もう
お国に差し上げた息子だ。

いい加減に
諦めたら どうなんだ。

新兵教育は つらいって言うから

病気でもしていなければ
いいけども

元気な顔さえ見れたら
私も安心するんですけど…。

(竜三)何度 同じ事 言ったら
気が済むんだ!

女々しいにも 程がある!

母親の気持ちなんか
父さんには分かりゃしませんよ!

物が無くなったって言ったって

私たちは なんとか
食べる物 ありますけど

雄が ふびんで…。

うちだって いつまで 物が
手に入るか 分かりゃしないんだ。

学校が 軍需工場になる非常時だ。
(仁)お代わり!

仁だって 希望だって
いつまでも 腹いっぱい

物が食えると思ったら大間違いだ。
国民が みんな 辛抱して

何が何でも この戦争には
勝たなきゃならんのだ。

うちでも そのつもりで
代用食に慣れるようにせんとな。

でも 僕 すいとんだけは 嫌だよ。
サツマイモも ごめんだよ。

そんな ぜいたくは
言っていられなくなるんだ。

東京や名古屋じゃな 空襲に備えて
灯火管制は もちろん

大がかりな防空演習も
行われているんだ。

雄の事で
クヨクヨしてる時じゃないんだ。

(仁)どうせ
勉強できないんだったら

僕も 早く 航空隊に入りたいな。
軍需工場なんて うんざりだ!

仁!
そんなに焦る事はない。

黙ってたって
軍隊にとられる時が来るんだ。

それからだって 遅くはないさ。

(配達夫)田倉さん 郵便です。
≪は~い!

あ~ どうも 御苦労さまです。

(雄)「皆さん
お変わりありませんか?

僕も 元気ですから
ご放念下さい。

来る 5月30日
面会が許されました。

お忙しかったら わざわざ
来て下さるには及びませんが

ひと言 お知らせ致します。
右 要用のみ。

雄。 父上様 母上様」。

♬~

5月30日って 明日じゃないか!

ええ ええ。 もう もっと早く
知らせてくれればいいのにね。

葉書が着くのが
1日でも遅れたらと思ったら

ゾッとしましたよ。 郵便も
このごろ 当てになんないから。

しかし 困ったな。

私は 工場を空ける訳には
いかないよ。 あら…。

明日は 新しい女子挺身隊員が
配属になってくるんだ。

いらっしゃれないんですか?
しかたがあるまい。

昔と違って うちは
軍の監督工場になったんだ。

私事で 勝手なまねは できんよ。

久しぶりで会えるんですよ 雄に。

うん。 まあ お互いに元気なら
会える時もある。

お前が行ってやればいいよ。
じゃあ 子どもたち 連れて…。

きっと みんなも
雄に会いたがってると思うわ。

バカな事 言っちゃいかん!
仁も 希望も 初子も

軍需工場で
大事な仕事があるんだ!

そんな事で休ませられる
道理がない!

そんな! また いつ
面会できるか分からないのに…。

今が どんな非常時か
お前には 分かっとらんのか!

戦闘機が足りなくて
どこの軍需工場だって

部品作りに 徹夜で
全力を尽くしているんだ!

そんな時に!
1日ぐらい 休んだって…。

私は 精神の事を言ってるんだよ!

そんな事じゃね
この非常時は 乗り切れんぞ!

♬~(ラジオ)

(希望)これで どうだ? ヘヘヘ!

やめたよ! ずるいよ!
(希望)何でだよ!

(初子)ただいま!
お帰り!

ただいま 帰りました。 今日は
残業で遅くなってしまって…。

あ~ 御苦労さんだったね。
おなか すいただろう。

みんな 先 食べちゃったから
早く おあがり。

お兄ちゃん
明日 面会できるんだって!

でも 僕たちは
行っちゃいけないって 父さんが。

そんなのないよな!
しかたないよ。

初ちゃんだって 僕たちだって
工場 休んだら

それだけ 生産能力が
落ちるんだからね。

(仁)3人くらい抜けたって
大した事ないじゃないかよ!

(竜三)仁! そういう精神が
いかんと言ってるんだよ!

みんなが 自分一人ぐらいって
気持ちを持ったら どうなる?

一億一心 火の玉になって

この国難に当たらなきゃ
ならん時…。 (仁)分かったよ。

耳に胼胝ができたよ その言葉!

じゃあ その小豆…。

雄に おはぎ こしらえてやろうと
思ってね。

私も お手伝いします!
大丈夫だよ。

面会に行けないんだったら
せめて これくらい…。

(小声で)初ちゃん。 初ちゃんには
行ってもらうつもりだからね。

お父さん 何と言っても
初ちゃんにだけは。

悪かったね。 疲れてるのに
忙しい思い させてしまって…。

明日 早いから 早く お休み。

母さん。
うん?

私は やっぱり…。

何 言ってんの。 父さんには
ないしょで いいんだから。

明日ね うちは 別々に出て
駅で落ち合おう。 ねっ。

でも…。
初ちゃん。

雄だって
初ちゃんに会いたがってるよ。

初ちゃんだって…。

だったら 行ってやってよ。
会える間に会っておかなきゃ。

ねっ。

母さん…。

♬~

父さん。
(竜三)うん。

私 出かけますから。
あ~ そうか。

雄に言づけは?
うん。

「うちの事は 忘れて

お国のために 精いっぱい
奉公しろ」と伝えてくれ。

あ~ そうだ。 金も
少し持たせてやった方がいいな。

何で要るか分からんから。
ええ。

いいか。 泣き顔 見せたり
するんじゃないぞ。

みっともないまねは すんなよ。

あの~ 初ちゃんも 今朝は 工場に
早く出る用があるとかで

出かけましたから。
朝御飯も作ってありますし…。

ねっ あの 後 よろしく
お願いしますね 父さん。

うん。
じゃあ!

(襖が閉まる音)

母さん!
雄!

(雄)よく来てくれましたね!
真っ黒になっちゃって!

毎日 野外訓練の連続だから。
少し 痩せたんじゃないの?

締まったんですよ。
安心して下さい。

さあ 母さん 座って。
初ちゃんも。

いよいよ 僕も
甲種幹部候補生になりました。

間もなく ここを出て
陸軍予備士官学校

入校します。
予備士官学校じゃ

今年いっぱいくらい また
教育を受けなきゃならんでしょう。

じゃあ
まだ 内地には いられるのね!

…と思うけど こんな時局だから
先の事は分からないな。

とにかく 僕のような者まで
慌てて

将校にしなきゃならないなんて
よっぽど 将校が足りないんだね。

新兵教育も つらかっただろうに

病気もケガもしないで
よく やりおおせたね!

食べ物なんかは どうだったの?
ひもじい思い しなかったかい?

ほら!
母さん おはぎじゃないか!

もち米と小豆が あったからね。
お砂糖も どっさり 入ってるよ!

雄さんが好きだからって 母さん
昨夜 遅くまで かかって…。

夢じゃないかな! 母さんが
こしらえてくれた おはぎ

随分 夢に見たよ! 懐かしいな!
じゃあ 頂きます!

フフフフ!
父さんは?

父さんね 今日 忙しくて…。

仁や希望も
軍需工場 休めないだろう。

禎は 学校だし…。

いいんだ。
みんな 変わりないんだったら。

(雄)母さんも 初ちゃんも
一緒に食べようよ!

うまい! 本当に うまいよ!
私たちは 食べてきたから。

いくらなんだって とても
僕一人じゃ食べられないよ。

残ったら また
後で食べればいいじゃないか。

そのために こんなに
いっぱい 作ってきたんだもの。

あっ それからね これ いろいろ
入ってる。 缶詰とか下着とか。

時間があったら もっと いっぱい
持ってこれたんだけど

昨日なんだもの
葉書が着くのが…。

今度 また
もっと早く知らせてよ。 ねっ。

それから これ 父さんから。

何かがあった時のために
持っといた方がいいって…。

(雄)母さん! ここは 軍隊だよ。

一切 余分な物は持ち込めないんだ
せっかくだけど…。

どうして?
(雄)当たり前だろ!

持ち物 調べられた時
こんな物が出てきてみろ。

僕だけじゃない。 班の連中
みんなが やられるんだよ。

革のスリッパの往復ビンタなんて

気を失って ひっくり返る
やつだって いるんだから!

そうするとね バケツの水 ぶっかけて
気が付いたところを また…。

雄…。
そんな事は 序の口さ。

それくらいで 音をあげてたら
とても生き残れやしないよ。

お前 軍隊で
どんな目に遭ってるの!?

心配ないよ。
どんなに きつくたって

こうやって
死なずにいるんだから。

あっ そうだ。 家族が満州にいて
誰も面会に来ない仲間がいるんだ。

彼に食べさせてやっても
いいかな?

うん。

じゃあ 体に 気を付けてね。
一生懸命 やるんだよ。

ねっ 頑張って。

(川村)今日は
ありがとうございました。

思いがけず 御馳走になって…。

おはぎなんて
本当に久しぶりでした。

川村さんのような方が
一緒にいて下さると思うと

どんなに心強いか。
(川村)いや…。

どうか 雄の事を
よろしく お願い致します。

自分の方が
世話になってるんです。

今度 面会に来る時には

川村さんの分も いっぱい
こしらえてくるから。 ああ。

こいつとは きっと 死ぬのも
生きるのも 一緒だろうから。

じゃあ
僕たちは もう 時間だから。

あの… 時間ないと思うけど
手紙 たまにはね。

ああ。 母さん
ありがとうございました。

初ちゃん ありがとう。

♬~

雄!

♬~

つかの間の面会であった。

再び おしんには
手の届かない世界へ去っていく

雄の後ろ姿を見送りながら
情け容赦もなく

息子を母親から奪い去っていく
戦争というものを

その時
おしんは 心底から憎んでいた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)はあ~!

(竜三)おしん
は~い!

とうとう 7月7日に
サイパン島が陥落したそうだよ。

あら…。
いよいよ 空襲が始まるぞ。

サイパンは 日本本土爆撃の基地に
するために

前から アメリカが狙ってたからね。
この辺だって 危ないかもしれん。

結構 軍需工場が集まってるから。
まさか こんなとこまで…。

私たちは 逃げ出す訳にはいかんが
禎は どこか安全な所へ

疎開させた方が
いいんじゃないかね。

禎を よそのうちに預けると
おっしゃるんですか?

禎は まだ 9つだ。
もし 空襲があったら

どうやって 避難させるって
言うんだい?

大人の足手まといにだって
なるし…。

親元 離れて 知らないうちで
暮らすのは つらいだろうが

危ない思いさせる事 思ったら…。

我々は どんな目に遭ったって
禎だけは

無事に生き残らせてやるのが
親の務めってもんたい。

嫌です そんな事! 禎が一人
生き残って 何が幸せですか?

おしん
取り越し苦労ですよ。

アメリカが 日本まで飛んできて
爆弾 落とすなんて…。

それじゃ まるで 日本は
戦場と同じじゃありませんか。

そんなバカな事!

今の情勢では
そういう事も覚悟しとかんと…。

(禎)ただいま!
あっ お帰り!

母さん
今日も 2人 転校してったよ。

2人とも 田舎の
おばあちゃんちへ行くんだって。

だんだん お友達が減ってきて
寂しくなってきたわ。 うん…。

空襲があるから
空襲のない所へ行くんだって。

(竜三)そうだな。

禎も 佐賀の おばあちゃんとこ
行くか? あんた…。

佐賀なら
田んぼの真ん中だから 安心だ。

おじいちゃんも おばあちゃんも
元気だし

禎も かわいがってもらえるよ。
なにも そんな遠い所まで…。

みんなも行くの?

う~ん…。 父さんや母さんや
お兄ちゃんたちは

大事な仕事があるからね
禎一人で…。

嫌だ! 禎は どこへも行かない!
母さんや父さんと 一緒にいる!

空襲なんか 怖くないもん!
禎!

母さん 禎は ここにいるの。
どこへも やらないで。

どこへも やりゃしないよ。
母さんと いっつも一緒だ!

まっ ゆっくり 考えたらよかよ。

あっ 浜村の娘さん
相当 悪いらしいな。

肺病には 効く薬もないし 栄養を
とらなきゃいかんと言ったって

食べる物がないんだからね。

ごめんください。
≪(浜村)はい。

毎日 お暑うございます。
お暑うございます。 何か?

あの… お嬢様のお見舞いに。

うちは 隣組の組長を
させて頂いておりますけど

何のお役にも立てないで…。
これ お嬢様に。

何ですやろか?

少しでも栄養のつくものをと
思いましてね

卵と とろろ芋と
それから 鶏肉も 少しばかり。

はあ~ まあ…。 お宅は
軍のお仕事してるさかいに

何でも ぜいたくしてるって
聞いてましたけど

まあ 結構なご身分ですな。 どうせ
これかて 軍の物 横流しして

手に入れなさったんでしょ?
いえ 奥さん…。

せっかくですけど
これは頂けまへん。

いや これは 私が 農家の人に…。
うちはな 隣組として

組長はんは 立ててますえ。
そやけど まあ

軍を食い物にしとるような人から
物 もらおうとは思うとりまへん。

どうぞ お引き取り下さい!

おしんは 何となく寂しかった。
物のないという事が

だんだん 人の心を
ギスギスさせていくのかと思うと

口には出せないが また
戦争を恨む気持ちにもなった。

そんな9月のある日
雄から 一通の手紙が届いた。

(雄)「先日
面会が許可されましたが

父さんも みんなも
大事な仕事に 多忙の事ですし

無理をして 遠路お越し下さるのも
大変だと

お知らせしませんでした。

今年の春 母さんと初ちゃんが
面会に来て下さった時

これで しばらくは会えないと
覚悟して

しっかり 母さんと初ちゃんの
笑顔を 胸に刻みつけました。

僕には それで十分です。

しばらく お便りも
できないかもしれませんが

心配なさらないで下さい」。

(雄)「仁 希望 禎たちにも
よろしく。

どうか お体だけは お大切に。
雄。

父上様 母上様」。

まだ
予備士官学校の途中なんですよ。

どっかへ
連れていかれるんでしょうかね?

恐らくは 軍の機密で

本人たちにも
何も知らされてないんだろうな。

まさか 外地じゃないでしょうね!?

それとも もう 戦地へ!?

か… 亀次郎兄さんに聞いてみたら
分かるんじゃないでしょうか?

お兄さんなら
きっと 調べて下さると思います。

お願いしてみたら…。
いくら 兄貴が陸軍中佐だって

そんな事までは…。
たとえ 分かったとしたって

何になるって言うんだい?
会いに行ける訳じゃあるまいし。

だって 行き先が分かれば
危ない所か安全な所かぐらいは…。

だって このままじゃ 不安で…。
雄はね 入隊した時から もう

私たちの子どもじゃないと
私は思っているんだ。

お国に差し上げたんだ。

たとえ どこ行こうと 立派に
軍人の本分を果たしてくれたら

それでいいんだよ。
あんた…。

さあさあ どうぞ こちらへ。

そこは 散らかしておりますんで
どうぞ 座敷の方へ…。

(亀次郎)よかよか。
改まった客じゃなか。

お兄さん これ どうぞ…。

隣組勤労奉仕で 軍服のボタンつけ
しておりましたもんですから。

ほう。 そりゃ 御苦労なこったい。

御無沙汰ばかり致しまして…。

お兄さんのおかげで
竜三も なんとか 軍のお仕事

勤めさせて頂いております。
なんと お礼申し上げていいのか。

いや~ オイは ただ きっかけば
つくってやっただけさい。

あとは 竜三の才覚と力たいね。

ばってん 雄が 予備士官学校
入校したとは 知らんやった。

竜三も 何も
言うてよこさんとじゃっけん。

余計なご心配を おかけしてはと
思いまして…。

雄が 自分で
決めました事でしたし…。

おしんさんに 手紙ば もろうて
びっくりしたばい。

雄は まだまだ 子どものごた気の
しとったたいね。

お互い 年ば取っはずさい。

つまらない事で
お手紙 差し上げて

お恥ずかしゅうございます。

うんにゃ。 息子が どこさん
連れていかれたか 案じっとは

母親の情として
もっともなこったい。

ばってん こいは あくまでも
軍の機密に属する事じゃっけん。

よく分かっております。

本当に ご迷惑なお願い致しまして
申し訳ございませんでした。

雄は 南方さん派遣された。
南方って?

博多さん集結して
輸送船に乗り込んだとばってん

オイが調べて 分かった時には
出港したあとやった。

じゃあ 雄は もう 日本には?

うん…。 今頃は 海の上じゃろう。

無事 着くんでしょうか?

おしんさん こんこつは
絶対 口外しちゃならんこったい。

手紙で 返事ば出すとも
差し障りのあっけん

直接 耳に入れとこうと思うて
今日になってしもうた。

はい…。

わざわざ
ありがとうございました。

いくら 軍の機密でん

おしんさんの気持ちの
察せられて…

知らん顔は しきれんじゃった。

おかげさまで 諦めがつきました。

雄が日本にいると思うと
どうしても

いつ 面会に行けるのかと
そればかり 考えておりまして…。

でも 雄が日本にいないと
分かって…。

心配なか。 無事に着くぎ。

まあ あっちの方が はるかに
日本より 安全かもしれんたいね。

南方も 方々で アメリカ軍に
押されてはおるばってん

まだまだ 治安のよかとこも
あっさい。

ばってん 日本の周りの制海権

すっかり
アメリカに握られてしもうとったい。

この分じゃ いつ
本土が 空襲ば受けたっちゃ

アメリカ軍が上陸してきたっちゃ
不思議じゃなか。

雄の心配より 日本に残っとる者ば
守る事が先たいね。

いよいよになっぎ
本土決戦も 覚悟しとかんば…。

雄が安全な所へ送られたと聞いて
おしんは ほっとしていた。

…が 本土空襲の事を聞かされて
とうとう 日本は

そこまで来たのかと
おしんの心は 凍った。

やっぱり 禎を疎開させよう。

竜三の言葉を信じなかった
おしん

やっと 心を決めていた。

本当は
佐賀の おばあちゃんの所へ

連れていこうと思ったんだがね
佐賀じゃ

なかなか 会いにも行けないって
母さんが言うからね。

私は どこへも行かないって
言ったでしょ。

父さんの工場で働いてる人の
田舎なんだよ。

そりゃ いいとこだよ。 ここから
3時間ぐらいのとこだからね。

会おうと思ったら
いつだって会えるんだ。

おじさんや おばさんも
いい人だしね

第一 子どもが6人もいるからね

寂しい思いする事だって
ないんだよ。

どんないいとこだって 嫌だ!
禎!

どうして 私一人が そんな所へ
行かなきゃならないの?

何度 言ったら 分かるんだ! もし
空襲があったら どうするんだ?

怖くないもん 空襲なんか!

(仁)お前は
空襲ってもんを知らんから。

仁兄ちゃんだって
知らないくせに!

(希望)やっぱり かわいそうだよ。
まだ 9つだもん。

9つだから 疎開させるんだ!
じゃあ ホントに 空襲が来たら行く。

バカだな。
それからじゃ 遅いじゃないかよ。

そしたら
みんなだって 死ぬんでしょ?

禎だって 一緒に死ぬもん。
それで いいもん。

(仁)大人は 逃げられるけど
子どもは 大人とは違うんだよ。

戦争が終わるまでの辛抱だよ。
(禎)じゃあ 母さんも一緒に。

母さんは ここに いなきゃ。

うちの事する人が
いなくなるでしょ。

(初子)
母さん うちの事は 私がします。
母さんは 禎ちゃんのお世話を…。

初ちゃんは 朝早くから夜遅くまで
工場があるのよ。

これ以上は 無理よ。

母さん
禎は どこへも やらないって

言ったじゃないの!
お願いだから!

(竜三)いつまで
聞き分けのない事 言ってんだ!

父さんも母さんも
禎の事が心配だから

疎開させようとしてるんだ!

それが分かんないんだったら
もう 勝手にしなさい!

父さんも母さんも
もう お前の面倒は見んから!

分かったか!

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(竜三)さあ そろそろ
出かけないと。 (おしん)はい。

駅まで送っていくよ。
(仁)僕も。

(希望)その荷物は
僕が持っていくから。

いいのよ。 あんたたち
工場に遅れたら どうするの?

大丈夫だよ。 駅から
まっすぐ 工場へ行くから。

禎ちゃんとは
しばらく会えないんだもんな。

そんな遠いとこ
行く訳じゃないんだから

いつだって 会おうと思えば
すぐ会えるわよ。

預かってくれる家の人たちが
優しいといいね。

うん。 いい人たちだよ。

父さん ちゃんと会ってきたし
よく頼んできてあるんだ。

農家だから 食べる物にも
不自由は しないし

十分 面倒 見てもらえるように
できるだけの事してあるんだ。

ねっ。 心配 要らないよ。

(初子)禎ちゃん
風邪ひかないようにね。

もし 変だと思ったら
おばさんに言って お薬のむのよ。

この中に お薬 入ってるから。

禎。 母さんはね 禎と同じ年の頃

よそのおうちへ 一人で
奉公にあがった事があるのよ。

学校へも行けなかったし
朝から晩まで働いてても

泣いたりした事 なかったぞ。

禎なんか いいじゃないの。

学校も行けるし
お友達とだって遊べるし…。

みんなと仲良くして…。

おじさんや おばさんにも
かわいがってもらわなきゃ。

元気 出して!

ごめんください。
(トキ)はい。

あの… 禎の母親でございます。
ああ。

この度は とんだ お願いを
致しまして…。
いいえ。

まあ
かわいらしい お嬢ちゃんやな。

うちも 子どもが多いよって
手 回らん事もあるやろけど

まあ 空襲の心配だけは
あれへんよって。

何か これ お役に立てたらと
思って

いろいろ 持ってまいりました。
お使い下さい。

まあ この前も なかなか
手に入らん物 ぎょうさん頂いて

ホンマに助かりました。
その上に また…。

いや もう
禎が お世話になるんです。

これぐらいの事…。
何せ 食べ盛りなもんですから。

ちゃんと
食いぶちは 頂いとりますのに…。

ただ このごろは お金の値打ちも
のうなってしもうてな

物で頂戴するのが
一番ありがたいですわ。

はい。 あの~ また 折を見て
お持ち致しますから。

まっ 禎ちゃんの事は
安心しはって。

できるだけの事は
させてもらいますよって。

コラ! あんたらは!

ハハハ…。

禎の事 くれぐれも…。
(トキ)ええ。

禎 おばさんの おっしゃる事
ちゃんと よく聞いて…。

何せ 一人娘なもんで もう
ついつい 甘やかしてしまって…。

どんどん 叱ってやって下さい。
(トキ)ええ。

娘が1人増えたと思って
ビシビシやりまっさ!

あの… ご主人様にも
くれぐれも よろしく。
ええ。

じゃあ 禎。

どうも。

(禎)母さん!
禎ちゃん!

(禎)母さん!
禎!

♬~

今夜は 疲れたろう。
もう 寝たらよかよ。

疎開なんかさせるんじゃなかった。

空襲だって来るかどうか
分からないのに…。

おしん

心細そうに
私の帰るの見送ってた禎の姿が

目に焼き付いて…。

とうとう グアム島も玉砕した。

そのあとも 太平洋戦線の日本軍は
方々で 玉砕を続けている。

だから
神風特別攻撃隊なんてものに

頼らなきゃならなくなるんだ。

日本を守るためには
もう それしかないんだよ。

こんな状態じゃ

空襲どころか いつ アメリカ軍が
上陸してきたって 不思議はない。

そんな時にも 禎さえ 安全な所へ
避難させといたら 安心だ。

我々だって 心おきなく戦える。

今は ふびんでも きっと
よかったと思う時が来るよ。

(障子が開く音)

(竜三)何だ?
まだ 起きとったとか。

父さん
僕 少年飛行兵に志願するよ!

明日 手続きする事に決めた。
仁…。

来年の春に 海軍兵学校
受けるつもりだったけど

少年飛行兵の方が ずっと早く
飛行機に乗れるもんね。

神風特攻隊のニュース 聞いて
じっとしていられなくなったんだ。

バカも 休み休み言いなさいよ!

あんた 特攻隊というのは 二度と
生きて帰ってこられないのよ!

死ぬ事 覚悟して…。
ああ! 命なんて惜しくはないさ!

桜の花のように
潔く パッと散るなんて

日本男児の本懐じゃないか!

そんな…。 仁の命は
あんた一人のものじゃないのよ!

ああ! お国に捧げた命だからね!

お国のために死ねるんなら
こんな光栄な事はないさ!

いつだって 喜んで…。
(竜三)おしん

何も分かんないくせに
特攻隊なんかに憧れて!

命を粗末にする事だけは
母さん 許さないからね!

(仁)お国のために死ぬのが
どうして

命を粗末にする事になるんだよ!
仁!

母さん お前に そんな
つまらない死に方させるために

大きくしたんじゃないのよ!
何が つまらないんだよ!

じゃあ 母さんは
特攻隊で 華々しく自爆した

海軍飛行予備学生も
少年飛行兵も

つまらない死に方だって
言うのかよ!?
(竜三)仁!

お前は まだ 正確なものの判断が
つく年じゃない!

軍人になるんだったら 分別がつく
年になってからじゃないと!

後で 後悔したって 遅いんだよ!
父さん。

父さんは 町内の男の子たちに

「今 お国は 君たちを
必要としている。 今こそ

君たちが立ち上がる時だ」って
少年志願兵になるように

説得してたんじゃなかったのかよ。
仁…。

(仁)父さんが 僕を止めるの
おかしいよ! 仁!

仁!
(竜三)おしん

今夜は 特攻隊のニュースで
興奮してるんだ。

何 話したって 無駄だよ。

(竜三)おしん
あら お帰りなさい!

これ 置きに来たんだ。
また すぐ出かける。

今夜は 人を招待してるから
夕飯は 外で食うよ。

あら これ…。
米だ。

仁は 代用食じゃ食わんからね。
それじゃ 体が もたないよ。

そうそう 甘やかしていたら…。

みんな お芋の雑炊や すいとん
我慢してるっていう時に…。

おなか すいたら
もう 何だって食べますよ!

仁だって働いてるんだ。

手に入る時は
米ぐらい 食わせてやらんと。

仁だって
このごろは 少年飛行兵の話は

しないじゃないか。 やっぱり
はしかみたいなもんだったんだよ。

このごろは どこの学校だって
少年兵志願が増えてるって話だ。

みんな 特攻隊のニュースに
刺激されたんだろうな。

そうですね。 新聞やラジオで

まるで 忠君愛国の鑑みたいに
大騒ぎしてるんですから。

(希望)ただいま!
あ~ お帰り。 御苦労さんだな。

あら 仁は 一緒じゃないの?
また 道草 食ってんだろ あいつ。

帰ってないの? 仁。
ああ。

変だな。
昼から 姿が見えないんだよ。

具合が悪くて 早引けしたんじゃ
ないかって 心配してたんだ。

黙って帰ったのか?
誰も 何も聞いてないんだ。

しょうがないやつだな。

いくら 工場で働くのが嫌だって
言ったって…。

ない! なくなってる!

父さんから頂いた生活費
いつも ここに…。

勘違いしてるんじゃないか?
どこか ほかへ しまい込んで…。

いいえ。 大事なお金なんだもの。
しかしね…。

仁が持っていったんですよ。

ここに ある事
よく分かってるんだから!

家 出たんですよ 仁!

バカな! こんな時に うち 出て
どうするって言うんだい?

少年飛行兵に志願して…。

私たちが反対したもんだから
一人で 勝手に! まさか!

希望 あんた
何か聞いてなかった?

仁の組の子が2人 予科練
志願して 三重海軍航空隊に

入隊したんだ。 2人とも
仁とは 仲 良かったから。

あんた 早く 早く! 今だったら
間に合うかもしれないから

連れ戻して下さい!
無駄だよ!

仁が そこまで
決心しているんだったら

私たちが 何 言ったって…。
父さん!

仁の好きなとおりに
させてやりなさい!

私たちだって いつ どこで
どうなるか分からんのだ。

どこにいたって 危ないのは
同じ事かもしれん…。

仁の命だ。

仁が思い残す事のないように
生きられれば それでよかよ。

間もなく 仁は 三重の航空隊へ
入隊してしまった。

仁も とうとう おしんには
手の届かない世界へ

行ってしまったのである。

その年の11月末から

東京地方を中心として
空襲が頻繁になった。

いずれ 自分たちの頭上にも
爆弾や焼夷弾

降ってくるのだろうと
覚悟すると

やっと 禎を疎開させた事も
よかったと思うようになれた。

禎は ひもじい思い
してないかしらね。

(竜三)できるだけの事は
してあるんだ。 心配は なか。

何かあったら言ってくるさ。

(初子)でも 寂しいでしょうね
やっぱり…。

早く 迎えに行ってあげられる日が
来るといいのに…。

家族が バラバラになって
暮らさなきゃならないなんて…。

いつまで こんな事が続くのか…。

しかたないわね。

戦争さえ終わったら
また みんな そろって

笑って 御飯 食べれる時も
来るわよね。

≪(久作)ハハハハハ!
お~ 重くなった 重くなった!

母さん…。

♬~

これまで
いろいろな苦労をしてきた

おしんにとって
3人の子を それぞれ

手放してしまわなければ
ならなかった今が

一生で 一番つらい時であった。

…が 戦争の厳しさは
まだ 序の口だったのである。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

昭和20年が明けた。
慌ただしく 毎日が過ぎていき

その年も
春を迎えようとしていた。

(竜三)3月10日の東京空襲は
かなり厳しいもんだったらしいね。

下町は
ほとんど 焼け野原になって

犠牲者が
だいぶ 出たっちゅう話だ。

(おしん)こんな防空壕
大丈夫なんでしょうかね。

防空壕に入れといた物は あらかた
助かったっちゅう話だが

もうちょっと大きくて頑丈なのを
こしらえておけばよかったな。

今となっては どうにもならんが。

あん時は まさかって気持ちが
ありましたからね。

いや でも 日本が
こんな事になるんだったら

南方に行ってる雄の方が
よっぽど 安全かもしれませんね。

禎も 疎開させといてよかった。

様子 見に行ってやりたくても
なかなか行けないけど…。

まあ なるべく
辛抱させた方がいい。

母親の顔 見たら
どうしたって 里心がつく。

かえって 罪だ。

まあ 手紙では 「毎日 元気で
楽しく暮らしてる」って

書いてあるから
安心してますけどね。

また ついでがあったら 砂糖や
せっけんでも届けておくよ。

手に入るかもしれないからね。
お願いします。

私たちは どんなに我慢しても

禎にだけは
ひもじい思い させたくないもん。

じゃあ 私は 工場 空けとく訳にも
いかんから。

ねえ。 仁の様子 詳しい事…。
おしん

いや もう そりゃ
仁の事 諦めてるんですけどね…。

ただ いつ 訓練が終わるのかなと
思って…。

訓練が終われば 特攻隊として
やっぱり 出撃するんでしょ?

まあ いくら 飛行兵が足らんと
言ったって

急に出ていけるはずはない。

その時が来たら
仁の方から知らせてくるよ。

たとえ その時が来たって

仁は 自分の念願 果たして
出ていくんだ。

笑って 送ってやらなきゃね。

(竜三)禎!

どうしたの? 禎…。

禎! 禎!

(竜三)禎。 お前 おじさんや
おばさんに 黙って出てきたのか?

汽車に乗るお金は どうしたの?

(禎)知らない おばさんに
くっついて タダで乗ってきた。

どうして? そんな事。
あそこへは帰らないよ もう!

禎…。

何が あったの?

「いつも 元気で 楽しく
暮らしてる」って 手紙で…。

あれは おばさんが
そばに ついてて うるさいから。

お雑炊だって 私には 1膳しか
食べさせてくれないくせに

「おなかいっぱい 食べてるって
書け」って…。

(竜三)そんなバカな事が
あるもんか!

禎には 不自由させないために
父さん できない無理もして

あのうちには もう 手に入らない
物資も ちゃんと届けてるんだよ。

ホントだもん! 嘘じゃない!
禎は ちゃんと我慢した!

あっ ちょっと!
シラミが いっぱい…。

お風呂は?
入れてもらってないの?

洗濯も
してもらってないじゃないの!

でも 帰ってきたら

お父さんや お母さんに
叱られると思ったから

どんなに おなか すいても
寂しくても 我慢したの!

でも もう 嫌!

禎…。

母さん 何にも知らなくて…。
禎が こんな

つらい思いしてるなんて
ちっとも知らなくて…。

もう
どこにも やりゃしないよ 禎。

空襲で死ぬんだったら
みんなで 死にゃいいんだ!

みんなで ここに いよう!
母さん…。

今日 お風呂 立てような。
白い御飯 いっぱい炊こう。

(竜三)禎…。

今夜は しかたないけど
明日は 帰るんだぞ。

あんた…。
甘やかすのも
いい加減にするんだな。

つらい思いしてるのは
禎一人じゃないんだ!

疎開してる子どもたちは みんな
禎と同じような思いをしてるんだ。

あそこのうちにですか!?
取る物だけ取って

禎に こんな思いさせて
話が違うじゃないの!

みんな つらいんだよ!
こう 物が無くなったら

人だって変わるんだ!
それ 責めちゃ 気の毒だよ!

今は 禎さえ安全なら
ありがたいと思わなきゃ。

禎 お前だって そのぐらいの事が
辛抱できないようじゃ…。

母さんだってな
小さい時は お前より

何倍も つらい思いをしたんだ。
それでも…。

私が ちっちゃい時
そういう思い したから

子どもには させたくないんです!

だから
頑張ってきたんじゃないですか!

でも 私 誰も守ってやれなかった。
雄も 仁も 禎も!

戦争さえなかったら…。
おしん

だって 戦争のせいでしょ?

何の罪もない者を
こんな つらい思いさせて…。

あんなうちに
どうして帰らなきゃならない…。

父さん!
言葉を慎みなさい 子どもの前で!

禎 明日は帰るんだよ。

あんた…。

一人で ここまで帰ってきたんだ!
帰れないはずがないだろう!

大丈夫だね?

♬~

翌朝 禎は 一人で
満員の列車に詰め込まれて

再び 疎開先へ帰っていった。

禎の すがるような まなざしを
見つめながら

おしんの胸に また 俊作の言葉が
よみがえっていた。

おしんだって いつか

戦争に巻き込まれる時が
あるかもしれない。

その時は
おしんだけでも反対するんだ」。

母親でありながら 子どもたちを
戦争の犠牲にしたのは

誰でもない 戦争を反対しなかった
自分の責任だと

今更のように 悔いが
おしんの胸を えぐっていた。

(セミの鳴き声)

(隣組の主婦)田倉さん!
はい! あっ…。

森田さんとこの坊ちゃん 今
戦死の公報が入ったんですって…。

森田さんとこの坊ちゃんって
あの 満州に出征なさってる?

いいえ。 弟さんの方。
予科練に入られた。

4~5日前に 航空隊が
爆撃 受けて そん時に…。

じゃあ 内地に いらして?
ええ。

日本中 あっちでも こっちでも
空襲ですもんね。

そうですか…。

じゃあ 森田さんのお通夜の事
よろしく お願い致します。

はい。 わざわざ どうも。
すぐ 主人にも知らせますんで。

お宅の下の方の坊ちゃんも
予科練でしたね。 ご心配ですね。

それじゃ…。

(初子)お疲れさまでした。

(希望)森田さんって 僕たちより
2年先輩だったんだ。

僕も 明日 お焼香に行ってくる。

まだ 遺骨が帰ってないんだよ。
公報があっただけでね。

森田さんの奥さん 涙一つ
お見せにならないんだものね。

まあ ホントに 心の底から

名誉の戦死だって
喜んでらっしゃるんですから…。

日本人としては
それが 当然の気持ちなんだ。

おしんも 少しは見習わんと…。

そりゃね 雄や仁が お国のために
役立ってくれるんだったらとは

思っていますよ。
でも もしもの時は やっぱり…。

大丈夫だよ 雄兄ちゃんや仁は。

そうね。 雄や仁の事 心配したって
しょうがないんだけども…。

私たちだって 明日 どうなるか
分かりゃしないんだし…。

こう 空襲が激しくなると

こうやって
みんなで 顔 合わす度に

これで
最後になるんじゃないかって…。

何 バカな事 言ってるんだい!

そう簡単に やられはせんよ。
たとえ アメリカ軍が

上陸してくるような事が
あったってね

そう簡単に くたばりゃせん!

竹槍で戦うんですか?

竹槍だろうと何だろうと
要は 精神力だ!

勝つと信じて戦ってこそ
最後の勝利もあるんだ!

今夜は 静かだね。

こういう時に
寝だめをしとかんとな!

名古屋へ飛んでくる度に
起こされてたからね。

≪(警戒警報のサイレン)

今夜は どこをやるつもりだ?

(ラジオ)「東海軍管区情報…」。

初ちゃん 防空壕 入るよ!
支度して!

私 入りません。 いちいち
気にしてたら 寝る暇がないもの。

空襲より
寝不足の方が怖いもんね。

工場で居眠りしてて 旋盤で
ケガをしたのがいるんだからね。

みんな 警報慣れ してしまって…。

私は 一応
町内 見回ってくるからね。

≪(空襲警報のサイレン)
あれ?

空襲警報だ! 明かり 消して!

敵機が襲来したら
すぐ 防空壕へ入るんだ!

初子 希望! 母さんを頼むよ!
いよいよ 順番が回ってきたかな!

初ちゃんも希望も
母さんの事は いいから

自分の体の事だけ 考えなさい!
なるべく 安全な所へ逃げて!

母さん!

≪(敵機の轟音)

ホントに やって来たよ 母さん!
早く 防空壕へ!

母さんの事は いいから!
母さん!

母さんは このうちを守るの。
雄や仁や禎が帰った時

このうちがなかったら
どうするの? このうちは

あの子たちの うちなんだから!
だったら 私が!

母さんに もしもの事があったら
私 雄さんたちに顔向けできない!

そうだよ! ここは
初ちゃんと僕とで 必ず守る!

だから 母さんは逃げて!
初ちゃん 水の用意は いいのか?

防火用水だけじゃ足りないから
ある物に みんな 水 入れてね!

≪(敵機の轟音)

母さん 危ないから退避して!

≪(焼夷弾が落ちる音)

≪(爆発音)

早く!

希望 水!

はあ~!

水!

(竜三)何してるんだ!?
周りは 一面 火の海なんだ!

うちだけ消したって
何にもならん! 早く逃げろ!

(竜三)無駄だ! 方々で
火の手が上がってるんだから

今 逃げんと 逃げられなくなる!
バカなまねは よさんか!

あんた! あれ
うちの工場の方じゃないの!?

(竜三)ああ。 あの辺は
軍需工場が集まってるから…。

父さん じゃあ うちの工場も…。
もう 手のつけようがない!

この辺だって すぐ
火が回ってくる! 諦めるんだ!

何 グズグズしてるんだ! 早く!

希望!

初ちゃん!
(初子)はい!

(竜三)おしん

父さん! 早く あそこ
火 消して下さい! 早く!

♬~

それは おしんの執念であった。

雄や仁や禎が帰ってきた時
温かく迎えてやる家を守るのは

母親の務めだと
信じていたのである。

終戦も間近い
昭和20年7月の夜の事であった。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(初子)お帰りなさい。
どうでした?

(竜三)初子の工場も 希望の工場も
やられてしまったね。

今日から 私も失業です。

(希望)僕も
これから どうなるのか…。

当分 学校どころじゃないだろう。

(おしん)父さんが せっかく
あそこまで なさった工場を…。

まあ しかたがないさ。

被害を受けたのは
うちの工場だけじゃないんだ。

あの辺の軍需工場は 総なめに
やられてしまったんだからね。

うちは この家が助かっただけでも
運がよかったよ。

母さんが頑張ったから!
母さんの肝っ玉には 敬服したよ!

母さんもね 半分 諦めてたんだ。

でも 何にもしないで逃げ出したら
あと 心残りだし…。

まあ できるだけの事して
駄目だったら 諦めもつくから。

これで 雄さんたちが
いつ 帰っていらしても

不自由なさらないで 済みますね。

さて 私は
隣組で罹災した人たちの

面倒 見なきゃならんからね。
ねえ 父さん!

今日 みんなで
白い御飯 炊いて 食べましょう。

こうやって
うちも 無事に残ったんだから。

ちょっと 米があるからって
そんな事してたら

たちまちに困っぞ。
分かってます。

でも 生きてる間に
おいしいもん 食べとかなきゃ。

ハハハハハハ!

(役場の男)ごめんください!
田倉さん!

はい!

初ちゃん 行李
ちょっと持ってきて。 はい!

はい。 よいしょ! あっ 手伝うわ。

何?

あんた…。

あんた!

雄の写真に 線香 あげてやろう…。

あっ それから 水と…

何か供える物があったら…。
(初子)父さん!

雄が… 戦死した。

嘘よ…。

こんな紙切れ一枚で?

ちゃんとした公報なんだ。

雄は フィリピンで
戦死した事になってる。

原隊からの通知なんだ!
人間一人の命なんですよ!

こんな紙切れ一枚で 死んだって
言われたって

信じられる訳ないじゃないの!

私は 信じません。

「これが 雄のお骨だ」って
確かなものが帰ってくるまでは!

(希望)そうだよ! たった一枚の
赤紙で 戦場へ駆り出して

戦死した時も
たった一枚の紙切れの通知しか

よこさないなんて!
希望!

初子 水 頼むよ。
それから 花も…。

初ちゃん! ねえ これ見て!

これ見て! こんな物で
あんた 信じれる? 見て これ!

(泣き声)

初ちゃん… あんたが
そんな事したら かわいそうよ。

初ちゃんだけは
雄が生きているって信じて

待っていてやってくれなきゃ。

雄だって それが楽しみで
日本に帰ってくるんじゃないの。

母さん…。

今夜は ささやかでも
通夜ぐらい してやらなきゃな…。

隣組の人たちも
集まってくれるだろう。

そのつもりで…。

私は 誰にも
来てもらいたくありません。

雄は 生きてます!

戦死したって
確実な情報がない限り

私は 信じています!

誰にも お線香なんか
あげてもらいたくありません。

雄…。

フィリピンってとこは
暑かったんだろうな。

食べる物なんか
なかったんじゃないのか?

父さんだってな
日本が戦場になったら

一番先
敵陣に突っ込んでいくからな。

もうすぐ… もうすぐ 会えるな。

そん時 お前の手柄話 聞こう。

それ 楽しみにしとっぞ…。

(初子)母さん…。
まだ 起きていらしたんですか?

手伝いましょうか?
いいのよ。

別に 急ぐ物じゃないもの。

あんたたち
昨夜 空襲で寝てないんだし

今日は 今日で
片づけ物が大変だったでしょ。

ゆっくり お休み。

母さん その着物…。

雄の袷。
昨夜の水 かぶってしまったのよ。

早いうちに
洗い張りしといてやらないと

染みにでもなったら 大変でしょ。
これは 雄が好きだったから…。

また よく似合ったもの…。

そうだ。 縫い直す時は
初ちゃんにも手伝ってもらうわ。

おしん

雄が生まれた時の事を
思い出したよ。

山形のお母さんも いらした。

源じいも いてくれた。

あんなに幸せだった事は
なかったもんな…。

雄のためだったら どんな事だって
してやろうと思った。

関東大震災
全て失ってしまった時だって

雄がいてくれたら
立ち直れると思った。

それが 佐賀へ帰ったばっかりに
あんな事になってしまって…。

雄とは 別れ別れに暮らす事に
なってしまったが…。

よしましょう もう 昔の話は…。

お前が 雄 連れて
佐賀 出てからだって

私は 雄の事
忘れた事はなかった…。

なんとか
やり直したい一念になったのも

やり直す事ができたのも
雄が いてくれたからだ。

雄は 私たち夫婦の
守り神みたいなもんだった…。

そうですよ。
雄が いてくれたから

私 ここまで
頑張ってこられたわ…。

雄とは いっつも 一緒だった…。

どんなに苦しくても

雄だけは 手放さずに…。

ここまで 雄と2人で…。

雄だって それが分かっていたら

必ず 帰ってきます。

帰ってきてくれます。

私 雄を待ってます。

生きてると思って 待っています。

♬~

おしんは 雄の生きている事を
信じていようと 心に決めていた。

それが
おしんの生きる支えでもあった。

広島 そして 長崎に 新型爆弾が
落とされたと聞いたのは

それから ひとつきもしない
8月の事であった。

恐ろしい爆弾だっていうけど
こんな事で防げるのかね?

何でも その爆弾から
すごい光が出て

それを浴びると 死ぬんですって。

でも 白い布だと その光を
通さないから 助かるって。

何だか 頼りない話だね。

もう バカバカしくなってきた。
母さん!

雄さんや仁ちゃんや禎ちゃんと
一緒に暮らせる時が来るまで

どんな事をしても生きるって
おっしゃったでしょ!

(希望)母さん! 仁から!

(仁)「父さん 母さん いよいよ
待ちに待った日が近づきました。

同期入隊の中では
僕が一番に選ばれたのです。

こんな名誉な事は ありません。
喜んで下さい。

初ちゃん 希望 禎

そして 戦地の雄兄さんにも
よろしく。

元気で行ってまいります」。

(初子)とうとう
仁ちゃんも…。

(竜三)おしん! 今日 正午に
ラジオで 重大発表があるそうだ。

いよいよ 戦争が終わるらしい。

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戦争が終わる…。
それが どういう事なのか

おしんには
想像もつかない事であった。

♬~