ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おしん 一挙再放送 第33週・太平洋戦争編 田中裕子、並樹史朗… ドラマの原作・キャストなど…

おしん 一挙再放送▽第33週・太平洋戦争編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 希望
  2. 学校
  3. 初子
  4. 竜三
  5. お前
  6. 浩太
  7. 自分
  8. 心配
  9. 一緒
  10. 中学
  11. 本当
  12. お内儀さん
  13. 名前
  14. 初坊
  15. 戦争
  16. 大事
  17. オイ
  18. 小学校
  19. 田倉
  20. 勉強

f:id:dramalog:20191117081534p:plain

おしん 一挙再放送▽第33週・太平洋戦争編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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おしん 一挙再放送▽第33週・太平洋戦争編[字]

主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。

詳細情報
番組内容
おしん(田中裕子)は、雄(ゆう)と仁と希望(のぞみ)の子育てと、魚屋の商売に追われていた。昭和10年、雄は小学校を卒業し、仁と希望は小学校へあがるまでになった。東京の健(ガッツ石松)が伊勢のおしんの家を訪れた。健は、9才になる初子という女の子を連れていた。これが、おしんと、見ず知らずの少女・初子との運命的な出会いとなった。おしんは、健の説明を聞いて、初子を自分の子どもとして預かる決心をした。
出演者
【出演】田中裕子,並樹史朗ガッツ石松,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一

 

 


♬~
(テーマ音楽)

♬~

昭和10年の2月 突然 東京で
的屋の元締めをしている健が

伊勢の おしんの家を訪れた。

健は 9歳になる初子という
女の子を連れていた。

(健)こりゃ
ご丁重に 痛み入りやす。

お内儀さんの しつけが
しっかりしてるから

みんな しっかりしていなさるな。

≪(おしん)雄! 急がないと
学校 遅れるわよ。

(雄)はい!

≪(初子)よいしょ!

いいから。 そんな事は
後で おばちゃん やるから。

ほら 御飯 一緒に食べよう。
あんた 朝早く起きて

おなか すいたでしょ?
私は 後で。 ここ 掃除しねえど。

それから
健おじさんと私が お借りした

寝巻きと枕の覆いも
洗っておきます。

もし ほかに 洗濯物あったら
出して下さい。

ついでだから
一緒に やっておきますから。

いいや そんな事は いいから。
私 洗濯は うめえんだっす。

丁寧に洗いますから。

さっき たらいの置いてあるとこも
せっけん 置いてあるとこも

ちゃんと見つけました。

冬は 少しでも早く干さねえと
乾かねえから。

♬~

(戸の開閉音)

行ってらっしゃいませ!

♬~

(健)長谷川の お師匠さんに
土産話も出来たし

これで 安心して帰れます。
ありがとうございました。

ねえ やっぱり 今日 帰るの?

立派になられた雄坊にも会えたし
もう 思い残す事ありません。

雄坊が 無事 県立の中学
合格なさるよう祈っとりますから。

健さん あの子
どういったうちの娘さんなの?

あ~ 初坊ですかい?
随分 しっかりした子ね。

何でも 4人きょうだいの
一番上とかで

ばんちゃんや母親が
田んぼに出てる間

1人で うちの事から 妹や弟の
面倒 見てたらしいんです。

初坊と あっしは 遠い親戚でして
そんな訳で預かっちまって…。

そりゃ 親だって
手放したくはねえでしょう。

けど 去年の凶作には ほとほと
参っちまったらしくてね…。

50円 くれるんだったら
どんな所へ奉公させても

文句は言わねえって言うから
先に払って 預かったんです。

何年の年季で?
一応 3年とは言ってるんですが

一遍 遊郭みたいな所へ
入っちまったら

そこの水に なじんじまって

なかなか 出られなく
なっちまうんじゃないですかね。

健さん あの子 遊郭の下働きに
いくらで売るつもりだったの?

元が取れりゃ いい方でしょ。

汽車賃やら食いぶちと
いろいろ かかってはいたって

とても 手数料なんぞ
もらえやしねえし…。

まして あっしは こんな事で
もうけるつもり ありませんしね。

じゃあ 50円あれば いいのね?

うちで預かりたいのよ。

あの子に 遊郭の下働きなんか
させたくない。

ねっ いいでしょ?
お内儀さん…。

私 今から 郵便局 行って
お金 下ろしてくるから!

お内儀さん!
そんな むちゃな事を!

お内儀さんとこだって
食べ盛りが 3人もいるんだ。

初坊だって引き取りゃ
食わせなきゃならねえんですよ。

当たり前じゃないの。
それぐらい なんとかなるわよ。

お内儀さんは 人がいいからな…。

けど こんな大事な事
お内儀さんの一存で…。

田倉さんの ご意向だって
あるんだ。

まず ご相談してから
決める事でしょうが…。

あっ 御苦労さん。 御飯 おあがり。

ゆっくり
いっぱい 食べていいからね。

はい! ありがとうございます!

初坊 御飯 頂いたら さっさと
たつんだ。 急いで食べるんだぞ。

はい。

ゆっくり 食べていいの。
大阪に行くのは 健さんだけ。

初ちゃんは
うちにいる事になったんだから。

(竜三)ああ。
お帰んなさい。 御苦労さま。

健さんは? まだ…。
あ~ よかった。

イカのいいのが あったから
塩辛にして

土産に持ってってもらおうと
思って 買ってきたよ。

じゃあ 帰ってきたら
すぐ 作りますから。

出かけるとか? 郵便局まで。
うん。

あんた お願いがあるの。

健さんが 大阪へ連れていくって子
うちで預かりたいんです。

健さんは 50円で
引き取ってきたって言うんだけど。

おしん
あの子 よく働くのよ。

昨夜だって
夕飯の後片づけしてくれてたし

今朝だって 私が寝過ごしたのに
御飯 炊いててくれてた。

あの子 見てると 何だか 私
自分の小さい頃 思い出して…。

おしん…。

私 7つの時から
奉公に出たでしょ。

随分 つらい思いしたわ…。

人に
何か 仕事 言いつけられる前に

自分で ちゃんと
仕事 見つけないと どなられた。

あの子は
それを ちゃんと知ってるのよね。

だから 先へ先へと働いて…。

よそんち来て どんなにか
寂しい思いしてるだろうに

世話になったら 働かなきゃ
いけないと思ってんのよ。

いじらしくて…。

いや~ しかしね…。

それに あの子
死んだ愛のような気がして…。

愛が丈夫で育ってたら
ちょうど あの子ぐらいなのよね。

何だか 他人みたいに思えない。

おしん…。

愛だと思って…
自分の娘だと思って…

私 引き取りたいんです。

よか。

お前に 母親になる覚悟の
できとっとない

オイは 何も言わん。 しかし 後で
後悔は許されんとやっけんね。

一旦 引き取った以上は
途中で放り出すような

そんな無責任な事は
できんとやけん。

分かってます。 いろんな事
みんな 覚悟した上で…。

お願いします!

はあ~ 愛か…。

愛も生きとったら 今頃は
あんな年になっとるのかな…。

50円 入っております。

それから
これは 手数料のつもりで。

あらためて下さい。
お内儀さん 本気で…。

(竜三)おしんには
おしんの思いがあって…。

じゃあ 田倉さんも
ご承知なんですか?

いや~ 私には おしんの気持ちが
よく分かるんですよ。

おしんには
苦労ばっかり かけてきた。

まあ たまには おしんの気持ちも
大事にしてやらんと。

分かりました。 田倉さんも
そう おっしゃるんなら

あっしも安心して…。

よかった。 でも
大阪の方は 大丈夫なんですか?

健さんの顔 潰すような事に
なったら…。

な~に あっちには 何とでも
言い訳 つきまさあね。 初坊!

≪(初子)は~い!

出かけるのが?
オレは もう 支度できてるから。

初坊。 初坊は
どこへも行かなくていいんだ。

今日から
こちらで ご奉公する事になった。

いいか。 旦那様や奥様の事
よく おっしゃる事 聞いて

かわいがって頂くんだぞ。
分かったな?

部屋 狭くて 不自由させるけども
まあ 辛抱して!

(竜三)そのかわりな
もう 遠慮は要らないぞ。

今日から うちの家族に
なったんだからな 初坊は。

じゃあ おじさんは帰るから。
年季が明けるまで 頑張るんだぞ。

どうも 土産まで頂いちまって…。

また 来て下さいね。
待ってますよ。

へえ。 今度こそ お伊勢参り
させてもらいに来ます。

じゃあ 雄坊に よろしく。
はい。

初坊 頑張るんだぞ。
うん。

気を付けて!

(仁)おねえちゃんは 帰らないの?

そう。 おねえちゃんは ず~っと
ここにいる事になったの。

うちの子に なったんだから。
(希望)ホント?

あ~ そうだ。
仲良くするんだぞ これから!

(2人)うん!

さあ ここを 初ちゃんと
仁と希望の部屋にしよう。 ねっ。

お兄ちゃんは?
お兄ちゃん 小さい部屋。

中学生になるんだから
お勉強しなくちゃいけないもの。

父さんと母さんは?
そこで寝るの。

そだな事!
私は 台所でも どこでも…。

初ちゃん。 初ちゃんはね
うちの子になったんだよ。

だから 希望や仁と一緒に。
それで いいの!

初ちゃんは 小学校 行ってたの?
3年生でした。

うん。 ずっと 通ってたの?

時々は うちの事あって
休んでたけんど

母ちゃんが 学校だけは行けって。
ええ母ちゃんだな。

それじゃ
今度 4月になったら 4年生だ。

小学校に行けるように
手続きしてくるからね。

そだな事! 私は 奉公に来たんだ。

学校には もう行けねえけんど
辛抱しろって

母ちゃんに言われてきたんだ。

あれ~ 初ちゃん 勉強 嫌いかな?
好ぎだ…。

だったら! 希望も仁も
今度 1年生になるんだから

一緒に通えばいいじゃない。
んでも…。

ねっ! うちの事は心配しなくても
おばちゃん やるから。

大丈夫。 分かった?

(雄)ただいま!
あっ お帰り。 お帰りなさいませ。

おねえちゃんね
うちの子になったんだって。

へえ…。
妹 できたよ。

じゃあ 僕 これから
夜の御飯 炊かなくて済むね。

はい! うちの事は
みんな 私が致します!

坊ちゃまは 勉強なさって下さい。
ありがたい! 助かった!

だからってね
初ちゃんに甘えちゃ駄目よ!

あんたたちの
きょうだいなんだから!

初ちゃん。 「坊ちゃま」なんて
言わなくていいの。

みんな 名前で呼びなさい。

はい。 オレ… オレ 夢みたいだ!
うん。

この日から おしん
4人の子持ちになった。

家族が増えた事で おしんも竜三も
前にも増して 家業に精を出した。

おしんには
張りのある毎日ではあったが

心の重い事もあった。
希望の事である。

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)はい どうも! 毎度
ありがとうございました どうも!

ありがとうございます!

初ちゃん そんな事しなくていいの
お水 冷たいんだから。

(初子)もう
奥の掃除も洗濯も済んだし

する事ねえがら。

初ちゃんは ホントに働き者だな!

田舎にいる時に比べたら
楽させてもらってるっす。

田舎では いっつも
おぼこ おぶって 働いてた。

弟や妹の子守するだけでも
つらかった。

んだな…。
おぶいひもが 肩に食い込んでな。

かがむと
前に つんのめりそうになって

おむつ こうやって洗ってたら
背中のおぼこ

前に落っことした事
あったっけな。

おばちゃんもね
山形の山の中の 小作の娘なんだ。

7つの時から
子守奉公に出された。

おばちゃんも?
うん。

おばちゃんなんか
小学校も行けなかったんだよ。

初ちゃん 見てるとな
自分の小さい頃 思い出すわ。

あんな つらい思いは もう

私たちだけで おしまいかと
思ったけど

東北の小作の暮らしは
ちっとも変わってねえんだな…。

お帰りなさいまし!
(竜三)あ~ ただいま!

お帰りなさい!

配達の帰りにな
いろいろ 買うてきたよ。
あっ!

仁と希望は?
遊びに行かれました。

じゃあ 呼んできてくれんか。
はい!

初子のも買うてきたとやけんね。
うん!

うわ~!
(竜三)はい!

(希望)学校へ行く かばんだ!
ああ! おそろいたい!

ほれ かばん 開けて
中 見てみろ。

筆箱だ!
(仁)鉛筆も消しゴムも入ってるぞ。

クレヨンだ!
帳面だ! 同じだ みんな!

ああ。 ケンカせんようにな。
ただし 間違えるといけないから

後で 母さんに 名前
書いといてもらった方がいいな。

母さん 今夜 書いといて。
は~い。

初子はな 女の子だから
赤い筆箱にしたよ。

きれいだ! オレ
ほんてん 学校さ行けるのか?

(竜三)ああ! ちゃんと
学校 行って 頼んであるからね。

私は 働かねえど
申し訳ねえのに…。

日本人はな みんな

学校へ行かなきゃいけないと
決まってるんだ。

初ちゃんの一番の仕事は
学校へ行って ちゃんと

勉強する事なんだよ。 はい!
うん!

(雄)ただいま!
お帰りなさいまし!

(竜三)お~ お帰り!
ただいま! うん?

学校へ行く かばんだよ!
お姉ちゃんも一緒だよ!

へえ~ 初ちゃんも行くの?

当たり前だ!
もう4年生なんだぞ 初ちゃんは。

雄にも 中学へ入ったら
新しいの買ってやるが

大丈夫なんだろうな? 県立。
さあね。

でも 落っこったら
僕 魚屋になるから いいよ。

何 バカな事 言ってるの!
中学 入れなかったら

高等学校も 大学へも
行けないんだよ。

大学 行かなかったら
偉い人には なれないんだから!

分かってるよ! だからって
あと試験まで5日しかないんだよ。

今更 慌てたって
しょうがないじゃないか。

なるようになるさ。
のんき坊主なんだから もう!

よかよか。 まあ
大学へ入るばかりが能じゃない。

中学へ入れんやったら
無理せんで

雄に合うた道を
考えてやればよかよ。

人間には それぞれ 分に応じた
生き方というもんがある。

まあ 背伸びさせる必要は なかよ。

あんたが
そうやって 甘やかすから!

そろそろ 店 忙しゅうなるぞ。

ちょっと 初ちゃん 雄に
おやつ 持ってってあげて。 ねっ。

みんなも。 初ちゃんも みんなと
一緒に食べなさい。
はい!

雄が中学に入学する費用にって
貯金しといた分

初ちゃんの50円で
消えてしまったし…

希望や仁の入学の支度も
結構 かかるし…。

雄が合格しても 新しい制服
買ってやれないかもしれない。

聞こえるぞ 子どもたちに。
もう 寝てますよ。

まあ そん時は そん時の事だ。

この町にも 随分 古くなった。
大抵の店は 顔なじみだ。

いざとなったら
月払いにだってしてくれる。

まあ なんとかなるさ。

でも まあ 働いても働いても
お金って貯まんないのね。

何ば言いよっとか おい…。
この不景気にな

一家そろって 夜逃げもせんで
食べていかれるだけでも

ありがたいと思わんば。
そうね。

初ちゃんは いい子だし…。

死んだ愛が
帰ってきてくれたと思ったら

お金に換えられないもんね。
そうたい。

よか子たちに
恵まれたとやっけんね

オイたちは 幸せ者たい。

はい。
うん。

あ~ そうだ おしん
仁や希望の持ち物に

名前 書いといてやらんば。
約束したとやなかか。

あんた…。
うん。 何て書けばいい?

仁は 「田倉 仁」でいいけど
希望は…。

希望は 「八代希望」って書くの?

私たち 今まで

希望も 自分の子だと思って
育ててきたし

希望だって 何にも疑ってない。

でも 仁と希望と
名字が違ったら

いくら あんな ちっちゃい子でも
分かるんじゃないかしら…。

「田倉希望」で よかよ!
学校 どうするのよ?

学校まで 嘘つくの?
先生に 事情 話して…。

そんな事しても
希望だって いつかは分かる。

同い年だっていっても

生まれた月日が違うっていう事は
どういう事なのか。

戸籍謄本だって
隠し通せるもんじゃないでしょ。

だから
うちで 希望 引き取った時に

養子にして 田倉の籍 入れときゃ
よかったんだよ!

そんな事 言ったって!

希望は 八代家の たった一人の
男の子じゃありませんか。

大きくなったら 加賀屋の屋号
継がなきゃなんないのよ。

そうさせるのが
私たちの務めなんですから。

じゃあ どうするって言うんだい?

八代希望で 学校あげるって
言うのかい?

それじゃ
あんまり 希望が かわいそうだ。

まだ 分別のつく年じゃない。

私たちの事 本当の親だと
思ってるんだ。

もし そうでないと知ったら…。

とにかく 理由を話したら
理解できる年になるまで

隠しておいた方が…。
学校だって分かってくれるさ。

もう少し 考えさせて…。
うん。

♬~

あんた。
うん?

川野さんのとこ
イカの刺身と何ですか? これ。

イナダ2本たい。

もう~ あんたの字
読みにくいんだから!

注文 受けた時
急いで書くとやっけんね

そんな習字のような訳には
いかんさい。

母さん
いつ 名前 書いてくれるの?

「明日 明日」って 嘘ばっかり!
母さん 忙しいの

分かってるでしょ! 名前なんて
小学校あがるまでに書けばいいの。

外で遊びなさい! お兄ちゃん
中学の受験で忙しいんだから!

ワイワイ ワイワイ 騒いじゃ 邪魔よ!
は~い!

雄の受験っていうて なんも
お前が キリキリすっ事はなかよ!

全く…。

(おしんの せきばらい)

≪(初子)失礼します!

お母さんが
これ 持っていくようにって。

ありがとう。

試験 明日だなっす。 お母さん
心配していらっしゃいます。

参るよな おふくろにも…。
落っこったら

うちには帰れないよ。
そだな事!

初ちゃんは いいよな。
誰からも うるさく言われないで。

でも 母さんは 随分 苦労して
僕を育ててくれたんだ。

それ思ったら
親不孝は できないしね…。

何が何でも
中学には入らないと…。

つらいんだぞ 僕だって!

≪(水の音)

(竜三)眠れんとか?

明日 雄の受験っていうて

お前が心配したって
始まらんじゃろうが…。

裏で 水の音がする。
何だろう?

(水の音)

(初子が水をかぶる音)

初子! 何ばしよっとか!?
(雄)どうしたの?

初ちゃん!
すみません。

水ば かぶって お祈りすると
願い事 かなうって言うがら…。

バカな事ば すっとやなか!
田舎では そう言うんだ!

父ちゃんが病気した時 母ちゃんが
水ごりして治ったんだ。

願い事って? 初ちゃん。

雄坊ちゃまが
中学に合格なさるように…。

合格して頂きたいんだっす!

(雄)バカ! そんな事 迷信だよ!

早く着替えないと 初ちゃん!
体 拭いて!

♬~

あったよ!
ちゃんと 番号があった!

合格か?

雄~! ハハハ!

初子のおかげだな! 水ごりして
祈ってくれたんだからね!

ありがとう!

(竜三)ほれ 今夜は お祝いだぞ!
ほら ちゃんと

タイも買うてきたとやっけんね!
うわ~!

ほうか ほうか! ハハハハ!

よかった! ねえ~! うん!

♬~

その夜 おしん

仁と希望の入学用品に
名前を書き入れた。

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)さあ みんな
名前 書いときましたよ!

(仁)あっ この洋服!
(希望)洋服も おそろいだ!

もう こんだけ そろったら
いつ 入学式が来ても 大丈夫だな。

これ 僕のだぞ!
俺の方が すごいぞ!

こっちだって! ほら 見ろよ!

(雄)何 大騒ぎしてるのかと
思った。 へえ~。

2人とも よく似合うぞ。 何だか
急に 大人になったみたいだね。

うん。
(仁)母さん。 希望の名前 変だよ!

「ヤシロ ノゾミ」って書いてある。
僕のは 「タノクラ ヒトシ」なのにさ。

どうして
希望は 「ヤシロ ノゾミ」なんだよ?

希望だって 「タノクラ」じゃないの?
これも間違ってるよ 母さん。

「ヤシロ ノゾミ」って書いてある。
間違いじゃないんだ。

希望は 八代っていう名字なの。

どうして? どうして
僕が田倉で 希望が八代なの?

僕 嫌だよ。 僕も
仁や お兄ちゃんと同じに書いて。

希望。

仁も 母さんの言う事
よく聞くのよ。

母さん!

希望に ちゃんと話す時が
来たんだよ。

そんな! 希望は 何にも
知らないで 大きくなったんだよ。

わざわざ 余計な事…。
お前は 黙っといで!

だって かわいそうだよ 希望が!

学校あがったら
いつ どこで どんなふうに

希望の耳に入るか
分からないんだ。

ほかの人から言われるんだったら
母さんが 母さんの口から

はっきり話しといた方がいい。
それが 母さんの責任なんだから。

父さんも いいって言ったの?
父さんだって 分かってくれる。

母さんは 僕に 「口が裂けても
言うな」って言ったじゃないか!

「希望は
父さんと母さんの子だ」って!

僕にも 「本当の弟だと思って
かわいがってやれ」って!

母さん。 僕 父さんや母さんの
本当の子じゃないの?

よその子なの? そうなの?
希望…。

希望は うちの子だよ。
父さんと母さんは

希望が赤ん坊の時から
仁と一緒に育ててきた。

父さんも母さんも 一度だって
よその子だなんて思った事ないよ。

ただな 希望

希望を産んでくれた お母さんは

希望が赤ん坊の時に
亡くなったの。

お父さんもね。

亡くなった
お父さんと お母さんは

八代っていう名字だったの。

希望は 八代っていう家の
たった一人の男の子だから

大きくなったら 八代の家を
継がなきゃならないでしょ。

だから
うちの子には なったけども

八代っていう名字は お父さんと
お母さんから 頂いたの。

お父さんと お母さんの事
忘れないようにね。

死んじゃったの?
僕の お父さんと お母さん…。

うん。

でも 希望

名字が 田倉でも八代でも
希望は うちの子だ。

父さんと母さんの子だよ。
希望だって 今まで

父さんと母さんの本当の子だと
思ってただろう?

それでいいの。
何にも変わらないの。

分かるか? お兄ちゃんは
希望のお兄ちゃんだし

仁は 兄弟なんだから。
分かるか?

そうだよ。 希望だって 仁だって
僕の大事な弟だ。

八代希望だって 田倉希望だって
同じ事じゃないか。 なっ 仁。

うん!

希望。

学校 行って 先生や お友達に
「八代希望君」って言われたら

「はい!」って
大きな声で返事できるか?

そうだ…。

そうだな…。

希望。 希望は 母ちゃんの子だ。

大事な大事な 母さんの子だよ。

♬~

(雄)このお墓が 希望の…?

そう。 今までは
黙って お参りに来てたけども

ここに 希望の お母さん
おじいちゃん おばあちゃんが

眠っておいでになるんだよ。

さあ 希望。

お母さんに
「学校へ あがります」って。

「一生懸命 勉強して
いい子になります」って。

(仁)僕も お祈りする!
「希望と仲良くします」って。

うん。

希望。 お母さんはね 希望の事を
いつも 守って下すってるの。

「希望が 病気しないように。

いつも 明るくて 優しい子に
なるように」ってね。

♬~

中学へあがる
雄の入学式とともに

仁と希望の入学式も
無事 終わり

同じ小学校の4年生に編入された
初子と一緒に

仁と希望も
元気に通学するようになった。

♬「アハハハ アハハハ
こりゃ おかし」っと!

(戸の開閉音)

(鼻歌)

どうしたの? 忘れ物したの?

気分でも悪いの?
もう 僕は 学校へ行きたくない!

希望!

どうしたの?

話さなきゃ分かんないでしょ
希望。

母さん 一緒に行ってあげるから
学校 行きなさい。

まだ 授業 あるでしょ?

行かないったら 行かないんだ!

希望!

≪(竜三)おしんおしん

お帰りなさい。
おう。

昼に間に合わせてくれって
注文があったと。 手伝ってくれ。

すいません。 私 ちょっと
学校 行ってきますから。

希望の様子が おかしいの。
希望 もう 帰ってきてんのか?

何 聞いても 黙ってるし…。

いや ちょっと…
今は ほっといてやって。

私 学校 行って 理由 聞けば
分かる事だから。 ねっ。

仁 どうしたの?

(竜三)ハハハハ! ケンカしたろう?
どうしたの? そんなケガして…。

(竜三)何だ そのぐらいの傷!
大した事なかよ! 学校は?

先生が 「廊下に立ってろ」って
言うから 帰ってきた。

当たり前だ。 ケンカなんかするから
立たされるんだ。

早く 学校 戻りなさい。
だって 僕が悪いんじゃないもん。

なのに 「先に殴りかかってきた
やつが悪い」って 先生が…。

お前が 先に 手 出したのか?

希望に ひどい事 言うやつが
いたから…。

仁…。

希望は? 帰ってきた?
うん。

よかった。 あいつ
いなくなっちゃったから 心配で。

希望 どうしたの?

「もらいっ子」だとか
「親なしっ子」だとか…。

希望は 黙って我慢してたけど
僕は 悔しいから

そいつらに かかっていったんだ。
でも 相手は大勢で…。

そうか…。 仁 顔と手 洗いなさい。

♬~

あんた 希望 いないの。
裏から出ていったらしいのよ。

希望!

希望!

♬~

希望!

希望! 希望!

♬~

希望!

交番には 知らせてきた。

友達のうちには おらんとか?

(雄)母さんと僕とで
聞いて歩いたんだけど

どこにも…。

子どもの足だ。

そう 遠くまで行けるはずがなかて
たかば くくっとったが…。

この時間になっても
帰ってこんところを見ると

やっぱり うちば
出ていくつもりかもしれんない。

うち出て どこへ行くって
言うんだよ!

希望には 知り合いだって
いないんだろう?

お前が いかん!

先生に話して
せめて 小学校の間だけでも

希望を 田倉の姓にしておけば
こがん事には!

あの年で 訳が分かる道理がなか!
早すぎたたい!

(雄)父さん!
母さんだって つらいんだ!

そんな事 言ったら
母さん かわいそうだよ!

母さん… 少し休んだ方がいいよ。

あれだけ 捜したんだ
何かあったら 知らせてくれるよ。

母さん?

希望の声がする。

母さん
もう少し 捜してみるから

心配しないで。

父さん…。

母さんの思うとおりにさせてやれ。

♬~

やっぱり 希望の幼さには
酷だったのだろうか…。

おしんは 悔やんでも
悔やみきれなかった。

捜す当ても無くなって

おしん
いつか 加代の墓へ来ていた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(希望)母さん…。

(おしん)お前
何で ぶたれたか 分かるか!?

希望が 意気地なしだからだ!

お前 友達に 「もらいっ子」だとか
「親なしっ子」だとか言われて

それが つらくて
学校 行かないって言ったんだな?

それで うちも出たんだな?

希望 そんな事 つらくて
めそめそしてたんだったら

これから
いろんな事 あるんだぞ!

もっと つらい事だってあるんだ!

お前なんか生きていけねえ!

母さんな
お前 見つかんなかったら

お墓のお母さんに申し訳なくて

死んで お詫びしようと思った。

お前が ここに来たのは きっと

お墓のお母さんが
呼んで下すったんだ!

お前みたいな意気地なしは
死んでしまった方がいいって

お墓のお母さんだって
思ってらっしゃるに違いない!

希望…。 希望!

母さんと死のう!

嫌だ! 母さん 死んじゃ嫌だ!
死んじゃ嫌だ!

僕 もう 学校へ行く!
誰に 何て言われたって

僕 もう 平気だから!
ちゃんと 学校で勉強するよ!

「学校 行かない」なんて
二度と言わない!

だから 死なないで!

希望! 母さん!
希望!

バカだね お前は 本当に!
夜中に 何で こんな所に来たの!

だって 行く所ないんだもん。
どこにいたの? 今まで。

学校の物置小屋。

何で うち 帰ってこなかったの?

僕 父さんや母さんの子じゃ
ないし

帰ったら 「学校へ行け」って
言われるだろう?

お前いなくなって 父さんと母さん
どんなに心配したか…。

兄ちゃんだって お前の友達のうち
一軒一軒 聞いて回ったんだぞ!

仁は お前の事 いじめたやつと
ケンカして

ケガして帰ってきたんだぞ!

みんな お前を うちの子だと
思ってるからでしょ!

母さん ここに来たら
お前と会えると思った…。

母さん…。

友達に 何 言われても
ちゃんと 学校 行けるか?

うん…。

うち 帰ろう。

父さんに叱られるよ…。

父さんと母さんが
希望の事 叱るのは

お前が かわいいからだ。

お前が小さい時 父さん お前を
いっつも おんぶして

店 出てたんだぞ。

希望の本当の父さんは
死んでしまったけど

お前が こんなに大きくなれたのは
あの父さんのおかげなんだぞ。

父さん 待ってるよ。

雄だって
仁だって 初ちゃんだって

希望の帰ってくるの 待ってるよ。

♬~

帰るんだ…。

♬~

さあ…。 ただいま!

(雄)どこにいたの? 希望。

いいじゃない。
元気で帰ってきたんだから。

(竜三)あ~
腹 減っとるとやなかか?

(初子)すぐ 支度します!
(仁)昨夜のおかずな

希望の好きな
ハンペンの煮たやつだったんだぞ!

希望ちゃんの分
ちゃんと取ってあるよ!

(雄)さあ 希望。

(セミの鳴き声)

何? 何よ もう!

ねえ 買ってよ! みんな
持っているのに 持ってないと

仲間に入れてもらえないんだよ!
駄目だったら!

鉄砲のおもちゃなんか なくたって
遊べるでしょ!

だって 戦争ごっこする時
鉄砲のないやつは

敵の兵隊に されちまうんだよ。
駄目だったら駄目!

父さん 買ってよ!
うん? あ~ そうだな。

希望 お前も頼めよ!
僕 欲しくないもん。

お前だって
そう言ってたじゃないか!

戦争ごっこなんか しない。
ほら ご覧なさい。

希望は 偉いじゃないか
母さんの言う事 ちゃんと聞いて。

少しは 希望を見習いなさい。

何だよ いつも
お前ばっかり いい子になって!

やめなさい 仁! 仁!
もう~! 希望に謝んなさい!

何だよ! 母さんは いつだって
希望の味方ばっかりして!

いいよ もう!
仁!

仁!

また やられたんだな?
仁ちゃんに。

仁ちゃんが かかってきたら
やり返せ。

それが ケンカってもんだべ。

しかたねえな…。 何されても
おとなしく辛抱してるのが

希望ちゃんの
ええとこだけんどよ。

なっ。 豆 一緒に むくべ。
今夜は 豆御飯だぞ!

仁と希望と 何でも同じように
してるつもりなんだけども

うまくいかないわね。

ついつい 仁ばっかり
怒るような事になってしまって…。

しかたんなかよ。 仁は 甘えて
だんだん わがままになるが

希望には
それが できんとやけんね。

希望に
分別がつくようになったら

ますます 仁と希望は
人間が違ってくるじゃろう。

まあ 他人の子と自分の子を
同じように育てようたって

そいつは 無理だ。

難しいもんね!

暑い!

いい匂いだね ゴマって。

助かるな~ 希望ちゃんが
手伝ってくれるから。

(雄)希望
また そんな事してるのか。

よっぽど
初ちゃんと 気が合うんだな。

宿題は もう済んだのか?
夕飯の支度してから するっす。

分かんないとこ あったら
教えてやるぞ。

僕は もう済んだから。
1人で 大丈夫だっす。

算術は いいのか?

ほら 見ろ。
習ったところは 毎日 ちゃんと

覚えていかないと ちょっとでも
分かんないままにしといたら

すぐ ついていけなくなって
しまうんだぞ。 でも…。

僕に遠慮する事なんかないだろ。
初ちゃんは 僕の妹なんだからな。

初ちゃんは 僕の入学試験の時

冷たい水 かぶって
合格 祈ってくれた。

あの時から 本当の妹だと
思ってるんだから。

せっかく 学校 行けるって
喜んでるのに

勉強できなかったら
何にもならないぞ。 さあ やろう。

希望は 仁と遊ばないのか?

仁ちゃんと ケンカしたんだ。

しょうがないな!

希望は おとなしすぎるんだよ。
前は 仁と ケンカしたって

負けちゃいなかっただろう。
しっかりしろ!

希望ちゃんも
一緒に勉強しような!

はい!
毎度 ありがとうございました!

雄 初子 仁 希望の 4人の
子どもたちが成長していく中で

それぞれ 少しずつ
いろんな変化が生まれていた。

おしんは それを
知らない訳ではなかったが

店や暮らしの忙しさで
つい 見過ごす事も多かった。

しかも そのころ
4人目の子どもを

みごもっている事に
気が付いたのである。

(竜三)ホントか?
ホントに できたとか?

うちには 4人もいるのにね。
4人だって大変なのに…。

なにを 罰当たりな事ば
言いよっとか!

もう できんて 諦めとった子が
また できたとやなかか!

子どもなんて 何人いたって
多すぎるって事はなかよ!

1人 増えたら
その分 オイたちが働けばよか!

何とでも なったい!

この不景気は ちっとも
よくなりそうもないし

こんな小さな魚屋で
5人も 子ども 抱えてたら

教育だって ちゃんと
やってやれるかどうか…。

そがん先の事まで
気に病んどったら 何にもできん。

そのうち よか時も来る。

金よりも何よりも
子どもは 宝たい。

体 大事にして
丈夫な子 産まんば!

そうね。
もう 4か月なんだもんね。

クヨクヨしたって 始まらないし!
ああ。

お前は 初子を一人前になるまで
育てるっちゅうとるが

一応 年季は
3年っちゅう事になっとう。

まあ 年季が明けたら 初子を
故郷に帰したってよかとやし…。

初子 手放すって言うの?
ああ。

3年たてば
初子だって 小学校を卒業する。

そうすれば 初子を預かった
俺たちの責任だって

果たした事になる。

初子だって 帰りたいって
言うかもしれん。

そのころになれば 親元だって

帰してほしいって
言ってくるかもしれんし…。

初子は 初子よ!
生まれてくる子とは 別よ。

初ちゃんが どうするかは
初ちゃんが決めればいい事だもの。

だって 生まれてくる子のために

初ちゃん 追い出すような事だけは
したくない。

大丈夫!
もし 私 食べなくたって

5人の子どもぐらい
育ててみせるわよ!

男の子は みんな
大学 出してやる!

おしん…。

私 今まで
あくせく 生きてきたけど

何にも 大した事できなかった~。

子どもだけでも
ちゃんと育てる事できたら

私も 生きてきたかい あったって
言えるもん…。

また 大きくなりますね。
ハハハハ! あ~ ほうか ほうか。

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

♬~

家族みんなが
その日を待ち望む中で

昭和11年の2月26日

おしんは 近所の産院で
無事 女の子を出産した。

♬~

(竜三)女の子やったとか!

でかしたな おしん

オイは 1人 女の子が欲しかった。
よかった よかった。

ハハハハハ! ほうか! いや~
今夜か明日の朝じゃろうて

産婆さんが言うけんな
気ば許しとったたい。

そしたら 今朝 店 開ける時に
知らせがあって

途中で 店 閉める訳にも
いかんけん 遅うなってしまった。

ついとってやれんで
心細い思いさせて

すまんやったな。

(おしん)誰にも
迷惑かけないために

産婆さんに入院したんだから…。
安心して 1人で産めました。

ああ。 臨月になっても
店へ出とったけん

おなかの子に障るんじゃないかて
随分 心配したたい。

店なんて 平気よ。

だって 初ちゃんだって
手伝ってくれたんだから。

もう みんな 大騒ぎたい!
だが おしんが落ち着いてから

来るように言ってあるけんな。
うん。

それから 名前は 「禎」でよかね?

女の子やったら 「禎」にしようって
決めとったたい。

雄も よか名前じゃって
言うてくれたよ。

雄の時も 仁の時も
山形の母ちゃん 来てくれて…。

今度も 母ちゃん 元気だったら
来てくれたんだろうな…。

おしん…。

そうね。 私も もう 36だもんね。

いつまでも 「母ちゃん 母ちゃん」
言ってられないわよね。

あ~ 5人の子どもの母親に
なるんだもん

しっかりしなきゃね。
うん。 ハハハハ!

いや~ しかし
禎も 大変な日に産まれたな。

うん?

いや 今朝 大雪の東京で
青年将校たちが

首相官邸や 方々の大臣の私邸を
襲撃して

だいぶ 大臣や政府の要人たちが
殺されたらしいよ。

どうして そんな事を…。

オイにも よう分からんが
当局の発表というやつによると

内外重大危急の時に
国体を破壊する元凶どもを

日本国家のために
殺したっちゅう事らしか。

恐ろしい事を…。

で その襲撃した将校たちは
捕まったの?

何でも 方々を占拠しとるとかで
反乱軍を鎮圧するために

在京部隊が
出撃したっちゅう事らしか。

まあ
お前が心配する事じゃなかよ。

どうせ 軍人たちの勢力争いだ。

(初子)雑巾は? 先生に
持ってこいって言われたから

私が刺した雑巾 あげたべ?
希望ちゃんのは

ちゃんと かばんに入ってるぞ。
忘れないうちに入れどけ。

(仁)どこへ やったかな~。
無くしたのが?

あるよ 捜せば!
希望 捜してこい!

自分の物だべ! 自分で捜せ!

希望ちゃん 構うんでねえよ!

(雄)仁 また 初ちゃんの言う事
聞かないな!

すいません
雄さん 勉強しておいでなのに…。

仁 自分の事は 自分でするんだ!

お前なんか
さっさと 山形に帰れ!

希望の事ばっかり ひいきして!
帰れ 帰れ! 仁 お前!

(希望)お店に あった!

あっ 僕が遊びに行く時
初べえが くれたから

店に置いていったんだ。
初べえが渡すから 悪いんだ!

仁!
おやすみなさい。

希望。 仁の事なんて
してやる事ないんだぞ。

おやすみなさい。

雄さんの体操服
洗っておいたから!

ありがとう。

けど… 希望と仁は どうして
こんなに違っちゃったのかな。

仁ちゃんは
希望ちゃんに甘えてるんです。

希望ちゃんも 仁ちゃんに 何か
してあげるのが うれしいんだ。

2人とも 大きくなったら
お互いに 助け合って

ええ兄弟になるがら!
まあ いい。

初ちゃんが
ついててくれるんだから

僕が 何にも心配する事は
ないんだ。 ねっ。

(竜三)ただいま!
(初子)お帰りなさい!

お帰りなさい!
(竜三)あ~ ただいま。

どうだった? 母さん。
赤ちゃん 元気でしたか?

帰ってきたら また
初ちゃんの世話になっとやろう。

子守ば させられて…。
はい! 子守は慣れてるがら!

やがて おしん
禎を連れて帰ってくると

初子は 禎を よく お守りした。

学校から帰ると
おしんが 店へ出ている間

背中に おぶって
夕飯の支度をするのが

初子の日課になった。

禎の出産の日に起こった
二・二六事件は 日本の政治を

軍部の意のままにできるという
体制をつくる事になった。

その翌年 昭和12年の7月7日に
勃発した 蘆溝橋事件

泥沼のような
日華事変の発端となり

日本は 戦争への道を
歩み始める事になったのである。

…が おしんにも竜三にも
そんな事は 分からなかった。

それより 5人になった
子どもたちとの暮らしを

支える事の方が
切実な問題だったのである。

そして 初子は 3年の年季を終え
小学校の卒業が近づいていた。

初ちゃん いなくなると
店 出るのも

禎 おぶって
出なくちゃなんないわね。

禎が1人で遊んでくれるように
なるまでは 大変だ。

お前も
弱音 吐くようになったとか。

年たいね! ハハハハ!
初ちゃんの ありがたさが

今頃になって 身にしみるって
言ってるの。

しょんなかよ。 希望は オイたちで
面倒 見てやらにゃならんが

初子まではな…。

分かってるんだ。

十分な事もしてやれないのに
引き止めたってね。

向こうの親元も 帰してくれても
いいって よこしたんだもんね。

でも 帰したら
すぐ 売り飛ばされて…。

おしん

そうね。 今 初ちゃんの事まで
心配できる時じゃないもんね。

(希望)ただいま!
お~ お帰り!

お帰り! 仁は?
友達と遊んでる。

母さん 僕が 禎ちゃん
おぶってやるよ。 いいよ!

そのつもりで
走って帰ってきたんだ。

母さんは 働いて大変なんだから

禎ちゃんの お守りくらい
しなさいって

初ちゃんにも
言われてるんだから。

(竜三)おしん
手伝ってもらったらよかよ。

希望は 気持ちの優しか子たい。
初子が いなくなったって

ちゃんと
代わりばしてくるったい!

初ちゃん いなくなっちゃうの?

ああ。 もう 年季も明けるからな

お父さんや お母さんの所へ
帰るんだよ。

初ちゃんには
ホントに お世話になって…。

私が おなかが大きい間は
初ちゃん いてくれたから

随分 楽させてもらえた。

お産の時だって
帰ってきてからだって

初ちゃんが みんな
私の代わりしてくれて…。

この1年は
禎のお守りもしてもらった。

初ちゃんの事
自分の娘みたいなつもりで

大事にしようと思って
預かったのに

何だか
結局 こき使ってしまってね…。

堪忍してね。
とんでもねえ。

大阪に売られるところ
こちらへ置いてもらって

学校まで行かせてもらって
みんなにも

かわいがってもらったし
楽しかったっす。

でも 初ちゃん もしか このうちに
いたいって言うんだったらね…。

いいえ。
これ以上 お世話になるのは…。

そうね…。

初ちゃん うちにいたって 結局
子守代わりに使ってしまうもんね。

だったら 初ちゃんだって
たまんないもんね…。

(竜三)お父さんや お母さんだって
待っておられるんだよ。

引き止める訳には いかん。

お帰りなさい。
(雄)初ちゃん!

希望が 初ちゃん 田舎へ帰るって
言ってたけど 本当か?

帰れって言われたのか?
父さんと母さんに!

3年って 年季だから…。

母さん うちの子にするって…。
初ちゃんが 一人前になるまで

うちで 面倒 見るって
言ったじゃないか。

それは 禎ちゃんが
生まれねえ時の話だもの。

初ちゃんは 帰りたいのか?

こちらに用のない人間になったら
帰らなくては しかたない。

初ちゃんの気持ちを
聞いてるんだ!

帰りたくない!

帰りたくなんかない…。

初ちゃん 帰るな! 帰ったら また
奉公に出されるに決まってる!

初ちゃんを
よそに 奉公なんかさせない!

うちに いろ! どこにも行くな!

初ちゃんは うちの子だ!
僕が どこにも行かせない!

僕の大事な初ちゃんだ!
大事な妹なんだからね!

(雄)初ちゃんは うちにいたいって
言ってるんだよ!

それを追い返すような事
するなんて ひどいじゃないか!

雄…。
(雄)禎が生まれて

初ちゃん 邪魔になったから
田舎へ帰すって言うのかい?

(仁)初べえを追い出したりしたら
承知しないからな!

初べえが いなくなったら
寂しいよ!

よく言うわよ 仁!

あんた 初ちゃんに憎まれ口ばかり
きいてたじゃないの!

≪(仁)初べえの言う事 聞く。
だから 初べえにいてもらってよ!

≪初ちゃん!
ちょっと こっち来なさい。

初ちゃん
あんた ホントに うちにいたい?

はい。 でも ご迷惑だから…。

うちにいたって 十分な事
してやれないかもしれない。

子どもが 1人 増えたら 大変だ。

初ちゃんにだって 苦労かける。
それでも?

働く事は 何でもねえ!

子守だって みんなの面倒だって
何だってします!

こちらに
置いてもらえるんだったら

どんな事だって…。

分かった! 初ちゃんのご両親に

相談してみるから!
(竜三)おしん

だって 初ちゃん うちにいたら
苦労すると思ったけども

それでも 初ちゃんが
いいって言うんだったら…。

母さん…。

う~ん…。 いいか?

これから 初ちゃんに わがまま
言うような事があったら

今度こそ
本当に帰ってもらうからな!

言わない! 初ちゃんの言う事
聞く! 本当に聞くから!

初ちゃん よかったね!

ねっ そうだ!
初ちゃん 小学校卒業したら

せめて 高等小学校2年までは
行かなきゃ! ねっ お父さん!

ああ。
(雄)さあ 希望 仁

初ちゃんと僕とで 部屋で遊ぼう!
(2人)うん!

(希望)行こう!
よかったね!

♬~

(2人の笑い声)

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)ねえ どうですか?
(竜三)うん?

戦争 まだ続きそうですか?

う~ん…。 蘆溝橋事件のあと

近衛さんは 事件不拡大っちゅう
方針で行きたいらしいが

抗日運動が広がっとって 方々で
日本軍が攻撃されとるらしい。

それで 日本軍も堪忍袋の緒を
切らしたんだろうな。

そんな事してたら
いつまで たったって

戦争 終わらないじゃないですか。
お前の心配すっ事やなかよ。

そりゃ 私が心配したって

お上のする事は
どうしようもないけど…。

まあ 反日運動をしている連中を
抑えるための戦争さい。

そう 長続きはせんよ。

どんな理由があるにしたって
戦争は 私は ごめんだ!

そがん事ば言っとったら
今に 「非国民」って言わるっぞ!

みんな 日本のためを思って
戦ってくれてるんだからな。

あ~ おしん 浩太さんがな
帰ってきとるらしいぞ。

浜のお内儀さんの所に
おかしな男がいるっちゅう噂で

よく聞いてみると
どうも 浩太さんじゃなかかて…。

お内儀さんに聞いてみた?
ああ。

「そがん人間は おらん」って
冷とう 突っぱねられたたい。

じゃあ ただの噂でしょ。
だって 蘆溝橋事件

戦争だ 戦争だって
大騒ぎしている時に

浩太さん 出てこられるはずが
ないじゃない。

うん。 まあ オイも そう思うが…。

そんな事があったら お内儀さん
きっと知らせてくれるわよ。

そりゃ そうたいね。
うん。 きっと 何かの間違いだ。

おっ! そろそろ
御用聞き 回ってくるぞ!

あ~ 行ってらっしゃい。

♬~

浩太さん…。

♬~

どうなさったんですか?

浩太さん?

浩太さん!

♬~

(ひさ)まあ おしんちゃん
あんた なにも忙しいのに

わざわざ 来てくれんでも
竜三さんに

言づけしてくれたらええのに!
毎朝 会うとるんやよってんな!

禎ちゃんも
かわいいなったやろうな!

一遍 顔 見に行こう思うて…。

おしんちゃん 何ぞ用か?

浩太さんの事で…。

やっぱり あんたも
噂 聞いたんかいな…。

浩太さんはな
うちには おらんで。

さっき お会いしたんです 浜辺で。

ひどく やつれておいでに
なりました。

足も お悪いみたいで…。
でも 浩太さんでした。

いろんな事情 おありになると
思いますけど…。 でも なにも

私にまで 嘘 おっしゃる事は
ないじゃないですか!

昔の浩太さんは 死んだんや。

今の浩太さんは あんたの知っとる
浩太さんやない。

昔の自分を捨てて
ほんで 監獄から出てきたんや。

お内儀さん…。
転向とか言うのやそうやけどな。

社会主義とは
きっぱり 縁を切ると誓うて

監獄を出してもろうたんや…。

そうですか…。

いや 私は また

誰かに追われてらっしゃるんじゃ
ないかって…。

じゃ もう どこでも 大手を振って
お歩きになられるんですね!

よかった!

それがな もう すっかり
人が変わってしもうてな…。

それは 6年もの間

監獄に閉じ込められていたら
誰だって…。

いや
閉じ込められてるだけやない。

きつい拷問に遭うたらしいわ…。

足かてな 片っぽ 曲がらんように
なってしもうた…。

なあ 浩太さん
おしんちゃんに 何ぞ言うたか?

やっぱり そうかいな…。

おたいにも
めったに 口 きかへん。

「誰にも会いとうない。
知らせてくれるな」言うてな…。

どうして…。

やっと 天下晴れて 自由の身に
おなりになったんじゃないですか。

なあ ちょっと
そっとしといてあげて! なっ!

浩太さんな 転向した事を
恥じてなさるんや。

まあ 出たら出たでな
浩太さんも地獄や。

権力に負けた自分を責めて
自分で 自分をいじめとるんや。

おしんちゃんには
きっと 会いとうないやろう。

いや 誰よりも おしんちゃんには
会いとうないのと違うやろか…。

あんたな せっかく 心配して
来てくれたんやろうけどな

今日 このまま帰って。 なっ。
会わんと帰って。 なっ。

♬~

そうか。 6年も
監獄へ入ってた事になるのか…。

あんなに 農民運動に 情熱を
燃やしておいでだった方が

廃人同様になって…。

私にも ひと言も
口 おききにならなかった…。

まるで 人が変わったみたいに…。

お気の毒で見ていられなかった…。

しかし 出てこられて
よかったじゃないか。

すぐ 元気にもならるったい。

私… 怖かった。
浩太さんみたいな人を

一人残らず捕まえて
監獄に閉じ込めて…。

たとえ 転向したって
二度と 人間らしさ

取り戻せないみたいな廃人に
してしまうなんて…。

ご時世たい。

浩太さんだって
その事が分かったから

日本の主義や運動なんて

今の ご時世では むなしい事だと
気が付かれたとやなかか?

浩太さんね
足も不自由になられて…。

きっと ひどい拷問
受けられたんだと思う。

でも 6年もの長い間
監獄生活 辛抱できたのは

自分の信念を通そうって
お思いになったからだ…。

だから 自由になられたって

きっと 無念な思いを
してらっしゃるに違いない…。

まあ お父さんが立派な方なら
すぐに立ち直られて

それ相応の地位にも
就かれる事だろう。

心配する事は なかよ。

変わり果てた浩太を見た時から

おしん
今 もう 誰にも逆らえない

強大な権力が
日本の運命を握っている事を

初めて
肌で ひしひしと感じていた。

もちろん おしんには
それが どんな力なのかは

分からなかったが
背筋を冷たいものが走っていた。

そして その年の暮れ
日本軍は 南京を占領し

勝利に酔いしれた国民は
提灯行列で その戦勝を祝った。

雄も 仁も 希望も 初子も
そして 竜三も

何の疑いもなく
提灯行列に加わった。

その時 おしん
やはり 勝利を喜ぶ

日本人の一人に
なっていたのである。

(子どもたち)バンバン! バンバン!

(サイドカーのエンジン音)

すっかり 御無沙汰致しまして…。

いや~ びっくりしたばい!
よう 来てくれたない!

何年ぶりかない?
仁! 伯父さんばい!

父さんの兄さんだよ!
(仁)こんにちは!

(竜三)次男の仁です。
(亀次郎)あっ 雄は?

まだ 学校から
帰ってきておりませんが

今 中学の3年ですもんね!
そうか…。

オイが 佐賀で おしんさんに
初めて会うた時は

雄は まだ 赤ん坊じゃった。
そいが もう 中学3年か…。

我々も 年 取るはずたい! ハハハ!

お兄さんは 出世なさって
本当に おめでとうございます。

兄さんとはな 十何年ぶりたい!

今夜は飲み明かそう 兄さん!
うん。

(竜三)おい ほら!
はい。

竜三の次兄 亀次郎とは 一度
佐賀の本家で会った事があった。

…が それ以来
お互いに暮らしが違って

親しく行き来する事もなかった。

…が その亀次郎が なぜ
突然 竜三に会いに来たのか。

亀次郎のカーキ色の軍服に けおされ
戸惑いながら

不吉な予感がして
おしんは 不安でならなかった。