ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おしん 一挙再放送 第32週・太平洋戦争編 田中裕子、東てる美… ドラマの原作・キャスト・音楽など…

おしん 一挙再放送▽第32週・太平洋戦争編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 浩太
  2. 希望
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  6. 日本
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  11. 今日
  12. 自分
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  14. 伊勢
  15. 心配
  16. カフェ
  17. 自転車
  18. 特高
  19. 満州
  20. オイ

f:id:dramalog:20191110104802p:plain

おしん 一挙再放送▽第32週・太平洋戦争編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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おしん 一挙再放送▽第32週・太平洋戦争編[字]

主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。

詳細情報
番組内容
加賀屋が倒産し、加代(東てる美)や、その家族の行方がわからないまま一年が過ぎた昭和6年、おしん(田中裕子)は、浩太から加代がみつかったと知らされ、上京した。おしんはまず、たか(渡辺美佐子)を訪ねたが、たかは健(ガッツ石松)を呼び寄せて、おしんの案内を頼んだ。加代の住所を探しあてた時、おしんは女ひとりでは来られぬところだったと思い知り、心の冷える思いで加代の暮らしを悟っていた。
出演者
【出演】田中裕子,東てる美河原さぶガッツ石松渡辺美佐子,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一

 

 


♬~
(テーマ音楽)

♬~

(健)いるのは 分かってるんだ。

つべこべ言わねえで
呼べばいいんだよ!

(カフェの男)一体 何の用があって?
黙って連れてくるんだ!

(カフェの男)けどよ
理由も分からねえのに!

(加代)ちょっと すまないけど
何か 食べる物ないかしらね。

おなか すいてるもんで
泣きやまないんだ。

(おしん)お加代様…。

♬~

お加代様! お加代様!

おい! やたら
上がってもらっちゃ 困るね!

どうして!?
私の捜してる お人なんです!

何にも分かっちゃいねえんだな
こちらさんは!

さっさと
連れて帰ってもらいてえな!

これで 文句ねえだろ!
あの女 上玉でね 高えんですよ。

健さん…。
会っておいでなせえ。

1時間だぜ。
バカ野郎!

ここら辺の女の相場を
知らねえとでも思ってるのか!

2時間でも3時間でも あっしが
ちゃんと ついてますから。

♬~

≪(赤ちゃんの泣き声)

お加代様…。 おしんです。

お加代様。

希望坊ちゃまに お土産と思って
ウエハース 持ってまいりました。

差し上げて下さい。
バナナも あります。

希望坊ちゃま。

≪(女)お客さんだって?
坊主 よこしな!

昼間っから お客だなんて
大したもんじゃないか!

ほれ! よいしょっと!

随分 心配致しました。

どうして 知らせて
下さらなかったんですか?

知らせて 何になるって言うんだ?

おりきさんから 旦那様が
亡くなったって 聞いたんです。

すぐにでも 酒田へ
飛んでいくつもりでおりました。

そしたら 浩太さん いらして

加賀屋には
もう 誰もいないって…。

おしん… 黙って帰ってくれ。

何にも聞かねえで
このまま 黙って帰ってくれ。

これ 浩太さんから
お加代様にって

お預かり致しました。

ここを捜して 教えて下さったのも
浩太さんなんです。

そげなもの あの人から もらう
筋合いは ねえよ。

浩太さんは お加代様の事
案じておられます。

私だって うちの人だって…。

どうか ここを出られて
うちへ いらして下さいまし!

お迎えに あがったんです。

大奥様 大旦那様
どちらに いらっしゃるんですか?

どうか ご一緒に
伊勢へ いらして下さいまし。

及ばずながら 私が…。

そげな心配は 要らねえ。

お二方とも 私には
大恩のある お方なんです。

精いっぱいの事 させて頂きます。
させて頂きたいんです。

もう いねえんだよ 2人とも。

死んでしまった…。

お加代様…。

親不孝してしまった…。

オレだって こげなとこに
置いとくのは つれえんだよ…。

お父さんも おっ母さんも

どげな思いで
オレの暮らし 見てるんだか…。

酒田へ連れて帰りたくたって
そうはいかねえし…

寺に預ける金だって ねえ。

しかたねえんだ。
ごめんしてくれのう…。

♬~

あの人が自殺して

初めて 商品相場で大損してる事が
分かってのう…。

そん時は もう どうする事も
できなかったんだよ…。

米問屋の方も うまくいかなくて

それを 株で穴埋めしようと
したんだけど

あの大恐慌の暴落で
カタッといってしまったんだね。

加賀屋の財産 総ざらいしたって
借金 整理できなかったよ。

しかたないから
東京さ 逃げてきたんだ。

東京さ着いて とりあえず
ちっちゃなうち 借りて

やっと ほっとしたら

お父っつぁん
脳卒中で そのまんま…。

今までの心労が たたったんだな。

んだけども
苦しまないで逝ったんだから

かえって
よかったかもしれねえ…。

ろくに 葬式もしてやれねえで

オレは また 仕事探しに
走り回ったんだ。

だけど この不景気だもんな。

まともな商売なんか
あるはずは ねえ。

しかたねえから オラ 昔 勤めてた
カフェ… あそこへ行ったんだけど

三十女には
もう 無理だったんだよ…。

そんな時にな
おっ母さんも倒れてしまって…。

みつきぐらい
入院してたんだろうか…。

大きい発作があったとかで…。

オレ おっ母さんの死に目にも
会えなかったんだよ…。

入院費に困ってたもんで ここで
勤めててな 出られなかったんだ。

今どき 500円も 前借りさせて
くれるとこなんか ないんだよね。

それに

ここなら 希望を連れてきても
いいって言ってくれたんだ。

希望だけは どげな事しても
手放す事は できなかったんだ。

希望坊ちゃま ここで
お育てになるおつもりですか?

しかたねえだろ。

オレは 希望がいるだけで

ほかには 何にも欲しいもんなんか
ありゃしねえ。

それだけで 生きてるんだもの。

生きていけるんだもの。

むちゃです。 なんとかしますから。
きっと なんとかしますから。

おしんこそ この不景気だ。
店だって 楽ではねえんだろ?

人の事なんて構ってねえで…。

お加代様…。

罰 当たったんだよ 私は。

おばあちゃんや親 泣かせた
報いだもんだ…。

(たか)1, 000円からのお金がないと
自由になれないって言うのかい?

(健)あそこへ入ったら
おしめえだ。

女郎に身売りする方が
まだ ましなんですよ。

女郎っていうのは 年季が明けりゃ
足を抜く事もできる。

けど あそこは 底なしの沼だ。

女郎にも なれねえような女が
金 欲しさに飛び込んでって

結局 最初 借りた金の利息が
雪だるまみてえに なっちまって

あがきが
とれなくなっちまうんですよ。

じゃあ あそこから
一生 抜け出せないって言うの?

(健)そりゃ 札束さえ積みゃ…。

1, 000円ものお金 とっても…。

私だって なんとか
力になりたいけどさ…

この ご時世だもん
大金すぎるよ…。

♬~

おい! もう いい加減にしてよ
こっちへ来いよ!

ちょっと
今夜はね 飲みたいんだよ!

(せきこみ)

≪(女)酒だよ。

は~い。

そんなになるまで 飲んで!
あんた 胃が悪いんだろ?

一番 よくないんだからね
お酒は!

何のために生きてんだか
分かんねえのに

体の事 気を遣っても
しょうがないだろ。 希望は?

もう 寝ちまったよ。
ちゃんと 守りしてやってね。

あんたに おしめ 替えてもらうと
尻 ただれちゃって

かわいそうなんだ。
お客が待ってんじゃないか。 ほれ。

全く!

♬~

希望…。

♬~

どうしたら 加代を救う事が
できるだろうか…。

おしん
その夜 まんじりともせず

加代と希望の事を考えていた。

つくづく 自分に力のないのが
悲しい おしんであった。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(戸が開く音)

(おしん)すみません
朝早くから…。

(たか)やっぱり 行くのかい?

お加代様 すっかり
やつれておしまいになって…。

せめて 精のつくもんでも
こしらえて お持ちしたいんです。

そりゃ おしんの気持ちは
分かるけどさ

切りがないんじゃないのかね。

申し訳ありません。
いいんだよ。 おしんが うちに

いくらでも いてくれたって。
だけど あんたにだって

伊勢で待ってる
旦那や子どもがいるんだ。

どうにもならない
お加代さんのために

東京にいたって しょうがないと
思うけどね…。

よく分かってるんです。
でも このまま

お加代様と希望坊ちゃま
見捨てては…。

お加代様を あそこから
連れ出せないんだったら

せめて 希望坊ちゃまを
伊勢へ連れて帰りたいんです。

あそこで 希望坊ちゃまを
お育てになるのは むちゃです。

そんな事 言ったって
お加代さんが

手放すはずないだろう。
手元に置いておきたいからこそ

あんな所で我慢して
働いておいでなさるんだ。

それを お加代さんから
もぎ取るような事…。

お加代様と
よく 話 してみます。

それに
大旦那様や奥様の お骨の事も…。

もし 私でよかったら ちゃんと
お墓に納めさせて頂きたいんです。

あんたも大変だね 自分の事で
手いっぱいだっていうのに…。

お加代様には いくら尽くしても
償いきれない事があるんです。

おしん…。

(カフェの男)御苦労さんでござんした
どうも。

あっ 兄貴! 今 兄貴んとこ
知らせようと思ってたんだよ。

いやね… 死んだんだよ あの女。
今朝 あんまり 坊主が泣いて

うるせえんでよ 見に行ったら…。
お加代様が!?

あ~ よかったよ!

兄貴の知り合いだって事が
分からなかったら

仏も坊主の引き取り手も
ねえとこだったよ。

何があったんですか!? 昨日は
あんなに元気だったのに!

そう そう そう!
いやね 医者の話じゃ

だいぶ前から 胃をやられてたって
言うんだよ。

それがね 昨夜 大酒 食らって
また 血 吐いたって言うんだよ。

おまけによ
吐いた血が 喉に詰まって

息が
できなくなっちまったんだと。

あ~ 借金が 山ほど残ってるって
言うのによ!

♬~

お加代様?

♬~

お加代様…。

お加代様!

お加代様
弁当 作ってまいりました!

お加代様の好きなもの
作ってまいりました!

お加代様!

♬~

お…。

(カフェの男)とにかく 早えとこ
仏と その坊主を

引き取ってもらいてえな。

(健)お内儀さん 加代さんの
借金の事は 話 つけましたから。

兄貴 そりゃないぜ!

ちゃんと 知り合いがいるんだよ
少しでも返してもらわねえと!

うるせえ! 半年以上も稼がせて
搾り取ってたんじゃねえか!

500円の借金ぐれえ とっくの昔に
召し上げてるはずだ。 客1人に

どれぐれえ ふんだくってたか
知らねえと思ってるのか!

けどよ 三度の飯 食わせて

ガキの面倒 見てよ
結構 かかってんだい!

身寄りのねえの承知で
入れたんだろうが! ええ!

本人が こういう事に
なっちまったら

誰に 文句 言う事も
できねえんだ。

こちらの姐さんだって 親戚でも
何でもありゃしねえんだからな!

(カフェの男)けどよ!
(健)そうかい。

じゃあ 俺たちは 手を引く。
お前んとこで

仏の始末すりゃいいだろう!
お内儀さん 帰りましょう!

(カフェの男)分かったよ!
この上 仏の面倒まで見るんじゃ

踏んだり蹴ったりだい! さっさと
連れて帰ってもらいてえな!

商売の邪魔だい!
あ~ 何でもいいから

この女の物も とっとと あれだい
あれしてもらいてえな ホントに!

何だ こりゃ!? ああ?

お内儀さん
今 葬儀屋に 電話しました。

すぐ来るそうですから
荷物の整理なさって下さい。

(カフェの男)何だ こりゃ!?

この方の ご両親のお骨です。

見せましょうか?
じょ… 冗談じゃねえや!

全く このアマ こんな物
ここ しまってやがったのか!

ウ~ッ 薄気味の悪い!

お加代様…。

♬~

希望坊ちゃまは
私が ちゃんと お育て致します。

ご心配なさらねえで…。

大旦那様と奥様のお骨は

私 お預かり致しました。

♬~

とんだ ご迷惑をおかけしました。

いいんだよ。

せめて 私たちだけでも お通夜を
してさしあげようじゃないか。

おしんの大事な お人なんだもん。

おしんが会いに行った
その明くる日に

こんな事になるなんてね…。

私が訪ねていった事と

何か 関わり合いが
あるような気がして…。

私が会いに行かなかったら
こんな事には…。

それは おしんの思い過ごしだよ。

お加代さんは あんなに
大変な苦労をなさってきたんだ。

寿命だと思って 諦めるんだよ。

うん…。

(たか)何だい?

お加代様が 私宛てに…。

その金は 一昨日の…。

あっしは てっきり 店のやつらに
巻き上げられたとばっかり…。

いや~ うめえとこへ
隠したもんですね。

骨つぼと分かりゃ
いくら あいつらだって

手 つけねえだろうからな。

まさか 遺書じゃないんだろうね?

遺書なんか書く暇なかったって…。

(加代)「おしん
今日は ありがとう。

おしんには 一生
会う事もねえって諦めてたのに

本当に うれしかった。

おしんには言わなかったけど
私は もう 長くはねえ。

私に もしもの事があったら
希望は どうなるかと思うと

死にきれなかったんだ。
でも おしんに会えて

おしんなら希望を預かって 立派に
育ててくれるって 安心した。

もう つらいの辛抱して
生きる事もなくなった。

私なんて生きてたって
みんなに 迷惑かけるだけだ。

金の工面なんか する事はねえ。

また おしんが 来てくれるって
言ってたの 信じて

この手紙 書いてる。

同封の100円は
浩太さんからのものだ。

これで
父さんと おっ母様の骨を

どっかの寺へでも納めてほしい。

私の後始末で
迷惑かけるかもしれねえけんど

私の骨は 海へでも川へでも
捨ててくれ。

加賀屋を潰し
親不孝の限りをした女には

それが 一番ふさわしいんだよ。

ただ 希望の事は…

希望の事だけは
よろしく お願いします。

これで もう いつ 何があったって
思い残す事はねえ。

やっと 楽になれる…。

ただ この手紙が 無事 おしん
手に届くよう 祈るだけだ。

おしん…。

おしんと よく遊んだ 酒田での
幼い時の事を思い出してる。

私には 一番 幸せな時だった。

あのころに かえれたら…。

さようなら… おしん」。

♬~

今日から 希望坊ちゃまは…

自分の子どもだと思って…。

お師匠さん 健さん

本当に お世話になりました。

とんだ ご迷惑を
おかけ致しました。

いや とうとう
お役に立てねえで…。

明日 伊勢へ帰ります。

皆さんの ご供養も
してさしあげたいですし…。

(たか)そうだよね…。

雄坊も仁ちゃんも 待ってるんだ。

また 寂しくなっちまうよ…。

♬~

お師匠さん 健さん

元気でいて下さいね。

♬~

翌朝 おしん

希望を しっかりと おぶって
3つの骨つぼを抱いて

いつ また来られるか分からない
たかの家に 別れを告げ

東京を 後にしていた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

突然の加代の死で

おしん
加代の忘れ形見になった希望と

加代の両親 清太郎と みの
そして 加代の

3つの骨つぼを抱いて
伊勢へ帰ってきた。

♬~

(鈴の音)

(おしん)あんた…。

私の一存で 勝手な事して
申し訳ありませんでした。

(竜三)アハハ。
何だ 今頃 改まって…。

ゆっくり話す暇もなくて…。

本当は あんたに ご相談してから
決めなきゃいけない事

勝手に
希望坊ちゃま お連れして…。

それに お加代様 大旦那様 奥様の
お骨までも…。

いや…
加代さんが亡くなったんなら

希望君を うちで引き取るのは
当たり前の事たいね。

おしんと加代さんとは
姉妹も同然じゃなかか。

しかも 加賀屋は
おしんにとって 大恩のある家だ。

加代さんの ご両親のお骨を
持って帰るんだって

おしんの務めだ。

しかし 加代さんまでが
こがん事になってしまうとはな…。

私… 希望坊ちゃまを

立派に お育てしなければならない
責任があるの。

よう 分かっとったい。

加代さんの消息が分かったって
聞いた時から

オイは 加代さんも希望君も

引き取るつもりで
おったとやけんね。

あんた…。

心配する事はなかよ。
オイたちが 一生懸命 働けば

子どもの1人ぐらい 増えたって
何とでもなるたいね。

なあ おしん 子どもはな

兄弟が多いほど
お互いのためになっとよ。

ケンカしたり 助け合うたりして
人間らしゅう 育つとやけん。

オイは
今後 「希望」と呼び捨てにする。

自分の子に
「坊ちゃま」は おかしかよ。

お前も そのつもりでな。

いや~ 男の子が 3人もおるてん
こがん結構な事はなか。

ハハハ! ありがたかこったい!

…で 酒田へは いつ 行くとか?

酒田の加賀屋の墓へ
納骨もせんばらんとやろ?

私ね ここのお寺に お願いして
お墓 建てようかと思って…。

お加代様も 大旦那様も 奥様も
希望坊ちゃまのそばに

いらっしゃりたいんじゃ
ないかしら。 希望坊ちゃまが

どんなふうに大きくなって
いかれるか そばで

見ていらっしゃりたいんじゃ
ないかと思って…。

希望坊ちゃまにも
お参りして頂けるでしょ?

しかしな…。

希望坊ちゃまが大きくなられたら
事情を 全部 お話しして

そして 酒田の加賀屋のお墓に
納め直して頂ければ…。

それまで…。
そうたいね。

加賀屋は 無くなったが

希望が 加賀屋を再興するぐらいの
商人に 成人してくれたら

そん時に…。

そしたら 私 やっと 加賀屋の
皆さんに ご恩返しできる。

うん。 オイたちで頑張って
早う 希望を一人前にせんば!

♬~

(読経)

(雄)ねえ これ 誰のお墓?

母ちゃんの大事な方たちの
お骨を お納めしたんだ。

何ていう人?
雄の知らない人だ。

雄が大きくなったら
教えてやるからな。

希望。 ほら ちゃんと
お参りするんだよ。

よいしょ。 お内儀さん!

(ひさ)どこ 行っとったんや~。
(竜三)すみません。

お待たせしたとですか?
すぐ 開けますから。

今朝な 竜三さんが 仕入れに
来えへんかったよってに 心配で。

あら 今日 店 休む事 お断りして
こなかったんですか? あんた。

いや~ わざわざ 話す事もないて
思うて…。

まあな 朝は 戦争やよってに
ゆっくり話す暇もあらへんかった。

あ~ よかった。 誰ぞ 加減でも
悪いのかと思ってたんや。

いえいえ。
うん? この子 どこの子や?

その事も お話しして
ないんですか? うん…。

(ひさ)へえ~!
そんな事があったんかいな。

竜三さん あんた
何にも言うてくれんよってに…。

(竜三)おしんが いないって言うと
また お内儀さんに

余計な心配 おかけしますから。
ほな おしんちゃんが おらん間

雄坊と仁ちゃん 二人っきりにして
あんた 仕入れに来とったんか?

雄が 学校 行くまでに
帰ってやれば

雄が 仁を
見てやってくれてましたから。

けどな
よう 墓まで建ててあげたな。

浩太さんから お加代様にって

お預かりした100円
あったもんですから それで…。

浩太さんと その加代さんいう
お人と 何ぞあったんか?

お加代様の初恋の方なんです
浩太さん…。

東京で 以前 一緒に
住んでらした事もあって…。

はあ~ そうやったんかいな。

おたいは てっきり
浩太さんの好きなんは

おしんちゃんやとばっかり
思うとった…。 まさか。

(ひさ)ほんなら
おたいにも まんざら

縁のない人やないねんな…。
今度 また お参りさせてもらうわ。

なっ。

その後 浩太さんからは?
梨の礫や。

どこで何しとるか分からへんし…。
ひょっとしたら 捕まって

監獄にでも入れられてんのかも
分からへん。 お内儀さん…。

このごろ またな
えらい 取締りが きつうなって

方々で挙げられとるんやて。

そら 浩太さんはな 覚悟の上で
やっとるかも分からへんけど…。

この不景気で 苦しめられてるのは
貧しい人間ばっかりですからね。

誰かが そういう人たちの味方に
なってくれないと…。

アカも シロも ありませんよ。

行商の おばさん連中が
商いが減ったって

えらい こぼしとるわ。

まあ あんたんとこは
ましやろうけどな。

けどな 子ども1人 増えたら
えらいやろ?

もう これから 何でも
2つずつ 要るんですからね!

2人が同い年なだけに
少しでも 分け隔てをしたら

どっちかが 傷つく事になります。
それだけは 気を付けてやらんと。

分け隔てなく育てたつもりでも
いつか 希望にも

いろんな事情が分かってくる時が
あるだろうし…。

それまで 素直に ひがまないで
育ってくれるかどうか…。

育てられるかどうか…。

まあな 困った事があったら
何でも言うてや。

力になるよってに…。

(汽笛)

(圭)そうか…。

このお墓が
僕の おばあちゃんの…。

お加代様って人が 僕の本当の
おばあちゃんだったのか…。

父さんだって 圭が大人になったら
話すつもりでいたんだろう。

それに 父さんには やっぱり
つらい話だったろうからね。

じゃあ 今でも このお墓に

おばあちゃんたちの お骨が
入ってるの?

父さんが 酒田の
加賀屋の先祖代々のお墓へ

ちゃんと 納めたんだよ。

でも 父さんも
この近くに 窯を持ったしね

時々 お参りに来るには
やっぱり ここの方がいいって

分骨して 残したんだよ。

父さん よく
お線香 あげに来てるようだけど。

お加代様か…。
激しい人だったんだね。

父さん 少しも似てないね
お加代様に…。

似てるよ。 一旦 言いだしたら
後へ引かないとこなんか

もう そっくりだよ お加代さんに。

随分 てこずらされた。
泣かされもしたよ 希望には…。

へえ~ あの父さんが?
父さんにだって

十の時だって 二十歳の時だって
三十の時も あったんだよ。

今でこそ 静かに
くろなんか 回してるけどさ。

とうとう おばあちゃんの
思うとおりにならなかった。

子どもの頃は 希望にだって

おばあちゃんなりに
夢は持ってたのに…。

(圭)父さん そんな事
何にも話してくれないんだもんな。

今になってみれば

希望は 一番 希望らしく生きたと
思ってるけど…。

圭。 あんた もう お帰りよ。
父さん 心配してるよ。

お加代さんの話も済んだし…。
おばあちゃんは?

おばあちゃんは もう しばらく。

まだまだ 考えたい事が
あるからね。

じゃあ 俺 帰らない。

父さんの話 もっと
聞きたいんだよ。 いいだろ?

あのころからだね

日本が だんだん
嫌な時代になってって…。

希望を引き取った年だった
満州事変が起こったのは…。

あれが 長い長い
戦争の始まりだったんだ…。

でも あの時は 誰も 15年後に
日本が負ける戦争になるなんて

考えてもみなかった。

♬~

おしん
はい。

いよいよ 満州
関東軍が動き始めたぞ。

戦争ですか?
ああ。

少し 威勢よう やってもらわんば
今の日本は どうにもならん。

大いに 満州へも進出せんば!

大きな戦争にならなきゃ
いいけど…。

ただの小競り合いたい。

日本の威信を示す程度では
なかか?

少しぐらいの戦争は
しかたんなかよ。

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(雄)戦争?
ねえ 何て書いてあるの?

(竜三)うん? ああ。

満州奉天の近くの
柳条溝という所で

敵の将校が率いる 300~400人の
兵隊が 満鉄の線路を爆破して

鉄道を守備していた
日本の警備隊を襲撃したんだ。

そこで 日本の警備隊も
やむなく応戦して

ついに 戦闘が開始されたんだ。
向こうが 戦争を仕掛けてきたの?

そうだ。 前から 日本を敵対視して
締め出そうとしていたからな。

どっちが勝ったの?

もちろん 日本軍だ!
いいか? ほら。

「北大営を 午前1時25分
完全に占領した」と書いてある!

強いんだな 日本軍は!
そうだ!

日清 日露の戦いの時も
日本軍は 勝ったんだぞ!

(おしん)あんた!
どんな理由があるにせよ

戦争っていうのは
いけない事なのよ 雄。

人と人とが殺し合うなんてのは
一番 バカげた事なんだから。

だって 向こうが かかってきたら
しかたないじゃないか!

何もしなかったら
殺されてしまうんだよ。

そうだ! 戦争は
ない方がいいに決まってる。

しかし 日本だって
外国から攻められた時には

日本を守らなきゃならん。

日本だって 手をこまねいて
黙ってる訳には いかないんだ。

あんた
そんな事 なにも 子どもに…。

(竜三)いや~ 雄だって いつかは
日本を担う人間になるんだ。

今から しっかりした
日本国民としての自覚を

植えつけておかんば! なっ!
あっ 雄 いいか?

父さんはな
佐賀で生まれて育った。

佐賀っちゅう所は
昔から 「葉隠」ていうて

厳しい武士道の教えの
あるとこたい。

なっ お前にも だんだんに
仕込んでやっけんな!

そうじゃ! そろそろ
剣道ば習うてもよかね。

伊勢には よか剣道場もあるって
言うけんね。 あんた!

いや~ 剣の道を究めるのは
人を斬るのが 目的ではなか。

心を磨き 体を鍛えるためたい。

雄は 男の子のくせに 少し
優しすぎるところの あっけん

もうちょっと
男らしゅうならんばな!

雄は 優しいところが
いいところなんですよ。

男の子の事は
男親に任せておけばよか!

これからの日本は 優しいだけじゃ
通らんようになっとやけんね!

満州事変の勃発は
竜三だけでなく

少しずつ 日本国民の意識を
変えていく事になった。

幼い頃 脱走兵の俊作兄ちゃんに

戦争の恐ろしさを教えられた
おしんには

なぜか 不気味で 不安であった。

…が おしんにも竜三にも
まさか 柳条溝の事件が

十五年戦争の発端になるとは
夢にも思っていなかったのである。

♬~

待ちやがれ! この野郎!

雄! やめなさい 雄!

ちょっと ケガするでしょ!
雄! 金ちゃん! 金坊!

やめて! やめなさい! あんた
ちょっと! あんた ねえ 止めて!

いやいや ただの戦争ごっこたい!
ほら! 男の子なら

このぐらいのケンカせんば!
ほっといたらよかよ。

雄!
やあ~!

(竜三)あっ!
あ~! 雄 ほら いかんか!

ああ!
バカだね!

本気になって ケンカするんだから!
だって 戦争なんだ!

死んだって 負けられないよ!
何回も言ってるでしょ!

戦争ごっこなんか
やめなさいって!

満州じゃ 戦争してるじゃないか!

何か~!
そがん傷に構う事は なかよ!

唾でん つけとけば 治ったいね。

母親が甘かけん
雄が そがん だらしのうなっとよ。

だって!

僕 強くなる!
一生懸命 剣道もやって

今に 強い兵隊さんになるからね!
雄!

あ~ そうだ!
雄 立派な軍人になるんだぞ!

これからは 軍人の世の中だ。

魚屋は 父さんだけで十分だ。
あんた!

男の子なら そのぐらいの気概を
持っとらんといかん!

ほれ おしん そろそろ
店 忙しゅうなっぞ。

ちょっと 自分で これ…。

はい いらっしゃい いらっしゃい。
アジに カマスイカに アカウオ!

みんな 新しいですよ!
いかがですか?

(竜三)はい! こちらのお客さん
あがったよ! はいはい 毎度!

はい! ありがとうございます!
お待たせ致しました! どうも!

サバは いかがですか?
本日の特別奉仕 サバですよ!

これ 安いうちに煮つけになさると
日もちもしますしね!

そうか。
ほな うち 2匹 もろうとくわ。

はい! ありがとうございます!
お願い致します! はい 来た!

お刺身は イナダ アジのたたきに
赤貝も生きてます!

いかがですか? いらっしゃい!
このイカだったらね

お安くしときます。
煮つけ用に いかがですか?

イカ3杯 頂戴。 はい! じゃあ
輪切りにしときましょうか?

ええわ うちでやるよってに。
田舎へ送りたいんやけどな

佃煮 出来たのあるかいな?
今日はね 小エビと それから

イワシしかないんですけども
明日まで待って頂けたら

ハマグリも用意できますけど。
あ~ そうか。 いろいろと

詰め合わせてもろうてな。
あんたんとこの佃煮

評判ええよってな!
ありがとうございます。

荷造りして 送れるように
致しましょうか?

そうか? そうしてくれるか?
そうしてもらったら助かるわな!

じゃあ こちらに
相手のご住所 お願いします。

はい!
どうも お待ち遠さまでした!

ありがとうございました!
さあさあ さあさあ!

アジに カマスに 赤貝は いかが?
いらっしゃいませ!

よいしょ。

よ~いしょ。

子どもたち 3人とも
よう寝とったい。 ああ。

少し 代わるか?

いや あんた 帳面づけ
あるんだもん 早く済ませて。

明日 また
買い出し 大変ですよ 朝。

お前も いい加減にせんば。
私は うちにいるんだもん。

寝ようと思ったら
いつだって 寝れるもの。

はあ…
仁と希望に 手がかかる間

誰か 子守 雇った方が
いいのかもしれないわね…。

あんたも 仁 おんぶして
店 出るの 大変でしょ?

オイは よかよ。
しかし お前が きつかろう。

やっぱり 1人 子守 置くか?

私は 平気よ!
だって ちっちゃい時から

子守奉公して 慣れてるもん。
だけど 男の あんたには…。

そがん事は 言うちゃおれんたい。

子守を 1人 雇えば
それだけ 物入りだ。

せっかく 子どもたちのために
教育費は 今から

貯金しておいてやろうって
決めたのに そがん事ばしたら…。

そうね。 どんな事があったって

男の子3人
大学には 入れてやりたいし…。

それにね 本当の事 言うと
子守の人 雇うの 私 嫌なんだ…。

自分が ちっちゃい時
子守奉公して

嫌な思いしたから
何だか かわいそうで…。

うん…。
なら 2人で辛抱すれば よかよ。

ねえ。 でも 冷蔵庫と自転車だけは
中古でもいいから 買わない?

冷蔵庫あったら 魚が傷むの
心配しなくたっていいし

自転車あったら 遠くまで
注文 取りに行くんだって

配達するんだって
すごく楽だから!

そうたいね。 子守 雇うよりは

自転車と冷蔵庫の方が
オイも ありがたか。

返せよ!

(竜三)この角へ お願いします。
はい! はい 気を付けて!

はい どうも お世話さまでした!
お世話さまでした!

ただいま! お~ お帰り!
お帰り!

ねえ 何 それ?
冷蔵庫!

こん中にね 氷 入れて
下に お魚 入れると

中が冷えて 魚が腐んないの。
へえ!

なあ 雄!
雄が 学校 行っとる間にな

すごいもんが届いとるんだ!

ほれ!
自転車だ! 誰の?

父ちゃんのだ!
乗れる? 父ちゃん。

う~ん。
まあ これから 練習するんだ。

早う これで お得意さん回りが
できるようにならんばな!

乗ってみせてよ!
おう! じゃあ 稽古してみっか!

お前 後ろ 押さえててくれよ!
はい! よし!

母ちゃん! うん?
頼む! は~い!

雄 しっかり 頼むよ!
(雄)うん!

頼むぞ! いいか? よいしょ!
よし 行くぞ!

あっ いらっしゃい!
見て! 自転車 買ったの!

(ひさ)へえ!
とうとう 買うたんかいな!

冷蔵庫っていうのも来たんだよ!
えっ ホンマかいな!?

お内儀さん!
あ~ こら 立派やな!

これさえ あったら
もう 「鬼に金棒」やな あんた。

思い切って なんとか!
急に なっとしたんや?

いや~ 男の子3人の親に
なりましたから

性根 入れて 魚屋 やるつもりで!
自転車もあれば

遠くて 店へ来れない
お客様の所にも回れますし!

よその お得意さんまで
取るつもりかいな!

いや それぐらいの気持ちで
やんないと この不景気には

魚屋 やっていけませんから!
食うか食われるかですから。

相変わらずやな おしんちゃんは。
どうぞ 中に お入りになって!

どうぞ どうぞ!
へえ~!

(竜三)よか よか!

どうぞ。

お内儀さんのおかげで
安くて新しい魚が売れるんです。

ありがたいと思っております。
おしんちゃんは 幸せ者やな。

働き者の旦那さんと
3人の男の子に囲まれて…。

そらな 今までは
いろいろと あったやろうけど

夫婦 力 合わせて…。 これが
ホンマの家族いうもんやわな。

なんとか やっと…。

それにひきかえ 浩太さんは…。
どこで間違うたか知らんけど

性懲りものう
危ない事ばっかりしてからに…。

浩太さんから
何か ご連絡ありました?

ああ。 昨夜 来たんや。

どこで 何をしとったか
分からへんけどな

えらい疲れた顔して
寝てばっかりや。

きっとな 特高に付け回されて

もう ゆっくり休むとこもないのと
違うやろかな…。

じゃあ しばらくは
お内儀さんのうちに?

さあ…。 「ちょっと休ませてくれ」
言うただけでな

後は 何にも言わんよってに…。

ただな 加代さんいう人が
亡くなった話をしたらな

「墓は どこか?」って…。

けど おたいやってな あんたから
はっきり 聞いとらんしな…。

うちに来て下さったら
私が お連れ致します。

いや~ そんな所で ウロウロしとって
特高にでも捕まってしもうたら…。

なあ おしんちゃん おたいな

今日は あんたに 折り入って
頼みがあって 来たんや。

浩太さんはな おたいの
言う事なんか 聞く人やない。

けど なんとかして
危ない事を やめてほしいのや!

満州で あんな戦争が
起きてからはな

浩太さんみたいな運動
しとる人はな

前よりも もっともっと取り調べが
きつうなっとるそうな…。

特高に捕まったら最後。
拷問されて

死ぬ目に遭うと聞いとる。
そんな事になったら

なんぼ 浩太さんの事 諦めてる
言うたやてやで

親が どんなに悲しむか…。
おたいな もう 一日も早う

浩太さんに
足 洗うてほしいのやわ。

ちょうどな
うちへ来た ええ機会や。

そやから おしんちゃんから

浩太さんに
話 してくれんやろか?

私に そんな事…。

いや もう おしんちゃんより
ほかに頼む人 あらへんのや!

竜三さんに聞かれて
困るんやったらな

おたいが うまい事 ごまかしとく。
店も手伝う。

仁ちゃんや希望ちゃんの面倒かて
見てるがな。 なっ!

浩太さんの大事な時や!
おしんちゃん このとおりや!

お内儀さん…。

あんたから話してくれたらな
きっと 浩太さん

聞いてくれるかも分からへん!
なっ 頼む!

おしんには 浩太の気持ちを
変えさせる自信など なかった。

…が おしん
浩太には もっと

平穏無事な生き方を
してほしかった。

その願いが おしん
浩太と会う決意をさせた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(竜三)そりゃ よか機会だ。

浩太さんのような有能な人物が
官憲に追われて

逃げ回らなきゃならないなんて
そりゃ もったいない話だ。

取り返しがつかんような事に
なる前に

そがん反社会的な事は すぐ

やめさせるように
説得した方がよかよ。

(おしん)でも 農民のためには

浩太さんみたいな方も
いらして下さらないと…。

(ひさ)おたいには
難しい事は 分からへん。

ただな 危ない運動だけ
やめてくれたら それでええのや。

このまま ほうっておいたら
浩太さんは 今に

犯罪者の烙印を
押されてしまうぞ。

私には 何もできないと
思いますけど

浩太さんに お会いしてみます。
ああ よく話し合ってみるんだね。

店や子どもたちの事は
オイと雄が おったら

なんとか なるけんね。
浩太さんの一生の問題だ。

おしんが世話になった
ご恩返しにもなる。

そのつもりで…。

≪(足音)

≪(ひさ)浩太さん おたいや。
(浩太)お帰んなさい。

いやな~
あんたが来とる言うたら

どうしても会いたい言うて
おしんちゃん わざわざ…。

お久しぶりでございます。
しばらく。

ほな おたい ちょっと お茶
いれてくるわ。 あっ 私が…。

いい いい!
あんたは 今日はな お客さんや。

浩太さんと ゆっくりな。

お邪魔じゃないでしょうか?
いや~。

何かと言うと すぐ
ここへ やっかいになってね。

親戚中の嫌われ者だけど

あの おばさんだけは いつ来ても
嫌な顔しない。 だから つい…。

どうぞ。

伊勢の海が好きでね

中学生の頃から
夏になると来てた。

ここは いい思い出ばっかりだ。

私も 浩太さんのおかげで
こちらに お世話になって…。

雄と二人っきりの
寂しい時でしたから

お内儀さんに
まるで 娘と孫のように

かわいがって頂いて
とっても うれしかったです。

今でも 何やかやと
ごやっかいに なってばっかり…。

よかったね
おしんさん うまくいって…。

魚屋する事ができて
親子5人 食べていけて幸せです。

加代さんの子ども
引き取ったんだってね。

浩太さんのおかげで お加代様に
お会いする事ができました。

結局 何もかも おしんさんに
押しつけてしまったね。

浩太さんから お預かりした
100円で

お加代様と ご両親の
ご供養させて頂きました。

お墓も建てる事ができました。

浩太さんのお気持ちは
ちゃ~んと お加代様に…。

せめて 希望君の力に
なってあげたいと思うんだが

自分自身が どうなるか
分かりゃしないんだから

どうしようもないよ。
希望坊ちゃまの事は

私たち夫婦で できる限りの事を
させてもらいます。

それが 加賀屋に大恩のある
私の務めです。

ただ…。

ただ… 浩太さんにも
普通の方みたいな

そんな暮らし
して頂けたらなって…。

おばさんに 何か言われたな?

いいえ。
私… 浩太さん 拝見してると

ほかにも もっと もっと
いろんな生き方があるって…。

≪(足音)

≪(ひさ)おしんちゃん。
よいしょ。

ハハハハ!
もう 何にもあらへんよってに…。

おばさん。
えっ?

おしんさんに 何か言ったでしょ?
いや 何にも…。

あんたな 「加代さんの墓は
どこや?」って言うたやろ。

おたい 何にも知らんよってにな
それで

ちょっと聞きに行っただけやがな。
なあ そやな? おしんちゃん!

なあ!

人が見たら
バカバカしいと思うだろうね。

いいえ!

浩太さんみたいな 小作の味方に
なって下さる方 いないと

貧しい農民は いつまで
たったって 救われません。

ただ 今みたいに
取締りが厳しくなると…。

ただね 僕も 最近
むなしいと思う事があるよ。

僕たちの目的は 小作と地主という
制度を無くして

土地を 農民の共有にする事だ。
しかし 現実は そうじゃないんだ。

農民は
自分の土地が欲しいだけなんだ。

だから 自分の土地があれば

片一方に 小作っていう制度が
あったって 構いやしない。

我々の目指してる
土地の平等分配という主張とは

根本的に違うんだ。
おまけに 我々の間でも

いろいろ 主義主張が出てきて
分裂が始まってね。

私 難しい事は よく分かりません。
でも 浩太さんが 今の運動

むなしいと お思いになる事が
あるんだったら…。

だからといって
絶望してる訳じゃない。

我々は なんとかして

ファッショに走ろうとする日本を
食い止める義務がある。

それに 今は 誰も気が付いてない。
だが 徐々に慣らされていく。

それが怖いんだよ。
僕は どんな事があっても闘う。

たとえ 地下に潜っても
生き残って闘うよ。 浩太さん…。

僕はね 僕は… 僕の運動のために
両親も兄弟も裏切った。

加代さんも 不幸にした。

そのためにも 今 挫折する事は
許されないんだよ。

おしんさんと会う時は いつも
「これが 最後かもしれない…」

そう思ってた。

そんな世の中 もう 真っ平だよ!

しかし 今度は
ホントに しばらく会えなくなる。

だから 加代さんの墓にも
参っておきたかった。

今度は どこへ行かれるんですか?

ホントに しばらく
お会いできないんですか?

伊勢の海も 十分 堪能した。
ゆっくり 休養も とれた。

おしんさんにも会えた。
もう 思い残す事ないよ。

明日 加代さんの墓に参る。

まあ 希望君に会えなかったのが
残念だけどね。

私 お供します。 希望坊ちゃまも
お連れしますから…。

バカな事 言うんじゃないよ。
何があるか 分かりゃしないよ。

尾行だって
ついてるかもしれないし…。

昔だって そのために
迷惑かけたじゃない。

教えてくれたら 1人で行きます。
その方が目立たないし…。

浩太さん… いつ ここを
おたちになるんですか?

また笑って会える時が来る。

いや 来るようにするんだ。

♬~

今日は 随分 残ったわね。
ああ。 心配する事は なかよ。

かす漬けは 村へ持っていけば
結構 喜ばるっとやけんね。

自転車のおかげで 相当 山奥まで
入れる。 自転車は ありがたか。

でも 戦争 大きくなったら

のんきに 魚屋なんか
やってられなくなるのかしら…。

何ば言いよっとか? おい。

満州が 日本の思うままになったら
こがん不景気なんか

すぐ 吹っ飛んでしまう。
そのための戦争たい。

満州さえ 日本のものになったら
戦争も すぐ終わるさい!

そうだといいけど…。

それにしても
浩太さんは 何を考えとっとかね。

よか人かもしれんが
人心を惑わすような人間を

野放しにしておくようでは
日本の将来は まだまだ 不安だ。

困ったもんたいね。

翌日 おしんは 希望と仁を連れて
加代の墓へ行った。

果たして 浩太に会えるかどうかは
分からなかったが

せめて 浩太に よそながらでも
加代の忘れ形見の希望を

見てもらいたかったのである。

あ~ どうも!

店ば閉めて
どこ行ったとやろか…。

高い 高い 高い 高い
高い 高い 高い!

よいしょ!

浩太おじちゃん 来ないね。
遅いな…。

帰るか。 父ちゃんも心配するから。

よし!

出発!

よいしょ! ほら 希望!

(浩太)何するんだ!?
失敬じゃないか!

(刑事1)高倉浩太!
間違いないな?

(刑事2)今朝 新潟から
連絡があった。

お前は モスコーへ脱出する
計画だったそうだな。

準備していた仲間が
新潟で捕まって みんな 吐いた。

伊勢で お前が
連絡を待っているって事もな!

お前の寄宿先へ踏み込んだが
出かけたあとだった。

とんだ手間 取らせやがって!

証拠は そろっているんだ。
観念しろ。

ゆかりの者の墓参りに来た。
せめて 線香 あげたいが…。

いいだろう。 特別の恩情だ!

♬~

すまない。
線香 出してくれないか?

甘ったれるな!

♬~

知り合いか?

いいえ。

(刑事1)さあ 行こう!

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

♬~

(竜三)どこ 行っとったと?

さっきから お内儀さん見えて
待っておられるぞ。

どがんした? 真っ青やなかか。

(ひさ)おしんちゃん!
えらいこっちゃ!

とうとう うちへ 特高の刑事がな。

浩太さんがな 「お加代さんの
墓参りに行く」言うて

出かけたあとに
特高の刑事が 2人 来よってな

「ここに隠れとるやろう!」言うて
押し入れの中まで

しらみつぶしに
家捜し してからに…。

(おしん)浩太さんは もう

お加代様の墓の前で 特高に…。

(竜三)捕まったのか!?

私 何にも
してあげられなかった…。

♬~

浩太さん モスコーへ行かれる
つもりだったらしいんです。

モスコー… モスコーって ソビエトのかいな?

まさか…。
おたいには 何にも そんな事…。

私にも 何にも
おっしゃいませんでした。

でも 浩太さん 逮捕される時
特高の人たちが…。

準備していた人が捕まって
みんな しゃべったらしいんです。

きっと ひどい拷問 受けて

浩太さんの居所も みんな
吐かされたんだと思います。

まだ 日本で捕まって
よかったのかもしれませんよ。

ソビエトへなんか行ったら 一生
帰ってはこられないだろうが

日本なら また いつか
会える時もあるんですから…。

特高に捕まったら おしまいや。

どうせ 拷問されてな
生きてるやどうや分からへん…。

たとえ 生きとったやて
一生 刑務所に入れられて

死んだも同然や!
お内儀さん…。

(ひさ)そりゃな
自業自得やろうけど…。

けどな その加代さんいう人の
お墓の前で捕まったいうのも

何かの因縁やわな…。

♬~

浩太の運動を
長い間 見つめてきた おしん

浩太の考え方にも共鳴し

その情熱に 熱い思いを抱いた事も
あっただけに

浩太が生きられない世の中を
怖いとも思った。

そして 怖いと思いながら

何もできない無力な自分が
疎ましかった。

それ以後 浩太の消息はなく

日本には 自由主義者の許されない
暗い時代が来ようとしていた。

そして 4年の歳月が流れ
昭和10年の2月を迎えていた。

♬~

はい イカ お待ち遠さまでした!
1杯 おまけになってますから!

いつも悪いな! お宅は大勢さんで
いつも たくさん

お買い上げ頂きますから!
おおきに! はい どうも 毎度!

すぐ干せるように
開いときましたからね!
ホンマ!?

おおきに! ほな これ。 どうも!
ちょっと待って下さいね。

はい お返し!
どうも ありがとうございました!

さあさあ さあさあ
今日は イワシが お買い得だよ!

いらっしゃいませ!
もう イワシは飽きたわ!

すり身にして つみれにでも
なさったら いかがですか?

目先 変わって お子さんも
喜ばれるかもしれない!

そやね!
いらっしゃいませ!

カニも お安くなってますよ!
生きたカニですよ!

そうや! たまには
カニでも張り込もうか!

奥さんだったら しょうがない。
2銭 おまけしてしまう!

ほな 3匹!
はいはい!

じゃあ そのザル いいですか?
豪勢やね!

たまには!
はい お刺身 あがったよ!

赤貝 彩りに添えときましたから!
おまけです!

ちょうど頂きました!
ありがとうございました!

はい お待たせしました!
どうも 毎度!

どうも! どうも
ありがとうございました!

健さん

あら! ハハハハ!
(竜三)健さんじゃないか!

びっくりした!
ちょっと 入って下さいよ!

ねっ! 雄! 雄~!

(健)
お内儀さん いいんだ いいんだ。
今 忙しいようだから また後で。

1時間もしたら 手がすきますから
そんな事 言わないで 入って!

さあさあ さあさあ! ちょっと
雄! お客様なのよ お通しして!

ほらほら 健さん
そんな所で 遠慮してないで!

雄です。
(健)雄坊ですかい!?

この おじちゃんにはね
あんた ちっちゃい時

お世話になったんだよ!
(雄)さあ どうぞ こちらです。

じゃあ 失礼!
どうぞ どうぞ! さあさあ!

(雄)どうぞ!

今日は タイあるかいな?
あっ どうも いらっしゃいませ!

おじいちゃんが病気でな
「タイ食べたい」言うて…。 あら。

そやけど 高いやろな 刺身は…。
いや お安くしときますよ。

お宅の おじいちゃんには いつも
お世話になってるんだから!

そうですかい。
坊ちゃんが 雄坊ですかい。

大きくなられて…。

そうだ。 あれは 坊ちゃんが
まだ 2つぐれえの時だったかな。

よく 肩車して…。
坊ちゃん ハトが お好きでね

お宮さん 行っちゃ 豆 買って
ハトポッポの歌 歌ってさ。

覚えておいでですかい?
さあ…。

覚えてらっしゃる道理は
ねえよな。

いや~
月日のたつのは 早えもんだ。

いくつに おなりなすった?
この3月で 小学校 卒業します。

(健)じゃあ 中学ですかい?
もうすぐ 受験です。

(健)こりゃ
勉強の邪魔しちまったな。

(雄)いえ そろそろ
夕飯の支度にかかる時間ですから。

坊ちゃんが そんな事を?
(雄)母さんが 店だから

御飯だけ 炊いとくんです。
感心だな 男の子だっつうのによ。

今 お茶 いれますから。
(健)いいんだ いいんだ!

構わねえでおくんなさい!
(初子)お茶なら 私が いれます!

お湯は あれ使ってええんだべか?
ああ…。

坊ちゃまは 座っててけろ。
飯も 私が炊きますから。

はい イワシのお客様 お待ち遠さま!
はい おおきに!

どうも! ちょうど頂きました!
ありがとうございました!

いらっしゃいませ!
じゃあ 私 これで。

ああ 久しぶりの客だ。
コチで 鍋にでもしたらよか。

よかった。 今日は 健さんと一緒に
飲んで下さいね あんた。 ああ。

健さん
ごめんなさいね ほっといて。

いえ
ちょうど忙しい時に伺って…。

母さん。 その人が
御飯 炊いてくれたんだ。

勝手な事して…。 この菜っぱ
ここに置いてあったから

今夜 お使いになるんではねえがと
洗っておきました。

ちょっと 訳があって
よそへ連れていく子なんです。

その途中 こちらへ伺ったから
一緒に…。

まあ お客様に
そんな事させてしまって…。

悪かったね。 さあ もういいから。

これぐらいの事なら
いつでも してますから

何でも言いつけてけらっしゃい。
でも 都会の水は 冷たいなっす!

(健)いや~
雄坊にも びっくりしたが

希望坊ちゃんが
こんなに大きくなられたとはね!

希望も仁もね
今年の4月で 1年生になるのよ。

よくまあ ここまで
丹精なさいましたな。

お加代さんも 草葉の陰で
どんなに喜んでおられる事か…。

健さん。 まだ 希望ね
お加代様の事 知らないの。

何にも話してないのよ。

さあ 今日は
泊まってってくれるんでしょ?

いえ あっしは どこか宿屋で…。

何で?
そんな水くさい事 言わないで!

狭いのは 我慢してもらって…。
積もる話も あるんだから!

お内儀さん…。

それじゃ ここで
健さんと一緒に寝てちょうだいね。

はい。 お世話になって
申し訳ねえなっす。

ゆっくり お休み。
はい ありがとうございます。

んだら お先に休ませて頂きます。

(健)いや~ すっかり
御馳走になっちまって。

おまけに泊めてまで頂いて…。
とんでもない。

健さんに お世話になった事
思ったら どんな事したって

返しきれるもんじゃ
ないんだけども…。

まあ しがない魚屋だから
勘弁してちょうだい。

とんでもねえ。 立派に 店 張って
3人の子ども 育てなすって…。

あっしは さっき店に出ていなさる
お内儀さん 見て

何だか 涙が出てきちまってな…。

はい 健さん ほら!
いやだ 健さん 泣き上戸?

さっきから 健さんとね 東京での
苦労話をして 懐かしかったよ~。

ご夫婦そろって
よくぞ ここまでに。

長谷川のお師匠さんとも
よく お内儀さんの話をして…。

お師匠さんも喜んでおられます。

お師匠さんも健さんも お元気で
本当に よかった!

明日は 伊勢神宮に参って
二見浦も見て…。

そんな のんきな旅じゃ
ねえんで…。

大阪に 仕事があるもんですから。

仕事って…。
あんな小さい子 連れて?

あの子が起きてる間は
黙ってたんですけども

健さんとは どういう?
親戚の子か何か?

いや~ あの子には
あっしも 手 焼いてるんです。

山形の小作の娘なんですがね…。

あ~ やっぱり 山形…。
そうじゃないかなと思ったの。

ご存じでしょうが ここんとこ
東北は 冷害の凶作続きで

全然って言っていいほど
米が取れねえんですよ。

それで どこもかしこも
娘 売り飛ばして…。

まさか あの子…。

知り合いに頼まれて 50円で
引き取ったのは いいんですが

東京だって不景気の上に そういう
娘っこが どんどん出てくるし

おまけに 10じゃ 女郎屋だって
まだ 商売にはならねえ。

下働きの口もねえって訳で
参っちまってね…。

そしたら 仲間が
大阪の飛田ってとこの遊郭

下働きの娘 欲しがってるって
言うもんですから…。

ちょうど あっしも 大阪に
用事があったもんですから

まあ
ついでと言っちゃなんですが

めったに 大阪なんぞ行く事も
ねえもんで 途中で こちらへ…。

売られちゃうの? あの子。

いや あっしも こんな商売だけは
したくねえんですがね

まあ これも 人助けだと思って…。

かわいそうにね…。

今は 下働きだって
遊郭っていうんじゃ

いずれは そういう所の女に
なっちまうんだろうね。

あんた!
(健)しかたがねえでしょう。

こういう ご時世だ。 誰に
どうしてやる事も できやしねえ。

みんな 手前が生き延びるのに
精いっぱいなんですからね。

東北っていうのは

いつまで 痛めつけられたら
いいんだろうね…。

おまけに 貧乏くじ引くのは
いつも 女で…。

東北だけじゃないさ。

今は 都会だって 失業者が
あふれてる時なんだからね。

いっそ ドカンと どでかい戦争でも
おっ始まったら

また 軍需景気ってやつが
来るんでしょうがね。

あっしは いっそのこと 満州でも
行こうかと思ったりして…。

そうだね! ハハハハハ! まあ ひとつ。
(健)どうも。

あんた! ちょっと あんた!
起きて下さい!

すみません!
ちょっと 寝過ごしました!

ああ 大変だ。
昨夜 遅かったから…。

ちょっと 朝御飯の支度
間に合わないかもしれない。

おはようございます!
よく分からねえけんど

御飯と みそ汁だけ
こしらえておきました!

♬~

おしんは 初子の姿に
幼い日の自分を見ていた。

それが おしんと初子との
運命的な出会いになったのである。