ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

終着駅シリーズ35 鬼子母の末裔 片岡鶴太郎、真野響子、窪塚俊介… ドラマの原作・キャストなど…

森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ35「鬼子母の末裔」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. ママ
  2. 圭一
  3. 息子
  4. 佳枝
  5. 浜田
  6. 根本圭一
  7. 根本
  8. 年前
  9. 景子
  10. パパ
  11. 自分
  12. 根本景子
  13. 牛尾
  14. 根本佳枝
  15. 山岡夏子
  16. 写真
  17. 本当
  18. 一人
  19. 行方
  20. 根本フード

f:id:dramalog:20191103230637p:plain

森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ35「鬼子母の末裔」』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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(本ページの情報は投稿日時時点のものです。最新の配信状況は Paravi サイトにてご確認ください。)

(詳細はFODプレミアム公式ホームページにてご確認ください。)

 

森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ35「鬼子母の末裔」[解][字]

主演・片岡鶴太郎×原作・森村誠一 終着駅シリーズ最新作!!
“妻殺し”疑惑の息子を守るため、母は“鬼”となる!?
母子の深すぎる絆が生んだ悲劇の真相に牛尾が迫る!!

詳細情報
◇番組内容
大手食品メーカー副社長・根本佳枝(矢吹春奈)が、自宅で遺体となって見つかった。夫で社長の根本圭一(窪塚俊介)が行方知れずなことから、離婚をめぐる夫婦間のトラブルが原因と推測された。新宿西署の牛尾正直刑事(片岡鶴太郎)が捜査にあたるが、圭一の母で根本フード会長の景子(真野響子)は、息子夫婦の間に離婚話などないと否定し…。
◇出演者
片岡鶴太郎
真野響子窪塚俊介六平直政野村真美矢吹春奈徳井優、東根作寿英、秋野太作岡江久美子
◇スタッフ
【原作】森村誠一
【脚本】橋本綾
【監督】池広一夫
◇おしらせ
☆番組HP
 https://www.tv-asahi.co.jp/prime-sun/

 

 


(竹中)根本くんが亡くなった時

奥さんの景子さんには
2人のお子さんが残されました。

(竹中)一人は 本日
めでたく 妻をめとった

一人息子の圭一くん。
(カメラのシャッター音)

もう一人は 根本フードです。

会社を「一人」という言い方は
おかしいかもしれません。

ですが 奥さん… いや
亡くなった根本くんにとっても

根本フードは まさに
我が子同然だったと思います。

根本くんが亡くなった時

圭一くんは
小学校4年生 10歳で

根本フードは まだ

店舗数3つだけの
ベーカリーでした。

圭一くんと
残された根本フードを抱え

奥さんの景子さんが どれほど働き
どれほど苦労したか…。

恐らく
自分の時間など 全くなく

眠る時間さえ ほとんど
なかったのではないでしょうか。

その結果
圭一くんは立派に成人し

美しい妻をめとり

根本フードは
傘下の子会社 含めて

従業員数1400人あまり
年商120億円の

大きな企業へと成長したわけです。

♬~(音楽)
(手拍子)

♬~

(司会)
おーっと! これは これは…。

お色直しをされた新郎新婦も
参加です!

皆様も どうか
ふるって ご参加ください。

年齢 性別は問いません。
おめでたい席でございますから…。

参加します!

(司会)主賓の竹中様 ご参戦です。

(浜田勝弘)よし 俺もいくぞ!
イエーイ! フゥー!

イエイ! ヘイ!

僕は いいから…。

(司会)おーっと 素晴らしい!

新婦のご両親様も
腰を上げられました。

新郎のお母様!
新郎のお母様もどうでしょうか?

(根本景子)
駄目駄目… 着物ですから。

(根本圭一)ママ!
(根本佳枝)お義母様!

(浜田)圭ちゃん! アハハ…。

♬~

(救急車のサイレン)

♬~

(パトカーのサイレン)

(大上刑事)根本佳枝 31歳。

この家の主婦で
根本フードの副社長だそうです。

ご主人と2人暮らしで

そのご主人が
根本フードの社長です。

詳しい死因は
解剖の結果待ちですが

恐らく 窒息死じゃないかと。

(大上)凶器は これみたいです。

(牛尾正直)このクッションを
顔に押しつけて

窒息死させた…。 そういう事か?

(海野鑑識係)
恐らく そうだと思うんです。

口紅 マスカラ ファンデーション。

これらが ガイシャが使用していた
化粧品と一致すれば

凶器と断定していいと思います。

死亡推定時刻は?

昨日 6月19日の午後11時頃から

翌 本日20日
午前1時頃までの間。

死体を発見し 通報してきたのは
ガイシャの秘書の女性で

9時になっても会社に現れないし
携帯にも出ないので

気になって来てみたと。
ご主人は留守だったのか?

昨日の朝から
地方に出張してるんだそうです。

今 山さんが連絡取ってます。

子供がいるのか?

いえ その写真は 多分

子供のほうが
ガイシャのご主人の根本圭一氏

大人のほうは 圭一氏の
父親じゃないかと思います。

♬~

海野さん。
はい。

すみません これ…。
あっ はい。

(山路刑事)モーさん
ちょっと 妙な事になってきた。

妙な事?
ガイシャの亭主 根本圭一と

全く連絡が取れない。
出張中と聞いたが…。

確かに 昨日は
出張で高崎へ行ってる。

けど 午後4時頃
「急用ができたので東京へ戻る」と

同行していた秘書に告げて
自分の車で東京へ戻ったそうだ。

だが それ以降
どこへ行ったのか 全く…。

(西谷刑事)留守電に何度も
メッセージを入れてるんですが

今のところ
全く反応がありません。

牛尾さん これ 離婚届です。

離婚届?

(大上)ガイシャと
離婚するつもりだったんですかね。

これだな?
連絡が取れなくなった理由は。

離婚したい亭主と したくない女房
その事で口論になり

カッとした亭主は ソファにあった
クッションをつかんでしまった。

で とんずら。

これで
決まりなんじゃないのかな。

〈私も そう思いました〉

〈夫婦間のトラブルによって
起きた 単純な殺人事件…〉

〈ですが あの時

私は まだ
全く気づいていなかったのです〉

〈事件の奥底に隠されていた
ある家族の壮絶な憎しみ

そして 悲しみに…〉

♬~

(パトカーのサイレン)

根本佳枝さんに
間違いありませんか?

確かに 嫁の佳枝ですけど
でも どうして こんな事に?

佳枝さんは お父様の仕事の関係で
5歳の時からアメリカ暮らしで

ストレートな ものの言い方を
する人でしたから

そういう点では 人とぶつかる事は
多少ありましたけど

でも 殺すほど深い恨みを
持ってる人がいるとは…。

息子さんと佳枝さんとの間で
何か トラブルは?

ありませんよ トラブルなんて。

だって 結婚して
まだ 1年とちょっとですから。

どうぞ。

実は こんなものが
現場から出てきたんです。

離婚届です。

息子さんの署名と捺印も
あるんですが…。

あっ… 嫌だわ あの子ったら。

前にね 佳枝さんに
聞いた事があるんです。

アメリカでは 結婚と同時に

離婚の事も話し合っておくのが
普通だって。

で 佳枝さんが その時に 息子に

「日本の離婚届って どんなの?」
って聞いたものですから

息子が 「じゃあ 今度
もらってきてやるよ」って。

で こんな… ふざけて こんなもの
書いたんだと思います。

じゃあ お二人の間に
離婚の話などはなかった。

そういう事ですか?

息子から
そんな話は聞いていませんし

第一 離婚なんて
しようとしてたんだったら

息子は
必ず 私に相談したはずです。

わかりました。

これは 関係者の方全員に
お尋ねする事なんですが

奥さんは 昨日の午後11時頃から
今日の午前1時頃までの間

どちらに?

その時間でしたら
ドライブしてました。

ドライブ?
ええ。

6時半に仕事を終えて

真っすぐ 自宅に帰ろうかと
思ったんですけど

でも 一人暮らしですから
晩ご飯を作る気にもなれなくて。

そのまま 車で 江の島から
鎌倉のほうに行ってしまって。

で 自宅に帰ったのは
12時を回ってたと思います。

6時半頃から12時過ぎまで…。

6時間近く
ドライブされてたんですか?

(景子)好きなんです。
一人で車に乗ってるのが。

考え事も ゆっくりできますし。

昨日の午後4時以降ですが

息子さんから
連絡はありませんか?

(景子)いいえ ありませんけど…。

息子さんとは 今
全く連絡が取れない状態なんです。

(景子)えっ?
息子さんは 昨日の午後4時頃

急用があるので東京へ戻ると
おっしゃって

ご自分の車で
東京へ向かわれたらしいんですが

そこから
どこへ行かれたのかが 全く…。

えっ…。

携帯は
今も留守電のままだと思います。

えっと 圭ちゃん 圭ちゃん…。

(アナウンス)
「ただ今 電話に出る事が…」

本当だわ。

圭ちゃん 今 どこに…。

どうしちゃったのかしら?
あの子…。

どうして 連絡が…。

(海野)死因は やはり

クッションを
顔面に押しつけられたための

窒息死でした。

このクッションからは
3人の指紋が検出されています。

被害者本人 夫 根本圭一

そして 3人目は

毎週火曜日に 掃除 洗濯に来る
家政婦の指紋です。

(坂本課長)
凶器であるクッションの事は

犯人しか知り得ない事実。

秘密の暴露の材料としたいので

発表は 凶器は布製のもの
という表現にとどめておいた。

この事は 全員 しっかりと
頭の中に入れておいてくれ。

(捜査員たち)はい。
(海野)それと

現場に残されていた
この離婚届ですが

この用紙からも 夫と
そして 被害者の指紋が検出され

筆跡鑑定の結果

夫 根本圭一の筆跡に
ほぼ間違いがないと

確認する事ができました。

母親は 離婚届は

根本圭一がふざけて書いたものと
主張していますが

いまだに 根本圭一と
連絡が取れない事から考えると

やはり 夫婦間に離婚話はあったと
考えるのが

妥当だと思います。

その根本圭一ですが

携帯電話の最後の電波の
中継基地局を調べたところ

千葉県の船橋第二地区と
判明しました。

(大上)2人の会社 根本フードは

平成3年に根本英雄 景子夫婦が
藤沢市内に

3坪ほどの小さなパン屋を
開業したところから出発し

今や 大企業に成長した事は
ご存じのとおりです。

その創業者の根本英雄氏ですが
平成17年の7月に

失踪宣告による
死亡扱いとなっています。

釣りが趣味で
房総の勝浦に釣りに行ったまま

行方不明になったのが
平成10年の7月。

その時
一人息子の根本圭一は10歳。

その日以来
根本景子 圭一親子は

お互いに
寄り添って生きてきた事は

周囲の話から うかがえる。

従って 親子が連絡を取り合う
あるいは すでに もう

連絡を取り合っている可能性は
十分に考えられる。

事件前後から
姿を消しているという事で

ガイシャの夫 根本圭一の犯行が
疑われるが

その事だけに
とらわれるのではなく

あらゆる方面から
捜査を始めてもらいたい。 以上だ。

♬~

♬~

いつもの事?

(杉山)社長は
会長の目が届かない時は

苦手な事から逃げ出してしまう
という事が

よくあったんです。 どうぞ。

そんな時は
必ず 「ママには内緒だよ」と。

(圭一)ママには内緒だよ。

(杉山の声)一昨日も
そう おっしゃったので

急な用事というのは嘘で

本当は逃げ出したいんだなって
そう…。

根本さんは今でも 会長の事を
「ママ」とお呼びになるんですか?

「会長」と
お呼びになる時もありますけど

普通は「ママ」と。

ですから 社長の事を
「ママ圭」と呼ぶ社員もおりまして。

ママ圭?
ママの圭一。

社長は 会長のおっしゃる事には
絶対服従

一切 逆らわないというか
まあ 逆らえないというか…。

結婚も 会長がお決めになったと
聞いています。

結婚もですか?

何事も 結婚も…
それで ママ圭ですか。

釣りが趣味みたいですね。
釣りに関する本ばっかりです。

先代譲りですか。

(杉山)先代が亡くなられた事情は
もう?

ええ 聞いております。

社長は 釣りは 勝浦へしか
いらっしゃらないんです。

あそこへ行かなきゃ
会えないじゃないか。

僕が会いに来るのを
待っててくれてるんだから。

とにかく
先代の事を尊敬されていて。

勝浦へは 今でも よく?

以前は よく行かれていたんですが
結婚されてからは ほとんど…。

副社長が 魚が苦手で

「魚を触った手で私を触るな
気持ちが悪い」と怒鳴られたと

苦笑してらっしゃいました。

まさに ストレートな
ものの言い方ですね。

(杉山)はっ?
いえ 会長が そう…。

佳枝さんは ストレートな
ものの言い方なので

感情を害する事もあると。
(杉山)ああ…。

そういえば
副社長が亡くなった日の朝も

確か 口論なさってたな。

(佳枝)冗談じゃないわよ
まったく!

私のやる事に いつだって反対して
邪魔するんだから!

今に追い出してやる。
家からも会社からも!

ジーザス… ホワイ ウォント
シー ジャスト リーブ!

ジャスト リーブ!

(景子)確かに 口論しましたけど

でも そんな
大した事じゃないんですよ。

どういった事が原因だったのか

一応 お話を伺えればと
思いまして。

(景子)
佳枝さんがやろうとしていた

海外出店について
意見しただけなんです。

そしたら
彼女 急に怒り出しちゃって…。

いい加減にしてもらえませんか?
お義母様。

サンフランシスコに
支店を出す事には

お義母様だって オーケー 出して
くださってたじゃないですか。

なのに なんで 今頃になって…。

もちろん
その話は圭一からも聞いてるし

あなたたちが やりたいんだったら
おやりなさいとも言いました。

でも どうして こんなに
広い面積のお店が必要なの?

だって 主体は ペストリーと
サンドイッチとサラダ

それに ドリンクだけでしょう?

イートインのスペースを
入れたとしても

こんなに広い…。
もしかしたら

欲求不満なんじゃないですか?
お義母様は。

だから 圭一にも仕事にも
異常にしがみついて

他に 何か しがみつくもの…
そうだ!

婚活なさったらどうですか?
マリッジハンティング。

とにかく 圭一が戻ったら

この件は
もう一度 考え直すように。

今は シニア相手の結婚相談所が
たくさんあると聞きました。

そういうお相手を見つけて
その方に しがみついてください。

そのほうが 圭一も喜ぶと思うわ。

圭一は 私の夫であって
お義母様の…。

もう結構。 出ていってちょうだい。
出ていきなさい!

わかりました。

その後 息子さんから
何か連絡はありませんか?

ありません。
こんな事 初めてです。

2日も 全く連絡がないなんて…。

どちらにいらっしゃるか
心当たりは?

心当たりがあったら
とっくに そっちに行ってます。

ないから
心配してるんじゃないですか。

かくまってる?

少なくとも あの母親は
息子の居場所を

知ってるんじゃないかと。
根拠はあるのか?

ママ圭です。
ママ圭?

根本圭一は
何事もママに相談し

ママのオーケーが出てから
行動する。

しかし ママが決めた結婚だし

さすがに 離婚したいとは
切り出せなかったので

ママには内緒で
一人でやろうとして 結局…。

となると
まずは ママに泣きついて

ママに
助けを求めるんじゃないかと。

で ママが かくまってやっている。
そういう事か?

課長
母親宅の家宅捜索できませんか?

そうすれば
本人は出てこないまでも

何かしら 手掛かりが…。

戻りました。
おう。 なんかわかったか?

船橋のほうは。
ええ。

中継基地局の範囲を少し広げて
ホテル 旅館 スーパー コンビニ

それに 車も
どこかに置いているはずですから

駐車場等々を歩いてるんですが
全く 足跡は たどれません。

もう 船橋近辺を出て
移動してる可能性も考えられます。

そうなったら
もう 捜しようが…。

課長 もう 公開手配に
すべきなんじゃないですか?

根本圭一は 本ボシなのか?

いや ですから それは…。

証拠もないのに犯人扱いして
公開手配など問題外だ。

まして 母親の自宅の家宅捜索など
問題外以下だ。

今のところ
捜査方針を変えるつもりはない。

それから これは

根本圭一 佳枝夫婦の
結婚披露宴のDVDだ。

2人を取り巻く人間関係が
わかると思うので

参考に見ておいてくれ。
(捜査員たち)はい。

(竹中)「奥さん 本当におめでとう」

「21年間の母親業と社長業の二役
お疲れさまでした」

(竹中)
「2人の子供が しっかり育ち

亡くなった根本くんも
空の上で喜ん…」

〈その写真は
目撃者なのだと思いました〉

〈一人の女性の
人生の一番幸福な瞬間

花嫁になったという
幸せの絶頂の時と

一番不幸な瞬間
殺されていくという

最も残酷な時を目撃し

殺した人物をも目撃した

唯一の目撃者なのだと…〉

(司会)「それでは 続きまして
新郎のご友人 浜田勝弘様より

お祝いのスピーチを頂きたいと
思います」

「(拍手)」

(圭一)「かっちゃん!」

「えー 新郎の圭一くんとは
小学校 中学校

さらには 高校 大学まで
一緒の学校に通った…」

〈事件は
そのまま動きませんでした〉

〈根本圭一の行方は
依然として わからず

母親の根本景子も
自宅から出る事もなく

事件発生から
5日が過ぎていました〉

動きませんね… 事件も母親も。

やっぱり あのマンションに
かくまってるんですよ。

だから 動けないんです。

牛尾さん。

(ため息)

いつもと様子が違いますね。

♬~

♬~

♬~

5階ですか?

501 杉浦
502 浅井商会

503 斎藤
504 浜田…。

浜田?

(司会)
新郎のご友人 浜田勝弘様より

お祝いのスピーチを頂きたいと
思います。

えー 新郎の圭一くんとは
小学校 中学校

さらには 高校 大学まで
一緒の学校に通った…。

(ドアをたたく音)
浜田くん!

あなた 知ってるんでしょう?

圭一がどこにいるか
知ってるんでしょう!?

(景子)圭一は 一体どこにいるの?
教えてちょうだい!

(ドアをたたく音)

(景子)あっ 刑事さん…。

あの部屋の男を捕まえてください。

佳枝さんを殺したのは
あの男です。 浜田です!

佳枝さんだけじゃなくて
浜田は 圭一も… 圭一も…!

ねえ 圭一は 一体どこにいるの?

(ドアをたたく音)
(景子)教えなさい! 教えなさい!

奥さんは なぜ
浜田さんが 佳枝さんや

それに 息子さんまで殺したと
おっしゃるんですか?

何か理由が?

実は 半年ほど前に…。

圭一が来てくれると 私も
作りがいがあって嬉しいけど

でも こんなに しょっちゅう
ママの所でご飯食べてたら

佳枝さんに叱られない?
全然。

「毎日でもいいわよ」なんて
言ってる。

飯 作んないから あいつ。

作らないって 圭ちゃん…。
飯だけじゃないよ。

家事も 一切しないよ あいつは。

ええ?

掃除と洗濯は 家政婦さん。

食事は 外食か
デパ地下で買ってきたものを

ケースごと でーんと。

(景子の声)ええ?

おかわり もらうね。

うん…。

ママ… 僕 離婚するよ。

離婚!?
うん。 もう決めたから。

あなた
何言ってんのよ そんな…。

家事が苦手ぐらいで
離婚だなんて…。

佳枝さんは 家事は苦手でも
仕事はできる人よ。

会社にとっても あなたにとっても
必要な人だわ。

家事は… そうだ。

家事はママがやればいいのよ。
ねっ? 一緒に住んで。

これでも一緒に住める?

圭ちゃん これって…。

そう。

あいつ 男がいるんだよ。

(圭一)笑っちゃうよ。
浮気相手が かっちゃんだぜ。

(笑い声)

(景子の声)信じられませんでした。

(景子)小学校以来の友達で
この子が なんか しでかす度に

圭一も 私も
誰にもわからないように

助けてあげてたっていうのに…。

もう 腹が立って 腹が立って

すぐに離婚をって
言ったんですけど…。

下手に離婚なんか切り出したら
逆に アメリカ並みの慰謝料を

請求してくるに
決まってるんだから。

5億とか10億とか…。
ええっ!?

(圭一)とにかく 離婚の話は

こっちが決定的な証拠を
握ってからね。

だから ママも
この事は いったん忘れて

今までどおり
普通にあいつと接しててよ。

僕が決定的な証拠を握って
オーケー出すまでは。

いい?
うん。

その決定的な証拠を握ったのが
あの日…

佳枝さんが殺された日だった。
そういう事ですね?

急用ができて
東京に戻るって言ったのも

自分が出張中に
2人は必ず密会する

そう確信したから
自宅に戻ったんです。

そしたら 浜田に…。

だとしたら
佳枝さんを殺したのは 一体…。

そんな事
決まってるじゃないですか!

浜田しか考えられない。

とにかく 浜田を
すぐに捕まえてください!

圭一は もう どこかで
あの男に殺されてるんです。

もし生きていたら
必ず私に連絡してきてるはずです。

それが もう5日も…。

早く… 早く
圭一を捜してください。 早く!

不倫現場を押さえようとして
乗り込んだはいいが

逆に返り討ちに遭うなんて事も
なくはないがな。

でも 課長
おかしいじゃないですか。

そんな重要な情報を
握っていたんだったら

最初の時点で 我々に
その情報を伝えるべきでしょう。

なのに あの時は
そんな事 一切言わず

離婚届も
ふざけて書いたものだって

平然と言い放ってたんですよ
あの母親は!

そんな情報を出せば
息子が疑われる

そう思ったからですよ。

それでも 我々が
疑いを緩めないものだから

今度は「もう殺されてる」だ?

あの母親の頭の中にある事は
たとえ殺人犯であっても

圭ちゃんを守り かばい
最終的には逃がしてやる事。

それしかないんですよ。

モーさんは どう思う?

息子のためなら どんな事でもやる
母親という点では

山さんと同じです。

ですが あの奥さんにとって
行方がわからないという事は

21年前の事を
思い出させるんじゃないかと…。

夫の失踪か?

夫だけじゃなく 息子まで
同じ事になってしまったらという

不安と恐怖で パニックのように
なってるんじゃないかと…。

すみません 遅くなって。

浜田勝弘ですが
ガイシャとの関係は

調査会社の調べどおりで
間違いなさそうです。

不倫ありか。
で どういう男なんだ?

根本圭一の幼なじみで 31歳 独身。

職業は フリーのルポライター

芸能人やスポーツ選手の
下世話なネタを拾ってきては

週刊誌に売って
生活しているようです。

とにかく評判悪いですね この男。

金にも女性にも汚いし
だらしない。

良く言う人は
一人もいませんでした。

ガイシャと
愛人関係にあったのなら

間違いなく事件関係者だ。

明日にでも 本部に呼んで話を…。

(大上)それが…
行方がわからないんです。

行方がわからない?

(西谷)6月19日の夕刊から

新聞も郵便物も
郵便受けに詰まったままで…。

6月19日?
そうなんです。

事件当日からなんです
行方がわからなくなったのは。

(大上の声)
6月19日の午後5時頃に

マンションの管理人が 出かけていく
浜田を見かけています。

しかし それ以降 彼を見た人間は
一人もいないんです。

事件当日から
亭主も愛人も行方不明…。

いずれにしても

根本圭一 根本佳枝

それに…

浜田勝弘の三角関係を
徹底的に調べる必要がある。

モーさんは
そっちを追ってみてくれ。

わかりました。

(浜田)
「圭ちゃんは とにかく優秀で

小学校の時から
ずーっと一番でした」

「勉強はもちろん スポーツも万能
絵も習字も上手で

おまけにピアノまで弾けて

女子からも先生からもモテて
まさに クラスの…

いや 学校中のアイドル
プリンスだったんです!」

「だよね? 圭ちゃん」

「イエーイ!」
(浜田)「ハハハハハ…!」

「ところが その圭ちゃんが

あわれ 一番の座から
滑り落ちてしまうという

悲劇の日が
突然 やって来たんです」

「つらかったよね 圭ちゃん
あの日々は」

「(一同の笑い声)」

(浜田)「いや しかし
強運を持ってる圭ちゃんです…」

(司会)「それでは
宴もたけなわではございますが

これより ご両親様への花束贈呈に
移りたいと思います」

「それでは 新郎新婦 どうぞ!」

「(拍手)」

♬~「母がくれた
たくさんの優しさ」

「(拍手)」

♬~「愛を抱いて…」

♬~

せっかくのいいシーンなのに…。

(牛尾澄枝)終わった?
うん。

じゃあ お酒…。

ああ 今日も
やめといたほうがいいわね 晩酌。

ん?
だって張り込み中なんでしょ 今。

いや 張り込みは
一応 今日で上がった。

明日から また歩きだ。
本当? じゃあ お酒つけるわね。

ああ でも よかった!
何事もなくて。

ん?
長年 刑事の女房やってるけど

張り込みって言われたら

なんか もう いつもね
怖くて 怖くて…。

犯人に気づかれて

逃げられちゃったら
どうしようとか

襲われたりしたら どうしようとか
もう 心配で 心配で。

今回は そんな
凶悪犯相手じゃないから大丈夫だ。

フフ…。 だといいんだけど。

たくさんいるのよね
眠れない夜を過ごす人って。

はい。

1つの事件が起きると
一体 何人の人が

眠れない夜を
過ごすのかなと思って。

被害者の家族や身内の人たち。

犯人の家族や身内の人たち。

犯人自身。

そして 心配性の
デカの古女房。

でも とりあえず

今夜は なんとか
ぐっすり眠れそうだわ 古女房は。

ああ… おいしい。 フフ…。

あっ もう一本 つけるわね。
うん。

〈妻の言葉を
噛みしめていました〉

〈根本佳枝の両親

根本圭一は

そして 根本景子は

一体 どんな思いで この夜を
過ごしているのだろうかと…〉

♬~

(矢島 徹)そうね…
どう言えばいいかな?

圭ちゃんと浜田は…。

(矢島)確かに仲は良かったですよ。

でも なんというか…。

(矢島美沙子)
圭ちゃんはプリンスで

浜田くんは たいこ持ちの道化。

かみさんです。
こいつも小学校の同級生で…。

だからといって 圭ちゃんは
浜田くんを馬鹿にしたり

いじめたりなんか
しませんでしたよ。

圭ちゃんは優しいし
思いやりのある子だったから。

優しくて思いやりのある子が
あんな事するかよ?

鉢植え事件は 圭ちゃんじゃ
なかったわけじゃない。

あれは 結局…。

恐れ入ります。
その 鉢植え事件というのは?

ああ…
圭ちゃんは 1年生の時から

ずっと
なんでも一番だったんだよね。

でも 2年生の2学期に
転校生がやって来てから

一番の座を
奪われちゃったんですよ。

その転校生 山岡修介くん。

私たちは 彼の事を
「天才くん」と呼んでたんだけど。

1年後
その天才くんが引っ越す前に

死にそうになったっていうか

殺されそうになった事が
あったのよ。

(美沙子の声)
1回目は 学校帰りに…。

♬~

(矢島の声)2回目は それから
10日ぐらい経ってたかな?

(背中を押される音)
(山岡修介)うわっ!

(ブレーキ音)

(矢島の声)3回目は火事よ。

その天才くんが住んでた
アパートが…。

(美沙子)ゴミ箱が ちょっと
燃えただけのボヤだったんだけど

何しろ そんな事が
立て続けに3回でしょ?

で もしかしたら 圭ちゃんが
やったんじゃないかって。

誰もが そう思ったんだよね。
天才くんさえ いなくなれば

圭ちゃんが
また一番になれるわけだから。

でも 違ったんだ。
圭ちゃんじゃなかったんだよね。

(大上)だったら 一体 誰が?

ママ。

圭ちゃんのママ。

えっ!?

(矢島)そういう噂が
流れたんですよ。

本当は 圭ちゃんのお母さんが
やったんだって。

いくらなんでも
そこまでしますかね?

確かに 一心同体みたいな
親子だとは思いますけど

まかり間違えば 人ひとり…。

あの奥さんは
そんな愚かな人じゃない。

えっ…?
(矢島)刑事さん!

すいません ちょっと…。

実は ひと月ほど前に

浜田が店にやって来たんですけど
その時…。

すげえネタがあるんだよ 今!

極秘情報。
えっ?

「食品メーカー 創業者一族の闇」。

「創業者は
なぜ海に消えたのか?」。

この記事が出たら
大騒ぎになる事 間違いない。

何しろ 殺人まで絡む
大スキャンダルなんだからな。

殺人?
これ以上は言えない。

記事が出てしまったら
その会社の株価はどうなる?

大暴落。

それを狙って
儲かる手があるんだよ!

預けてみないか? 俺に100万。

つい その話に乗ってしまって
あいつに100万…。

その食品メーカーというのは
どちらの?

わかりません。
教えてくれませんでしたから。

でも いつまで経っても
そんな記事は出ないし。

金返してもらわなきゃ 俺…。

とにかく
浜田を早く見つけてください。

お願いします! じゃあ…。

牛尾さん。

海に消えた食品メーカーの創業者
っていうのは もしかしたら…。

根本フードの
根本英雄の事だと思う。

だったら 殺人というのは

根本英雄失踪の事ですか?

(携帯電話の着信音)

牛尾です。

モーさん
すぐに千葉の勝浦へ飛んでくれ。

勝浦へ?

身元不明の死体が
浮かんだそうなんだが

その仏さんが
うちが協力を依頼している

根本圭一じゃないかって…。

(谷口浩一)こちらです。

(谷口)ご苦労さん。

お願いします。
おい。

根本圭一ですか?

いえ 違います。

浜田という男です。

根本圭一の幼なじみの 浜田勝弘。

(谷口)21年前の事?
こちらで起きた

根本英雄さんの失踪について
調べていると

言っていたそうなんです。
えっ?

あまり素行のいい人物では
なかったようですので

友人から金を詐取する目的で
いかにも謎めいた大事件のように

吹聴しただけだったのかも
しれませんが…。

一報が入ったのは 21年前
平成10年の 確か…

7月24日の早朝だったと思います。

(谷口の声)ホテルから

前日から宿泊していた客が
夜釣りに出かけたまま

帰ってこないと
通報があったんです。

(谷口)でも もう 今は朝の7時だ。
7時間も経ってる。

なぜ
すぐに通報しなかったんですか?

それが…。

(谷口の声)根本さんは

息子の圭一くんを
連れてきてたんです。

根本さんが
夜釣りに行くと言うと

圭一くんは
かなり駄々をこねたそうです。

僕もパパと一緒に行く!

(根本英雄)駄目だよ 圭一。

圭一は まだ慣れてないし

あんな危ないとこには
連れて行けない。

圭一の事は
そのお姉さんに頼んであるから。

だったら 僕 シュウちゃんと
ナッちゃんちで パパ待ってる。

シュウちゃんとナッちゃん?

ホテルの近くに

宿と食堂をやってる
磯波という店があるんですが

そこの
圭一くんと同い年の男の子と

その日の昼間に
一緒に釣りをしたり

ゲームをしたりして
仲良くなってたらしいんです。

それで 根本さんが
磯波に頼んでみると

お預かりしてもいいですよ
という事になって

それで 圭一くんは その晩
磯波へ移ったんです。

それが 結局…。

通報の遅れに繋がった…。

ホテルのほうは

根本さんは 圭一くんのいる
磯波へ行ったんだと思い

磯波のほうでは

根本さんはホテルへ戻ったんだと
思い込んで…。

そういう事です。

いってらっしゃい!

(谷口の声)
根本さんの姿が目撃されたのは

それが最後だったんです。

♬~

(谷口)ここが扇岩です。

あの夜 根本さんが
行くと言っていた釣り場です。

ここは岩場で 足元も悪いし
波も荒いので危険なんですが

大物が釣れるというんで
人気の釣りスポットなんです。

そうですか…。

翌日に 我々が ここに来た時は

ランタンや釣り具などは
残されていたんですが

釣り竿と 根本さんの姿だけが
消えてて…。

捜索3日目の朝

根本さんが着ていたヤッケが

海に浮かんでいるのが
見つかったんですが

それ以外は一切…。

まさに 奥さんの言葉どおりだと
思いました。

奥さんの言葉どおり?

(谷口の声)
捜索が打ち切られる日に

奥さんが言ったんです。

海が夫を返してくれない…。

(谷口)まさに
そのとおりだと思いました。

牛尾さんは 浜田が殺されたのは

21年前の事と
何か関連があるとお考えですか?

いえ… それはないと思います。

お話を伺った限りでは
事件性は全く感じられませんし

やはり 先ほど
お話ししたように

友人から金を詐取するための
大ボラだったんだと思います。

21年前の事とは関連はなくても

今 牛尾さんたちが
追っかけてらっしゃるヤマとは

関連ありと考えるべきですよね。

根本佳枝と浜田勝弘は
愛人関係にあったわけですから。

なんだか ちょっと
やりきれません。

21年前

修介くんと楽しそうに遊んでいた
あの少年が

もしかしたら 殺人をと思うと…。

修介くんというのは
磯波のお子さんの事ですか?

ええ そうですけど。

修介…。

その転校生 山岡修介くん。

私たちは 彼の事を
「天才くん」と呼んでたんだけど。

谷口さん その 磯波のお子さん

もしかしたら 山岡という
名字じゃありませんか?

山岡修介。

ええ そうです。
山岡修介です。

そうですか…。

♬~

(携帯電話の着信音)

間違いありません。 同一人物です。

クラスメートだった…。

磯波は 母親の山岡晴子の実家で

平成9年の9月に
一人息子の修介を連れて

東京から実家に帰っています。

妹がいるんじゃないか?
夏子という。

その子は…
山岡晴子の弟の子供です。

2人が勝浦に帰った その年に
弟が亡くなっていますので

山岡晴子が 姪の夏子を引き取って
息子と一緒に…。

もしもし?
もしもし? 牛尾さん?

だったら なぜ
その日に知り合ったなんて嘘を…。

(山岡晴子)ごめんね 待たせて。

2~3日したら
夏子も帰ってくるから

その時 また来てよ。
今度は待たせないから。

夏ちゃん また旅行かい?
(晴子)そうなのよ。

先週の水曜日に 2泊の予定で
北海道へ行ったんだけど

もうちょっといたいからって
もう 帰ってきやしない。

北海道かい?
いいな 北海道 今は。

ありがとうございました。

山岡晴子さんですね?

なぜ 警察に 本当の事を
おっしゃらなかったんですか?

奥さんだけじゃない。

根本さんの奥さん
根本景子さんも

圭一くんと修介くんは

東京の小学校で
クラスメートであり

自分たちも
顔見知りだったという事は

一切おっしゃらず

初めて会う他人のようなふりを
なさってたと

谷口さんから聞きました。

なぜ お互い 知り合いだと
おっしゃらなかったんですか?

人に知られてはならない
事情があって

それで お二人で口裏を?

東京から ここへ戻ってきて

ひと月ほど経ってたと思うけど…。

本当に… 本当に
申し訳ないと思ってます。

まさか 家内が 修介くんに
あんな事をするなんて 夢にも…。

(根本)
なんと おわびすればいいか…。

奥さん 認めたんですか?

自分がやったって。

(景子の声)そうよ 私よ。

私がやったのよ。

鉢植えも 横断歩道も
それからボヤも。

お前… 自分が 一体 何したのか
わかってるのか?

わかってるわよ。
ちゃんとわかってます。

でも 圭一が かわいそうで。

一生懸命 頑張ってるのに
どうしても一番になれなくて。

つらそうで 悲しそうで
笑わなくなって…。

だから 私…。

家内を許してやってほしいって
根本さん そう言ってた。

それからよ。

根本さんが ここへ
来てくれるようになったのは。

(修介・山岡夏子)わあー!

(晴子の声)修介は2歳の時

夏子は
父親を亡くしたばかりだったから

2人とも
根本さんが来てくれるのを

待ちわびるようになって…。

私も そう。

私も 根本さんが来てくれる日を
待ちわびるようになってた。

それで 結局…。

まさに
人に知られてはならない関係よね。

特に 奥さんだけには
絶対に知られてはならない。

そう思ってた。

たかが子供の一番争いでも
あんな事をする人だもの。

もしも
私たちの事を知られたりしたら

それこそって…。

でも 奥さんは もう
私たちの事は知ってたのよね。

だから 根本さんが

扇岩で行方がわからなくなった
あの日…。

根本圭一の母です。

先ほど 警察の方から聞きました。

圭一が ゆうべ
お世話になったそうで。

ありがとうございました。
いえ…。

(晴子の声)奥さんが
何もおっしゃらない以上

私も話す必要ない。

そう思って それで 警察の人に

その日に知り合ったって そう…。

息子さん… 根本圭一さんは

よく勝浦に
釣りに来てたそうですが

こちらにも
いらっしゃってたんですか?

2~3年前までは
よく来てくれてたんですけど…。

もしかしたら 私と根本さんの事を
知ってしまって

それで
私を避けてるんじゃないかって…。

刑事さん。

圭ちゃんの奥さんが殺された事と
21年前の事は 関係ないわよね?

何かあったんですか?

圭ちゃんが結婚した
すぐあとだったと思うんだけど

圭ちゃんの奥さんが店へ来たの。

21年前の事を
詳しく教えてほしいって。

佳枝さんがですか?

一度だけじゃないの。
つい この前も やって来て…。

(晴子の声)その時は

修介の小学校の時の
同級生だったっていう

男の人と一緒に…。

浜田さんですか?

佳枝さんと浜田さんが
一緒に来たんですか?

♬~

あっ… 刑事さん。

圭一… 圭一なんでしょ?
その 身元不明の遺体って。

そうなんでしょ?

いえ 違います。
えっ…?

息子さんじゃありません。
えっ?

殺されたのは 浜田さんです。

浜田勝弘さん。

圭一くんと磯波の修介くんは

東京の小学校で
クラスメートだったそうですね。

それだけじゃない。

磯波の奥さんと根本さんは
特別の関係にあり

奥さんも その事はご存じだった。

21年前 その情報を頂いていたら

ご主人の失踪も

別の展開になっていたかも
しれません。

たとえ 海が ご主人を
返してくれなかったとしてもです。

その事は 今は ともかく

浜田さんと根本佳枝さんの関係は

牛尾さんから聞いて
知っています。

その2人が
相次いで殺害されたわけですが

その事について 奥さんは
何か心当たりはありませんか?

(景子)ありません。

浜田さんは

21年前のご主人の失踪について
調べていたようですが

その事は?

知っていました。

私の所にも来ましたから。
あの時の事を教えてほしいって。

『週刊トピックス』が

失踪宣告について
特集を組む事になって

それで 失踪宣告で
死亡と認められた人の

リストアップを始めたんです。

その時
あれ? 圭ちゃんのお父さんが

確か そうだったと思い出して

それで
圭ちゃんに聞いてみたんです。

何か覚えてる事はないかと思って。

そしたら いやあ
びっくりしたのなんのって。

あの日の夜 圭ちゃんは

天才 修介くんの家に泊まったって
言うじゃないですか。

こんな偶然って…。
(景子)浜田くん。

その『週刊トピックス』の
編集長の連絡先

教えてもらえない?

いいですけど… どうしてですか?

私からも お願いしたいの。

ぜひ 調べてくださいって。

(浜田)えっ?

私も あの日の事は
全くわからないの。

なんにもわからないまんま
っていうのも

結構つらいものなのよ。

あなたや『週刊トピックス』が
調べてくれるんだったら大歓迎。

(景子の声)
それ以降は 連絡は全くないし

会ってもいません。

あの子の魂胆はわかってたわ。

夫の失踪は殺人 殺したのは私。

そういう筋書きにしたかったのよ。

それを週刊誌に書くぞって脅せば
私からお金を取れる。

『週刊トピックス』が
特集を組むって話も

私を脅すための
でっち上げだと思います。

おっしゃるとおりだと思います。

牛尾さんが問い合わせたところ
そんな特集などないし

浜田勝弘というルポライター
全く知らないという返事が

返ってきたそうです。
(ドアの開く音)

(捜査員)谷口さん。
なんだ?

課長が…。
(谷口)なんだよ…。

ちょっと…
牛尾さん ちょっとすいません。

なんだよ お前…
一番いいとこだったろ この野郎。

♬~

奥さんは
21年前の事を調べてた人が

もう一人いた事はご存じですか?

知ってました。

結婚直後に 彼女に
聞かれた事がありましたから。

(佳枝)本当に
海で溺れたんですか? お義父様。

どうして そんな事を聞くの?

だって 遺体は
まだ発見されてないんですよね?

そうよ。

だったら 事故かどうか
わからないじゃないですか。

自殺かもしれないし
もしかしたら 殺人かも。

何か心当たり
おありになりませんか?

お義母様。

例えば 実は その時
お義父様には女がいたとか。

おっしゃるとおり
もう一人いたんです。

夫の失踪は殺人 殺したのは私
そう思いたい人が。

お金が欲しい男と

会社を意のままに動かすためには
私が邪魔な女が一緒になって

夫の失踪は殺人 殺したのは私の
大合唱。

21年前の事を調べていた
佳枝さんと浜田が

相次いで殺されたっていう事は

殺された原因が 21年前の事にある
っていう事なんでしょうか?

その可能性も考えるべきだと
思っております。

じゃあ 刑事さんも

21年前の夫の事は殺人だって
思ってらっしゃるの?

証拠がありませんので
断定はしません。

あくまでも可能性です。

その可能性も なくはない。

そう思っております 私は。

〈21年前の7月

根本英雄は
ここで行方を絶ちました〉

〈それから21年が経って

その失踪に疑惑を抱いた
根本佳枝が…

そして 浜田勝弘が 相次いで…〉

創業者は なぜ 海に消えたのか…。

じゃあ モーさんは
21年前の根本英雄の失踪は

自殺でも事故でもなく 殺し
そう思っているわけだ。

証拠はありません。

ですが 今の状況と21年前の状況が
似てる事が気になります。

状況が似てる?

21年前も 今と同じような
三角関係があったんです。

根本英雄 妻の景子

そして 山岡晴子。

山岡晴子は

根本英雄と愛人関係にあった事は
認めてますし

根本景子のほうも

夫と山岡晴子の関係は
知っていました。

根本フードは
根本英雄と妻の景子が

藤沢市内にある
3坪ほどの店を借り

小さなベーカリーを
開業した事から始まっています。

根本英雄の行方が
わからなくなった21年前は

藤沢店 二子玉川
それに 青山店と

店も3店舗に増え

店の名称も 根本ベーカリーから
根本フードに変え

根本フードは まさに正念場。

勝負をかけた時期でも
あったんです。

そんな大事な時期に

夫が 自分と一人息子に
向けてくれていたはずの

心を 愛情を

別の女性 山岡晴子に向けた。

これは もう 根本景子にとっては
耐えがたいほどのショックであり

屈辱だったんじゃないでしょうか。

さらに根本景子を苦しめたのは

誰よりも父親を尊敬していた
一人息子が

父親の そんな心を
知ってしまったらという

恐怖だったような気がします。

自分から一番の座を奪った
山岡修介に

今度は 大好きな父親まで
奪われてしまうかもしれない。

そんな事を知ってしまったら

息子は もしかしたら 4回目を
やってしまうんじゃないかという

不安と恐怖です。
4回目?

先ほどお話しした鉢植え
横断歩道 それに ボヤです。

(大上)じゃあ 牛尾さんは

あれは
根本景子がやった事ではなく

息子の圭一がやった事だと?

根本景子が息子をかばうために

自分がやった事にしたんじゃ
ないかと。

なるほど。

それで 全てを息子に知られる前に
夫を殺した。

そういう事か。

そう思います 私は。

(西谷)だとしたら
根本佳枝と浜田勝弘

2人を殺したのも 根本景子
という事になるわけですか?

21年前の犯罪を
知られてしまったから。

そこまでは まだ…。

ですが 根本景子のアリバイが
気になります。

根本景子のアリバイ?

根本佳枝が殺害されたのは

6月19日の午後11時頃から
翌日の午前1時頃までの間。

浜田勝弘のほうは 正確な
死亡推定時刻は割り出せませんが

死後5日ほど経過してた
という事ですから

殺害されたのは
根本佳枝が殺された日と同日

6月19日の午後5時以降
という事になるわけです。

この日 午後6時頃から
午前0時頃までの間

根本景子には
アリバイはありません。

(大上)例の6時間ものドライブ。

ぴったり重なりますね
2人が殺された時間と。

モーさんは肝心な事を忘れてる。

息子だよ。 根本圭一の存在。

根本景子が本ボシなら

根本圭一は
なぜ 行方をくらましてるんだ?

2人を殺してないんだったら

何も
逃げ隠れする必要はないわけだ。

なのに いまだに姿を現さない。

これは 一体 どう解釈すれば…。

景子は 息子の圭ちゃんは
浜田に殺されたって

騒いでたんだよな?

ところが 殺されていたのは
その浜田だ。

どう考えても

佳枝 そして 浜田を殺したのは
根本圭一だろう。

確かに
山さんのおっしゃるとおりだ。

事件のカギを握ってるのは
根本圭一。

彼がキーパーソンである事は
間違いない。

彼の行方さえわかれば…。

事件発生から
今日で もう6日目です。

やっぱり
誰かがかくまってるとしか…。

根本圭一は 勝浦へは
よく行っていたそうだが

山岡晴子が
かくまっている可能性は…。

それは ないと思います。

かくまってるとすれば

私に根本佳枝や浜田の情報など
出すはずありませんから。

だったら 山岡修介はどうですか?

かつて 東京の小学校では
ライバルだったとしても…。

それも あり得ない。

山岡修介は
もう 3年も前から海外だそうだ。

船橋もなし 勝浦もなし。

よし 明日からは もう一度

根本圭一の潜伏先の
徹底的な洗い直しだ。

いいな?
(一同)はい!

ねえ 晩ご飯どうする?

こんな時間だから
軽いもののほうがいいわよね?

うん。 茶漬けがいいな。

あっ だったら グッドタイミング。

サケの塩辛と昆布の佃煮。

お友達からのね 旅行のお土産。

さっき ちょっとつまんだんだけど
まあ おいしかった事。

やっぱり 持つべきものは友よね。

それも
お土産を持ってきてくれる友。

どうかした?

この写真
いつから置いてあるんだ?

いつって ずっと前から
そこに置いてあるけど。

やだ 今 気づいたの?

〈殺人現場にあった
あの写真の事が

気になっていました〉

〈一人の女性の幸と不幸を目撃し

殺人を目撃した あの写真…〉

♬~

♬~

〈なぜ その写真が
そんなに気になるのか

わかりませんでした〉

〈ですが その写真は
私に何かを伝えようとしている

そんな気がしたのです〉

〈何かを… 何かを…〉

(携帯電話の着信音)

牛尾です。

モーさんの読みが当たったようだ。

えっ?

たった今 根本佳枝及び浜田勝弘を
殺したのは自分だと言って

根本景子が…。

「出頭してきた」

♬~

あの朝
佳枝さんと口論になった事は

もう お話ししましたよね?

一日中 不愉快な気分で

会社を出る時も
まだ腹が立っていて

気分転換をと思って
ドライブに出たんです。

でも 気分転換どころか
ますます腹が立ってきて

圭一が なんと言おうと

もう佳枝さんに
浜田の事を突きつけて

離婚を言い渡すしかないって

そう思って
圭一の家に行ったんです。

そしたら あの人
謝るどころか 逆ギレして…。

で また口論になってしまって
それで 私 カッとして…。

殺してしまった そういう事だね。

その時なんだけど 何使ったの?

(景子)えっ?

殺すために使った道具だよ。

ひもとか スカーフとか
ロープとか…

いろいろあるだろう。

クッションです。

(景子)
ソファにあったクッションを

佳枝さんの顔に押しつけて…。

犯人しか知り得ない事実

クッションを凶器に使ったという
秘密の暴露もあった。

根本景子が本ボシである事は
間違いないと思います。

よし 裏取りの上
逮捕状 請求だ。

なんなんだ? 一体…。
何を私に…。

♬~

まさか…。

♬~

まさか あの時…。

〈その時になって
私は ようやく気づいたのです〉

〈根本佳枝と浜田勝弘を
殺したのは誰なのか〉

〈そして 21年前に起きた
根本英雄の失踪の真実にも〉

〈根本圭一

事件のカギを握っている
キーマン〉

〈やはり 根本圭一の行方を
突き止めない限り

この事件は解決しない〉

〈そう思いました〉

〈誰かがかくまっている事は
確かだ〉

船橋近辺には

かくまってくれるような
親しい友人 知人はいないはず〉

〈勝浦の山岡晴子 山岡修介
山岡夏子も〉

(男性)夏ちゃん また旅行かい?
(晴子)そうなのよ。

先週の水曜日に 2泊の予定で
北海道へ行ったんだけど…。

先週の水曜日…。

先週の水曜日は 事件当日だ。

事件の起きた日に
旅行に行ったまま

まだ帰ってこない…。

2泊の予定なのに まだ…。

あそこへ行かなきゃ
会えないじゃないか。

僕が会いに来るのを
待っててくれてるんだから。

もしかしたら 待ってくれてるのは
父親じゃなく…

山岡夏子。

山岡夏子?

山岡夏子が
根本圭一をかくまっている。

そういう事か?

恐らく そうだと思います。

根本圭一が結婚する前から

2人は
恋愛関係にあったんだと思います。

さっき 勝浦中央署の谷口さんに
調べてもらったんですが

山岡夏子は 今日も まだ
旅行から帰ってません。

根本圭一と一緒にいると考えて
いいと思います。

問題は どこにいるかだ。

(西谷)
山岡夏子の携帯番号を調べて

その電波の出どころをたどれば…。

だが 叔母の晴子に
直接聞くわけにもいかんだろう。

調べるのにも時間がかかりますし
ただ待ってるだけというのも…。

(山路)だったら歩こう。

根本圭一の携帯の最後の電波の
中継基地局辺りをもう一度。

無駄足になっても
ただ待ってるよりはいいだろう。

できました。

山岡夏子です。

〈私たちは

山岡夏子と根本圭一は
船橋にいるとみて

山岡夏子の行方を
追い始めました〉

♬~

すいません。
警察の者なんですけども…。

♬~

山岡夏子様の物件は
うちでは扱ってませんね。

そうですか。
ありがとうございます。

申し訳ありません。
もう一度 調べて頂けませんか?

(店員)でも…。
今度は 別の名前で。

山岡夏子ではなく 根本夏子で。

♬~

ここです。

♬~

新宿西署の牛尾と申します。

根本圭一さんですね?

♬~

(景子)嘘?

昨日の奥さんの供述は
明らかな嘘だと判明しました。

どういう事ですか? それって。

根本佳枝さんを殺したのは
奥さんではないという事です。

おかしな事をおっしゃるのね。

私は自首してきたんですよ。

誰も殺してない人間が
「私が人を殺しました」

しかも 「2人も殺しました」なんて
言いますか?

ですが 奥さんは あの2人を
殺してらっしゃいません。

でしたら 証拠を見せてください。

私が あの2人を殺してない
っていう証拠を。

殺してないという証拠ですか…。

私も
長い事 刑事をしておりますが

殺していないという証拠を出せと
言われたのは初めてです。

ですが あるんです 証拠は。

この写真が 息子さんの自宅の
居間に飾られていた事は

奥さんも ご存じですよね?

ええ。

根本佳枝さんが殺害された時も
この写真は

居間のサイドボードの上に
飾られていました。

でも どうして これが証拠に?

つまり この写真は
見ていたわけです。

あの夜 あの部屋で
一体 何が起き

佳枝さんが
どのように殺されていき

誰が殺したのかも 何もかも全て。

じゃあ この写真が

犯人が私じゃないって
しゃべったんですか?

おっしゃるとおりです。

この写真が教えてくれたんです。

佳枝さんを殺したのは
奥さんではないと。

じゃあ 今 しゃべらせてください。
私に ちゃんと聞こえるように。

この写真は… いえ むしろ

根本さんはと言ったほうが
いいのかもしれません。

根本さんは

一人息子の結婚式に立ち会い
披露宴にも出席した。

根本さんも
きっと 喜ばれた事と思います。

10歳の時に
別れなければならなかった

一人息子の成長を心から喜んで
見守っていたはずです。

披露宴の主役は
常に新郎新婦です。

ですが 一度だけ

新郎新婦の両親
とりわけ 母親に

スポットライトが当たる時が
あるんです。

新郎新婦による花束贈呈。

(司会)
それでは 新郎新婦 どうぞ!

(拍手)

(牛尾の声)
父親を失った10歳の時から

仕事があるにもかかわらず
寝る間も惜しんで

全身全霊で自分を育て 守り
愛してくれた母親に対する感謝。

ママ…

ありがとう。

本当に ありがとう。

これからは親孝行するからね。

パパに褒めてもらえるように
パパの分もママを大事にする。

約束する。

(牛尾の声)場内の全ての人が

あなたに 惜しみない称賛を
送ったはずです。

若くして 夫を失い

それでも 一人で
残された2つのもの

10歳だった一人息子と

歩き出したばかりの
根本フードを

立派に育て上げた
気丈で けなげな母親。

その母親が

息子と抱き合って
涙を流している。

全ての人が
感動的な そのシーンを

見つめていたはずです。

ですが 一人だけ
その感動的なシーンを

見られなかった人がいたんです。

根本英雄さんです。

これが その時の写真です。

最初は
何かの拍子に倒れてしまったんだ

そう思いました。

でも 違います。

あなたが
感動的な そのシーンを

根本さんだけには
見られたくなかったんです。

なぜなら 21年前の あの夜

あなたが
根本さんを殺したからです。

人殺しの自分が称賛される。

しかも 一番残酷な方法で

息子から 最愛の父親を
奪ってしまった自分に

息子が感謝をし
優しい言葉をかけてくれる。

そんな自分を
ご主人に見られるのは

後ろめたかったんです。

耐えられなかったんです。

だから あなたは…。

こうしたんです。

罪の意識と罪悪感。

あの時だけじゃない。

あなたは ずっと その2つに
苦しめられてきたはずです。

息子さんを見る度に
罪の重さを感じていたはずです。

そんな人が この写真の前で…

ご主人と最愛の息子さんの前で

人を殺す事など
できるはずはないんです。

ですから 奥さんは
佳枝さんを殺したりなんかは…。

刑事さん。

刑事さんは 一番肝心な事を
忘れてらっしゃるわ。

私は 佳枝さんと口論になって

カッとして殺してしまったのよ。

こんな写真の事なんて
眼中になんかありませんよ。

だとすると 妙な事になりますね。

凶器に使われた
クッションからは

奥さんの指紋は
検出されませんでした。

カッとして
やってしまった犯行なら

その時 とっさに
クッションをつかんだはずです。

なのに なぜ 奥さんの指紋は…。

あの時は 確か あの… 手袋を…。

昨日 息子さんを逮捕しました。

えっ…!?

浜田さん殺しについても
息子さんは…。

違います!
あの子じゃありません。

あの子 私をかばってるんです。

あの子に会わせてください。
そしたら はっきり わかります。

あの子じゃない。 私だって事が。

奥さん…。

息子さんは 警察に出頭する前に
奥さんに会って

何もかも全部 話すつもりだったと
おっしゃっていました。

だったら 今 あの子に
会わせてください。 今!

佳枝さんが殺された日の夜も

あの部屋で どんな会話が交わされ
何が起きたのか

その事を 一番知るべきなのは
奥さんなんだから

だから
どうしても話したかったって。

私も そう思いました。

あの夜の事を 一番知るべきなのは
奥さん自身だと。

ですので あの夜の全ての事を

息子さんの供述に基づいて
お話し致します。

よろしいですね?

事件当日ですが…。

僕が出張している間に
2人は 必ず 僕の家で密会する。

そういう予感があったんで

それで あの日
自宅に戻ったんです。

そしたら…。

(カメラのシャッター音)

やっぱりな…。

(シャッター音)

それにしても
ちょっとショックだったよ。

浮気相手が
かっちゃんだったとは。

(浜田)どうしたんだよ 圭ちゃん。

今晩は
軽井沢泊まりじゃなかったのか?

これ 頼むな。

離婚届。

圭一のサインも 捺印も済んでる。

まあ こういう事だから

当然 慰謝料なんかなし…
だよな?

明日 弁護士の中山先生に
連絡しとく。

じゃあ。

(佳枝)船橋市北船町
みどり荘 202号室。

つつましいアパートに
つつましい感じの愛人よね。

山岡夏子さんって。

(景子)山岡?

山岡夏子?

勝浦の山岡晴子さんの
姪に当たる女性です。

(牛尾の声)
もう3年になるそうです。

息子さんと
山岡夏子さんとの関係は。

浜田くんとの関係ができたのは
それからよ。

あなたと彼女の事を
聞いたショックで

つい この人と…。

離婚裁判になったら
どっちが有利かくらいかは

あなたにだって
わかるはずよね?

それでも別れたいんだったら
高くつくわよ? 慰謝料。

あなたが持ってる
根本フードの株全部と

ママの株半分。

何言ってんだ? お前。
そんな事できるはずないだろ。

私と別れても
あのつつましい愛人とは

絶対 一緒になれないわよ あなた。
(圭一)何言ってんだよ! お前は。

だって 山岡夏子は
ママの天敵 山岡晴子の姪だもの。

修ちゃんのお母さんが
ママの天敵?

だって そうでしょう?

山岡晴子は
パパの愛人だったんだから。

修ちゃんのお母さんが
パパの愛人?

フッ… はあ?

お前 一体
どんな冗談 言ってんだよ。

だから 殺しちゃったんだよ。

ママは パパを
21年前の あの夜に。

ママがパパを殺した?

そうだよ。 ママは
圭ちゃんのために パパを殺した。

僕のために殺した?

なんで?
僕のために ママがパパを?

だって 考えてもみろよ。

圭ちゃんは
一番の座を奪われた天才くんに

今度は 大好きなパパまで
奪われる事になるんだぜ?

ショックなんか もう通り越して
圭ちゃんは

4回目を
やるかもしれないじゃないか。

4回目?

(浜田の声)鉢植え。 横断歩道。

それから ボヤ。

僕は あんな事をしてない。

一番の座を奪われただけだって
天才くんを殺そうとしたんだ。

パパを奪われたりしたら
それこそ 本当に

天才くんを
殺してしまうかもしれない。

だから 圭ちゃんが
そんな事をする前に

自分で パパを…。

いい加減な事を言うなよ!

僕は 修ちゃんを

殺そうとした事なんてない!
一度も。

じゃあ やっぱり
ママがやったのか。

違う。 ママじゃない! ママだって
絶対 あんな事はしてない。

でも ママは 圭ちゃんがやったと
思ったんだよな?

だから 自分がやったなんて
噂 流して…。

ママが 自分で噂を流した?

そうに決まってるじゃないか。

圭ちゃんがやったと思ったから

圭ちゃんをかばうために
自分がやったって。

そういう人じゃないか
圭ちゃんのママって。

圭ちゃんのためなら
どんな事でもできる。

だから パパだって…。

だから
いい加減な事を言うなよ!

ママが
そんな事するはずがないだろ!

絶対にない!

謝れよ。

ママにも パパにも謝れよ!
かっちゃん。

言った事 全部 取り消せよ!

なあ いい事 教えてやろうか
圭ちゃん。

どけよ かっちゃん!

鉢植え。 横断歩道。

それから ボヤ。

あれ 全部 俺がやったんだ。

じゃあ…
圭一じゃなかったんですか?

奥さんは その事で

息子さんを
問いただしましたよね?

(景子)本当に 本当に
圭ちゃんじゃないのね?

違う! 僕じゃない。
僕は あんな事はしてない!

わかった わかった もう。
泣かないの。

圭ちゃん もう
なんにも心配しなくていいからね。

あとは ママが
ちゃんとしてあげるからね。

ある意味で その時が

今回の事の
出発点だったような気がします。

あの時 奥さんが

やっていないと言った
息子さんの言葉を

信じてさえいたら

21年前の事は もちろん

今回の事も
起きなかったはずですから。

(圭一の声)
僕がやったなんていう噂は

放っておけばよかったんだ。

浜田が そう言ったんです。

なのに ママが
余計な事をしたから…。

(ため息)

パパの心が ママから離れたのも
結局は その事が原因だったって。

たかが 子供の一番争いで

相手の子供
殺そうとする女となんて

怖くて
夫婦やってられないもんなって。

恨むなら 俺じゃなくて
ママを恨むんだな!

なあ いいチャンスだ。

こいつ 殺そうか?

こいつが死んでくれれば
財産は全て お前のものに…。

いや 違うか!
ぐっ…。

こいつが死んだら
財産の3分の1は

ママのものになるわけだ。
(圭一)はあ… あっ…。

(浜田)けど こいつが死んだら
圭一命の あのばあさんは

ふぬけ同然。

うまくいけば
こいつのあとを追って

死んでくれるかもしれない。

そうなれば 全て 佳枝のものだ。

根本フードは
完全に 佳枝のもの。

という事は
俺のものになるって事だ!

(圭一の声)
殺される。 そう思いました。

でも その時…。

(圭一のせき込み)

(浜田)あっ… うう…。

じゃあ 圭一じゃなくて
佳枝さんが?

正当防衛よ。

こいつが

あなたを殺そうとしたから
だから…。

あなたを助けるためにやった事よ。
そうでしょう?

警察。 とにかく 警察…。

そんな事できるわけないでしょ!
(圭一)でも…。

とにかく
こいつ なんとかしなきゃ。

どこか…。

いいお手本があるじゃない。

ママが教えてくれた
完全犯罪の いいお手本が。

(景子)まさか…。

まさか…!

そうです。

21年前 ご主人が行方不明になった
勝浦の扇岩。

そこから 死体を遺棄すれば
ご主人の時と同様

浜田さんの死体も
見つからないんじゃないか?

そう思って…。

帰るわよ。

何やってんのよ!
誰か来たら どうすんのよ?

早くしなさいよ。

(圭一の声)
思い出した事があったんです。

パパの捜索が
打ち切りになった日…。

圭ちゃん ママの歩くあと
歩いて あとついてきなさい。

そしたら 転ばないから。 いい?
うん。

本当だ… ママ!

ん?

ママは ここへ来た事あるの?

ううん ないけど。 どうして?

だって
ママ とっても上手に歩くから

前にも来た事があるのかなって
思って。

(圭一の声)その時
はっきり わかったんです。

(背中を押される音)
うわっ! うわあーっ!

パパを殺したのは ママだって。

(圭一の声)気がついたら
家に帰ってて…。

(佳枝)
サンフランシスコ出店の事で

また ママが
口出しすると思うけど

その時は
はっきり ノーって言ってよ?

それから 英語
もっと勉強したほうがいいわよ。

ユア イングリッシュ イズ
ライク…。

アー ユー リッスン トゥ ミー?

ねえ!

しっかりしなさいよ!

情けないったらありゃしない。

少しは ママを見習いなさいよ!

(ため息)

ママは 何もかも全部
一人でやってきたのよ。

21年間 誰にも悟られず
弱みも見せず

いつも 毅然として。

殺人犯のかがみよ!

黙れ…。

なのに あなたときたら…。

だから みんなに馬鹿にされて
ママ圭なんて呼ばれるのよ。

黙れ…。

(佳枝)30過ぎたっていうのに
いまだに ママ ママ…。

ライク ア ベビー!
(圭一)黙れ。

(佳枝)ジーザス! ホワット
イズ ユア プロブレム?

黙れ…。

(佳枝)オー マイ ゴッド!
アイ ニード…。

(佳枝)うっ…。

黙れ。
(佳枝)ううっ… うっ…。

(圭一)黙れ。

黙れ!

(圭一)黙れ。
(佳枝)うっ…。

(圭一)黙れ。

(佳枝)うっ… うっ…。

(圭一)黙れ。
(佳枝)うっ…。

(圭一)黙れ。

黙れ。

気づいた時には
佳枝さんは もう死んでいて

怖くなって

山岡夏子さんの待っている
アパートへ行ったそうです。

奥さんが
息子さんの家へ いらしたのは

恐らく その直後でしょう。

もしかしたら 息子が…。

最初は
そう思われた事と思います。

でも 奥さんには自信があった。

息子がやった事だったら

息子は 必ず 自分に助けを求めて
連絡してくるはずだ。

だが そんな連絡はなかった。

それで 奥さんは
息子ではないと確信して

そのまま 自宅に戻った。

これが
あの夜に起きた事の全てです。

奥さんが

息子さんの罪をかぶろうと
決心なさったのは

あんな形で
父親を奪ってしまったという

息子さんに対する贖罪だと
思います。

ですが 息子さんは

奥さんに
大きな借りがあると思ってたと

おっしゃっていました。

借り?

(圭一の声)僕は ずっと

パパの行方がわからなくなった
あの日から

佳枝を殺した あの夜まで

パパは 僕のせいで死んだんだって
思ってた。

パパが釣りに出かける時
僕が頼んだから。

みんなに自慢するから

絶対 絶対
大きいのを釣ってきてねって。

だから…。

だから 僕のために無理をして

それで
海へ落ちてしまったんだって。

ママからパパを奪って

独りぼっちにさせたのは
僕なんだ… 僕のせいなんだって。

だから ママを

幸せにしてあげなきゃいけないと
思った。

ママの望みは なんでも

かなえてあげなきゃいけないと
思った。

つらい思いをさせたり

悲しい思いをさせたらいけないと
思った。

ママが選んだ学校へ行った。

ママが選んだ銀行に就職して

ママが 会社に戻れって言ったから
会社に戻って

ママが選んだ女と結婚した。

ママが反対する事は
一切やらなかった。

できなかったんだ。

悲しそうな顔するから。

やりたい事も我慢して

ママ圭なんて言われて
馬鹿にされて

頼りない 能なしの2代目って
言われても

その分 ママが頼りにされて

みんなから尊敬されるんだったら
それでいい。

それで構わない。
本当に そう思ってた。

パパの行方がわからなくなった
あの日から ずっと

僕は 僕の人生じゃなく

ママが僕に望む人生を
生きてきた。

なのに…。

ママがパパを殺した!?

僕のために殺した?

ふざけんじゃねえよ!

だったら…

俺の この 今までの21年は
一体 なんだったんだよ!

あの女の言いなりに
生きてきて…。

揚げ句の果てが…

人殺しだよ。

殺人犯だ。

今頃になって
ようやく わかった。

僕が殺すべきだったのは
あの2人なんじゃなかった。

僕が殺すべきだったのは あの女。

あの女…

ママだったんだ。

パパを殺し 僕まで殺した

あんたを殺すべきだった!

♬~

奥さんは
鬼子母神をご存じですよね?

1000とも 1万ともいわれる
我が子を養うために

人間の子供をさらって

食い殺していた夜叉が
いたそうです。

けれど
子供の一人を隠されてしまい

必死になって
その子の行方を捜し回る事で

それまで 自分が人間に行ってきた
悪行に気づき

その罪を悔い

それからは 鬼子母神と呼ばれる
子供の守り神になった。

私には 奥さんが
神となる前の夜叉

言ってみれば
鬼子母に見えるんです。

我が子を思うあまり
我が子を食い殺してしまった

哀れな鬼子母。

そう見えるんです。

息子さんは
今 絶望の闇の中にいます。

人を殺してしまったという後悔。

信じていた人たちに
裏切られたという悲しみ。

そして 何より

ママと呼び
心から愛していた人を

「あの女」と
叫ばなければならなかった

怒りと苦しみ。

奥さんが突き落とした地獄です。

でも その地獄の中から

息子さんを
救い出してあげられるのは

やはり 奥さんしかいないんです。

母親である あなたしか。

本物の鬼子母神になってください。

21年前の事も
何もかも全部 本当の事を話して

息子さんを救ってあげてください。

あなたならできる。

そう信じております。

私は。

♬~

〈1つの事件が終わり

また 新しい事件が起きます〉

〈事件の根底にあるものは
いつも

人の憎しみであり 怒りであり
愛であり

そして 悲しみです〉

〈事件が1つ起きる度に

そして 事件が1つ解決する度に

私は思います〉

〈これから先

私は いくつの憎しみ
いくつの怒り

いくつの愛
そして いくつの悲しみに

向き合うのだろうかと〉

♬~

ちゃんと勝負してくださいよ。

(実況)さあ うなってきた
うなってきた。

ゴジラ松井と因縁の対決〉

〈試合は とんでもない展開に!〉

〈サッカー対決は
爆笑珍プレー連発!〉

オッケー!