ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おしん 一挙再放送 第31週・自立編/太平洋戦争編 田中裕子、泉ピン子… ドラマの原作・キャスト・音楽など…

おしん 一挙再放送▽第31週・自立編/太平洋戦争編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 加代
  2. 山形
  3. 加賀屋
  4. お内儀さん
  5. お加代様
  6. お母さん
  7. オレ
  8. 浩太
  9. 東京
  10. 竜三
  11. 酒田
  12. オイ
  13. 今日
  14. 本当
  15. 気持
  16. 自殺
  17. 心配
  18. 勉強
  19. テーマ音楽
  20. 一緒

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おしん 一挙再放送▽第31週・自立編/太平洋戦争編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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おしん 一挙再放送▽第31週・自立編/太平洋戦争編[字]

主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。

詳細情報
番組内容
昭和4年10月、おしん(田中裕子)は、2人目の男子を出産した。おしんにとって何よりもうれしい次男の誕生であった。身重のおしんを手伝うという名目で山形から伊勢へ出てきた母・ふじ(泉ピン子)も、大いに喜んだ。しかし、喜びもつかの間、ふじは疲労がたたったのか、倒れてしまった。検査の結果は、白血病という診断であった。しかし、それは竜三(並木史朗)にだけ知らされ、他には誰の耳にも入れられなかった。
出演者
【出演】田中裕子,泉ピン子並樹史朗赤木春恵,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一

 

 


♬~
(テーマ音楽)

♬~

昭和4年 おしん
2人目の男の子を 無事 出産した。

同じその夜 おしんの出産に
付き添っていた 母 ふじが

倒れてしまった。

(医師)よう 調べてみんと
分からんが

心臓は 正常だし
ただの疲れかもしれん。

まあ とりあえず
ビタカン注射 うっといたから。

(竜三)女房のお産の騒ぎで

2晩ほど ろくに
寝とんさらんやったですけん…。

うん。 それが 原因かもしれんな。
ああ…。

お母さん…。

(医師)苦しいとこや 痛いところ
あるかね?

よかった…。

気分は どがんですか?

(ふじ)ああ…。
目の前が 急に真っ暗になって。

(産婆)かまどの前で
倒れてはったんですよ。

迷惑かけたなっす…。

あ~ 寝とった方がいい。

体が 鉛 詰まったみてえで…。

だるいのかね?

大丈夫だっす。
(医師)いつごろから?

もう 年だから

思うように 体 動けなくても
当たり前だっす…。

一度
名古屋の大きな病院 行って

詳しく 検査してもらった方が
いいかもしれんな。

ほだな大げさな事…。

実は 明日 私も行くんだ。
知ってる医者もいるから 一緒に。

じゃあ まあ お大事に…。

夜分 お騒がせしたなっす…。

(医師)無理せんようにな。

(ひさ)こんにちは!
これな おしんちゃんに

食べさせてあげよう思って!
あ~ お内儀さん

ありがとうございます!
(ふじ)お内儀さん!

まあまあ この度は
おめでとうございます!

男のお子さんやそうで
何よりでしたな。

お内儀さんには いつも お世話に
なって ありがとうございます。

いいえ。 今朝な 竜三さんが
仕入れに来た時 聞きましてな

取る物も とりあえず お祝いに!

早速 悪いなっす。 おしん
どだい喜びますか。 さあ どうぞ。

ほんなら ちょっと。
おしんちゃんと赤ちゃんの顔

見せてもろうて…。
(竜三)あっ お内儀さん。

うん?
あの~ おしんには

母が 名古屋の病院 行く事は
話してありませんけん。

ああ。
余計な心配かけてもと思って…。

よう 分かってます。

おたいは 手伝うつもりで
やってきましたんや。

おしんちゃんの事やったらな
おたいに任せといて下さい。

なっ! あんたやて 女房のお産で
店 休んだりしたら

せっかくの信用が
台なしになるで! はあ…。

なあ。

よいしょ!
(おしん)すみません。

お内儀さんに こんな事まで…。

はい。 さあ しっかり 食べてや!

お乳が ようけ出るようになるで!
あら~。

お産のあとはな
この鯉こくが一番やで。

でも 母も なにも こんな時に
出かけなくてもいいのに…。

山形の人が
伊勢参りに見えたんや。

今日しか会われへんのやから
しかたないやないかいな。

おいしい!
そうか。

ほんで 名前 決まったんかいな?
赤ちゃんの。

はい。 「仁」っていう名前に
しようと思って…。
「ひとし」?

あの~ 人偏に
一 二 三の「二」って書く…。

あ~ 仁徳天皇の「仁」かいな?
はい。

雄は
英雄の「雄」だったんですよね。

…で 今度は 人を愛し 慈しみ

思いやりのある子どもにしようと
思って…。

「仁」っていう字には
そういう意味があるんだそうです。

ほう~。 そうかいな。

仁ちゃん!
なっ ええ子になるやろう。

ハハハハ! よかった よかった!

おしんにとって ささやかだが
幸せな日々が訪れようとしていた。

…が その幸せに
忍び寄ろうとしている影があった。

(ふじ)ただいま 帰りました。
(ひさ)あっ お帰り!

(雄)お帰りなさい!

とんだ 勝手致しまして…。
(ひさ)いいえ!

(ひさ)お母さん?
おばあちゃん 大丈夫?

うちにばかり いるもんですから
たまに出ると 疲れが出て…。

具合が悪いのと違いますか?
お母さん…。

どうも ご面倒 おかけ致しまして。
それで 診断の方は?

検査の結果が出んと

はっきりした事は
言えんそうだが

やっぱり
私の心配したとおりらしい。

白血病っていってな 難しい
血液の病気じゃないかって…。

もし その病気なら
薬も治療の方法もないんだ。

先生…。

ホントに どうする事も
できないんですか?

あの… もし
少しでも よくなるんだったら

どんな事でも!

女房には
誰よりも大事な母親なんです!

白血病なら 今の医学では…。

おばあちゃん 大丈夫?
うん…。

お父さん
おばあちゃん しんどいんだって。

病気じゃないかな。

いや~
病気なんかやなかぞ!

お母さん 今 先生から
伺ってきました。

やっぱり たまっとった疲れの
出たという事ですたい。

ほんてん 意気地のない事で…。

ろくに働きもしねえで
疲れが出るなんて…。

あ~ お母さん 今日は
もう寝とられた方が…。

すぐ 床ば敷きますけん。
とんでもねえ。

夕飯の支度もしねえで
お内儀さんに申し訳ねえっす。

いや~ おたいの事やったら
気ぃ遣わんといて下さいな。

おたいが おらんやって
若い衆だけで 何とでもなります。

代わりの人も ちゃんと
頼んできましたよってんな。

オレがついてて 申し訳ねえっす。

母ちゃんったら なにも 山形から
知り合い 出てきたからって

無理して 出かける事ないのに…。

その疲れだけやなか。

長い間の疲れの
出たとやっけんない。

ねえ 一度 お医者さんに

診てもらった方が
いいんじゃないの?

どっか 体が悪くて…。
ああ… うん。

お母さんに話してみよう。

だって 仁が生まれて

あんなに
喜んでくれてるんだもん。

これから楽して
幸せにさせてあげたい。

いつまでも 元気でいてほしい。

♬~

その日から ふじは 二度と
床を離れられなくなっていた。

検査の結果は やはり
白血病という診断であった。

…が
それは 竜三にだけ知らされ

ほかには
誰の耳にも入れられなかった。

やがて 産後の肥立ちも順調だった
おしんは 無事に床を上げた。

その間
ひさが 田倉家に泊まり込んで

おしんや雄 仁の面倒から
ふじの看病まで

至れり尽くせりで見てくれていた。

分かったな。

ホントに 長い間
ありがとうございました。

なあ お母さん
大事にしてあげてや。 なっ。

なっ。
はい。

はい おっきして…。

んだが… お内儀さん
お帰りになったのか?

うん。
オレが こだな ざまになって

みんなに
やっかい かけてしまって…。

はい 薬 のんで。

今日からは オレ 働けるから

母ちゃんも
ゆっくり 養生したらええ。

おしん…。
うん?

オレは もう駄目だ。

また そんな事…。

母ちゃんが治す気にならないと
治るものも 治らねえんだよ。

はい! 駄目だ
そんな事ばかり 言ってたら!

寝て。 よいしょ。

山形は もう 雪 深いんだべな…。

母ちゃん。

帰りたい…。 もう一遍 帰りたい。

オレ… 死ぬんなら
あのうちで死にてえ。

そうだろうな。

やっぱり お母さんには
懐かしか うちたいね。

まあ 早く 元気になってもらって
一度 山形に帰してやらなきゃ。

おしん… もう 無理ばい。

今まで お前の体を心配して
黙っとったとやが

お母さんの病気は
もう 治らんてたい。

あと どのぐらい もつか…。

とにかく
もう 山形へは帰れんとよ。

2人で 大事に みとってやるのが
最後の親孝行さい。

どがん事があっても お母さんには
言うちゃならんと…。

2人で明るか顔ばして…。 うん…。

それが
せめてもの はなむけたい。

嘘でしょ?

♬~

う… 嘘だって言って。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)はい 食べよう。

母ちゃん 酒田のお加代様から
便り あってな

お加代様も 男の子だったって。

(ふじ)んだが。 いがったな~。

「希望」っていう名前を
お付けになったそうだ。

「希望」って書いて
「のぞみ」って読むんだと。

お加代様らしい名前を
お付けになって…。

いつか 酒田に行って

希望坊ちゃまに
お会いできる日も あるべよ。

そん時は 母ちゃんも
一緒に行くんだぞ。

母ちゃんだって
酒田 懐かしいべ?

なあ! 早く 元気になって

雄や仁も一緒に連れて 行こう!

オレは その時までは
生きていられねえべ…。

母ちゃん。

体に 力 入んねえし

働けねえのに
生きてても しょうがねえ…。

そんな事…。

母ちゃん 元気になって
山形に帰るんだぞ!

必ず 帰れるようになるんだぞ!

諦めてる。 足も立たれねえしな…。

帰りたくねえの?

帰りたい!

死ぬんなら あのうちで死にてえ。

17で 嫁に来て

そのあと
ず~っと暮らしたうちだ。

お前ら 産んで 育てて

ばんちゃん お父っつぁんや

はるが死んだのも あのうちだ。

母ちゃん。

死ぬんなら あのうちで…。

ばんちゃんや
お父っつぁんのそばで…。

母ちゃん…。

オレ
母ちゃん 山形 連れて帰るわ…。

母ちゃんの事 おぶってでも…

オレ 連れて帰ってやる。

母ちゃんが 一番 好きな所で

養生したらええ!

何 バカな事 言ってるんだ…。

お前には 竜三さんや

雄や仁がいるんでねえが…。

山形など行ける道理が ねえべ。

母ちゃんはな 目 つぶったら…

山形の山や川や
あのうちが見えるんだ。

それでええって…。

それでええ…。

♬~

はい いきます。
(竜三)お~ すまん。

今日 母ちゃんに エビのすり身の
だんご 食べさせてやりたいの。

あ~ そがん言うとったけん
シラタエビ 取っといたたい。

すいません。

おしん。 お母さんの事は
精いっぱいしてやらんば

後で悔やんだって
どうにもならんとやっけんね。

あんた…。

私 母ちゃんを
山形に連れて帰ってやりたいの。

何ば言いよっとか…。

あの体で 旅ができる道理んなか。
だから 私が おぶって!

おしん
母ちゃん 山形に帰りたいのよ。

私 母ちゃんの気持ち
よく分かるから…。

山形へ連れて帰って
どうなるって言うとか!

オイでん 故郷へ帰りたい
お母さんの気持ちが

分からん訳ではなか。 しかし
お母さんは 庄治兄さん夫婦に

やっかい払いされて
ここへ来たとやなかか。

今 帰ったら
邪魔にされるだけたい。

お母さん 気の毒やなかか?
うん?

(雄)おばあちゃん
苦しかったら 言うんだよ。

ああ…。 雄ば見てると

雄の母ちゃんの
ちっちゃい頃 思い出す。

雄の母ちゃんもな
ばんちゃんや弟や妹の面倒

よ~ぐ見てくれた。
ええおぼこだったぞ…。

母ちゃんは
私の事 大事にしてくれた…。

いつも 私の事 かばってくれた…。

私のために 父ちゃんや兄ちゃんに
ひどい目に遭って…。

東京へ出てこれたんだって
母ちゃんのおかげだ…。

あん時 母ちゃんが
守ってくれなかったら

私は 今頃 山形の座敷女中に
売り飛ばされてた…。

あんたと巡り合えて

こうやって
幸せに暮らせてるのも

母ちゃんのおかげなんだ…。

なのに
私 何にもしてやれなくて

心配ばっかり かけて…。

やっと してやれると思ったら…。

今の私に してやれる事は…

せめて
母ちゃんを 山形のうちで…。

それしかないのよ。

そこまで 思い詰めてるとか…。

仁 預かってくれる人いたら…。

お願いします!

分かった。 オイも探してみよう。
注文ば取りに行く先で

乳ば もらえる人を
探してみっけん。

あんた…。

おしんには
随分 つらか思いばさせた。

せめて 1つぐらい
お前の役に立ってやらんば…。

罪滅ぼしたい。

そんない
一日も早い方がよかない。

いや しかし お前が お母さんば
背負って 山形まで行くてん…。

大丈夫!

私 ちっちゃい時から
子守奉公して

赤ん坊 背中に
大きくなった おしんだから

鍛え方が違うんだ…。

母ちゃん 背負うぐらい…。

おしん…。

ありがとう あんた…。

うん!

♬~

≪(ひさ)おしんちゃん!
おたいや!

もらい乳できる人を
探しとるんやてか?

それやったらな
ちょうど うちの村に

仁ちゃんが生まれた頃に
子を産んだ人が おってな

ようけ お乳が出るんやて。
…で 仁ちゃんに

飲ませてあげてもええ
言うてくれとるんや。 あら~。

ただな 預かってまでは
くれんよってにな。

その方は おたいが引き受ける事に
して…。
お内儀さん。

いや~ おたいやて あんた
3人 男の子 育ててるんやで。

赤ん坊の世話やったら
誰にも負けへんで!

孫ができたつもりで!
なっ おたいに任せとき!

そんな事まで お内儀さんに…。

いや~ おたいはな
おしんちゃんが

お母さんを
山形へ連れて帰りたいっていう

その気持ちが うれしかったんや。

そんな事 聞いたら
あんた 知らん顔できるかいな!

「親孝行したい時に
親は なし」って…。

おたいもな 嫁に来て すぐに
母親に死なれてしもうてな。

心残りな事ばっかりやった…。

というてな
「墓に 布団は掛けられず」や。

けど あんたは 間に合う!

なっ 今のうちに 思い残す事の
ないように! なっ!

お内儀さん…。
なっ。

いつも お世話さまです。

お母さんの山形の事は
お話ししたとか?

(医師)聞いたよ。 どうしてもって
言うなら 止めはしない。

ただ だいぶ 心臓も弱っている。

山形といえば 長旅だ。
耐えられるかどうか…。

残念だ 私には
何にもしてあげられなくて…。

いいえ。 先生に診て頂いて
母は どんなに慰められましたか。

本当に
長い間 ありがとうございました。

明日 山形へ連れてまいります。

どうも…。

♬~

じゃあ 仁の事
よろしく お願い致します。

はい。 しっかり
預かってますよってにな

安心して 看病してきない。

おばあちゃん。 なっ ようなったら
また 伊勢へ戻ってきなさいや!

待ってますよってにな!

(雄)おばあちゃん
早く帰ってきてね!

(竜三)じゃあ そろそろ…。

雄 頼むな!

♬~

昭和4年の暮れも近づいた
冬の日ざしの中を

ふじは 1年近くを過ごした伊勢を
去っていった。

(雄)おばあちゃん!

♬~
(テーマ音楽)

♬~

伊勢から山形まで
病人を連れての旅は 遠かった。

おしんは しっかりと 母の体を
自分の背中に縛って歩いた。

…が 母は軽かった。

その母の軽さが おしんには
はかなく 悲しかった。

(おしん)とうとう 帰ってきたな
母ちゃん。

(ふじ)雪だ…。

ああ。 懐かしいな。

これからが 大変だべ。

兄ちゃんに 汽車の着く時間
手紙で知らせてあるから

兄ちゃん 迎えに来てくれるまで
もう少し 待ってけろ。

みんなに やっかい かけて…。

何 言ってるんだ。

母ちゃんが 今まで オレたちに
してくれた事 考えたら

何やったって
返しきれるもんではねえ。

大きな顔して
甘えてればええんだ。

…が どんな手違いがあったのか

いくら待っても
庄治は 迎えには来なかった。

母ちゃん 行くべ。
兄ちゃんも 忙しいんだべ。

おしん…。

雪 深いっていっても
ここまで来たら

自分のうちの庭みたいなもんだ。
雪道は 慣れてるから。

悪いな…。

よっ! 母ちゃん おんぶしてると
あったけえ。

雪なんか 何でもねえ。

♬~

母ちゃん… うちだ!

ほら 母ちゃんのうちだよ!

♬~

早く 布団 敷いてけろ。
母ちゃん 寝かせるから!

(庄治)何だ?
連れて帰ってきたのが!?

ちゃんと 挨拶もしねえで
勝手なまね するな!

さっさと 敷いてけろ!

じゃあ オレの好きなように
させてもらうからな!

おしん

母ちゃん 下ろすの
手伝ってけろ。

長旅で 母ちゃん 疲れてるんだ。
かわいそうに…。

ええか?

なして 連れて帰ってきたんだ?
こだな病人ば むちゃでねえが!

「やめろ」って
ちゃんと 返事 出したんだぞ!

都合のええ時ばっかり
おふくろを こき使って

役に立たなくなったら
返してよこすのか?

誰だって 病人 抱え込むのは
やんだからな。

よくも そんな事!
オレはな…!

やめてけろ おしん…。

ああ。 母ちゃん。

母ちゃんの看病は
オレが するからな。

誰の世話にも なんねえ。

向こうのうち
きれいに片づけて

2人で暮らせるように
するから

ちょっと待っててけろ
ここでな。

兄ちゃん
向こう 片づけてけろ。

あんな ガラクタ 放り込まれたんでは
暮らせねえから!

姉さん 掃除してけらっしゃい!

んでねえと 母ちゃんも私も
ここで暮らす事になるよ。

おしん

母ちゃんさえ
よかったら

ここで暮らしても
ええんだぞ。

いつまで ぶっ座って
飯 食ってるんだ!?

さっさと
あっちのうちば掃除しろ!

こっちで寝込まれたんでは
迷惑だ!

(庄治)まだ 片づかねえのか?
(とら)ひょっこり 帰ってきて

人ば 顎で使って おしんさんも
大した女子になったもんだな!

あいや~ 囲炉裏の火ば
あだい いっぱい くべて!

もったいないったら!
やっと 所帯が1つになって

やれやれと思ったら
また こっちば開けたら

何もかも 二重に かかっべよ!

これじゃ
とっても やっていかんがな!

母ちゃん 待たせたな。

向こうのうち
きれいに片づいたぞ。

汁も お粥も
こさえてある。

さあ 行こう。 よいしょ。

おう…。

よいしょ。

どこが悪いんだ?
あっだい軽くなってしまって…。

悪い病気では ねえのか?

何にもしてもらおうと思ってねえ。

ただ 兄ちゃん

母ちゃんに優しくしてやってけろ。

母ちゃん… 兄ちゃんに
抱いて運んでもらって

うれしそうだった。

(戸の開閉音)

母ちゃん オレな

ちっちゃい時から
銭 もうけれるようになったら

ばんちゃんや母ちゃんに

白い飯 腹いっぱい
食わせてやりたいと思った。

それで 奉公にも行ったし
今まで働いてもきた。

…で 母ちゃんに 白い飯

腹いっぱい
食わせてやれるようになったら

母ちゃん 食えなくなったな…。

母ちゃんはな

おしんが 食わせてくれるように
なっただけで

母ちゃんは…
もう 思い残す事ねえ。

ここさも
連れて帰ってもらったし…。

母ちゃん。

母ちゃん…
ここが 一番 落ち着く。

独りで暮らしてる時も
ちっとも寂しくながった。

いつでも
お父っつぁん ここさ いて

ばんちゃん そこさ いて…

庄治 はる みつ こう 正助も

みんな にぎやかに座ってるんだ。

おしんも おぼこでよ…。

なしてだか いつでも
みんな そろってるんだ。

その 一人一人と
母ちゃん 話 するんだ。

母ちゃん
あんまり しゃべると疲れる。

今でも見えるんだ
母ちゃんには…。

みんなが… みんなが見えるんだ。

ここさ いると
いつでも みんなと一緒なんだ。

♬~

おしん…。

帰ってきて いがった…。
ほんてん いがった…。

♬~

≪(りき)おふじさん!

帰ってきたんだって?

おりきさん。
(りき)おしんちゃん!

一緒に帰ってきたんだ。
どうしたんだ?

どこか 悪いのか?
大した事は ないんだよ。

それなら ええけんど…。
雪か?

ああ。 また だいぶ降ってきた。

おしん…。
うん?

雪 見てえな…。
戸 開けたら 寒いぞ。

ちょっとで ええから…。

おりきさん…。
うん? 頼みます。

(りき)うん。
ほら ええが? ほれ!

すいません。

よいしょ。

あ~ すいません。

きれいだな…。

おしん…。 雪…

ほんてん きれいだな…。

母ちゃん! 母ちゃん!
母ちゃん! 母ちゃん!

母ちゃん! 母ちゃん!
母ちゃん! 母ちゃん!

母ちゃん! 母ちゃん!
母ちゃん!

♬~

♬~
(テーマ音楽)

♬~

せめて 最後の親孝行にと

おしん
母を山形へ連れて帰った翌日

ふじは 懐かしい家へ帰れた事を
喜びながら

眠るように この世を去った。

母のいない故郷の家は

おしんにとって
もう 縁のない家であった。

おしんは 祖母や両親の思い出が
染みついた家に

最後の別れを告げて
一人 故郷を去ろうとしていた。

(おしん)ばんちゃん…。

父ちゃん…。

母ちゃん…。

♬~

母を失い 故郷に決別してきた
おしんには

悲しい 帰りの旅であった。

(雄)いくよ!

(雄)お帰りなさい!

雄 ただいま!
お利口に 留守番してた?

うん! 仁は?
寝てる。

うん そうか そうか!

(雄)おばちゃん
母ちゃん 帰ってきた!

(ひさ)あ~ 早かったな!
留守中 いろいろ…。

そんな挨拶なんか ええから
早う 仁ちゃん 抱いてやりない。

なっ あんたがな 今日 帰るって
聞いたよってんな

すぐに 連れて帰ってきたんや。

ほれ! 仁ちゃん
お母ちゃんやで!

あ~ よかったな!

やっぱり お母ちゃんが
一番ええわな!

お内儀さんのおかげで

母を
山形へ連れて帰る事ができて…。

ようしてあげたな。
お母さんも 満足しなさったやろ。

もう少し 生きててくれたら…。

これから 少しは楽させてやろうと
思ったやさきに…。

お母さんはな
あんたの幸せを見届けて

孫2人の顔も見て
死にはったんや。 なっ。

これ以上の親孝行は
あらへんて…。

あんたも 力 落とさんようにな!

(竜三)お~ 帰ってきたとか!

駅まで
迎えに行ってやりたかったが

配達があったけんない。

あんた…。

うん…。 大変だったな。

しかし お前は
十分な事したとやっけん。 うん?

ほら 母親が泣いたりしたら
雄が心配するぞ!

ほら! うん? ハハハハ!

急だったんだな…。

「雪が見たい」って言ってね…。

母ちゃんも やっぱり
雪国の女だったのよね…。

野辺の送りには みんな
呼んでやりたかったんだけども

死んでしまった者の顔 見せたって
しょうがないって…。

無駄な物入りだって
兄ちゃん 反対して…。

「兄弟は 他人の始まりだ」って
言うけど 本当だ…。

私には もう ふるさとは
無くなってしまった…。

二度と 山形に帰る事はないわ。

あんたと雄と仁と…

親子4人が暮らせる所が
私には ふるさとだ。

なあ おしん
お兄さんの事を恨んではならん。

今は 不景気で 失業者が
30万人も出とるという…。

お兄さんでん
苦しゅうは なかったら

もっと優しい気持ちにも
なれたとやろう…。

銭のなかとは 人の気持ちまで
ゆがめてしまうもんさい。

うちでん 年末っていうとに

今年は 付けば払うてもらえん
うちが増えとう…。

まあ 店では
現金売りば しとっとやけん

なんとか持ちこたえられるが

お客に 銭が無くなったら
魚は売れん。

すいませんでした…。

こんな時に 母の医者や薬代や
山形に帰る旅費まで…。

そがん事は よかよ。
世話になった お母さんたい。

借金したって できるだけの事
してあげるのが 娘の務めさい。

ただ 来年は もう少し ふんどしば
締め直して かからんとな。

雄や仁には
私が 子どもの頃したような

つらい思いだけは
させたくない…。

私 一生懸命 働くわ。

不景気の時は 安い魚を仕入れて

どんどん
安く売ればいいんでしょう。

もうけが薄くたって
量でこなせば いいんだから。

仕入れも手伝う。

前みたいに 売りにも行く。
掛け売りは やめて

現金売りだけにして
そのかわり 安くして…。

おしん。 オイは
心構えを言いよっだけたい。

私には もう あんたと雄と仁しか
いないのよ…。

二度と 親子4人 離れ離れに
暮らさないためだったら

どんな事だってする。
頑張るから!

ただね 山形に帰った時
おりきさんに会って…。

酒田の加賀屋が危ないって噂が
あるんだって…。

それは この不景気と
何か 関係があるのかしら?

う~ん…。
まあ 加賀屋ほどの大店には

大した影響は なかろう。
そうよね。

町の小さな魚屋とは 訳が違うさ!
ハハハハ!

町の小さな魚屋で よかった…。

夫婦が 力 合わせて 働いて

毎日毎日 ちゃんと食べれたら

こんな幸せな事ないもん!

お前は 欲のなか女子たいね。

私 ぜいたくしたいなんて
思った事ない。

今の暮らしが このまま ず~っと
続いてくれたら それで…。

♬~

昭和5年が明け
世界的な不況の中で

日本も 厳しいデフレの時代を
迎えようとしていた。

…が おしんには まだ
平和な日々が続いていた。

ぜいたくは できなくても

親子4人が 肩を寄せ合って
生きていけるという事だけで

おしんには 十分に幸せであった。

行ってらっしゃい!

今日は アジが安かったけん
多めに買うてきたたい。

あっ そうですか。
余ったら 干物にすればよかし…。

ねえ 私が頼んだものは?

タイは高くて バカバカしかけん
やめたとよ。

何だ~。 せっかく かす漬けにして
佐賀へ送ろうと思ったのに…。

なら 急ぐ事はなか!

だって
佐賀の お父さんも お母さんも

うちで作った魚 送るの とっても
楽しみにしていらっしゃるのよ。

また 安くなったら
買うてきてやったい。

もう! そんな事に ケチケチして!

お元気なうちに 少しでも
私たちができる事しとかないと

後悔したって 遅いんですからね!
は~い。

頂きます!

あ~ そうだ! あの…
お加代様から 手紙が来たの。

うん。 母ちゃんの好きなもの
お供えして下さいって

10円も 為替 入ってた!
あっ そりゃ 悪かね!

でも 知らせない訳にも
いかないでしょ。

だけど 安心した。
希望坊ちゃまも お元気そうだし。

お加代様ったらね
希望坊ちゃまの事ばっかり

書いておいでになるの!
よっぽど うれしいのね!

あの お加代さんがね…。
とても おとなしく

母親におさまる女子とは
思えんやったがね…。

でも これから お加代様も
幸せにおなりになるのね。

随分 回り道なさったけど…。

あれから 10年以上も
たったとやけんね。 うん。

でも これで
やっと 加賀屋も安泰ね。

うん。

その年の春 雄が小学校の1年生を
無事 修了した日の事であった。

ただいま! お帰り!
お~ お帰り!

通信簿 もらった!
あら~ どれどれ。 うん?

あんた ちょっと これ!
あ~ どれどれ!

お~!
3学期も 全部 甲やなかか!

偉かったね!
うちで 何にも教えないのに…。

勉強は 学校だけでするもんたい。
うちで なまじ 勉強すっと

学校の勉強が
おろそかになっけんね。

ねえ 雄。
雄は 一生懸命 勉強して

中学校に行って
高等学校も行って

帝国大学へも行くんだぞ!
母ちゃん 雄が勉強して

大学卒業するまで
一生懸命 頑張るからな!

何ば言いよっとか! おい!

まだ 小学校の1年生ば やっと
終えたばかりの子に そがん事ば!

だって 私 勉強したくたって
小学校も行けなかったんだもん。

雄にだけは 好きなだけ
勉強させてやりたいの!

体さえ丈夫なら それでよか!
ほれ! 遊んでこい!

うん!

行ってらっしゃい。
よし!

気ぃ付けてな!
(雄)うん! おう!

お前も 相当な親バカたいね。

今から それじゃ
先が思いやられるばい!

(配達夫)田倉さん!
はいはい!

郵便です!
あっ すみません。

(竜三)どうも!
どうも!

あら? あんた お加代様に出した
手紙 返ってきた。 変ね。

住所 間違えたとやなかか?

だって いつも
これで 着いてたのよ。

あんた… あんた!

加賀屋の若旦那様が
自殺なさったって!

おりきさんから!
若旦那って 加代さんのか?

「よく分からないけど
一応 知らせる」って…。

ねえ だから あの手紙
返ってきたんだろうか?

そがんバカな!

もし 加代さんの若旦那の自殺が
本当だとしたって

まさか 加賀屋が潰れるって訳じゃ
あるまいし…。

あんた…。 加賀屋に
何かあったのかもしれない。

いや~ それなら 加代さんからも
何か言ってくるはずたい。

加代さんからの知らせを
待つよりほかなか!

おしんの胸に
不吉な予感が広がっていった。

加代の夫の自殺が 加賀屋の運命を
暗示しているようで

おしんには 恐ろしかった。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(おしん)あんた
電話も通じないのよ。

郵便局の人の話だとね
加賀屋の電話番号の電話は

今 使われてないって言うの。
(竜三)うん?

もう… 事情 確かめたくたって
手紙は着かないし

電話も駄目じゃ
どうしようもないわ…。

酒田へ行ってみっか?
いや… ほかの事やなか。

旦那が亡くなったと分かってて
知らん顔は できんばい。

そりゃ 行けるんだったら
飛んでいきたいけど…。

そりゃ オイたちが行ったところで
何にもできんかもしれん。

しかし せめて 慰めたり
励ましたりするだけでも…。

金なら工面する。 神山の
お内儀さんに 訳ば話して。 なっ。

すみません… あんた。

ホントに あんたに
迷惑ばっかり かけて…。
いや~。

でも 仁の事だってあるでしょう。

いや 仁は もう みつき過ぎて
首も据わった。

連れてってもよかろう。

オイでん 加代さんとは
おしんと知り合う前からの

つきあいたい。
いや… 加代さんのおかげで

おしんと知り合えたと
言うてもよか。

お互いに 縁の深か人やなかか。

あんた ありがとう。

うん。 そうと決まったら

早速 神山のお内儀さんに
話してみっけん。

そんなら 早い方がよかよ。

≪田倉さん!
はい! あっ いらっしゃいませ!

今日は 何 差し上げましょうか?
魚 もらいに来たんと違うんや。

今な うちへ 神山さんいう人から
電話があってな。

おしんさんに 急用があるよって
家の方へ来るように

言づけてくれって。
すみません わざわざ…。

取り次ぐぐらい お安い御用や。
ほんなら…。

どうも!
何だろう? 急用って。

いや~ お内儀さんが
呼びつけるなんて

めったに なかこったい。
すぐ行った方がよか。 はい。

ついでにな 酒田行きの事も話して
旅費の事も…。 うん。

近いうちに 付けの たまったの
払ってくれるという所もあっけん。

なっ すぐ返すて言うて…。
はい。

あんた じゃあ 雄と仁の事

すいませんけど お願いします。
あ~ 分かった。

♬~

う~ん!

♬~

(ひさ)おしんちゃん…。
あっ!

まあ 急に呼びつけたりして
悪かったな。

あ~ 久しぶりなもんで
海が懐かしくて…。

あれ? 仁ちゃん
今日 連れてこなんだ?

寝てたもんですから
置いてきました。 そうか。

あの~ 急用って?
うん…。

あのな 風来坊が
また やって来よってな

おしんちゃんに
どうしても会いたい 言うねん。

浩太さんが? ああ…。
ホンマに あんたも迷惑な事やな。

いや…。 どうぞ 入って。
はい。

あっ すいません。

他人の幸せのために
働いとるやなんて

偉そうな事 言うて!

親 泣かす事ばっかりしてからに
何が 人のためや!

ええか?
人の幸せを考える前にやで

親や周りの者を幸せにするのが
先と違うか?

あんた
ホンマに 性根 入れ替えない!

(浩太)これだもん。

いや おしんさんの店が出来たって
聞いてね

店の方へ行ってみようかなと
思ったんだけど

もしもの時に 迷惑かかったら
いけないと思って 諦めた。

当たり前や!

警察に追われとる者が
この人の所で捕まったりしたら

それこそ おしんちゃんの店の信用
丸潰れやがな!

だから
来てもらったんじゃないですか。

実は… 加代さんの事でね。

まあ 積もる話もあるやろう。

おたいな ちょっと 寄り合いが
あるよってに出かけてくるけど

おしんちゃん すまんな。
話 聞いてやって。 なっ。

お母さん 亡くなったんだって?

はい。
何だか 苦労ばっかりの一生で…。

小作制度が無くならない限り

日本の農民は 働いても働いても
楽になんか なりゃしないよ。

しかし 特高警察が出来てから

我々に対する弾圧が
厳しくなってね

なかなか 思うようにいかないよ。

おしんさん 幸せそうで
何よりだよ。

はい。 母に比べたら
どんなに恵まれてるか…。

たとえ その日暮らしでも
親子4人

一つ屋根の下で 飢え死にしないで
済んでるんです。

みんな 浩太さんのおかげです。
いや それは 違うよ。

そりゃ おしんさんの
辛抱と頑張りで 店も持てたし

家族そろって
暮らせるようになった。

あの~ お加代様の事って 何か?

うん。 おしんさん
加代さんの消息 知りませんか?

いいえ。

いや…
実は 加賀屋の若旦那様が

自殺なさったって
ある人から聞いたんです。

それが 本当かどうか
今 確かめようがなくて…。

じゃあ やっぱり 連絡ないのか。

いや ひょっとしたらね
加代さんが おしんさん 頼って

伊勢へ来てるんじゃないかと
思って 来てみたんだけど…。

いや… お加代様は だって
加賀屋に おいででしょう?

じゃあ 加賀屋が潰れたのも
知らないの? おしんさん。

つぶ… 潰れたって
加賀屋が どうして!?

ずっと 東北地方に行っててね
3日前 酒田へ行ったんだよ。

そしたら 町じゅう
加賀屋の噂で持ちきりで

驚いて 飛んでいった。

そしたら 店も何もかも
差し押さえられててね。

家族も使用人も いなかった…。
加賀屋の皆様は どちらへ?

それが 誰も…。

夜逃げ同然だったらしいよ…。

まあ もう少し早く
酒田へ入れてたら

加代さんにも会えて
事情も聞けただろうし

多少なりとも 力に
なってあげれたと思うんだけど…。

若旦那様の自殺は
やはり 店の事が原因ですか?

うん…。 これも 人から
聞いた話でしかないんだが

商品相場に 手 出しててね
それが この3月 大暴落した。

店や家屋敷 抵当に入れて
やりくりしてたんだが

支えきれなくなったらしい。
その責任を感じての自殺だそうだ。

そうなったら
何もかも 後の祭りでね。

加賀屋の身代だって
ひとたまりも ありゃしない。

どうして 商品相場なんかに…。

まともに 加賀屋の商い
なさってたら そんな事には!

いや… 分かる気がするんだよね
男として。

ご主人 婿養子だ。

婿養子のまま
加賀屋を守っていくだけじゃ

加代さんにも ご両親にも
世間に対しても 頭が上がらない。

自分の腕で 大きな勝負に出て
養子だって バカにする連中の

鼻 あかしてやりたかったんじゃ
ないのかな。

自分の腕と才覚で 加賀屋の身代を
2倍にも 3倍にもして…。

長い間 お加代様とは

うまくいっておいででは
ありませんでした。

だから なおの事…。

でも 希望坊ちゃま
お生まれになって 私…

これで やっと 夫婦円満
なられると思っておりましたのに。

それだけに
焦ったんじゃないかな。

とにかく 今は 加代さんの行方
捜すのが 先決だ。

僕も 加代さんに 責任あるしね。

浩太さん…。

あん時…
お加代様が祝言なさる前に

浩太さんの事
私 お加代様に話していたら…。

おしんさん。

浩太さんが 東京の お加代様の
部屋に戻られた事を

私は とうとう
お加代様に話しませんでした。

それが お加代様を こんな事に…。
バカ 言うんじゃないよ。

若旦那様を
婿に お取りにならなかったら

お加代様には また 別の人生が
あったはずなんです。

私 お加代様を裏切るような事
してしまったから…。

運命だよ。
運命としか言いようがないよ。

僕が 加代さんに会ったのも
僕が おしんさんに会ったのも。

私が お加代様の人生を
狂わせてしまいました。

おしんさん!

加代さんは おしんさんのとこに
連絡してくると思う。

その時は
おしんさん 加代さんを頼む。

はい。

僕も もちろん
心当たり 捜してみる。

心当たり おありですか?

もし… もし 困ってたら
何としても 力になってあげたい。

それが 僕にできる
せめてもの償いだ。

♬~

(雄)お帰りなさい!
雄 ありがとう。

すいませんでした あんた。
夕方の お店までには

帰るつもりだったのに…。
大変だったでしょ? 1人で。

いや~ 雄が
結構 手伝ってくれたけん。

おしんに似たとやろかね。
なかなかの働き者たい!

今から これない きっと
よか魚屋になるぞ 雄は!

ない! ハハハハ!

あっ 何やったと?
お内儀さんの話は。

あっ 今 夕飯の支度
すぐしますから。

おしん。 酒田行きの事は
お内儀さんに話したとか?

酒田には 行かなくても
よくなったの。

もう 誰もいないの 酒田には。

おしん
毎日 加代からの便りを待った。

…が 加代からも浩太からも
何の知らせもないままに

昭和6年の春が巡ってきていた。

(客)ホンマに! 海のそばに いたかて
なかなかな~!

はい 1切れでも2切れでも
お切り致しますから!

どうも お待たせしました!
ありがとうございました!

♬~

加代さんが見つかった。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

昭和5年 春 加代の夫が自殺し
酒田の加賀屋が倒産した。

それから1年 加代たちの行方も
分からぬまま

半ば諦めかけていた おしんの前に
ひょっこり 浩太が現れた。

(浩太)加代さんの住所と
100円 入ってる。

このお金で 加代さん
訪ねてあげてほしいんだ。

本当なら 僕が
行かなきゃいけないんだけど

どうしても
九州 行く用事があって…。

おしんさんよりほかに
頼める人 いないんだよ。

(おしん)はい すぐ参ります。

でも よく お加代様の事が…。

東京 行く度に捜したよ。

女性が簡単に働ける所って
東京しかないからね。

それに
加代さん 前 カフェで働いてたし…。

いろんなツテで
いろんなとこ 捜したよ。

じゃあ やっぱり 東京に?

希望坊ちゃまや ご家族も
ご一緒に?

いや 僕は まだ会ってないんだ。
おしんさん 頼む。

加代さんだって 僕に会えるより

おしんさんに会える方が
うれしいに違いないんだ。

はい。 なるべく早く…。

よかった。 じゃあ 僕は これで。
汽車の時間 あるから。

浩太さん!

お加代様の お言づけ

確かに お預かり致しました。

(竜三)そりゃ 明日にでも
すぐ行ってあげなさい。

この100円は このまんま
加代さんに渡してあげなさい。

高倉さんの気持ちやっけん。
お前の旅費くらいは オイが…。

うん?
あんた…。

しかし 東京で どがん暮らしば
しとんさっとか…。

浩太さんも お会いになった訳じゃ
ないんですって。

ただ 住所を
渡されただけなんだけども…。

いや~ オイは
震災前の東京しか知らんが

あのころ この住所の辺りは
ひどかとこやった…。

いや~ いかがわしい店が
ひしめき合うて

店の女子は
体ば売るっちゅう噂やったたい。

いや~ 昔の話たい。

今は 震災で 全部
焼けてしもうたと言うけん

まあ どがんなっとか…。

お加代様が そんな事…。 いくら
暮らしに困られたからって

お加代様が そんな事
なさるはずがないでしょう!

おしん。 オイでんが
嫌な想像は しとうはなか。

しかし
加代さんに 会いに行くとない

それ相応の覚悟ば
しといた方がよか。

浩太さんが こがん大金ば
言づけんさったとも

恐らくは 加代さんの暮らしぶりば
知っとんさっけん…。

なまはんかな気持ちで行くとない
行かん方がよかよ。

♬~

翌日 おしんは 東京へ たった。

竜三の言葉が
おしんの胸に重かったが

それが 杞憂であってくれと
願いながら

早朝の東京駅へ着いた。

何年ぶりかの東京で おしん
まず訪ねたい所があった。

おはようございます!
≪(たか)誰だい?

お師匠さん! おしんです!

おしん! 本当に おしんだ!

お久しぶりでございます。

すっかり 新しくなって…。

震災後に建てたの
バラックだったろう。

ほかの店は
どんどん 建て直してんのにさ

うちだけ そのままっていう訳にも
いかないじゃないか。

近頃のお客は 髪結いの腕よりも
店の造りで値踏みするんだからね。

まあ 洋髪じゃ 髪結いの腕なんて
大して変わりはないけどさ。

おかげで 無理したよ。
みんな 借金なんだ。

内弟子さんは?

そんなの 昔の話だよ。
今は 髪結いの学校があって

そこを卒業すれば
一人前なんだとさ!

うちにもね そんな娘が
2人ほど 通いに来てるけどさ

まあ 大きな顔して 店の仕事以外
縦の物 横にもしやしない。

ろくな腕もないくせして。

こんな事 言ってるから
嫌われるんだよね。

これも ご時世だよ。

すいません。

でも 夢のようですね。

私が こちらに
ご奉公してた頃の事を思うと…。

おしんが うちに来てくれたのは
16だったもんね…。

あれから 15年か。
いろんな事があったよね…。

世の中 変わるはずだよ。

日本髪が こう 廃れちまっちゃ

いっそ 髪結い 辞めちまおうと
思った事もあったけどさ

ほかに 食べる手だてもないしね。

まあ こんなような事に
なってるんだ。

はいよ。
すいません。

おしん。 あんた
本当に 何でもないんだろうね?

だって おしんが うちに来る時は
必ず 何かあるんだから…。

そうですね!

でも 魚屋も 親子4人
食べるぐらいは なんとか…。

あの人も 真面目に
働いてくれてますし…。

雄も おかげさまで
今度 小学校3年になります。

そうかい。 そりゃ よかった!
時々 手紙でね 安心はしてたけど。

あっ これ うちで作った
干物と かす漬けと 佃煮も。

みんな 商売物で…。
あ~ 悪いね。

いつも送ってくれる かす漬け
重宝してんだよ。

ご恩になったのに
こんな事しか できませんで…。

何 言ってんだい。 師匠らしい事も
してやれなかったのに

いつまでも 心にかけてくれて…。

おしんだけだい…。

それで
今度は 東京に 何の用だい?

お師匠さん
私 前に 酒田の加賀屋っていう

米問屋の話 した事
ありましたよね。

ああ。 うちに奉公に来る前に
勤めてたっていう…。

昔 そこの娘さんが
東京へ 家出してきて

おしん 会いに行った事
あったじゃないか。

確か お加代さんって
言ったっけ? はい。

その加賀屋が 1年前に潰れて
お加代様が

東京に おいでになってる
という事を聞いたもんで…。

それで 会いに来たのかい?
わざわざ。 どんなふうに

暮らしていらっしゃるか
様子だけでもと思って…。

ふ~ん…。 それで 今 どこに?
はい。

♬~

一人で行くのかい?
こんなとこへ。 およしよ!

女が一人で行くとこじゃないよ!
お師匠さん?

おしんはね ここが
どういうとこだか 知らないから。

私 どんな事してでも
会わなきゃならないんです!

そのために来ました!

♬~

(健)わっ!

健さん
お内儀さん お久しぶりだなっす!

あれから もう 6年になるかな。

あん時は 本当に
お世話になりました 健さん

御無沙汰しました!
いや~ あっしの方こそ

かかあのやつが おかしな事
言いやがったもんで

かえって 申し訳ねえ事
しちまったっす。

元気そうね 健さん
お内儀さんも。

相変わらず 働き者だな!

客にまで来て
洗濯してるんだから!

あっ 健さん。 急に
呼びつけたりして 悪かったね。

いや~ お内儀さんが見えてるって
聞いて びっくりして…。

健さんね 私の事 心配してくれて
何かと 世話になってんだ。

来ると おしんの話になって!

私の事で わざわざ 健さんに…。

あんた一人 心配で
やれやしないよ あんな所へ…。

健さんが ついてってくれれば
どれだけ 心丈夫か…。

健さん どこにだって 顔が利くし。
ねっ 頼むよ! へえ。

そりゃ お内儀さんのためだったら
どんな所だって…。

ただ 加代さんってお人の様子さえ
見届けりゃいいんなら

あっし一人ででも…。
私が行きたいの。

私が会ってこなきゃならないの。
大事な人なんです。

分かりました。 お内儀さんの
気が済まねえんなら

あっしが お供しましょう。
健さん…。

そのかわり どんな事があっても
びっくりなさらねえように…。

ここなの?

(カフェの男)あっ 何だ 兄貴か。

へえ~ 上玉じゃねえか。
うちで預かってもいいぜ。

加代って女が いるだろう?

いねえな。
黙って呼ぶんだ。

いねえもんは いねえな。
とぼけるんじゃねえ! 兄貴。

(健)加代を出すんだ!
(カフェの男)たとえ 兄貴でも

女 抱きたきゃよ ちゃんと
客として 来てもれえてえな!

こっちだって それで
お飯 食ってるんだからよ!

≪(赤ちゃんの泣き声)

(カフェの男)また 泣かせやがって!
うるせえぞ! コラ!

ガキ 泣かせると
孤児院へ送り込むぞ!

≪(赤ちゃんの泣き声)

場違いな男の子の泣き声が
なぜか おしんには

加代の子 希望のような気が
してならなかった。

と同時に 加代の暮らしが
どんなに悲惨なものか

初めて分かった。