ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

おしん 一挙再放送 第27週・自立編 田中裕子、小林千登勢、東てる美… ドラマの原作・キャスト・音楽など…

おしん 一挙再放送▽第27週・自立編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 加代
  2. オレ
  3. 加賀屋
  4. お加代様
  5. 政男
  6. 飯屋
  7. 商売
  8. 今日
  9. 雄坊
  10. 手伝
  11. 一人
  12. 自分
  13. 酒田
  14. 心配
  15. 清太郎
  16. ホント
  17. 一緒
  18. 本当
  19. 気持
  20. お前

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おしん 一挙再放送▽第27週・自立編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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おしん 一挙再放送▽第27週・自立編[字]

主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。

詳細情報
番組内容
大正14(1925)年5月、加賀屋のくにが76歳で亡くなった。くには、8才から16才まで加賀屋に奉公したおしん(田中裕子)を、孫娘の加代(東てる美)と同じようにいつくしみ、女としてのたしなみをしつけてくれた恩人であり、師でもあった。おしんは、くにの葬儀を手伝い、初七日までくにのそばにいたいと、加賀屋で世話になることにした。そのおしんに、加代が酒田で商売をしないかと切り出した。
出演者
【出演】田中裕子,小林千登勢,東てる美石田太郎,渡辺富美子,渡辺えり泉ピン子,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一

 

 


♬~
(テーマ音楽)

♬~

こっちも 俵5つな!
あ~ 分かった!

酒田の米問屋 加賀屋のくにが
亡くなった。

8つから16まで 加賀屋に奉公した
おしん

孫娘の加代と同じように慈しみ

女としての たしなみを
しつけてくれた恩人であった。

くにの葬儀を手伝い

せめて 初七日まで
くにのそばに いたいと

加賀屋で世話になる事にした
おしん

加代が
思いがけない話を持ち出した。

酒田で 商売をしないかと
いうのである。

(加代)何してんだ?
はよ 行こう! (おしん)はい。

(清太郎)何 バカな事
言ってるんだ?

あの店 あのまま ほっといたって
しかたがねえだろう。

他人に貸すんだったら おしん
何か商売でもさせてやった方が…。

あの店が惜しくて
言ってるんではねえんだ。

おしんは 田倉っていう家の
嫁になった女子だ。

(加代)おしんはな

もう 佐賀の家なんか
とっくに飛び出してきてるんだ。

お加代様…。

(加代)隠しといたって
しかたがねえだろ?

おしんが ホントに 商売やりたいって
いうんだったら

何もかも話さねえと。

(みの)おしん…。

佐賀の家 出たって
旦那さんも一緒にだか?

竜三さんは おふくろ様の
そばさ へばりついてるんだと。

おしん
私が いけないんです。

お姑さんの辛抱 できなくて…。
逃げ出したんだか?

(加代)ちっせえ時から

人の2倍も3倍もの苦労を
辛抱してきた おしん

そげな事するなんて
よくよくの事だ。

んだば 今 どこさ?
春から 里に帰っています。

(清太郎)んだろうのう。

どうも 佐賀から来たのでは
おかしいと思ってたんだ。

山形だば おっ母さん おられるし
心配は ねえんだろうがな…。

それが もう 兄さん夫婦の代に
なってるもんで

いろいろと あって…。
おしんは あっちこっちに

日銭 稼ぎに
手伝って歩いてんだと。

うちの田んぼや畑は 兄と母で
手が足りてるもんですから…。

おしんと雄坊が食べる物は
自分で稼がねえと

やっかい者扱いされるんだと。

それは ねえだろう?

里のために おしん
どれだけの事してきたか

兄さんだって知らねえはず
ねえだろうにのう。

うちで奉公して働いてたのも

おしんは そっくり
里さ渡してたんでねえんだか。

それは いいんです。
私が 父にしてやった事ですから。

みんな 自分の事しか
考えねえんだからのう。

それなら 里さ いても
おしんの立場が ねえでねえが…。

(加代)だから オレも おしん
商売させる気にもなったんだ。

んだな。 それで おしん
救われるっていうんだったら…。

ただ 一口に 商売っていったって
そげ 簡単なもんではねえからな。

いいんでねえが。 そりゃ
うち 手伝ってもらったってええ。

んだども
それでは ただの奉公人だ。

オレ おしんには 独り歩き
できるようにしてやりてえんだ。

おばあちゃまは
何にも知らねえで

死んでしまったども
おしんの事 知ってたら

きっと オレと同じ事してやったに
違いねえ。

おばあちゃん
いつも おしんに言ってた。

「女子だって 一人で歩けるように
ならねばならねえぞ」って…。

それが おしんを かわいがってた
おばあちゃんの供養だ。

そうだろ?

加代の思うとおりにしたら ええ。

おしんが 加代にやってくれた事
考えたら

商売の元手 出すぐれえ
安いもんだ。

おしん よかったのう!

何が よかったんだ?
たとえ 俺たちが反対しても

やると決めた事は
やり通すつもりでねえが?

(一同の笑い声)

(加代)やっぱり ここだったが!

すみません。
すぐ 帰るつもりだったもんで

誰にも言わないで
来てしまって…。

いいんだよ。 うちにいる間は
雄坊と ゆっくりしてたらええ。

店が始まったら また
走り続けねばならねえんだからな。

でも ホントに
私に できるんだろうか…。

おしんらしくねえぞ!
一か八か やってみれ。

失敗するの 怖がってたら
何にも できやしねえ。

でも 加賀屋さんに
迷惑かけるような事になったら…。

こげな店 やるくれえの資本は
知れてるんだ。

たとえ 返してもらわなくたって

それぐれえの事で潰れる
加賀屋では ねえ!

何か考えてる事あるんだな?

おしん

飯屋は どうかと思って…。

酒田の港は
庄内の米を運び出したり

方々から いろんな物を
運び込んだりする船が

出入りしてます。
だから 船員さんや

船の仕事している人たちが多い。

そういう人たち相手に
飯屋 やってみるのは

どうかと思って…。 まあ
私が こしらえるもんだから

大したものは
こしらえられないけども

うちで こしらえる総菜ぐらいなら
なんとか…。

そげなものが
商売になるんだろうか?

いや 料理屋で
こしらえるようなものは

無理ですけども
船の衆相手だったら なんとか…。

長い間 船に乗って暮らしてると

うちで こしらえる総菜といっても
なかなか 食べられないと

思うんですよね。 だから
懐かしがられるようなものを…。

んだのう…。
船の衆なら 掛け売りは ねえ。

日銭が入る商売は
いいかもしれねえけんど…。

いや それに
仕入れ値も 安く済みます。

品物 並べて 寝かせておくような
商売じゃないから

元手も あんまり
たくさん かからない。

ただ ここら辺を こざっぱりして
あと 食卓とか器とかは

買わなくちゃ
いけないんですけど…。

器なら うちの蔵に 要らないのが
いっぱい 並んでるから

それ 使ったらええ。

どうせ 安い料理 作るんだ。
上等な物は 要らねえだろ?

お加代様…。
そのかわり 忙しいぞ!

大丈夫です! 自分の体
使っていい事だったら 何だって!

それで済むんだったら
どんな事だって!

ただ そんなに忙しいほど
お客様が来て下さるかどうか

分からないけど…。

おしん
その覚悟があるんだったら

やってみたらええ。
お加代様…。

明日から 大工 入れて…

あ~ 奥では
寝られるようにもして…。

夢みてえな話だ…。

んだども
その前に 一度 里さ帰って

おっ母様と話し合ってくるんだな。
おしん一人で決めてしまっては…。

母なら 分かってくれます。
そうは いかねえだろ。

帰ったら…

ここに戻ってこれないような
気がして…。

母も ホントは 雄や私と一緒に
暮らしたいんですよね。

母の顔 見たら 母だけ 置いて
来れないような気がします。

すぐ帰るつもりだったから
出てもこられたんです。

おしん…。

母には申し訳ないけど
このまま…。

♬~

(庄治)まだ 帰ってきてねえのが
おしんは…。

初七日 済むまで
加賀屋にいるって事だけんど

もう とっくに終わったはずだべ。

のんきなもんだ
こっちの事 忘れてしまってよ。

(ふじ)お前に 迷惑
かけている訳じゃあるめえし

文句 言われる事は ねえ。

俺 母ちゃんが
寂しいんじゃねえかと思ってよ。

さんざん お世話になったんだ。
いろいろと 用もあるし

知らん顔して 帰ってくる訳には
いかねえべ。

んでも そろそろ 帰ってくるべ。

母ちゃん 一人の間
俺たちと一緒に 飯 食え。

一人で食ったって
うまくねえべよ。 なっ。

(とら)おっ母さん
おしんさんからだ。

(りき)「こちらにいても 大して
お役にも立ちませんでしたが

無事に 大奥様の初七日も済み

すぐにも
帰るつもりでおりましたところ

お加代様が 酒田で
商売をやらないかという

突然のお話で…」。

それで?
「商売する」って書いてあんのが?

一体 酒田で 何があったんだべ…。

おふじさん。 おしんちゃん
当分は 帰ってこねえようだな。

加賀屋さんの世話で
飯屋する事になったんだど…。

お加代様が おしんちゃんの事情ば
察して 心配して下さったんだど。

んだら 雄も もう ここさは…。

雄坊の事も考えて
そうする事にしたんだそうだ。

自分の店なら 雄坊ば
手元に置いて 働けるしな。

自分さえ いなかったら

オレが 庄治夫婦と うまくいくと
思ったんだべ。

んだべな。 ここさ いたって

おしんちゃん やっぱり
出戻った余計者だからな。

おふじさんが なんぼ
守ってやるべと思ったって

肩身の狭い思いに 変わりはねえ。

いや~ おふじさんが
かばおうとすればするほど

おしんちゃん なおの事
つらかったんでねえが…。

それにしたって 店ば始める前に

一度ぐれえ帰ってきたって…。
なあ。

おしんらしいな…。

帰ってきたって また 酒田さ
行ってしまうんだったら

オレだって 会わねえ方がええ。

わざわざ つらい別れするために
帰ってくるなんて たくさんだ。

おふじさん…。

このままで ええ。 酒田だったら
また いつだって会えるから…。

会える時も あるべよ。

「店が うまくいったら
母ちゃん 迎えに来る」って。

「一緒に暮らせる日 楽しみに
一生懸命 働く」って書いてある。

オレと いたって
何にも してやれねえからな…。

台所から
店が見えるようにして下さい。

お客様の顔 見ながら
料理できるように。 へえ。

あんまり きれいにしなくて
いいですから。 へ… へえ。

銭の事は 心配ねえって!

どうせ 一膳飯屋です。
みんな 気軽に入れるように。

あんまり 立派だと
入りにくいもんだから。

お加代様 ちょっと ちょっと…。

おしんにとっては
何度目かの商売であった。

成功するかしないかは
分からないが

新しい商売と取り組む度に
おしん

商いというものの勘と腕とを
磨いていく事になった。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

加賀屋の援助で
おしんは 酒田の町に

一膳飯屋を出す事になった。

大正13年の晩秋に
佐賀の田倉家を出てから

目まぐるしい変転の後に やっと
たどりついた暮らしであった。

おしん 25歳 大正14年の暑い夏が
始まろうとしていた。

(おしん)この度は
本当に お世話になりました。

おかげさまで
店の手入れも終わりましたので

明日 店の方へ移らせて頂きます。

(清太郎)店は いつから?

はい。 明日
いろいろ 準備致しまして

あさって
大安吉日だそうなもんで…。

(みの)開店には
私も手伝いに行くからな。

(加代)おっ母様なんて
邪魔なだけだ。

手伝いは 私一人で十分!
2人とも 何 言ってるだ!

あさっては 日がええからって

政男さんが
うちさ戻ってくるんだ。

あ~ そうでしたのう…。

別の日に してもらってくれ。

おしんの大事な日に
店に出てやれねえなんて…。

仲人さんと 何度も話し合って
決めたんだ。

変える訳には いかねえんだ!

お加代様。

お加代様には 大事な日です。
店の事なんか…。

第一 お客様 見えるかどうか。
一人も見えないかもしれないし…。

おしん 米の事は 心配すんな。
ええ米 安く回してやっから。

ああ。 「さすが 米どころの
飯屋だ」って言われるように

オレが 米 選んでやる!
よろしく お願い致します。

(みの)雄坊の事は
よ~く 気を付けてやるんだぞ。

火を扱うからな。
やけどでもさせたら

一生 この商売した事を悔やまねば
ならねえようになるからな…。

(清太郎)雄坊 こっちゃ来っ!
(みの)行くか?

嫌か? 嫌だと!
ハハハハハ!

(みの)いや~ 元気だのう!

お~ めんごいのう!

そっちです。

(みの)ほら 危ないのう!

どうぞ。

へえ~! 飯屋にしては
手ごろな店でねえが。

何もかも お加代様が
手配して下すって…。 どうぞ!

あ~ なかなか
使いよさそうな台所だのう。

店の名前は
加賀屋にするんだって?
はい。

お加代様が 大奥様のお気持ちを
大切にするようにって

旦那様にも
お許し頂いて下さいました。

あんたが
一生懸命 やってくれたら

おばあちゃんも
喜んでくれるんだから。

あっ これは オレからの祝いだ。
開けてみれ! ほら!

はい。

(みの)ハハハ! 加代に聞いたら

暖簾なんか かけるような店では
ねえって言うんだども

せっかく
加賀屋の名前 分けるんだから

暖簾だけは かけてほしいと
思ってな! ほら!

うわ~ こんな立派なもの!

おばあちゃんの代わりに
私がさせてもらったんだ!

ありがとうございます。

あ~
これで 店も見せてもらったし

もう 言う事はねえ。

これで 加代夫婦が 仲良く
やってくれて 孫でもできたら

オレ もう 言う事は
ねえんだども…。

御苦労さん
もう 帰ってもええんだよ。

へえ!
御苦労さん!

(加代)今日は 朝から
店の仕事 重なってしまって

なかなか 来られなかったんだ。
落ち着いたか?

お加代様は お忙しいんです。
もう 大丈夫ですから…。

それが 自分の店 出す気になって
ほってはおけねえんだよ!

あっ この酒は お父っつぁんから。

これは… よっ!

オレからだ!
うわ~ 大きな招き猫!

縁起物だ!
大きいほど ええんでねえが!

どうだ? 少しは
店らしくなったんでねえが?

はい! 何から何まで
申し訳ありません!

あれ? 雄坊は?

やっと 寝ました 今。
あっ そう。

それで これを。
あれ? 献立。

まあ
随分 いっぱい 作るんだのう!

御飯に みそ汁 おかず
それに 漬物つけて

1食 いくらという定食を うちの
目玉にしようと思ってるんです。

でも
米1升 60銭するそうですから

1人に 1合5勺の飯
つけたとしても

もう それで
10銭 原価が超えるんです。

どう考えたって
35銭は 取らないと…。

う~ん そりゃそうだのう。

世の中 不景気風
吹いてるっていうのに

物価は 値上がる一方で。
でも お客様は

力仕事する人が多いから
なるべく 値段は安くして

なるべく 量を
たくさん つけてあげたいし…。

そこが 苦労のしどころです!

あっ 米は うちが
じかに回してやるから

1升 40銭にしてやる!
それは 助かります!

毎日 一番安い材料 使って
なんとか

朝は 20銭 昼と夜の定食は 30銭で
賄えたらと思って…。

だけど 薪代だって
バカには なんねえんだよ。

浜に 流木 拾いに行って
それ 乾かしたら

なんとでもなりますから!

やっぱり おしんは さすがだ!
オレには とってもできねえ!

そりゃ 米問屋とは違います。

飯屋なんていうのは
1銭2銭のもうけで

命 すり減らす商売なんですもの。

それでも やっぱり
おしんは 羨ましい。

何たって 自由だ。
何にも縛られるものがなくって。

オレみてえに 加賀屋っていう
お荷物 背負わされたら

一生 身動きがとれねえ。

婿まで 好きでもねえ男
押しつけられて…。

また そんな事…。

そりゃ 私は 自由かもしれない。

でも 自由っていうのも
大変なもんです。

ちょっと怠けたり
休んだりしたら

すぐに 飢え死に
しかねないんですもの…。

オレだって 東京で カフェの
女給してた事だって あったんだ。

やっぱり
その日暮らしだったんども

今 考えると 楽しかった。

あん時は もう 戻ってこねえ。

一生 加賀屋に縛りつけられて
終わってしまうんだ…。

お加代様…。

今更 愚痴 こぼしたって
しかたねえんだよな。

これからは
せいぜい ええ女房に…。

そうです!
何よりも お加代様のために…。

一日も早く 加賀屋の跡取りを
お産みなさって…。

オレも 結局 それだけでしか
なかったんだよな…。

女なんて
つまらねえもんだのう…。

また~!

(かしわ手の音)

今日開店の飯屋です!
温かい朝御飯 いかがですか!

みそ汁に干物 漬物つけて
20銭です!

温かい朝御飯 いかがですか!
炊きたての御飯です!

朝飯 20銭です!

(清太郎)加代も これからは
政男さんさ立てて

ええ女房になるよう
言ってるさげ

まんず
末永く よろしくお頼みします。

政男さんも 若気の至りだって
反省してるんだ。

その気持ちのところ
くんでやってくれや。

(清太郎)加代は
おばあちゃん譲りで

店の事も ずっと 一人で
仕切ってきてるだんども

今日からは 政男さんさ任せて…。

そうしてもらえればは 政男さんも
どんげに 張り合いがあるだか!

これからは
帝国大学で勉強してきた

政男さんの時代でがんす。

そのつもりで
よろしく頼むからのう!

(清太郎)んだば 今日の祝いにって
酒の肴 支度させてあるさげ。

さあさあ!
んだば…。

(雄)母ちゃん!
雄~。

あ~! 朝も 昼も
誰も来なかったよ~。

この分だと
夜も駄目かもしれねえな…。

残った御飯
どうしたらいいだろう?

お握り弁当 いかがですか!

大きなのが2つ入って 7銭です!

お握り弁当 いかがですか!
真っ白な 真っ白な御飯です!

お握り弁当 いかがですか!
大きいのが2つ入って 7銭です!

真っ白な白米の御飯です!
お握り弁当 いかがですか!

おしんおしん

どこさ 行ってたんだ?

大事な開店の日だっていうのに
店 閉めて!

は~い。 ただいま。

(加代)ありがとう。

おしん

お客が 一人も来ないもんで

しかたないから おむすび作って
港へ売りに行ってきたんです。

残ったら 大ごとだったもんで…。

んで 売れたが?

元手だけでも取らなければと
思ったんですが…。

駄目だったのが…。

おむすびにしたものを
持って帰ってきたって

売り物には ならねえし…。

船の衆や 荷役していた
男の衆たちに 話 して

もらってもらいました。
タダでが?

捨てるより ましなもんで!
そりゃ そうだけんど…。

米代だけで 80銭の損です。

このままだと いつ お客さん
来てくれるか 分からないし…。

食べ物は 売れなかったら
おしまいだ~!

やっぱり 腐らない物の方が
よかったかもしれない…。

一日くれえで 何が分かる!
客が来なかったら

来てもらう事 考えれば
ええ事でねえが!

これぐれえの事で
弱音 吐くなんて

おしん
たがが緩んだんでねえが?

子どもの時 ハーモニカの事で

オレと取っ組み合いのケンカした
おしんの根性は

どこさ置いてきたんだ?
銭なら なんぼでも出してやる。

ただし 貸したものは
必ず返してもらう。

返せるようになるまで
この商売 やめる事は 許さねえ!

ええのう!

商いには自信のあった おしん
今度ばかりは 戸惑っていた。

どうしたら
客に来てもらえるのか…。

おしんには
初めて ぶつかった試練であった。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

加賀屋の援助で 酒田に
飯屋を開店した おしん

その1日目から 商売の自信を
失ってしまっていた。

ただ一人も
客がなかったのである。

考えあぐねたあげく おしん
翌日から 店を閉めてしまった。

♬~

お帰んなさいまし。

(みの)おしんに会ってきたのか?

何してた? うん?
加代! もう!

(加代)今日も 本日休業の貼り紙が
してあったから

そのまま 帰ってきた。
なして?

様子 見に行ってやったんでは
ねがったのか?

たったの一日で
店 閉めてしまうなんて

まあ おしんも情けねえ女子に
なってしまったもんだ。

そんな おしんに会ったって
しょうがねえんだ。

そういう時こそ
力になってやるのが

友達では ねえのが?

オレのしてやる事は
ちゃんと してやったつもりだ。

あとは おしんの根性一つだ。
今 自分で立ち直らねえと

これから先 店なんか
とっても やっていけやしねえ。

やっぱり 飯屋は
無理だったのかのう?

自分で やりてえって
言っておきながら 今更…。

あっ…。

(おしん)「飯屋を始めました。

御飯に 一汁二菜 漬物の定食
30銭。

朝飯は 20銭。 そのほか
一品料理も 数々あります。

安くて 量は たっぷり。
おいしいのが 自慢の店です。

是非 一度 お越し下さい。

湊通り めし 加賀屋」。

♬~

よろしく お願いします。

♬~

加賀屋という飯屋を始めました!
よろしく お願いします!

今日は 5時から やっています!
加賀屋という飯屋です!

よろしく お願いします!
加賀屋という飯屋です!

今日 5時から やっています!
朝は 6時からなんです!

危ないよ 危ないよ。

よろしく お願いします!
加賀屋という飯屋です!

よろしく お願いします!
今日 5時から やっています!

明日は 6時からなんですけど…。

政男さんの新しい単衣が
出来てきた。

明日から 着せてあげれ。

お前の旦那様だぞ。 お前が 何でも
よ~ぐ 気ぃ付けてあげねえと…。

あの人 大阪の米問屋相手に
うまくやってるかのう…。

大阪の商人っていうのは
みんな しっかりしてるから

うっかりした事 言ったりすると
たちまち なめられてしまうんだ。

加代。 加賀屋の事は 政男さんに
任せるって言ったんでねえんだか。

お前が 政男さんを
立てるようにしねえど

また 前みてえな事になるんだぞ。

あっ 随分 早かったんだのう。

(政男)店 そうそう
空ける訳には いかないもんで。

こんな物が
方々に貼ってあったんだ。

これ おしんの店の広告でねえが。

ハハハハハ! ちょっと! おしん
自分で これ 書いたんだよ!

へえ~ 大したもんでねえが!

確かに おしんの字だ。
おしんが 自分で書いて

自分で貼って歩いたんだかのう?
(政男)それだけじゃないんです。

街の真ん中で
通行人に配ってたって事です。

それも 「飯屋だ 飯屋だ」って
どなりながら!

おしんが? ハハハハハ! そりゃ
さぞかし見ものだったろうのう!

オレも見たかった!
笑い事じゃない!

いい恥さらしだ!
何が 恥さらしなんです?

黙って 客 待ってたって こげな
店がある事 知らなかったら

客だって 来ようがねえで
ねえですか。

このビラ 作るんで
おしんは 店 休んでたんだよ。

あきれたもんだのう。
あ~ やっぱり おしんだ。

相変わらず 昔と 性根は
変わっていねえ。 よくやった。

(政男)冗談じゃない!

あんな みっともないまねを
されたんでは

こっちの加賀屋の名に 傷がつく。
ビラ 配ったら

加賀屋の名に 傷がつくって
一体 どういう事ですか?

別に悪い事してる訳でも
あるめえし!
(みの)加代…。

加賀屋という名を
使っていなかったのなら

私だって 何にも言わない。
しかし…。

それで 店の信用が崩れるような
加賀屋では ありません。

あんたに
心配してもらうような事では

ありません!
加代…。

よく分かった!
どうせ 私は 婿養子だ!

私の言う事なんか
通るはずはなかったんだ!

加代!

相変わらず
女が腐ったみてえな男だな。

つまらねえ事
くどくど くどくど…。

政男さんは 政男さんなりに

加賀屋の暖簾を
心配してくれてるんだよ。

ホントに 加賀屋の事
心配してくれてるんだったら

店の事も もうちょっと しっかり
やってもらいてえもんだ!

(ため息)

んだば 今夜から 店 開けんだか?
もう 3日も休んだんです。

一晩でも商売しないと 今日もまた
無駄飯 食った事になるもんで。

今日 ビラ 配ったからって

今夜から すぐ来る客がいるとは
思えねえけどな。

そうかもしれないけど

ビラ 配った以上は
客が来ても 来なくても

店は 5時に開けないと
嘘ついた事になるもんで。

おしん…。

今日 もし 10人のお客様
来て下すったら

1人 2銭のもうけだから
20銭には なるんだもん!

よし! オレも手伝う!

とんでもない お忙しい お人に…。

うちにいたって
何にもする事ねえんだもん。

店は 旦那様に任せんだと…。
オレが口出しすると

婿殿の立場がねえって言って…。
親父様の知恵だ。

政男さんに 気持ちよく
うちに いてもらうためには

政男さんを
立てねばならねえんだと…。

お加代様…。

ああ。
オレ もう 逆らうつもりはねえ。

おばあちゃんに
安心させてやりてえ一心で

今まで
一生懸命 頑張ってきたんだ。

おばあちゃん 喜んでくれると
うれしかった。

その おばあちゃんも
もう いねえし…。

お加代様…。

おしんが うちに奉公に来てから
オレ いつも おばあちゃんに

おしんと比べられて
大きくなった。

おしんには負けないと思って
おばあちゃんに おしんより

少しでも 気に入られるように
随分 背伸びもした。

その気持ちが
ずっと 残ってるのかもしれねえ。

おばあちゃん 死んでしまったら
加賀屋なんて もう

どうでもよくなってしまって…。
んだども 店の事しなくなったら

急に 何にもする事
無くなってしまった…。

女なんて つまんねえもんだのう。

あっ 飯 もう 仕掛けたんだか?

あっ んだば
たきつけて ええんだな?

いや 私 やりますから…。
オレだって 飯くらい炊ける!

だけど こんなに仕込んでしまって
また 残ったら どうするんだ?

おむすびにして
明日 また 売りに行きます!

元は取らねえど!
やっぱり おしんだ! さて!

(清太郎)
どこさ行ったか分からねえって
もうすぐ 店 閉めてしまうんだぞ。

政男さんが 仕事 あがるのに

加代が いねえでは
すまねえでねえが!

黙って 出てったもんで…。
せっかく 元のさやさ納まって

政男さんが
やる気になってくれてるのに…。

加代だって よぐ分かってます。
もう 帰ってくる頃です。

お前が 加代の事
ちゃんと しつけてねえがら

勝手なまねばっかり するんだ!
そげな事 言ったって…。

加代は もう
子どもでは ねえんだし!

こげに 政男さんに
気ぃ遣うぐらいなら

加代一人の方が なんぼ
気が楽だか 分からねえもんだ。

みの!

よいしょ!

う~ん!
なかなか 結構なお味ですこと!

立派なもんだ おしんの腕は!

みんな 加賀屋に
奉公させて頂いてる間に

覚えたものです。 大奥様は
味付けにも 盛りつけにも

うるさい方だったから…。
おしんの方が

いろいろと おばあちゃんに
教えてもらってるんだもんな。

おかげさまで
飯屋で出すもんぐらいには

不自由しません。
お加代様 もうそろそろ

お帰りにならねえと。
心配ねえって。

(戸が開く音)
(客1)あ~ ここだ ここだ。

(客2)お~ いい店だな。
いらっしゃいませ!

食わせてもらえっか?
はい。

んだば 定食っていうの 6人前だ。
はい!

魚 煮るのか 焼くのか?

いや 6人前だったら
煮る方が早い。

だったら 茶は オレが出す。
おしんは 魚 煮れ。

(客1)いや~ この間は
握り飯もらって 悪かったのう。

(客2)ありゃ うめかったよ。
なっ。

じゃあ あの時の?
(客1)うん!

もらったままじゃ 悪いだろうって
言ってたんだが

今日 ビラ 貼ってあるのを
見たもんでよ。

あとから まだ 5人ほど来るさげ。

だったら 皆さんで 11人?
(客1)うん。

(客2)オレら
荷役やってんだどもよ

みんな
田舎から 稼ぎさ出てきてるんだ。

自分たちで
飯 炊いて 食ってるんだもんよ

面倒くさくてな! たまには
うめえ飯 食いたくてな!

んだども うめえとこ
ほら 高え飯だ!

ありがとうございます。 頼むよ!
はい!

んだば
一度 ここのを食べてみてくれ。

ここの料理は 田舎の
かあちゃんの味が するんだぞ!

(客3)んだば
あんまり うまくはねえんだな?

(一同の笑い声)

(客4)ここは お前たち女子
2人でやってるんだか?

いえ 私一人で!
(加代)オラは 手伝いだども

毎日 来てますから
よろしく お願いします!

いや~ こげだ いいおなんこ
2人もいるんだば

まんず 繁盛するんだろうのう!
間違えねえ!

漬物 切るんだろ?
オレが切るから。

お加代様は もう いいですから。
私一人で できますから。

あっ 鍋 噴いてる! ほら!
あっ!

お加代様 タクアンは 5切れずつ。
5切れ?

我慢して下さいのう。
私の不行き届きだなです。

帰ってきたら やかまし
言って聞かせますさげ…。

今まで
こげな事は なかったんだが…。

まさか おしんのとこでは
ねえだろうな?

今 店の者どご
捜しにやってますから…。

お待ち遠さまでした! どうぞ!
はい すみません!

お待たせしました!
はい どうぞ!

いらっしゃいませ!
定食ってやつ 2人前 頼む。

はい!

飯 間に合うだか?
2人分だったら まだ。

客 また来たら どうするんだ?
残ってもええ! 炊きます!

んだば 米は オレがとぐ。
だから あの2人に出すもん 早ぐ。

はい!

いらっしゃいませ!
また 客だか…。

若奥様 お迎えに参りました。

お前 ちょうどいいとこ来た!
こっち来て 手伝え!

早ぐ!
かまどの火 たきつけんだ!

ほれ 早ぐ! これな!

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(客1)どうも ごちそうさん
(客2)どうも ごちそうさん

(おしん)ありがとうございました。

飯屋開店の初日 一人の客も
来なかった おしんの店も

おしんが 3日がかりで書いた
広告のチラシの効果があったのか

早速 その夜 客が来てくれて

おしんも加代も うれしい忙しさに
てんてこまいであった。

いや~ 手伝わせてしまって…。

もう 掃除いいから 御飯 食べて!
へえ!

お加代様 後は 私がしますから

お夕飯 うちで
召し上がっていって下さい。

(加代)さっき 握り飯2個も
食べたんだもん

腹いっぺえだよ もう…。

あれ? 雄坊も 遅くまで
独りぼっちで かわいそうに…。

雄坊も 握り飯 食べただけで 誰も
面倒 見てやれなかったから…。

いや~ 母親が働いてる事
分かってるんです。

私の姿さえ 見えてたら
安心してますから。

(加代)ホントに
手のかかんねえ子だのう!

お加代様 お疲れになったでしょ。

立ち通しっていうのも
楽ではねえんだな!

だけど 久しぶりに
働いたって気がした~!

いや もう ホントに
こき使ってしまって…。

そんなつもりは
なかったんだけど…。

やっぱり
おしん一人では 無理だな。

あんなに お客様が見えるとは
思わなかったんだもの!

おしんのビラが効いたんだ!

あ~ でも
また 一つ 勉強しました。

うちで じっと待ってたって
お客様は 来てくれない。

一番 大事な事は お店を
知ってもらうっていう事ですね。

店に来てさえもらえれば
その店が どんなもんかも

分かってもらえるし
それで 気に入ってもらえたら

1人のお客様が
2人 4人 8人って なっていく!

後は 腕しだいです! はい!

ありがとう。
今日だって 40人ぐらい

客が来てくれたんだぞ。
結局 米だって 7升も炊いて!

43人です。 はあ…。
ウフフフ!

1人 2銭のもうけとして 86銭…。

あんなに忙しい思いして
1円にもならねえのが!

いや 今は 親子2人
食べていく事さえできたら…。

それに 働ける事が
あるっていうのは

とっても ありがたい事だから!

86銭のもうけじゃ
とっても引き合わねえと

思ったんだけんど…。
といって

子ども連れで働けるとこなんて
おいそれとねえだろうしな~!

はい!
もう せいぜい 気張らないと!

これで 愚痴 言ったりしたら
罰 当たる!

おしん。 何か もうかる方法は
ねえのかな…。

(ため息)

(加代)あれ? どう…。 う~ん!

(戸をたたく音)
(加代)加代です!

(戸をたたく音)

(みの)何してたんだ!
こんな時間まで。

遅くまで 御苦労さん。
さあ 早く おやすみ。 へえ。

やっぱり
おしんのとこだったのが?

何しに あの子 迎えに
やったんだか 分かってんだか?

ちょうどええとこ
よこしてくれて…。

まあ よく手伝ってくれた。
(清太郎)加代! お前!

思いがけねえほど 客が来てよ!

おしん一人では
とても 間に合わねえんだもの。

ほったらかして
帰ってくる訳にもいかねえだろ。

おばあちゃんがいたら きっと
手伝ってやれって言うただよ。

オレたちは ええ。
お前の気持ちも分かるんだ。

んだども 政男さんは…。

あの人は
オレなんて いなくたって

何にも不自由なんてしねえだろ。
(清太郎)加代!

まんず 遅くまで起きててもらって
申し訳なかったのう。

(みの)加代…。
(清太郎)政男さんに謝るだ!

よう 詫び言うだぞ!

おばあちゃん 安心してくれ。
おしんは 一生懸命 やってる。

これからも
おしんの店が繁盛するように

守ってやってくれ。

(政男)遅かったな。
まだ 起きていなすったんですか。

これからは
オレの事 待ってねえで

先に 休んで下さい。
(政男)加代…。

しばらく おしんの店
行ってやんないと…。

おしんとは 姉妹のように育って

口では言えねえほど
世話になってるもんで…。

おばあちゃんも
心配してると思うんです。

しかし
なにも こんなに遅くまで…。

うちにいたって
何にもする事ないんですもの…。

♬「恋せよ おとめ」

♬「朱き」

よいしょ!

♬「唇」

よいしょ…。
(加代)おはよう!

お加代様? 何かあったんですか?

もう 買い出しに行ってきたのか?
早えんだな~。

あれ? これは お浸しだな。
お加代様!

当分の間 手伝う事にした。

政男さんには
ちゃんと 断ってあるから。

お加代様!
はっきり お断り致します!

そげな おっかねえ顔して…。

昨夜だって オレがいなかったら
どうしようもねがったでねえが!

オレだって 猫よりは ましだ!

お加代様は
加賀屋の大事な若奥様です。

あっ もう 暖簾 出す時間で
ねえか? 6時だぞ!

お加代様!

お加代様は
旦那様と ええ夫婦になるって

私とも 約束して下すったんでは
ねえんですか?

分かってるけど… どうにも
ならねえ事だって あるんだよ。

オレだって つれえんだ…。

お加代様…。

おしんと一緒に働いてたら
その間だけでも 忘れられる。

いつか 必ず あの人とも
うまくいくようにする。

だから せめて それまで
オレの好きなようにさせてくれ。

≪(客3)まだ やっちょらんとか?

(加代)いらっしゃいませ!
どうぞ!

今 船が入ってよ
ここは 安いし うめえし

たっぷり食わせるって聞いたけん。
ありがとうございます!

さあ どうぞ!

どうぞ これからも
ごひいきに お願い致します。

夜も 8時まで
やっておりますから。

何 ぼんやりしてんだ?

お前がついてて
知らねえ事は ねえだろ!

オレだって まさか こげん
朝早くから出かけるなんて…。

誰か 迎えにやらっしゃい!
おしんの店さだ!

なんぼなんでも
こげな時間から…。

何か ほかに用事でもあってがい。
もう 帰ってきますよ。

(政男)おはようございます。
お~!

あんたには 断って
出かけたんだか?

あ~ 加代さんですか?
聞いていなさるんだか?

「しばらく おしんさんの店を
手伝いたい」って…。

あんた それで黙って…
黙って 出したんだか?

しかたがないでしょう。

私の言う事なんか
聞く人では ないんですから。

みの! おしん
店 やめさせるんだ! あんた!

おしん
店なんか やらせてるから

加代が 勝手なまねするんだ!
今すぐ! (政男)無駄ですよ。

そんな事をなさっても
加代さんの気持ちは

どうなるもんでもないでしょう。
加代さんは 今 寂しいんです。

おばあちゃんは 亡くなるし
加賀屋の事には

手も口も出せなくなっちまうし…。
今まで おばあちゃんと一緒に

加賀屋を切り回ししてきた
加代さんにとっては

つらい事なんじゃ
ないでしょうか?

きっと 胸に ポッカリ
大きな穴が開いたような…。

政男さん…。

そういう寂しさは 私なんかには
どうにもしてあげられない。

待つよりほかに…。

私は 一度 加代さんを
裏切った男です。

加代さんの気の済むまで
待つくらい

当然の事だと思っています。

はあ 疲れた~!
昼間も 結構 来てくれたからね。

少し 休もう。 ほっ。

夜までは
お客様 見えませんから

お加代様 座敷で
ちょっと お休みになったら?

おしんこそ 朝は
早くから 仕入れに出かけて

今まで ずっと
座ってもいねえんだろう?

少し 休んだ方が…。

私は そろそろ
夜の支度に かからねえと!

朝と昼とで 50人足らずだろう?
やっと 1円のもうけか!

飯屋っていうのは
忙しいばっかりで

ホントに もうけの薄い商売だのう…。

もうけの薄いのは
最初から承知していた事で!

だけど もう少し
もうかる方法 考えねえと

忙しいばっかりで
バカバカしいでねえが!

欲が ねえんだな。
あ~ 疲れた…。

(客4)よっ!
いらっしゃいませ!

お待ち遠さまでした!
はい! みそ汁です!
どうも!

(加代)いらっしゃいませ!
いらっしゃいませ!

酒。
はっ?

酒だ!

申し訳ありません。

うちは 飯屋なもんで
飲み屋ではないもんで…。

金なら あんだ!

酒は お出ししていないんです。

なぬ? 俺みたいな男に
飲ませられねえっていうんだか?

そうではないんです。 うちは
飯屋で 飲み屋ではないもんで。

飯屋だって 酒 出すとこは
なんぼでも あんだぞ。

んだば そういう店さ
行って下さい。

俺どご 追い出す気だか!

お客さん 相当
酔っておいでではないですか?

ほかの皆さんにも 迷惑ですから

飯のご用の時に
また おいで下さい。

迷惑!? 迷惑とは 何だ!?

酒だ! ただし 冷やだからな!

お加代様?
1杯 15銭だ。

それでもええんだな?
うん…。

もらったよ。

お加代様!
飲みてえ客には 飲ませたらええ。

1杯1合で
5銭の もうけだぞ!

飯の客より よっぽど
もうかるでねえが! でも…。

固い事 言ってたら
金もうけなんか できやしねえ。

おしん
1杯 15銭でええって客には

どんどん 酒 出すんだ。
それが 商売っていうもんだ!

(客5)よう!
酒があんならよ 俺も頼むぞ!

はい~! また 5銭 もうかった!

おしんは 地道に 飯屋を
やるつもりで始めた店であった。

…が おしんの意志に
関わりなく

開店早々から おしんの店は
変わろうとしていた。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

(加代)おしん
ちゃんと 勘定は合ってるだぞ!

今夜だけで
酒 20杯も出たもんな!

酒だけで 1円のもうけだ!

やっぱり 酒を出さねえって法は
ねえな!

まだ 怒ってんのか?
(おしん)うちは 飯屋です。

飲み屋なんかするつもりは
ありません。

なにも 飯屋をやめろって
言ってんでは ねえなんだ。

飯屋に来る客だって
ちょっと 一杯 引っ掛けてから

飯 食いてえって人だって
いるなんだ。

飲みてえって客に
飲ませてやって どこが悪い?

みんな 一日 きつい仕事
してきてるんだぞ。

気持ちよく 飲ませてやるのが
功徳ってもんだ。

私は そんな商売 性に合いません。

酒 出したら
店の空気も荒れるし

それに 5銭も もうけて…。
そんな むちゃな事!

何が むちゃだ?

酒 飲ますの 商売にして
酌婦なんか置いてる店はな

1合の銚子に
8勺くれえしか 酒 入れねえで

うちの何倍も取ってんだぞ。

そげな店に比べたら うちなんて
安いもんだ。 でも…。

そりゃ 酒飲みは
始末に負えねえ事だってある。

んだども 酔っ払いぐれえ
あしらえねえで どうするんだ?

どんな商売だって
命 張ってやんねば

金もうけなんか
できやしねえんだぞ。

おしん。 お前は ホントに
竜三さんの事 諦めたんだか?

オレには そうは思えねえ。
竜三さんは 雄坊の父親だ。

おしんには どうでもええかも
しれねえけど

雄坊のためには 大事な人だ。

いつかは 一緒に暮らせる事を
考えるのが ホントでねえが?

一日も早く その日が来るように

竜三さんに 佐賀から
出てきてもらえるように

しっかり 金もうけして

親子3人が 立派に
暮らしていける店にせねば…。

オレだって
ここで 酒 出す事なんか

考えてもいなかったんだよ。

まさか 飯屋に 酒 飲みに来る客が
いるとも思わなかったし…。

今日は
ホントに遅くなってしまって…。

私 送っていきます。
ええんだよ。

でも お加代様に
もしもの事があったら…。

今夜 ここさ 泊めてもらう。
お加代様…。

オレだって 疲れたんだ。
布団なんか要らねえ。

ごろ寝で ええんだから。
そんな事…。

皆さん 心配しておいでです。

遅くなっても
ちゃんと帰らねえと…。

ええって言ってんだろ。

うちさに帰るより ここにいる方が
ずっと 気が楽だ!

(清太郎)まだ 帰ってこねえのか?
もう 11時 過ぎてるでねえか!

(みの)この分だと おしんのとこ
泊まるつもりだかもしれねえな。

俺が迎えに行ってくる!
あんた!

こげな事では 政男さんに
俺たちの顔が立たねえ!

二度と
おしんの店には行かせねえ!

ちょっと待って下さい。

加代だって うちにいるのが
つれえんだから…。

お前が甘えから
加代が つけあがるんだ!

しばらく
目 つぶってやって下さい。

加代が ふびんだと
思うんだったらがい

加代の気持ちが落ち着くまで…。

加代と おしんとは
姉妹みてえなもんだ。

おしんのそばに いるんなら
心配ねえですよ。

お加代様 今日は もう
私一人で 大丈夫ですから。

お加代様
一度 うちに帰られねえど…。

これは ええインゲンだのう。
何にするんだ?

身欠きニシンと一緒に

炊き合わせにでも
しようかと思って。

へえ~ うまそうだ。
酒の肴には 何よりだのう。

オレが作ってやるから。
お加代様!

料理っていうのも やってみると
まんざらでは ねえんだな。

いらっしゃいませ…。
あれ? もう 昼飯の客だか?

申し訳ありません!
つい お加代様を

お引き止めするような事に
なってしまって…。

忙しかったもんで
つい お加代様を

当てにするような事に…。
おしんが悪いんではねえ オレが。

いえ 人手がなかったものですから
私が 無理に お願いして…。

昨夜も
遅くなってしまったもんで

夜道が危ないと思って
つい ここに…。

ホントに 若旦那様には
何て お詫びしたらいいのか…。

なにも オレを かばう事は
ねえんだって。
だども…。

(政男)いいんですよ。
加代の事は よく承知してるんだ。

加代 楽しそうじゃないか。 ここへ
来たら 生き生きしてるんだな。

そんな事は!
皮肉で言ってるんではないんです。

加代は やっぱり
働くのが好きな女子なんだな。

また 加賀屋の帳場に
座ってくれたっていいんだぞ。

オレ 加賀屋の事は
もう ええなんだ。

お加代様…。

オレが 店さ出たら

言わねえでもいい事
言いたくなる。

それでは 店も うまぐいかねえ。

加賀屋は 政男さんの加賀屋で
いいと思ってるんです。

政男さん
おしんの店は これからだ。

オレが 少しでも
役に立つんだったら

手伝ってやりてえんです。 せめて
これで やっていけるっていう

見通しが立つまででも。
お加代様…。

加代が そうしたいって言うんなら
気の済むまで 手伝ったらいい。

お父さんや お母さんには
私から よく話しておく。

ただ 無理して
体を壊さないようにな。

お父さんや お母さんを悲しませる
ような事になったんでは

許した私が
申し訳の立たない事になる。

政男さん?

加賀屋の事は お父さんと一緒に
私が しっかりやるから

心配 要らない。

時々は 顔 見せに
帰ってきてくれ。 待ってるぞ。

あの! お茶でも…。

いや 加代の様子を見届ければ
それでいいんだ。

ええお人では ねえですか!

お加代様の気持ちを
ちゃんと 察しておられる!

お加代様 そろそろ
昔の事は もう 水に流して…。

若旦那様と
ええ夫婦になられて…。

(2人の笑い声)

♬~

おしんは なるべく 夜は
加代を 加賀屋へ帰すようにした。

早朝の仕込みと 朝の定食は
おしんの仕事で

加代は
昼前になって おしんの店へ来る。

おしんは 5時間くらいしか
寝られない毎日であった。

…が 日を重ねるごとに 客も増え
なじみの客もできて

おしんには 働きがいのある店に
なっていた。

♬~

(加代)はい!
みそ汁 お待ち遠さま!

おばんです。 いらっしゃいませ!
定食 くれ。 はい!

俺もだ。
はい! 定食 お二人さん!

は~い!

(客1)おい! 酒が ねえぞ!
(加代)はい お銚子1本!

は~い!
(客2)今日の刺身 何だ?

あ~ 今日は 刺身にする魚が
高えもんで仕入れなかったんです。

うちは うまくて 安いもんしか
出さねえ事に してっから。

んだば イワシの焼いたの あっが?
この間 うまかった。

はい。 タイは ねえんだども
イワシなら なんぼでも!

あっ いらっしゃいませ!
あれ? お二人さんですか?

あ~ 申し訳ねえけど
ここ 詰めてもらえるか?

相席 お願い致します。
こちらへ どうぞ!

(鉄)おしんっていうのは お前か?
んでねえ。

(秀)この店の主人は
おしんって女だそうだな。

おしんに 何か 用だか?
(秀)用があるから 来たんだ!

どうも しんは 私ですが…。

へえ。 こんな 虫も殺せねえような
顔してやがって

よくも こげな あこぎな商売
してくれるな!

あこぎな商売とは
どういう事でしょうか?

飯屋は飯屋らしく おとなしく
商売してればいいんだ。

それを 酒なんぞ出しやがって!

商売には
商売の仁義っていうもんがある。

この店のおかげで ほかの店は
とっても 迷惑してるんだ。

私が 何をしたと?

お前んとこで 安い酒 出すからな
この辺の飲み屋 客 減ってるんだ。

あ~ そんな事だったらば
ほかの店も うちと同じ値段で

酒 出せばええ事では
ねえですか?

うちだって
十分 もうけは あるんです。

もうけ過ぎてると
思ってるぐらいだ。

やめろったら 黙って
酒 出すの やめたらええんだ。

この辺の飲み屋は 気に入らねえと
あんたたちみたいな男 使って

脅かしにかかるのか?
気に入らねえんだったら

自分たちで来ればええのに。
何だと!?

おしん 逆らうのは やめれ!
なっ!

お前たち この店が 米問屋の
加賀屋の息のかかってる事

承知で来てんだか?
ああ!

あ~ そういえば
お前さんは 加賀屋の?

ああ。 分かってんだったら
さっさと帰るんだ!

俺たちは 加賀屋には
何の義理もねえもんでのう。

加賀屋も ご隠居さんがいる間は
いろいろと お世話になった。

けど ご隠居さん 死んじまったら
おしめえだな 加賀屋も。

ああ。 帝国大学出だか何だか
知らねえが

偉そうな面した若造がよ
ふんぞり返ってやがって!

あれでは
加賀屋も長くはねえんだな。

お加代様? あの~ 今日のとこは
どうか これで…。

うわっ!

こげな はした金で
どうすると思ってるんだ?

この野郎!
小バカにすんでねえど!

飯屋は 飯だけ売ってれば
ええんだ。 分かったんだな?

お前たちに そげな指図される
覚えはねえ!

ああ?

お前たち 怖くて
こげな商売できるか!

おしん 逆らうの やめれ!
帰ってけれ!

さっさと出てってけれ!
このアマ!

人が 下手に出てりゃ
なめやがって!

何するんだ!?
素人衆に 迷惑かけねえのが

お前たちの仁義ではなかったのか。
やめれったら おしん! やめれ!

口で言っても分かんねえなら
分からせてやる!

(加代)キャ~ッ! キャ~ッ!

あの~ 酒は出さねえ!
言うとおりにするから

今夜のところは おとなしく
帰ってくれ! お願えします!

あねちゃ 分かったか?
冗談ではねえ!

オレは 東京で
露店でも 商いしてきた!

お前たちが怖くて
言いなりになったんでは

女子が立たねえんだ!
おしん やめれったら!

オレに 文句があるんだったら
オレに 文句 言えばいいだろ!

表へ出ろ!

何 ぼんやりしてるんだ?

表へ出たら
オレに 何したって構わねえ!

殴るも蹴るも勝手だ!
表へ出ろ! さっさと出てこっ!

お控えなすって。

手前 生国と発します。
山形にござんす。

縁 もちまして
中沢一家 名乗ります。

中沢 健 妹分にござんす。

姓 発します。
姓は 田倉 名は しん。

いずこ いずかたに参りましても

御一統さん お世話なりがちもんの
粗相もんにござんす。

以後 向後面態
お見知りおかれまして

よろしゅう 万端 お頼申します。

♬~
(テーマ音楽)

♬~

「人生 習っておいて
損なものはない」。

東京で世話になった健から
教えてもらった仁義の切り方が

まさか 酒田で役に立つとは

おしん自身
思ってもいない事であった。

(鉄)いや~ もう 構わねえでくれ。
すぐに帰るから。

(おしん)遠慮しねえで。
ここで 店 やってたら

また やっかいになる事もあるから
顔つなぎのつもりでいるんだから。

(秀)大した顔つなぎだったな!

それにしても 本当 驚いたな
姐さんの仁義には!

んだ。 東京の ど真ん中で
露天商 やってたなんて

大ぼらかと思ったがよ!
本当 本当! しかもよ

姐さんのいた組っつうのは
俺たちの本家みてえなもんだ!

いや~ 全く 姐さんには
頭が上がらねえ!

んだ。 知らねがったら
大変な事になるとこだったよ!

でも 何だか あんたたちにも
悪い事してしまったね。

せっかく頼まれて
やって来たのに

顔 潰すような事に
なってしまって。 んでねえ。

姐さんとこは
ちゃんと 許可を取って

酒 出していなさるんだ。
横車 押す方が悪いってもんだ!

んだ! だってよ 酒 安く売ろうが
高く売ろうが その店の勝手だ。

客 集めたかったら
安く売りゃいいだ。

それを 人の事ばっかり恨んで
お前 そりゃ間違いってもんだや。

何たって お前 商売っていうのは
自由競争だからな!

じゃあ 姐さん
まんず 御馳走になっちまって…。

あら~ 何にもなくて…。
いや~ とんでもねえ!

おい おい おい おい!
あ~ いやいや!

まんず 姐さん
俺たちで 力になる事あったら

遠慮なく言ってくれ。
すぐ飛んでくっから! なっ!

じゃあ 皆さん まんず
お騒がせしましただ! じゃあ!

御苦労さまでした!
(秀)じゃあ まんず まんず!

(加代)御苦労さまでした!

(ため息)

あ~ 疲れた。
お加代様…。

こげに 肝 潰したのは 初めてだ。
どうなる事かと思った~!

お加代様ともあろう お人が
あれぐらいの事で!

おしんは あげな連中の怖さ
知らねえがら!

ああ… 知ってんだったな。

(客)ちょっと なんぼ?
あら! もう お帰りですか?

本当に迷惑かけてしまって…。
もう お詫びのしるしに

今日は お代 頂戴致しません!
いや それは 困るわ!

ええもん 見せてもろうて!

大したもんやな あんた!
いや もう 恥ずかしくって…。

本当に お代は 結構ですから。
そう? うん!

ほな せっかくの気持ちや
御馳走になるわ。 はい。

これはな 祝儀や。

あら とんでもない
こんなものは…。

あんたの きっぷに
惚れてしもうたんや。

気持ちを取っといたり!
ほなな。

我ら 大阪やけどな
また 船 入ったら 来るさかい

頼んまっせ! どうも!
じゃあ 遠慮なく頂戴致します!

ありがとうございました!

ずっと 勘定よりも
余計に頂戴致しました!

余計に あの お客さん
高く ついちゃって…。

よっぽど おしんの仁義が
面白かったんだろう!

んだども おしんは 本当に 東京で
何とかという組に入ってたのが?

その 何とか組というのは
ヤクザだろ?

健さんっていう人は
知ってましたけども

組には入っていません。
んだば おしん…。

ちょっと
脅かしてみてやっただけで…。

おしん
「嘘も方便」です!

あきれたもんだのう!

だけど
まあ 無事に済んで よかった!

オレ あげな連中に
ねじ込まれるとは

思ってもいなかったんだよ。
加賀屋のもんだって知ってたら

指一本 触れる訳ねえって
信じてた。

だって 盆暮れや祭りの時には

組の者が
うちさ 挨拶に来てたんだもん!

おばあちゃんは する事は
ちゃんと してたんだな!

大奥様は
肝の太~いお方だったから!

政男さんの代になったら
何にもしてねえんだな きっと。

若旦那様には
若旦那様のお考えがあって…。

あの人で ちゃんと
やっていけるのかのう?

お加代様!

ああ!
加賀屋は あの人に任せたんだ。

もう 何にも言わねえ。

んだば 片づけっか!
お加代様

おなか すいておいででは
ないですか?

何か 召し上がって下さい。

おしん
雄坊の様子が おかしいぞ!

雄?

雄。 どうした?

熱 あっか?
息遣い 何か おかしかったし…

顔も 真っ赤だし!

はしかです。

はしか? んだば オレ
医者 呼んでくっから。

大丈夫です。
はしかだったら 昔

妹や弟の看病した事あるから
よく分かってる。

はしかだか どうだか
分からねえだろ?

もし 悪い病気だったりしたら…。
いいえ!

顔に ブツブツ 出てるから
はしかに間違いありません。

とにかく オレ 医者
呼んでくっから!
大丈夫です!

はしかぐらいで
医者に来てもらったら

母親には なれません。
風に当てないようにして

熱 下がるの
待つよりほかないんです。

そのために
薬も用意してありますから。

本当に大丈夫だか?
オレが 敷いてやる。

店 何日か休まなきゃならないから
お加代様も お帰りになって

ゆっくり休んで下さい。
店 休むのが?

店 やりながら
雄の看病は できません。

雄は いつも おとなしく
一人で遊んでくれてます。

病気の時ぐらい
そばに いてやりたい!

何日 店 休んだって 構わない!

それが できないんだったら
母親の務め 果たせません!

雄 我慢して…。

いつも ほったらかしてて
悪かったな…。

母ちゃん ず~っと
そばにいるぞ 雄!

♬~

子どもっていうのは
本当に 大変なもんだのう!

(みの)うん。 働きながら
育てるっていうのはのう…。

はしかなら まだ ええけど
長く患ったりしたら

母親は働けねえし 親子で
干ぼしになってしまうんだもの。

なあ 雄坊んどご うちで
預かってやったら どうだろう?

オレも 手が空いてるし
うちには 女子衆もいるしのう。

んだば おしん
足手まといが いなくて

思いっきり働けるんだ。
オレも 気が紛れるしのう。

もし おしんに 好きな人ができて
嫁に行きてえって言うんなら

雄坊
うちで もらってもええしのう。

おっ母様?

お前は いつ 子ども できるか
分からねえんだもの…。

おしんの子なら
縁がねえ訳でもねえんだ!

雄坊は ええ子だし
加賀屋の跡取りにしても

おばあちゃん
反対なさらねえだろうしのう!

≪(加代)おしん

弁当 持ってきてやった。
風が入りますので。

すまねえ。 雄坊 まだ悪いんだか?

いえ あと2日もしたら
よくなると思うんですけども…。

軽くて済みそうですから…。
あ~ そう。 よかった。

何にも食べてねえんだろう?
これ おっ母様から 弁当。

これは 雄坊の着替えだって。

何から何まで 申し訳ありません。
奥様と お加代様のおかげで

私も 本当に ゆっくり
雄の看病してやれます。

これが 一人だったらと思ったら
もう

考えただけで ゾッとしました。

やっぱり こんな時は
父親がいてくれたらなって

心細くなりました。
おしんらしくねえぞ!

おっ母様が 雄坊
預かってやってもええって。

おっ母様だって 寂しいんだよ。

おっ母様に
雄坊 預かってもらったら

おしんだって 何の心配もなしに
店の事だってできるんだ。

一石二鳥でねえが。

せっかくの ご好意ですが
一日でも 雄を手放す事は…。

それは そうだろうけど

こんな事 長引いたら
親子で共倒れだぞ。

雄を 佐賀から 連れてきたのは

雄と一緒に
生きていきたかったからです。

どんな事があったって
雄は 私が育てるんだ!

そのために 連れてきたんだもん。

今日 佐賀へ 手紙 書きました。

どんな手紙 出しても
返事は もらえない。

もう 諦めてはいるんですけども

雄の寝顔 見てたら

やっぱり 父親が
そばにいてくれたらなって…。

おしん…。 お前…。

今度 返事がなかったら

諦めます。

おしん…。

でも 今 あの人 来てくれたら

この店で 3人
なんとか暮らせるんだけどな…。

(清)ふん!
酒田で 飯屋ば始めたて。

「なんとか 親子3人
食べらるっごと なったけん

竜三にも帰ってこい」って
言いよっとよ。

竜三に 飯屋の主人になれって
言いよっとか!

人をバカにすっとも
程があったい!

田倉の家ば 一体
何て思うとっとやろうか。

昔は 名字帯刀も許された家ばい。
どがん落ちぶれたっちゃ

飯屋てん させらるっもんね!

全く!

(恒子)ばってん
おしんさんは 偉かですね。

雄坊ば抱えて 一人で 立派に…。

方々 流れ歩いて
一体 何ばしよったとか。

飯屋て言うたっちゃ どうせ
ろくでもなか客ば 相手にして

好きな事ばっかり
しよっとじゃろう。

恒子! 今夜 竜三の仲人さんが

式の日取りの事で
相談に見ゆっさい

夕飯ば 差し上ぐっとじゃけん
何か 支度ば頼むばい。

(加代)この里芋は 煮んのが?
はい。 今日は お月見ですから。

去年の お月見には
おばあちゃんも まだ 元気で

一緒に お月見したんだけどな~。

竜三さんから
とうとう来なかったな 便り。

やっぱり 諦めんだな
竜三さんの事は…。

諦めてしまえば また
新しい人生だって できんだから。

おしん。 酒田に 浩太さん 来るの
知ってんが?

農民運動とか何とかっていうのが
出来て

その運動で
走り回ってるらしいんだども

うちへ来る地主が
そげな事 言ってたんだって…。

本当に 浩太さんなんですか?

名前までは
はっきり分かんないだども

そげな事するのは
浩太さんに決まってるんだよ。

まさか!

そうだな…。 たとえ
それが 浩太さんだとしたって

オレたちには 関わりのねえ人
なんだよね もう…。

そうですね。 違う世界の人に
なってしまったんだもの。

「浩太さんが 酒田へ来る…」。

おしんの胸に ふと
熱いものが よみがえっていた。

…が 今は 遠い人であった。

それが
おしんには 寂しく 悲しかった。