ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

金田一耕助の傑作推理 不死蝶 古谷一行、有森也実、佐倉しおり… ドラマの原作・キャストなど…

『ミステリー・セレクション・金田一耕助の傑作推理 不死蝶』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. マリ
  2. 朋子
  3. 康雄
  4. 古林
  5. 先生
  6. 峯子
  7. 金田一先生
  8. 鍾乳洞
  9. 矢部
  10. 英二
  11. 矢部家
  12. 井戸
  13. 文蔵
  14. 慎一郎
  15. 射水
  16. 由紀子
  17. 金田一
  18. 警部
  19. 年前
  20. 失礼

f:id:dramalog:20190923163016p:plain

『ミステリー・セレクション・金田一耕助の傑作推理 不死蝶』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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[字]ミステリー・セレクション・金田一耕助の傑作推理 不死蝶

23年前、かなわぬ恋の末に古井戸へ身を投げた女性は生きていた!?真相を探ろうとする金田一の前で、次々と殺人事件が発生する。

詳細情報
出演者
【出演】古谷一行有森也実、佐倉しおり、内田朝雄、矢崎滋、宮下順子ほか
番組内容
金田一耕助古谷一行)は、矢部杢衛(内田朝雄)と名乗る人物から事件の調査を依頼され、信州・射水に向かう。この地には、矢部家と玉造家の2つの名家があるが、両家はかねてより折り合いが悪かった。だが23年前、杢衛の長男と玉造家の娘・朋子が駆け落ちをしようとし、その騒ぎによって、朋子が古井戸に飛び込み自殺をしてしまう事件が起こった。彼女の遺体は未だ見つかっておらず、自らを蝶に例え、死後復活するという意味の
番組内容2
遺書のみが残された。
耕助が射水に着くと、富豪の後継者・鮎川マリ(有森也実)とその母・君江(有森也実・2役)の歓迎パーティーが行われていた。杢衛は、実は朋子が生き延びており、それが君江ではないかと疑っていたため、金田一に捜査を依頼したのだった。
ところがパーティーの最中、君江が行方不明に。そして君江を探しに出た杢衛が、遺体で発見される!
原作・脚本
【原作】横溝正史
【脚本】江連卓
監督・演出
西村昭五郎
制作
1988年

 

 


<(金田一)
私が信州の射水という町に>

<出かけてみる気になったのは>

<矢部杢衛という未知なる人物から
送られてきた>

<手紙のためであった>

<手紙の用件というのは>

<折り入ってお願いしたいことが
あるから>

<この手紙が着きしだい
当地にお出向き願えまいか>

<お願いの筋というのは>

<目下 当地に滞在中の>

<さる人物について
調査していただきたいのだが>

<詳しいことは
お目にかかってお話しする>

<というようなことであった>

<この手紙だけでは 私も
心を動かされることはなかった>

<私が その気になったのは>

<翌日送られてきた
この手紙のためであった>

あの 射水
まだ だいぶ先ですか?

あっ? あっ もうすぐだ
ああ そう

(古林)失礼ですが

射水へおいでですか?
はい

ちょっと… 射水はどちらへ?

はあ 矢部さんというお宅に
やっかいになるつもりですが…

矢部家へ?
矢部家とは親しい間柄ですか?

いやいや
全然 一面識もないんですよ

矢部家では
誰もお変わりありませんか?

いえ さあ…

矢部さんとこは 最近
別に変わったことはねえがなあ

いや 最近と言われても

私は23年ぶりに
射水を訪ねるんでね

ああ 杢衛さんっていう
ご主人がいたが 元気かね?

ああ 杢衛さんなら元気だ

慎一郎さんって息子さんは
どうしてるかね?

慎一郎さんはな 嫁もろうて
一人娘の都さんも もうええ年じゃ

ああ そう

それじゃあ いいなずけだった
峯子さんと結婚したんだ?

そうそうそう… その峯子さんが
都さんのお母さんだ

いや~ あの人が
慎一郎さんと一緒になるときには

大騒動だったなあ

あんた 知っとなさるかな?

あの慎一郎さんの弟の英二さん

ほれ 鍾乳洞で殺された人よ!

ああ 知ってる
英二君の死体は私が発見したんだ

へえ

じゃあ あの時分
あんた 射水にいらしたのかね?

うん 矢部家にいた者だ

ところで あの玉造の娘の
ほら 何つったかな

英二君を殺した女だが…
ああ ああ

朋子さんかね?
ああ! そう 朋子

あの女の死体 見つかったかね?

何しろ私は
英二君の葬式を済ませて

すぐに射水
発ってしまったので

な~に 見つかるもんかね
ええ?

あの底なし井戸に飛び込んだらさ
誰も見つかるもんじゃねえや

底なし井戸?

ああ そうだ 射水にはな

地獄まで続くっていう
深~い深い 底なし井戸があるんだ

ほう

23年前にな
男を殺した女の人がよ

申し訳に
その井戸に飛び込んだんだ

まあ その子もかわいそうっちゃ
かわいそうだが

身から出たさびだよな

大体な 玉造の娘が

矢部の息子にほれたっちゅうのが
間違ってるんだよ

それは どういうことですか?

例えば
身分違いとかいうことですか?

いやいや…
そんなんじゃないんだよ

玉造も矢部もな
射水きっての名家だがね

それじゃあ どうして?

玉造と矢部っつったらな
先祖から仲が悪くてよ

敵どうしみたいに
いがみ合ってんだ

だから若い者は
いくらほれ合っても

しょせん うまくいかねえ

23年前の殺人事件…

矢部英二…

玉造朋子…

底なし井戸か…

(鐘が鳴る)

何かあったんですか?
(お作)ああ いいえ

今 玉造さんのところへ
来てらっしゃる奥様が

この教会にお参りに来てるもんで

玉造さんのとこへ来ている
奥さんと言いますと?

ブラジルの大金持ちの
養女になることが決まった

鮎川マリさんのお母さんですよ

ふ~ん
ほらほら

朋子!

朋子

(朝子)
お人違いではございませんか?

こちらは
そういうお方ではありません

さあ 奥様 まいりましょう

<朋子… 朋子…>

<23年前に
英二という青年を殺して>

<底なし井戸に飛び込んだ
玉造の娘と同じ名前>

ああ どうも

(峯子)
ようこそいらっしゃいました

私 当家の家内で
峯子でございます

あっ 金田一です
突然 参上しまして失礼しました

前もって 電報でも打っておけば
よかったんですが

いえ たぶん 今日あたり
おみえになるのではないかと

さあ どうぞ
はあ 失礼します

(都)ごめんください
はい

あの 失礼ですが

おじいちゃまが お目にかかりたい
と言っていますから

どうぞ こちらに

都さん… でしょ?

あら? どうしてご存じですの?

こっちへ来る汽車の中で
こちらの噂が出ましてね

おたくを よくご存じだっていう
人に会いました

ここに傷のある…

あの人もこちらに?
はい おみえになってますわ

おお 親戚か何か?
はあ

古い知り合いだそうですけど
あの人 何だか気味が悪くて…

ああ

(慎一郎)お父さん

私立探偵を雇って調査するなんて
どうかしてますよ!

(杢衛)
慎一郎 お前はそう言うがの

わしの悔しさは
何年たっても消えんぞ

英二を殺した女が まだ生きて
ヘラヘラしとるんじゃが!

(宮田)まあまあ 慎さん
ご隠居さんの気の済むように

させてあげたらいいじゃ
ありませんか

もう探偵も来ているんだから

おじいちゃま
お客様をお連れしました

(慎一郎)私は失礼しますから

ああ 古林君はどうしますか?

(杢衛)おお しかたないが
当分置いてやれ

大陸から 一文無しで
帰ってきたんじゃろう

追い出すわけにはいかん
置いてやれ

分かりました

都 お母さんは?

台所で古林さんにお夕食を
そうか

金田一先生!
ようこそ ようこそ

さあ どうぞ どうぞ どうぞ…

はあ どうもありがとう

失礼します 金田一耕助です

はい はじめまして
わしが矢部杢衛ですじゃ

このたびは とんだことを

お願いすることに
なったんじゃがのう…

ああ その前に紹介しとこう

今 向こうへ行きましたんがの
せがれの慎一郎

で これは慎一郎の嫁の兄で
宮田文蔵ですじゃ

この矢部家の経理一切を
任しておりましての

文蔵 お前から いったん話をせい
(宮田)ああ さようですか

実はですね 金田一先生
今 この土地に

ブラジルのコーヒー王の養女と
名乗る娘が来ております

先生も すでに新聞で
ニュースはお読みでしょうが

ああ… いや 実は 私

ここへ来る直前まで やっかいな
事件に取り組んでまして

新聞 読む暇が…

失礼して
ちょっと読ませていただきます

ああ 美しいお嬢さんですな

日本名を鮎川マリ

ブラジル名を
マリーナ・ゴンザレスさんというんですな

このマリさんが ブラジルのコーヒー王
アルフォンゾ・ゴンザレス氏の養女に

サンパウロ州
広大なコーヒー園を経営

そのほかに
有名なダイヤモンド鉱山…

とてつもない金持ちですな
なるほど…

この記事によりますと
母親の君江さんは

長くゴンザレス家の家事取締の
地位にあって

献身的に ゴンザレス氏に
尽くしたようですね

金田一先生 旦那様の希望は

まさに その鮎川君江なる人物の
身元を調査していただきたい

つまり 前身を洗ってほしい
ということなんです

ほお それはどういう訳で?

事情をお話ししましょう

旦那様には
長男の慎一郎さんのほかに

英二さんという
ご次男がおられたんです

その英二さんは
23年前に鍾乳洞の中で

心臓を鍾乳石で一突きにされて
殺されたんです

鍾乳石で心臓を…

鍾乳洞の中には

つららのような鍾乳石が
一面にぶら下がっておるんです

英二さんは その鍾乳石で…

犯人は慎一郎さんにほれていた
玉造朋子でした

待ってくださいよ

なぜ その朋子さんが
犯人だと分かったんですか?

それは 英二さんが

朋子の着物の片袖を
しっかりと握っておったからです

朋子はの
うちの慎一郎をけしかけて

駆け落ちを たくらんだんじゃ

わしは偶然 2人が落ち合う場所と
時間を書いた

朋子の手紙を見つけたんじゃがの

慎一郎はの 峯子っちゅう
いいなずけがおったんじゃ

それでのうても 玉造の娘を
嫁にするっちゅうことは

許されるわけがねえ!

わしは あの家のもんに言うて
慎一郎を土蔵に閉じ込めて

英二にの…

英二に朋子を捕まえるように
わしは命令したんじゃが

それがの…
朋子は英二さんを殺した後

罪を悔いて
底なしの井戸に飛び込んで

自殺をしたということに
なっております

ですが 誰も朋子の死骸を
見た者はいないんです

ひょっとすると
死んだと見せかけて

どこかで生きているんじゃないか
という疑いが

ずっと昔からあったわけです

先生
これが鍾乳洞の地図ですが

当時は これの出入り口は

矢部家の庭と玉造の庭にある
2つと思われていたんです

ほお… ってことは
こちらの矢部家と玉造家とは

この鍾乳洞を通じて
つながってるっていうわけですね

そうなんです
ところが ここをご覧ください

ここに湖に通じる
もう一つの出入り口があることが

後で分かったんです

じゃあ 朋子さんは
この抜け道を通って

湖に逃げたと
おっしゃるんですか?

ええ その可能性が強いと…

旦那様は 玉造の別館に来ている
その鮎川君江という女が

朋子に違いないと
にらんでいるんです

ああ 違いにゃあ 違いにゃあとも

わしはの あの君江っちゅう女が

教会から戻ってくるところを
見かけたんじゃ

あれは間違いなしに朋子じゃ!

わしの目に狂いは にゃあがな!

かわいい息子を殺した女だ!
憎い憎い息子の敵じゃがね!

何年たっても
忘れることはにゃあが!

あっ そうじゃ ちょうどええ
金田一先生

鮎川マリがの 明日の午後5時に

町の有力者呼んでパーティー
やることになっとるんじゃ

パーティー
うん

マリは射水の小学校や公民館に
莫大な寄付をしよりました

それで 町長達がマリを呼んで
お礼の席を設けたんですが

今度はマリが その返礼だと言って
パーティーを…

わしら矢部家もな
招待されとるんじゃがな

先生 あんた

わしらの身内っちゅうことで
一緒に行ってくだされ

そんでの

あの君江っちゅう女の面の皮を
ひんむいてくだされや

ほんで ほんでの

あの女を縛り首にして
くだされや… のう?

朋子さんの遺書には どんなことが
書かれてたんですか?

遺書ですか?

それが何とも
訳の分からん遺書でしてね

確か…

「私は行きます
でも いつか帰ってきます」

「蝶が死んでも 翌年 また美しく
よみがえってくるように…」

そんな文章でしたな

「私は行きます
でも いつか帰ってきます」

「蝶が死んでも 翌年 また美しく
よみがえってくるように…」

はあ~っと

(お作)え~っとね ああ お皿…

(由紀子)
康雄お兄ちゃん 準備はどう?

(康雄)
いつ お客が来ても もう大丈夫だ

それじゃあ 私
マリさんに報告してくる

手紙が来てるのよ

あっ 由紀子
何?

おばあちゃん どうしても
パーティーに出ない気か?

マリさんのことで
意地張ってるのよ

しょうがないなあ

あいさつぐらいは
してもらわないとな

お兄ちゃん 説得してよ
よし 分かった

(カンポ)フゥー!

やだ カンポさん
驚かせないでよ

ごめんなさい
これ 私の仕事です

フフッ…

きれい…
(マリ)あら 由紀子さん

パーティーの準備は
もう お済みかしら?

ええ 兄がしっかりやってますから

そう それなら大丈夫ね

マリさん お手紙が来てますよ
私に?

誰からかしら?

(マリ)
「マリよ この手紙を読みしだい」

「母を連れて この地を去れ」

「ここにいることは お前や
お前の母のためにならぬと知れ」

お嬢様 どうなさいました?
何でもないわ

由紀子さん

矢部家の人達は 今日のパーティー
来てくれるのかしら?

来ると思いますよ

だって出席するって
返事がありましたから

そう それならいいの

矢部家の人達が欠けたら

パーティーをやる意味が
なくなってしまうわ

お嬢様!

マリさん 今日のパーティー
お母様も出られるんでしょう?

ええ そのつもりなんだけど
母の気分がすぐれないのよ

皆様に ごあいさつぐらいは
してもらおうと思ってるんだけど

マリさん 気を付けた方がいいわ
どういうこと? 由紀子さん

矢部のおじ様が

マリさんのお母様は
亡くなった私のおばと

同じ人間だと
言ってるんですって

私の母が?

あなたのおば様って
どんな方なの?

朋子といって
とても美しい人だったそうです

どうして亡くなられたの?

それは…
ねえ どうしてなの?

朋子おば様は23年前

英二さんという
矢部家のご次男を殺して

底なし井戸に
飛び込んでしまったんです

まあ…
でも

そんなの濡れぎぬなんです!

亡くなった私の父と母が
いつも言ってました

朋子は誰かに陥れられて
自殺したんだって

それなのに矢部のおじ様は
東京から探偵を雇って

君江おば様の正体を
探らせようとしてるんですよ!

探偵を? どんな探偵なの?

金田一耕助という探偵で

これまで難しい事件を
何件も解決してきた

名探偵なんですって

金田一耕助… そう 名探偵なの

だから私 心配で心配で…

ねえ 由紀子さん

朋子おば様のこと 私に もっと
詳しく話してくださらない?

でも…

誰!?

誰かしら?
顔に傷があったわね

(乙奈)
康雄 お前と矢部の娘の噂が

わしの耳に入らんと
思っているのか?

わしは許さんぞ 康雄

仮にわしが許しても
矢部では絶対許さんじゃろう

康雄

23年前の朋子の二の舞だけは
決してせんことじゃ

さてと そろそろ客も来る頃だ

おばあちゃん さっき
どこの馬の骨とか言ったけど

マリさんのお母さんは
朋子おばさんじゃないかって

もっぱらの噂だよ

朋子が…?

あら! あんた あんときの!

おお おお!
教会でお会いしましたね

ハハハ…
あんたも来なすったんですか

ええ 何しろ この町のこと
何にも分かんないもんですからね

町の人達に会っとくのも
いいんじゃないかと思って

ほら あちらが町長さん
ああ…

あのひげが
小学校の校長さんご夫婦

ああ…
ああ これは どうも

(お作)
警察署長さんに 神崎警部だよ

ああ これは どうも
ようこそ

(神崎)本日は どうも
ご招待いただきまして

誠にありがとうございました

いやいや どうも… どうぞどうぞ
それでは

県警から射水署の捜査課長に
赴任してきたばっかりの

警部さんでね

大学出の出世頭なんだってさ
頭が切れるんだそうよ

ほお そうですか

ああ ああ どうもどうも…

ああ あんなとこで
何をしとるんじゃろう?

あれじゃあ まるで玉造に
雇われた人みたいじゃないか

金田一先生! こっち! こっち!

どうもどうも

困るんじゃ 先生

仕事を依頼したのは
このわしじゃが

ええ それは もう…
あんなの放っときゃええんじゃ

矢部さん こちらの方を
ご紹介していただけますか?

おお 神崎警部 紹介しよう

こちらはの 東京から
わざわざ来てもろうた

私立探偵の金田一耕助先生じゃ

金田一です
射水署の捜査課長 神崎です

ほお あなたが かの有名な…

いやいや…
有名だなんてとんでもないですよ

穴があったら
入りたいぐらいです

穴でしたら 射水にも鍾乳洞という
大きな穴がありますよ

はあ?
それから底なし井戸もあります

よろしかったら
いつでもご案内いたしましょう

アハハ…
こりゃ一本やられましたな

(金田一・神崎)ハハハハ…!

警部 警部
あんたが笑うことはない

あんたが どうしても
わしの話を聞いてくれんから

先生に来てもろうたんじゃぞ

金田一さんは その用件で…

金田一さん あの23年前の事件に
何かご不審な点でも?

いやいやいや 私は まだ何も
そうでしょう そうでしょう

金田一さん 射水を去る前にでも
一杯やりましょう

先生が解決なさった
難事件の苦労話でも

お伺いしたいもんですな
フハハハ…!

え~い 役立たずが!

ハハッ

峯子さん 遅いですね

ああ 用事を済んでからと
言うとりましたけえ

追っつけ着くでしょう

名探偵というから
どんな男かと思えば

まあ むさ苦しいだけの男でして…

似てる!
えっ 誰にですか?

いや…

射水の町の皆様
鮎川マリでございます

このパーティー

私の皆様に対する
お礼の意味で開いたものです

皆様 どうぞ
ごゆっくりくつろいで

パーティー
十分楽しんでいただけますよう

お願い申し上げます

(拍手)

皆さん ご静粛に願います

まず はじめに町長さんの音頭で
乾杯いたしますので

よろしくお願いします
町長さん どうぞ

町長の水口虎雄でございます

このたびは 鮎川マリさんには

射水の町に
多大なるご寄付をいただき

厚く御礼を申し上げます

それでは 皆さん

鮎川マリさんの
健康と幸せを願い

なおかつ
射水の町の発展を願って

乾杯いたしたいと思います
乾杯!

(一同)乾杯!

あなたのような お美しい方に
お目にかかることができて

光栄至極に思っております

マリでございます

小学校長の佐藤でございます
よろしく

公民館館長の山田でございます
よろしく

よろしく

マリでございます

矢部様
どうぞよろしくお願いいたします

矢部慎一郎です

鮎川マリです

矢部都です

都さんとおっしゃるの?

今度 ぜひ遊びに
いらしてくださいな

はい どうもありがとうございます

あっ 矢部さん こちらの方は…

探偵の金田一耕助先生です
あなたが…

金田一です
初めてお目にかかります

マリでございます
どうぞよろしく

ああ… こちらこそ よろしく

マリさん お母さんの君江さん
どうした?

いつ来なさるのかな?

母は 急に気分が悪くなりまして
今日のパーティーには

失礼させていただくと
申しておりました

今になって気分が悪い?
どう悪い?

体が動かんくらいに悪いなら
この中にも医者がおる

すぐ診てもらったらどうかな?
いえ それには…

ここにはな 町のそうそうたる
連中が来ておるんじゃ

お母さんが あいさつ
せんわけにはいかんじゃろう

杢衛さん 奥様は気分が悪いって
言うとるんじゃから…

気分が悪いんなら それなりの
あいさつのしかたもあろうがや

それに わしらとしても
ひと言 奥様に礼を言わにゃあ

なんぼ田舎もんでも
義理が立たんでの

分かりました
今すぐ母を呼びますわ

先生 お母様をお呼びして

かしこまりました

いけないわ こんなこと
どうして?

だって おじいちゃまや
お母様に見つかったら

どんなことになるか

二度と康雄さんに
会えなくなってしまうわ

都 いつまで
そんなこと言ってるんだ

僕は もう あの家を捨てても
いいと思ってるんだよ?

由紀子もそうしろって
言ってくれてるんだ

私にはできない

できない? なぜだ

私 怖いの 康雄さんや 私に

何か よくないことが
起こりそうな気がして

都のお父さんと うちのおばの
昔のことを考えているんだな?

だって 考えずにいられないわ

近頃 また あの話が…
都 そんなことは忘れるんだ

そんなことより
僕達は自分達のことを

真剣に考えなきゃいけないんだよ

君は いつか言ったね
お父さんが気の毒でならないって

君のお父さんの胸には
今でも 朋子おばさんが生きていて

そのために
お母さんとうまくいかないって

僕は 君のお父さんのように
なりたくない

あんな惨めな思いは
したくないんだ

いいかい? 都

君が 今 勇気を出してくれないと

僕は 君のお父さんの
二の舞になってしまうんだよ

分かってくれよ 都

決心してくれるんだね?
ええ


康雄さん

すばらしいですね

マリさん あんたのお母さん

わしらを
いつまで待たせる気かの?

母は 皆様に失礼にならないように

お化粧に時間をかけているんだと
思います

客を待たせて長化粧か
女王でもあるまいし

皆さん 母が来るまで
少々 時間があると思いますので

私が 皆様に
ブラジルのタンゴを

披露したいと思うのですが
いかがでしょうか?

≪おお
≪ああ いいですね

どなたか
お相手をしていただけませんか?

ああ そうだ 警部さん

あなた ダンスがお得意だと
言っておられたが…

ダンスは得意なんですが

私のは…
ソシアルダンスでありまして

タンゴというのは その… あっ

金田一さん あなた
お相手をなさったらどうですか?

いやいや だめです だめです
僕は だめですよ

名探偵なんでしょ あなた

タンゴの一つや二つ踊れないで
どうするんですか

いえ… しかしですね
それは いや 困りますよ

金田一先生 お願いします

私がリードいたしますから

そうですか

私でよろしければ

♬~

でも 康雄さん
逃げるといっても…

都は何も心配するな
僕に任しておけ

(足音)

いけない 誰か来た

奥さんだ

康雄さん あの人どこに行くの?

この林の向こうに
鍾乳洞の入り口があるんだ

何ですって?
都 君は向こうに行ってくれ

僕は 気になるから
ちょっと後をつけてみる

だめよ だめよ そんなこと
大丈夫だ 君は向こうに

康雄さん!

都さん?

(拍手)

マリさん ご盛会で結構じゃが

それにしても遅すぎるぞ
あんたのお母さん

何をしてるんだ?

カンポ お母様を見てきて

朝子先生は何をしているの?
はい!

いや すばらしい
実にすばらしかった!

さあ ハハハハ

驚きましたな 金田一さん
人は 見かけによらぬと言いますが

あなたがタンゴを踊れるとは

いや ハハハ…
いやいやいやいや…

お嬢様!

奥さんも 朝子先生も
どこにも姿が見えません!

何ですって? どういうことなの?

さては逃げたな
逃げたですって? 失礼ですわ

あんたのお母さんにはな

わしらに顔向けできん
訳があるんじゃ

矢部様
それはどういう意味ですの?

はっきりおっしゃってください

おお はっきり言ってあげよう

あんたのお母さんは
わしの息子を殺して逃げたんじゃ

やめてください お父さん
(由紀子)マリさん

おば様が鍾乳洞のほうに
歩いていきましたよ

えっ? 鍾乳洞にですって?

ええ それが変なんです

何だか 夢を見てるような歩き方で

まるで 雲に乗ってるみたいに
ふわふわと歩いてったんですよ

(朝子)お嬢様!

先生 じゃあ この十字架は
鍾乳洞の入り口に?

ええ 奥様の姿が
見えないものですから

お庭に探しに出かけたところ
由紀子さんが

鍾乳洞に向かうところを
見かけたというものですから

マリさん
これはどういうことかな?

母は発作を起こしたんですわ
発作じゃと?

ええ
母は ひどく気を使ったりすると

時として 夢遊病者のように
なってしまうんです

夢遊病者?

そうかい
わしらに顔を見せんために

とんだ言い訳を
考えたもんじゃのう

矢部様 そこまでおっしゃるのなら

じかに母に会って話してください

先生 着替えの支度をして

カンポ 私と一緒に鍾乳洞へ来て

望むところだ

金田一先生
おもしろくなってきましたぞ

警部 あんたも一緒に来なさい

いよいよ これで決着がつくんだ

由紀子さん 康雄さんは?

さあ…

そう それなら まいりましょう
由紀子さん お願いするわ

はい

朋子おばさん

(コウモリが鳴く)

ううっ!
キャア!

(杢衛)警部 コウモリですじゃ

ここは
コウモリの窟といわれての

無数のコウモリが
すみ着いとるんじゃ

私は その どうも

コウモリというやつは
元々 苦手でありまして…

僕だって同じですよ
あまり気持ちのいいものじゃない

せがれの死骸の上にものう

何羽かのコウモリが
飛び回っとったんじゃ

このコウモリの中のどれかが

英二が朋子に殺された現場を
見とったはずじゃ

マリさん ここに足跡が

こっちのは 男の靴の跡ですな

お兄ちゃんの足跡かもしれない

まあ じゃあ 康雄さんは
母を追ってらしたの?

とにかく 先へ行こうよ

由紀子さん マリさんの母上は

明かりを 何か
手にしていたんですかな?

いいえ
何も持ってなかったと思います

ほう 明かりを持たず この洞窟に

マリさん 夢遊病者というのは

暗がりの中でも
目が見えるものですかな?

警部 すごい さすが警部
鋭い質問ですぞ

金田一先生
どういうことですかな?

さあ?
わしは この話は聞いたことがない

よっぽど この鍾乳洞に
慣れた人間なら ともかく

ブラジルから
こないだ来たばかりで

明かりも持たずに
こんなところへ入るってのは

おかしいじゃないですか
どうですかの?

由紀子さん 行きましょう

マリさん

左は底なし井戸

右は 矢部家の裏の崖に出られます

(由紀子)
おば様 どっちに行ったのかしら?

左じゃ 左に決まっとるわ

自分が殺した男の家のほうへ
行くわけがにゃあ

だって おば様は
そんなこと知らないもの

いいや 知っとる
そっちじゃ 左へ行ったんじゃ

あっ 母の靴跡だわ

ほほう やはり
矢部さんの言うとおり

これは左ですな

そうでしょうが
いや これは何かをたくらんで

明かりも どっかで
用意しとったに違いねえだわ

さあ 行こう 行こう!

由紀子さん 底なし井戸ってのは
まだ遠いんですか?

ええ まだ先です

みんな 明かりを消して
向こうから誰かが

(足音)

おば様? おば様なの?

誰だ

待て!

(神崎)待て!

待たんか!

待て~!

矢部さん
うん?

今の男 ご存じだったんじゃ
ありませんか?

いや わしには
懐中電灯の明かりしか見えなんだ

カンポ 私も行ってみる
マリさんだめ! 行っちゃだめ!

金田一先生 この辺りが
とどかぬ窟といいましてな

せがれが殺されたのは
ここなんです

底なしの井戸は この先ですから

金田一先生 その辺
気を付けてくださいよ

足を踏み外すと…

ほれ 地獄行きですからな

底なし井戸っていうのは
これのことですか?

いやいや 底なし井戸は

この谷の
向こう岸にあるんですがな…

(由紀子)おば様だわ おば様!

朋子だ!

(杢衛)朋子だ!

朋子だ 見ろ!
やっぱり帰ってきとったんじゃ!

くそっ!

おば様 逃げて!

そっちに 矢部のおじい様が
行ったわよ!

早く逃げて!

金田一先生 行きましょう
ああ ちょっと待った

矢部さん
おじい様

矢部さん
おじい様 待って

おお
マリさん

由紀子さん
矢部さんは どうなさったの?

底なし井戸のそばに おば様が
立っていたのが見えたのよ

崖っぷちに立って
おば様はカンテラを下げていたわ

お母様が?
ねえ 底なし井戸ってどこなの?

私達 道に迷ってしまって
すぐそこです

(杢衛)この恥さらしめが!

お前が何をやっとるか
分かっとるのか!

(女の悲鳴)

おば様だわ!

(杢衛の悲鳴)

今の声 何なの?

マリさん 懐中電灯 カンポ君

あれが底なし井戸よ

人が落ちるといけないから
こうやって囲ってあるの

蝶が…
ええ 私も確かに

矢部さん

(由紀子)おば様のベール

それじゃあ
おば様が矢部のおじい様を?

嫌よ… 嫌よ そんなこと嫌!

おば様が こんな
恐ろしいことしたなんて 嘘よ

嘘よ!

由紀子さん
これは何かの間違いなんだわ

マリのお母様は 決してこのような
恐ろしいことはしません

信じて

先生 もういけませんの?

心臓を一突きです

手の施しようがありません

失礼しました あんまり
びっくりしたものですから

先生 さっき
矢部さんの声に混じって

女の声が聞こえたようでしたね
ええ 確かに

すると 矢部さんを殺したのは

女だということに
なるのでしょうか?

さあ

そう断言してしまうのは
いささか…

ご婦人が居合わせたっていうのは
確かでしょうが

23年前に この鍾乳洞で
殺人事件があったそうです

そのときも 犯人が用いた凶器は
鍾乳石だったということですが

今度も また
ええ

マリさん あなたのお母さんは
どこへ行かれたんでしょうか?

私達は 確かにここで

あなたに とてもよく似た
ご婦人の姿を見かけたんですが

母は… 母は 今頃
家へ帰ってると思うのですが

でも 申し上げておきます
さっきの悲鳴は母ではありません

どうして そんなにはっきり
おっしゃれるんですか?

どうしてもです
母は そんな人ではありませんから

≪おーい! そこにいるのは誰だ!

ああ 警部

おお 金田一さん
いや~ あなた達でしたか

いや 参りました
警部 こっちへ

不審な男の後をつけたのは
いいんですがな

いや 途中で姿を見失いまして

その後は もう 私 後が
どこがどこやら 何が…

やっ やっ…
矢部さんじゃないですか

私 実は その…

死体を見るのは
初めてでありまして ウッ…

ちょっと 失礼します

(おう吐)

警部さん危ないですよ
底なし井戸です

≪誰か!
≪おとなしくしろ

痛えな
つべこべ言うんじゃない!

(神崎)おお 平野刑事 君達か

この男はどうした?
(平野)はあ

警部殿の
後を追ってきたんでありますが

この男が いきなり
殴りかかってきたものですから

古林さん あなたがどうして
この鍾乳洞に?

いやあ
ちょっとした やぼ用を済まして

矢部家へ帰ろうと思ったんですよ

それで 近道をしようとして
鍾乳洞へ入ったんですがね

いきなり この連中に囲まれて

こっちもびっくりしましたよ

慎一郎さん! 知らせを聞いて…
ああ

何てことだ 全く信じられん

都 気をしっかり持つんだぞ
いいな?

ええ…

ちょっと待て

(慎一郎)お父さん!

おじいちゃま!
旦那様

検視をしなければ
なりませんからね

ご遺体が矢部家に戻るまでには
2~3日かかると思いますよ

さあ 行け

お義父さんが殺されたって
本当なの?

こんな時間まで 何をしていた?

今夜は
来ないつもりだったんですよ

でも 急に気になって…

年頃の娘を持ってると
油断できませんからね

どこにオオカミがいるか
分かりゃしない

オオカミですって?
ええ そう オオカミよ

今 こちらで聞いたんだけど
康雄さんと都が

しばらく どこかに
雲隠れしてたっていうじゃないの

都! どこで誰の目が光ってるか
分からないのよ

私達に
恥をかかせるんじゃないの!

よりによって
玉造の息子なんかと…

峯子!
私達は署へ行こう さあ!

行こう
いらっしゃい

どうしました マリさん
お母さん 戻ってこられました?

あっ いえ…
でも 母は そのうち きっと…

マリさん このショールは

あなたの母上のものに
間違いありませんな?

はい でも それは何かの…

間違いだと願うあなたの心情は
私にも よーく分かります

だが 私は 心を鬼にして

杢衛老人を殺した犯人は
あなたの母上だと断定いたします

警部さん 断定って言うのは
まだちょっと…

金田一さん
あなた方の証言をもとに

私が論理的に組み立てた結果が
断定なのです

平野刑事
至急 県警に応援を頼んで

鍾乳洞の捜索を始めてくれ
(平野)分かりました

よし ここから分かれるぞ

平野 右 小池 左
(平野・小池)はっ

絶対 逃がすな!
君達は 俺についてこい

(警官達)はい
奥へ

なぜだ…

(足音)

(康雄)都!

康雄さん 昨日は どうしたの?
心配してたのよ

奥さんを追ったんだけど
途中で見失ってしまって

家に戻ったんだよ

(都)何だ そうなの

都! 今がチャンスだ

町じゅうの人の目が
鍾乳洞に奪われている

明日の朝 決行するぞ
待って 康雄さん

まだ おじいちゃんのお葬式
終わってないのよ

都! このチャンスを逃したら

僕達は永久に
結ばれないかもしれないんだぞ

それでもいいのか?

明日の朝6時
舟で湖を渡って弥生町に行く

そこから汽車に乗って
東京に出るんだ

康雄さん…
東京に行けば 何とでもなるよ

いいな? 都

はい

(足音)

都!
おじさん

康雄さん
都をどうするつもりだ?

文蔵おじさん 俺は真剣だ!

俺と都を逃がしてくれ!

バカ! 高校生の分際で
何を言ってるんだ バカ!

(都)やめて おじさん
(康雄)おじさん 頼むよ

都! このバカタレが!

康雄!
泥棒猫みたいなまねをしよって

都をどこぞに
盗んでいく気なんだろ!?

お母さん やめて!
いいや そうに違いない

康雄 お前みたいな男に
都はやらんぞ

金輪際やらんから そう思え!

この青二才が!

古林 やめんか
兄さんは黙っててください

私の娘のことなんだから

古林さん
思い知らせてやったらいい

都 来なさい!
康雄さん!

(康雄)都!
(都)康雄さん!

康雄君 大丈夫か?

くそ… 諦めてたまるか…

古林さん 都を
土蔵に閉じ込めてください

峯子 都をどうするつもりだ?
見れば分かるでしょう

都と康雄はね
昔 あなたと朋子がやったことと

同じことをやろうとしてんですよ

放っておけば
康雄に連れ去られてしまうに

決まってんですから

(都)お父さん!
都!

(鍵をかける)

お父さん! お父さん 助けて!

お父さん 助けて!

古林さん 山の衆に
警察に協力して

鍾乳洞狩りに行くように
言ってちょうだい

峯子! 勝手なまねするな!

兄さん お義父さんの敵を
捕まえるんですよ

どうして いけないんですか?
古林さん 行ってちょうだい

ですが 依頼人の杢衛さんが
亡くなられてしまわれたので…

金田一先生
今度は 私からお願いします

射水にとどまって

父を殺した犯人を
見つけ出してください

慎一郎さん

もし 杢衛さんを殺した犯人が

朋子さんだったら どうしますか?

私は
朋子ではないと思ってます

朋子が生きていたなんて
私には信じられません

もし 生きていたとしても

朋子は 人を殺せるような
女ではないんです

ですが
23年前に英二さんを殺したのも

朋子さんだって
言われてるじゃないですか

先生 そのことも 先生に
真相を解明してほしいんです

私は 今でも…

朋子が英二を殺したなんて
信じてはおらんのです

と言いますと?

英二の死体を発見したのは
古林なんですが

そのとき 私は
今の都と同じように

土蔵に閉じ込められていたんです

(慎一郎)土蔵の窓からは

鍾乳洞の入り口が
よく見えるんです

《早よ朋子を捕まえてくるんだ!》
《(英二)はい》

《早よ行け!》

父の命令で鍾乳洞に飛び込んだ
英二の姿は確かに見ました

が… 古林が鍾乳洞に入った姿も
出てくる姿も

私は見てないんです

おかしいですね
すると 古林さんは

別の口から出入りした
ってことになります

いや しかし 先生
古林は父に頼まれて

英二を捜しに行ったと
言ってるんですよ

だったら当然 この家の入り口から
出入りするはずじゃありませんか

ええ それはそうですね

う~ん

古林さんは当時 この矢部家に
どのぐらいいたんです?

ええ 半年ぐらいでしたね

山の仕事を
手伝ってもらっていたんですが

事件後
大陸に渡ってしまいまして

奥様の峯子さんと文蔵さんも
当時 この家にいたんですか?

ええ 私の父は昔

文蔵さんのお父さんに
大変に世話になったそうで

それで 文蔵さんのお父さんが
亡くなると

文蔵さんと中学生の峯子を
引き取ったんです

うん

峯子を私の嫁にと言ったのは
文蔵さんのお父さんの遺言でした

文蔵さんは その後
大陸に渡って事業を起こし

成功したそうです

ですが はやり病で

奥さんと娘さんを
いっぺんに亡くし

大陸が嫌になって
矢部家へ戻ってきたんです

ほう…

私と峯子は
親が決めたいいなずけとはいえ

きょうだい同然に育ちますと

なかなか
男と女の感情が持てません

それで私は…
朋子さんと恋仲になられた

はい ですから…

都と康雄さんを見て
憎しみを募らせる峯子を

私には 責めることが
できなかったんです

(鍵が開く)

(戸が開く)

(足音)

おじさん
都!

康雄さんが湖で待ってる
さあ早く行きなさい

えっ?
さあ早く!

早く

文蔵さん…

お父さん…

(峯子)都! 待ちなさい!

都! 都 待ちなさい
峯子 峯子

逃がしたのね 都を
都の好きなようにさせてやれ

何 バカなこと言ってんのよ!
古林さん! 山の衆!

バカ!

都が逃げたの
追いかけて! 早く!

康雄さん!
都!

≪待て!

さあ早く

先生!
康雄君! 早く行け!

どけ!

≪待て~!
≪逃がすな!

≪待て!

≪おい! こら!

≪待て!

≪逃がすな!
≪待て!

(マリ)早く!
お兄ちゃん!

早く
カンポ!

≪何だ てめえ!

金田一さん
ああ警部さん 何とかしてください

あれは何ですか?

カポエイラという
ブラジルの格闘技ですよ

昔 農場に雇われていた奴隷達は

手に武器を持つことを
禁じられてましてね

それで 足を使った ああいう
格闘技を考え出したんです

(神崎)いや それにしても
見事なもんですな

感心してないで 警部
何とかしてくださいよ

おい こら お前達!
私は射水署の神崎警部だ

何をバカなこと やってるんだ!

署に引っ立てるけどいいのか!?
こら!

康雄さ~ん 都さん

幸せになるのよ!

まるで
ロミオとジュリエットですな

ええ そうでしたね
あの2人には幸せになってほしい

どんなことがあっても
うん

純粋に恋をする者を
押しとどめることは

誰にも許されることでは
ありませんわ

ええ 私もそう思います

金田一先生…
えっ?

何ですか? マリさん

マリさんも金田一さんも
様子が変ですぞ

熱でもあるんじゃないんですか?
えっ?

あっ 熱い目だ

どうやら 私は退散したほうが…

あの…
ご協力ありがとうございました

(朝子)お嬢様? 失礼します

隅に置けませんな 金田一さん

マリさんは
あなたに恋をしておりますぞ

ええ!?

フッ…
警部 からかわんでくださいよ

そんな… 恋だなんて…

ハハハハ…

金田一さんの顔が赤くなったぞ
ハハハハ…

それにしても
どうして マリさんは

私に恋をしなかったんだろう

(足音)

都が康雄に連れ去られた
っていうのに あなた達は…

警部さんも警部さんですよ
康雄は人さらいなんですよ

どうして
捕まえてくれなかったんですか?

私は 人の恋路の
邪魔をしないことを

モットーとしておりまして
ハハハ…

笑いごとじゃありませんよ

それじゃ 義父を殺した犯人は
どうしたんですか?

朋子に決まってますよ

朋子が舞い戻ってきて
お義父さんを殺したのに

決まってるのに
峯子 警部さんに失礼じゃないか

あなたも ぬけぬけと
23年前の恨みを

都と康雄に晴らさせた気分で
いるんでしょうけど

都は 私が必ず
連れ戻してみせます

奥さん 都さんを逃がしたのは

文蔵さんなんですよ

そんな! 兄さんが どうして?

≪おーい! 湖に死体が上がったぞ

≪古林さんが殺されたぞ!

古林さん…

(神崎)
凶器は またしても鍾乳石か

朋子よ!
朋子が鍾乳洞に隠れていて

古林さん 殺したのよ!

そうに決まってるのに

刑事さん
何 ぐずぐずしてるんですか!?

平野刑事 君達は
何をぐずぐずしてるんだ!?

ああ…! うう…

金田一先生 このコンパクトは

君江奥さんが
忘れていったものです

先生から マリさんに
返していただけませんか?

そうですか 分かりました

お預かりいたします

マリさん
ああ 金田一先生

古林さんが
湖で殺されたそうですね

ああ もう お聞きでしたか

実は そのことをマリさんに
お知らせしようと思いまして

私 後悔しておりますの
なぜです?

私 パーティーの日に
脅迫状をもらったんです

ほう
母と一緒に射水の町を去れ

と書いてありました

私達が この町を出ていれば
矢部様も古林さんも

殺されなかったかもしれない
と思うと…

さあ それは何とも言えませんな

マリさん

僕も 射水に来る前日に
脅迫状をもらってるんですよ

先生もですの?
ええ

これですが どうぞ

どうですか 書体は?

私に来たものと同じ書体ですわ

なるほど

あっ 金田一さん 何か?
警部さん お願いがあるんです

このコンパクトと手紙の
指紋を検出して

照合していただけませんか?

コンパクトには 鮎川君江

手紙には 鮎川マリさんの
指紋がついてます

えっ?
大至急

指紋照合
あ… はあ

(平野)右 鮎川君江

左 鮎川マリ

照合します
うん

うおっ… あっ…

金田一さん
これは どういうことなんですか?

母親と娘の指紋が
同じだということは…

つまり 鮎川君江という人物は

この射水の町には
存在していなかったってことです

先生 金田一先生

それは
どういうことなんですか?

マリさんが
この射水の町に来たときには

母親の君江さん
家庭教師の河野さん

それに
ボディーガードのカンポ君の

4人ということでしたね
はい

カンポ君を除けば
女性は3人のはずです

しかし 誰も
3人を同時には見てないんです

君江さんと河野先生

マリさんと河野先生
いつも この組み合わせなんです

マリさんと君江さん
この組み合わせは

一度もないんですよ

はあ 分かりました 金田一先生

これは マリさんが 母親に
化けていたということなんですな

う~ん これで分かったぞ

杢衛老人と古林を殺した犯人は

君江に変装した鮎川マリだよ 君!
はい

これで決定ですな 金田一先生
いやいや 待ってください

犯人は マリさんじゃありませんよ
(神崎)えっ?

マリさんじゃありませんよ
(神崎)いや あの…

だって指紋 あの… えっ?

先生のおっしゃるとおりです

私が変装して
母を演じておりました

いや 見事な変装でしたね

あなたは やや丸顔なのに
お母さんは面長

あれは あなたの苦心の
メーキャップだったんでしょ?

私も はじめは
あなたのお母さんの存在を

すっかり
信じ込んでしまったぐらいですよ

それから…

パーティーの夜に
鍾乳洞に入られたお母さんは

朝子さん

(マリ)はい 朝子先生です

ですが 朝子先生は

鍾乳洞の中で 康雄さんに
追いつかれてしまったのです

ほう 康雄君に?
せっぱ詰まった先生は

康雄さんに何もかもを話し
協力を頼んだところ

康雄さんは快く引き受けてくれて
沈黙を守ってくださったんですわ

そうですか 康雄君が…

金田一先生

私は 遠からず

先生が 私のトリックを
見破るだろうと思っておりました

先生とタンゴを踊った
あのときにですわ

タンゴを踊ったときに…

タンゴを踊りながら 私は

先生というお方を感じていました

こんな言い方は
不自然かもしれませんが

私は 先生が 信じるに足る方だと
感じていたのです

先生ならば
私のトリックを見破り

23年前の母の汚名を
晴らしてくれるに違いない

そう信じたのです

マリさん あなたのお母さんは

玉造朋子さんですね?

はい 私の母は玉造朋子です

23年前に
人殺しの汚名を着せられた母は

底なしの井戸に飛び込み
死のうとしたそうですが

通りかかった
教会の神父さんに助けられ

信者さん達の力で
ブラジルへ逃げ延びたのです

そのとき 母は
私をみごもっていました

そう 私の父は

矢部慎一郎です

ブラジルで私を産んだ母は

生きるために ゴンザレス家に
仕えることになりました

母は見事なほどに
献身的に働いたのです

数年前に奥様を亡くされた
義父 ゴンザレスは

母に求婚しました

しかし 母は その求婚に
どうしても応じませんでした

母は 父 慎一郎を

忘れることが
できなかったのです

義父の許しを得て 私と母は

23年ぶりに
日本に帰ろうとしていました

ですが…

5日後に出航というとき

母は 急な病で
亡くなってしまったのです

そうでしたか

朋子さんは もう…
はい

もう この世の人ではありません

汚名も晴らせず
亡くなった母の無念を思うと

私は 居ても立っても
いられませんでした

金田一先生

私が射水に来たのは

ただただ 母の無実を
晴らしたかったためなのです

23年前に英二さんを殺した

本当の犯人を
突き止めたいためなのです

先生 お願いします

事件の真相を
明らかにしてくださいまし

先生…

やってみましょう しかし

そのために
あなたの協力がいるんです

私なら
どんな協力でもいたしますわ

そう じゃあ マリさん

これから言うことを
手紙に書いて

私に送ってほしいんです

≪失礼します

先生!

何?
はい あの…

手紙が来てますけど
おお おお ありがと

女ったらし!
バカ そんなんじゃないよ

<私が頼んだ
マリさんからの手紙は>

<次の日の昼頃に届いた>

金田一先生
私は母の無実を晴らすために」

「洞窟のあちらこちらを歩き」

「ついに 矢部様を殺した犯人の
重大な手がかりを見つけました」

「先生にも ぜひ
見ていただきたいと思います」

「本日 午後3時
底なし井戸でお待ちしております」

午後3時…

金田一先生
えっ?

本当に 犯人は
現れるんでしょうな?

来ると思いますよ

思いますじゃ困るんですよ 先生!
これは…

あっ 誰か来た!

(足音)

マリさん マリさん こっちです

こっち こっちです

先生

(争う声)

≪離してよ!
行きましょう

(絶叫)

待って!

峯子さんだ

先生 また鍾乳石で…

いや 首をご覧なさい
絞殺の痕があります

犯人は 奥さんを絞殺して

それから
鍾乳石を突き立てたんですな

ああ!

文蔵さん…

(神崎)あっ

金田一先生
マリさん

文蔵さんは
杢衛老人 古林 峯子さん殺害の

すべてを認めてます

矢部家の事業を乗っ取るために
杢衛さんを殺し

その現場を古林に見られ
古林がゆすってきたので

殺す機会を狙っていたと

峯子さんは?

峯子さんは
かねてから文蔵さんの行動に

不審を抱いていて
後をつけたのでしょう

文蔵さんは 金田一さんに宛てた
マリさんの手紙を盗み読み

マリさんが 何か
重大な証拠を握っていると思い

マリさんを殺そうと
鍾乳洞に行ったが

峯子さんに後をつけられ

カーッとなって絞め殺したと
したためられています

「今 みずから命を断つにあたって」

「この告白状を
したためる次第であるが」

「万事は この自分
宮田文蔵が犯せる罪であって」

「ほかの何人にも
責任のないことを」

「ここに神に誓うものである
宮田文蔵」

金田一先生 この事件は

犯人自殺で一件落着
ということですな

金田一先生?

ああ…

金田一先生 ようこそ
どうもお久しぶりでした

先生 カンポ

金田一先生と
二人きりでお話がしたいの

ああ
失礼します

どうぞ
ああ

いらっしゃいませ
ご注文のほうは?

コーヒーを
はい かしこまりました

お元気ですか?
はい

先生 あれからが大変でしたのよ
ほう

父と乙奈おばあ様に会って
親子の名乗りをして

そして 東京に行った
都さんと康雄さんを呼んで

姉妹 いとこの名乗り

それから お葬式

そうそう
都さんと康雄さんの仲は

お父様は もちろん
おばあ様も認めてくださって

将来 康雄さんは
矢部家の婿養子になり

玉造家は 由紀子さんが
お婿さんをもらって

家を守ることになりそうですわ
そう そりゃよかった

≪失礼いたします
ああ どうも

金田一先生

今日 先生に
無理言って来ていただいたのは

ほかでもありません

私に事件の真相を話してください

マリさん…

文蔵さんが自殺なさったことで

事件はもう解決したはずですよ

いいえ 何も解決してませんわ

文蔵さんの遺書には
23年前の事件について

何一つ触れていません

それでは 英二さんを殺したのは

私の母だということに
なってしまいます

今のままでは とても

私 ブラジルへ
帰ることはできませんわ

マリさん

23年前の真相に触れるというのは
とても困難なことです

これから私が述べることは
単なる推測にすぎません

あとは あなたのそうめいな頭脳で
組み立ててください

それでいいですか?
はい 結構です

それでは 23年前

英二さんが殺された日のことから
話しましょう

峯子さんは 当時
すでに矢部家に引き取られて

古林は 山仕事を手伝うために
矢部家にとう留していました

しかし 文蔵さんは
大陸に行っていて

当時 矢部家にはいなかったんです

土蔵の中に閉じ込められていた
慎一郎さんの証言によれば

英二さんが殺された時刻

古林と峯子さんは

うちには
いなかったっていうんです

2人は鍾乳洞の中にいたのですね?

慎一郎さんと朋子さんが
愛し合っていたように

古林と峯子さんも
恋をしていたのかもしれませんね

しかし
古林はともかく 峯子さんは

矢部家という
大きな家を捨ててまで

その恋を守ろうという考えは
なかったようですね

その2人が
母を取り逃がした英二さんに

見つかってしまったんですね

峯子さんは
私の父 慎一郎のいいなずけ

古林は
矢部家にお世話になっている身分

《古林!》

《峯子 何をしてるんだ!》

《お前達のことは
親父に話してやるからな!》

《離せ!》

《ああ やめろ!》

英二さんを殺したのは

古林か峯子さんの
どちらかですわね

古林は その後

英二さんの死体を発見したと
叫んで 矢部家の庭…

いや それは違います 2人は
湖に通じる出口を使ったんです

でも その出口は
事件のだいぶ後に

発見されたはずですわ
恐らく 古林と峯子さんは

だいぶ以前から
その第3の出口を知っていて

利用していたんだと思います

先生 矢部のおじい様が
殺されたときも

23年前と全く同じことが
起こったのではないでしょうか

あのとき 私達が 鍾乳洞の中で
出会った不審な男 あれは

古林でした

《おば様? おば様なの?》

《(神崎)誰だ!》
《ああっ》

あのときの杢衛老人は
明らかにショックを受けて

ろうばいしているのが
はっきりと分かりました

杢衛老人は
男が古林であることを

気付いていたのだと思います

恐らく あのとき 古林は

洞窟の中で ひそかに
峯子さんと会っていたんでしょう

《峯子 こっちだ》

古林の出現は 私達よりも先に

底なし井戸に着く機会を
うかがっていた

あなたには好都合だった

はい 私は 矢部のおじい様に
母の姿を見せることで

23年前の事件を解決する
糸口を見つけたかったのです

私は カンポと共に
底なし井戸に走り…

そこで 朝子先生が隠していた
黒衣の衣装を着て

素早くメーキャップしました

《(杢衛)朋子だ! 朋子だ 見ろ!》

《やっぱり 帰ってきとったんじゃ
くそ!》

《おば様 逃げて!》

《そっちに
矢部のおじい様が行ったわよ!》

(マリ)私は 由紀子さんの叫びに
衣装を脱ぐと

底なし井戸に投げ込みました

《朋子! 出てこい!》

《くそ どこ行きやがったんだ》

《峯子!
お前 何だって こんなとこに》

《古林と一緒にいるんだ!?》

《貴様ら…!》

《ああっ くそ!》

《ただで帰さん! 離せ!》

《ああ…》

英二さんを23年前に殺し

矢部のおじい様を殺したのも
峯子さんですわ

古林は そのことで 峯子さんを
ゆすっていたんだと思います

だから 文蔵さんは 古林を…

《ああっ!》

(マリ)そして 峯子さんは

私が出した
先生の手紙を読んで…

《離してよ!》

《あっ うう!》

《あっ…》

金田一先生

文蔵さんは 自分が
矢部のおじい様を殺したなどと

嘘の遺書を書いたのでしょう?

どういうつもりで あんな嘘を?

それは…

文蔵さんが都さんを
愛していたからじゃないですか

大陸で奥さんと娘さんを亡くした
文蔵さんは

都さんをわが娘のように愛し

都さんの幸せを願っていたんです

古林を殺したのも

都さんと康雄さんを
逃がすためでした

文蔵さんは 都さんを

殺人者の娘に
したくなかったんです

マリさん

あなたも日本人だから

文蔵さんの気持ちは
よくお分かりになるはずです

金田一先生 お許しください

マリさん 私は あなたのように

そうめいで美しい方に会ったのは
初めてだ

お元気で

金田一先生 お願いがあります

私と一緒に ブラジルへ
行っていただけませんか?

ブラジル?
はい

そして 父 ゴンザレスに
会ってほしいのです

私は 先生とタンゴを踊ったとき

先生のすべてを感じたと
申しました

でも 本当は…

先生を…
マリさん

お幸せに

<私は行きます>

<でも いつか帰ってきます>

<蝶が死んでも 翌年 また
美しくよみがえってくるように…>