ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

十万分の一の偶然 松本清張×田村正和 中谷美紀、高嶋政伸、内山理名… ドラマの原作・キャストなど…

松本清張生誕110周年記念「十万分の一の偶然」【テレビ朝日開局60周年 夏の傑作選】』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 事故
  2. 山内
  3. 山鹿
  4. 明子
  5. 写真
  6. 塚本
  7. 米津
  8. ストロボ
  9. お父さん
  10. 夜景
  11. 米津安吉
  12. 古家
  13. 山鹿恭一
  14. 本当
  15. 偶然
  16. 激突
  17. トラック
  18. ヘリ
  19. 仕事
  20. 岩瀬

f:id:dramalog:20190818230714p:plain

松本清張生誕110周年記念「十万分の一の偶然」【テレビ朝日開局60周年 夏の傑作選】』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

無料で民放各局の動画視聴ができるTVerティーバー)!まずはココから!
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、以下バナーから各社のラインナップを調べてみるといいかもしれませんね。

(本ページの情報は投稿日時時点のものです。最新の配信状況は Paravi サイトにてご確認ください。)

(詳細はFODプレミアム公式ホームページにてご確認ください。)

 

松本清張生誕110周年記念「十万分の一の偶然」【テレビ朝日開局60周年 夏の傑作選】[字]

松本清張×田村正和
一枚の、報道写真の事故現場!
これは本当に事故なのか、それとも殺人なのか―――
生存者が見た「赤い火の玉」とは!?
そこには驚愕の事実が!!

詳細情報
◇番組内容
娘はなぜ死ななければならなかったのか…
この写真は本当に偶然撮影されたものなのか――

娘を高速道路の玉突き事故で亡くした父親が、この事故の瞬間を偶然写した報道写真を目にし、事故の発生そのものに疑念を抱き、執念で真相を突き止めていくミステリー!
◇出演者
田村正和中谷美紀高嶋政伸内山理名小泉孝太郎/岸本加世子(友情出演)/若村麻由美松下由樹内藤剛志伊東四朗
◇ナレーション
石坂浩二
◇原作
松本清張十万分の一の偶然』(文春文庫刊)
◇脚本
吉本昌弘
◇監督
藤田明二テレビ朝日
◇スタッフ
【チーフプロデューサー】五十嵐文郎テレビ朝日
【プロデューサー】内山聖子テレビ朝日)、河瀬光(東映)、江平光男
◇おしらせ
☆番組HP
 https://www.tv-asahi.co.jp/prime-sun/

 

 


♬~

〈フリーのルポライターである
山内正平は 海外の地を巡り

その土地で生きる家族を
取材していた〉

〈その仕事は 遠い異国の地で

その土地に生きる人々と
生活をともにして

数カ月にも及ぶものであった〉

〈その夜 事件は起きた〉

〈山内正平の娘 明子は

沼津の病院に入院中の
叔母を見舞うため

横浜から車を走らせていた〉

〈明子の車の前には
妻と2人の子供を乗せ

名古屋の母親のもとへ向かう
宮川慶吾の車があった〉

(宮川慶吾)おばあちゃんちまで
まだ かかるからさ。

(宮川新吾)眠くない!
(宮川まどか)私も!

そっか。 じゃあ なんか飲むか。

じゃあ ジュース!
私も!

ハハハ…。

バイバイ。

〈水道工事の備品を扱う
米津安吉は

静岡の取引先へ品物を届けるため
先を急いでいた〉

面会時間 過ぎちゃったな…。

ごめんね おばさん。

(車のスリップ音)
(明子)あっ…。

♬~

あっ…。

(爆発音)

♬~

(電話)

バイノー。
(塚本 暁)「塚本です」

暁君か?
(塚本)「何度も電話したんです」

「伝言も残したのに…」

「なぜ
連絡を頂けなかったんですか」

すまない。

草原に取材に行っててね。

今 戻ったばかりなんだ。

どうした?

まさか 妹の病気が
悪くなったんじゃないだろうな?

(塚本)「いえ 違います。
明子さんが…」

「亡くなったんです」

おい…。

悪い冗談は よせよ。

明子と2人で担ぐ気か?

(塚本)「冗談なんかじゃない!」

(塚本)死んだんです。

(塚本)沼津のおばさんの
お見舞いに行く途中

車の事故に巻き込まれて…。

炎に巻かれて死んだんです。

♬~

いつだ?
(塚本)1カ月前です。

1カ月…。

通夜も葬儀も終えました。

その間
ずっと連絡していたんです。

(塚本)「明子は…」

(塚本)あなたが
昔とは変わったと言っていた。

でも 何も変わっちゃいない。

あなたは 奥さんの死に目にも
仕事で会えなかった。

(塚本)「そして 今度は

娘が死んだ事を
1カ月も知らないなんて…」

「それでも 父親だと言えますか!」

♬~

珍しい。

出かける前に
お母さんにあいさつするなんて。

お前が結婚して
いなくなった時の予行演習だ。

帰りは いつなの?
取材が終わった時だ。

それって いつなの?
心配するな。

お前たちの結婚式には帰るよ。

信じてる。

それじゃあな。

ねえ お父さん。
うん?

寂しくない?
フフ…。

私 彼に話して
3人で ここで暮らしても…。

おい 勘弁してくれよ。
ようやく 1人になれるんだ。

本当に?
うん 本当だ。

はい。
わかった。

体に気を付けて。
行ってらっしゃい。

はい。

(男性客)マリコ 見ろよ これ。
ほら 東名で起きた あの事故だ。

(女性客)え?
(男性客)うわ…。

ねえ あなた。
うん?

飛行機に乗ってる時に
事故の写真なんて…。

あ そっか。 すまなかった。
ウーチラーライ。

何 それ…。
すいません。

見せて頂けませんか? それ。

(男性客)ああ どうぞ。
ありがとうございます。

〈それは 娘 明子の

最期の瞬間を捉えた
写真であった〉

(男性客)いやはや
悲惨なもんですな。

その写真
偶然 撮れたものらしいですよ。

マチュア
カメラマンらしいんですけどね。

夜景を撮りにいっていて
事故に出くわしたんですって。

それって 十万分の一とか

百万分の一の偶然
からしいですよ。

(カメラのシャッター音)

(男性客)その偶然が

ニュース写真の年間最優秀賞
っていうんですから

どこに幸運が転がってるか
わかんないですよね。

いやだ! 幸運だなんて不謹慎よ。
あ… それもそうだな。

♬~

〈山内正平の妹 山内恵子は

沼津の大学病院で
肝移植のドナーを待つ身であった〉

(ノック)
(山内恵子)はい。

(塚本)こんにちは。
あっ。

塚本さん。
どうも。

これ よかったら。

あら 悪いわね。 ありがとう。

あらあら…。

あの人…。

山内さんは?
いいえ まだ。

成田からだと
もう着いていてもいいんですが…。

兄の事だから また どこかに
立ち寄ってるのかもよ。

そんな…。

(携帯電話の振動音)

すいません。

沼津の警察からなんで…。

(岩瀬厚一郎)
あっ… 塚本さんですか。

沼津南署の岩瀬です。 どうも。

突然 恐縮ですが

お亡くなりになった
山内明子さんの

お父さんの事で ちょっと…。

ええ。
明子の父親は山内正平ですが。

え? 来てる?

(岩瀬)お待たせして…。

失礼かとは思ったんですが
身元を確認させて頂きました。

これも仕事ですので ご勘弁を。

それでは
早速 ご案内させて頂きます。

よろしくお願いします。
はい どうぞ。

♬~

現場は危険なので
ここからで我慢してください。

あの辺りが事故現場です。

♬~

事故のはっきりとした原因は
まだ?

ええ。

いかんせん 最初に
急ブレーキをかけて

横転したトラックの運転手は
即死ですし。

高速道路という事で
目撃者もいないのが現状です。

12トンものトラックが横転するほど
ブレーキを踏んだのには

それなりの訳が
あるんじゃありませんか?

そうなんですが
この辺りでシカやタヌキが

目撃されたという情報は
ありませんし…。

事故当日の夜は よく晴れていて
見通しもよかったので

障害物を避けようとして
横転したとは 考えにくいんです。

あるいは
トラックの運転手の居眠りが

原因じゃないかとも
みてるんですが…。

そうですか。

何せ 運転手が亡くなっていて

先頭のトラックの
急停止と転倒の原因は

いまだに はっきりしないんです。

♬~

お気の毒です。

実は 自分にも
大学生になる娘がおりまして…。

お父さん。

今年も咲いたね。

お母さんも喜ぶね。

(明子)大事にしてたものね
お母さん。

離せ!

離せって言ってんだろ!

(岩瀬)塚本さん。
どうも。

山内さん 東京に戻るとか
おっしゃってましたよ。

東京? 実家は横浜なんですが…。

ええ。
しかし ただ 東京とだけ…。

♬~

〈東京へ戻った山内は

いつも仕事で使う
小さなホテルに部屋を取った〉

♬~

〈娘 明子は

なぜ死ななければ
ならなかったのか…〉

〈今の山内は その事以外
考える事ができなかった〉

(男性客)アマチュア
カメラマンらしいんですけどね。

夜景を撮りにいっていて
事故に出くわしたんですって。

それって 十万分の一とか

百万分の一の偶然
からしいですよ。

(男性客の声)その偶然が
ニュース写真の年間最優秀賞

っていうんですから…。

♬~

受賞パーティー…。

明日か。

(古家庫之助)おめでとう。
(山鹿恭一)ありがとうございます。

(拍手)

〈ニュース写真年間最優秀賞を
選んだ

審査委員長の古家庫之助と
山内とは

山内の妻が亡くなった頃

仕事を巡っての
深い争いがあった〉

おはようございます。
(編集者)おはようございます。

編集長 どういう事ですか。

私のルポが出版中止っていうのは。
(編集長)それは…。

ああ 君か。

ルポライター
山内正平君というのは。

ええ。
(古家)やあ。

君のルポ 『大国の光と影』
読ませてもらいました。

うん なかなかよく書けている。

奥さんが亡くなった時でさえ
ホテルで書いていたという

労作だそうだが…。

これね 今 出しちゃ まずいよ。

あなたが圧力を?

ハハハ…。
その言い方は誤解を招くな。

ただね
君がルポに書いたこの国と

我が国との関係を
こじらせる事にならないかと

言ってる人たちもいてね…。
私は真実を書いたんですよ。

あの国の内乱の本当の姿は

いくつもの大国の利害が…。
どうかな。

それは 君が自分で経験した
範囲内で そう思った真実でしょ。

それは どういう事ですか?

レベルの浅い人間が見た
真実もあれば

高次元から物事を判断できる
人物が見る真実もある。

君は その中の1つを見ただけに
過ぎないんじゃないの?

はい。 話は それだけです。

奥さんの葬儀の準備も
あるでしょう。

奥さんに死なれても 平気で
ルポを書いているような神経では

物事の本質を
見失う事になるのではと

危惧するわけです。 さあ…。

古家さん! あなたね…。
(編集長)山内君!

あなた
それでもジャーナリストですか?

そう。

ただ 残念ながら 君とは違って

物事を冷静に見極める目を持った
ジャーナリストです。

(古家)ああ 君

他社に持ち込もうとしても
無駄ですよ。

(記者)最優秀賞の受賞作

『激突』が撮影できた事は
十万分の一の偶然だと

審査委員長の古家先生が
おっしゃっていますが

それについて どうお思いですか?

先生のおっしゃるとおりだと
思ってます。

夜景を撮影するために持っていた
カメラでしたが

あの事故に遭遇して

本能のように
シャッターを切ってました。

では 光源は
使わなかったという事ですか?

夜景を撮りにいったので

ストロボを
装備していかなかったんです。

それが 偶然
芸術的な効果を上げたんでしょう。

それに
事故現場の炎の明るさといったら

ストロボなど
必要としないほどでした。

(カメラのシャッター音)

週刊スパーク』の小泉です。

撮影をされた時の事ですが

赤い火の玉は
どうだったんでしょうか?

♬~

すいません
赤い火の玉とおっしゃいますと?

あの事故の ただ1人の生存者が

事故の直前 赤い火の玉を見たと
言っているのですが

ご存じないですか?

申し訳ありません。 私は
そのようなものは見ておりません。

(恵美子)でも その方は
目がくらむほどの明るさだと…。

私は その証言の事も
存じ上げていませんので…。

(記者)山鹿さんにお聞きします。
受賞の喜びを

最初にお伝えになったのは
どなたですか?

両親は すでに他界してますので
婚約者に。

山鹿さん 古家さん もう一度

お二人 並んでるところを
1枚 お願いします。

〈赤い火の玉〉

〈事故とは無縁のような
突飛な言葉が

山内には引っかかった〉

〈その記事は 事故に遭いながらも
一命を取り留めた米津安吉が

衝突直前に
「赤い火の玉を見た」と

搬送先の病院で語っていた事が
書かれていた〉

〈山内は 記者の質問を受けた時
山鹿恭一の顔色が変わった事を

見逃してはいなかった〉

(恵美子)赤い火の玉は
どうだったんでしょうか?

〈それが 何を意味するのか〉

〈もし
赤い火の玉と呼ばれる何かが

事故に影響を
及ぼしていたとしたら…〉

♬~

〈それは 事故ではなく
事件に違いなかった〉

「夜景を撮りにいったので

ストロボを
装備していかなかったんです」

「夜景を撮りにいったので

ストロボを
装備していかなかったんです」

(編集者)小泉さん。
はい。

(編集者)面会したいって方が
受付に。

こっちは忙しいのよ。 アポなしは
ダメだって 何度言えば…。

(編集者)あの… 東名の事故の
ご遺族の方だそうですが。

お待たせしました。
どうも。

亡くなられた山内明子さんの
お父様とか…。

はい。

ああ あの
私 山内正平と申します。

小泉と申します。

あの 米津安吉さんの話を
伺いたくて…。

ああ 赤い火の玉の…。

事故の原因を知りたいんです。

なぜ 娘が
死ななければならなかったのか。

あの記事は
米津さんに直接伺えないので

奥さんから聞いた事を
まとめたものなんですが。

警察では あれを
記憶の錯綜っていうんですか。

前を走ってた車が
発火した瞬間の記憶が

事故のショックで
前後してしまったとみて

信憑性は薄いんじゃないかって。

だが あなたは
記事をお書きになった。

はい。

山内さん 実は私 事故全体に
不審なものを感じてるんです。

だから あの男に 火の玉の話を
ぶつけてみたんですが

私には あの男が ほんの一瞬
反応したように見えました。

それで あの時のやり取りを
聞き直してみたんですが…。

(記者)「光源は
使わなかったという事ですか?」

「夜景を撮りにいったので

ストロボを
装備していかなかったんです」

「それが 偶然 芸術的な
効果を上げたんでしょう」

(恵美子)何度聞いても
引っかかるんです。

ストロボの事?

山内さんも
お感じになりましたか?

そうなんです。
あの写真を撮った山鹿さんが

なぜ わざわざ
ストロボの話を持ち出したのか。

なんだか ストロボを
持っていかなかった事を

強調しているように聞こえます。

あの 米津安吉さんが
入院されている病院は

ご存じですか?

わかります。

でも あのけがでは
面会は まだ無理だと思います。

それに
たった1人生き残った事で

いわれのない中傷を
受けてるようで

奥さんが かなり
ナーバスになってますから。

(恵美子)本当にいいんですか?
私が一緒じゃなくて。

ええ 大丈夫です。

いろいろ教えて頂き
ありがとうございました。

いいえ。
また何かあったら いつでも…。

ありがとうございます。
それでは 失礼します。

(古家)いやあ。

(古家)君は 確か
えーと… 山内君。

ご無沙汰しております。
(古家)うん。

(古家)今は この社で
ルポを書いてんの?

いえ。 えー… 今日は私用です。

おお そうか。

あ なるほど。

今度 一緒に飲もう。

いつでも連絡をくれたまえ。
じゃあ。

古家先生。
(古家)うん?

先生が『激突』という写真を
強く推薦された訳を

教えて頂けませんか?

妙な事を聞くね。
まあ いいだろう。

あの写真は
なんとも痛ましい場面だ。

(古家)いや これはね

いろんなところで
言っている事なんだが…。

あの場に居合わせたという事は

十万分の一の偶然
というよりほかにない。

まあ これだけで
小躍りするほどの強運なんだよ。

だが 彼はカメラマンとして
冷静な対処をした。

冷徹に惨事を捉えている。
私はね そこを評価したんだ。

それが
あなたのジャーナリズムですか。

ほう…。 不満かね?

人の目を引く事も
強烈な話題作りをする事も

大事なジャーナリズムの役割だよ。

あなたは
何も変わっていませんね。

うーん…。
それは 私への批判かな?

君こそ 少しは
自分自身を振り返ってみたらいい。

どの出版社も
引き受けないようなルポ記事を

いまだに相変わらず書いている
自分をさ。

あなたは あの写真が撮られた時

まだ被害者が生きていた可能性を
考えた事はありますか?

ふん…。

シャッターチャンスより
人命を優先しろか。

ここで 青臭いヒューマニズム
振りかざしますかね。

そんなこっちゃ いつまでたっても
本物のジャーナリストにはなれんよ。

君も変わっちゃいないね。

(古家)はい お待たせ。

♬~

それじゃ。

♬~

すいません。
(布川麻奈美)はい。

あの 912号室でお世話になってる
山内恵子の身内の者ですが。

(麻奈美)ああ お兄さんで
いらっしゃいますよね。

お世話になってます。 あの…。

1カ月前に東名で起きた事故で
生存された米津安吉さんが

こちらに入院されていると聞いて。

米津さん。
確かに入院されていますが…。

実は 私の娘が
その事故に巻き込まれまして。

ええ…。 米津さんに
面会できるものかどうか

お尋ねしたくて。
ああ… まだ面会はできないと。

まだ 意識が?
はい。

昏睡状態が続いておりまして。

そうですか。

奥様が会ってくださるそうです。
そうですか。

山内と申します。

赤い火の玉の事は
私が駆けつけた時に

うわ言のように言ってました。
でも…。

そのあと
急に意識を失ってしまって。

火の玉というのは
宙に浮かんでいたんでしょうか?

わかりません。 ただ…。

(佳世)しっぽの事ばかり…。

(米津)赤い火…。
え?

赤い火の玉が…。

赤い? 火の玉が?
それが どうしたの?

(米津)しっぽが…。 しっぽが…。

しっぽ… という事は
火の玉は動いていたんですよね。

あの…。

どう動いていたんでしょうか?
さあ…。

ただ 主人は あの こう…。

いや あの… こんな感じに。

(佳世)でも この話は

主人の記憶違いじゃないかって
警察の人が…。

ええ。

ただ 私としては
どんな事でもいいんです。

事故の原因が知りたいんです。

新聞で読んだんですけど

お嬢さん
婚約なさったばかりだったとか。

はい。

♬~

妹さん この時間は
お休みだったでしょう。

はい。

肝移植のドナー
1日も早く見つかるといいですね。

ええ。 妹をよろしくお願いします。
それじゃ 失礼します。

山内さん。
はい。

米津さんの奥さんから

何か 役に立つような事
聞けました?

ええ まあ…。

そうですよね。

赤い火の玉なんて
あまりに突飛すぎますもんね。

〈山内正平は 事故現場に来た〉

〈事故があった時間に
現れたという

赤い火の玉の真偽を
確かめるためであった〉

(恵子)「すまない」。

あなたにも宛ててるのよ きっと。

そんな 謝られたって…。

大体 ここまで来ておきながら

おばさんに会わずに
帰っちゃうなんて 失礼ですよ。

フフ…。 似てるのかもね
兄とあなた。

真っすぐなところが そっくり。

失礼します。

(ドアの開閉音)

兄さん…。

何をしようとしてるの。

〈赤い火の玉は
現れはしなかった〉

(恵美子)ちょうど
事故があった時間…。

でも 何も起きないですね。

(恵美子)もしかして 赤い火の玉が
現れると思いました?

私も そう思って
何度か来てみたんです。

でも ご覧のとおり

赤い火の玉どころか 静かなもの。

だが…。
山鹿恭一は そこから撮っている。

ライトバンの米津さんは
赤い火の玉を見た。

でも 山鹿恭一は
そんなものは見なかった。

そして 警察は 米津さんの記憶が
前後しているという。

だが しっぽがあったと
米津さんは言ってる。

ええ。

赤い火の玉は しっぽを引いて…。

こう…。

こう 飛んでいたと…。

なぜ 山鹿は見てないんだ。

事故の炎の明かりに
のまれたとか?

いや… 赤い火の玉は
事故が起きる前なんだ。

夜景を撮りにいったので

ストロボを
装備していかなかったんです。

山鹿は 夜景を撮りにいったと
言ったよな。

ええ。 それが?

夜景なんて どこにあるんだ?

確かに…。
夜景なんて どこにもないわ。

本当は 山鹿も 赤い火の玉を
見てるのかもしれないな。

その事を言わない訳があると?

ストロボは
装備していなかったと

山鹿は
その事を わざわざ強調してた。

赤い火の玉は ストロボと…。

ストロボと
何か関係あるのかもしれないな。

♬~

♬~

(明子)お父さんに話した。

帰ってきてるのか?
(明子)ううん。

電話で話したの。
今 モロッコにいるんですって。

で?
(明子)うん?

お父さん
俺たちの結婚の事 なんて?

あっ…。 「そうか」って。

それだけ?
(明子)それだけ。

(ため息)

(明子)あっ!
(塚本)熱っ!

(明子)ちょっと もう…。
(塚本)あちゃ~…。

(明子)はい。
ごめん ごめん。

あっ いいよ いいよ
自分でやるから。

(明子)
お父さんも よくこぼすから。

(明子)でもね
お父さん 変わったわ。

どこが。 いつだって 仕事仕事で
ろくに家も帰ってこないし。

俺たちの事だって…。
でも 変わったの。

お父さんね 私が暁と結婚して

家族が1人増える事を
すごく喜んでる。

私には わかるの。

本当は
すごく寂しがり屋の人なのよ。

(携帯電話の振動音)

はい 塚本です。

〈電話は 山内とは
旧知の仲のカメラマン

越坂奈月からだった〉

〈塚本暁が モンゴルにいる山内へ
連絡を入れる事ができたのも

彼女の尽力が
あったからであった〉

山内さん モンゴルから帰ってきてる?
どこにいるのかな?

おかげさまで
義父は日本に帰ってます。

でも また
行方がわからなくなってしまって。

(奈月)やっぱりね。
(塚本)というと…?

山内さんから連絡あったのよ。
私に聞きたい事があるからって。

本当ですか?

え? スタジオで?

〈山内は 『スパーク』の記者
小泉恵美子とともに

カメラマンの越坂奈月を訪ねた〉

〈赤い火の玉の正体を
探り出すためであった〉

これが ポールキャットって
呼ばれるもの。

(奈月)つないで。
(助手)はい。

あなたの話を聞いて
ピッタリなものを考えたら

こいつに行き着いたってわけ。

長さの調節は?
最大で5メートルまで伸びる。

(恵美子)という事は
高速の路肩から

走行車線まで届くわね。
そうね。

やってみてください。

(奈月)じゃあ お二人にサングラス。
(助手)はい。

ああ いやいや このままで。

(恵美子)12トントラックの運転手と
同じ状態で試したいの。

(奈月)オーケー。 スイッチ。
いきます。

♬~

はあ…。

どう?
(恵美子)これを使ったのね。

だから山鹿恭一は
ストロボの事を隠したかった。

(物音)

呼んじゃったの。 ごめんなさい。

一体
何をしようとしているんですか?

これが火の玉の正体だ。

火の玉?

夜 高速を走ってて
突然 この光を見れば

誰だってブレーキを踏むよ。

どうもありがとう。
助かりました。 感謝してます。

ありがとう ありがとう。

お義父さん 待ってください。

赤い火の玉を見た米津さんは

恵子と同じ病院にいる。

待ちなさい!

わかったでしょ。

あの人は 事故の原因そのものを
探り出そうとしてる。

それは 娘の明子さんへの
せめてもの供養なのよ。

でも 警察は トラックの運転手の
居眠りが原因だって…。

あなた 警察の発表を
うのみにするタイプ?

今は 明子の事を
静かに弔ってやるのが

本当の
親ってもんじゃないんですか?

塚本君 あなた

あの人が本当に悲しんでないって
本気で そう思ってんの?

心の中で どれだけ泣いてるか。

自分が 明子さんのそばに
いてやれなかった事を

どれだけ苦しんでるか。

♬~

(明子)私 お嫁さんになるの。
誰の?

誰のお嫁さんに?
お父さんのお嫁さんになるの。

ハハハ…。
何を言ってんだ お前は。

(山内の妻)こっち向いて。
え? おっ。

(山内の妻)はい。
(シャッターを切る音)

(明子)お父さん。
このドレス どう?

ああ…。

お似合いでございます。
(明子)ちょっと着てみようかな。

ぜひ。 こちらにどうぞ。

♬~

お父さん。

見てくれないの?

♬~

変なお父さん。

♬~

〈山内は
山鹿恭一が 一時所属していた

マチュアの写真クラブの
主宰者を訪ねた〉

(仲田周平)確かに 山鹿恭一は

4年前まで うちの写真クラブに
所属してましたけどね。

あ どうぞ どうぞ。

あの事故で
お嬢さんを亡くされたんじゃ

山鹿の写真は はらわた
煮えくり返るような気持ちで

ご覧になったでしょう。

いや わかります。

目の前でね
人が死んでいくっていう時に

よくもシャッターをね…。

あ これが うちのクラブに
在籍していた頃の山鹿の作品です。

そうですか。
ええ。

彼の写真っていうのは
こういった作風なんですか?

やつは いっつも 賞狙いで。
元々 上昇志向 強いんですよ。

いや 彼は夜景を撮りにいって

たまたま 事故に遭遇したと
言ってますが…。

これを見る限り
夜景とか風景写真を撮るような

写真家ではないように
思えるんですけどもね。

まさに
おっしゃるとおりなんですよ。

クラブの仲間内でも
変だよねって話 出てまして…。

作風が
変わったという事でしょうか?

いや どうなんですかね。

そうか 変わったとしたら 女だな。

女?
(仲田)ええ。

当時 付き合い始めた女なんだって
自慢してました。

もう いつも
同じ女ばかり撮ってましてね。

それに夜景の話も…。

もしかしたら
彼女とドライブにでも行ったのを

格好付けて そう言ってるだけかも
しれませんね。

♬~

いやあ 婚約されたとは
知りませんでした。

受賞がきっかけで
プロポーズしました。

(男性)そうでしたか。

それでは ごゆっくり。
(男性)ありがとうございます。

疲れたんじゃないか?
(三宮英子)ううん。

ちょっと お化粧 直してくるわ。
今のままでも 十分きれいだよ。

(仲田)当時
付き合い始めた女だって

自慢してましてね。

いつも
同じ女ばっかり撮ってました。

山鹿恭一さんですね。

はい。

いや
素晴らしいお写真ばかりですね。

中でも やはり『激突』。

あの『激突』という写真は
何度見ても

まあ 圧倒的な臨場感に
驚かされますね。

ありがとうございます。

あの 失礼ですが…。

私 大阪で輸入雑貨の会社を
経営しております

中野晋一と申します。

あなたの『激突』に感銘を受けて
伺いました。

ああ…。 わざわざ 大阪から。

ありがとうございます。
とんでもない。

実は あんなに素晴らしい写真を
撮られる方と

仕事がしてみたいと思って
伺ったんですが…。

仕事…。 と言われますと?

山鹿さん 確か
お勤めは商社だとか。

そうですね?
ええ。

上海で かなり大きな取引になる
商品がございまして。

その事について
お話ができればと思って。

ほう…。

お宅の会社にとっては
決して損のない話です。

お待たせ。

どうしたの?

仕事の話が転がり込みそうだ。

なんだか最近の俺
ついてるんだよな。

(携帯電話)

会社からだ。 悪いけど
僕の代わりに皆さんのお相手を。

わかった。
(携帯電話)

(携帯電話)

どうしたんだ。
今日は電話するなって…。

え? なんだって…!?

〈その頃 塚本暁は

山内から聞いた米津安吉を訪ねて
沼津の病院に来ていた〉

すいません。
(看護師)はい。

あの 米津安吉さんの病室は
どちらですか?

(看護師)米津さん…。
ご親戚の方?

いや 僕は…。

意識を取り戻されたばかりなので

先生の許可が出るまで
お待ちください。

〈山内は 都内のホテルで

偽の商談を持ちかけた
山鹿を待っていた〉

(携帯電話)

はい もしもし。
喜んでください。

米津安吉さんが
意識を取り戻したんです。

それ 本当か?

そうか。

今ね 私
人と会う約束してるんだが…。

終わり次第
すぐに そちらに駆けつけるから。

はい そうしてください。

今 先生の許可が下りるのを
待っているところなんです。

お義父さんが来るまでには

米津さんに会って
話を聞いておきますから。

〈米津安吉が
意識を取り戻した事は

事故の原因を探る山内にとっても
朗報であった〉

〈山鹿は 約束の時間を過ぎても
現れなかった〉

(ニュースキャスター)「可能性があるとして
事件当夜の目撃者の

さらなる情報を
募りたいとしています」

「ただいま入ったニュースです」

「5月2日に起きた
東名高速での事故により

意識不明の状態が続いていた
米津安吉さんが

先ほど 死亡したという事です」

「米津さんは 今日の午後

一度 意識を
取り戻したにもかかわらず

容体が急変し 発見された時には
すでに息を引き取っていました」

「これを受け 警察では
突然の死に不審な点がないか

現在 事故と事件の両面で
病院から事情を確認しています」

ああー!

〈娘を死に巻き込んだ事故が

撮影用のストロボを使って
起こされたものだとすれば

「赤い火の玉を見た」という
米津の言葉は

事故を事件に変える
有力な証言になると思われた〉

〈しかし…〉

〈米津安吉は死んだ〉

♬~

すみません。

(刑事)ちょっと
話を聞かせて頂けますか?

え?

恐れ入ります。
お話を聞かせて頂けますか。

(携帯電話の呼び出し音)

(チャイム)

ああ どうも。

どうも 大変遅くなって
申し訳ありませんでした。

タクシーで来たのが間違いでした。
あちこちで道路工事してまして。

そうでしたか。
こちらこそ お忙しいのを承知で

お呼び立てして
申し訳ございませんでした。

まあ どうぞ
中へお入りください。 どうぞ。

ほう…。

いいホテルですね。

大阪から お見えになる時は
いつも ここを?

ええ。 まあ 仕事の話も ここだと
なんとなく落ち着きますんでね。

そうだ。 ワインがあるんですけど
お酒の方は?

ワインには目がありません。
そうですか。

いや…。 でも これは
ビンテージワインですね。

あっ しかも
この年は 僕の生まれ年ですよ。

いいんですか?
フフフ…。

あなたのような方と
お近づきになれた記念ですから。

それはそうと
今 ニュースで知ったんですが

事故のあと 生き残ってらした方
お亡くなりになったそうですね。

ほう…。

あなたの写真『激突』の
東名の事故で

ただ1人 生きておられた方。
え?

米津安吉さんがですか?
そうです。 その方です。

なんか 事件か事故で
亡くなったような事を

テレビでは言っていました。
事件か事故で…。

穏やかではありませんね。

お会いした事はなかったんですが
お気の毒です。

なんか
暗い話になってしまいましたね。

では まずは 乾杯しましょうか。
ああ…。

♬~

どうですか?

うまい。

こんなにうまいワイン飲んだの
久しぶりです。

それでは 早速 飲みながらでも
上海の話を致しましょうか。

ぜひ 聞かせてください。

〈『激突』という写真のために

あの事故を意図的に仕組んだのは
山鹿恭一ではないのか〉

〈そんな思いが
山内を支配していた〉

〈だが 米津安吉の死の波紋は

想像もしていなかった方向へと
広がっていった〉

(刑事)看護師の証言が
あるんですがね。

だから 僕は…。
あんな時間に

病院にいた部外者は
あなただけだ。

申し開きできますか?
(ため息)

〈米津安吉の死は
殺人事件と断定され

米津安吉殺害容疑で
塚本暁が逮捕されたのである〉

恵子。

起きてたのか お前。
兄さん。

心配いらないよ。
何かの間違いだ。 大丈夫だ。

横になって。

塚本さんが
人を殺したりするはずない。

お前は心配しなくていいんだよ。

(ノック)
はい。

(麻奈美)失礼します。

病院に入られるのを

この人が お見かけしたと
言うものですから。

塚本暁君の話でしょうか。
ええ。

県警主導で
捜査に当たってるんですが

塚本さんを
前から知ってる自分としては

どうしても腑に落ちません。

しかし 塚本さんが

意識を回復された米津安吉さんに
近づこうとして

米津さんの奥さんと
口論をしていたという

看護師の話がありまして…。

(佳世)お願いです。
今日はお帰りになってください。

なぜですか?
事故の原因を知りたい。

それは あなたも同じはずです。

(佳世)今はまだ 主人の事は
そっとしておいてほしいんです。

その看護師の話に加えて

逮捕の決め手となったのは
防犯カメラの映像です。

(岩瀬)米津安吉さんが
殺害された時間

米津さんの病室の周囲を
何度も行き来している

塚本さんの映像が残っていまして。

米津さんの死亡推定時刻前後の
防犯カメラです。

犯行時刻には このとおり
関係者以外は

彼の他は
誰も確認されていないんです。

暁君は 事故の原因が
知りたかっただけですよ。

それが 彼の暴走の
きっかけになったと

本部では みています。

面会を拒まれ 奥さんの目を盗んで
病室に忍び込み

米津さんに会った。

で なんらかのトラブルになり
殺してしまったんではないかと…。

僕は やってなんかいません!
信じてください。

僕が なぜ 米津さんを
殺さなきゃいけないんですか!

落ち着きなさい! 静かにしないと
話をさせてやる事ができんぞ。

私の責任だ。

君に 米津さんの入院先を
教えなければ…。

すまないと思ってる。
そんな事ありません。

僕は 赤い火の玉の事を
警察にも話したんです。

その話を
米津さんから聞きたかったって。

でも警察は耳を貸してくれない。

(塚本)スタジオでの実験の事も
話したんです。

でも 刑事は

それを 調書に
書き留めようとさえしないんです。

暁君… 暁君。

知り合いの弁護士に連絡した。
腕は確かだ。

話は その弁護士に。

私は しばらく 君と会えない。

だが きっと
君をここから出してみせる。

きっと大丈夫だ。

〈事故の原因究明に加えて

塚本暁の無実を
証明しなければならない重圧が

山内の肩に
重くのしかかっていた〉

(チャイム)

どうも。

お待ちしてました。
どうぞ お入りください。

突然 すいませんですね。
いいえ。

おお…。
死んだおやじが

趣味にしていたものばかりですよ。
捨てるに捨てられなくて。

多趣味なお父さんだったんですね。

目移りが激しかっただけですよ。

まあ どうぞ。
お邪魔します。

〈山内は 偽りの商談を通し
山鹿恭一と親交を深めていた〉

ああ… 見事ですね。

ほう ポールキャットですか。

ハハハッ… よくご存じですね。

私も写真を趣味にしているんでね。

便利ですよ ポールキャットは。

素晴らしいですね。
これは 全てあなたの?

ええ。 母親が死んだあと

ようやく自由に
置けるようになったもんですから。

今は1人でこちらに?

気楽なもんですよ。
あとでご覧に入れますが

おやじの書斎を
現像室に改造しました。

はあ…。 現像室をお持ちとは

いや… うらやましいですね。

大学で コンピューターを専門に
学んだんです。

仕上げまで
全て自分1人でやってます。

♬~

車もお好きなんですね。

その点は父親譲りでして。

カメラの機材なら
どんなものでも載せられそうだ。

ええ。 『激突』を撮った夜も
その車で出かけていきましたよ。

いや… あいつは
あの夜は置いていきましたがね。

まあ どうぞ。 お座りください。

ああ ありがとうございます。

ほう…
あんな大きな車で夜景を?

チャンスは
待つものではなく作るものです。

評論家の
古家庫之助先生の言葉で

座右の銘にさせて頂いてます。

なるほど。

あの『激突』という写真も

そういったお気持ちで
カメラを構えられたんでしょうね。

ええ まあ…。

あの辺りから見える夜景は
素晴らしいでしょうね。

いや 夜景は見えませんよ。

私の狙うのは
いわゆる夜景ではありません。

まばらな明かりの点在する夜景…
そこにドラマがあるんです。

なるほど。

山鹿さん。

『激突』の他のカットも

見せて頂くわけには
いきませんか?

私もカメラを趣味にする以上

山鹿さんのような作品を
撮ってみたいんです。

参考までに
ぜひとも お願いします。

フフ… わかりました。

門外不出なんですが
他でもない中野さんなら。

♬~

こんなに撮影されていたとは
思いませんでしたね。

いかがですか?
なんなら差し上げますよ。

(携帯電話)

失礼。

(携帯電話)

もしもし。

ごめんなさい すぐ来られます?
私 大変な間違いをしてたみたい。

(恵美子)一応
念のためにと思って

越坂さんと2人で
会社のソフトを使って

現場を再現して
シミュレーションしてみたの。

あの日の事故現場。

事故の夜の
気象データも入力してある。

問題は風速です。

ポールキャットが
耐えられないという事か。

ええ。 あの日は風速5メートル。

強風ってわけじゃないけど

路肩からポールキャットを
最大に伸ばすと 結果は…

こうなる。

これじゃあ 100キロのスピードで
走ってくるトラックの目の前で

ストロボをたく事なんて無理です。

偶然を装って事故を起こす以前に
ストロボをたく事自体が…。

ポールキャット以外では
考えられないかな。 例えば…。

例えば… クレーンのようなもの。

うーん…。

事故を引き起こしたあとの
片付けに時間がかかりすぎる。

撤収する余裕ないでしょう。

山鹿は
想像以上の数の写真を撮ってた。

確かに 君の言うとおりだ。

ああ…。 頭の中じゃ ポールキャットで
いけるって思ったんだけど。

ごめんなさい 役に立たなくて。

君たちのせいじゃないよ。

しかし… 何か方法があるはずだ。

山鹿が
赤い火の玉を作り出した方法が。

♬~

見せたいものがある。

♬~

手が…。

明子の手が…。

♬~

明子さんは
この時 まだ生きていた…。

♬~

♬~

♬~

お父さん… お父さん…。

♬~

〈山鹿恭一が あの悲惨な事故を
演出した方法がなんだったのか〉

〈今の山内には
それを知る手立てはなかった〉

〈どんな ささいな事でもいい〉

〈手がかりとなるものが
山内は欲しかった〉

〈山内は 地元の新聞記事を
丹念に見ていった〉

〈事故の日の前後に
何か手がかりがないか

調べるためであった〉

♬~

〈事故現場と UFO騒ぎの場所は
数百メートルの近さであった〉

どうも お手数おかけします。

(小菅)いえいえ
ちょうど休んでたとこでしたから。

UFOをご研究とか。

ええ まあ…
どんな小さな事でも

調べてみないと
気が済まないたちで。

それは 私たちも同じですよ。
こっちです。

(小菅)ここです。
あの日 社に電話がかかってきて

学校に行こうとした子供が

野原にUFOが着陸した跡を
見つけたっていうんで

来てみたんです。

それが ここです。

日が経ってしまったので
跡は もう あまり残ってませんが

子供が 前の日には
こんな跡はなかったって言うんで

写真を撮って
記事にしたわけです。

当時撮った写真が
何枚かありますが

ご覧になりますか?
ぜひ 見せてください。

♬~

この人は?

(小菅)ああ
偶然 通りかかった女性です。

何か知ってるかと思って
彼女にも話を聞いたんですが

なんにも知らないと。

何か?

すいません。
この写真をお借りできますか?

いいですけど UFO騒ぎとは
関係ないと思いますよ。

♬~

♬~

どうだ?

恵子にはすまないけど 今日は
すぐに帰らなくちゃならない。

いいの。
顔を見れただけで嬉しい。

暁君は じきに釈放される。
え?

心配いらない 信じていい。
大丈夫だ。 なっ。

それじゃ…。

あっ ちょっと待って。

これ 明子が身に着けていた
たった1つの遺品だって。

他のものは
みんな焼けてしまったけど

この鍵だけは 事故の衝撃で
車の外に放り出されていたらしい。

兄さん また来てね。

♬~

布川麻奈美。 つまり この女が
犯人と共犯関係にあると?

この間の防犯カメラの映像が
気になってたんです。

すいません いいですか?

そこです。

この2人がですね 来たのは
米津さんの病室の方向からです。

もし この2人が
布川麻奈美本人と

その協力で白衣に着替えた
山鹿だったとしたら…。

布川麻奈美と山鹿の関係を
至急 洗ってくれ。

(刑事)はい!

米津さんが亡くなられた あの夜

私は 山鹿と
待ち合わせをしていました。

しかし 彼は
1時間以上 遅れて来たんです。

品川からタクシーで来たと
言ってました。

しかし
沼津の病院から来たのであれば

東名高速
車の記録が残っているはずです。

すぐに調べてくれ。
(刑事)わかりました。

しかし 山内さん
肝心の 赤い火の玉というのが…。

(スリップ音)

(岩瀬)山鹿が
シャッターを押してる時

お嬢さんは
まだ 生きていらっしゃった

という事ですか?

(岩瀬)痛ましい…。

なんとも痛ましい写真ですね。

この写真が
年間最優秀賞などと言われては…。

(ラジコンヘリの飛行音)

♬~

どうかされましたか?

いえ…。

♬~

わかりました!

布川麻奈美は
今の病院へ来る3年前まで

東京の目白台病院に
勤めています。

この目白台病院へ 山鹿恭一は

骨折で 1カ月
入院していた記録が。

東名高速の記録です。

(刑事)山内さんが待っていた時刻
20時28分頃

山鹿の車は 確かに
沼津インターを通過してます。

岩瀬さん。

これで
山鹿を調べてもらう事は…。

(岩瀬)しかし これでは 単に

山鹿と麻奈美が知り合いだった。

そして 山鹿が インターを
通過した事にしかなりません。

米津殺しの証拠にはなりませんね。

(刑事)山鹿の周辺を調べていて
わかった事ですが…。

(岩瀬)なんだ?

(刑事)山鹿は 急きょ
フランスに発つようです。

(刑事)会社に申請して 希望が通り
3年は帰ってこないらしいです。

(シャッター音)

(奈月)いいよ。

(奈月)オーケー。
(シャッター音)

ラスト 笑ってみる?
(シャッター音)

オーケー。 お疲れさま。

聞いたわ。 もう打つ手はないの?

君に…
手伝ってもらいたい事がある。

(三宮頼子)こんな娘ですが
よろしくお願いします。

はい 喜んで。

(三宮和雄)フランス転勤が
いい時に決まった。

式は 向こうで
盛大に挙げればいいだろう。

はい。 そのつもりでおります。

肝に銘じて 英子さんは
必ず幸せにしてみせます。

(携帯電話)
ちょっと失礼します。

ああ…。 この間
個展を見にきてくれた人です。

ちょっと失礼します。

もしもし 山鹿です。

この間は お宅に押しかけたうえ

素晴らしいカメラ機材まで
見せて頂き

ありがとうございました。

それでですね…。

実は 耳寄りな情報が
入ったものですから

山鹿さんには ぜひ
お知らせしようと思いまして。

なんですか? その情報って。

「荒れる若者」です。

えっ? それって…。

最近 問題になっている

暴力団以上の抗争をしている
若者たちの実態です。

ほう。
「どうですか?」

チャンスは待つよりも作るもの。

地下に潜っているといわれる
若者たちの抗争現場なんて

そうそう
撮れるもんじゃありませんよ。

確かに…。

けど
間違いないネタなんでしょうね?

ええ それはもう。

裏社会に通じた人間がくれた
情報ですから

間違いございません。

いいお話をありがとうございます。

それではですね

現場の地図や時間は
詳しくメールで送っておきます。

もちろん 私も
ご一緒させて頂きます。

ええ ぜひ。

♬~

中野さん
その三脚は もっと低い位置で。

はいはい… それぐらいで。

こんな現場なんて
なかなか出合えませんね。

相手は 暴力団より怖いといわれる
連中なんでしょ?

見つかったら
ただじゃ済みません。

気を抜かないように。

ん?

なんだ… ただの通行人か。
くそっ。

こうして三脚をセットすれば
画面にブレはなく 確実ですね。

ええ。 万が一
シャッターチャンスを逃して

ブレたりしたら
なんにもなりませんからね。

そういえば
新聞に出た『激突』の写真も

全くブレていなかったですね。

事故現場で
あれだけの写真が撮れたのも

こうして
三脚を置いたからなんですね。

何が言いたいんですか?

♬~

事故現場で
あれだけの写真が撮れたのも

こうして
三脚を置いたからなんですね。

何が言いたいんですか?

あなたは あの夜も こうやって

シャッターチャンスを
ずっと待っていた。

子どもの頃 あなた

ラジコンの大会で 何度か
優勝した事があったそうですね。

中野さん…。 一体 なんの話を?

あなた あの夜 ラジコンのヘリに
カメラのストロボを付けて

東名高速を飛ばした。

そして
あの事故を引き起こさせた。

いやだな 中野さん。

突然 どうしたんです?

一体 なんの話か
僕には さっぱり…。

あなたが夜景を撮ろうとした
丘の上 そこにある野原に

ヘリが着陸した跡が
残っていましたよ。

あなたは
あの丘の上からヘリを飛ばした。

そして 事故を誘発したあと…。

野原に着陸させて
事故現場へと急いだ。

よっしゃ… よっしゃ!

(シャッター音)

フフフフフ…。

(シャッター音)

あらかじめ 事故が起きる事を
知っていなければ

あんな写真が
撮れるはずはないでしょう。

中野さん 妙な作り話は
もうやめませんか?

作り話じゃありませんよ。

あなたの家にあった
ラジコンのヘリと

同じタイプのものを使って
すでに立証してある。

(奈月)赤いセロハンを貼ります。

はい じゃあ 前から はめますね。
(奈月)お願いします。

(山内の声)
カメラのストロボ程度のものなら

あのヘリは 楽に装着可能でした。

♬~

実験は 予想以上に
うまくいきました。

ちょっと待ってください。

あの事故を
僕が引き起こしたなんて…。

それも ラジコンのヘリで?

ハハハ…。 どうかしてますよ!

ハハハハハ… ハハハ。

昼間の明るいうちならまだしも

夜の暗い中でヘリを飛ばすなんて。

あなたが言うように
ストロボを発光させるにしても

タイミングが
死ぬほど難しいじゃないですか。

相手は
高速を走ってる車なんですよ。

下手すりゃ スイッチを押す前に

ヘリとトラックが
衝突してしまう…。

よく ご存じですね。

その事で 私も悩みましたよ。

しかしね ETC…。

ETCを使えば問題ない事が
わかりました。

ヘリに取り付けたストロボが

走ってきたトラックの
ETCカード

読み取るようにセットしておけば

スイッチを押すタイミングなど
関係ない。

自動的にストロボを
発光させる事ができます。

(古川達郎)なんじゃこりゃ。

(古川)うわっ!

(スリップ音)

なんの証拠があって そんな事を?

運送会社へ行ってきましたよ。

事故に遭った12トントラックの
運送会社へ行ってきましたよ。

(山内の声)事故の前に
あなた 営業を装って

事務所を訪ねましたね。

所長は ちゃんと覚えてましたよ。

あなたは トラックの運行表と
ETCカードを調べて

ヘリに付けたストロボを
トラックに反応させた。

コンピューターを専門に勉強した
あなたなら

それが可能だったわけだ。

そして 事故を誘発させる事に
成功した あなたは

あの『激突』という写真を撮り

着陸させた場所に
ヘリを回収しにいった。

ただ それだけでは心配だった
あなたは

翌朝
大学病院の看護師 布川麻奈美を

着陸場所の偵察に向かわせている。

彼女は あなたが付き合っていた
女でもある。

あんた… 何者だ?

あの夜 死んだ…。

山内明子の父親だ。

それじゃあ 今までの事は
俺に近づくための…。

抗争事件が起こるっていうのも
でたらめか。

まさか あんた ここで俺を…。

待ってくれ… 待ってくれ!

よせ。 俺を殺したって

あんたの娘が
生き返るわけじゃないだろう。

米津安吉さんを殺したのも
お前だろう?

布川麻奈美から

意識を取り戻した
米津さんの事を聞き

お前が その手で殺したんだろう?

♬~

♬~

そうだよ。 俺が全部やった。

あんたの娘も 米津も…。

この俺が殺したんだ。

犠牲者は
それだけじゃないだろう。

犠牲者は
それだけじゃないだろう。

トラックを運転していた
古川達郎さん。

幼い子供と奥さんを失った
宮川慶吾さん。

みんな
お前が殺したんじゃないか。

(笑い声)

あんな
たった1枚の写真のために…。

たった1枚だと?

あんな写真だと?

お前に何がわかる!

チャンスは
待つより作るものだって事を

俺は この手で
証明してみせたんだ!

結果はどうだ。
俺の思ったとおりになった。

俺の勝ちだ。 勝ちだ!

お前さえ いなくなれば
俺は ずっと勝ち続けられる。

お前は勝ってなどいないよ。

あの評論家の古家の
手の内にいるだけの話だ。

古家? ふざけるな。

俺が あいつの力を
利用しているんだ!

あいつは 俺に
金を請求しやがった。

面白い写真ができれば

自分が審査委員長をやってる
賞をやる。

そのためには 一体 いくら
払えるかと ぬかしやがった。

だから くれてやったさ!

俺とあいつは 一蓮托生だ。

あの事故は…。

明子を殺した あの事故は

最初から 古家が与える…
古家が与える賞のためか?

だったら なんだっていうんだ。

答えろ!

だったら
どうしようっていうんだ!

♬~

確保!

♬~

(刑事)山鹿! おとなしくしろ!

上を見てみろ!

ビデオカメラだ。

今の我々の会話は
全て録画されている。

証拠は何もなかった。

お前から自供を引き出すには
この方法しかなかったよ。

これは
十万分の一の偶然じゃない。

お前が罪を認めた 必然だ。

連れていけ。

♬~

♬~

♬~

布川さん。

ここに写っている看護師は
あなたですね?

この直後に 米津安吉さんは

何者かの手で 点滴のチューブに
塩化カリウムを注入され

亡くなっています。

あなたの後ろにいる
白衣を着た男は誰ですか?

(岩瀬)答えなさい!
(麻奈美)山鹿さんです。

山鹿恭一さんです。

私がやりました。

米津安吉さんを殺した事を
認めるんだな?

〈山鹿恭一は 愛人の看護師
布川麻奈美の供述を受け

犯行の全容を認めた〉

〈山内明子を含め

7人の命が失われた
犯罪であった〉

越坂さん。

よかった。 あなたの疑いが晴れて。

(塚本)山内さんは?

いい知らせがあるわ。

恵子さんのドナーが見つかって
手術するの。

本当ですか?

(古家)どきたまえ。 急いでるんだ。

山鹿は 全てを
警察で話し始めてますよ。

あなたに金を渡し 見返りに

年間報道写真賞を受け取った
という事実の供述を…。

そんなものは ぬれぎぬだ。

先生 私は記事をやめませんよ。

チャンスは
待つものではなく作るもの。

先生のお言葉じゃありませんか。

君たち 私を怒らせると
どうなると思ってるんだ。

やはり あなた
何も変わってないな。

山鹿の裁判が始まれば
あなた 終わりですよ。

私はジャーナリストとして

その裁判を
最後まで追い続けます。

そうですか。 暁君が釈放に?

はい。

ありがとうございます。

兄さん… ありがとう。

♬~

♬~

(明子)「えーっと
お父さん 元気ですか?」

「これは お父さんが
もし 私と暁の結婚式に

来られなかった時のために
用意したものです」

「だけど 気を悪くしないでね」

「お父さんの事
信じてないわけじゃないの」

「お父さんの仕事が
どれだけ大変か

これでも理解してるつもり」

「ただ… お嫁にいく前に

どうしても
伝えておきたかった事があって」

「お父さん
今まで本当にありがとう」

「私 お父さんの娘に生まれて
本当によかったと思ってる」

「お父さんは
私に何もしてやれてないって

思ってるかもしれないけど
そんな事 全然ないんだよ」

「私は いつも
お父さんの背中を見てた」

「悲しい時も 嬉しい時も
つらい時も

お父さんを見て育った」

「それは きっと お母さんも
同じ気持ちだったと思う」

「だから…」

「だから もう 自分を責めないで」

「私も お母さんも お父さんに
心から感謝してるんだから」

「なんか… 照れくさいね
こうして改まると」

「じゃあ お父さん」

「これからもよろしく」

「えー 体に気をつけて
お仕事 頑張ってね」

♬~

お父さん… お父さん…。

許してくれ 明子。

♬~

♬~

♬~

〈評論家の古家庫之助は

山鹿恭一の供述をもとに
殺人教唆の罪で逮捕された〉

〈山内の心には

やりきれない思いだけが残った〉

♬~

♬~

〈しかし 山内は

取材の地 モンゴルへと
戻っていった〉

〈自らの仕事に打ち込む事だけが

亡き娘 明子への供養になると
強く信じて〉

ショウヘイ!

♬~