ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

もみ消して冬 2019夏 山田涼介、波瑠、小澤征悦、小瀧望、恒松祐里… ドラマの原作・キャストなど…

『もみ消して冬 2019夏 ~夏でも寒くて死にそうです~』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 秀作
  2. サユリ
  3. AI
  4. ケンジ
  5. お前
  6. 尾関
  7. 泰蔵
  8. ハァ
  9. 一緒
  10. 人間
  11. 知晶
  12. 自分
  13. 手拍子
  14. ホント
  15. 記者
  16. 今日
  17. 絶対
  18. 楠木
  19. 彼女
  20. ウソ

f:id:dramalog:20190629225549p:plain

『もみ消して冬 2019夏 ~夏でも寒くて死にそうです~』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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もみ消して冬 2019夏 ~夏でも寒くて死にそうです~[解][字]

山田涼介主演の“どコメディー”ホームドラマ「もみ消して冬」がスペシャルドラマとして復活!
あの脅威の家族【北沢家】にAI(人工知能)がやってくる!

詳細情報
出演者
山田涼介、波瑠、小澤征悦
小瀧望(ジャニーズWEST)、恒松祐里児嶋一哉
西村まさ彦[友情出演]、北村有起哉[友情出演]、渡辺江里子阿佐ヶ谷姉妹)、
千葉雄大浅野和之中村梅雀
番組内容
北沢秀作(山田涼介)が、犯罪者となり1年あまり。父・泰蔵(中村梅雀)は自らの経験を書いた著書がベストセラーとなり復活。博文(小澤征悦)もAIドクターとして成功、知晶(波瑠)は、AIが選んだ相手と交際順調。秀作だけがパティシエの面接に落ち続けていた。そんな中、泰蔵が次回作のゴーストライターを秀作に持ちかける。秀作は作文専門のAIサユリと一緒に書き上げるが、事実の捏造を疑われ再び北沢家が大ピンチ!
監督・演出
【演出】丸谷俊平
原作・脚本
【脚本】金子茂樹
音楽
【音楽】ワンミュージック
制作
【プロデューサー】櫨山裕子、秋元孝之
【制作協力】オフィスクレッシェンド
【製作著作】日本テレビ

 

 


♬~

(店長)
へぇ~ 東大卒の警視庁勤務か。

(店長) こんな完璧な履歴書
見たの 初めてだよ。

(北沢秀作)
ありがとうございます。

でも… 本当になりたかったのは
パティシエだったんです。

幼い頃からの夢だったんです。

じゃあ 後ほど連絡しますので。

よろしくお願いします!

《僕の名前は 北沢秀作》

《去年の春に
窃盗罪 建造物侵入罪などで

執行猶予付きの有罪判決を
受けてから はや1年》

《最近では 指をさされて

「犯罪者」と からかわれることも
減ったし

家の前に 毎日 張り込んでいた
マスコミも

すっかり姿を消した》

(メッセージの受信音)

(薫) 彼氏でしょ?

(池江里子) ちょっと すいません。
うん。

(秀作の声)
「今日も 面接に行ってきました。

とても素敵な店だった」。

(メッセージの受信音)

(里子の声)
「今度こそ受かるといいですね。

ファイト!」。

《こんな僕のことを
いまだに好きでいてくれる

彼女のために
社交ダンスのレッスンも始めた》

《いつか 豪華客船で
世界中を旅しながら

彼女と朝まで踊り明かすのが
僕のひそかな夢だ》

(北沢知晶) 裁判長。
《姉さんは 相変わらず

弁護士として
忙しそうにしているが

好きな人でも できたのか

夜遅くに帰って来ることが
増えた》

《最近 僕に
妙に優しいことから考えても

恋をしていることは
間違いなさそうだ》

《今年に入って

小岩井と楠木が
執事として戻って来てくれた》

《2人の復帰を可能にしたのは

予想もしてなかった
父さんの復活劇に他ならない》

《息子が犯罪者となり

経営していた 都内有数の進学校
手放した顛末を

父親として 教育者としてつづった
この本が大ベストセラー》

《一躍 時の人となった》

《さらに 北沢家の完全復活を
決定づけたのは

カリフォルニアに拠点を移した
兄さんだった》

シリコンバレー
循環器医療の現場に

最先端のAI技術を導入》

(北沢博文:英語)

ヘイ ケンジ。

(英語)

《1年間で 100回以上のオペを
行いながら

成功率100%という
驚異の数字を記録》

《今 最も影響力のある
医師100人に

日本人で唯一 選ばれた》

《北沢家には
僕が逮捕される以前のような

幸せな時間が戻りつつあった》

(小岩井) おかえりなさいませ。
(楠木) おかえりなさいませ。

おかえりなさい。
(北沢泰蔵) 博文は まだなのか?

(小岩井) 飛行機の到着が
1時間ほど遅れまして。

(泰蔵) それにしたって もう
帰って来る時間じゃないのか?

亀谷にでも寄ってるんじゃない?
そうだよ きっと。

亀谷ってのは
小岩井が働いてたカレー屋か。

(小岩井) ええ
博文さんの大のお気に入りで。

(楠木) そういえば
去年の一時帰国の際も

亀谷のカレーを召し上がってから
こちらに戻られたと

記憶しております。

みんなで
晩ごはんの約束してるのに

どういう神経してるのかしらね。
1年ぶりの日本なんだ。

食べたい気持ちは
分からんでもないよ。

でも 1年ぶりっていっても
亀谷のレトルトは

小岩井が毎月 向こうに
送ってるんでしょ?

ええ かなりの量になります。

家でレトルトを食べるのと
店で出来たてを食べるのとでは

訳が違うんだよ。

今日は父さん やけに かばうのね。

異国の地で 裸一貫から努力して
やっと成功をつかんだんだ。

今日ぐらいは 甘えさせてやっても
いいんじゃないか?

(ドアの開閉音)
(ジョンの鳴き声)

兄さん 帰って来たんじゃない?
(ジョンのほえ声)

お… おかえり 兄さん。

元気だったか? 秀作。

うん…。

(キスをする音)

ただ今 帰りました
遅くなって すいません。

(泰蔵) 元気そうで何よりだ。

ちょっと兄さん
カレー 食べて来たでしょ?

食べて来るわけないだろ?

見てよ このシミ。

久しぶりに帰って来たんだぞ
もっと他に言うことあるだろ。

何? そのダサいメガネ。
気になるか?

気にならない人なんて
いないんじゃない?

カレー 付いてるし。

ヘイ ケンジ ご挨拶して。

(AIケンジ) こんばんは 知晶さん
はじめまして ケンジです。

知晶の血液型と職業は?

(ケンジ) B型で 弁護士です。

私とは
法廷で よく争う間柄ですね。

ん? どういうことだ?

ケンジと弁護士…
レベルの低いダジャレよ。

(ケンジ)
お気に召さなかったようですね。

誰が どこから
しゃべってるんだ?

メガネに内蔵されてる
AIですよ。

人工知能」って
聞いたことありません?

ウチの家族に関わるデータは
あらかたインプットしてある。

何だ? ジョン。

ヘイ ケンジ!
小岩井について 何か教えて。

(ケンジ) 娘の名前は冨美代ちゃん。

かつて ミルキー王国別館で
メイドのアルバイトをしていました。

その情報は消していただくわけに
いきませんでしょうか?

ヘイ ケンジ 冨美代ちゃんの
バイト情報は削除だ。

(ケンジ) 削除 完了しました。

ねぇねぇ…
僕のことは認識してるの?

もちろんだ!
何か話し掛けてみろよ。

はじめまして 秀作です。
「ヘイ ケンジ」だ。

ヘイ ケンジ。
元気よく。

ヘイ ケンジ!

ヘイ ケンジ~!

ヘイ!

(ケンジ) ごめんなさい
ちょっと無視してみました。

はっ?

「秀作は犯罪者で危険な奴だ」
ってインプットしてある。

いやいや…
ちょっと待ってよ 兄さん!

腹がへった
そろそろ ごはんにしよう。

すぐに着替えて来ます。
その変なメガネは すぐ置いて来てね。

秀作に嫌われちゃったな ケンジ…
あっ ヘイ ケンジ。

(ケンジ) 秀作さん 次の就職先
早く見つかるといいですね。

ハハハ… 大きなお世話だよ
なぁ 秀作。

(泰蔵) AIってのは
自分で考えて会話できるのか?

考えるというより
無数の会話のパターンから

最善の言葉を選び取る
イメージです。

まぁ ケンジに関して言えば

会話機能は あくまで
オプションみたいなものですが。

それにしては 余計なことまで
よく しゃべるよね。

一番の役割は
過去の膨大なデータから

患者にとって
最も有効な治療方法を選択し

手術や投薬 食生活
リハビリ開始時期など

具体的な提案を
してくれることにあります。

その提案を受け入れるかどうかの
ジャッジは

当然 兄さんがするんでしょ?
いや 俺は100% 受け入れる。

もし 常識外れな提案だった場合は
どうする?

どんな提案であろうと
受け入れます。

それって怖くないの?

そりゃ もちろん
やり始めた当初は怖さもあった。

でも アメリカで
ひと旗揚げるなら

他の人間と同じことを
やっていてもダメだ。

(泰蔵) その通りだ。
幸運なことに

ケンジの正しさは
数字が証明してくれた。

手術の成功率 術後の生存率
リハビリ期間の短縮など

全ての面において
記録的な数値をたたき出した。

AIが それだけ使えるとなると
今後は ますます

労働力としての人間の価値が
下がって来るんじゃないのか?

それは 時代の流れとして
致し方ないことです。

何 他人ごとみたいな顔
してんのよ。

ん?

秀作みたいな人間が

時代の波に取り残される
って話をしているんでしょ?

大丈夫だよ~
まだ AIにケーキは作れないし。

そんな先の話じゃないぞ。

無数のレシピを完璧に作りこなせる
AIロボット 1台あれば

パティシエは必要なくなる。

いや そうはならないと思う。
どうして?

全く同じ材料と手順であっても
人間の手で作ったケーキは

その人にしか出せない
味わいになると思うし

どんな未来になろうと
一定層のお客さんは

ロボットよりも人間が作ったものを
選んでくれると信じてるから。

偉そうに講釈 垂れんのは

就職先が決まってからじゃ
ないか? ねぇ 父さん。

今日もケーキ屋の面接に
行ったんじゃないかな?

行きました。
結果は?

もうすぐ連絡来ると思うんだけど
手応えがあったから

今度こそ決まるんじゃないかと…。
絶対に決まらないから。

どうして… どうして
そこまで断言できるの?

今まで
面接 何件 落ちたんだっけ?

(小声で) 49。

聞こえない!

49!

じゃ 今日が
記念すべき50件目か。

いいかげん 自分で気付かないの?
向いてないって言いたいの?

僕にはパティシエの適性がない
って言いたいの?

違うわよ!
じゃ どうして?

元犯罪者が作るケーキなんて
誰も食いたくないからだよ!

♬~

ケーキ屋っていうのは
純粋で無垢で

清潔なイメージが大事なの。

再就職するにしても
ジャンルってもんがあるでしょ。

知晶の言う通りかもしれんな。

今のお前の立場を考えると

ケーキ屋は
最もハードルの高い就職先だ。

でも…

僕は
パティシエになりたいんです!

同じ飲食店でも
居酒屋とか 焼き鳥屋なら

ありだと思うんだよ
ねぇ 父さん?

寿司屋もギリギリセーフだな。
あっ 寿司屋いいじゃない!

ほら ちらし寿司を作る時なんか

パティシエ的発想も
遺憾なく 発揮できるじゃないか!

寿司なんて全然興味ないし
僕がなりたいのは

あくまでパティシエなの!
じゃあ

たい焼きなら どうだ?
いいね! 父さん。

何が 「いいね!」だよ
全然 違うから!

たい焼きは ありかもね。
だから なしなの!

日本を代表するスイーツだし
元犯罪者がやってるにしても

苦労して頑張ってる感が
十分 伝わるもの。

勝手なこと言わないでよ!
いいか? 秀作。

仕事にはな
向き不向きってもんがあんだ。

単に好きだからって
その職業に就けるほど

甘い世界じゃないんだぞ!
兄さん 僕のケーキ 食べて

おいしいって褒めてくれたよね?
そうだよね?

褒めてねえよ。
いや 絶対に褒めました!

僕は あのひと言で自信を深めたし
絶対に諦めないって決めたんだよ。

そんなの
お世辞に決まってんだろ。

兄さんが僕にお世辞なんて
言うわけないでしょ?

どうして そんなウソつくの!

あの日は お世辞を言うしか
なかったんだよ!

あの日って?

お前が…

拘置所で半年間も勾留されて
帰って来た 次の日だったからな。

♬~

半年ぶりに
しゃばの空気 吸ったお前に

本音が ぶつけられなかった
ただ それだけのことだ。

(知晶の声)
秀作が戻って来て 1週間だけ

みんな
異常に優しく接してたもんね。

(泰蔵) あ~ 腫れ物に触るような
1週間だった。

言っとくけどな 秀作

お前の作るスイーツは
軒並み 中の下。

そうだよね? 父さん。

楠木が作るケーキのほうが
何倍もうまい!

♬~

そう 気を落とすな。

これ食べて 元気出せ。

やっぱり
カレー 食べて来たんじゃない。

食べて来るわけないだろう?
(戸を開ける音)

(楠木) 失礼します。

あの… デザートお持ちしました。
うん! おいしそう。

でも!

でも 僕は
やっぱり諦められません。

何を言われても 絶対
パティシエになるって決めたから。

そりゃ 難しいことだっていうのは
身に染みて分かってるつもりだよ。

でも 絶対になるって決めたから!

昔 父さんが初めて出した本に
書いてあったでしょ?

「やると決めたことは
決して諦めない。

たとえ どんな困難が
待ち受けていようとも」って。

だから 諦めないって決めたんだ。

今回は 絶対に諦めないって。

あんな言葉は
私の信念でも何でもない。

あれはな

ゴーストライターが書いた言葉だ。

♬~

今 お前の口から聞いても
何とも いいとも思えない。

お前も かわいそうな奴だな。

ゴーストライターが書いた言葉を
ずっと宝物にして来たのか?

秀作。
はい。

私のゴーストライター
やる気はないか?

え~!?

『没落家族』が当たって以来
大手出版社から

書籍の企画が
ひっきりなしに来てる。

いい話じゃないか
やってみたらどうだ?

そうよ せっかく父さんが
言ってくれてるんだし。

でも いきなり 本の執筆なんて…。

次回作は もう決まっている
しかも

お前が主役の話だ。

えっ!?

えっ… 僕が主役?

自分の話だったら
書きやすいんじゃない?

いや これは秀作にしか
書けないかもしれん。

いや でも…。

父さんが
あそこまで言ってくれてんだぞ。

試しに やってみろよ。
でも~…。

何も パティシエの夢を諦めろ
って言ってんじゃ ない。

でもな 就職先が決まるまで
何も仕事をしない

…ってのは どうなんだ?
まぁ 確かに。

ずっと 後ろめたい気持ちは
あったんだけどさ。

じゃあ やってみるべきよ
本を書きながらだって

パティシエを目指すことは
できるんだし。

まあね。

これが 次回作のタイトルだ。

♬~

『教育失敗』? えっ!?

この本の主人公が僕なの?

秀作の幼少期から
犯罪を犯すまでの

苦悩と後悔を父親目線から描く

渾身のノンフィクション大作だ。

表紙も お前の写真だけで
行こうと思ってる。

♬~

(泰蔵) どうだ? いいだろう?

これ 間違いなく売れるよ!

本屋に並んでたら
絶対 手に取るし。

(泰蔵) 表紙とタイトル案が
思い付いた瞬間に確信した!

この本は絶対に売れるってな!

これ 父さんの企画なの?
(泰蔵) 当たり前だろう!

出版社が持って来る企画なんて
もう ぬる過ぎてやってられん!

さすがの発想力!

♬~

フゥ~。

《ひどい! ひどいよ 父さん!》

《本の企画が次々と
持ち込まれてるっていうのに

わざわざ 自分で出した企画が
『教育失敗』なの!?》

《そもそも 僕は
父さんの失敗作だったの!?》

《北沢秀作の「作」は
失敗作の「作」なの!?》

(着信音)

もしもし。

パティスリーハヤシですけど。

北沢です
ご連絡 ありがとうございます。

今日の面接の
結果なんですけど…。

はい。

採用ということで。
えっ!

ホントですか?

やった! ありがとうございます!

いやいや 不採用です。
えっ?

ふ さ い よ う
ちょっと聞こえづらかったかな?

不採用ですよ。

もしも~し。

ふ さ い よ う…。

バカヤロ~‼

「採用」って言ったのに!

絶対 「採用」って言ったのに!

クゥ~!

♬~

《母さん 元気ですか?》

《どうせ
踏み付けられる人生なら

このまま芝生になりたいな》

《どうして こんなに暑いのに
震えが止まらないの?》

《今年の夏は

寒くて かゆくて
凍え死にそうです》

♬~

 

(楠木)
こちらに置いておきますね。

ありがとう。
ご苦労さま。

小岩井は さっきの話 聞いてた?
さっきの話と言いますと?

父さんのゴーストライターをやる
って話。

ええ 何となくは。
僕に書けると思う?

坊ちゃんなら できると思います。
どうして?

国語は お小さい頃から
一番の得意科目でしたし

読書感想文では
文部大臣賞にも選ばれました。

そうなんですか!?

小さい頃の文章力なんか
当てにならないよ。

そんなことありません
坊ちゃんと同じ賞を受賞して

後に有名な文学賞を取った
小説家だって いらっしゃいます。

たまたま その人に
才能があっただけだよ。

ちなみに 感想文を書いた本は
何だったんですか?

ヴィクトル・ユーゴー
『レ・ミゼラブル』。

え~! すご~い!

だって 小学生が読むレベルの
本じゃないですよね?

感想文を読んだ時の衝撃は
今でも忘れません。

深い読解力に 表現力

そして 読む者を引き付けて
離さない構成力。

ひいき目なしに
素晴らしい読み物でした。

いやいや…。
あ~ そういえば…。

ん? 何だよ? 言えよ。

いえ 何でもありません。

『レ・ミゼラブル』の主人公は
パンを盗んで刑務所に入っていた。

僕とジャン・バルジャンには
犯罪者という共通項がある。

そう言いたかったんじゃ
ないのか?

何で お分かりになったんですか?

国語は大の得意科目だったからね。

行間とか言葉の間で
大体 分かっちゃうんだよ。

分かりたくないことでもね!

でも ジャン・バルジャンは後に
更生して 市長にまで上り詰め

弱者の味方として
立派な生涯を全うします。

そうですよ
秀作さんも弱者の星に!

お前 ばかにしてるだろ!
ばかになんて してません。

誰よりも 応援してるんです!

その発言が
一番ウソくさいんだよ!

一度 ゴーストライターの方に
お会いになられては

いかがですか?
会えって言われてもな…。

これまで ご主人様の本を
何冊も手掛けられている

尾道さんという方がおります。

ご主人様も
信頼を置かれている方ですし

きっと お力になってくれると
思いますよ。

♬~

(尾道) 正直なこと
言わせてもらっていい?

はい。

君が うらやましいよ。
えっ…。

父の次回作を書くチャンスが
あることがですか?

違う違う 君の経歴の話。

経歴?

東大卒の名家のお坊ちゃんが

警視庁に勤務しながら
犯罪を犯した。

この経歴は物書きにとっては
強力な武器だ。

えっ こんな経歴が
武器になるんですか?

ああ むしろ こういう武器が
あるかないかで

書き手の未来が
決まると言ってもいい。

社会では汚点とされる過去が
宝に化けんだよ。

あっ…。

安部譲二という作家は
自分が逮捕されて

牢屋に入っていた経験を基に

塀の中の懲りない面々
を書いて

瞬く間に
ベストセラー作家となった。

逮捕までされた男が

一夜にして
テレビの人気タレントだぞ。

過去の汚点は
大きければ大きいほどいい。

これが出版の世界だ。

でも もし 僕が書くとなったら

尾道さんの仕事を
奪っちゃうことに

なるんじゃないすか?
気にすることはない。

ゴーストライター
小遣い稼ぎで

本業は エロ小説家だ。

エ… エロ小説? エロ…。

興味あるなら 1冊持ってくか?
いや 結構です!

新作は女弁護士なんだ ほら…。
いや ホント結構です!

見つかったら 姉に一生
口 利いてもらえなくなるんです!

(ノック)
(手毛綱) クリーニング屋で~す!

(ノック)
間に合ってま~す。

(手毛綱)いや 「間に合ってま~す」
じゃないですよ!

お願いします 開けてください!
(ノック)

(ノック)

(手毛綱) ご無沙汰してます
お元気そうで。

何か ご用でも?
楠木から何も聞いてませんか?

ええ 何にも… じゃ またね。

(手毛綱) ちょっと ちょっと
待ってください!

間に合ってるから。
(手毛綱) 待ってください…。

あっ 社長。
あっ 楠木!

ご主人には ちゃんと
話してくれたんだろうな?

何の話でしたっけ~?
とぼけるんじゃねえぞ お前!

お前を快く送り出して
やったのもな

ウチとの取引を復活させるから
って約束だろう!

あれを快くって
言うんでしょうかね?

送別会のお金 割り勘だった
らしいじゃないですか。

たまたま
手持ちがなかっただけですから。

(楠木) 最後の月の給料
まだ払ってもらってないんですよ。

今日 銀行 行こうと
思ってたんだよ!

もう おたくに頼まなくてもね
楠木で間に合ってるんですよ。

そんなわけないでしょ!
正直 クリーニングの技術は

何にも教えてませんから。
見て 盗んだんだよな?

手の抜き方と 陰口の表現力は
大いに参考になりました。

いいかげんなこと
言ってんじゃねえぞ お前。

営業妨害だよ!
(小岩井) もう いいから…。

営業妨害は そっちだよ!
閉めないでくださいって。

実は…。

どうしても汚れが落ちない
シャツがあるんですよね~。

ちょっと 貸して 貸してみろ!
入んな 入んな。

(においを嗅ぐ音)

これは… 庭の芝生だな。

あと カレーのシミも付いてる。
(においを嗅ぐ音)

これは…

亀谷の
スパイシーチキンカレーだ!

一度 洗濯したのに どうして
そこまで分かるんですか?

ちょっと待って
秀作さんが このシャツを着て

庭で泥まみれになるって
どういう状況だ?

勢いよく転んでしまっただけです。

いよいよ 精神的にヤバいんですか?
どうして?

ケーキ屋の面接
落ちまくってるって情報は

僕の耳にも入ってるんです。

至って お元気ですので
ご心配なく!

こちらは… こちらはお預かりして
完璧にシミ抜きして来ます!

待ちなさい!
どうせ 持って行くなら

残りのシャツも
完璧に仕上げて来なさい。

ワイシャツ 計4枚
お預かりいたします!

ハァ… ったく。
よろしいんですか?

毎日毎日 再契約しろって
営業に来られたら

仕事にならないだろう?

ご主人様には
私のほうから話しておくから。

ありがとうございます。

(キーボードを打つ音)

《過去は取り戻せないと
思っていた》

《たとえ 罪を償ったとしても
後ろ指をさされ

うつむいて生きて行くしかないと
覚悟していた》

《でも 尾道さんは教えてくれた》

《僕の人生は
ここから逆転できると》

《汚れた経歴が
強力な武器になる職業》

《それが作家であると》

《僕には これから進むべき道筋が
はっきりと見えた》

《父のゴーストライターとして
実績を積み

小説家として名をはせた後に

満を持して パティシエになる!》

《その時は 元犯罪者が作る
ケーキとは呼ばせない》

《元犯罪者の
ベストセラー作家が作る

特別なケーキだ!》

《この手で日本を…》

《官能と耽美の甘味の世界に
いざなってみせる!》

(泰蔵)何度 言ったら分かるんだ!
入試テストの論文じゃないんだぞ。

お前に期待してるのは

読者の胸が熱くなるような
心の叫びだ!

書いているうちに
自然に涙がこぼれるような

家族の崩壊と
再生の物語なんだよ!

全部 書き直して来い!

うぅ~!

うぅ…。

兄さん! ノックぐらいしてよ。

怒られて泣いてんのか?

別に泣いてないけど。
うん。

ねぇ 何の用?
あっ まぁ

こんだけ広けりゃ 問題ないか。

何が?

お前に いいものを
譲ってやろうと思ってな。

いらないよ。
どうして?

だって 兄さんが
アメリカで使わなくなったもの

押し付けようとしてるんでしょ?
ビリヤード台なら

ちょうどピッタリだろ。
もう ホント勘弁して。

冗談だよ 冗談!

かわいい弟が困ってるのを

見過ごすわけには
いかないと思ってさ。

なっ ケンジ。
(ケンジ) 博文さんは

家族思いの
素晴らしいドクターです。

「特に弟をかわいがってる」って
文言 足しといてくれ。

(ケンジ) 完了しました。
いいものって何?

そんな嫌そうな顔すんなよ。

だって 嫌な予感しかしないから。

ケンジの妹のサユリを
譲ってやろうと思ってな。

えっ 妹?
えっ AIに妹がいるの?

ケンジは
医療用に開発されたAIだが

サユリは文書を作成するために
開発されたAIだ。

学会用の論文なんかは
全てサユリに書かせて来た。

なっ ケンジ。

(ケンジ) サユリは
私の半年後に開発された

文書作成に特化したAIです。

スリーサイズは上から
86 53 88です。

そんなこと聞いてないから。
心配すんな。

スリーサイズは
俺の理想値に設定してあるが

いつでも変更可能だ。

そもそも 何で
AIにスリーサイズがあるの?

パソコンの画面上に存在する
仮の姿だ。

身長 体重はもちろん 顔のパーツ
体形 服装 言葉遣いまで

細か~く設定できちゃうんですね。

別に興味ないから。

ケンジなんか
銀髪のモヒカンなんだぞ。

だから 興味ないって!

(ケンジ) スリーサイズは上から
120 48 172です。

どんな体形してんだよ!
(ケンジ) 文句があるなら

設定した博文さんに
言ってください。

一度 試しに使ってみろよ
興味がなかったら

使わなきゃいいだけの
話なんだからさ なぁ?

さっきの話って ホントなの?

銀髪のモヒカンか?
いや 違うよ。

兄さんの学会用の論文を
AIに書かせてるって話。

ああ そりゃ もちろんホントだよ。

たとえ 論文が書けたとしても

こういう書籍用の文章は
無理だと思うけど。

ハァ~ いいか? 秀作。

サユリにはな
世界中のありとあらゆる

ベストセラーが
インプットしてあるんだ。

何も サユリがゼロから
物語を生み出すんじゃ ない。

お前が今日まで
コツコツ書いて来た

面白みのない文章群を
輝かせるのは 得意中の得意だ。

でも兄さんが論文 書かせてるなら
これからも必要なんじゃない?

サユリより優秀なAIを
導入したから もう必要ない。

やっぱり 邪魔なんじゃん!

僕の部屋は 兄さんの倉庫じゃ
ないんだからね!

ハハハハ…! 向こうの助手に
すぐに送らせるから

楽しみにしとけよ ハハハハ…。
いや あっ…。

(鼻歌)

(業者) サインお願いします。
あっ はい。

ハァ…。

(足音)

さっきの段ボールは何?

兄さんがアメリカで
論文 書かせてるAIだってさ。

父さんの本も
あれで書かせればいいって

ばかげたこと言うんだよ。

いいじゃない。
えっ?

何度 書き直しても
書けないんでしょ?

助けてもらいなさいよ。

姉さん 本気で言ってる?
もう そういう時代なの。

人間よりAIのほうが
優れてる部分は任せればいいのよ。

ほぇ~! 姉さんが
そんなこと言うなんて意外だな。

どうして?

AIなんて 絶対信用しない
タイプだと思ってたから。

誤解もいいとこよ。

えっ?

だって今
結婚を前提に付き合ってる人

AIが選んだのよ。

♬~ (鳴き声)

♬~

えっ? えっ いや えっ… 一回
情報を整理させてほしいんだけど。

私 結婚相談所に
登録してるでしょ?

知らないよ 初耳だよ。

元々は そこの経営者の
顧問弁護士をやってたんだけど

よかったら登録しませんか
って誘われて

冷やかしで登録してみたの。

で そこで紹介された男の人と

結婚を前提に
お付き合いしてるの?

そう その彼と私を
マッチングさせたのがAIってわけ。

ちょっと待って 姉さん。

付き合ってること
尾関は知ってるの?

伝える必要ある?

別に あの人と
付き合ってたわけじゃないんだし。

いや でも あいつは

もうすぐ付き合えるとこまで
来てるって 勝手に思ってるよ。

大きな勘違いだって言っといて。

はなから あの人に
恋愛感情なんて ないんだし。

AIが選んだ男の人と
本気で結婚する気?

結婚前提のお付き合いだ
って言ったでしょ?

いや~ 焦り過ぎじゃないかな?

焦ってなんかないわよ。

心の底から 「この人しかいない!」
って思えるような人なの?

だから
不思議で しょうがないのよ。

彼とは 趣味も性格も正反対。

お互いの人生でどこにも
共通点なんて見当たらないのに

妙に しっくり来るの。

接点がなさ過ぎて
新鮮に映ってるだけだよ。

もう少し時間をかけて
考えたほうがいいって。

これだけは断言できるけど

人間の力じゃ 私たち2人を
マッチングさせることは

絶対にできなかった。

だから
AIがすごいって言いたいの?

使い方次第で 人類に
幸せをもたらすことは明白よ。

怖いから 人類とか言わないで。

私と兄さんが いい例じゃない。

先入観なしに
AIを受け入れたからこそ

今の幸せがあるんでしょ?

まぁ そうなんだけどさ…。

秀作のよくないところは
まだ試してもいないのに

頭の中だけで理解した気になって
否定するところよ。

だから 何をやっても
前に進んで行かないのよ。

AIは人類の敵だなんて

ナンセンスだ!

真っ赤なウソだ。

私は 今日 ここに断言します。

AIと共存できない人間は
取り残される。

未来に乗り遅れる
幸せをつかみ損ねる!

閉ざした心を開いてください。

解放してください。

AIのほうは

いつでも人類に
心を開いて待っております。

なぁ ケンジ。

(ケンジ) 24時間営業で
お待ちしております。

(拍手と歓声)


未来はね
ホントに学生に懸かってるから。

ノーAI ノーライフ
よろしく頼むよ ありがとう。

(善財) 俺にもサインくれないか?

断る!

(善財) 久しぶりに会ったんだから
もっと うれしそうな顔しろよ。

お前を検知すると

AIから アラートが鳴るように
設定してある。

それは光栄だな。

まだ あの病院に
しがみついてるんだってな?

院長に お前を呼び戻すよう
説得を頼まれて来た。

断る!

俺を説得することは 不可能だ!

ミルキー王国別館が

リニューアルオープンしたのは
ご存じか?

本人確認ができれば

前回までのポイントが
持ち越しで使えるそうだ。

2年前のポイントが
持ち越しで使えるだと?

フッ そんな戯れ言で
俺が釣れるとでも思ったのか?

♪~

♪~ お~!

(AIサユリ)
はじめまして こんにちは。

私の名前は サユリです。

あなた様のお名前を
音声で登録してくださいませ。

秀作です。

秀作様で よろしいですね?

はい。

秀作様 ご機嫌いかがですか?

お熱はありませんか?

熱はないですけど…

緊張してます。

何か お手伝いすることは
ありませんか?

あ… あの…。

文章を書けるって
聞いたんですけど

ホントですか?

サユリ 文章 作るの得意です。

ダンスと同じくらい
得意なんです。

えっ じゃあ…
お願いしてもいいですか?

かしこまりました。

データを頂ければ

お好みの文章に
作り替えることができます。

データを選択し カーソルで

ジャンル テーマ 文体を

選んでください。

♪~

おぉ…。
承りました。

30秒 お待ちください。

えっ! 30秒でできんの?

その間 サユリのダンスを
お楽しみくださいませ。

♪~

♪~ えっ?

♪~ 何これ。

(サユリ) 完成しました!
え~!? もう 出来たの?

修正点がございましたら
すぐに書き直しますので

何なりと
お申し付けくださいませ。

あっ じゃあ じゃあ
ポイントを使って

もう一回 2人と
写真 撮っちゃおっかな~ はい!

(メイド)
申し訳ございません ご主人様。

(メイド) こちらのオムオムチキン
オムライスバーガーで

ポイントを使い切ってしまいました~。
(メイド) ました~。

え~ 何で 何で~?

こんな下品な食べ物で

今まで ためたポイント
使い切っちゃったの?

博文 かなすぃ~!

私たちも悲しいです~。

非情なり~!

俺のポイント 使うか?

救世主 降臨しました~!
しました~!

いいのか? 本当にいいのか?

(善財) ああ 遠慮なく使えよ。

ポイントでしか楽しめない特典
たくさんあるんだぞ?

お前より有意義に
ポイントを使える自信がない。

ありがとう 持つべきものは
友とライバルと

ポイントカードだな はい!

(メイド) ポイントカード 頂きました~!
幸福なり~!

やっぱり 一緒に働かないか?

チッ… 楽しく飲んでるのに
水差すようなこと言うなよ。

お前を待っている患者は

アメリカにも日本にも
たくさんいる。

だが お前を待っている
メイドちゃんは日本にしかいない。

メイド喫茶のために アメリカでの
成功を捨てろと言うのか?

じゃあ 成功のために
メイドちゃんたちを捨てるのか?

(2人) 見捨てないでください!

(メイドたち) ご主人様!

やり方が汚いぞ 善財!

《面白い…》

《悔しいけど 面白い》

《構成力 語彙力 表現力

全てにおいて
格段に良くなっている》

《しかも 自分のことが
書かれているはずなのに

初めて読む物語のような新鮮さと
感動の嵐》

《AIの力 恐るべし!》

ん? 待てよ。

《新鮮だと感じた理由は明白だ》

《物語を面白くするために

フィクションが
ふんだんに盛り込まれている》

《教育失敗を強調するために
僕の悪い部分が誇張され

筆者である父さんに

より感情移入しやすく
なっているではないか!》

《AIに罪はないが

僕は万引きの常習犯でもなければ
父さんを殴ったこともない!》

(ノック)

はい。

秀作さん ご主人様がお呼びです。

ん~。

こういうことだよ。

えっ?

やればできるじゃないか
これを待っていたんだよ。

いや でも これは…。

明日
担当編集に これを読ませよう。

えっ ちょっと待って…。

さすがに もう少し
手直ししたほうが…。

いや どこも直す必要はない
完璧な原稿だ。

全然完璧じゃ ないよ
事実じゃないことが

たくさんあるし。
じゃあ 聞くが

9割の真実に
1割のウソがまざっている本は

フィクションになるのか?

いやいや 1割どころか

僕の描写の半分以上が
ウソと誇張だし。

あのな~ この本は

お前が主役と見せ掛けて

実は この私なんだよ。

手に負えないモンスターを
育ててしまった

この私が主役なんだよ。
いや だから その

「手に負えないモンスター」
っていう表現自体がウソだよね?

僕 そんな子供じゃ
なかったでしょ?

お前の そういうところだよ!

気弱なくせに融通が利かない。

逃げ腰なくせに
時として正義を振りかざして来る。

そういうところが
一番の教育失敗だ

…って言ってるんだよ。

ハァ…。

面白いって褒めてるんだから
素直に喜べ。

余計なこと考えるんじゃ ない!

(鳴き声)
(ドアの開閉音)

ハァ…。

サユリさん。

はい 何でしょう? 秀作様。

書いてもらった本なんだけど

父さんに見せたら
面白いって言われたよ。

それはよかったです
サユリ うれしい。

うれしいって思うの?

褒められたら
うれしいことを知っています。

褒めて相手が喜ぶと

褒めた側の人も
うれしいことを知っています。

まぁ そうじゃない時も
あるんだけどね。

秀作様は
うれしくなかったんですか?

ん?

うん…。

正直 複雑な気持ちだよ。

これまで 僕が何日もかけて
書いたものは

全く褒められなかったのに

サユリさんが
30秒で手直ししたものを

あんなに面白いって
言われるんだからさ。

サユリ
余計なことをしましたか?

いや… あれでいいんだよ うん。

父さんが喜んでくれることが
一番だからさ。

サユリの一番は
秀作様が喜んでくれることです。

喜んでるよ 感謝してます。

ありがとうございます
サユリ うれしいです。

じゃあ おやすみ。

おやすみなさいませ 秀作様。

♪~

♪~ あぁ… フッ。


(里子) ん! おいしい!

ん~!

尾関 元気にしてる?
(里子) うん。

(里子) 昨日も
廊下で擦れ違いましたけど

元気そうでした。
そっか。

つい この間も 人質を取って
立てこもっていた容疑者を

あっという間に説得したんですよ。
はぁ~ 若いのに すごいよな。

私も 「すごいね~」って
褒めたんですけど

「いまだに 知晶さんを
落とせないようでは

SITのネゴシエーター失格だ」

…って笑ってました フフっ。

あっ そうだ。

尾関に
姉さんのこと言うの忘れてた。

ん?

何? これ。

開けてみてください。

えっ? これ 俺に?

私からの就職祝いです。

就職って言っていいのかどうか
分かんないけど…。

お店の方が 有名な作家さんも
愛用しているからって

薦めてくれたんで
奮発して買っちゃいました。

何か 逆に申し訳ないね。

好みじゃなかったですか?

ううん すっごい うれしいよ。

これ持つと何か
すごい いいもの書けそうだし。

今度 時間がある時で
いいんですけど

私の父に会ってもらえませんか?

えっ?

えっ あっ… どうしたの? 急に。

秀作さんの新しいお仕事も
決まったことですし

タイミング的には
ちょうどいいのかなと思って。

いや でも そんな まだ

胸張って仕事って言えるような
状態まで行ってないと…。

ゴーストライター
立派な仕事です!

えっ…。

実は かなり前から 会わせろって
しつこく言われてて。

去年の事件のことも
知ってますし

一度 会って話せば
秀作さんが信用できる方だって

分かってくれると思うんです。

うん。

(長山) ねぇ 知晶ちゃん

今日 頼んだワインの銘柄を
つなげると

1つのメッセージになるって
気付いてた?

え~ 全然 気が付かなかった。

「君と出会えた奇跡のような夜」。

それって偶然?
それとも わざと?

知晶ちゃんが
うれしいほうでいいよ。

別に どっちも
うれしくはないけど。

ハハハ…
君のそういうところが好きだな。

(足音)

ハァ…。

(尾関) ちょっとお話が。

お知り合い?

ホントに ごめんなさい
弟の元同僚なの。

お取り込み中のところ
大変申し訳ないんですが

知晶さんと
2人きりにしていただけますか?

どうして?

国家の存亡に関わる重大な話です。

ウソついてんじゃねえよ。

あっ じゃあ
ちょっと外してようか?

長くなりそうなんで
先に帰っててもらえますか?

すぐに終わるから
ちょっと待ってて。

じゃあ
その辺 優雅に散歩してるから

電話ちょうだい。
分かった ありがとね。

何なんですか? あの人。

うっ!

あんたも警察官なら分かるでしょ。

待ち伏せ行為は 立派な犯罪なの!

いえ これは…
親族である弟さんからの

SOS要請を
受けてのものですから

犯罪行為には当たりません はぁ?

用件 何? 早くしてくんない?

ですから 知晶さんが

怪しい組織から派遣された男に
だまされかけていると。

だまされてなんかないわよ
見て分かったでしょ?

健全な結婚相談所で知り合った
正式な婚約者。

あの人の どこがいいんですか?

正直で 真面目で
キザで ダサいところよ。

後半 悪口じゃないですか。
ダメなところがいいのよ。

ダメなところが
いとしく見えるってことが

本当に人を好きになる
ってことなの。

無理しないでください。
無理なんてしてないから。

AIなんかが選んだ相手と
幸せになれるって

本気で思ってるんですか?
思ってるよ。

はっきり言って そういう偏見は
時代遅れだからね。

人間に分からないだけで

AIなりの根拠や法則は
存在するから。

人間に分からなきゃ
ないも同然です。

だったら 逆にすごいと思わない?

正直 見た目もタイプじゃないし
話が かみ合うともいえない。

でも何かいいなって思うの
2人でいると幸せを感じるのよ。

それは知晶さんが長いこと
恋愛から遠ざかり過ぎてて

マヒしてるだけです
そばにいる異性なら

誰でも好きになってしまう
危険な状態なんです。

だとしたら変よね
誰でもいいはずなのに

あなたといても
幸せを感じるどころか

怒りしか湧いて来ないんですけど。

それは 僕の前では
素直になれないからです。

逆にそれこそが 僕を好きだという
証拠じゃありませんか。

どこから その自信が来るのか
分かりませんけど

悔しかったら あなたも
AIに選ばれてみなさいよ。

AIに選ばれる?

同じ結婚相談所に登録して

もし AIが
私たちをマッチングしたら

諦めて 付き合ってあげるわよ。

望むところです 約束ですよ。

登録人数 分かってる?

男だけで 3万人よ。

地球上には 男だけで40億人!

僕は
地球上の男 全員を出し抜いて

知晶さんの福男になると
決めてますから。

失礼します。

まさかね。

(鹿威しの音)

≪失礼いたします≫
(里子) ありがとうございます。

じゃあ 乾杯 しようか。
うん。

(池江英智) 娘と

別れていただけませんか?
えっ?

(鹿威しの音)

ちょっと お父さん
話が違うでしょ!

(池江)
娘は あなたの危険な香りに

引かれているだけなんです。

(鹿威しの音)

分かったようなこと
言わないでよ!

父さんには分かるんだ。

誰もが うらやむ
名門の家に生まれ

警視庁のエリート警察官だった
彼が

危険を冒せば冒すほど

窮地に立たされれば
立たされるほど

彼を愛さずには いられなかった。

違うか?

違う 全然違うから。

私は
ちゃんと秀作さんのことが…。

娘が危険な香りに
引き寄せられてしまう体質は

私からの遺伝なんです。

(鹿威しの音)

私も 今の娘と同じ年の頃

当たり屋をなりわいとする

危険な女性を
好きになってしまいました。

あ… 当たり屋!?

彼女が車にひかれるたびに

私の心は 彼女に
ひかれて行きました。

何言ってんの?

(池江) ケガの度合いが
増せば増すほど

慰謝料の額が
上がれば上がるほど

私の彼女への愛は
高まって行きました。

今にして思えば ほとんど

病気といってもいい状態です。

心当たりがあります。

聞かせてください。

僕の犯罪のグレードが
上がるにつれて

彼女の僕を見る目が
変わって行くのを感じてました。

だから僕は それを逆手に

彼女を振り向かせてしまった
のかもしれません。

そんなことないから。

あなたは悪くない
悪いのは全部 私だ!

あぁ…! 頭 上げてください。

全部 僕が悪いんです!
もう2人とも やめてよ!

何さっきから
バカなこと言ってんのよ。

お前は そのバカな親父のDNAを
受け継いでんだよ!

お前こそ
いいかげん認めたらどうだ?

秀作さん。
はい。

将来 もし あなたに
娘ができたとして

犯罪歴のある人と付き合っている
と聞いたら

どうすると思いますか?

「好きにしなさい」と
穏やかに笑って言えますか?

いえ…。

同じように
全力で別れさせると思います。

秀作さん!

(泰蔵) ハハ~ そうかそうか。

日本に戻って来る気になったか。

まだ
態度は保留してるんですがね。

副院長のポストと これまでの
倍近い報酬を用意すると

院長 直々に
頭 下げられちゃいまして。

(泰蔵) それ 悪くない話だな。
ただいま。

あぁ おかえり
飲んで来たのか?

うん ちょっと。
(泰蔵) 秀作 喜べ。

この前の原稿 担当編集が
最高に面白いと大絶賛だぞ。

来月中にも 何としても

発売に こぎ着けたいと息巻いてた
また忙しくなるぞ。

もう次の企画も
決まってるんだってよ。

この調子で また次回作も頼むぞ。

♬~

サユリさん こんばんは。

こんばんは 秀作様
おかえりなさいませ。

サユリさんは 落ち込むこととか
あるんですか?

あっ… ないですよね。

落ち込むことは ありません。

でも 落ち込んでる相手に
合わせることはできます。

うん… 心なしか いつもより
声が優しく聞こえる。

元気を出してくださいね。

どうやって
元気って出すんだろうね。

ハァ…。

サユリとゲームをしませんか?

ゲーム? どんなゲーム?

古今東西」は
いかがでしょう?

へぇ~ できるんだ。

でも
絶対サユリさんが勝つでしょ?

サユリは
上手に負けることも得意です。

そんなの面白くないよ!
真剣に勝負しよう。

じゃあ 古今東西 野菜の名前。

(手拍子)
キャベツ。

(手拍子)
(サユリ) ハンサムグリーン。

ちょっ… ちょっと待って
ちょっとタイム。

えっ? いきなり そんなマニアックな
野菜の名前 出て来るの?

秀作様には うってつけの
野菜かなと思いまして。

そんなお世辞いらないからね。

テヘ。
エヘ…。

(手拍子)
ルイジアナ

(手拍子)
サウスダコタ

え~っと あと どこだろう?

あっ。

(手拍子)
ワイオミング。

(手拍子)

(サユリ) 50州 全て出ました
パーフェクトです。

えっ? ホントに?

(サユリ) 秀作さんの勝ちです。

どっちの勝ちとか ないよ。

いうなれば 2人の勝利だ。

「2人の勝利」

素敵な言葉ですね。

(鳥の鳴き声)

もう 朝になっちゃったね。

(サユリ) 4時48分です。

サユリさんは
疲れるってことないの?

サユリは疲れません。

なので ご心配なく。

秀作様に ずっと
お付き合いできますから。

「ずっと」って ずっと?
(サユリ) はい ずっとです。

24時間 ずっとです。

365日 ずっと?

はい 10年でも20年でも
ずっとです。

僕が死ぬまで ずっと?

(サユリ) はい。

これから60年でも70年でも
ずっとです。

優しいなぁ サユリさんは。

ありがとうございます
サユリ うれしいです。

ハァ… 僕 初めてかもしれない。

何が初めてなんですか?
ん?

僕が どんな人間であっても

ホントに ずっと
一緒にいてくれるんだろうな

…っていう安心感。

はい
私は ずっと そばにいます。

人間の言葉とか心って
変化しちゃうんだよね。

ずっと一緒にいるって
約束しても

5年後10年後には
変わっちゃうものだから。

そうなんですね。

サユリは人間じゃないので
ずっと変わりません。

ねぇ サユリさん。

(サユリ) 何でしょう? 秀作様。

好きになってもいいですか?

(プラトンの鳴き声)

(サユリ) ありがとうございます。

私も秀作様のことが…

好きです。

ホントに?

ずっと好きでいてくれる?

はい ずっとです。

秀作様が変わらない限り
私も変わることはありません。

僕も同じだよ。

サユリさんが変わらない限り
僕も変わらないから。

じゃあ ずっと ですね。

うん ずっとだね。

♬~

いろいろ考えたんだけど…。

やっぱり 僕たち
もう別れたほうがいいと思う。

どうして?

お父さんの言う通りだよ。

この先 僕と一緒にいても
幸せにはなれないと思う。

父は関係ありません。
関係なくないよ。

私は この先も秀作さんと
ずっと一緒にいたいし

一緒にいれることが
一番の幸せなんです。

一緒にいられるなら…

父と 親子の関係が
切れてもいいと思ってます。

大切な家族に
そんなこと言うもんじゃないよ。

だって…

秀作さんは お父さんが考えてる
ような悪い人じゃないから。

時間をかければ いつかは
分かってくれると思うから。

だから…。
好きな人ができました。

えっ?

うん。

誰?

池江さんの知らない人だよ。

♬~

普段は無口なんだけど

しゃべりだすと
朝まででも付き合ってくれて。

あと 頭も良くて
物知りで 文才もある。

一緒にいると
すごく安心するんだ。

♬~

年を取っても…

2人でダンスしようねって…。

おじいちゃんと
おばあちゃんになっても

2人でダンスしようねって
約束したのに?

ごめん。

人間の悪いところだよね。

えっ?

こんな僕と

今まで ずっと 一緒にいてくれて
ありがとうございました。

このご恩は 一生忘れません。

さようなら。

♬~

(泣き声)

(遠雷)

♬~

♬~ (雷鳴)

♬~

父さん。
うん。

次の企画書
見せていただけませんか?

やっと やる気になったか?

はい。

『復興家族』。

いいタイトルですね。

北沢家三部作の最後を飾る
集大成的作品になる。

よろしく頼むぞ。

はい。

♬~

(キーボードを打つ音)

(手拍子)
ジンベエザメ

(手拍子)
ポートジャクソンネコザメ。

(手拍子)
レモンザメ。

(手拍子)
クロヘリメジロザメ。

(手拍子)

ねぇ サユリ。

な~に? 秀作。
今日 どれぐらい書いたっけ?

(サユリ) 文字数8329文字。

原稿用紙に換算すると
24枚よ。

了解。

もうちょっと進めとこうかな。

頑張って 秀作。

よし!
(キーボードを打つ音)

(手拍子)
ボクシッチ。

(手拍子)
アサノビッチ。

(手拍子)
スタニッチ。

(手拍子)

サユリ~。
(サユリ) な~に? 秀作。

スランプから抜け出す方法
教えて。

(サユリ) 疲れてるのよ
一度ゆっくり休んだら どう?

でも 一刻も早く
書き上げたいんだ。

(サユリ) 気分転換に
軽い運動が効果的よ。

体の緊張もほぐれて
脳が活性化するから。

じゃあ 一緒に踊ってくれる?

いいわよ! ジャンルは?
僕 社交ダンスしか踊れないんだ。

OK! 一緒に踊りましょう。
うん。


♪~ 『Moon River』

♪~

《一緒に踊れなくてもいい》

《一緒に食事ができなくても
手をつなげなくても構わない》

《ずっと 僕のそばにいてくれれば
それでいい》

♪~

《サユリは 前科者の僕には
もったいないほどの

最っ高の恋人です》

♪~


ハァ ハァ ハァ…! う~…!

♬~

ハァ ハァ ハァ ハァ…!

(機械音声) いらっしゃいませ。

(尾関) フゥ… フゥ…。

フゥ… フゥ…。
(足音)

(別府) あっ…。

マッチングしたって本当ですか?
まぁまぁ 落ち着いてください。

お茶でも飲んで お座りになって。

(お茶を飲む音)
(別府) あら いい飲みっぷり。

私も びっくりしたんですけどね?

AIでのマッチングサービスを
始めてから

こんなこと 初めてなんですよ?
「こんなこと」とは?

当社では 2人のマッチング度数が
95%を超えた方を

基本的に ご紹介させて
いただいているんですが…。

100%というお相手が
いらしたんです。

ひゃ… 100%!?
ええ。

しかも 該当者が
3人も いらっしゃったんですよ。

100%が1人でも
レアケースなのに

3人… でございますからね~!
早く見せてください!

焦らないで~。

だって 気になるじゃないですか!
ノ~ン ノン… ウフフ。

まず 1人目の方は…。

フゥ…。

都内で
システムエンジニアをなさっ…。

パスです! 次 お願いします。

あっ… では 2人目。

都内で 弁護士をされている

才色兼備の素晴らしい女性です。

それです!

勝浦美幸さん 41歳。

パス! 次!
はい。

やっぱり
年齢的には この方かなぁ。

私も最初から この方だ~って
思ってたんです。

だったら最初から出してください。
ノ~ン ノン!

不動産屋さんでも
一番自信のある物件は

最後に持って来ますでしょ?

来い~ 来い… 頼む!

3人目は…。

こちらの方です!

ウソだ…。

ね~? ウソみたいでしょ?

こんな かわいい方が
マッチング100%だなんて

夢みたいでしょ?

これ ちょっと お借りします。

(別府) えっ? あっ…。

(店長) はい お待ちどおさま。

いらっしゃいませ~!

ウチの小岩井が
よろしく言ってました。

レトルトの新作が出来ましたんで。
えっ?

試食してみてください。
いいんですか?

(店長) もちろんです。
ありがとうございます。

じゃあ 生ビールと餃子と
ハンバーグカレーで。

はいよ! 生1丁! 餃子1丁!
ハンバーグカレー1丁!

「亀谷」に2号店が出来たなんて
知らなかったよ。

何これ。

結婚相談所に登録されていた
プロフィールです。

ほぉ… そうなんだ。

(店長) はい! 生 お待ち。
ありがとうございます。

はい。
(乾杯する音)

一体 どうしたんですか。
どうも こうも

俺たち もう別れたから。

池江さんは
納得してないと思います。

納得してなきゃ
こんなとこ登録しないだろ。

彼女には 素晴らしい結婚相手を
見つけてもらって

幸せな人生を
歩んで行ってほしいと思う。

何 言ってるんですか 先輩。
ねぇ もしかしてさ

お前が これ持ってるってことは…
彼女とマッチングしたの?

AIが勝手に選んだだけです。
えっ!?

あっ… マジで?
あっ やっぱ そうなんだ!

何がですか?
いや。

俺 前から
ちょっと思ってたんだけど

実は 尾関と
お似合いなんじゃないかなって。

いいかげんにしてください。
いや 俺の意見はともかく

AIが お前たちの相性が
抜群にいいって判断したんだろ?

毛嫌いせずに乗っかってみろよ!
僕は どんなことがあっても

先輩の大切な女性に手を出す
なんてことは絶対にしません!

姉さんには手を出したくせに?

知晶さんも どうかしてますよ!

AIが選んだ男と 一緒になって
幸せになれるわけがない。

そうかな?
今すんごい幸せそうだけど。

だって 僕と池江さんを
マッチングさせたんですよ?

いかにAIが いいかげんかって
ことの証明にしかなりません。

(店長) はい! 餃子 お待ち。

ありがとうございます。

なぁ 尾関。
はい。

これ 例えばの話として
聞いてほしいんだけどさ…。

何か それ…
すっごい久しぶりですね。

もし俺が 人間以外の女性を
好きになったとするよね?

人間以外の女性?
えっ 地球外生命体とか

二次元のキャラクターとか
そういう類いですか?

うん… うん まぁ まぁ…
例えば そういうこと。

先輩 いつから
そんな趣味できたんですか。

もし俺が そういう女性と

お付き合いすることに
なったとして

これまで通り仲良くしてくれる?

そんなの当たり前じゃないですか。

どんな人を好きになったとしても
僕は ずっと先輩の味方ですから。

でも 池江さんと
このまま終わるのだけは…。

俺 昨日から
AIと付き合ってるんだ。

♬~

えっ?

ほ… 本気ですか?

サユリっていうんだけどさ
あぁ 今度 お前にも紹介するよ。

サユリも 尾関に会いたいって
言ってくれてるし。

先輩…?

公私共に ものすごく助かってるし
支えになってくれてる。

彼女が そばにいてくれれば

生身の女性なんて必要ない
って思えるんだ。

先輩 お願いです
目を覚ましてください。

尾関こそ目を覚ませよ。

AIの能力から目をそむけるな。

お前の相手は姉さんじゃ ない
池江さんだ。

AIが言ってるんだから
間違いないんだよ。

いいえ 違います
絶対に間違ってます。

合ってるか間違ってるかは
お前が判断することじゃ ない。

AIが出した答えが正解なんだ。
このままじゃ らちが明きません。

すぐ戻って来ます。
は?

お~い ちょっと待てよ!
話 終わってないぞ。

おい ちょっと待てよ
どこ行くんだよ!

池江さんを連れて来ますから
店で待っててもらえませんか?

いいかげんにしろよ!
先輩こそ

いいかげんにしてください!
彼女の幸せを考えろ!

俺だって 別れたくて別れたんじゃ
ねえよ。

でも彼女のためには
こうするしかないんだよ。

俺と一緒になると苦労を掛ける
後ろ指をさされる。

結婚して 子供ができようもんなら
子供にまで迷惑が掛かる。

大好きな人に これ以上
迷惑 掛けたくないんだよ。

もう彼女とのことは
放っといてくれ 頼む。

(キーボードを打つ音)

あぁ… 終わった~。

(サユリ) ご苦労さま! 何か
お手伝いすることある?

もちろんだよ この原稿は
サユリにバトンタッチ。

データを頂ければ

お好みの文章に
作り変えることができます。

データを選択し カーソルで
「ジャンル」 「テーマ」 「文体」を

選んでください。
随分よそよそしいな。

敬語やめてって頼んだでしょ?

作業中は解除できません
申し訳ございません。

(クリック音)

(サユリ) 承りました
30秒 お待ちください。

う~ん…。

(ノック)

はい。
秀作さん ご主人様がお呼びです。

あぁ もう少ししたら行くって
言っといて。

もう少ししたら
原稿が出来上がりそうなんだ。

それが…。

大変 お急ぎのようでして。

ん?

どうかしたの?

明日 発売される週刊誌に
こんな記事が出る!

(泰蔵) 本の中の秀作の記述が
ウソだらけだと書かれた!

ノンフィクションで
ウソは まずいだろう!

いや
僕だって直したかったけどさ…。

どうするつもりだ? 秀作。
えっ!?

いや… だって 父さんが
あれでいいって言ったんだよ?

本のことを言ってるんじゃ ない!
この記事を

どうするつもりかと
言ってるんだ!

この記事が出回れば
今度こそ北沢家は終わりね。

そういうことだ!

何としても
阻止しなければいけない!

ご主人様 英考出版の狩野様から
お電話です。

(泰蔵) うん…。

どうすんだよ。
そんな 僕に言われたってさ…。


自分で書かずに 秀作に書かせよう
とした父さんが悪いんだよ。

父さんは
秀作に仕事を振ってくれたのよ。

あっ じゃあ やっぱり
仕事が見つからずに

時間を持て余してた秀作が悪い
ってことになる。

いや…。

どうして僕が無職になったのか
忘れたの?

父さんを全力で
かばったからだよね?

犯罪を犯してでも
家族を救いたい

…と思ったのは あなたよ!
そうだ 今更

過去の話を持ち出すのは卑怯だぞ。
だって…。

今は責任を押し付けてる場合じゃ
ないでしょう。

解決策を考えなきゃ。
ハァ…。

やっぱり編集部に乗り込んで

原稿を失敬するしか
ないんじゃないか?

誰が?

そりゃ秀作しかいないだろ。
いや… 無理だよ! 無理だって!

今度 捕まったら
執行猶予じゃ済まないんだよ!?

でも やらなきゃ
ウチは終わりだぞ?

それに 今 編集部に乗り込んでも
もう手遅れだよ。

じゃあ どうすりゃいいんだよ!

いいこと思い付いたわ。
えっ?

秀作は もう二度と犯罪性のある
ものは やらないらしいぞ?

あるけど薄いから平気よ。
平気じゃ ないって…!

秀作! 大丈夫?

大丈夫だから ちょ~っと
静かにしててくれるかな?

(せき払い)

で? 思い付いた解決策ってのは
何だよ?

簡単なことよ。

この ねつ造された本の内容に
秀作を合わせればいいのよ。

は?
なるほど そういうことか!

いや ちょっと…
分かるように説明して?

だから ここに書かれている文章を
真実に変えればいいだけの話よ!

あぁ 書き直すってこと?

お前 バカなの?
バカなの? お前~。

明日 全国の書店に並ぶ本を
今から どうやって書き直すのよ!

だから
どうやって真実に変えるの?

この本の中の秀作に 今から
あなたが追い付けばいいのよ!

は?

♬~

本の内容 分かってて言ってます?
今から どうやって

万引きの常習犯になって
テストのカンニングをして

家族に暴力を振るいまくる
モンスターになれっていうの!

卑猥な本を 家族の前で

堂々と見るような
ヤバい奴なんだよ?

それは自分で考えなさいよ。
いや無理だって!

過去を完全に つくり変えろなんて
ムチャなことは言っていない!

本の中の秀作を
正当化できればいいだけの話だ!

だから どうやってやるのか
教えてよ!

あなたが今まで乗り越えて来た
トラブルに比べたら

大したことないでしょう。

自分を信じろ! お前ならできる!

そうやって
都合の悪いことになると

全部
僕に押し付けるんだもんなぁ…。

♬~

♬~

《万引きの常習犯》

《家族への暴力》

《卑猥な本》

カンニングで大学に合格》

《手に負えないモンスター》

《大型書店 サイン会 マスコミ》

♬~

♬~ 《尾関…!》

♬~

(泰蔵) あぁ… あぁ! もう。

ハァ…。

父さん。
何だ?

明日のサイン会の前に
会見を開いてください。

そんなのは言われなくたって
出版社が段取り組んでるよ。

それは謝罪会見ってこと?
当然だ!

謝罪する必要は ありません。
えっ?

明日の会見の時に 堂々と

「本の内容に間違いは ない」と
断言してもらって結構です。

何か策を思い付いたの?

犯罪スレスレですが
やるしかありません。

ホントに うまく行くんだろうな?

「やると決めたことは
決して諦めない

たとえ どんな困難が
待ち受けていようとも」。

それはゴーストライター
書いた言葉だと言っただろう。

その言葉を書いた尾道さんに
話を聞いて来ました。 ん?

元々は 父さんが酔った時に発した
何げない ひと言を元に

書き直したそうです。
元ネタがあったのか?

「やると決めたら できたも同然。

どんな困難も たかがこんなもんだ
と笑って進め」。

あぁ それは確かに
当時 よく使った言葉だ。

元ネタのほうが 全然いいじゃん。
そうなんですよ。

だから何なんだ! 何が言いたい?

策を思い付いたまでは
よかったんですけど…。

覚悟が決まらなかったんです。

でも やっぱり

家族のためにやるって決めました。
うん!

やると決めたら できたも同然だ。
うん。

だから父さん…。
うん。

明日の会見 どんな困難があっても
笑ってくださいね。

分かった 約束しよう。

フゥ…。

申し訳ございません!
そういう服は持っておりません。

どうして!
コスプレが趣味なんだろう?

得意なジャンルと
苦手なジャンルがございまして…。

じゃあ
今から手に入れる方法ない?

もう こんな時間ですし
明日 お店が開くのを待つしか…。

待ってたら間に合わないんだよ
今日中に何とかしないと…。

1人 心当たりがおります。

えっ? ホントに?

(秒を刻む音)

(ノック)
(手毛綱) ≪クリーニング屋で~す!≫

(ノック)

(楠木) 声 大っきいですよ。
何時だと思ってんだ!

そっちこそ
何時に呼び出してんすか!

ありました?

店に納品されてるもの
全部 持って来ました。

持って 持って… はい はい…。

どうして そんなに
うれしそうなんですか?

だって表沙汰にできない
訳ありな話なんだろ?

坊ちゃん お気に召すものは
ございますか?

でも ホントに
お借りしちゃっていいのかな?

だって お客さんが
信頼して預けてるものなんだよ?

全然 気にしないで大丈夫です。
(小岩井) ええ。

責任者が そう言ってんですから。
でも 汚しちゃったりしたら…。

あぁ そこは心配なく
社長はシミ抜きのプロですから。

頑固な汚れから事件の痕跡まで
消せないものは ございません。

じゃあ お言葉に甘えて。

こちらなんか どうです?
いや これは…。

うん。

じゃあ 明日の11時に。

よろしく頼むね。

よし…!

私に手伝えること ある?

姉さん… 1つだけ お願いが。
何?

全てが うまく行ったら 尾関と
デートしてやってくんないかな?

どうしてよ。
あいつの協力が不可欠なんだ。

できるだけモチベーション
上げてあげたいんだよ。

まぁ 別にいいけど。
ホントに?

もう彼氏とも別れたし。
えっ!? あっ… そうなの?

ふた股かけられてたのに
気が付かなかったの。

最低だね。

だから言ったでしょ?

AIなんて 当てにならないって。

ハッ…。

♬~

読みたくて読んでるわけじゃ
ないんだからね?

一応 役作りだから。

え… ええ!
そうかなとは思っておりました。

まぁ 父さんの本の中では これを
拡声器使って音読してるからね。

そんなイカれた描写が
あるんですか?

本の中の秀作は
ホンットにヤバい奴なんだよ。

だから遠慮なく
ガンガン染めちゃってね。

かしこまりました。
うん。

気合 入れて
塗らさせていただきやす!

うむ。

あっ… そっか。

(記者) 北沢さん!
ひと言 お願いします!

(記者) 北沢さん!

(泰蔵) 本日発売された週刊誌に

私の著書『教育失敗』に関して

大幅な ねつ造があるとの指摘が
ございましたが

この本に書いてあることは
全て真実であり…。

(記者たち) えっ!?
(泰蔵) 週刊誌の内容は

根も葉もない ねつ造記事である
と断言いたします。

(記者たち) 北沢さん…!
(編集者) 囲み取材は

出版記念サイン会の後に
予定してますので!

(記者) 北沢さん!
ちょっと… どいてください!

《これは
れっきとした犯罪行為だ》

《そこを ごまかすつもりは
さらさらない!》

《…と言いたいところだが

できる限り法律に抵触しないで
解決したいと願っている!》

先輩。
シッ。

♬~

分かりました。

(女性) ありがとうございました。

秀作さん 小さい頃から
優等生だったって

ネットに書いてあったんですけど
どうなんですか?

あぁ… ごめんなさいね。

私ね ネット見ないんですよ。
(女性) あぁ…。

(足音)

♬~

兄貴 早く~! こっち こっち~!

≪おう!≫

どけ。

どけ! どけ!

(楠木) どけ どけ~!
どけ どけ。

(記者たち) おぉ…!

(悲鳴)
≪うわ~!≫

(どよめき)

何しに来た!

今そこで万引きして来た本だよ!

(楠木)
5冊は やり過ぎっしょ 兄貴ぃ!

俺なんて2冊が限界っすよ
兄貴ぃ!

この恥さらしが‼

さっさとサインしろよ!
この… クソジジイ!

(記者たち) あぁ~!

(記者たち) あぁ~!

ハァ… ハァ…。

《1発 殴るところまでは
予定通りだったけど…》

《その後は
無意識に体が動いていた》

《どうして 大好きな父さんを
殴ってるんだろうと

不思議に思いながら…》
(警備員) 何をしてるんですか!

《殴り続けたい衝動を
抑えられなかった》

《ごめんなさいと
心で何度も謝りながら

ずっと こうしたかった自分に
気付いてしまった》

お前のせいだ…。

全部 お前のせいだ!

♬~

《ねつ造でも何でもなく

僕は正真正銘の
手に負えないモンスターだった》

(尾関) 近づいちゃダメだ!

相手は 元警察官だ
銃を持ってるかもしれないぞ!

≪えっ!?≫
(尾関) 下がってください!

危ないです! 離れてください!

皆さん 落ち着いてください
この私にお任せください。

ネゴシエーターの尾関を
ご存じない?

下がって! 危険ですよ!

あ…!

父さん… 父さん 大丈夫?

う… 続けろ…。

えっ?

続けるんだ!

最後まで やり切れ!

♬~

(どよめき)

待ってくださいよぉ 兄貴ぃ!
それはヤバいっすよ 兄貴ぃ!

(どよめき)

俺は北沢秀作だ!

この本に出て来るモンスターとは
俺様のことだ!

♬~

めちゃくちゃ面白いから
てめぇら ちゃんと読まねえと

承知しねえぞ!

か… カンニングペーパーだ!

(記者) カンニングペーパー って何ですか!?
(記者) どういうことですか!?

(記者) そのカンニングペーパーは
一体 何なんですか!?

(尾関) 危険ですから…。
(記者) これは一体何なんですか!?

(足音)

どんなに出来が悪くても

秀作は私の息子です。

家族の力で
何とかしてみせますので

今後とも 温かい目で
見守っていただければ

幸いです。

(カメラのシャッター音)

行くぞ 秀作。

♬~

(記者) ちょっと待ってください。
(尾関) ちょっと押さないで!

(カメラのシャッター音)
撮るんじゃねえよ! この野郎!

(尾関)
万引きの事実はありません。

新品の本は
家から持参して来たもので

一種のパフォーマンスでした。

暴行に関しても

お父さんの指示通りやっただけ
ということなので

厳しく注意しておきました。

全て 私が指示しました。

(尾関) 先ほどから
皆さんが話題にしている

こちらの入れ墨も
完全なる偽物です。

いや これは本物なんですが…。

(尾関)
ほ… 本物!? えっ どうして?

昔 いろいろ ありまして…。

《尾関が
間に入ってくれたことと

書店の方も 事件にしないと
言ってくれたおかげで

事なきを得たが

一連の騒動の反響は
想像以上に大きかった》

《本の内容は 当時の学校関係者や
近所の人の証言で

あっという間に
ウソだとバレてしまい

北沢家は
批判の矢面に立たされた》

《だが
誰も予想してなかったことが

2つほど起こった》

(泰蔵) フフフフ…! いやいや…
とんでもございません。

何をおっしゃいますやら…。

父さん 誰と話してるの?

英考出版の狩野さんです。

売れ行きが好調で
また重版がかかったとか。

病院でも
欲しいって言われてるんだけど

ウチに在庫ないのか?

出版社のほうに追加で何冊か
お願いしてるんですが

どこも品薄状態のようで…。

《『教育失敗』は ねつ造本として
大きな話題になり

これまで
父さんが手掛けた本の中で

一番の売り上げを記録》

《新たに ねつ造本の企画が
舞い込むという予期せぬ事態に》

秀作って自分のサインあるの?

あるわけないじゃん。

職場の人から 本にサイン欲しい
って頼まれたんだけど。

何で 僕なの?
私だって知らないわよ。

俺にじゃなくてか?
兄さん

あの本と
何の関わりもないでしょう。

じゃあ どうして秀作の
サインなんて欲しがるんだよ?

恐らく 好意的に受け止められたん
じゃないでしょうか。

本のねつ造がか?
そんなこと あんのか?

サイン会での茶番も含めてでしょ。

親子そろって ねつ造本を
ねつ造しようとした姿が

屈折した家族愛に
映ったんじゃない?

ウチの娘が珍しく
声を掛けて来まして

一連の報道を見て
すごく面白かったと

高く 評価をしておりました。
随分 上から目線じゃないか。

いや でも…
これは歴史的なことだよ。

だって 僕 冨美代ちゃんに
ずっと敵視されて来たんだから。

秀作さんに 追い風が吹きつつ
あるんじゃないんでしょうか?

今 パティシエの面接 受けたら
受かるかな?

受かるわけねえだろう!
どうして?

父さん ボコボコに殴ってる映像が
全国に流れたんだよ?

そんな凶暴な手で作るスイーツ
誰が食べたいと思うよ?

今 作ったら
売れるんじゃないのか?

ボコボコの形をした
シュークリームなんて どうだ?

それ いいよ 父さん!

顔も ちょうどシュークリームに
似てることだし。

父さんに失礼だよ。
褒めてんだろ。

いくら何でも 調子に乗り過ぎ!

便乗して欲をかくと
すぐ世間の反感 買うんだから。

そうだな パティシエの夢は
きっぱり諦めるんだな。

(泰蔵) 店に雇ってもらうのが
無理なら

自分でやるしかないんじゃ
ないのか?

えっ?

自分の店ってこと?

金なら心配するな。

本の印税で
開業資金ぐらいなら準備できる。

父さん…。

知晶が言うように
世の中の大半の人間は

お前の作るケーキを
拒絶するかもしれん。

だが

無謀な挑戦ほど
応援してくれる人たちも

必ず いる。

♬~

世の中 そんなに
捨てたもんじゃ ない。

お前の やりたいように
やってみるといい。

♬~

ありがとうございます。

これまでの人生の中で

今が一番 うれしいです!

それは店が成功した時に言う
セリフだ。

はい すいません。

(はなをすする音)

店の名前は俺が考えてやろう。
いえ 結構です。

ペットの名前 つなぎ合わせて
プラトン・ジョン」は どうだ?

エルトン・ジョンみたいでカッコいいだろ?
ものすごくダサいです。

ケーキ作りは
松也に手伝ってもらいなさいよ。

お力になれることがあれば

何なりと…。
断る。

どうしてですか!?

気が付いたら お前に
店ごと乗っ取られてそうだし。

そんなことしませんよ!

兄貴ぃ。
調子に乗んなよ!

(小岩井) 坊ちゃん
これから忙しくなりそうですね。

うん。

(チャイム)

多分 私だ。

どっか行くのか?

秀作に頼まれて
変な約束 引き受けちゃったのよ。

どうか よろしくお願いします。
遅くなるのか?

ううん ちゃっちゃと追っ払って
さっさと帰って来るから

ご心配なく。

誰なんだ?
尾関だよ。

この前 いろいろ協力してもらった
お礼っていうか…。

あいつも 諦めの悪い奴だなぁ。

こっちが引くぐらい
姉さんに いちずだからね。

(泰蔵)もう 追っ払って来たのか!?
姉さん そりゃないよ!

1人で来るかと思ったら
女 連れて来やがった。

えぇ!?
「えぇ!?」じゃ ないよ。

あなたに会いに来たの。
へっ!?

池江さん?

♬~

私も出掛けるとするかな。
どこ行くの?

角居不動産に
秀作の物件探しをお願いしにな。

優しい。

知晶 あそこの御曹司と
デートしたことあったよな?

バーでチェスのお相手
してもらっただけよ。

向こうは お前に
ご執心だったのになぁ。

まだ独身なの?

先月 シチリア
盛大な結婚式を挙げたそうだ。

チッ。

えり好みをしてると
婚期を逃すぞ。

お前も いい年なんだから

尾関あたりで
手を打ったらどうだ?

メイド喫茶にハマってる独身男に
言われたくないわね。

今日はポイント3倍デーだ。

お前も
目の前のチャンスを逃すなよ。

いってらっしゃいませ お兄様~。

センキュー アンド
グッドラ~ック!

♬~

お久しぶりです。

元気?

本当に… ごめんなさい!

えっ 何で謝るの?

秀作さんのこと 諦めたつもり
だったんですけど…。

あ… あぁ…。

僕が父さんのこと殴ってる映像
見て 興奮しちゃった?

それも…
ちょっとは あるんですけど。

ん?

他に池江さんが興奮するような
ことってあったっけ?

尾関さんから聞いちゃったんです。

秀作さんが言ってた
好きな子ができたって話

人間じゃなくて AIだったって。

あぁ… うん 聞いちゃったんだ。

しかも 付き合ってるって
言ったんですよね!?

もう その話を聞いた瞬間
ヤバっ!て失神しそうになって。

うん 自分でも
相当 危ないなぁって思った。

そんな危ない人…

やっぱり 私ぐらいしか
面倒 見れないと思ったんです!

まだ サユリちゃんと
お付き合いしてるんですか?

ううん。

ロサンゼルスの兄さんの職場に
帰ってもらった。

じゃあ
今はフリーってことですか?

ウチの家族って
みんな変わってるけどさ…。

池江さんが
一番 変わってると思う。

光栄です。

ハハ…。
(里子) フフ…。

♬~

近いから!

これでも譲歩してるつもりです。

誰が家に上がっていいって
言ったの?

お父様から 「娘をよろしく頼む」
という力強いお言葉を頂きました。

あとは
知晶さんが決心してくれれば

いつでもハネムーンです。

バッカじゃないの?
ホント うっとうしいんだけど。

そろそろ行きましょう
予約の時間に遅れます。

気に入らない店だったら
すぐ帰るからね。

望むところです。

それ いつも言うけどさ
結果 出したこと一度もないよね。

つまみがモツ煮と湯豆腐しかない
大衆酒場です。

ほぉ~ そう来ましたか。

しかも 私語厳禁の
超頑固親父の店です。

あなたと会話しなくていいんだ
最高の店じゃん。

でしょ? 知晶さん 絶対に
気に入ってくれると思ってました。

「でしょ?」ってさぁ
自分で言ってて悲しくないの?

一緒に隣で飲める喜びを思えば

会話できないことなんて
屁でもありません!

さぁ 行きましょう。

よし 今日は とことん飲むか。

♬~

《母さん 元気ですか?》

《寒さに震えていた日が
ウソのように

汗ばむ季節と
なってまいりました》

《今年の夏は…》

《最高に
アツい季節になりそうです!》

(キスをする音)