ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

十津川警部シリーズ8 外房線に消えた女 須藤公一、内藤剛志、菊池桃子… ドラマの原作・キャストなど…

『ドラマ特別企画 西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ8「外房線に消えた女」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

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  19. 彼女
  20. 東京

f:id:dramalog:20190325230915p:plain

『ドラマ特別企画 西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ8「外房線に消えた女」』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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ドラマ特別企画 西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ8「外房線に消えた女」[解]

[字][デ]内藤剛志主演の『十津川警部シリーズ』第8弾菊池桃子演じる初恋相手に30年ぶりに再会!彼女は犯人か?三千万円の遺産贈与や政界の圧力で捜査危機?十津川最後の事件

詳細情報
番組内容
千葉県の館山市で弁護士をしているという崎田守(須藤公一)が、十津川警部内藤剛志)を訪ねてきた。崎田は館山のホテルの女将・原口夕子(菊池桃子)が心臓発作で死んだと十津川に告げる。しかも十津川には三千万円の遺産が贈与されるという。30年前、夕子は十津川の初恋の人だった。崎田は、夕子の死後に行方不明になっている彼女の娘・由紀(竹田有美香)を捜していて、十津川に協力して欲しいと訴える。
出演者
内藤剛志石丸謙二郎菊池桃子、増澤ノゾム、朝倉あき岩永徹也、福田陽一、大谷亮介、川口力哉、大鶴義丹、竹田有美香、高杉亘、鶴田忍、宮本真希黒坂真美小野了、IKKO、ダンテカーヴァー、野呂佳代、内田慈、須藤公一、文二、鈴木聖奈、早川絵美、長村航希、池上季実子六平直政、西岡德馬
原作
西村京太郎 十津川警部「初恋」
脚本
山田耕大
スタッフ
プロデューサー:森下和清
監督:池澤辰也
編成:渡瀬暁彦
公式ページ
◇番組HP
http://www.tbs.co.jp/getsuyou-meisaku/

 

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≪初恋の人だか何だか知らんが

そんなことに
かまけてる暇がどこにある!

まさか…

十津川さんの初恋?

♬~月の砂漠を

♬~はるばると

警部!

(崎田)あの

もしかして
十津川警部さんでしょうか?

ええ 十津川ですが

すみません

私 崎田守と申しまして

千葉の館山で
弁護士をしているんですが

私に何か?
失礼かもしれないんですが

警部さんがよく知る女性のことで

少し
お話ししたいことがありまして

ほう 何でしょうか?

原口夕子さんは ご存じですよね?

原口夕子?

まあ 知ってますが

原口さんは 千葉の館山で
ホテルを経営されているんですが

湘南じゃないんですね?

湘南の旅館は4年前に閉めて
今は館山に

そうですか

で その原口夕子が何か?

亡くなられました

えっ?

《♬~月の砂漠を》

《(十津川・夕子)♬~はるばると》

《♬~旅のらくだが》

《♬~ゆきました》

《♬~金と銀との》

<原口夕子は>

<私の初恋の人だった>

<私は
彼女のことを>

<ひとときも
忘れたことはなかった>

(崎田)ちょうど1週間前です

突然 心臓発作で倒れまして

ああ…

彼女には娘さんがいまして

館山の古い宿泊施設を買い取って

娘さんと二人で
経営しておられました

由紀さん
ご存じなんですか?

ええ 4年ほど前に
由紀さんには会っています

そうですか

館山の そのホテル
昇鶴というんですが

夕子さんが女将で

由紀さんが若女将をしていて

親子そろって美人ですから
たちまち繁盛して

今じゃ館山で大人気のホテルに
なったんです

私の立ち会いで
遺言書が開かれたんですが

遺産を贈る人の中に
十津川さんの名前があったんです

どうして 私の名前が?

何でも 湘南にいたとき
夕子さんが十津川さんに

ずいぶん
お世話になったと聞いています

<それは 夕子をめぐる>

<一つの事件に
関したことだった>

《(由紀)十津川さん?》

《夕子…》

《あっ 母に似てますか?》

《ええ》

《これ 母が
大好きだった服なんです》

《へえ~》

《十津川さん》

《母を助けてください》

《えっ?》
《このままだと母は》

《殺人犯にされてしまいます》

《父を殺した犯人に》

(崎田)実は その由紀さん

今 行方不明でして

行方不明?

私達も必死に
捜してはいるんですが

どういうことなんですか?

私にも分からないんです

何しろ 母と娘
二人だけの肉親で

大変 仲のいい二人でしたから

由紀さん お母さんが突然
亡くなってしまって

ものすごくショックだったと
思うんです

葬儀では けなげに
喪主を務めていたんですが

そのあと
突然いなくなってしまって

《母を助けてください》

由紀さん ひょっとしたら

十津川さんを
訪ねてくるかもしれません

はっ?

十津川さんを頼りにしてる
ようなので きっと訪ねてきます

そしたら すぐに私に連絡するよう
言っていただけますか?

お願いします!

分かりました
会ったら必ず伝えます

私は明日まで東京にいて

四谷ロイヤルホテルに
泊まっています

何か用がありましたら
ご連絡ください

(亀井)気になりますね 娘の
由紀さんが行方不明というのは

うん
何もなければいいんだが

初恋の人 なんですよね?

えっ?
原口夕子さんですよ

亡くなられたとは
とても残念です

もう 30年もたってしまった

30年ぶりの消息が
まさか死亡とはね

(モモエ)まあ どうも

あら 十津ちゃん

ついでに亀ちゃんも

ついでで悪かったね

あんた達さ
二人とも来てくれないからさ

ほかのお客さんとね
浮気しちゃってたわよ ねえ 哲太

(哲太)黙秘権を行使します

あんた そんなこと言うと
ひねりつぶすわよ~

もう~

まじバナ~

どんバナ~
どんばな?

あっ どんな話ね

初恋の話をしてたの

だけどさ
亀ちゃんのさ 初恋なんて

想像できないよね ハハハ

何言うの 私だって初恋ぐらい
あったよ 遠い昔だけどね

そうなの?
ママだって初恋ぐらいあったでしょ

そうよ 私の恋はね いつも初恋

だけど全部 まぼろし

ハハハハ 十津ちゃんは?

だから その話をしてたんだよ
まあまあ 亀さん

あっ そうなの? だけどさ
十津ちゃんのさ 初恋

聞きたいよね 誰? 誰?

うん?
まぼろし~ みたいなもんだよ

面白いわ

遅いな

ウッ…

腹減った
(直子)うん?

何 一個?
えっ あなたの健康のためよ

(携帯着信)

はい 十津川

分かった 今すぐ向かう

あら 食べれないの?

直子 すまん 事件だ

行ってらっしゃい

お疲れさまです
お疲れさん

お疲れさまです
どうぞ

ご苦労さん

ご苦労さん

亀さん
(若林)お疲れさまです

ガイ者は頭を殴られ
ロープで首を絞められてます

所持品は?

(若林)返すぞ
(清水)はい

(若林)せ~の

崎田守?

ご存じなんですか?

昨日
私に会いに来た男だ

えっ 例の弁護士ですか?

死亡推定時刻は?

解剖してみなけりゃ
分かりませんが硬直状態から

死後12時間たってます

昨夜の10時頃か

若林

崎田から 昨日もらった名刺と

私の名刺?

私は昨日
彼に名刺を渡していない

物取りの犯行じゃなさそうですね

カバンは なかったか? 崎田は
昨日 黒い革のカバンを持っていた

(清水)カバンは
見当たりませんでした

彼は ゆうべ四谷ロイヤルホテルに
泊まったはずだ

若林 清水 ホテルへ行ってくれ

はい
はい

警部の名刺が気になります

警部が渡してないとすると…

どこから手に入れたんだろう

原口夕子さんからでしょうか

それとも
娘の由紀さんから?

4年前の事件のとき
私は夕子には会っていない

そのときには 名刺を
由紀さんにも渡していない

じゃあ どこから
手に入れたんでしょう

もしかして 崎田が殺されたのは

警部の名刺を持っていたことと
何か関連があるんでしょうかね

(小泉)ここが 崎田様が
お泊まりになっていた部屋です

どうぞ

カバン ありませんでしたか?
黒い革のカバンです

いえ 部屋には
残っていませんでした

崎田さんが何時ぐらいに
部屋を出たか分かりますか?

さあ 午後1時に
チェックインされて

そのあとは
お出かけになったかどうか

3時頃に
警視庁を訪ねてるんですけど

そうだったんですか

ルームサービスを
お取りになっていますから

私は ずっと部屋に
いらっしゃったのかと

ルームサービス?
それは何時頃ですか?

(小泉)午後6時

(若林)そのとき
何か変わった様子は?

(小泉)変わった様子というのは
なかったんですが

どなたかと
スマホで話しておられました

相手は男? それとも女?

女性だったような気がしますが

電話の相手は女か?
ええ

ホテルのフロント係に
話を聞いたんですが

午後7時半頃
崎田がホテルを出ています

その際 崎田は黒いカバンを
持っているのを見ています

(清水)スマホで電話をかけながら
出ていったそうです

犯人は
崎田を殺したあと

カバンとスマホ
奪っていった

所持品の財布の中には 現金15万

ほかには何も

手帳には何も書いておらず

名刺入れには
自分の名刺が18枚と

警部の名刺が1枚です

もしかしたら 電話の女が

崎田を小石川公園に呼び出して
殺した とも考えられます

ですが
男の首を絞めて殺すというのは

女性の力で できるものでしょうか

司法解剖の結果では
死因は絞殺による窒息死

鈍器で
後頭部を殴られた形跡もあり

犯人は背後から崎田の頭を殴り

倒れたところをロープで
首を絞めたと推定されている

死亡推定時刻は
昨夜9時から10時の間

犯人が鈍器で崎田の頭を殴り

気絶をさせていたとしたら

女の力だって十分 殺せたはずだ

(小川)じゃあ 犯人は女ですね

(本多)おい どうして お前
そう いつもいつも短絡的なんだよ

たったこれだけのことで
何で犯人が女だって分かるんだ!

この野郎 お前
しゃべんなくていいよ

あっ ちょっと待て ちょっと待て

あっ もしもし?
ああ~ 部長

なるほど

おい 考えとけよ!

ああ はい うん

それにしても

なぜ 崎田守は殺されたんだろう

原口夕子は
かなりの遺産を残したそうですが

その遺産をめぐってのこと
でしょうか?

それとも
原口夕子の娘の

由紀の行方不明が
関係してるんでしょうかね

(酒井)警部

崎田守の名刺に書いてあった
住所と電話番号はデタラメでした

それに
千葉の弁護士会を訪ねたのですが

崎田守という弁護士の登録は
ありませんでした

何だって?

《千葉の館山で
弁護士をしているんですが》

弁護士というのは嘘だったのか

崎田守っていうのは
何者だったんだ

《原口さんは 千葉の館山で
ホテルを経営されているんですが》

《湘南じゃないんですね?》

《湘南の旅館は4年前に閉めて
今は館山に》

《原口夕子が何か?》

《(崎田)亡くなられました》

館山…

<私と亀井刑事は
東京湾に沿って走る内房線で>

<千葉県の館山温泉に向かった>

初恋を語るには
一つのルールがある

えっ?
好きな作家の言葉です

どんなルールですか?

相手の今をあれこれ
詮索しないこと だそうです

なるほど

警部 語ってください

私が たっぷり詮索します

こう見えても
私は大学時代 ヨット部でね

大学4年の最後の夏休みに

仲間数人と湘南で合宿をしたんだ

<学生の合宿には
もったいないくらいの>

<立派な旅館だった>

<そこの一人娘が 原口夕子だった>

確かに
あんなに人を好きになったのは

初めてだったかもしれない

あれが
初恋だったのかもしれないな

《(由紀)父が殺されたのは》

《1月22日の夜でした》

《母は江ノ電
鎌倉に買い物に行ってて》

《帰宅したのは
夜の8時すぎでした》

《そのとき》

《書斎で父が殺されているのを
発見したんです》

《母は すぐに警察に通報しました》

《お父さんは どうやって
殺されていたんですか?》

《書斎に大理石の灰皿があって》

《それで
頭を殴られて殺されました》

《ああ…
そのときの家の様子は?》

《私は その日 友人と
旅行に行っていて家にいなくて》

《あとで
警察の人に聞いたんですけど》

《部屋は荒らされていたし
50万の現金がなくなっていたので》

《警察は
物取りの犯行だと みていました》

《でも 目撃者が現れたんです》

《目撃者?》

《父が殺された日の夜8時頃》

《そのとき
書斎の窓が開いていて》

《男と女が つかみ合いのケンカを
しているのを見た》

《その女が
母だったっていうんです》

《それで母は
逮捕されてしまって》

《ああ そうですか
でも妙ですね》

《相手を殺そうとしてる人間が》

《窓を開け放った そのままで
相手殺しますかね》

結局 その目撃者と称する

28歳の女性が犯人だった

もちろん 目撃証言は嘘

彼女は
夕子の夫の浮気相手だったんだ

そうですか

しかし 夕子が湘南を離れて

館山で
ホテルを経営していたなんて

まったく知らなかった

<千葉県屈指の温泉地 館山>

<原口夕子が死んだ 館山温泉>

<崎田守の名刺に
住所が書かれていた 館山>

<そこに
事件の根があるかもしれない>

ここからはタクシーですね

ええ

館山温泉へ
昇鶴というホテル分かります?

はい 分かりますよ
今 一番人気ですから

<館山市
房総半島の南部に位置し>

<館山城や崖観音>

<洲崎灯台 沖ノ島などの>

<観光地としても知られている>

休業中ですか

まあ 女将が亡くなって
若女将が行方不明じゃ

営業できないでしょうからね

亀さん
コーヒーでも飲みませんか

はい

こんにちは

(ジム)あっ いらっしゃいませ
どうぞ

あっ おたく マスター?

ええ
じゃあ ホットコーヒー 二つね

はい 分かりました
おお~

(ジム)どうぞ
お客さん いないね

店は 僕一人

見てのとおり
商売は さっぱりで

従業員を雇う金なんか
ありませんよ

座りませんか?
ちょっと話が聞きたいんで

ああ はいはい

そこのホテル昇鶴を
訪ねてきたんだが

あいにく休業中でね

最近 不幸があったんだって?

1週間ちょっと前かな

あそこの若女将が
突然 亡くなったんですよ

若女将?
うん

(ジム)亡くなったのは
この子ですよ

えっ?

亡くなったのは 女将ではなく

娘の若女将なんだね?

そう 若女将ですよ

僕は 葬式だって
ちゃんと出たんだから

<死んだのは 夕子じゃなくて>

<娘の由紀?
どういうことなんだろうか>

お客さん

じゃあ 母親の夕子さんは
生きているんだね?

(ジム)残された女将さん
ホントに気の毒です

じゃあ 女将さん 今 一人で
ホテル切り盛りしてるんだね?

たった一人の娘が急死したから

よほど
こたえたんですよ

葬式を終えたら ふっと一人で
どこかに行っちゃったみたいだね

女将さんの行き先は?

僕には分からないです

ただ 周りには
しばらく旅に出るようなことを

言ってたようなんだけど

旅にねえ…

あっ

この男に見覚えは?

う~ん
自称弁護士なんだがね

あっ 分かった

確か ここにも
二~三度 来てました

名前は?
知らないよ

でも 弁護士なんかじゃないですよ

じゃあ 何者なんだね
よく知らないんですよ

ここに来たときは
いつも平日だったし

大体が
ラフな格好をしてたから

勤め人でもなさそうだったし

う~ん でも
これだけは確かなんだけど

彼 若女将に入れあげてましたね

由紀さんに?

ここでも
二人で会ってたことあります

(ジム)でも
僕が見たところじゃ

あの人の片思いだね

若女将を一方的に
好きだったんじゃないかな

ストーカーだったんだろうか

(ジム)ストーカー? そんな
怖い感じはなかったんですけど

母親の夕子が死んで
娘の由紀が失踪

崎田は 何で
そんな嘘をついたんでしょうか

事実は
まるで逆じゃないですか

すいませ~ん

ダメですね
あっ

(聡子)すみません 今日は
お休みをいただいてますが

ちょっと
お話を聞きたいんですが

困ります 今
どなたもいらっしゃらないんで

(三枝)警察が何の用なんですか?

三枝です
ああ 経営コンサルタント

三枝さん 私
ちょっと買い物に行ってきます

ご苦労さん

ホテルの若女将が亡くなられて

女将が行方不明になってるそうで

ちょっと事情を聞きたいと思って
訪ねてきました

驚きましたな

そのために
わざわざ東京から?

夕子さんの居所は
まだ分かっていないんですか?

ええ だが
大体の想像はついていますし

電話もありました

2~3日したら戻ると
言っていましたから

警察沙汰じゃないんです

失踪届も出しておりません

しかし 事件でもないのに

どうして 夕子のことを

あっ 大学時代の友人なんです

もう 30年も前のことですが

そうでしたか

夕子と由紀は 今は
もう ほかに身寄りもなく

私がホテルの経営に関して
アドバイスをしてきましてね

由紀が突然 亡くなって

ホントに何と言っていいか…

ちょっと よろしいですか?

この男 ご存じでしょうか

いや… この人が何か?

東京で殺されました
昨日のことです

殺された?

この男が警視庁に
私を訪ねてきまして

原口夕子が死んだと言ったんです

そんなバカな

亡くなったのは
娘の由紀のほうですよ

そうらしいですね
ですが この男は

夕子さんが死んで
由紀さんがいなくなったので

捜してほしいというようなことを
言いましてね

おかしいな

何で そんなデタラメ
言ったんですかね

夕子さんが亡くなって

遺産が問題になってるという
ようなことも言っておりました

まったく
お笑いぐさですな

夕子は死んでいないんだから

遺産問題なんて
起こるはずもないですからね

この男は
詐欺師か何かなんですかね

(携帯着信)

すいません
ちょっと失礼します

もしもし?

なんか妙ですね

昇鶴の経営について
アドバイスしてるんでしょうから

由紀さんに つきまとっていた
崎田のことぐらい

見知ってて
おかしくないと思うんですが

茶店のマスターだって
知ってたんですよ

確かにね

話を聞こう
ああ…

アサイーボウルです
お待たせいたしました

いただきま~す

う~ん

う~ん うん

で 刑事さん 話って何です?

この男を見たことがあるか

聞かせてもらえますか?

うん 何回か見ましたよ

ホテル昇鶴でも?

う~ん 2回ぐらい泊まったのかな

若女将が亡くなって
すぐに来てましたよ 葬儀の日に

若女将の由紀さんと この男は

どういう関係だったんでしょうね

う~ん
詳しくは知らないですけど

割と仲よくしてたみたいですよ

ストーカーみたいな感じ
じゃなかった?

ううん
全然そんな感じじゃ

あのね 三枝さんも
この男 知ってたんでしょうかね

知ってたはずですよ

この人って 崎田さんですよね

うん 若女将だけじゃなくて

女将さんとも知り合いだから

話が違うな

泊まったんなら
宿帳に記入がありますよね

崎田守の住所が知りたいんですが

(若林)逗子市東逗子町

ロイヤル逗子604号ですね

分かりました
すぐに向かいます

ああ それと崎田守のことで

新たなことが分かったら
すぐに電話くれ

分かりました 行こう

原口親子が
4年前に旅館をしていたのは

神奈川県の湘南でしたよね

逗子なら湘南だ どうやら
ただの結びつきではなさそうだ

(パトカーのサイレン)

行くか

(村上)崎田守さんは
ここ2~3日は留守みたいですよ

崎田さんに何か?

殺されました 昨日の夜です

新聞に載っていたのは
やっぱり崎田さんだったんですね

弁護士だというんで 別人なら
いいのにと思っていたんですが

ホントは
何をされてる人なんですか?

色んなことをなさってましたよ
旅行案内の記事を書いたりとか

仕事先は分かりますか?

いや
さすがに そこまでは

捜索差押許可状により
被害者宅を捜索します

失礼します

崎田さん 礼儀正しくて

いい人だったんだけどな

フリーライターってとこなのかな

これに書いてるのか

これ 差し押さえますね
ああ はい

(清水)崎田さんは独身ですか?

ええ そうです

じゃあ この女性

崎田守の恋人なんだろうか

旅先だな

これも差し押さえます

はい

(夕子)あの

はい 何か?

いえ いいんです

名古屋市港区の住宅で

60代の夫婦が殺害されているの
が見つかった事件で、

警察は同居していた37歳の長男

死体遺棄の疑いで逮捕した。

この事件は今月22日、

名古屋市港区福前の住宅で

米原達治さん68歳と妻の敬子さ
んが

刃物で刺されたり、首を絞められた
りして

殺害されているのが見つかったも
の。

警察は事件発覚後から

連絡の取れなくなっていた

長男の行方を捜していたが

今日、愛知県蟹江町内のホテルで発
見し、逮捕した。

逮捕されたのは無職の米原育隆容
疑者37歳で、

今年1月25日頃、自宅に達治さん
の遺体を

遺棄した疑いが持たれている。

育隆容疑者は間違いありませんと

容疑を認めているほか、

孝子さんの殺害をほのめかす

供述もしているとのこと。

遺体の周りには大量の消臭剤が置
かれていたことがわかっていて

警察は育隆容疑者が

2人を殺害後、事件発覚を恐れ、

工作していたと見て、動機などを詳
しく調べている。

(携帯着信)

はい 十津川

(若林)崎田守の仕事が
分かりました

フリーのトラベルライターを
していて

主に ボヤージュサイトという
雑誌に記事を書いています

ボヤージュサイト?

それでか
えっ?

あっ いや いいんだ

崎田は 女性と交際していたようで

二人の写ってる写真が
何枚も見つかりました

これから写メで送ります

うん 頼む

ああ 峯田か 十津川だ

うん 久しぶり

ちょっと
聞きたいことがあるんだがな

お前 崎田という男を知ってるか?

うん うんうん

うん 分かった ありがとう

部屋 取ってきました
このまま東京に帰れませんからね

うん 名刺の謎は解けたよ

崎田は私の友人から
受け取っていた

大学時代の峯田という友人が

旅行雑誌の編集長を
やってるんだが

崎田は そこに記事を書いていた

崎田は弁護士なんかじゃなく
ライターだったんですね

うん フリーのトラベルライターだそうだ

(携帯着信)

崎田は 由紀とは
恋人だったようだな

そうだったのか

崎田が警部を訪れたのは

自分の恋人を警部に
捜査してほしかったからでしょう

ところが 表立って
そうとは言えない

何らかの事情があった

例えば 由紀の死に
不審を抱いていることを

人に悟られてはならない
というような…

うん それだ

人に悟られずに調べるには…

そうか

警部の友人の編集長から

警部と夕子さんのことを
聞いたんでしょうね

それで 弁護士になりすまし

夕子さんのほうを
死んだことにして

不自然な遺産の話を持ち出せば

警部が何だ それは
ということになって

必ず 調べてくれると
考えたんじゃないでしょうか

うん
まあまあ 由紀さんのほうは

行方不明だということにして

うん? でも こんな嘘

すぐにバレるでしょうにね

しかし 崎田にとっては それが
精いっぱいだったのかもしれない

だが それでも彼は殺された

《母を助けてください》

原口由紀が死に 崎田が殺され

原口夕子は行方不明

言いにくいんですが

原口夕子は
容疑者の一人でしょうか

<私の心には
ふに落ちないものが残っている>

(電話のベル)

はい もしもし 十津川ですが

どちらさまですか?

原口夕子さん?

ごめんなさい
こんなところに来ていただいて

ああ…

(直子)十津川から
あなたの話 聞いてました

そうですか

もう とっくに忘れてるかなって

男の人っていうのは

初恋の人は
忘れられないようですよ

私が 十津川さんの初恋?

(直子)ええ 笑っちゃうでしょ

でも 十津川
はっきりそう言ってたわ

十津川の初恋の人

原口夕子がどんな人なのか

今日 会ってみて納得しちゃった

私 あなたが
ずーっとうらやましかった

うらやましいのは 私です

風の噂で聞きました

十津川さんが 西山直子
という人と結婚したって

私は西山直子になりたかった

十津川 今 館山に行ってます

そうですか

十津川さんが結婚した
西山直子さんに

ひと目会っておきたくて

十津川に会いに
いらしたんじゃないんですか?

(直子)あっ 何か
伝えたいことでも?

実は…

いえ 何でもないんです

今日のこと 十津川さんには
何も言わないでください

<夕子の行方が分からない>

<不思議なことに>

<そのことが かえって
私の気持ちを夕子に近づけていた>

(晴美)十津川警部ですよね?

ああ そうですが

私 伊東晴美といいます

東京から刑事さんが来てるって
ホテルの昇鶴で聞いて

原口由紀とは
短大時代の先輩後輩なんです

で 私に何の用が?

2月8日にホテルに泊まりに来たら
大騒ぎになってたんですよ

由紀が死んだって

(晴美)前の夜
由紀のスマホに電話したら

すごく元気な声で
楽しみに待ってるって

急性心不全って聞いたんですけど
信じられません

ちょっと待って

急性心不全って誰に聞いたの?

三枝さんって方に

《由紀が亡くなったなんて
信じられないんです》

《急性心不全でね》

《(三枝)由紀が突然亡くなって》

《ホントに何というか…》

医者はいなかったの?

いました 原口家の主治医とかって
先生が話してくれました

その人も急性心不全だって

医者がそう言ってるのに
信用できないってこと?

信用できないわ!

由紀さんのお母さんにも
会ったんでしょう?

ええ 会いました

お母さん
前の日から泊まりがけで

隣町の会合に
出ていたそうなんですけど

朝 知らせを聞いて
慌ててホテルに戻ったら

もう由紀は死んでいたって

由紀さんの病死に

疑問を持ってる人は
いませんでしたか?

みんな びっくりしているだけで

由紀は 簡単に
死ぬような子じゃないです

でも 急性心不全という
主治医の診断が

間違ってるという確信が
あるわけじゃないんだよね?

それはないけど…

おかしいんですよ! とにかく

君の気持ちは分かるけど

由紀さんの死因に不審が
あるんなら警察が調べてるはずだ

だけど そうはなっていない

それは あの主治医の
死亡診断書を

地元の警察が
信用してしまったからよ

えっ?

(電話のベル)

はい 昇鶴ですが

はい ええ

ああ いや ちょっと…

邦子さん 邦子さん

(邦子)はい 聡子さん
どうしたの?

あの 東京の刑事さんが

うちの主治医が誰かって

経営コンサルタントの三枝は
県会議員もしています

県会議員

かなり人脈もありそうです

由紀の友人が
由紀の死に不審を抱いていた

崎田も由紀の死に 不審を
抱いていたのかもしれませんね

それで 由紀さんのことを
調べてもらいたくて

警部を訪ねてきたあとに殺された

主治医の三田院長

地元の人達の信頼も
相当 厚いようです

そんな人が診断すりゃ
誰も疑わんでしょうな

その診断が違っていたら…

えっ?

行ってみましょう

(玲子)院長 失礼します
警視庁の方 お連れしました

(三田)はい どうぞ

(三田)どうも
警視庁の十津川です

同じく亀井です
院長の三田です

ま お掛けください
失礼します

あの 東京の刑事さんが
こちらで何のご用なんですか?

先日 亡くなった
原口由紀さんのことで

お聞きしたいんですが

死因は急性心不全
間違いないんですね?

そうです

診察された経緯を
聞かせていただけますか?

2月8日の午前9時すぎでした

ホテル昇鶴から
電話がありましてね

《☎(邦子)先生 あの
若女将が部屋で倒れてて…》

《☎すぐに来てください》

《分かった すぐ向かう》

誰からの電話だったんですか?

斎藤邦子さんという
仲居頭です

三枝さんの口利きで入った
ベテランさんです

《こちらです》
《はい》

《由紀さん》

《由紀さん!》

(三田)あらゆる手当てを
したんですが

まだ24歳の若さで
あんなことになるとは

心不全っていうことなんですが

由紀さんには心臓病か何かの
兆候があったんですか?

健康な娘さんでしたよ

ただ この館山に来る
前のことまでは分かりませんが

先生が死亡診断書を
書かれたんですよね?

そうです 私が由紀さんの死を
みとった形になりましたから

何かほかの病気ってことは
考えられませんでしたか?

私の診断が
間違っていたというんですか?

ああ いやいや

何か合併症のようなものは
なかったかと思いましてね

ありません

誰がみても
明らかな急性心不全でした

こちらへ

当日の由紀さんのカルテです

ホテルから電話を受けた時刻

駆けつけた時刻

診断や応急手当ての方法

死亡を宣告した時刻 など

すべて ここに書いてあります

警察に何か
聞かれませんでした?

なぜ警察が聞くんです?

はっきりとした病死なのに

では 崎田守という男が 先生に
何か言ってきませんでしたか?

この男ですが

由紀さんと…

この男は一体 何者なんですか?

由紀さんの恋人だった男です

恋人…

そうだったんですか

私は ちっとも知らなかった

殺されました

東京の小石川公園で

おととい 15日の夜です

あの ちょっと…

あの… 由紀さんの恋人が

どうして殺されたんですか?

それを今 捜査してるんですが
分かってるのは どうやら彼が

由紀さんの死因に不審を
抱いてるということなんです

いや 困りましたねえ

確かに 由紀さんが突然死んで

皆さんがびっくりしたのも
無理はない

しかし あれは病死なんです

急性心不全なんです

医者の名誉にかけても
そう申し上げます

そうですか

ところで 母親の夕子さんは まだ
帰ってきてないようなんですが

どこへ行ったんでしょう?

行き先をどこか
ご存じありませんか?

おなじみさんにも聞かれて
私も困ってるんですよ

御宿 御宿に到着します

♬~月の砂漠を

♬~はるばると

♬~旅のらくだが

♬~ゆきました

評判どおり 三田院長は
誠実な人のようですね

カルテも完璧なようだったし

急性心不全という診断は

間違いなさそうですね

だが あのカルテは
完璧すぎる気がする

まるで 清書したような
カルテだった

何か においますか?

崎田守が由紀の恋人だったと
知ったとき

三田院長は なぜ あんな
悲しそうな顔をしたんだろう

《そうだったんですか》

《私は
ちっとも知りませんでした》

(携帯着信)

はい 十津川ですが

十津川警部さんですね

そうですが あなたは?

佐藤和子と言っておきます

☎あなたに
助けになる話をしたいの

原口夕子さんに関することです

分かりました すぐ向かいます

佐藤和子 もちろん偽名ですね?

申し訳ないんですが

これからお話しすることを
私が話したことは

絶対に人に知られたくないんです

だから
佐藤和子にしておいてください

その前に ちょっと
聞いておきたいんですが

警部の電話番号を
なぜ知ってるんですか?

それも勘弁してください

原口夕子に関する話というのは?

ええ

あの美人親子

女将の夕子と若女将の評判は
聞いていますよね?

ええ

小坂井茂という名前を
知っていますか?

いえ

フフフ… そうでしょうね

ここ 房総の地をモチーフにした
風景画や女性画を描いています

(和子)年は49

独身で美男子で

描く絵も一級

女が夢中になるのも
無理もない男です

その小坂井茂が

原口夕子に ほれてしまったのよ

その男も独身でしょうし
原口夕子も独身

特に問題は
ないんじゃないですか?

フフフフ…
まあそれだけならね

というと?
小坂井茂は

娘の由紀にも手を出したのよ

由紀には恋人がいたんですよ

フフ…

小坂井は筋金入りの
女たらしなの

由紀さんが死んだことに

夕子さんが
関係していたとしたら…

そう勘ぐられてもおかしくはない
とだけ言っておきます

小坂井という画家には
どこへ行けば会えるんです?

自宅兼アトリエが館山のどこかに
あるとは聞いているけど

住所までは知りません

それに よくふらりと出かけては

あちこちで
絵を描いているそうですから

住所が分かっても つかまるか
どうかは分かりませんよ

旅好きなんですねえ

ええ 特に ここ

千葉の房総のあらゆる場所に
足を延ばしてるみたい

ハッ どこがそんなにいいのか

しかしね あなたが言ってることが
事実かどうか

証明できますかね?

信じる信じないは

あなた達の勝手ですけど

証明といえば 例えば
あの絵をご覧になって

《十津川さん
母を助けてください》

<その絵の女性は由紀に似ていた>

<というよりは 由紀そのもの>

<私は我知らず
胸のうずきを覚えた>

あの絵を小坂井茂が?

モデルは原口由紀なの

原口夕子は あの絵を見て

娘と小坂井の関係に気づいたのよ

<何か嫌な予感がした>

♬~さきのくらには

♬~王子さま

♬~あとのくらには

♬~お姫さま

♬~乗った二人は

♬~おそろいの

♬~白い上衣を

♬~着てました

♬~広い砂漠を

♬~ひとすじに

あの女の言うことを
信用していいのかどうか…

ありました
小坂井のアトリエの住所は…

ごめんくださーい

ごめんください
(夏目)小坂井さん いませんよ

ああ どちらへ行かれたか
分かりませんかね?

さあ… ここ 1週間くらい
見かけてませんよ

誰か分かる人いませんかね?

さあ
小坂井さんが家にいるときは

訪ねてくる方も
時々いるみたいですけど

あっ そうそう 前に一度

とてもきれいな女性が
来たことがありました

女性? どんな人だったかな?

着物 着てらして

年の頃は 45~46?

ああ でも もうちょっと
いってんのかな

きれいな人は若く見えますから

(電話のベル)

すいません
ありがとうね

警部 その女性
原口夕子さんなんでしょうか?

亀さん ホテル昇鶴へ
行きましょう

我々は由紀が死んだ現場を
まだ見ていない

すみません

まだ休業中です
分かってます

だが 由紀さんの部屋を
見せてほしいんです 失礼

いや ちょ… ダメです!
三枝さんに叱られますから

三枝さんが? 何か見せて
悪いことでもあんの?

い いや そんな…

女将さんと若女将が
仲が悪かったようなことは?

ありえないです 私はあんな
仲のいい親子見たことがないです

ここが若女将の部屋です

悪いが入らしてもらうよ
失礼

小坂井茂の絵ですね
隅にサインがあります

ああ

若女将が発見されたとき
どんな様子だったんですか?

すいません
発見したのは私じゃなくて…

今 呼んできます

お願いします

これ 何だろう

陶器の破片でしょうか

花瓶か何かの破片だろうか

この部屋に
陶器の器は見当たらないが

割れて掃除したのが
しきれずに残ってたんでしょうか

うん

あの 仲居頭です

あなたが第一発見者なんですね?

はい 斎藤邦子といいます

由紀さんを発見したとき
どんな様子でしたか?

床に あちらが頭で

こちらが足で

洋服を着たまま倒れてました

じゃあ 寝てる間に心臓発作を
起こしたわけじゃないんですね?

由紀さんは
ホテルの仕事をしてる間は

着物だったんですか?
ええ

勤務時間は?

朝は7時頃から 夜は9時頃まで

あの日は用事があるとかで

午後4時頃には
お部屋に戻っていかれました

じゃあ その間は ずっと
着物だったんですね?

(邦子)ええ
ということは 仕事を終えて

着物から洋服に着替え
ベッドに入ることもなく

倒れて死んだ
ってことになりますか

どういう洋服だったんですか?

花柄のワンピースでした

部屋着のようなものですか?
いいえ

若女将は部屋着に
スカートははきません

大体は ジーンズか
コットンパンツです

じゃあ 外出着ですね

出かける用意をしてるときに
倒れたんでしょうか?

あるいは 外出していて
戻ってきて倒れたのか

あなた 知ってる?

私は見かけていません

ほかには?
三枝さんに聞かれたんですけど

若女将が外出するところ
誰も見ていないんです

えっ?

邦子さんね ここに
花瓶のような陶器は?

こんなところに花瓶も
陶器の置物も置きません

最近 ホテルで花瓶のような
陶器が割れたことあったかい?

厨房で
食器が割れることは

しょっちゅうですけど

花瓶が割れたこと
なんてありませんよ

これは どんな器のかけらか

分かりますか?

さあ うちでは
見たことありませんね

じゃあ 外から紛れ込んだのか

あれ…
うん 何か?

これ 若女将の
ハイヒールなんですけど

おかしいな

若女将は 必ず つま先を

こっちに
向けてしまうんです

でも これだけ逆向いてて…

じゃあ そのハイヒールをしまったのは
若女将ではないと?

いや それは
分かんないですけど…

由紀さんは うつぶせに
倒れていましたか?

それとも あおむけに?

あおむけでした

《(ノック)》

《(邦子)若女将?》

《若女将?》

《失礼しますよ》

(邦子)ベッドじゃなくて
床にそのままで…

でも 近寄ったら
死んでる感じがすぐにして

由紀さんは手を胸に当てて
倒れていませんでしたか?

いえ 寝てるように倒れてました

亀さん 心臓発作なら

苦しくて
手を胸に当てていたはずだ

急性心不全じゃない

警部 あの夜
由紀さんは外出をした

帰ってきたら死んでた

というより 外出した先で死んで

誰かに自分の部屋に運ばれた
と考えられます

その運んだ誰かは

由紀さんが いつも ハイヒールを

どうやってしまってるか
分からずに

そのまま つま先から
靴箱に入れた

原口由紀は殺された

聡子さん ここは
お客さんも通るのかな?

いいえ ここは
従業員専用の通路です

じゃあ 若女将が
外出するとしたら?

女将さんも若女将も私達も

み~んな この通路を通って

この裏口から出入りしています

夕子さんが外出していた夜に

由紀さんが外出先で殺された
となると…

《(晴美)お母さん
前の日から泊まりがけで》

《隣町の会合に
出ていたそうなんですけど》

《朝 知らせを聞いて
慌ててホテルに戻ったら》

《もう由紀は死んでいたって》

《夕子 お待たせ》

《さっき見つけたんだ》

《かっこ悪いよね》

《俺は こんな物しか
君に贈れない》

《省三さん 別れて》

《もう会いたくないの》

《どうして?》
《もううんざりなの》

《このまま あなたと続けるなんて
とても耐えられない》

《死ぬわよ 私》

《あなたが
別れないっていうんなら》

《ここで あなたと死ぬ》

《死にたい 一緒に…》

(小坂井)観光スポットはダメだね

こういう誰にも知られていない

何でもない風景にこそ
房総のよさが…

あら 今日休み?

これから東京に
ドッグショーに行きます

あっそうだ 刑事さん達

昇鶴の女将を捜してましたよね?
ああ

外房線に乗ってたって

外房線
そう 一人乗ってて

御宿駅で降りるのを見たって

御宿…

<私と亀井刑事は
外房線で房総の ど真ん中>

<御宿へ向かった>

<夕子に会いたかった>

<夕子に何があったとしても>

<彼女に 会わずにいられなかった>

警部

昇鶴の仲居から借りてきました

<御宿町は 日本の三大海女地帯の
一つとして挙げられ>

<海水浴場も多い>

<伊勢エビや金目鯛>

<あわびの産地としても
有名である>

<また 童謡「月の沙漠」
発祥の地としても知られている>

この女性を
見かけたことはありませんか?

いや
おみえにはなってないですけど…

あれ

ありがとうございます

<我々は宿泊施設を
くまなく探した>

この女性が宿泊していませんか?

はい このお客様でしたら

3日間 こちらにお泊まりになって
今朝早くにチェックアウトなさってます

ここを出て どこに行ったか
聞いてませんか?

いや… そこまでは

では 宿泊名簿を
見せてもらえますか?

はい

この方?
≪はい

西山直子?

警部

原口夕子が 館山のホテル昇鶴に
戻っていません

ありがとうございます

《♬~月の砂漠を》

《(十津川・夕子)♬~はるばると》

《♬~旅のらくだが》

《♬~ゆきました》

《♬~金と銀との》

《♬~くらおいて》
♬~月の

♬~砂漠を

♬~はるばると

♬~旅のらくだが

夕子さんも
ここに来てたんでしょうか

夕子は 西山直子と
偽名を使っていた

ああ 宿泊カードですね

西山直子は

女房の結婚前の名前だ
えっ?

(携帯着信)

はい 十津川だ

(酒井)千葉県警から
連絡がありまして

小坂井茂という画家が
遺体で発見されました

えっ 場所は?

分かった 亀さん

小坂井が遺体で見つかった
場所は この近くだ

(サイレン)

(寺西)あんた達は?
部外者は立ち入り禁止だよ

警視庁の十津川です
亀井です

千葉県警 警部の寺西だ

で 東京の本庁様が
何のご用で?

東京で殺人事件がありまして

それと無関係ではなさそうなので
伺ったんですが

ほう まあどうぞ
失礼

小坂井茂に間違いないんですね?
ああ

死人に口なしか…

ここ何日か ここら辺りで
絵を描いていたようでね

発見したのは
地元に住む海女だった

あわびをとりに出かけるときに

そこに あおむけになって
倒れていたそうだ

この旅館のマッチが落ちてたんで
問い合わせたら

宿泊客の小坂井茂が

今朝 絵を描きに出かけたって
いうんでね

旅館の主人に遺体を確認して
もらったら小坂井に間違いないと

御宿の旅館ですか?
ああ いやいや

すぐそこ 勝浦だ

ここは御宿からも勝浦からも
同じぐらいの距離なんでね

ほう

刺殺ですか?
ああ

ナイフのような物で
背中をブスッと4カ所

死因は その傷による失血死だ

発見されたとき
あおむけだったんですね?

ああ

後ろから刺されたんなら

うつぶせの状態で
死ぬと思うんだが

発見されたのは
この血痕がある場所ですね?

ああ

それじゃあ
犯人があおむけにしたんでしょう

背中の血痕を隠して すぐには
死体だと分からないように

分かってるじゃないの

発見した海女も 最初は死体だと
分からなかったと言ってたよ

そうですか

《ああっ!》

由紀と同じだな

小坂井は この旅館に
宿泊してたんですか?

<私と亀井刑事は
ガイシャが宿泊していた>

<勝浦市鵜原の旅館に行った>

(早苗)ここが小坂井様が
宿泊してたお部屋です

2月10日 日曜日からですから

今日まで1週間ほど
泊まってらっしゃいます

この女性が 小坂井を
訪ねてきませんでしたか?

さあ どうだか…

では

この女性は?

あ~あ この人なら一度

《ごめんください》
《いらっしゃいませ》

《ご予約のお方で
いらっしゃいますか?》

《いえ》

《こちらに小坂井茂という方が
お泊まりだと聞きまして》

小坂井さんを
訪ねてきたんですね?

ええ それで小坂井さんが
お部屋から出ていらっしゃって

そのまま お二人で
出ていかれました

その女性の名前は?
いいえ 聞いてません

でも 小坂井さん
嬉しそうでしたから

恋人なんじゃないかって
それは いつのことですか?

2月11日 月曜日の
午後4時頃です

小坂井さん
食事はいらないからって

お二人で出て行かれまして

2時間くらいして
戻ってらっしゃいましたよ

亀さん

2月11日は 夕子の誕生日だ

そうだったんですか

<原口夕子が失踪し>

<その愛人と疑われた
小坂井茂が殺された>

<それが 崎田守の殺害と
関連があるのかどうか探るために>

<我々は一旦 東京に戻った>

ホントに まったくもう!
何をしてるんだ君は!

千葉県警から
ものすごい文句が来てるんだぞ

それにな こっちには
いっぱい事件があるんだ

初恋の人だか何だか知らんが

そんなことにかまけてる暇が
どこにある!

何もかまけてるわけでは…
君も君だ!

十津川の尻馬に乗りよって!

尻馬とは何ですか!
亀さん

心配かけて すいません
たくもう!

あっ あれ?

そういえば 北村君が
いないようだけど どうしたの?

聞いてないですか?
お見合いで実家に帰ってます

お見合い?

聞いてないよ!

千葉御宿近辺の漁港で殺害された

小坂井茂 49歳

千葉県警からの
司法解剖の結果によれば

死亡推定時刻は
今日の午前8時~10時の間

死因は 背中を
4カ所刺された上での失血死だ

小坂井茂の体には
防御創がなかった

つまり 抵抗する間もなく
殺されたということになる

犯人に対して 警戒心を
抱かなかったということは

顔見知りの犯行なんでしょうか?

容疑者として考えられるのは

いや… 今のところ

容疑者として考えられる人物は
いない

すべては
原口由紀の死から始まった

原口夕子という 館山のホテルの
女将をしてる女性がいる

殺された崎田守は

夕子の娘・由紀と
恋人関係にあった

由紀は病死とされてるが
その死には

殺しの疑いがある

そして 由紀の死後
母親の夕子は失踪し

その矢先に

由紀と何らかの関係があったと
思われる

小坂井茂が殺された

原口夕子が小坂井茂を殺した
可能性は

ゼロではない

警部 それは…
いや 亀さん

得た情報は
すべて話しておく必要がある

原口夕子には 小坂井茂を殺す
動機があったのかもしれない

失踪後 夕子は
御宿に数日 滞在している

その御宿近辺の漁港で

小坂井茂が殺された

じゃあ 夕子さんには

小坂井殺害の容疑が
かけられてるんですね

うん… 千葉県警は原口夕子を

重要参考人とみている

警部 崎田の事件に関して

重要な目撃証言が出ました

今 その人物が来てるんですが
いいですか?

うん

(高木)あれは
夜の9時半くらいだったと思います

崎田守が殺された2月15日

金曜の夜ですよね?

ねっ!
ああ はい…

小石川芸大に通ってるんで

小石川公園には
デッサンでよく行くんすよ

15日の夜は

彼女と夜9時半くらいまで
食事して

帰宅中に車を止めて
少し 休んでたんですよ

そしたら コートもスボンも帽子も
黒ずくめな男が

大事そうに黒いカバン抱えながら
公園から出てきたんです

ほう…
(高木)で まわりを気にしながら

タクシーに乗り込んでいきました

全身黒ずくめだったんで

ドラマの犯人見てるみたいで
妙に覚えてんすよね

男なんですね?

暗かったんで そんなハッキリとは
でも僕には男に見えましたね

体形は?
あー 中肉中背な感じっすかね~

年格好は?

さあ… つい若い印象
持っちゃいましたけど

分かりません まあ頭から足まで
黒ずくめだったんで

何かほかに特徴は
ありませんでしたか?

足が悪かったんすかね

片足を引きずるように
歩いてました 確か左足を

左足を引きずっていたんですね?
はい

確か…

こうやって

ただいま
お帰りなさい

食事は?
いや いい

じゃあ お風呂ね

あとで入るよ
うん

どうしたの?
何か疲れてるみたいだけど

そうでもない
そう?

なあ直子
うん?

原口夕子という女性
知ってるか?

何言ってるのよ
あなたが話 してくれたじゃない

大学時代の恋人だったって
そうか

十津川省三の初恋の人

ちょっと やいちゃったな~
聞いたときは

今は?
まさか!

えっ? 会ったの?
うん…

会ってはいない だが
会わなきゃいけないんだ

大丈夫よ ヤキモチやくほど
若くないもん

で? 何かあったの?
うん…

彼女が 事件に関わってる
可能性がある

えっ?
彼女は今

娘さんと一緒に 館山で
ホテルを経営してるんだが

その娘さんが亡くなってしまって

彼女はホテルを出て行って
行方が分からなくなっていた

だが 御宿のホテルに
泊まっていたことが分かった

そのときの宿泊カードに

「西山直子」という名前を
書いていた

西山直子って… 私の!?

うん… 君の結婚前の名前だ

ホテルに 私の名前で泊まったんだ

うん…
あのね

実は…

私 彼女に会ったの

えっ!?
あなたが館山へ行ってるときに

彼女から電話が来て

それで私 会ったのよ

あなたに話さないでくれって
いうから黙ってたんだけど

《(夕子)省三さん 別れて》

《あなたが
別れないっていうんなら》

《ここで あなたと死ぬ!》

《死にたい 一緒に…》

夕子さん

あなたのこと
今でも思い続けてるのよ

でも あなたに会わずに
私に会った

なぜ 僕に会わないんだ?

私に
会っておきたかったんですって

会っておきたかった?

彼女 何か
伝えたかったらしいんだけど

言いかけて 途中でやめちゃった

うん…

(サイレン)

(携帯着信)

はい 十津川です

何!? 原口夕子が戻ってきた?

<原口夕子がホテルに戻ってきたと
知らせを受け>

<私は亀井刑事を連れて
再び館山に向かった>

<夕子だった>

<あの 原口夕子だった>

<30年前のことが
一挙によみがえってきた>

いらっしゃいませ

女将の原口夕子でございます

十津川様
お待ちいたしておりました

久しぶりです

お元気そうで

お部屋を用意しておきました

いや それは…

いらっしゃいませ
いらっしゃいませ

さあ どうぞ
すいませーん じゃ遠慮なく~

おおっ わわわわっ

畳だ

お風呂にお入りになってください

そのあとに 食事を運ばせます

警部 女将のお言葉に甘えましょう

十津川さん 変わらないのね

昔のまんま

君こそ

では ごゆっくりなさってください

娘さんが亡くなったとは
思えないぐらい

明るく振る舞ってますね~

♬~月の砂漠を

<私の気持ちは
30年前に戻っていた>

<私は嬉しかった>

<だが 無理に笑顔を
振りまいていた彼女は>

<ベールをまとってるように
見えた>

<夕子との時間を
埋め戻すことはできない>

<夕子は 小坂井の事件に
かかわっているんだろうか?>

<かかわってるとしたら>

<なぜ
ホテルに戻ってきたんだろう?>

いや~

料理はうまいし お湯もいいし
女将は美人

これじゃ
はやらないわけありませんよ

警部は 本当に

彼女が小坂井を殺したと
思ってるんですか?

分からない

殺してないことを祈るばかりだ

(ノック)

はい
失礼します

十津川様
お食事がお済みになりましたら

バーへどうぞと
女将が言っておりますが

乾杯

ウーロン茶で
よかったかしら?

僕が下戸だと
覚えてくれていたんだね

忘れるもんですか
あなたのことは

こんな形で君と再会するとは
思ってもみなかった

私もよ あなたと出会った頃

私はずーっと この人と一緒に
いるんだろうなーって思ってた

でも 俺達は別れた

君が別れを切り出した

なぜだか 今でも分からない

《もう うんざりなの!》

《このまま あなたと続けるなんて》

《とても耐えられない》

《死ぬわよ 私》

《あなたが別れないって
いうんなら》

《ここで あなたと死ぬ!》

《死にたい 一緒に…》

あなたと別れたくなかった

でも 死にたいって思ったのは

本当なの

がんだったの

えっ!?

右の胸に悪性の腫瘍ができて

お医者様には
悲観的なことばかり言われて

もう…
長く生きられないって思ってた

どうして話してくれなかったんだ

私の病気に あなたを
巻き込みたくなかったから

話せばきっと あなたは…

何もかも投げ出して

私の病気にかかりっきりになる
って分かってた

私のせいで あなたの人生

棒に振ってほしくはなかったの

そして 手術をして

私は治った

でも嬉しくなかったの

病気が治った喜びよりも

あなたを失ったことのほうが
つらかったのね

三枝雄大という人に会った

湘南を離れて ここに来たのも

三枝さんの勧めだと聞いている

(夕子)ええ

湘南の旅館は
廃業寸前だったの

それを三枝さんが
救ってくれた

この宿泊施設を買い取って

私と由紀に
与えてくれたの

三枝さんは
私と由紀の恩人なの

君は 御宿に行っていたんだね

ええ

あなたと初めて
泊まりがけで行った あの海

(夕子)二人とも あそこが

「月の沙漠」のモデルになった場所
だなんて知らなくて

あなたは急に
私の手をとって 走った

そして 転んだ

で 「月の沙漠」を歌った

十津川さん 音痴だった…

君だって

その 御宿の近くの漁港で

画家の小坂井が殺された

ええ ニュースで聞きました

小坂井は 君をモデルにして
デッサンを描いていた

さあ… どうだったかしら

由紀さんも
小坂井のモデルになったそうだね

ええ そう聞いてますが
それが何か?

君が御宿にいたとき

小坂井も隣町の勝浦にいて

毎朝 スケッチに出かけていた

君が御宿のホテルを出た その日に

小坂井は殺された

私が小坂井茂を殺しました

て言ったら
十津川さん どう思う?

いや…

そう言えたらいいんだけど…

ゲッ…

(サイレン)

あっ またあんたらか

東京の事件とは関係ないだろうが
いや

東京で殺された男と三田院長は
無関係ではない

おい ちょっと待ってくれよ

あの方は?

(寺西)三田院長の息子さんの
省吾さん ここの副院長だ

警視庁の十津川といいます
同じく亀井です

(省吾)警視庁…
最初に発見したのは あなたですか

いや… 宿直の看護師が…

今朝6時頃です

ウイスキーに毒入れて
飲んだようだね

おそらくは青酸カリだ

自殺だよ
ほら 遺書も残ってる

「私にも医者としての
誇りがあります」

「私は原口由紀さんの死に関して」

「嘘の死亡診断書を作ったり
したことは絶対にありません」

「ただ 無言電話や誹謗中傷の手紙
やファックスには耐えられず」

「つくづく疲れ果てました」

筆跡は院長本人のものに
間違いありませんか?

私が確認しました

父のものです

院長に届いたファックスや手紙を
見せてもらえますか?

「今すぐ謝罪し 医者を辞めろ」

「原口由紀は殺されたんだ」

「お前には良心のかけらもないのか
責任をとって死ね」

無言電話が連日ありまして

父は… 相当 悩んでいました

それで自殺を?

父が書いた

原口由紀さんの死亡診断書は
嘘だって…

最初は ほんの軽い噂くらいの
ものだったんですが

怖いもんですね 噂ってのは

人を殺してしまうんですから

父は

医療一筋に生きてきた
誠実な人間です

嘘の… 嘘の診断書を
書くようなことは

万に一つもありません

親父!
(長谷川)おい…

夕子さん

お帰りなさいませ

三田院長が亡くなりました

聞きました

院長には

とてもお世話に
なっていましたから

私…

どうしたらいいのか

夕子さん

夕子

夕子

ごめんなさい

三枝さん

何も言うな

何も…

さっ

邦子さんよ
聞きたいことがあんだけど

あんたが由紀さんを
部屋で発見したとき

彼女の携帯あったかい?

若女将の携帯ですか?

さあ どうだったか

なにしろ 若女将が
あんな様子だったんで

とにかく
三田院長に電話しなきゃって

あっ でも…

なかったかもしれないです

というと?

いや 女将さんが捜してたんです

若女将の部屋になかったみたいで
私達に 由紀の携帯知らないかって

持ち去られたんだろうか

崎田の携帯も持ち去られてます

三田院長が由紀さんを
診断しに来たとき

女将はいなかったと聞きましたが
立ち会った人は?

ああ 私が立ち会いました
それと 三枝先生も

どうぞ

今 女将は三枝さんと?

ええ お世話になった院長が死んで

相当ショックを
受けてたみたいですから

三枝先生が
慰めたりしてるんだと思います

改めて聞きますが

三枝雄大という人は
どういう人間なんですか?

(邦子)一言で言えば

館山一番の有力者です

まあ 県会議員をなさってるのも
そうですけど

経営コンサルタントの事務所も
館山だけじゃないんです

東京にもあって

東京の政財界にも
人脈があるそうですし

そんだけなんかい?
(邦子)えっ?

話してくんねえかな

あん人んこと
知っとかんといかんのよ

そうですか

聞いた話ですけど

あの先生に頼めば
大抵のことがうまくいくって

大抵? 何 何? 大抵って

三田院長の息子さん
副院長ですけど

ギャンブルにハマってて
借金まみれで

暴力団とも関係があるって話

(邦子)その借金のせいで
暴力団が病院に乗り込んできて

院長も脅されて

病院を乗っ取られそうに
なったことがあったんです

でも そこで
三枝先生が中に入って

丸く収めたって

そうですか
じゃあ 三田院長はどういう

院長は立派な方です

みんな院長を信頼してました

だけんどね 由紀さんの死に関して

嘘の死亡診断書を

書いたんじゃないかって
噂が立ったんだけどね

そんな噂 嘘に決まってます!

失礼します

すんませんでした~

<由紀が病死なら そもそも崎田が>

<由紀のことを調べてほしくて
私を訪ねてくる必要はなかったし>

<その後 殺されることも
なかったはずだ>

<やはり 由紀は
殺されたとしか考えられない>

(物音)

聡子さん

何度も声をかけたのですが
失礼いたしました

三枝さんがお帰りです

このかけらに 真相が隠されている

このかけらは
由紀の衣服なんかにくっついて

あの部屋に運ばれたんだと思う

ということは
そのかけらの元の器が

どこかで割れたってことに
なりますね

これが花瓶だとして

花瓶が割れて そのかけらが
由紀の服にくっついたとなれば

そこで暴力があったと推測できる

もし検視さえしていれば

由紀の体に暴力の傷跡が
見つかっていたかもしれません

だとしたら 病死などと
簡単に診断できなかったはずです

問題は
誰もが信頼できる立派な院長が

なぜ 嘘の診断書を
書いたのかということだ

誰かをかばうため

考えられるのは
息子の省吾しかいない

博打に狂って
暴力団にも関係していた

不肖の息子

三田省吾が由紀の死に
何か関係していて

それは 絶対
人に知られてはならなかった

院長は それを知っていたが
息子をかばうために

由紀を
病死と診断するしかなかった

息子の省吾は
院長が仕事終わりに

院長室でウイスキーを飲むのを
知っていた

彼は副院長だから 院長室には
自由に出入りできただろうし

ウイスキー
青酸カリを入れることも

簡単にできたはずです

青酸カリの入ったボックスを
開けられるのは

院長と その息子の省吾だけだ

だとしたら なぜ省吾は
父親を殺したんでしょう

自分のために
嘘の死亡診断書まで

書いてくれたんですよ

院長は嘘の診断書を書いたと
手紙やファックスで責められ

相当悩んでいた

院長は良心の呵責に耐えられず

あの診断書は嘘だったと
公表しようとしていたら

どうなります?

息子の省吾としては

それを絶対阻止しなければ
ならなかったはずだ

あー!

(寺西)ダメダメ しつこいな もう
部外者 首突っ込まないでよ

首を突っ込まれたら
まずいことでもあるんですか?

バカなこと言うなよ
死んだのは副院長の

三田省吾ですね
何で知ってんのよ

警部 思ったとおりですね
あっ 引っかけられた!

屋上からの転落死だ

父親が死んだショックで
身を投げたんだろう

そんなヤワな男じゃないよ

これはどうも 先生

ヤワな男じゃないと言いますと?

三田省吾君は 殺されたんだよ

どうして そう思うんです?

父親が亡くなって
彼は この病院を

一人で
背負わなきゃならなくなったんだ

「父親の分も僕は頑張る」

私に そう言っていた彼が

病院を放り出して死ぬなんて
ありえないよ!

三枝さんは この病院とも
深く かかわってるようですね

ああ 後援なさってたよ

先生は特に 省吾さんには

目をかけて
いらっしゃったようでね

ショックだろうな

寺西さん ちょっといいですか

おい

これ ガイ者のものですか?

ああ 病院内 禁煙だからさ

彼 時々 屋上で
パイプをくゆらせてたらしい

ここに落ちてるということは
彼はパイプをくわえたまま

転落したことになりますね
だとしたら 自殺は考えられない

屋上でパイプを吸ってるところを
何者かに転落させられたんだ

亀さん

あの~ 失礼ですが

看護師長の笹口です

さっき 三枝先生が
ここで何か話してましたね

どんな話を
あの…

副院長があんなことになったが
気を落とさず頑張るようにと

励ましていただきました

それだけ?
ええ

先生 どちらに?

さあ 聞いてないです

今の看護師長 怪しいですね

三枝が
どんな話をしたのか聞いたら…

目くばせをしました

あの!

何か?

副院長のことなんですが…

亡くなった三田省吾さんですね

ええ 三田院長が亡くなった夜

私は副院長が
青酸カリを持ち出して

院長室に入っていくのを
この目で見たんです

じゃあ 三田省吾が
父親の三田院長を殺したんですね

はい 間違いないです

お二人とも とても険悪な仲でした

三田省吾が殺されたとなると

三田院長を殺した
三田省吾が許せない

誰だ それは

あっ もしもし

ゆうべ 館山三田病院から
女性が逃げ去るのを見ました

あっ ええ 10時頃

副院長が屋上から落ちて
すぐあとです

もし 省吾が
由紀を殺したのだとしたら

それを絶対に許せない誰かが

省吾に手を下したと思われます

言いたかありませんが
そうなると どうしても

原口夕子の顔が
浮かんでしまいます

省吾を殺したのは
夕子さんなんでしょうか?

由紀は どこかで殺されて

ホテルの自室に運ばれた

それは
一人でできるとは思えない

省吾が殺したのだとしても

誰か 協力者がいたはずだ

由紀の死体が運ばれたとして

まさか 玄関から
入ってくるわけにはいかない

運ばれたとしたら 裏口から

あの従業員通用口を
通るでしょうね

ホテルの仲居達が
誰も気付かなかったんだとしたら

運ばれたのは
人が寝静まった深夜でしょう

誰にも気付かれないように
運ぶからには

とても一人でやったとは思えない

仲居などのホテル内部の人間が
協力したんでしょうか?

仲居達の様子を見ても 私には

由紀の殺害に関与していそうな
内部の人間は見当たらない

ホテルと関係のない三田省吾が

あの通用口の鍵を
持ってるとは思えません

一人だけ 外部の人間ともいえるし

内部の人間ともいえる人物がいる

えっ?
三枝雄大

まさか 三枝が
由紀の死に かかわっていると…

部長のお兄様とは
釣り仲間でしてね

いや
とてもお世話になってるんですよ

(三上)いやいやいや…
本庁の三上元副総監ですね

兄貴のやつは腰が悪いのに
ゴルフだとか釣りだとか

色々 ご迷惑を
おかけしております

で 今日は また何か?

私の地元の館山で

事件が起きているのは
ご存じですよね?

ええ うちの十津川と亀井が
行ってると思いますが

実は それで弱ってるんですよ

「館山の事件なのに」

「なぜ東京の刑事が
しゃしゃり出てくるんだ」

「捜査をかく乱されて
えらく迷惑を被ってる」

そんな声が管轄の刑事達から
上がってましてね

現場の刑事が
そんなこと言ってんですか

ヤバいですね

そこで
先日 お兄様と磯釣りに行った折に

そんな話をしたら

「東京の刑事は東京のことに
専念しなきゃならん!」と

おっしゃいましてね

そのとおりです さすが元副総監

物事の道理が分かってらっしゃる

ねえ 部長

管轄の人間ならともかく

部外者ですからね

何か下手をすれば その責任は
部長にも及んでしまいます

お兄様からも 三上部長が

とても有能な方だと
伺っております

その部長が万が一にも

その席から外れる
というようなことになりましては

私としても やりきれませんからね

つまり あなたは

私に圧力をかけようと
してるわけですね

いえ
圧力だなんて とんでもない!

お話はよく分かりました

では 早速
十津川と亀井に言っときましょう

館山の事件は お前達二人が
しっかり解決しろと

(本多)部長!

(三上)どうぞ お引き取りください

(邦子)刑事さん どうかしました?

ああ

三枝さんは
ここの鍵を持っていましたか?

ええ そりゃ先生は
ここのホテルの

実質のオーナー
みたいなもんですからね

ここの鍵が何か?

娘の由紀さんが亡くなった日
彼女が このホテルを出て行くのを

誰も見ていなかったと
言ってましたね

ええ
板前さんにも聞きましたが 誰も

若女将以外の誰かが
出入りするのも

もちろんですよ

そうですか 分かりました
お手間とらせました

いいえ
≪(聡子)邦子さん

大変です 女将さんが

女将さんが
警察に連れていかれました

何だって?

夕子さん!

(長谷川)
原口さん あなた 昨日の夜

館山三田病院にいましたよね?

いたことは分かってるんですよ

病院に何の用があったの?

(吉岡)副院長を
屋上から突き落としたんだろ

(吉岡)黙ってたって
こっちは すべて分かってんだよ

承知いたしました はい
原口夕子を必ず落とします

はい はい 失礼します

入ります
(寺西)おお

やっぱりおいでなすったな

原口夕子は逮捕ですか?

いや 残念ながら
任意の事情聴取だ

まっ いずれ吐くさ
そしたら その場で逮捕だ

夕子が
三田省吾を殺したというのか?

ああ 決まりだ

原口夕子は
主治医である三田院長に

えらく世話になってるんだ

その院長を省吾が殺したとなれば
許しちゃおけんだろ

決定的な目撃証言も出てるしな

目撃証言?

司法解剖の途中だが
三田省吾は

昨夜の10時頃 病院の屋上から
突き落とされたとみてる

ちょうど その時間帯に
原口夕子が館山三田病院から

急いで出てくるのを
見たというんだ

夜10時頃…

原口夕子に間違いないんですね?

ああ 目撃者は夕子のことを
よ~く知ってて

絶対見間違えるはずはないと
言ってる

そのとき 夕子は顔を隠すように
病院から出てきて

そそくさと
ホテル昇鶴の方向へ去ったと

それで 彼女は

黙秘してるよ

(寺西)何を聞いても
一切答えない

事件のことは もちろん
それに関係ないことについても

一切答えない

でも バカだよな

黙ってれば 犯行を
認めてるようなものなのにな

(長谷川)そうですね

夕子を目撃した証人は
どんな人なんですか?

あんたらに
教える必要があるのかな?

いやいや
分かった 分かった 分かった

ほら 早く

ここのようですね

(陽子)
会員制だよ 看板見なかったの?

《その小坂井茂が原口夕子に》

《ほれてしまったのよ》

どこかで会ったよね?

えっ? ど… どちら様で?

その節はどうも

佐藤和子さん

佐藤和子? 誰っすか?

あのときは
わざわざ我々を呼び出したのに

忘れるとは
ずいぶん便利にできてるんだね

あの~ この店
会員しか入れないんすよ

その会員に
どんなサービスしてるんだ?

酒だけでやってける店とは
とても思えない

ハハハ… 余計なお世話
とっとと帰って

昨日の目撃のこと
話してもらいたいんだ

正直に言わないと
署まで来てもらうことになるよ

分かったよ

話せって言うんなら話してやるさ

だからさ 叔母が
あの病院に入院してんだよ

うん
で 昨日 見舞いに行って

そしたら
帰りがついつい遅くなっちゃって

そしたら 走っていく
あの女を見かけたのさ

あれは
どう見ても逃げてきた感じで

で 次の朝 病院が
大騒ぎになってて 聞いたら

副院長が血を流して
倒れていたっていうから

これは怪しいなって

ホントに原口夕子だったのか?

そうだよ
女将のことはよく知ってんだ

声かけようかと思ったんだけど

逃げてる感じだったんで
かけそびれちゃったのさ

あんたは 彼女が病院を出て

ホテル昇鶴のほうへ
去って行ったと

警察で話してるが

病院とホテルは離れてるのに

どうしてそんなことが
分かったんだ?

そりゃあ
彼女が昇鶴の女将だからさ

つまり 当てずっぽう言ったわけだ

おい あんたの叔母さん ホントに

館山三田病院に
入院しているのか?

してるさ
ホントか!

何で私が
嘘を言わなきゃいけないんだ

もう一度聞くぞ

あんたは昨日の夜10時

原口夕子が病院から出て行くのを
見たんだな?

ええ 見たよ

ホントだよ

(携帯着信)

はい 十津川です

えっ?

分かりました

亀さん 夕子にはアリバイがあった

夜10時は事務仕事をしていたと
ホテルの従業員が証言してる

あの女 嘘ばっかり言いやがって!

あっ 明かりが消えた

《足が悪かったんすかね》

《片足を引きずるように
歩いてました》

まさか…
崎田を殺した人物も

足を引きずってました

おい 待て!

お前 崎田守 知ってるな

知らない 知らない…

おい!
すいません すいません!

崎田を殺したのは
あんたなんだね?

《あっ…》

なぜ崎田を殺したんだ?

あんたには彼を殺す動機がない

誰かに頼まれたんだね

話してくれ

話せば 気が楽になる

借金があったのよ

死にたいくらいの借金

男に貢いだあげくが それさ

どうかしてたのよ

でも 先生が私の借金を
肩代わりしてくれたんだ

神様だよ 先生は

神様に頼まれたら

断れると思う?

その先生というのは

三枝雄大なんだね

<崎田守殺人容疑で
松田陽子を逮捕した>

<陽子は三枝の愛人だった>

<崎田守の殺害 原口由紀の死>

<小坂井茂の殺害>

<そして 三田院長と
その息子の三田省吾の殺害>

<わずかな間に起きた 5つの事件>

<何か 狂っているとしか
言いようがない>

<犯人はベールをかぶせて
分からなくさせている>

<私には そうとしか思えなかった>

<その奇妙な事件のすべてに>

<三枝雄大の影がちらついていた>

(寺西)警視庁の方が
どうして管轄外の事件に

そんなに興味を
持たれるんでしょうか?

その後 三田省吾殺しに関して

何か ネタはあがってますか?

いいや まったく

傍若無人というか

人を人とも
思わないようなやつだからね

色んな人間の恨みを
買ってたみたいで

あの男を殺す動機があった
人間は

一人や二人じゃ
ないんじゃないの

三田省吾
何か事件を起こしていませんか?

ああ ないない
公金横領とか傷害とか

そういう人間なら 事件を
起こしていたとも考えられます

だから ないよ

犯罪を犯すほど
バカじゃないんだ

なんせ 大病院の副院長様なんだよ

警部さん
父親を殺してるんですよ あの男は

(寺西)知らん 俺は知らんよ

そもそも
そんなこと探って何になるんだよ

その男は死んでるんだよ

死人に罪を問うことは
できないんだよ

では 寺西さん
ここ5~6年以内に房総で起きた

事件の捜査記録

見せていただけませんか
できれば 全部

(寺西)お待たせしました

大変だった 3カ所も
回んなきゃいけないんだからさ

ブーブーブーブー文句言われて

ああ 中 バラバラにしないでね
箱ごとにちゃんと…

食べたものは ちゃんと給湯室まで
返しといてくださいね

お疲れさま

三田省吾が かかわってる事件は
何もないですね

あった!
えっ?

三田省吾

29年… 2年前ですね

えっ 小原恵美子さんが…

飛び込む車に…

あっ 死亡してます 不起訴処分?

三田省吾は同乗してますね

うん しかし亀さん

三田省吾が
運転していた可能性もある

その場合 被害者の
小原恵美子さんの遺族が

亀さん

こんにちは
小原さん

すいません!
小原良治さん

(橘)小原さんなら病院ですよ
もしかして 入院?

小原さん
ケガされちゃったみたいで

どこの病院か分かります?

半年前に事故に遭って入院して

今は車いす
リハビリをしています

職業 インテリアデザイナー

素敵な人ですよね

若い看護師達も
こぞって担当したがったりして

でも 彼女がいるみたいなんですよ

美しい女性が 時々見舞いに来ます

美しい女性
それは どんな女性ですか?

小原さんと同い年ぐらいか
少し下くらいの人ですかね

確か どっかのホテルの…
女将

ええ そうです

原口夕子

彼の病室は?

平熱です
失礼します

あの~
小原という患者はどちらに?

(佐々木)さっき
出て行かれましたよ

屋上にいるんじゃないかしら

小原さん よく屋上で
デッサンされてますから

小原良治さんですね?

(小原)はい

原口夕子という女性を
ご存じですね?

ええ

(小原)原口夕子さんは
由紀さんを連れて

4年前に 湘南から
こっちに越してきました

もともとあった古い宿泊施設を
引き継いだんですが

夕子さんは 地元でインテリアデザイナー
している私のことを聞いて

仕事を頼んできたんです

それ以来 私は

夕子さんと由紀さんとは
親しくしてきて

地元の観光地を
案内したりもしました

2年前 あなたの奥さんが
自動車事故で亡くなったんですね

ええ

《恵美子 危ない!》

(小原)妻が 脇見運転の
ひき逃げに遭って 死にました

子供のいない私には
妻がすべてでした

その妻を亡くした僕は
失意のどん底でした

何度死のうと思ったか
分かりません

でも そんな僕に
寄り添ってくれたのが

夕子さんだったんです

《♬~ハッピーバースデー
トゥーユー》

《♬~ハッピーバースデー
トゥーユー》

《♬~ハッピーバースデー
ディア良治さん》

《♬~ハッピーバースデー
トゥーユー》

(小原)半年前 僕の誕生日を
夕子さんが祝ってくれました

《今夜は 本当に
ありがとうございました》

《いいえ》

《こんなに笑ったのは
久しぶりです》

《フフフ》
《あっ そうだ夕子さん》

《あっちにね すごい素敵なとこが
あるんですよ》

《(クラクションと 急ブレーキの音)》

《(衝撃音)》

(小原)嬉しくて幸せで
酒が過ぎてしまったんです

店を出て はしゃいで歩いていて

妻と同じように
事故に遭ってしまいました

でも 僕は死にませんでした

夕子さんが救急車を呼んで
病院まで付き添ってくれたんです

夕子さんに命を救われました

夕子さんは よく 病院に
お見舞いに来てくれたそうですね

(小原)ええ

時々 由紀ちゃんも
連れてきてくれました

(小原)夕子さんは僕にとって
姉のような

いや 姉以上に
かけがえのない人なんです

その夕子さんの最愛の娘さんが
亡くなりました

いや 殺されたんです

あなたは 由紀さんが殺されたと
知ってるんですね

夕子さんから聞きました

夕子さんは あの日

出先の旅館から
由紀ちゃんに電話をしてるんです

《えっ 今夜
小坂井さんに会うの?》

《大丈夫なの? 今夜は崎田さんに
会うんじゃなかったの?》

《うん「急な仕事ができた」って》

《さっき電話で
ドタキャンされちゃったのよ》

《心配しないで
三枝さんが一緒だから大丈夫よ》

館山の海岸沿いに
三田院長のセカンドハウスがあるんです

もっとも 使うのは

もっぱら 息子の
三田省吾のようだったんですが

あの夜 そこに

小坂井茂と
三田省吾と三枝雄大がいて

由紀ちゃんを呼び出したんです

小坂井は
由紀ちゃんをモデルにした絵を

何枚か描いているんですが

一番新しい由紀ちゃんの絵が
完成したから見に来ないか と

誘ったらしいんです

小坂井茂 三田省吾

そして 三枝雄大

あの三人は
同じ大学の先輩後輩の仲で

とても親密らしく

お互いを利用しながら
悪事にふけってきたんです

「三枝さんが一緒だから大丈夫」

気の毒に
そんなやつを信じたせいで

殺されたんでしょうね

でも 何で 死ななきゃ
いけなかったんでしょう?

絵を見に行っただけ
なんでしょう?

小坂井は前から 由紀ちゃんの
ヌードの絵を描きたがっていました

由紀ちゃんは それを
ずっと拒んできたんです

もしかすると

あの夜 三人が 無理やり
由紀ちゃんにヌードを強要して…

由紀さんは それに激しく抵抗した

そんなこととは つゆ知らず

夕子さんは
次の日 ホテルに帰ってきました

そのときには
由紀ちゃんは既に死んでいて

三枝から

由紀ちゃんの死因は
急性心不全だったと

三田院長が診断した と
聞かされたんです

《(夕子)由紀!》

三枝雄大

あなたが
三田省吾を殺したんですね

はい

夕子さんのためですか?

ええ

でも…

それだけじゃないんです

妻をひき逃げしたのは
三田省吾なんです

《恵美子 危ない!》

《(衝撃音)》

それを…

三枝雄大が もみ消した

私は許せなかった

《何だよ いきなり》

《うわっ》

《小原恵美子を覚えてるか》

《もう終わった話だろうが》

《ううっ ふざけんなっ》

《お おい 何すんだ》
《うわ~っ》

《う~っ》
《ああ~っ!》

《(衝撃音)》

(パトカーのサイレン)

ここで殺しがあったなんて
とても思えないです

ゴミもホコリもなく
きれいなもんです

清掃が行き届いてますよ

しかし
きれいすぎると思いませんか?

犯行の痕跡を
消し去ったのかもしれない

(寺西)令状を取らせて こんな
無駄な捜査させようなんて

いいかげんにしてほしいです
まあ待てよ

亀さん これ

由紀の部屋に落ちていたものと
同じかけらですね

どう見ても同じです

その花台には
本来なら花瓶が置かれてるはずが

今は何も置かれていない
ここから落ちて割れたんですね

何言ってんだ あんたら

いいだろう
あんたらの考え 聞かせてくれ

由紀は ここで抵抗して
激しく暴れた

そのときに
花瓶が落ちて割れたんだ

やつらは そのかけらを
全部片付けたつもりが

そのうちの一つが
衣服にくっついて

由紀の死体とともに
彼女の部屋に運ばれ

もう一つが
そこから落ちて飛び散った

ああ
きちんと検視さえされていれば

暴行の跡が見つかったはずです

でも 暴行で済まさずに

なぜ
殺すにまで至ったんでしょうか?

そのときのことが
由紀の口から漏れたら

三枝は 地元一番の名士である
という評判が地に落ちる

そして 議員の椅子も
コンサルト会社も

何もかも失ってしまう

大病院の副院長の省吾にとっても

評判の画家の小坂井にとっても

由紀の口をふさぐ必要があった

省吾は 父親に泣きついて
由紀の死を病死にしてもらった

(寺西)何てやつらだ

由紀を殺した三人のうち
小坂井茂は殺され

三田省吾も殺された

残るは 三枝雄大

《三枝さん》
《何も言うな》

《何も》

《さあ》

<原口夕子>

失礼 三枝雄大氏に
お会いしたいんですが

(栗原)先生は
おいでになっていませんが

アポイントは されていますか?
いえ どこにいらっしゃるんですか

いえ それが…

言ってください
会う必要があるんです

すいません 昨日から
先生はおいでになっていません

ご自宅にも
いらっしゃいませんし

東京の事務所にも
おいでになっていないそうです

どこにいるか
知ってる人はいないんですか?

(栗原)ええ 申し訳ございません

十津川さん
女将さんが昨夜からいないんです

お部屋も もぬけの殻で

女将さんの部屋を
はい

<三枝雄大が行方をくらまし
原口夕子もいなくなっている>

ここが 女将さんの部屋です
失礼

女将さん 昨夜は
9時前に切り上げたんですけど

夜10時頃 用があって
私がうかがったら

もう部屋の電気は消えてて

何度も呼んだんですけど
返事がなかったんです

気になって 今朝早くに来て
呼んだんですけど

やっぱり返事がなくて

で 中に入ってみたら
いらっしゃらなくて

《夕子》

《お待たせ》

《さっき見つけたんだ》

《かっこ悪いよね》

《俺は こんなものしか
君に贈れない》

《省三さん 別れて》

《もう会いたくないの》

《どうして?》
《もう うんざりなの》

《このまま あなたと続けるなんて
とても耐えられない》

《死ぬわよ 私》

《あなたが別れないって言うなら》

《ここで あなたと死ぬ》

《死にたい 一緒に》

湘南だ

《それで 三田院長は》

《息子の省吾に泣きつかれ
急性心不全と診断し》

《嘘の死亡診断書を書いた》

《夕子さん やはり由紀ちゃんは》

《小坂井茂と 三田省吾と
三枝雄大に殺されたんですね》

(汽笛)

夕子がデートに誘ってくれるなんて
珍しいね

東京湾フェリー
金谷港を出港いたしました

《観光スポットはダメだね》

《こういう 誰にも知られていない
何でもない風景にこそ》

《房総の良さが…》

《うわっ あっ あっ…》

《(何度も刺す)》

《(夕子)あなたと
別れたくなかった》

《でも 死にたいって思ったのは
本当なの》

<夕子は 三枝を殺して>

<自分も死ぬつもり
なのかもしれない>

こんな場所に来たかったのか

一緒に来てくださって ありがとう

夕子と二人で話すのも
久しぶりだな

由紀のことは 今でも胸が痛むよ

殺したから?

夕子 何を言うんだ

どうして私が
由紀を殺さなきゃいけないんだ?

あの夜 三枝さんと
小坂井茂と三田省吾とで

由紀を院長の別荘に呼んだのは
分かっています

由紀に乱暴して 殺して

それから 由紀を部屋まで運んで
病死に見せかけて

院長に嘘の診断書を書かせた

何のことだ?

お前は 由紀が死んだショックで
変な妄想を抱いてるんだ

私が かわいい由紀に
なぜそんなことをする?

もういいの!

これ以上 私を失望させないで!

おい 何をするんだ
お前 どうかしてる

ハハハハハハ ハハハ

そうだよ

そのとおりだよ

由紀は
絵になる いい女だったのになあ

残念なことしたよ ハハハハハ

《や やめてください》

《芸術のために裸になるんだよ》

《恥ずかしいことでも何でもない
むしろ誇りに思いなさい》

《嫌です やめてください》

《小坂井先生が
そうおっしゃってるんだ》

《おとなしく
言うとおりにしなさい》

《嫌です 絶対に》

《三枝さん こんなことして
恥ずかしくないんですか?》

《嫌 嫌っ やめて!》

《(舌打ち)》

《イテッ》

《いいかげんにしたら?》

《お前なんか
ただのクズ女なんだよ》

《三枝先生に
さんざん世話になってるくせに》

《恩返し一つできないのか?》

《何も 取って食おうって
いうんじゃないんだ》

《絵を描かせてくれ って
言ってるだけじゃないか》

《えっ そうなの?
僕はやっちゃいますよ》

《せっかくなんですから》

《おいおい 大事なヌードモデルだ》

《傷つけるんじゃないよ》

《やめてください お願い》

《おらっ》

《おとなしく
言うとおりにするんだ》

《お前が いくら逆らっても
しょせん 虫けらの あがきだ》

《ハハハハ》
《お母さん 助けて!》

《お母さんは 助けには来ないよ》

《(三枝)ハハハハ》

《私 警察に言います》

《世の中全部の人達に》

《あんた達が どんな人でなしか
訴えます!》

《ふざけんな》

《嫌!》

《離して!》

《おとなしくしようよ》

《助けて!》
《由紀ちゃん》

《言うとおりにしないと
命の保証はできないよ》

《もっとも お前のような女が
死んだところで》

《私達は 痛くもかゆくもないがね》

《ハハハハ》
《嫌!》

由紀…

私は

絶対に あなたを許さない!

夕子!

三枝雄大 貴様ら
よってたかって由紀を殺したな!

何ぃっ!

由紀を殺した証拠はどこにある?

由紀は 自分の部屋で
心臓発作を起こして死んだんだ!

これは 花瓶のかけらだ

三田院長の別荘にあった花瓶

その花瓶の破片が
由紀の部屋にもあった

由紀が暴れでもしない限り
花瓶が割れることはない!

《嫌っ 助けて!》
《ハハハハ》

私じゃない!

彼女を離せ
貴様は もう逃げられん

由紀はいつも
かかとを奥に向けて しまっていた

貴様はそれを知らなかった つまり
貴様らが由紀を運び込んだんだ!

由紀を呼んだのは小坂井だ!

省吾が由紀を殺したんだ!

医者のくせに あんな量の
クロロホルムをかがせたら

死ぬぐらい
分かりそうなもんなのに

由紀

待て!

そうか 政治家は取引が得意でな

あんたと取引してやろう

私は!
警視総監ともツーカーの仲でね

私が言えば
君を一課長ぐらいには してやれる

刑事は いかなる場合でも
取引なんかしない

来るな! さもないと
こいつが死ぬぞ!

夕子

うわっ

貴様は ケダモノだ!

夕子と由紀まで裏切った
許しがたいケダモノだ!

(三枝)うるさい! うわっ

警部!

いけません 警部
うわ~っ

三枝雄大
原口由紀殺害容疑で逮捕する!

逮捕状も出てる!

あっ 夕子やめろ!

やめろ 死ぬな やめろ

死なせて 死なせて!
死ぬな 死ぬな夕子 死ぬな!

由紀のためにも死ぬな
なっ 死ぬな!

由紀のためにも なっ

ああ~

(夕子の泣き声)

(ドアが閉まる)

三枝を殺して
君も死ぬつもりだったんだな

私は

犯人達が
刑務所に送られるぐらいでは

我慢ができなかった

不思議ね

殺人犯になったのに

今 気持ちは澄み切ってる

なぜだろう

あなたなら 由紀の真相を
明らかにしてくれるって思ったの

事件のことは
正確に伝わってほしい

だから すべてを知ってほしかった

夕子

十津川さん

初恋は いつまでも初恋だ

私ね 実は

あなたの奥さんに会ってきたの

そう

どんな方なのか
ひと目 会っておきたくて

うん

素敵な人ね

ありがとう

おはよう あら珍しい

目玉焼き?
うん

いつか 朝飯で食いそびれた
ハハハハ…

あっ 2個はダメよ 2個は

そのときの分 1個ね
うん もう

しょうがないわね
コーヒーいれようか

うん ありがとう
はい

《♬~月の砂漠を》

《(十津川・夕子)♬~はるばると》

《♬~旅のらくだが》

《♬~ゆきました》

<私の初恋は終わった>

初恋の人が
殺人を犯して捕まるなんて

お気持ち お察しいたします

夕子が三枝を殺さずに済んだのが

せめてもの救いだ

夕子には これからもずっと
生きていてほしい

初恋の人ですからね

奥さんに 叱られますよ

女房は知ってるよ
夕子のことは何もかも

平気なんですか? 奥さん
ああ

もっと夕子の話をしろ って
うるさいぐらいだ

信じられませんね
世の中に そんな妻がいるなんて

私もだ

初恋の人かあ

♬~月の砂漠を

(亀井・十津川)♬~はるばると

♬~旅のらくだが

♬~ゆきました

♬~金と銀との

♬~くらおいて

♬~二つならんで ゆきました