ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

大奥~最終章~ 大沢たかお、松坂慶子、木村文乃、鈴木保奈美、小池栄子… ドラマのキャスト・主題歌など…

『大奥~最終章~【人気シリーズ完結!木村文乃ら豪華キャストで贈る最後の大炎上】』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 久免
  2. 吉宗
  3. 上様
  4. 天英院
  5. 月光院
  6. 浄円院
  7. 竹姫
  8. 浦尾
  9. 大奥
  10. 吉野
  11. 葛岡
  12. 母上
  13. 長福丸
  14. 高瀬
  15. 正室
  16. 多喜
  17. 将軍
  18. 紀州
  19. 小次郎
  20. 間部

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『大奥~最終章~【人気シリーズ完結!木村文乃ら豪華キャストで贈る最後の大炎上】』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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大奥~最終章~【人気シリーズ完結!木村文乃ら豪華キャストで贈る最後の大炎上】[字][デ]

華麗な大奥に渦巻く女達の怨念…吉宗と妻が挑む命がけのラストバトル!木村文乃大沢たかお小池栄子浜辺美波松坂慶子鈴木保奈美や大奥豪華OBも参戦!

詳細情報
番組内容
「フジテレビ開局60周年特別企画」として放送する『大奥』シリーズ完結作となる『大奥 最終章』は、幕府財政の再建を目的とした享保の改革を行い「徳川中興の祖」と称され「暴れん坊将軍」としてもあまりに有名な徳川第8代将軍・徳川吉宗の時代を舞台に「家族」をテーマに描かれる。

 紀州で藩主の吉宗(大沢たかお)、吉宗の母・浄円院(松坂慶子)、
番組内容2
3人の子供たちと仲むつまじく暮らしていた吉宗の側室・久免(木村文乃)。久免は、彼らとともにいつまでも幸せな暮らしが続くものだと考えていた。しかし、吉宗を第8代将軍に推挙するという江戸城からの命が、平凡ながらも幸せな久免の生活を一変させる。慣れ親しんだ紀州藩邸での暮らしを捨て江戸城・大奥に移ることに一抹の不安を感じていた久免だったが、
番組内容3
吉宗の高い能力を紀州藩主で終わらせるのはもったいないと彼の背中を押す。
 しかし、天英院(鈴木保奈美)と月光院(小池栄子)がさまざまな局面で覇権争いを繰り広げ、1000人もの美しく着飾った女たちが吉宗を誘惑しようとしのぎを削る大奥は、久免の甘い考えを打ち砕くには余りある存在だった。果たして久免は、権謀術数が渦巻く大奥から、吉宗や3人の子供たちを守り抜くことができるのか!?
出演者
木村文乃 大沢たかお 小池栄子 浜辺美波 南野陽子 岸井ゆきの 鷲尾真知子 山口香緒里 久保田磨希 ・ 浅野ゆう子 北村一輝 谷原章介 葛山信吾 ・ 松坂慶子 鈴木保奈美 他
スタッフ
【脚本】
浅野妙子 

【音楽】
石田勝範 

【主題歌】
「I Say A Little Prayer」 Roys(ユニバーサルJ) 

【企画】
保原賢一郎、塚田英明(東映) 

【プロデュース】
高田雄貴、大森敬仁(東映)、大西文二(東映) 

【演出】
林徹 

【制作】
フジテレビ、東映

 

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[今から 300年ほど前]

[新しく 八代将軍と なられた

吉宗さまの 初お目見えを控えて

本日 大奥は 上を下への
大騒ぎに ございます]

[先代の 家継さま ご在位の間は
大奥とは 名ばかり]

[わずか 4歳の
幼い上様に 仕え

一人の殿方に
お目もじすることもなく

男日照りの 4年間を
耐え忍んだ 奥女中たち]

[色めき立つのも
道理で ございます]

(浦尾)ああ。
(吉野)こちらです こちらです。

(浦尾)大変で ございます。
大変で ございますよ 葛岡さま。

(吉野)お聞きになりました?
上様が お命じになったこと。

妙齢の 飛び切り 見目麗しい
お女中を より抜いて

御前に 並ばせよと。
さらに

ご自分で
お一人 お一人 ご検分されると。

(浦尾)つまり われらの中から
お好みの美女を

上様 御自ら
選ばれると いうことなんですよ。

(浦尾・吉野)葛岡さま!

(吉野)あっ。

(葛岡)とっくに 聞いております。

(浦尾)あっ。
(吉野)葛岡さま。

(浦尾)もしかして その お化粧…。

フフッ。 フフフ…。

(吉野)その厚化粧は
度が過ぎるんじゃないですか?

そうかしら?
(浦尾)やり過ぎです。

(葛岡)そうかしら?

(吉野)あっ。 浦尾殿。
(浦尾)はい。

(吉野)私たちも
こうしては いられませんわ。

殿方の好みは 人それぞれ。

(浦尾)たで食う虫も 好き好き。
あっ! もしかしたら 上様は

私のような ぽっちゃりが
お好みかも。

(吉野)ない!
(浦尾)あのう。 吉野殿…。

もしかしたら 年増好みかも。

(鈴の音)

(お鈴番)上様 おなり。

♬~

♬~

♬~

♬~

[名君と うたわれた
八代将軍 吉宗さまを

内助の功で 支えられた ご側室]

[それが この お久免の方さまに
ございます]

(久免)母上。 殿は
どこに おられるのでしょうね?

(浄円院)殿ではない。
もう 上様じゃ。

(久免)上様。

[一見 頼りなげに見える
この お久免の方さまが

華やかな 大奥の舞台裏に 渦巻く
女の恨み 悲しみ

嫉妬や 怨念の渦に
巻き込まれながら

いかにして 吉宗さまや
お子たちを 守り抜いたか]

[こよいは
この お話をして参りましょう]

[吉宗さまが
八代将軍と なられる前

大奥では 六代将軍 家宣さまの
正室 天英院さまと

家宣さまの ご側室にして

七代将軍 家継さまの ご生母
月光院さまが

覇権を 競っておいででした]

♬~

[これは 将軍の お腹さまである
月光院さまに

分のある戦いに ございました]

[が…]

(せき)

(月光院)上様? 上様?
いかがされました?

[もともと ご病弱だった
家継さまが

重い病の床に 伏されると

幕府では 次期将軍の選定を

急ぎ 進めねばならぬ事態と
なったので ございます]

[御三家筆頭
尾張藩主 吉通さまは

ご年齢 お家柄とも
申し分なく

次期将軍候補の
最有力に ございました]

[が 参勤交代で
江戸へ 向かう途中…]

(吉通)うっ。 うっ…。

♬~

♬~

(天英院)そうか。
うまいこと いったか。

(飛鳥井)これで 尾張藩主の座は

継友さまに 首尾よく
転がり込む 算段に。

(高瀬)尾張 継友さまは

天英院さまの めい 安己姫さまの
いいなずけ。

(高瀬)今ごろ さぞや
恩義を お感じのことでしょう。

将軍となった暁には

あなたさまに 一生
頭が 上がりますまい。

(月光院)何と 恐ろしいことを。

あの女 身内を将軍にするために
毒まで 盛るとは。

(間部)まだ 尾張 継友さまが

跡目と決まったわけでは
ございませぬ。

紀州に 吉宗公が おられます。
(月光院)吉宗?

(間部)江戸屋敷の 火事や 飢饉。

相次ぐ 藩主の不幸などで
傾いた 紀州の財政を

数年で 見事に 立て直された
ご器量。

(間部)しかも 神君 家康公の
ひ孫に 当たられまする。

継友公は やしゃごにござる。

[このころ 吉宗さまと
お久免の方さまは

江戸 赤坂の 紀州藩邸で
ご生母の 浄円院さま]

[亡くなられた ご側室の
お須磨さま お古牟さま

お梅さまの 忘れ形見である
3人の お子さまたちと

いとも 和やかに 仲むつまじく
暮らしておられました]

(吉宗)次は そなたじゃ。 長福丸。
来ないか。

(小次郎)兄上。

(小五郎)兄上。

(吉宗)さあ 来い。

≪(久免)殿。

母上。 長福丸。
小次郎。 小五郎。

おやつに いたしましょう。

(浄円院)おいしそうな 干し柿じゃ。
(小次郎)干し柿だ。

(浄円院)さあさあ。
はい。 どうぞ。

(久免)これ。 ゆっくり 食べて。
(吉宗)どれ。 わしにも ひとつ。

(浄円院)そなたに あげるものは
ございませぬ。

(吉宗)えっ?
(浄円院)フフフ。 冗談じゃ。

はい。 どうぞ。

(久免)ほら。 兄上を見習って。

(浄円院)よい嫁じゃのう。

なさぬ仲の子らが
あんなに 懐いて。

あら。
(吉宗)ええ。

(浄円院)3人の母親が
相次いで 亡くなったときは

子らの行く末を 案じたが。

(吉宗)よし。 次は
3人 いっぺんに 掛かってこい。

(小五郎)はい!
(吉宗)来い。

(久免)ほら。 長福丸も。

(加納)殿。 殿。

(久免)しっかり。
お父上に 負けるな。

(吉宗)まだまだ。 まだまだ。
(浄円院)そこじゃ そこじゃ。

(加納)殿。 お城より
ご老中が 参って おられます。

(浄円院)もう少しじゃ。
(加納)殿。 お城より

ご老中が 参って おられまする。
殿…。

(吉宗)うるさいのう。
何じゃ いったい。

(加納)お城より

ご老中 堀田さま 大久保さまが
参っておられます。

殿を 八代将軍に 推挙したい?

誠に ございますか?

(吉宗)誠じゃ。

(久免)それで…?

(吉宗)迷うておる。

紀州は ようやっと
借金を 返し終えたばかりじゃ。

それに 母上も 子らも

ここで そなたと暮らす日々が
性に合うてるようじゃ。

ことに 長福丸は そなたなしでは
夜も日も 明けぬ。

それを壊してまでとは 思わぬ。

ここのところ 紀州家は
不幸続きであった。

兄上。 父上。 3人の 和子の
母たちも 相次いで亡くなった。

(久免)殿。 私への お気遣いなら
それは もう。

(浄円院)なら お断りなされ。

そなたは 紀州家の 四男坊。
それが 藩主にまで なれた。

それで よいのではないか?

(榊原)大勢は 紀州の吉宗に傾き

尾張の継友公を 推す声は
どこにも 聞こえませぬ。

(天英院)次期将軍は
紀州 吉宗で 決まりか。

(榊原)自分を推挙したのは
月光院と 間部だと 知れば

吉宗は 月光院びいきに
なるのが 必定となると

われわれは…。
(天英院)待ちや。

まだ 打つ手は ある。

(久免)殿。
昨日の お話でございますが。

(吉宗)将軍ご後見のことか?
断ろうと 思うておる。

(久免)いえ。
やはり 受けてくださいませ。

殿の ご器量を この紀州 一国で
終わらせるのは

あまりに
もったいのうございます。

ご案じめされますな。

お子たちのことは
きっと 私が お守りいたします。

分かった。

(加納)殿。
登城の刻限に ござります。

(吉宗)うん。

(久免)いってらっしゃいませ。

♬~

(浄円院)そなた 江戸城
恐ろしゅうは ないのですか?

(久免)楽しみでございます。

豪華絢爛な ふすま絵や
家具 調度。

いろいろ あるというでは
ございませぬか。

(浄円院)何を たわけたことを。
江戸城には 大奥があるのですよ。

(久免)大奥。

(浄円院)1, 000人からの
おなごが住まう 伏魔殿と聞く。

何が起こるか 分かりませぬぞ。

そうですね。
大奥のこと 忘れておりました。

ああ。 ほんに そなたは
のんきじゃのう。

(御殿医)身まかられました。

(月光院)家継殿。
家継殿! 家継…。

(間部)待たれよ。

上様は
ご存命にあらせられます。

(間部)将軍家に 将軍不在の
いとまがあっては なりませぬ。

今 しばらく。

(月光院)家継殿。

(藤波)間部さまに 申し上げます。
御三家の方々 揃われております。

(間部)分かった。 今 参る。

(月光院)行かないで。
一人にしないで。

(綱條)されば
謹んで 申し上げる。

(綱條)吉宗殿。
ぜひとも あなたさまに

上様の ご後見を
お願い申し上げたい。

(堀田)お返答を。

(男性)天英院さま。
お越しにございます。

(榊原)大御台さま。

♬~

(天英院)吉宗殿。
ぜひとも 将軍ご後見を。

これは わが夫 家宣公の
ご遺命。

(天英院)家継に
もしものこと あらば

紀州に 将軍職をと。

(継友)嘘だ。
そんなはずはない。

家宣公は 尾張
ご指名されたはず。

そうであろう? 榊原。
(榊原)いや。 いや。 うむ…。

(天英院)さにあらず。

紀州に ござります。

♬~

(間部)吉宗さま。
家継さまの ご後見を。

それは 今 私が
お願い申しました。

(綱條)皆の者。
八代将軍に 拝礼せよ。

♬~

♬~

(月光院)あの女。 尾張
推していたのではないのか?

(間部)ご自分の立場が
危ういとみて

寝返られたのでしょう。

[かくして 享保 元年 吉日]

紀州藩 江戸屋敷に おられた
お久免の方さま 浄円院さま

長福丸さま はじめ
3人の お子さまたちは

吉宗さまの 後を追って

江戸城に ご入城の運びと
相なりました]

♬~

御客会釈の
葛岡に ございます。

(吉野)御次頭の
吉野に ございます。

同じく 浦尾に ございます。

(葛岡)奥を ご案内いたします。
どうぞ こちらへ。

♬~

♬~

(浦尾)こちらは 御膳所
ございます。

(葛岡)お続けなさい。
(浦尾)上様 はじめ

皆々さまの お食事を
調える場所で ございます。

こちらは…。 痛っ。
お毒見係に ございます。

お口に入るものは 全て
毒見が食して

害のないことを 確かめた後

皆さまの下へと 運ばれる
手はずに なっておりまする。

このように。

美味でございます!
ホホホ。

まあ。

(葛岡)では 参りましょう。

(吉野)呉服の間に ございます。

針の数を 全て 数えて
仕事を始め

仕事の終わりに
針の数が 揃わなければ

見つかるまでは 一人も

部屋を出られぬ 決まりに
なっておりまする。

万に 一つも 上様の お体を

傷つけるようなことがあっては
なりませぬ故。

(葛岡)こちら
長局に ございます。

大奥は 上から 順に 御年寄。

御客会釈。

御中臈。

表使。

御次。

呉服之間。

御切手。

御三之間。

御末と なっておりますが

その全てが ここに寝起きし
くつろぎ 憩うので ございます。

(葛岡)乗っておりまする。
(久免)えっ?

(葛岡)裾に 乗っておりまする。

(久免)キャッ。
失礼いたしました。

(葛岡)こちらは
お鈴廊下に ございます。

その 杉戸より手前は
上様以外の男子は

一人たりとも
入ることを 許されませぬ。

(浄円院)たくさんの お鈴。
このようなもの 初めて 見ました。

(浄円院)あっ。

(葛岡)
上様の お渡りのときに限り

この お鈴を
鳴らせていただきます。

朝の 総触れのときに 一度。
そして 夜に 一度。

夜?
(葛岡)はい。

上様が どなたかとの
夜とぎを 所望された場合

この廊下を 渡って
ご寝所へ 参られまする。

(浄円院)あくまでも
所望した場合じゃ。

所望されるとは 限らぬ。
のう? 久免殿。

(女性)こちらで ございます。

(女性)失礼いたします。
(女性)失礼いたします。

(浄円院)やっと 座れました。

(久免)何だか
目が ちかちかします。

(浄円院)そうじゃのう。
おお。

母上。

殿は
どこに おられるのでしょうね?

殿ではない。
もう 上様じゃ。

どれ。 ちょっと 捜して…。
というわけにも いかぬのう。

こう 広くては。 フフフ。

≪(鈴の音)
≪(お鈴番)上様。 おなり。

♬~

(高瀬)大目付 安藤 修理が 娘。
小夜に ございます。

御徒頭 木村 左平太が 娘。
和華に ございます。

(高瀬)御小納戸
志村 鉄太郎が 娘。 きく。

御小姓 新見 内匠頭が 娘。
しずか。

書院番 佐々 弥右衛門が 娘。
ふみ。

小普請組 中村 八太夫が 娘。
ゆきの。

(吉宗)これまで。

(浦尾)やっぱりね。

(吉野)
それは そうでございましょ。

(浦尾)葛岡さま。
がっかりし過ぎですよ。

うるしゃい。

(吉宗)さすがは 大奥。
見目よい おなごが 揃うておるの。

(吉宗)これぞ 眼福である。

今 選ばれた者たちには
本日かぎり いとまを取らす。

(一同)えっ?

(吉宗)聞こえたか?
その方らに いとまを命ずる。

大奥を 去るのじゃ。

(高瀬)何を
おっしゃっておられるのです。

奥のことは 全て

この 大奥総取締 高瀬を
通していただきませぬと。

わしは 将軍である。

(吉宗)そもそも 大奥は
何のために ある?

将軍のためじゃ。
違うか?

(高瀬)それは… まあ。

(吉宗)であれば
何事も わしの勝手じゃ。

全て わしに 任せよ。
(高瀬)はっ。

(吉宗)今 幕府には
莫大な 借金があり

財政の立て直しが 急務である。

これよりは 質素倹約を
肝に銘じ

食事は 一汁三菜。

しゃし ぜいたくは 慎み

足袋は はき捨てにせず
洗って 使う。

特別な行事や 祭礼の日以外は
木綿を着て 過ごすこと。

そなたたちばかりに
苦労は かけぬ。

わしも それに倣い
質素倹約を 旨と致す。

♬~

(久免)いかがでした?
大奥の お女中は。

(吉宗)うん。 噂に たがわぬ
美女揃いであった。

(久免)そうですか。

(吉宗)美女ばかり 50人ほど
より抜いて

里へ帰るよう 命じた。

(久免)里へ?
何故に ございます?

(吉宗)見目よい おなごなら
里へ帰っても 引く手あまたで

嫁ぎ先に
困ることも なかろう。

年いった者や 器量の劣る者には
残ってもらった。

そのような者を
路頭に迷わせるわけには いかぬ。

それでも まだ 何百という
おなごが 大奥には おる。

まったくの無駄じゃ。

何を 笑うておる。

案じていたので ございます。

見目麗しい 大奥女中に 上様が
心 奪われるのではないかと。

何を言うか。
わしの妻は そなた 一人じゃ。

(久免)あっ。 ミカン。

(吉宗)紀州から
取り寄せたのじゃ。

そなたも 子らも 慣れぬ城で
生きていかねばならぬ。

その木を 見れば

古い知り合いに 会うた心地がして
心強かろう。

ほんに。
良い匂いに ございます。

(吉宗)そうであろう。

この木の おかげで
人心地 つきました。

上様も お心のままに 思う存分
腕を振るうてくださいませ。

じゃがのう 大奥には
まだ 一筋縄でいかぬ お方が。

(吉宗)天英院さまには
今までどおり

大御台さまとして
ここに お住まいいただきます。

お手当ても
お増やしいたしましょう。

表のことは 万事 私に任せ

ゆるゆると
お暮らしくださいませ。

(天英院)それは
よき お心掛けや。

ほな 里の近衛家への
賜り金の方も

増やしてくださるのやなぁ。

(吉宗)それは また
別儀に ございまする。

財政難の折 賜り金は
これまでの半分に

減額いたしたく。
(天英院)はっ。

(吉宗)その儀
天英院さまの お力にて

よしなに お計らいのほどを。

(天英院)これまでの半分?
(吉宗)はい。

(天英院)節約も 度が過ぎると
礼を欠くというもの。

いきなり 50人の女中に

いとまを取らせたという話も
聞いておるが。

(吉宗)はっ。
すでに 妻も 子も いる 私には

大奥は 無用の長物に
ございます。

(天英院)無用やて?

妻 一人 あらしゃれば
よいと 言わしゃるのか。

よほど その妻は
できものと 見えること。

めっそうも ございませぬ。

私同様
ただの田舎者に ございます。

早う お目もじ かないたいもんや。

♬~

≪(竹姫)フフフ。
まあまあ。

≪(鳥の鳴き声)

(竹姫)これこれ。

(鳥の鳴き声)

(竹姫)これ。 源氏。 紫。
好物の ひなあられですよ。

仲良う 食べなされ。

♬~

♬~

(久免)天英院さま。
月光院さまに おかれましては

ご機嫌 麗しゅう
恐悦至極に存じたてまつります。

久免と 申します。

よろしく お見知りおきのほどを
お願い申し上げます。

(月光院)思ったより お若くて
かわいらしい お方。

とても 3人の お子の母上には
見えませぬな。

(久免)長福丸君。 小次郎君。
小五郎君は

私の お子では ありませぬ。

いずれも 母君が 若くして
亡くなられました故

お育て申し上げ
今では 皆 私のことを

生みの母のように
慕うてくれています。

大奥では とうてい
あり得んことや。

ここでは 和子は
乳母が 育てます。

町方の 下々の者なら
いざ知らず。

(月光院)あら。 でも 私は
家継さまを お育てしましたわ。

生まれたときから
ずっと おそば近くに置いて。

家宣さまも 鍋松 鍋松と
かわいがって

お忙しい ご公務の合間にも

たびたび
部屋に お泊まりになって

いとしんでくださいました。

(天英院)
お泊まりあらしゃってたのが

上様だけなら よろしいが。

(月光院)天英院さまとも あろう
お方が

口さがない 下々の噂を
お信じになるとは 思いの外です。

あのう。 あのう。

私は 田舎者故
奥の しきたりなど

分からぬことばかりに
ございます。

何とぞ ご指南のほど
よろしく お願いいたします。

(天英院)なら
申し上げまするが

将軍家の側室として

今日の その お召し物は
いかがであろうのう。

もそっと よいものを
お召しあらしゃっては?

(久免)はい。
なれど

上様が しゃし ぜいたくを
お慎まれておるときに

私ごときが。

大奥には 大奥の
倣いがありまする。

ゆめゆめ お忘れめされんよう。

♬~

(鈴の音)

♬~

(吉宗)いかがした?
(久免)はい。

いえ。 ちょっと
つまずいただけで ございます。

大事 ございませぬ。

♬~

♬~

≪(笑い声)

(吉野)ああ。 けさの 上様の
お姿の ご立派だったこと。

ねえ。 浦尾殿。
(浦尾)ホントですね。

眼福で ございます。

(吉野)たとえ 一生
添うことが ないとしても

あの りりしい お顔 お姿を
見られるだけで…。

(浦尾)私たち
幸せで ございます。

(浦尾・吉野)
ありがたや ありがたや。

(葛岡)まあまあ そなたたちは
外見ばかり 褒めていますが

上様は ご公務の方も
今までの上様とは

一味も 二味も 違うという
ご評判ですよ。

(吉野)それは どういう?

(葛岡)ご身分の 高い 低いに
かかわらず

能力のある方を
要職に 抜てきされ

その筆頭が 上様より
江戸町奉行に 任ぜられた

大岡越前守 忠相さま。

(忠相)ありがたき幸せに
ございます。

励めよ。

(葛岡)その上 目安箱なるものを
設けられ

下々の声を お聞きになった。
(浦尾)ああ。 目安箱。

聞いたこと あるような。

(葛岡)火事の多い 江戸の町を
守るため いろは四十七組という

町火消しの 座組を
おつくりになったり。

(浦尾)本当に
すごい方なんですね。

今の 上様は。
(吉野)なのに なのに

上様は おなご 一人 ご寝所に
召し出すこともなさらず

松御殿で ご家族と
仲良く 過ごされて。

ほんに ほんに お久免の方さまが
うらやましい。

(浦尾)ああ。 一夜でいいから

お久免の方さまに
成り代わりたい。

(葛岡)そなたは 無理じゃな。
どう 見ても。

(吉野)ない。

(浦尾)ある。

(浄円院)久免殿。

そのようなところに
いたのですか。

子らが 捜しておりましたぞ。
(久免)申し訳ありませぬ。

女中たちが
上様の噂話をしていたので

隠れて 聞いておりました。

(浄円院)ほう。
どのようなことを申しておった?

(久免)口を揃えて
褒めていました。

一生に 一度は あのような殿御に
添うてみたいと。

(浄円院)うれしそうじゃのう。
(久免)それは。

上様が 褒められれば
妻ですもの。

うれしゅうございます。

ああ。 そなたは ハァ。
(久免)あっ。

(浄円院)それだけ
大奥の おなごが

上様の お目に留まろうと
しておると いうことじゃ。

それも 忘れて
何と まあ のんきな。

そうですね。
忘れておりました。

♬~

(月光院)上様。

(吉宗)月光院さま。

(月光院)上様。 私の お部屋に
おいでになりませぬか。

京から 取り寄せました
干菓子を ご相伴くださいませ。

(吉宗)私は 菓子は 頂きませぬ。

甘いものは
この ミカンがあれば 十分。

(月光院)ならば
その おミカン 下さいな。

(吉宗)どうぞ。
紀州のミカンは おいしいですよ。

(月光院)失礼しました。
さみしさのあまり つい。

家継さまが 亡くなられてから

心の中に ぽっかりと
穴が あいたようで。

お察しします。
なれど あなたさまには

間部が 付いておる。

その間部は
上様に 職を解かれ

もはや 大奥に通うことも
かなわなくなりました。

大きな後ろ盾を 失うと
女は とかく 不安になるものです。

そして また
新たな盾が 欲しくなる。

♬~

失礼いたします。

(月光院)来月 私の肝いりで

お久免さま ご歓迎の お茶会を
開きます。

お伝えくださいませ。
(吉宗)承知いたした。

♬~

(吉宗)月光院さまから

そなたを 歓迎の茶会に
招きたいと 誘いがあった。

(久免)さようで ございますか。
それは ありがたき お招きです。

(浄円院)天英院さまも
おいでなさるのかえ?

(吉宗)それは 大御台さまで
ございますから。

(浄円院)ああ。

(浦尾)美味で ございます!

こちらも。

(吉野)どうせ 美味なんでしょ。

(浦尾)うん うん。
(吉野)はい。

(浦尾)これ また。

(浦尾)うっ…。 ううっ。

(浦尾)美味では ございません。
(吉野)えっ?

(吉野)うわっ! しょっぱ!

(葛岡)いかがいたしました?

(浦尾)今度の 月光院さまの
お茶会に出す お菓子なのです。

でも どうして こんな
まずい 団子が

交じっているのかしら?
(葛岡)ふーん。 それはね…。

(浦尾・吉野)何ですか?

(浦尾・吉野)えーっ!?

(久免)毒?

(浄円院)上様が
将軍になる前の話じゃ。

尾張の 吉通公が
亡くなられたのは

餅菓子に 毒を盛られたのだと

古参の 女中たちの噂に
聞いてのう。

(久免)誠で ございますか。

(浄円院)でな 天英院さまの
お指図だったという 噂なのじゃ。

(久免)とても 信じられませぬ。

(浄円院)そなた
風邪を ひいたとでも 言うて

断っては どうじゃ?
万に一つと いうこともある。

(久免)いやいや。
いやいやいや。

まさか そのようなこと。

考え過ぎで ございますよ。
母上。

そうか?

♬~

♬~

♬~

(月光院)では
お茶にいたしましょう。

お久免殿。
京から 職人を呼んで

あなたさまのために
作らせたのですよ。

ぜひ お召し上がりくださいませ。

ありがとう存じます。

♬~

(吉野)吐いた。

お口に 合いませぬか?

いえ。

(月光院)京の都の
やんごとなき お味。

やはり
分かりにくうございますか。

(天英院)浅草の
なまぐさ坊主の娘が 何を言うか。

(月光院)はあ?
何と おっしゃいましたか?

(天英院)何も。

お久免の方さま。
私の真心です。

ぜひ もう一つ
お試しになってください。

はい。

♬~

(葛岡)食べた。
(浦尾・吉野)食べた。

♬~

♬~

月光院さまの真心
大変 おいしゅうございました。

さすが
京の お菓子で ございますね。

(天英院)それは
ようございました。

私からも
祝いの菓子が ござります。 これ。

(松が枝)紅乙女という

大変 珍しい
餅菓子に ございます。

(松が枝)どうぞ
お召し上がりくださいませ。

♬~

(浄円院)《尾張の 吉通公が
亡くなられたのは

餅菓子に 毒を盛られたのだと》

♬~

♬~

(竹姫)竹に ございます。

(竹姫)私には お二人のように

お久免の方さまに
差し上げるものは

何も ございませぬ。

それ故 せめて
琴を 披露したいと存じます。

よろしゅうございますか?

(天英院)どうぞ。

(竹姫)琴を 持て。

♬(琴の演奏)

♬~

♬~

♬~

(忠相)参勤交代の期限を
半分にすると?

(吉宗)そうじゃ。

江戸住まいの期間を 半分にして
負担を減らし

その分 1万石につき
100石を上納せよと 触れを出す。

(加納)何か こう 幕府が
金に 困っていると いうことを

諸大名に 見透かされるようで
外聞が よくありませぬな。

(吉宗)現に 困っておるのじゃ。
見えを張って 何になる。

恥辱を顧みず 腹を割って
協力を求めるのよ。

(忠相)なるほど。
(加納)さすが 上様。

≪♬(琴の演奏)

(吉宗)あの 琴の音は 何じゃ?

♬~

♬~

♬~

♬~

(久免)今日 吹上の お庭に
おいでになられましたね。

(吉宗)中奥にいたら
琴の音が 聞こえてきたのじゃ。

誰が 弾いとるのか
気になっての。

(久免)竹姫さま。

綱吉公の
ご養女さまだそうですね。

(吉宗)二度ほど
ご縁談が 持ち上がったのに

どちらも ご婚礼寸前で
先方の殿方が 亡くなられ

沙汰やみになったそうじゃ。

以来 たった一人 東の離れに
お住まいになっておる。

日々の細かなことを 話し合う
友もなく

訪ねる方とてなく。

いいなずけに
次々と死なれる つらさ

人ごととは 思えぬ。

正室で ございますか?

代々 将軍家は
公家から 正室を迎える習わし。

私が 仲を取り持って
さしあげましょう。

お気遣い
ありがたく存じます。

されど 私には
久免という 妻がおります。

加えて 世継ぎとなる男子
3人も おりまする。

この上
妻を迎える気は ございませぬ。

(天英院)フフッ。 お気持ちを
聞いているのでは ありません。

久免殿は 側室。

御台所には なり得んと
申しておるのです。

はい。 勝手を申します。
この儀ばかりは

仰せのとおりには
いたしかねます。

≪(竹姫)来ないで。

(竹姫)ここに
近づかないでください。

先日 あなたさまが
いらした折に

源氏と 紫が
おびえて 飛び立ってしまい

それきり
戻ってまいりませんの。

源氏と 紫とは
スズメのことですか?

(竹姫)いつも
つがいで いるので

そう 名付けました。

私の 話し相手でしたのに。

それは 申し訳ないことを
いたしました。

何か 代わりのものを
進呈いたしましょう。

オウムか ウグイスか…。

(竹姫)いりません。

(竹姫)籠の中で飼う鳥は
かわいそう。

♬~

(竹姫)大きな お方。

(竹姫)紀州から
新しい 上様が いらしたと

女中たちが 話していました。

紀州とは
どのようなところなのですか?

よく 日の照る
暖かなところです。

ミカンが なります。
(竹姫)ミカン。

♬~

♬~

♬~

(月光院)少し
よろしゅうございますか?

(久免)月光院さま。

(月光院)天英院さまが

上様の ご正室
お探しのことを ご存じですか?

(久免)ご正室…。

(月光院)まったく。 あの お方の
お考えになることは。

お身内の公家の 姫君を
上様に あてがい

大奥を 思うままに

牛耳ろうという
おつもりなのです。

なれど
慌てることは ありませぬ。

あなたさまも 上様の お子を
産めばよいのじゃ。

上様の お子さえいれば
たとえ 側室の身でも

正室などは
恐るるに足りませぬ。 のう。

♬~

♬~

♬~

♬~

(久免)良い子じゃ。

ほんに 良い子じゃ。

♬~

♬~

(吉宗)源氏と 紫は
まだ 戻ってまいりませぬか?

(竹姫)上様。

(竹姫)源氏も 紫も
きっと 野原で

楽しゅう 遊んでおるのでしょう。
私のことなど 忘れて。

それは それで よいことです。

(吉宗)源氏と 紫に
会いに行きませんか?

えっ?

♬~

♬~

痛っ。 痛い。

大事ござらぬか。

これは いかん。

さあ。

♬~

♬~

♬~

♬~

≪(羽ばたく音)

(加納)上様。

(加納)また お忍びで
城下になぞ。

上様。 どちらへ?
(吉宗)湯殿に 参る。

(加納)えっ? 湯殿…。

(多喜)もし。

(多喜)上様が
湯殿に みえるのですか?

(千代)はい。
さように ございます。

(多喜)湯殿番の お役
私と 代わってもらえませぬか。

(千代)えっ?

(多喜)後生です。
これを 遣わす故。

♬~

どうかしておる。 わしは。

(多喜)失礼いたします。

お背中 お流しいたします。
(吉宗)うむ。

♬~

(多喜)♬「一つとや
一夜 明ければ にぎやかで」

(吉野)お多喜殿。
このところ ご機嫌ですね。

(多喜)はい。 ちょっと
いいことが あったものですから。

(葛岡)いいことね。
何でしょうか。

(浦尾)皆さま。
一休みいたしましょう。

紀州名物 梅まんじゅうで
ございます。

美味で ございます!

(葛岡)じゃあ 私も。

(多喜)では 私も。
(葛岡)確かに。

(浦尾)はい。

(吉野)いかがされました?

このところ
どうも 胸が むかむかして。

(浦尾)うん?
(葛岡)えっ?

(一同)えーっ!?

(月光院)上様の お子を
身ごもった?

(高瀬)ご縁戚の姫君を
正室に お迎えする算段が

これで
ご破算になってしまいました。

(飛鳥井)男子でも 生まれたら
面倒なことに。

(高瀬)誠に。

(天英院)待ちゃれ。

ものは考えようや。

その おなご
使えるかもしれん。

(吉宗)許せ。 久免。
出来心じゃ。

出来心で つい。
(久免)怒ってはおりませぬ。

(吉宗)このとおりじゃ。

いつもと違う 湯殿番とは
思うたが

特に 心 引かれたと
いうわけでもない。

ただ その日は 何というか…。

(久免)結構です。

もう 言い訳なされないで
くださいませ。

(浄円院)まあまあ。 久免殿。

おのこには 色々あるのじゃ。

私も 元は 湯殿掛だった故

光貞公の お手が付いて
吉宗殿が 生まれた。

これは 血筋じゃ。 なあ?

(久免)怒ってないと
申し上げているでしょう。

(浄円院)怒っているでしょう?

(浄円院)あっ あっ。 ああ…。

≪(多喜)♬「一つとや
一夜 明ければ にぎやかで」

♬「にぎやかで」

♬「お飾り立てたる 松飾り
松飾り」

♬「二つとや
二葉の松は 色よう…」

(多喜)お許しくださいませ。

お端に 湯殿番を
代わってもらってまで

上様の お種を欲しがった

さぞや 小ざかしい女と
お思いでしょう。

違うのです。
私は ただただ

上様に 一目 おめもじし

できることなら お肌に触れたいと
浅はかな 一念に 駆られ…。

平に。
平に ご容赦くださりませ。

(久免)そなたが 今 申したこと
初耳です。

(久免)上様の お目に
留まりたくて

湯殿番を 代わってもらったと
いうのですか?

(多喜)はい。

私は この大奥で
殿方とは縁なく

一生を 終えるものと
覚悟しておりました。

そこへ おいでになったのが
上様にございます。

上様は ご立派で お美しくて
お優しくて。

毎朝の 総触れのたびごとに
私は 遠目にでも

上様の お姿を
拝見できる喜びに

身を 打ち震わせておりました。

それだけ…。 本当に それだけで
幸せだったので ございます。

申し訳ございませぬ。

そなたは 正直な人ですね。

お久免の方さま。

紀州藩邸を 出るときに
覚悟すべきだったのです。

これから 上様は
私 一人のものではないのだと。

徳川の お血筋を絶やさぬ
将軍としての お役目が

上様には おありなのだと。

そなたの おかげで
それに 気付きました。

上様のために
丈夫な お子を 産んでください。

はい。 はい!

(息む声)

(久免)お気張りなされ。
(女性)大事ございませんから。

おなかに 力を入れて。

(久免)多喜殿。 お気を確かに。
もう少し。 もう少しですぞ。

(息む声)

(産声)

(久免)元気じゃ。
元気な お子じゃ。

(女性)若君さまに ございます。

(久免)よかった。 よかった。
ようございました。

(久免)おお。 元気な お子じゃ。

♬~

♬~

(天英院)多喜殿。

これで そなたは
立派な お腹さまや。

(多喜)恐れ多ございます。

(天英院)鶴松君は 顔色もよう
見るからに お健やか。

長ずれば きっと

才あふれる君子と
なられるであろう。

(多喜)もったいない お言葉。

(天英院)さりながら ご嫡男の
長福丸君は お体が ひ弱。

お世継ぎとなるには
あまりに 心もとない。

多喜殿は
そう 思われませんか?

さあ。 私ごときが 口を挟むのは
おこがましいことに ございます。

(天英院)徳川は
長子相続が ご定法。

なれど それは 長子が
生きている限りにおいてや。

のうなれば
自然と 順番は 変わっていく。

の… のうなれば?

将軍 生母に
なりとうはないか?

鶴松君を
将軍にしとうはないか?

めっそうも ございません。

♬~

ご勘弁を。

そのような 恐ろしいこと
とても 私には…。

(高瀬)何事も 鶴松君のため。
ゆめゆめ 他言なきよう。

♬~

♬~

≪(久免)お多喜さま。

ちょっと ちょっと。
おいでくださいませ。

鶴松君も ご一緒に。

(吉宗)よいしょ。 よいしょ。
よいしょ。

長福丸。 やってみるか?
ほれ。

(吉宗)重いぞ。
(一同)そーれ。

よいしょ。 よいしょ。

(久免)上様。

(一同)よいしょ。

(久免)上様。

お多喜さまと
鶴松君を お連れしました。

(吉宗)おお。 そうか。
よし。 いくぞ。

(久免)お多喜さま。 さあ。

(小五郎)母上。

(一同)よいしょ。 よいしょ。

(小五郎)父上。 私も。
(吉宗)よし。 小五郎も つくか。

(一同)はい。 さあさあさあ。
小五郎君。 気合ですぞ。

ここですよ。
はい。 よいしょ。

(久免)どうなされた?
あら。 これ。 これ。

部屋に 帰ります。

(吉宗)そうじゃな。
風邪など ひかせては 事じゃ。

失礼します。

(小次郎)母上。 母上。 こちらへ。

(小次郎)父上。 私も。
(吉宗)よし。 来い。

(一同)そーれ。
お上手でございます。

よいしょ。 お見事。

(泣き声)

(岩藤)替えの むつきを
持ってまいります。

♬~

(多喜)あの方たちは
立派な ご家族。

私と お久免さまは 違う。

私と そなたは 半端者じゃ。
なあ。 鶴松。

上様が 私の肌に
触れられたのは

あの日 一度きり。

それから 一度も
訪ねてきてくださらぬのだものな。

それで よいと 思うていたけれど
やはり つらいのう。

(天英院)《鶴松君を
将軍にしとうはないか?》

(高瀬)《何事も 鶴松君のため》

♬~

≪(久免)月光院さま。

(久免)来月。 鶴松君の
初宮参りを 祝うて

お多喜さまと
お茶会を いたします故

どうぞ いらしてくださいませ。

(月光院)お心の広いこと。

湯殿で 子をつくられるなど
おなごの恥辱ではありませぬか。

なのに 当の女人と
親しくするなど

私には とても
まねの できぬことです。

(久免)私は 上様の お心を
信じております故。

上様の お心?

はい。

何も ご存じないのですね。

(久免)あのう。
何のことでしょうか?

東の離れに
行ってごらんなさいませ。

≪♬(琴の演奏)

♬~

♬~

♬~

♬~

♬~

≪(ふすまの開く音)

上様?

♬~

(竹姫)いつぞやの
お茶会以来ですね。

(久免)あの折は
竹姫さまの ご機転により

助けていただき
本当に ありがとうございました。

(竹姫)いえ。 私は 何も。

ミカン。

上様が
持ってきてくださるのです。

(久免)そうですか。

上様が 次に お越しになるまで
ああして 飾っておいて

新しいのを 頂いたら
一つ 食べて また そこに置く。

上様を
いつでも 思い出せるように。

姫さま。
姫さまは 上様のことを…。

申し訳ございませぬ。

私は 上様を お慕いしています。

(竹姫)婚礼を前に 二度も
いいなずけに死なれた 私を

世の人は 不幸だと
言うかもしれませぬ。

なれど 私は ここで 上様に
お会いできたことを

世にも まれな 僥倖だと
思うておるのです。

あのように 気高く
お優しい心根の お方

この世を くまなく探しても
他に おられるとは思えない。

お久免さまが うらやましい。

私がですか?

あなたさまは 会いたいときに
上様に お会いできる。

そして この先も ずっと
上様の おそばにいて

年を取っていかれる。

私に できるのは ただ ここで
上様を お待ちすることだけ。

≪(天英院)久免殿。

(天英院)こよい 心休めに
薪能を 催します。

必ず お越しくださいますように。

はい。

(高瀬)これを。

(高瀬)なさるなら こよいです。

(高瀬)後のことは
ご心配なきよう。

♬(謡曲)

♬~

♬~

♬~

(高瀬)《松御殿に 火を放ち

3人の 和子さま もろとも
焼き払うのです》

(お火の番)お火の番。
相 回ります。

(お火の番)お火の用心
さっしゃりませ。

♬~

♬~

(天英院)もし。
お話が ござります。

♬~

(久免)《そなたは
正直な人ですね》

《よかった。
ようございました》

♬~

(高瀬)何をしておる?
まだか?

(松が枝)なかなか
火を付けようと しないのです。

(高瀬)もう 時がない。
そなた 代わりに 火を付けよ。

あの女 もろとも
燃やしてしまえ。

その方が いっそ 好都合じゃ。

♬~

≪(燃える音)

(多喜)きゃっ。

(悲鳴)

♬~

(天英院)私は 子を持たん
正室でした。

(天英院)後から来た 月光院が
わが夫 家宣さまを 籠絡し

その亡き後は あろうことか
家臣であった 間部と密通し

この 大奥を
牛耳ってきたのです。

あの おなごのせいで
大奥の風紀は 乱れに乱れた。

私は 重臣たちを使うて
罪ある者たちを あぶり出し

粛正いたしました。
(久免)はい。

(天英院)それが できたんは

私が 正室
御台所で あった故。

私に 権威が あった故です。

(天英院)お分かりか?

いざというとき
上様を お助けする力は

御台所にしか ないのや。

(天英院)和子のない 側室など
意味がない。 乳母と変わらん。

乳母で 何が悪いのです?
そう おっしゃるなら 私は

身を賭して 子を守る
乳母になりましょう。

≪(お火の番)天英院さま!
久免さま!

(お火の番)火事に ござります。
お早く お逃げくださいませ。

(久免)火元は どこです?
(お火の番)松御殿の

近くに ございます。

≪(燃える音)

(政岡)火事で ございます。
さあ 早う 早う。 こちらへ。

さあ 急ぎまするぞ。

(政岡)さあ 早う。 早う。

(政岡)庭じゃ。 庭へ。

(長福丸)小五郎!

(葛岡)浄円院さま。
浄円院さま。 ご無事で 何より。

≪お久免の方さま!
(久免)母上!

(久免)子たちは?
和子さまたちは いずこに?

(浄円院)まだ どこにも
見えぬのじゃ。

(一同)あっ! あっ!

(久免)小次郎!
(小次郎)母上!

(久免)小次郎。
(小次郎)中に まだ 兄上たちが。

(政岡)申し訳ございませぬ。
途中で はぐれて。

(政岡)中は 火が回っております。
今 行かれても もう。

(浄円院)なりませぬ!

命に代えても 和子さまたちを
助けてまいります。

(小次郎)母上! 母上!

(浄円院)久免殿!

(久免)長福丸!

♬~

(久免)長福丸! 小五郎!

(久免)長福丸!

(久免)小五郎!

(久免)あっ!?

(悲鳴)

≪(泣き声)

≪(長福丸)誰か!
≪(泣き声)

≪(長福丸)母上! 母上!

(長福丸)母上! 母上!
母上! 母上!

(久免)長福丸! 小五郎!

(長福丸)母上。
(久免)よう 頑張った。

よう 頑張った。

(久免)よう 頑張った。
さあ。

♬~

(吉野)あっ!
(浦尾)お久免の方さま。

(一同)若君さま! 若君さま!
こちらへ。 ご無事で。

(小次郎)兄上!

(一同)お久免の方さま!
お久免の方さま…!

上様。

(吉宗)久免。

(久免)和子たちは?

(吉宗)みんな 無事じゃ。

(吉宗)そなたの おかげじゃ。

久免。 ようやった。

子を守るは 母の務め。

当たり前のことを したまでに
ございます。

お多喜さまが 火を?

(吉宗)長福丸たちが
いなくなれば

世継ぎの座が 鶴松に
回ってくると 考え

火を放ったのであろう。

(久免)そのようなこと
とても 信じられませぬ。

お多喜さまに
会わせてくださいませ。

(松が枝)お多喜さまは
亡くなられました。

私が お救いしようと
駆け付けたときには

すでに 火に まかれ…。

(久免)その やけどは
そのときの?

(松が枝)大した傷では
ございませぬ。

(久免)鶴松君は
どうなるのですか?

(吉宗)罪人の子じゃ。
寺に 預けるしかなかろう。

♬~

(天英院)こたびのこと
狙われたのは 長福丸君の お命。

お世継ぎとなるには 長福丸君は
あまりに 心もとなく。

それを不安に思う 人心の乱れが
引き寄せたことに ござりましょう。

(久免)長福丸君には
お世継ぎとしての

立派な ご器量が ございます。
何となれば…。

(天英院)長福丸君と 和子たちを
お守りするためにも

いよいよ 京より ご正室を呼び

ご養母となっていただくのが
肝要かと。

♬~

そのことですが ご正室には

竹姫さまに なっていただきます。

竹姫さま?

竹姫さまは 大典侍さまの
めいごさまにて

清閑寺 大納言 熙房さまの
ご息女。

お家柄。 お人柄とも
申し分ございませぬ。

そう 思われませぬか?

♬~

(浄円院)何も 自分から
言うことでも あるまいに。

何故 そのようなことを
申し上げたのじゃ?

(久免)ありていに 申せば

縁も ゆかりもない どなたかに
入っていただくよりは

私は 竹姫さまに 御台所に
なっていただきたいのです。

(浄円院)そうは 言うてものう。

(久免)それに何より 姫さまは
上様を 慕うておられる。

(浄円院)そなた
竹姫と 話したのか?

(久免)はい。 お会いして
お話ししました。

竹姫さまに 否やは ないと
思います。

(浄円院)まあ。 いや。
そうは 言うてものう。

(久免)もう 決めたことです。

痩せ我慢は 体に毒じゃ。

♬~

≪♬(琴の演奏)

♬~

♬~

♬~

♬~

♬~

(月光院)私は 反対です。
竹姫さまは 綱吉公の ご養女。

義理とはいえ 上様の 大おばに
当たられる お血筋。

ご婚姻は 人倫に
もとることに ございます。

(天英院)私も 反対や。
これは どうにも

諦めていただかんと
ならんなぁ。

(久免)なれど 天英院さま。
≪(ふすまの開く音)

(天英院)上様。

(吉宗)竹姫さまのことですが
ただ今

薩摩藩主 島津 継豊殿との
ご縁談を まとめてまいりました。

(月光院)それは まことですか?
(天英院)島津 いうたら 外様。

他に 嫁ぎ先は
なかったんですか?

(吉宗)島津殿は 先年 奥方に
先立たれ 今は 独り身。

人柄は 紀州のころより
存じておりますが

よい お方です。

上様?
ホントに よろしいのですか?

決めたのじゃ。
わしは 金輪際 正室は持たぬ。

命を賭して 和子たちを守った
この久免こそが

紛れもない
子らの母に ございます。

また 妻として これほどに
心強いものは おりませぬ。

正室の件
固く お断り申し上げます。

♬~

♬~

♬~

(竹姫)上様。
お世話になりました。

(吉宗)幸せを 祈っておる。

(竹姫)この城の外には
野原があり 空があり

そこには 雲が 流れている。

それを 教えてくださったのは
上様です。

それを 知っているかぎり
私は どこへ参りましても

幸せに ございます。
(吉宗)うん。

上様も お久免さまと 末永く
お幸せに お暮らしくださいませ。

では いってまいります。

♬~

♬~

≪(久免)竹姫さま!
竹姫さま!

止めてくださいませ。

(久免)竹姫さま! 竹姫さま!

(久免)竹姫さま。 これを。

♬~

(男性)出発!

♬~

[かくして 竹姫さまは

薩摩藩主 島津 継豊さまの元に
嫁がれていきました]

[このとき 竹姫さまが
つないだ ご縁は

幕末の
篤姫さま おこし入れに至る

薩摩 島津家と 徳川家の 絆と
なったので ございます]

(月光院)求められもせぬ家へ
嫁がねばならぬ 姫さまを

哀れだと 皆が 噂しています。

なれど 私は 姫さまが
うらやましい。

あの お方は
鳥のように 羽ばたいて

ここを 出ていかれたのです。

大奥という名の
この 女の牢獄を。

(久免)月光院さま。

今は まだ 人に
美しいと 言うてもらえる。

でも それも
いつまででしょう?

花が うてなを かしげ

蜜を 吸いに来る チョウを
待ちに待って 枯れ落ちるように

私も 来ぬ人を 待ちながら
ここで 枯れていくのでしょう。

(月光院)ああ。
時に あの火事ですが。

(久免)はい。
(月光院)火を付けたのは

天英院付きの 女中では
ないかという 噂が あるのですよ。

(久免)えっ?
(月光院)火事の起こる前に

天英院付きの 松が枝と 多喜が
話してるのを

見た者が おるのです。

ただの噂かも しれませぬが
ご用心を。

月光院さま。
何故 そのことを 私に?

上様が 金輪際
正室を お迎えにならぬ以上

大奥を つかさどるのは
お久免殿。

あの 古だぬきのごとき
女に勝って

この大奥を 住みよいところに
してくださりませ。

♬~

(万里小路)ご正室に 申し分のない
姫君を ご推挙したのに

やっぱり 正室は いらんなどと
いまさら 申せますか?

(万里小路)私は よう 申せません。

(天英院)申し訳ございません。

それだけや ありまへんえ。

このごろ 賜り金が
滞っておりまするなぁ。

おたあさんは ご案じや。
やっぱり 徳川は 薄情やと。

孝行も ままならんほど
熙子は 困っておるのやろかと。

えろう 胸を お痛めに
あらしゃってなぁ。

(天英院)ふん!

いやぁ。 何しはるんです?
ごうぎな。

(天英院)万里小路さん。

娘の 真心と おぼしめして
お持ち帰りください。

売れば いくらかには
なりますやろ。

何え!?

≪(飛鳥井)天英院さま。

尾張 宗春さまからの
書状に ございます。

宗春さまから?

[このころ 尾張 継友さまに
代わって

尾張藩主と なられた
宗春さまが

天下に その威勢を
とどろかせておりました]

[その政策は

吉宗さまの 緊縮政策とは
逆をいく 開放政策で

相撲や 芝居見物を許し
遊郭を開き

宗春さまの人気は 吉宗さまを
しのぐほどで ございました]

(宗春)お久しぶりで ございます。

(宗春)少し
お痩せになりましたか?

何やら お顔の色の
すぐれぬような。

あの お方が
ならしゃって以来

大奥の しんきくそう
窮屈なこと。

江戸が 尾張であったなら
吉宗が 宗春さまであったならと

思わん日は ござりませんなぁ。

確かに 因果なことです。
悪政を敷いても

上の首は 簡単には
すげ替えられませぬ。

急な病にでも
倒れられれば 別ですが。

急な病。

あらんことでは ござりません。

そのときは 宗春さま。
あなたさまに 将軍職を

継いでいただきたいもので
ござります。

(宗春)さあ
いかがいたしますか。

たとえ 吉宗さまが
倒れられても

若君が 後に
3人も 控えておられる。

(天英院)上の和子。
あれは でくや。

(天英院)でくの坊と 天下の名君に
あらせられる 宗春さま。

どちらが 将軍に ふさわしいか

誰の目にも
明らかに ござりますやろ。

♬~

(政岡)王手。
(吉宗)うん?

(久免)上様。 そろそろ 中奥へ
お渡りの刻限では?

おう。 そうであった。

まだ 負けたわけでは ないぞ。
盤は このままに しておけ。

(吉宗)小次郎を 世継ぎにと?

(加納)はい。 榊原 伊豆守 はじめ
老中衆の中には

ご次男 小次郎君を
推す動きが あります。

(忠相)長福丸君は ご病弱の上
知弱と 見受けられ

いかに 長子相続が
ご定法にても

知弱の将軍を 上に抱くは
国難を 招きかねぬと。

(加納)裏に 尾張の気配が。

尾張の 宗春か。

(久免)おかえりなさいませ。

(吉宗)手詰まりか。

(吉宗)うん?
これは…。

(吉宗)政岡。

(政岡)お待たせいたしました。

(政岡)ああ。 なるほど。
この手が ございましたか。

こうなりますと…。

上様の勝ちに ございます。

(吉宗)誰が 動かしたのじゃ?

長福丸に ございます。

(吉宗)長福丸?

(久免)あの子は 賢い子です。

あの火事のときも
幼い弟を かぼうて

部屋の隅で じっと
助けを 待っていました。

知恵のない者には
できぬことで ございます。

(久免)このところ ずいぶんと
頼もしゅうなってまいりました。

♬~

♬~

♬~

♬~

(政岡)少し
様子を 見てまいります。

♬~

♬~

(榊原)恐れ入りましてございます。

♬~

(政岡)若君が
お勝ちになりました。

(浄円院)でかした。
偉いのう。 長福丸は。

(久免)ええ。 ええ。 ほんに。

(政岡)もう 長福丸君では
ございませぬ。

上様より
新しい お名を 賜りました。

(吉宗)長福丸は 今日より

家重と 名を改める。

皆の者 さよう 心得よ。

(一同)ははー。

(吉宗)家重の 「家」は
神君 家康公の 「家」じゃ。

権現さまが そなたを
守ってくださるであろう。

[かくして 長福丸君は
正式な お世継ぎとして

西の丸に 入られることに
相成りました]

[後の 九代将軍 徳川 家重さまに
ございます]

(久免)今日は ほんに
うれしい日に ございました。

(吉宗)うん。

(浄円院)まったく そなたは

久免殿に 足を向けて
寝られぬのう。

久免殿が いなかったら
危うく

わが子の賢さを
見落とすところだったのじゃぞ。

(吉宗)まことに。

(久免)長幼の序を説く
東照大権現さまの

お考えの深さを
こたびは 思い知らされました。

(吉宗)紀州 水戸 尾張
御三家も

本はといえば
徳川の血を 絶やさず

助け合っていくための
工夫であった。

それが 今や
互いに 疎遠になり

将軍の座を 巡って
角 突き合わす 始末じゃ。

小次郎に 小五郎。
この先も 今のように 仲良く

兄を敬い
助け合うていってほしいものです。

そうじゃな。

ほんに 久免殿は 知恵者よ。
も一つ どうじゃ? ぼた餅。

(久免)はい。

(吉宗)母上。 わしにも 一つ。

(浄円院)そなたの餅は
ありませぬ。

(浄円院)嘘じゃ 嘘じゃ。
お代わりを 持ってまいろうの。

(吉宗)知っておったか?
明日は 八幡さまの祭りじゃ。

(久免)みこしや 出店が出て 大層
にぎやかで ございましょうね。

お城から 遠目にでも
花火が 見られぬものかと

思うているのですが。

(吉宗)久免。
花火は 近くで見るものじゃ。

♬~

♬~

♬~

(久免)皆 笑っています。
(吉宗)うん。

(久免)火事や 飢饉。
どんな苦難も

皆 乗り越えて
たくましゅう 生きております。

ここが 上様の都。

皆 上様の民に ございます。

≪(花火の音)

♬~

(久免)上様。
私は もう

いつ 死んでも ようございます。

(吉宗)何を言うか。

(久免)分かっています。
子らの母として 生きていかねば。

(吉宗)違うぞ 久免。
わしのために 生きてくれ。

わしが 働いて 老いていくのを
見届けてくれ。

それが できるのは 久免。
そなただけじゃ。

承知いたしました。

上様を おみとりするまで
私は 死にません。

お約束します。

♬~

(女性)おいしい 甘酒
いかがですか?

(久免)よい匂いですね。
(吉宗)甘酒か。

(女性)どうぞ どうぞ。
(吉宗)入るか。

(久免)はい。
(女性)どうぞ どうぞ。

(男性)さあさあ。
いらっしゃいまし。

(吉宗)親父。 2杯 くれ。
(男性)へい。

おい。 甘酒 2杯だ。

(男性)親父さん。 勘定。
(男性)へい。

(月光院)《火を付けたのは

天英院付きの 女中では
ないかという噂が あるのですよ》

(男性)へい。
お待ち遠さま。

(久免)なりませぬ!

♬~

♬~

(天英院)打ちもらした?

(高瀬)はい。
すんでのところで

お久免さまに
悟られましてございます。

松が枝は その場にて
自害いたしました。

(天英院)下がってよい。

♬~

♬~

♬~

♬~

(家宣)《死産か》

《申し訳ございません》

♬~

♬~

(久免)毒は これで 最後に
ございますか?

(天英院)最後や。

(久免)まことで ございますね?

(天英院)詮議も 押し込めも
まっぴらごめんや。

そんな 辱めに 遭うくらいなら
私は 死を選ぶ。

(久免)何故に ございます?
天英院さま。

(天英院)目障りやったのや。
そなたらが。

(天英院)暇さえあれば
寄り集まり

騒がしく 泣いたり 笑たり
まるで 下々の者たちのように

親 きょうだい めおとが
寄り添い暮らし。

そのような者は
この大奥には いらん。

力がなければ この大奥では
生きては ゆけん。

私は 力が欲しかった。

誰もが その前に
ひれ伏すような 力が。

あなたさまが
欲しかったものは

もっと 別のものでは
ございませぬか?

あなたさまは 家宣さまの
お子を 二度も 亡くされた。

何を申す?

家宣さまの ご寵愛は
月光院さまに 移り

二度と あなたさまの元に
戻ることは なかった。

(天英院)黙りゃ! この無礼者。

(久免)月光院さまに 勝つためには
あなたさまは

ご自分の力を
頼りにするしか なかった。

なれど 勝って どうなるのです?

(天英院)そなた…。

しぶとい おなごよのう。

たたいても たたいても
折れん その性根は

どこから くるのや?

(久免)一度は 地獄を
見たからに ございましょう。

(天英院)地獄?

(久免)私も 産んだばかりの子を
亡くしたことが ございます。

(天英院)えっ?

(泣き声)

いっそ 死んでしまいたいと
思い詰めたほどの 闇。

その闇から
救い出してくれたのは…。

上様と…。

(久免)なさぬ仲の
お子たちに ございました。

♬~

♬~

(久免)あのときから 私は
命に代えても

上様と 和子さまたちを
守りぬくと 心に決め

生きてまいったので
ございます。

(久免)天英院さま。
あなたさまも…。

(久免)お子を亡くされた
悲しみの淵に

一人でも 寄り添う者が いれば。

たった お一言でも

家宣さまからの
優しい お言葉があれば

救われておられたはず。

(久免)おつろうございましたね。

それほどの お痛みを 抱えて
生きていかれるのは。

(久免)その お痛み 全て

私に お預けください。

♬~

(天英院)何をするのや?

(久免)恨むことが あなたさまの
生きる よすがで あったなら

これで 最後に いたしましょう。

(天英院)それは…。

(天英院)無理や。

(天英院)この大奥は
恨み つらみ 嫉妬の るつぼ故。

(久免)ならば それを
少しでも なくしたい。

私は この大奥を 笑いの
満ちるところに したいのです。

恨み つらみ 嫉妬や
おぞましい死を なくしたい。

上様のいる この大奥で

もう 1人も
死んでほしくないのです。

♬~

(久免)あなたさまも どうか
生きて 上様に お仕えください。

♬~

(鈴の音)
(お鈴番)上様 おなり。

♬~

[家重さまが お世継ぎとして
西の丸に 入られた 4年後]

[小次郎さまは 宗武]

[小五郎さまは 宗尹と
名を改め

それぞれ 田安家 一橋家を
開かれました]

[後の 清水家と共に

これらは 御三卿と 呼ばれ

これ以降 幕末まで 徳川将軍家
支えていきました]

[お久免の方さまは
吉宗さまとの 約束どおり

その ご最期を みとられた後
落飾され

覚樹院となられ

安永6年 82歳にて
天寿を 全うされました]

[その ご生涯は
うららかな日を浴びて そよぐ

ミカンの木のごとく

穏やかで 実り豊かなものでは
なかったかと ご推察いたします]