ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

松本清張ドラマスペシャル 疑惑 米倉涼子、津川雅彦、黒木華、余貴美子… ドラマの原作・キャストなど…

テレビ朝日開局60周年記念 松本清張ドラマスペシャル「疑惑」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド

  1. 球磨子
  2. 福太郎
  3. 豊崎
  4. 先生
  5. 鬼クマ
  6. 被告人
  7. 白河
  8. スパナ
  9. 警察
  10. 運転
  11. 加藤
  12. 秋谷
  13. 白河球磨子
  14. 自分
  15. 証人
  16. 帽子
  17. クマ
  18. バカボン
  19. 助手席
  20. 前田

f:id:dramalog:20190203230634p:plain

テレビ朝日開局60周年記念 松本清張ドラマスペシャル「疑惑」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)&EPG情報(出典)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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テレビ朝日開局60周年記念 松本清張ドラマスペシャル「疑惑」[解][字]

米倉涼子×松本清張≫名作サスペンスを映像化!
米倉涼子が、13億保険金殺人の疑惑がかかる悪女(黒木華)に挑む!!

詳細情報
◇番組内容
「最低の弁護士」とも揶揄される佐原卓子(米倉涼子)のもとに、弁護士・原山正雄(津川雅彦)からある事件の話を持ちかけられる。13億保険金殺人の疑惑がかかる妻・白河球磨子(黒木華)の弁護だった!!卓子は、球磨子のエキセントリックな言動に振り回されながらも、事件の真相を解明するため、検事正・小田秀子(余貴美子)と記者・秋谷茂一(板尾創路)に接近し、球磨子の生い立ちを探っていくが…!?
◇出演者
米倉涼子黒木華余貴美子板尾創路永山絢斗、YOU、勝村政信、堀田茜、伊武雅刀平泉成萬田久子中村梅雀津川雅彦
◇原作
松本清張『疑惑』(文春文庫刊)
◇脚本
竹山洋
◇演出
松田秀知
◇スタッフ
【チーフプロデューサー】五十嵐文郎テレビ朝日
【エグゼクティブプロデューサー】内山聖子テレビ朝日
【プロデューサー】峰島あゆみ(テレビ朝日)、菊地裕幸(ザ・ワークス)、伊賀宣子(ザ・ワークス
◇おしらせ
☆番組HP

 


(ざわめき)

(原山正雄)君 それでも弁護士か?

これは
冤罪事件かもしれないんだよ?

車を運転していたのは夫で

白河球磨子は
助手席に乗っていたんだ。

車の運転ミスで海へ…。

焼き鳥 1本も食べてない。

ノー。
ノー!?

何がノーだ。 前に ここへ来た時
私は なんと言った?

こういうものが ごちそうだと
思えないような人間に

弱い人間の弁護はできない。
そう。

白河球磨子はね
親も兄弟もいない

かわいそうな子なんだよ。

興味がありません。

やだよ~。
(笑い声)

♬~

〈6月21日
熱海港の岸壁から車が転落〉

〈乗っていた老舗料亭の社長
白河福太郎が溺死〉

〈妻の球磨子が
生命保険を狙って海に突っ込み

殺害したと噂が立った〉

SNSに拡散した

白河球磨子と夫の福太郎の
夫婦喧嘩〉

(白河球磨子)「ああ 死ね!
死んじまえ!」

(白河福太郎)「殺人じゃ
生命保険もらえないよ!」

(原山の声)これは
冤罪事件かもしれないんだよ?

♬~

(山田康一郎)佐原弁護士ですか?
この子。 これは駄目だ。

(秋谷茂一)会う人全てが
その娘にノックアウトされちゃう。

へえ~。
(秋谷)バレエのコーチ 担任。

美術の先生は 佐原卓子に
ラブレターを書いたそうですよ。

天使みたいだったと言っている。

山田検事。
(山田)はい。

ふ~ん。

(秋谷)原山弁護士が
肝臓がんで入院するので

白河くんが
この弁護を佐原弁護士に。

面白いなあ。

最低の女弁護士だって?

ブラック企業の弁護ばかり
引きうけて

バカ高い弁護報酬を請求している」

最低の女弁護士と 毒婦 鬼クマ

タッグを組むという事ですか。

〈瓜実顔〉

〈真っ黒な目に小さな鼻〉

〈ぽっちゃりとした肉感的な唇〉

〈色の白い女性で

美女とはいえないけど
妙な魅力がある〉

〈7月8日 夕方5時〉

〈白河球磨子は会見を開いた〉

SNSに拡散した

福太郎との
夫婦喧嘩の動画について

話がしたいと言った〉

私に足を蹴られたと言って
コックが被害届を出しました。

私に毎日のように怒鳴られて
精神科に行ったって

仲居が被害届を出しました。

パパが…。

夫の福太郎が 毎日のように
私にDVを受けていると…。

夫婦喧嘩なのに…。
普通の夫婦喧嘩ですよ。

それを撮影して
警察に渡した人がいる。

警察に渡したはずなのに

それが どういう事か
SNSに拡散した。

警察が勝手に動画を流したとしか
考えられない。

撮影したのは誰?

言えません…。
宗治くんでしょう?

おじいちゃんを
あなたに殺されると思って

撮影したんじゃないの?
ううっ!

うっ…!
あっ…!

ごめん! ごめん!
痛~い!

もう なんて力なのよ!

止めるからじゃないの。
カッとしないの。

あなたを挑発してるのよ 冷静に。

あなた… 佐原弁護士?

だから 何?

最低の女弁護士の佐原弁護士?

白河さん 失礼ですよ。

趣味も最低。 何? この変な帽子。
返して。

私のほうが似合うよ。

あっ 来た。

(安田龍一)警察です。

記者の皆さん
テレビの人たちに申し上げます。

私は無実です!

白河さん あなたを逮捕します。

私はDVなんかしていません。

パパを… 夫を殺したいと
思った事なんてありません!

罪状は?

(安田)傷害罪です。
従業員へのパワハラです。

倒れろ。 気分が悪い。

(原山)別件逮捕というわけだな。
うっ… ううっ…。

(どよめき)
白河さん!?

気持ち悪い… 気分悪い…。

(白河宗治)嘘だ!

気持ちが悪いなんて嘘だ。

その女は嘘つきです!

おじいちゃんを
毎日毎日 殴ってた。

「殺してやる」って!

「生命保険がかかってるから
殺してやる」って! 鬼みたいに!

ちょっと… 宗治を撮らないでよ!
ちょっと!

この子 関係ないでしょ!

学校でいじめられるから
撮らないで!

逮捕!

病気です!
仮病だ 仮病!

ううっ…。
ふざけるな。 たちの悪い女だ。

早く逮捕!

(警察官)立ちなさい!
やめて…! 私は無実よ!

ちょっ… やめてよ!
何もしてないのに…。

お前ら 私を脅して
嘘の自供をさせるつもりだろ!

待ちなさい!
邪魔をするのか。 公務執行妨害

うるさい! 私の帽子…!

私の帽子 返して! 私の…。
(ざわめき)

私の… あっ!
(ざわめき)

(ざわめき)

原山先生?

私は入院する。 あとを頼む。

頼まれても…。

彼女はね 君の帽子を
人質のつもりで持ってったんだよ。

(パトカーのサイレン)

♬~

〈2016年1月7日の夜〉

〈淳彦さん Bar.Jの表で
バカボンを拾う〉

〈コートのポケットに入れて
連れて帰る〉

〈寒い夜だった〉

バカボンを取りっこしながら
帰る〉

〈楽しかった〉

〈楽しく 悲しい思い出〉

(大貫由紀)帰ってこないわねえ。
ウフフ…。

(チャイム)
あっ。

(チャイム)

バカボーン。

先生。
ただいま。

ごめんね 遅くなっちゃった。

帰るわ。 クリニックに
戻らなくちゃいけないから。

帽子 取られちゃった。

見たもんね ニュースで。
バカボン

(バカボンの鳴き声)

(アナウンサー)「梅花楼オーナーの
白河福太郎さんの事件で

妻の白河球磨子容疑者が
逮捕されるという

新たな局面を迎えました」

〈佐原卓子は
原山弁護士の調査資料を見た〉

〈6月29日 夜10時過ぎに

突然 白河球磨子がやって来た〉

〈私を助けてくれと言った〉

〈球磨子は白のワンピースに
黒い丸い靴

化粧っ気もない
清楚な感じだった〉

どうも自分は
警察にパクられそうだ。

パクられる…?

起訴されて裁判になったら
弁護人になって。

あなた これまで警察に?

前科4犯です。

(原山)あっ そう。

傷害とか暴行 恐喝。

傷害では 懲役3年の実刑でした。

とても
そのようには見えませんな。

黒い瞳が原山に微笑した〉

♬~

(球磨子の声)
6月21日の朝8時に家を出て

11時から食事をした。

うなぎを食べたあと
三嶋大社に行って お参りをした。

4時に三嶋大社を出発。

その頃から雨になった。

ちょっと飛ばしすぎ クマちゃん。

平気よ。

ビビりねえ パパ。 フフッ…。

♬~

(車の窓を開ける音)

(白河)投げたら危ないって!

うるさいな…。

あっ… 前が見えないや。

窓を拭いて。

私が運転する。
駄目だよ。 ビール飲んだでしょ。

(白河)はい
フロントガラスを拭いて。

♬~

(卓子の声)「フロントガラスを
拭いて車に戻ると

福太郎が“疲れた。
岸壁でちょっと休む"と言った」

運転は…?
福太郎!

警察は 私が運転していたんだろう
って しつこく言うけど

福太郎なの。

私は缶ビールを飲んでたでしょ?

福太郎が運転させるわけないわ。

雨で見えないじゃない。

ねえ 大丈夫?

危ないって言ってるのに
何 怒ってんのよ。

ストップ! 止まれって!

止まれって!

♬~

フロントガラスが割れたので
そこから逃げて 泳いで…。

♬~

(荒い息遣い)

(球磨子の声)
岸壁のそばの公衆電話から

警察に電話をしたんです。

今 車が海に落ちて

海の中に夫が取り残されています。

…私ですか? 妻です。

…名前ですか? 白河球磨子です。

今から3分くらい前 A号岸壁から
車が海の中に落ちました。

夫を助けてください。

私が取り乱してなかったから
警察は怪しいと言っています。

ショックで
ぼうぜんとしていたんです。

車が海に落ちた時は

福太郎さんは 何か言いましたか?

何か言える?
あっ いや…。

先生。

海の中で 海水が
ドボッと入ってくるんですよ。

言えますか! 何か?
あっ いや…。

あなた 泳げますか? 水泳は?

泳げます。

故郷が天草で海沿いだから。

でも 福太郎は泳げません。

えっ?

福太郎さんは
泳げなかったんですか?

それを…。

知ってますよ もちろん。
…だから?

えっ?

私が殺したと思ってるんですか?

あっ いえいえいえ…。
そうだろう!

私が福太郎を殺したって
思ってんだろ。

いいえ。 私は弁護士ですからね

疑問に思った事は聞きますよ。

《球磨子は
夫が泳げない事を知っていた》

(卓子の声)「翌朝早く 海底の車は

クレーンによって引き揚げられた」

「福太郎の遺体は
天井側に横たわっていた」

「その姿を見た時に
球磨子は号泣した」

パパ…!

起きて… 起きてよ!

目 覚ましてってば!

(泣き声)

〈車内を調べると
右足の靴があった〉

(安田)おい これ。

海水が流れ込んだ時に
脱げたんだろ。

〈もう一つ 妙な物もあった〉

〈長さ16センチ 厚さ5ミリの
スパナである〉

(立野)なぜ スパナが
車内にあるんです?

ああ… フロントガラス
割るためだろう。

〈あれは球磨子の芝居だ。
悪い女だと

捜査官たちは疑惑を抱いた〉

「スパナの事なんか私は知らない」

「なぜ 車内にあったのか
全くわからない」

「警察は
福太郎の車と同じ型の車を

海に突入させる実験を行い
その結果

車が海に突っ込んだ際に
その衝撃で

フロントガラスが
割れる事がわかった」

海水でフロントガラスが割れた。
すると…。

どうして
スパナが車の中にあったのよ?

殴るために?

誰を殴るの?

福太郎が球磨子を…。

違うよね…。

パパの遺体には スパナで
殴ったような傷はなかった。

残念だって顔してた 刑事たちは。

スパナ…。 不思議ですねえ。

私 知らないわよ!

…あなたは すぐカッとしますね。

ごめんなさい。

いや いいんですよ。

生命保険って 誰でも
夫にはかけるものでしょ?

生命保険?
ええ。

白河福太郎さんに
生命保険をかけてたんですか?

ええ。 パパが 自分は年だから
死んだあとの事を

考えてやらなくちゃ
いけないねって。

あっ… なるほど。

白河さんが
ご自分にかけたんですね。

で おいくら?

13億。

13億…!?

ええ。

生命保険会社11社で13億5000万。

う~ん…。

♬~

原山先生
あなた 何 考えてるんですか?

この女のどこが

独りぼっちで
弱い女だっていうんですか。

フフ… 何やってんの?

バカボン。 フフッ…。

ちょっと
この子に変な事させないでよ。

えっ? やれって言うの?
(バカボンの鳴き声)

この女の弁護をですか? ん?

んん? フフッ…。

おなかがすいた。

(解錠音)

何しに来たの?

(警察官)何しにって お前…。

助けてーっ! レイプよーっ!

レイプされるーっ!

キャーッ!
レイプされる… 助けて!

警官は 球磨子が
いきなり肩をはだけてきたので

つい 留置所の中に
入ってしまったと…。

鬼クマのほうは
突然 警官が入ってきて

襲ってきたって言ってますけど
嘘ですよ。

弁護士は?
入院しました。

バーカ。 原山さんじゃない。
佐原弁護士だよ。

佐原弁護士が何か?

鬼クマに警官を誘惑させる。

鬼クマは襲われそうになったと
大騒ぎをする。

そして 佐原が会見し
捜査側の非道を訴える。

最低の女弁護士だからな。

ローブローでも目潰しでも
なんでもあり。

汚い手を使ってくるもんだねえ。

(山田)部長。
何?

汗かいてますよ。
うるさい 更年期なんだよ。

嫌みか?
いやいや…。

ええ?
どうも~。

(山田)秋谷さん
勝手に入らないでください。

失礼。

佐原弁護士
鬼クマの弁護をするそうですな。

なんだって?

黒のキャスケットの帽子

好きな人に
買ってもらったんだろうね。

すごく似合ってたから悔しかった。

ありがとうございます。

私が先生にお会いしたくて

警察官を誘惑して
トラブルを起こした事

先生 やっぱり わかってくれた。

八百屋お七と同じ。

火 つけたら 恋人がやって来る。

騒ぎを起こしたら
先生が助けに来てくれる。

悪い女の必死な気持ち
先生 やっぱり わかってくれた。

悪い女なんですか?

女は みんな悪いでしょ。

男をだまして幸せになる。

それが女でしょ?

先生だって あんな
おしゃれなキャスケットかぶって

男の人の気を引きながら

しゃなりしゃなりと
歩いてるじゃありませんか。

悪いでしょ。

別に 男の気を引こうと思って

帽子をかぶってるんじゃ
ないんですよ。

あの日は 朝 小雨が降った。
だから かぶったの。

あの帽子
キャスケットっていうんですか?

ええ。 フェルドでは有名な帽子。

5年くらい前のモデル。

私も欲しかったんだけど
お金がなくて買えなかったの。

高いんですか?

8万円くらいしたはずよ。

8万円…。 そんなに高い帽子なの。

フフッ… ほらね。
男に買ってもらったんだ。

悪いなあ…。

主人ですよ。

えっ? 先生 結婚してんの?

主人は亡くなりました。

自殺?
病死です。

なぜ 自殺ですか?

自殺だったら面白いなあと思って。

病死なのよ。

午前中にテニスに行って
帰ってきて

疲れたから昼寝をすると
言ったので

私は夕食のお買い物に行ったの。

帰ってきたら亡くなってたの。
心不全でした。

フフフッ…。 先生 正直。

あなたも正直にね。

私が福太郎を殺したって
言いたいの?

殺したんですか?

殺したの?

私は弁護士よ。
大丈夫だから正直に言いなさい。

白河福太郎さんを殺しましたか?

〈球磨子は貝になってしまい

それからは
ひと言もしゃべらなかった〉

♬~

♬~

(直美)うなぎ届きましたよ~。

あっ 佐原先生… お弁当…。

あっ お昼? どうぞ。

失礼。

佐原先生 買ってきましょうか?
嫌いなんです。

うなぎは人間を食べますから。
(山田)えっ?

(直美)うなぎって
人 食べるんですか?

食べますよ。

うなぎの池に人を放り込むと
あっという間に骨になります。

美味しい。

小坂 食べなさい。
はい…。

白河球磨子は いかがでしたか?

複雑怪奇
わけのわからない女という

イメージを作り上げた
検察とマスコミの罪は重い。

司法の公正をゆがめてる。

警察にあるはずの
球磨子と夫の福太郎の

夫婦喧嘩の動画が
SNSに拡散したのは

検察の主導によるものです。

また 傷害罪で別件逮捕したのも

白河球磨子を拘留し
精神的 肉体的苦労を与え

自供させようという
検察の意図を感じます。

感じる。 どう感じるかは
あなたの自由だけど。

単純な車の転落事故を

猟奇的な毒婦の
保険金殺人事件として

それを解決し

静岡地検の権威を
高めようとしている。

しかし 球磨子は

車を運転していたのは
夫の福太郎だと言っている。

だとすると
殺人の線は消えてしまう。

鬼クマは嘘を言っている。
運転していたのは彼女。

目撃者がいるんですか?
(直美)もちろん。

馬鹿。

今 「もちろん」と言いましたね?

もちろん
白河球磨子が運転していたのを

見た人がいるという事ですね。

もちろん 目撃者はいませんが

白河球磨子が運転していた事は
証明できると

申し上げようと思いました。

(ため息)

苦しい言い訳ですね。

何 目も当てられないって事?

(ため息)

失礼しました。

多忙を極めているもので
食事をとる間がなく

話し合いの場所で弁当を…。
ああ~ 痛~い。

彼女に夫を殺したのかと聞いたら
すごい目でにらまれた。

私もにらみ返した。
そしたら すっごく目が痛~い。

魔物だからね あの女は。

魔物?
そうです 鬼クマ。

そのような偏見
クロだという予断を持ち

白河さんを裁こうとしている事が
よくわかりました。

(レコーダーを止める音)

大変 参考になりました。

あっ…!

最低の女弁護士だ。
(ドアの閉まる音)

♬~

秋谷です。

佐原です。

あちらへ。

録音しても構いませんか?
ええ どうぞ。

静岡地検 録音された件で

佐原さんの
懲戒請求をするそうですよ。

フフッ… どうぞ。

フフッ… ハッハッ。 さすが。

それで 何か文句でも
つけに来たんですか?

文句? どういった文句でしょう?
クレーム。

白河球磨子についての報道は
記者倫理違反だと。

有罪が確定していないのに
鬼クマと書くのは

名誉毀損になります。

それはわかってますよ。

売らないといけないのでね。
確信犯ですから。

ええ。 その事で
会いに来たのではありません。

(秋谷)どのような?

本 読ませて頂きました。

そうですか。 売れてましてね。

先生の役にも
立つんじゃないですか?

鬼クマの事は
詳細に調べて書きました。

詳細に調べたのですね?

ええ もちろんですよ。

何か文句があるのかな?

私の胸が気になりますか?

さっきから
じろじろ見てますけど。

(秋谷)いえ 見てませんよ。
あっ 触った!

何するんですか!
(秋谷)触ってない!

ちょっと…
僕をセクハラで はめる気か!?

白河球磨子の生い立ちについて

秋谷さん
伏せてる事がありますね?

生い立ち?
本に書いてない事がある。

それは検察に止められた?

それとも あなたの
記者倫理によるものですか?

そんなものは…。
何を言ってるのか わからないな。

(物が落ちる音)

あっ キスした!
やめてください!

いたずらだ いたずら!
何言ってんだ!

何するの?
何するんですか!?

捨て子の件は伏せた。

この事件とは
何も関係がないから書くなと

検察にも言われた。
捨て子…。

…えっ?

原山弁護士が

どうも 球磨子の出生について
疑問があると言ってたので

秋谷さんに伺おうと
思ってたんです。

ありがとうございました。

卑劣な人だな あんた。

真実のためには手段を選ばない
最低の弁護士ですので。

ジャーナリストアワード 秋谷記者の
ご健筆をお祈りしています。

(レコーダーを止める音)

熊本県 天草。
球磨子は ここで生まれた〉

〈二つの時に
この町で鉄工所を経営する

鬼塚弘一と政江の
養女になったというのが

球磨子の生い立ちの記である〉

〈だが…〉

あーちゃん!

あーちゃん!

(菊池一郎)
捨てられたんだと思いました。

ええ 名前もわからんし。

私が球磨子って付けたんですよ。

いつまで ここにいたんですか?

(菊池)半年ぐらい おったかね?

(妹)うん。
正月におらん事なったよね。

そうそう どこに行ったか
お母さんに聞いたばってん

教えてくれんやった。

いつもニコニコしてから

私たちん事ば
追いかけ回してねえ。

寂しかったとやろね。

ここに来た事はありませんか?

なかです。 よう茶畑に立って
遠くば眺めおったです。

母親に会いたかったでしょ。

(携帯電話の着信音)
はい 佐原です。

(原山)私の資料は
役に立ってますかね?

はい。
今 球磨子の故郷に来てます。

球磨子の事が
よくわからないんですよ。

怒ったり 泣いたり…。

依頼人の事が
よく理解できないと

十分な弁護が
できませんからね。

調べてみたら 鬼塚鉄工所に
もらわれている事がわかった。

だから 酔っ払うと

「私は生みの親に捨てられた」と
泣く。

その事を 球磨子に
聞いた事あるのですか?

(原山)「ない。 佐原くん」

はい。

(原山)「慎重にね」

「母親の話は
球磨子のトラウマだ」

「下手すると 球磨子は
心を閉ざしてしまう恐れがある」

「すると 事件の真相は…」

「ハハハ…」

「こんな事は
釈迦に説法だったな」

ありがとうございます。
どうぞ お大事に。

あーちゃん!

(ママ)保険金殺人の女げな。

前田さん あんた
殺されるとこやったんやで。

(前田)
思い出したら はがいでくさ。

この家 買うてやったんよ。

(前田)家 買うてくれたら
結婚するってな 球磨子。

本気にして こんな豪邸建てて…。

最初から 豊崎
つるんどったんでしょうよ。

豊崎というのは?

豊崎勝雄。

これですわ。
暴力団…。

球磨子のマネジャーやって言うて
いつもニコニコしとったけん

マル暴には見えんかったね。

この家も 豊崎の知り合いの
土建会社の社長に頼んだけん

1億円のを
8000万に負けさせたとよ。

元々 6000ちょっとよ。

馬鹿やねえ
2000近くも乗っけられて

ありがとう ありがとうげな…。

今日 早かね。
おはようございます。

これ 豊崎

(前田)この クソ!
もう…。

X JAPANYOSHIKIの事ば
球磨子が好きやけん

YOSHIKIのまねして
下手な歌 歌いさらしてくさ。

その男を
うっとり見よる球磨子に

ぼーっと 鼻の下 のばして…。
あんたもアホやわ!

今 思うとやけどなあ。
でも かわいかろうもん。

これは いくつぐらいですか?

18。 かわいらしゅうて
アイドルみたいに人気があって。

前ちゃんも 豊崎
その頃からの付き合い。

秘蔵VTR。

(ママ)鬼クマ事件なんて
大騒ぎになったけん

隠しておいた。

前ちゃん 泣かんでよ。

うわあ 泣いてしまう 俺。
いかん いかんて。 いかんて。

ええから。 座っとこ。

♬~「もう独りで歩けない」

(前田)「ブラボー!」

♬~「慣れたはず」

♬~「だけど今は…」

かわいい!

♬~「Ah このまま抱きしめて」

(歓声)
(クラッカーの破裂音)

今日は みんな ありがとね。

私の二十歳の誕生日に

こんなに たくさんの人が
おめでとうって言ってくれて

嬉しいです。
(前田)おめでとう!

私には 家族がおらんから

独りぼっちです。

優しいママや皆さんに

クマちゃん クマちゃんって
かわいがってもらって

二十歳になれました。

この姿を
私を捨てた人に見せたい。

どうね? ざまあみろ。
一人でも負けんかったよ!

(前田)ざまあみろ!
ざまあみろ!

きれいになったやろ?
なったよー!

ううっ… 悲しかー!

(前田)参った… 参ったばい 俺…。

白河さんは 23の時に結婚して
半年で離婚したんですね?

(泣き声)

結婚後 ひと月を経った9月に
白河さんが失踪し

10月になって戻ってきた。
豊崎と一緒だった。

ん? 先生 さっき 豊崎の事
知らんって言いよらんかった?

ああ… 確認のため
知らないふりをしたんです。

うわあ えっず…。 恐ろしか~。
ごめんなさいね。

(携帯電話の振動音)

失礼します。

バカボン
(由紀)「お仕事中 ごめんちゃい」

バカボン。 チュー!

(由紀)「バカボン バイバイ!
ニャンニャンニャーン」

じゃあね バイバイ。

失礼しました。

豊崎と帰ってきた… それで?

離婚って お前…。

豊崎と 10日以上も
一緒に遊びほうけて

ごめんなさいとか
なんとかあるやろ!

あっ…! 熱っ! 熱っ!

出ていき!

何するとか!
ここは 俺の家やろ!

半分 私の名義やろ。
あとは慰謝料たい!

なんを 馬鹿な…
お前 おかしくなったとか!?

正気ったい。

(豊崎勝雄)ああ… いい湯やった。

(豊崎)クマちゃん ビール。
はーい。

(豊崎)えっ?

(豊崎)なん じろじろ見よっとよ?

ああ… ちかっぱ でかっ!

(豊崎)ハハハ… そう。

ありがとう。 ハハハ…。

はい。
おっし!

(前田)ビール飲んだら帰れ!
いいか? 帰れ!

あーっ!

(2人の笑い声)

(前田)あっ…!
(球磨子と豊崎の笑い声)

(前田)やめろ…!
ビールかけったい。 ほら!

(前田)ああーっ やめて…!
(豊崎)優勝だ!

優勝やったら 優勝や!
ビールかけったい!

ビールかけったい ビールかけ!

やめてっちゃ やめてっちゃ…!

それで離婚です。
全財産 取られました。

白河さんは お母さんの事を
何か言ってましたか?

幸せになって
見返してやるけんって

恨んどりました。

そうですか…。

(携帯電話の振動音)

(振動音)

もしもし?

(山田)佐原弁護士です。

あっ もしもし? 小田です。

いいえ こちらこそ 仕事ですから。

もしもし? もしもし?

今 酔ってますね。

はあ?

声が女の子になってる。

からかって…。
仕事中はアルコールを飲まない。

秋谷さんと飲んでるのかと
思いました。

秋谷さん? なぜ?

「聞いたでしょう?
セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメント…。

なんなんですか?

白河球磨子に 明日
車に乗せて走ってみようと思って。

運転の事やスパナの事…
疑問点があるからねえ。

どうぞ。
「見に来ますか?」

いえ 不都合です。 小田さん。

なんだい…。 暑い…。

なんなんですか?

「白河さんの母親」

生みの親の事ですけど

今 どうしてるのか
わかってますか?

もちろん。

ああ… 生きてるんですね。

答えられない。

…わかりました。
絶対に探します。

♬~

秋谷さん あなた…。

なんですか? その顔。

胸を触った。 キスした。
彼女が嘘を言った…。

ええ。 録音はしてありますが。

その録音を
渡して頂けませんか?

それは…。

(佳子)お願いします!
鬼クマを死刑にしてください!

社長の骨が泣いています!

〈小田秀子は
佳子の言葉にうなずきながら

実は佐原卓子の事を考えていた〉

〈佐原卓子は
予想以上の強敵であった〉

〈鬼クマに無罪判決を勝ち取り
薄笑いを浮かべる

卓子の美しい顔を想像して

秀子は
カーッと全身が熱くなった〉

(振動音)

「こんばんは」

どうしたの? 釈放されたの?

「ダーン! フゥー フフフ…」

留置場の中?

「警官がスマホ貸してくれた」

それは罠です。

「罠? 意味がわかんない」

私にダメージを与えるための
罠です。

「話したくないの?」

違う。
「じゃあ 切る」

わかったから… 切らないで!

「先生 私の事 好き?」

「あっ…」

あっ…。
(電話が切れる音)

(不通音)

やっぱり 罠だ…。

(秋谷)鬼クマが 留置場の中から
あなたに電話をしましたね?

警官を誘惑してスマホを借りた。

(記者)何を話したんですか?

(山田)藤原さん 電話ボックスの所に
立っていてください。

(直美)被疑者は助手席に乗って。

ちょっと待って。

昨日 了解を得たはずですけど。

確認ですけど…。
はい。

被疑者は従業員への傷害罪で
留置されたが

夫の白河福太郎の溺死の件で
再逮捕されたという事ですね?

そのとおりです。

昨夜12時頃 警察官が
被疑者にスマホを渡して

私に電話をさせたのは
なぜですか?

(安田)おいおいおい… 下がれ!

(ざわめき)

(安田)
警官は 被疑者に誘惑されて

自分のスマホを貸してやったと
言ってる。

被疑者が
弁護士と打ち合わせる事は

予想もしていなかったと
後悔している。

誘惑など してないですよ。

また 打ち合わせなども
してません。

被疑者は あなたに
今日の検証で目撃者も来るし

助手席に乗っていたのは
福太郎で

私が運転していた事が
バレてしまうが

どうしたらよいかと相談した。

私は運転してない。
でっちあげだ!

(操作音)

「魔物だからね あの女は」

「魔物?」
「そうです 鬼クマ」

「そのような偏見
クロだという予断を持ち

白河さんを裁こうとしている事が
よくわかりました」

どうせ 自分の声じゃないって
言うでしょ?

私ですよ。
被疑者を犯人と決めつけてる。

決めつけてはいない。
疑惑ですよ。

ですから 今日
被疑者の証言どおりに

車を走らせて
検証しようとしてる。

被疑者は怯えてます。
そのようだね。

事件の事を思い出して
怯えてる。

(ため息)

これは違法捜査です!
(記者たちのどよめき)

私 乗る。
は?

お前も乗るんだろうな?

乗る。

海の中は真っ暗だよ。
知らないよ。

先生…。
大丈夫。

(直美)いきます!

事件当夜と同じ 時速40キロ。

起きて。 前を向いて!

まもなく海です!

気絶した。 止めて!

故意の失神。
気絶するふりをしたんでしょう。

…と考えています。

球磨子が寿司屋に…。

寿司屋?
はい。

寿司を食わせろと
鬼クマが言ったのか?

ああ 佐原弁護士です。

被疑者は気を失い 疲れている。

病院から留置場に戻る前に
食事をとらせてほしいと。

それは確かに許可したが…。

どこの寿司屋です?

(大将)へい お待ち!
(立野)食っていいぞ。

手錠 外してください。

早くしてよ。

ああ~っ…!

うーん!

お寿司 食べたかったんだ。

生もの 食べさせてくれないのよ
中毒するからって。

先生にも。

お金 私が出すんだから
先生にも握って。

いりません。 本当にいらない。

(大将)へい。
中トロください 炙りで。

気絶したのは?

本当よ。 あの時の事が…。

ストップ! 止まれって!

真っ暗になった。

目撃者は?

助手席に乗っていたのは
男の人だったって言ってたねえ。

助手席は私よ。
信じてないの? 私の言ってる事。

(叩く音)

信じてるのか信じてないのか
聞いてんのよ。

どっちだっていいのよ。

勝つか負けるかだから。
好きじゃないの? 私の事。

だから どっちだっていいって
言ってるでしょ。

勝てばいいんだから。

嫌いだなあ。
いいわよ 嫌いで。

信じらんない…。
裁判をゲームだと思ってるんだ。

お寿司 食べないの?

裁判はゲームなんだろ?
私は人形だろ?

心なんて
どうだっていいんだろう!?

帰れば?
帰れ? 本当に帰るわよ。

帰れ!!

(戸の開閉音)

先生!

先生!

先生…!

私 おかしいの…。

えっ?

私 覚えてないの 海の中の事。

おい 帰るぞ!
1分待って。

記憶がないって事?

海の中の事
全部 忘れてしまったの?

覚えてないの?

そっか…。

かわいそうに…。
私が思い出させてあげる。

♬~

(カメラのシャッター音)

(カメラのシャッター音)

(由紀)「鬼クマに心をレイプされた
佐原弁護士」

「稀代の毒婦と
最低弁護士のチュー」だって。

告訴してやる。
そうよ。

セクハラで
鬼クマを告訴すればいいのよ。

その記事と 秋谷記者よ。

名誉毀損で10億円…。
あっ ちょっと… バカボン

バカボン
ハハ…。

チューなんかするからだな。
鬼クマのにおいがするのよ。

(由紀)これは整形してない。

すごいのよ 目が真っ黒で。

怒った目をしてる。
これは人を殺すわ。

♬~

大木さんですか?
弁護士の佐原です。

球磨子が怖くて…。

じゃあ どこか
お茶の飲める場所に…。

ここでいいです。

(暁子)豊崎さんも
変な死に方をしたし 怖くて…。

豊崎勝雄が死んだ…。
本当なの?》

豊崎さんは
球磨子と博多から出てきて

クラブ女王蜂を開店した。

そうです。 球磨子の男です。

亡くなったんですか?

ええ。 女王蜂が潰れてから

闇金の借金で
どうにもならなくなって

逃げたんです。

そのせいで
私は顔を焼かれたんです…。

(電話)
お前 豊崎とデキとったやろ?

私が知らんと思っとったと!?

ママ 悪酔いしてる!
豊崎さんとデキてない!

ねえ 怖いよ!

私はチーママとして
ママに尽くしたでしょ!?

カッちゃんはどこ?

隠しとっちゃろ!
言わんと顔を焼くよ!

豊崎さーん!
金 返してくださいよ!

1億円 払わんか オラ!

うるさい!
お金なんか1円もない!

馬鹿野郎!
助けて!

この クソ!
助けて!

懲役3年で刑務所に入ってから
何度も手紙が来ました。

豊崎を隠したろうって。
出所したら会いに行くからって…。

怖くて 千葉の田舎に越しました。

先生 私の住所
球磨子に言わないでください。

ええ。

豊崎さんが亡くなったのは…?

「アパートに変死体」

兵庫県明石市のアパート
ハナグサ荘で

男の腐乱死体が発見された」

「死後1カ月以上
経っているものと思われる」

「この部屋の住人の豊崎勝雄さんが
行方不明になっていて

死体との関連を調べている」

球磨子がやったんだと思います。

どうして?
豊崎さんが死んだ頃に

球磨子が刑務所から出所して
豊崎に会いに行ったって…。

警察の人から電話があって

球磨子と一緒に 豊崎
会いに行った男の人がいるが

その男に心当たりはないかって
聞かれたわ。

男の人?
暴力団だわ!

〈球磨子は刑務所を出所すると
新宿のキャバクラに勤めた〉

〈そこで マネジャーの河崎三郎と
ボーイの野島秀夫を手なずけた〉

〈2人とも暴力団員である〉

応募の方ですか?

いえ。 弁護士の佐原といいます。

こちらに

河崎三郎さんと野島秀夫さん
いらっしゃいますか?

ちょっ… また鬼クマの事か。

野島さん… ですか?

…です。

兄貴! 弁護士だって。

こんにちは。

クマちゃんが
お世話になってます。

結構です。
河崎さん 昔 球磨子と

豊崎さんを訪ねた事は
ありますか?

…ない。

ありますよ。

♬~

おい!

(豊崎)クマちゃん…。

ううっ!
クマちゃん 勘弁して!

ひどい顔しとる あんた。

病気ね?

糖尿…。

ハッ… ハーッハハ!

ぶち殺す価値もなか。

うちば捨てて
銀座からトンズラして

このザマ! アホくさ。

クマちゃん…
相変わらず きれいや。

うるさい!

♬~

刑務所で貯めたお金よ。

カッちゃん ごめん。
なんもしてあげれんくて。

カッちゃん 負けたらいかんよ!

元気出して 勝ってね。

クマちゃん…!

豊崎さんとは それっきりですか?
アパートへ行った事は?

東京へ帰りました。

(河崎)変死ですか?
ええ。

球磨子が 豊崎さんに会って
すぐに亡くなったと思われます。

先生。 球磨子は何もしてませんよ。

ずっと 店で働いてましたから。

あの頃は
白河さんにロックオンしてました。

白河福太郎さんにロックオン…。

要するに 自分に夢中にさせてやる
という意味?

ハハハ…。
熱海の資産家で 奥さんがいない。

必ず落としてみせるって
言ってましたよ。

シャンパンタワーやらいらん。

いらんって…。

博多弁で
いじらしか事 言うて。

嫌 嫌…。 気持ちよか。 堪忍して。

おお~っ!

やられた!
もう駄目だ フクちゃん。

酔っ払っちゃった。

あっ…。
おおっ…。 大丈夫かよ?

あっ あっ… ありがとう。

ああ… いいにおいだ。

香水つけとらんと。
私の体のにおい。

シャンパンタワー… いきます!
ウフフフ…。

完全にロックオン。
真面目で いい人ですからね。

夢中になってしまって
毎日 来るようになりましたよ。

んっ… 何?

ずっと友達でいてください。

うちはキャバ嬢やけん

お客で来てくれたら
ず~っと友達!

少なかったかな?

帯が付いとらんと いらん。
あっ そう…。 ああ 100万…。

今度 下ろしてくるから。

嘘たい。 お金なんか いらんとよ。

毎日 熱海から
遊びに来てくれるだけで

ありがと。

フフフ…。
フフフ…。

クマちゃんって いくつ?

私 フクちゃんの ふた回り下。

ふた回り…。

うん? うん? どうした?

ボタン取れそう。
えっ?

マネジャー。
ごめん 針と糸ください。

かしこまりました。

そうか クマちゃん 30か。

はあ… 僕は54。 離れすぎだよな。

私 離婚しとるとですよ。

それに 警察のお世話になった事も
あるけん 傷もんなんよ。

誰も もらってくれんと。

警察のお世話って?
言わん。

フクちゃん 来てくれんくなる。

(野島)失礼します。
ありがとう。

♬~

どうしたの?

私 母親に捨てられたと。

捨て子なんよ。

こげん事してくれる人も
おらんかった。

気の毒だね。 気の毒だ。

クマちゃん 帰ってきたよ!
(木下)えっ? ああ~っ!

おかえりなさい!
おかえり!

おかえりなさい!
おかえり おかえり!

シャンパンタワーでしょうか?
社長。

うん うん うん うん うん。

(野島)シャンパンタワー
入りました!

秘密。
えーっ!

テスト飛行は どうだったのよ?

もうね
フワッて上がったかと思ったら

エアポケットで
ズーンって落ちたと思ったら

もう 急に フワーッて…。

もう最高のフライトでした!

イエーイ!
(歓声)

♬~「飲んで飲んで飲んで」
♬~(一同)「飲んで飲んで飲んで」

♬~「ハッピー天国」
♬~(一同)「ハッピー天国」

すっごい喜んでるよ。

私 熱海に行って
大きな仕事ばしてくる。

大きな仕事をしてくる
熱海へ行って。

はい。 そう言ってました。

ふ~ん。

困った事 言う女ね 本当に。

福太郎との結婚は

よほど 私が頑張らないと
失敗するって思って そう言った。

大きな仕事。 違う?

裁判では そう言って。

信じてもらえるか
わからないけど。

豊崎さん…。

豊崎さんは亡くなりました。

あなたが会いに行った直後
アパートで。

自殺でしょ?
わからない。

変死ですって。

♬~

《泣いてる。 きれいな涙だわ》

豊崎を殺していない。
よかった》

刑務所で働いて貯めたお金。

カッちゃんにあげたよ。
ふ~ん。

豊崎さん 嬉しかったでしょうね。

…勝手な言い方だよ。

あんたに
カッちゃんの何がわかるのよ?

(ため息)

また 喧嘩売るの?

この裁判 負けるわよ。

私から見たって
あんたはクロなんだから。

どっちだっていいけど。

クロでも
あんたが勝てばいいんだけど。

勝てないんだな これが。

(笑い声)

笑っちゃうぐらい勝てっこない。

でも それじゃ嫌なのよ。

私 負けるの 絶対に嫌なの。

なんでかって言われたって
わからない。

先生は 人に負けた事がないのよ。

そうなの!
私 負けた事がないのよ。

でも
あなたは負けてばっかりよね。

そう言いたいんでしょ?

ず~っと負けてる。
いじめられてる。

だから あなたの目は怒ってる。

なんでよ?

なんで
いじめられなきゃいけないのよ?

この世の不条理に対して
怒ってる。

不条理なんて 難しい事 言う。

どうせ そうでしょうよ。

先生は大学を出て
難しい司法試験に合格して

イケメンの男と結婚して
大きな家に暮らしてる。

私みたいな女なんて
虫けらだと思ってるんでしょ?

主人は死んじゃったのよ。
言わなかったっけ?

ごめん。 私 馬鹿なんだ。

虚血性心不全で 突然 死んだのよ。

官僚だったんだけど

お酒とゴルフが好きな
明るい人でした。

あの帽子はね
主人がプレゼントしてくれたの。

似合うかもしれないから
買ってきたって

私の頭にかぶせてくれた。

かわいいぜって
手を叩いて喜んだ。

忘れられない帽子。
返してくださいね。

言えば返してくれるわよ 警察に。
嫌なのよ。

裁判に勝って
あなたから返してもらいたいの。

ありがとうって。

それがモチベーションなの。

13億5000万の生命保険の半分
先生にあげる。

私を無罪にしてください!

(叩く音)

バーカ。
えっ?

そんな事 他人が聞いたら クロ。
絶対にクロ。 真っ黒って。

もう いじめないで!
ほ~ら また 被害妄想。

いじめてる。
今日の先生 意地が悪い。

福太郎さんをたらし込んだ
あなたの様子を聞いて

うんざりしたのよ。

女は みんな同じでしょ?

狙ったら いろんな事やるでしょ?
嘘つくでしょ?

私 嘘なんかつかない。

大っ嫌い! 嘘つき!!

(ため息)

嘘つきは どっち?
記憶喪失なんて嘘ついて。

嘘じゃない… 嘘じゃない。

思い出せない
海の中で何があったのか。

嘘なんかついてない!!

わあ~っ! ああ~っ!

わあ~っ!! ああ~っ!!

記憶がない?
はい。

(山田)佐原先生。
(直美)面会はお断りしたはずです。

予定が詰まっていると
言われましたけど

手短に
お話をさせて頂きますから。

結論。 記憶喪失は
球磨子の嘘と認識します。

以上です。

被疑者が 海の中の事を
記憶していないのでは

裁判ができません。

自供もなく 物証もないんです。
どうお考えですか?

精神鑑定しろっていうわけなの?
同じ事です。

明らかに
記憶を失っていますので

事件の核心的な事は
思い出せないと思います。

公判を中止しろって
言いたいんですか?

アハッ… とんでもない。
(流水音)

とんでもない? 何…?

やりましょうよ。
ええ やりましょう。

被疑者の母親の事ですけど…。
それは関係ない。

球磨子は
母親に会いたがっています。

会えたら 素直な…。

今のような
支離滅裂な人格ではなく

素直で正直な女性に
なるのではないか。

素直で正直な女性になったら
事件は変わるんですか?

いえ それは変わりませんけど

奇怪な妖怪のような
女性を裁くのと

素直で正直な女性を裁くのでは

裁判員の心証や量刑にも
大きな違いが出るのでは?

佐原先生。
はい。

どんな被告人でも
勝てばいいんじゃないですか?

勝てば 妖怪でも青天白日
ニッコリ笑いますよ。

ご健闘を祈ります。

お送りします。
いえ 結構です。

こちらへ。
帰りますよ。

ちゃんとわかってますから。

(携帯電話の着信音)

♬~

〈卓子は 苦労した顔の女を
想像していたが

小柄で明るい顔の女だった〉

(さかゑ)こんにちは。

こんにちは。 ごめんなさい 突然。

(さかゑ)弁護士さんですか?

球磨子の事ですか?

はい。 白河球磨子さんの事で。

知らないんですよ。

一度も会った事がないのに
検事さんが来て

昔 天草の病院で
女の子を産んだろって言われて

びっくりしちゃって。

病院の入院記録を調べて

生まれた子の事を 一人一人
追いかけたっていうんですから

悪い事はできないものね。

球磨子さんを… 捨てましたか?

…はい。

父親がいない子で。

父親…。 離婚されたとか?

いいえ。 男には妻と子がいました。

結婚するからって
甘い事 言われて 産みました。

でも 嘘でした。

お金もなくて
冬子を育てる事ができなくなって

捨てました。

冬子?

冬の寒さに耐えられるような人に
なってもらいたくて

冬子と付けたんです。

あなたの事
あーちゃんと言ったそうですね。

ええ。

お母ちゃん…
あーちゃん あーちゃんって

呼んでました。

あーちゃん。

笑うと えくぼが出て
かわいい子でした。

えくぼ…。

今は ありませんね。

えくぼは 神様に愛される
印だそうですね。

昔 近所のおばさんに聞きました。

冬子をかわいがってくれたんです。

そうですか…

今は
えくぼは消えてしまったのね。

かわいそうに。

《球磨子は
神に見捨てられたのだ》

《だから
えくぼが消えてしまったのね》

《胸が痛い》

茶畑で 冬子を捨てたんです。

♬~

あーちゃん!

それっきりですか?

ごめんなさい。
一度も会ってません。

勤めていたデパートを辞めて
東京に出てきたんです。

会いたいとは…。

いいえ。

不倫の事を忘れたくて
冬子の事を忘れました。

主人には話しましたけどね。

でも 今 まさか
熱海の恐ろしい事件の犯人…。

犯人ではありません。

でも 犯人なんでしょ?

鬼クマなんて騒がれて…。

失礼します。

♬~

♬~

〈小さい頃は えくぼのある
かわいい子だった〉

〈今は ない〉

〈神にも見放された女〉

〈佐原卓子は
球磨子が哀れだった〉

♬~

右足の靴とスパナ。

これ どういう事なのか
全然わかんない。

教えてよ。

右足の靴は
車が海の中に落ちた時に

海水が ザーッて入ってきて
脱げたのかもしれないわよ。

でも これは? スパナ。

どうして
スパナが車の中にあるの?

ねえ バカボン どうして?

どうしてなんだよ~?

(電話)

はい。

秋谷… どちら様?

ジャーナリストの秋谷ですが

先生 鬼クマが自供しましたよ。

自供した…?

話 したい事があるから
私を呼んだそうだが

なんだ?

思い出した。
思い出した?

記憶が戻った。

やっぱり 運転していたのは私だ。

うん。

車を海に沈めた。

逃げようとする福太郎の足を
引っ張った。

それで 靴が脱げた。

私は 車から逃げた。

福太郎は泳げない。

死んでしまった。

よし。

馬鹿!
どうして 嘘ばっかりつくんだ?

殺したなんて…。 死刑だぞ!

(パトカーのサイレン)

邪魔。

どいてってば。
どいて どいて。 どいて!

(パトカーのサイレン)

ごめんなさい!

ごめんなさい。 ごめんなさい!

キップきって! 早く ねっ。
早く行って。 急いでるの。

ごめんなさい! このとおり!

馬鹿! ふざけんな!
うるさい!

悪徳弁護士! 能なし!

えくぼもなくなって
神様に見放されて

この世で一人も
あんたの事を好きな人間がいない。

私だけだ!

大嫌いなのに あんたの事を
助けようって必死になってるのは。

最低だ。 このクソ!

(笑い声)

何が おかしい?

本気になった!

本気じゃん 先生。

プライドよ プライド!

負けてたまるかっていう
私の誇りよ!

勝てよ!

無罪判決 お願いします。

13億5000万の半分ゲット!
お金なんか いらない…!

嘘ついたのね。

はい。 アハハハ…。

小田検事に嘘の自供?

面白いと思いません?

やったって言ったら
「よし」って…

顔 真っ赤にして あのババア…。

(笑い声)

記憶喪失は?

そのままだよ。

そのまま。

真っ暗な闇しか思い出せないの。

私 何したんだろうか?

♬~

1列でお願い致します。
1列でお願い致します。

♬~

私を呼んでほしいって
なんですか?

母は来てるの?

あなたのお母さん?

私も知らないもの。

先生が 母に会わないはずがない。

そういう人じゃない。

私に えくぼがあった事
誰から聞いたの?

誰も知らないはずよ。

♬~

わかりました。

私 本当に捨てられたんですね。

私がついてる。

頑張ろうね。

ありがとうございます。

〈母親の事を知り
球磨子は静かな顔になった〉

〈悟ったような顔だった〉

(山田)「平成30年6月21日
午前8時過ぎに

熱海市下宿町の梅花楼を出て
三島までドライブに行き

午後2時頃に
三嶋大社に参拝した」

「午後4時過ぎに熱海へ向かった」

「その頃から雨になった」

「途中 自動販売機で
ビール2本を買い

被告人は それを飲んだ」

「雨は激しさを増し

熱海港に着いた時には
フロントが見えなくなるほどで

福太郎は 被告人に
窓を拭くようにと頼み

被告人は車外に出て 窓を拭き
福太郎と運転を代わった」

代わってません。

私は助手席 運転は福太郎です。

被告人は 黙りなさい。

はい。 ごめんなさい。

(山田)
「雨の中 40キロで車を走らせ

そのままブレーキを踏まず 疾走」

「故意に A号岸壁から
車を海に転落させて

福太郎を溺死させたものである」

「刑法 第199条。 罪名 殺人」

(傍聴人のざわめき)

(加藤)被告人は
何か言う事がありますか?

私は福太郎を殺していません。

(ざわめき)

(加藤)被告人は 福太郎を
殺していないと言ったんですね?

裁判長。
(加藤)弁護人。

自白は 長期にわたり拘留され

悪意に満ちた先入観で
鬼クマと呼ばれ

バッシングを繰り返され

深刻な精神的な苦痛を
受けた事により…。

裁判長。

(加藤)弁護人と検事は
こちらへ来てください。

♬~

どういう事ですか?

最初から?
いいえ。

否認は想定外でした。
よく言うわよ。

自業自得よ。
自業自得って何さ?

最初から 悪意に満ちて
鬼クマ 鬼クマって。

あの人は 並みの女じゃないのよ。
やり返されたのよ。

生意気な…。

証人は 6月21日の夜10時に

熱海港 A号岸壁の公衆電話で
婚約者と話をしていましたね。

冬に結婚するので
式場をどこにするとか…。

雨が降っていましたね。

(藤原)ええ。 ひどい雨でした。

雨だった…。

公衆電話のガラスは
曇っていましたか?

(藤原)いいえ。
曇っていなかった。

どうしてですか?

(藤原の声)
傘を持っていなかったので

雨かどうか気になって
窓を拭いたんです。

(秀子の声)
その時 何が見えましたか?

(藤原の声)車です。

助手席には
殺された人が乗っていました。

(傍聴人のざわめき)

証人は 助手席に
殺された人を見たと言いましたが

助手席の男の人が殺されたと
知ったのは いつですか?

(藤原)ふ… 2日後です。

23日の新聞で事件の事を知って

あの時の車が
海に飛び込んだと思いました。

2日後…。

つまり 証人は
21日の夜に 通過する車を見て

助手席に
福太郎さんが座っていたと

はっきりと
認識していたのですか?

23日の新聞の記事を読んで

福太郎さんが殺されたと
書いてあったので

その事で
福太郎さんが座っていたのは

運転席ではなく助手席で

運転をしていたのは被告人だと
思い込んだのではないですか?

(藤原)いや… 助手席には
男の人が乗っていました。

僕は ちゃんと見ましたよ。

証人は 福太郎氏の親友ですね?

(木下)はい。

中学から大学まで
ずっと一緒です。

福太郎は… いえ 白河は

私が小料理屋を開く時に
開店資金を貸してくれて

言葉に尽くせないくらい
お世話になりました。

球磨子と結婚する時も
あいつに頼まれて

新宿のキャバクラに
何度も一緒に行きました。

結婚をしたいが
自分は 女を見る目がないから

保 お前 見てくれよって…。

福太郎は

女性は 11年前に亡くなった
節子さんだけで

この女性が 心の優しい
いい人だったもんで…。

うるさいよ ジジイ。 何が節子だ。

被告人。
はい 申し訳ありません。

(木下)球磨子は前科があるって
福太郎から聞いて

やめたほうがいいって
止めたんですが…。

頼む。
ハンコ… ハンコ押してくれ。

お願い 頼むよ。

お前は
女の料理は下手だかんな。

半端な女じゃない。

傷害に暴行 恐喝
懲役3年でしょう。

こうされちゃうんじゃねえの?

好きなんだよ。
かわいいんだよ…!

お願いだよ。

ところが 結婚して すぐに…。

俺 殺されるかもしれない。

(木下)フッ…
そんなに激しいのか 球磨子。

ごちそうさんだなあ。 ハハハハ…。

(白河)
生命保険に13億5000万円だよ。

(戸の開く音)
(木下)いらっしゃいませ~。

ああ… もう…。
(木下)なんだよ。

(白河)マル暴が見張ってるんだよ。

あの キャバクラの
マネジャーの河崎と

ボーイの野島
暴力団の構成員だって。

あの2人が 球磨子のそば
うろうろしてるんだよ。

うーん…。

それで
生命保険って お前がかけたの?

ううん。
(木下)球磨子?

うん。 11社で13億5000万円。

離婚しろ!

離婚…!?

寂しいよ~。

わかるけどね…。

かわいい女だもんなあ。
うん…。

いくらくれるの? 慰謝料。

えっ? いくら欲しいの?
(戸の開く音)

いらっしゃいませ~。
こんにちは。

(野島)こんちはっす。

(木下)あっ ちょっと待ってて
今 うまいの出してやるからさ。

あなたの腕一本くらい
もらおうかな。

(木下)えっ?
慰謝料。 フフ… どう?

慰謝料ですか。 過激ですねえ~!
(3人の笑い声)

でも やっぱ お金でしょう。
ねえ 社長。

1億ですか。 フフフフ…。
アハッ…。

えっ 何…? お… おい。

(河崎)ああ… 切れそうですねえ。
あ… 危ないからさ…!

切ってもいいですか?
あっ…!

すごーい! 真っ二つじゃない。

ねっ 社長。

あんな怖かった事は
ありませんでしたよ。

被告人は
別れるなら慰謝料をよこせと

証人を脅したんですね。

(木下)はい。
ありがとうございました。

証人は 今のお話を
福太郎さんにしましたか?

もちろんです。

殺されるから
一日も早く別れろって言いました。

この花もさ
毎日あげてくれてるんだよ。

(白河)孫の服も
毎日 洗ってくれてるんだよ。

料理も うまいんだよ。

嘘だよ。 芝居だって。

(戸を叩く音)

何 ヒソヒソやってんの?

いやあ そうか…。
フフ… フフフフ… フッ…。

(白河)あっ! 何するんだよ…!

別れるんでしょ?

もう 花なんか飾ってやらない。
自分で飾れ!

(叩く音)

♬~

女房と せがれの花…。

(ため息)

(ため息)

もう… しょうがないかな…。

そうですか。 以上です。

♬~

劣勢だな。

邪魔。

どいてってば。
どいて どいて。 どいて!

♬~

白河福太郎の車と同じ車ですね。

一体 何をするんです?

それは
白河福太郎と同じ靴じゃ…?

♬~

(秋谷)あーっ! 海に落ちる!

♬~

何やってるんだ!

私が何しようと私の勝手でしょ?

真実のために…

鬼クマと呼ばれる女を
助けるために 私がしてる事を

また くだらない
吐き気のする記事にするんだろう。

早く 検事に電話しなさいよ。

私が
訳のわかんない事やってたって。

スクープあげる。

白河球磨子は無罪。
その物的証拠あり。 書きなさい。

どんな物的証拠なの?

守秘義務。 考えて書けば?

君 まさか 僕の
ジャーナリストアワードの受賞を

妨害するつもりじゃ
ないだろうね?

《勝った…!
多分 私が勝つだろう》

《でも 問題はあの子だ。
球磨子…》

まさか…

忘れてしまった
福太郎のシーンが

自分が福太郎を殺してしまう
光景だとしたら…。

♬~

だとしたら 最悪。

最悪の真実だわ…。

(足音)

怒らないで。 ちょっと…。

今日 18時に

ジャーナリストアワードの
受賞パーティーがあって

佐原先生にも来てほしいって
言うんだけど。

鬼クマ事件について

弁護側のスピーチを
してもらいたいらしいの。

駄目でしょ?

ハッ… オーケー。

何を隠したのかと思ったら…
スパナ。

変なものが
車の中に残っていたものね。

(由紀)先生。

先生… 気分悪い?

大丈夫。 原山先生は?

歩けないって。
健闘を祈ってるって。

わかりました。

(白河)「しっ 死んじゃう!
死んじゃうよ」

「ああ 死ね! 死んじまえ!」
(白河)「うっ…!」

なぜ これを撮影したんですか?

祖父が殺されると思って
心配で…。

殺される?

これは 夫婦喧嘩だとは
思わなかったんですか?

思いませんでした。
DVだと思いました。

DV… ドメスティックバイオレンスですか?
はい。

(傍聴人のざわめき)

終わります。

(加藤)弁護人は
証人に何か質問がありますか?

あります。
(加藤)どうぞ。

証人は
この動画を警察に届けましたか?

裁判長。
(加藤)はい。

被告人の殺意を立証するための
証人です。

弁護人の質問は
趣旨から外れている。

被告人を
冷酷な人殺しだ 鬼クマだと

世論を誘導するような
卑劣な策謀があった事を

証明したいのです。

(加藤)質問を続けてください。

証人 撮影した動画を
警察に届けましたか?

届けました。

その時 新聞やテレビに
この動画を渡してほしいと

頼みましたか?

いや…。

頼まないのに動画が流れた。

その時
証人は どう思いましたか?

異議あり! 無関係な質問です。

証人は 質問に答えてください。

祖父が…

祖父が
かわいそうだと思いました。

おじいちゃんが
かわいそうだと思った。

なぜです?

祖父は 球磨子が好きで…。

僕たちよりも 球磨子が好きで…。

球磨子が ひどい人殺しみたいに
言われてる事を…

おじいちゃん
きっと 泣いてると思って…。

おじいちゃんは…

球磨子の事
愛してたんだと思います。

宗治さん ごめんなさい。

私 福太郎が本当に大好きで…。

好きで好きで
わがままばっかり言って…。

あなたたちにも いい母親に
なりたかったんだけど…。

裁判長 勝手な発言です。

自分を正当化する
欺瞞に満ちた発言です。

記録から削除してください。

うるさい!

裁判長 休廷を申し入れます。

(加藤)えっ? 休廷ですか?
はい。

(加藤)弁護人。
裁判長

検察官が 勝手に 休廷などと
わめいてるんですから

怒らなきゃ駄目ですよ。

被告人は無実。
その証拠を見つけたので

このまま
審理を続けさせてください。

(傍聴人のざわめき)
何を言った? 今…。

被告人 無実を立証するそうです。

無実… どうして…。

(加藤)被告人は無実。 その立証を
これから行うという事ですか?

はい。
日を変えてください。

いや… 今 今。

福太郎氏の孫の
宗治さんもいるので

事件の真相を ぜひ 今。
山田検事。

被告人無罪の
証拠があるというのなら

それを聞かないのは
検察の公平を…

正義を
おのずから否定するものです。

私も そう思います。
馬鹿…!

弁護人。
はい。

(加藤)どうぞ。

この写真

この靴は
白河福太郎氏の右足の靴です。

車が海に落ちた時に

流れ込んだ海水の力によって
脱げたものだと思われていました。

写真と同じものです。

26.5センチ 幅10.5センチ。

それと スパナです。

普通 スパナは 後部席の
工具箱の中に入っているものです。

けれども 車の中に落ちていた。

では 誰かが
車の中に持ち込んだのだろうか。

しかし 被告人は スパナの事は
知らなかったと言ってる。

すると… 福太郎氏が スパナを
車に持ち込んだのだろうか。

えー… この車のブレーキペダルは
右足が乗る 平らな板状で

長さ8センチ 幅12センチ。
それは関係ないんですが

ペダル表面から床面まで11センチ。

11センチあります。

そこへ
この靴を横にして入れると…。

このように 靴は ペダルの下に
すんなりと入ります。

こうすると ブレーキは
かかりにくくなります。

ところが…

スパナです。
長さ16センチ 厚さ5ミリ。

これを靴の下に差し込むと

ブレーキペダルは
ぴったりと固定されて

ブレーキが
かからなくなるのです。

ああ…。
えっ?

福太郎が
ブレーキを細工したとすると…。

ええ そうです。

心中を図ったという事に
なりますね。

心中だって…。

白河福太郎氏は ブレーキに
靴とスパナを差し込み

ブレーキを利かないようにした。

ドライブから戻ってきて
熱海港に来た時

雨がひどいので
フロントガラスを拭いてくれと

被告人に頼んで 車を止めた。

♬~

ありがとう。

(卓子の声)
ブレーキの利かなくなった車を

福太郎氏は走らせた。

被告人は その事を知らなかった。

♬~

パパ… 危ないってば!
ブレーキ!

やばい!

福太郎氏は
被告人を殺そうとしたのです。

殺そうとした… いえ

自分も死ぬつもりだった。

福太郎氏は泳げないのです。

球磨子を殺して自分も死ぬと
決心して

ブレーキペダルに細工をした。

ブレーキを踏んで
車を止めてしまう事を

恐れたのです。

どうしても 一緒に死にたかった。

福太郎氏は
球磨子を愛していたのです。

…違う!

《記憶が戻った…!》

《海の中で 何が行われたのか》

《球磨子… 頼む》

《頼むから
殺したなんて言わないで》

いやーっ! パパ! パパ!
いや…。

お前は悪魔だ!

パパ… 愛してるのに!

殺してやる!
いやーっ! やめて!

(白河)殺す…!
いや! やめて…!

♬~

違う?

違います。

思い出したのね 海の中の記憶を。

異議あり
記憶を喪失したというのは

被告人の勝手な主張であり
検察官は それを認めていない。

海の中で何が起きたのかは
被告人しか知らない事であるが

その供述の信憑性には
疑念を抱かざるを得ない。

靴とスパナについての
弁護人の主張にも疑問がある。

ブレーキを利かなくするために
細工をしたというが

死ぬ決心をした人間が
そのような作意を行うだろうか。

ブレーキを踏まずに
海に突っ込めば

それで済むのではないか。
第一に

福太郎氏が 人を殺そうと思う
人間であるかどうか

今までの証人の証言からは

穏やかな優しい人間としか
思えない。

被告人を愛していた

強く愛していた福太郎氏が
殺すのか

検察官は 甚だ疑問に感じる。

被告人は
先ほど 「違う」と言いましたが

何が違うのですか?

海の中での事を思い出して。

異議あり

(加藤)検察官
ちょっと 聞きましょう。

海の中での事 私は
心中事件だと言いましたが…。

違う!

うん。

悪魔と呼ばれたとか?

「悪魔 殺してやる」。

「パパ 愛してる」と

あなたは
言ったのではないですか?

それにもかかわらず 福太郎氏は

あなたを引っ張るとか
抱き寄せるとかして

あなたを殺そうとした。
異議あり! 勝手な推測です。

(加藤)まあ 聞きましょう。

あなたは 必死に もがいた。

フロントガラスが割れて
海水が流れ込んできたので

必死に 福太郎氏を振り払って
窓から外に逃げた。

今まで
そこまでの記憶を失ってた。

そうですね?

…思い出しました。
異議あり

聞きましょう。

(小坂)加藤判事
佐原先生が好みなのかも。

うるさい お前。

それで 海の上に出た。
はい。

(卓子の声)海の上で泳ぎながら
何を見ましたか?

あーちゃん…。

月を…。

月? どんな月ですか?

丸い月でした。

他に 何か見えましたか?

他…?
そう 他に。

何も見てやしない。 嘘なんだ。
作り話だ!

退廷を命じます。

(傍聴人のざわめき)

♬~

(ドアの開閉音)

青い空と茶畑を。

青い空と茶畑…。

昔 あなたが2つの時に
母親に捨てられた時の光景?

♬~

私は なぜ
母親に捨てられたのだろう。

そう思ったのね。

人を信じる事ができないから
だから

福太郎と幸せになれなかったんだ
と思った。

どうしたんですか?

嬉しいです。

…何がですか?

先生が 私を理解してくれた。

(ため息)

あなたは
冬子さんという名前だったのよ。

お母さんが
冬の寒さに負けないように

人生のつらさに負けないようにと

冬子と付けた。

ごめんなさいね
私 少し 激してしまって。

お母さんは 東京で暮らしてます。

東京…?

幸せに暮らしてます。

今 あなたは
福太郎さんに悪魔と呼ばれ

殺されそうになった事を
思い出しました。

福太郎さんに
どのような感情を抱いてますか?

福太郎さんに
言いたい事はありますか?

会いたいです。

ごめんなさい。
私が馬鹿な女でした。

♬~

「ごめんなさい。 私が馬鹿な女」…。

私は あなたがかわいい。

大好き。

以上です。

(加藤)弁護人と検察官は
こちらへ来てください。

(加藤)どうです?

佐原先生の話は
なかなか立派なものでした。

裁判員も泣いてましたね。

あなたは泣かないのね。

判決まではね 泣かないわよ。

無罪…。

♬~

♬~

♬~

ちょっと…。
先生!

コラッ…! コラ 返しなさい!

何してんの? 怒るわよ!
私の帽子。

はい。
ありがとう。

ウフフフフ…。

ウフフフフ…。
ちょっと…?

返しなさい!
アハハハハ…!

じゃれてる。 猫の甘噛みと一緒ね。

私の事が よっぽど好きなんだ。

〈佐原卓子は ふと

球磨子に
えくぼがあったような気がした〉

〈2歳の時には えくぼがあったと
母親に聞いたが

今は なくなっていた〉

〈それが…

神に愛される印だという
えくぼがあったような気がした〉

〈しかし すぐに

自分で書いたのだろうと思った〉

〈球磨子は そういう女で

いつか また
誰かが球磨子にだまされて

殺されるような気がした〉

♬~

〈銀行の案内係に
事件が降りかかる〉

(山崎大樹)この銀行が
お父さんを殺したんだ!

〈商店街で
重大事件が次々と発生〉

〈その黒幕は銀行!?〉

(吉川 栄)事故で通しなさい。

(難波俊樹)要求は…。
(古谷伸太)30兆円。

(生野香織)銀行に… この町に…
何が起きてるの?

〈銀行の何でも屋が
巨悪に立ち向かう〉

(多加賀主水)
2人を殺したのは あなただ。