ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

刑事ゼロ 第1話 沢村一樹、瀧本美織、小林稔侍、寺島進、横山だいすけ… ドラマのキャスト・主題歌など…

『刑事ゼロ 初回2時間スペシャル #1』のテキストマイニング結果(キーワード出現数BEST10&ワードクラウド

  1. 刑事
  2. 芳孝
  3. 桜子
  4. 被害者
  5. 源氏香図
  6. 事件
  7. 時矢刑事
  8. 鳴島芳孝
  9. 記憶
  10. 内海

f:id:dramalog:20190110214954p:plain

『刑事ゼロ 初回2時間スペシャル #1』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)&EPG情報(出典)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

☆無料で民放各局の動画視聴ができるTVerティーバー)!まずはココから!
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

他にも、無料お試し期間のあるVODサービスが増えてますので、各社のラインナップを調べてみるといいかもしれませんね。

 

 

[新]刑事ゼロ 初回2時間スペシャル #1[字]

沢村一樹主演の新作ミステリー誕生!“平成最後のヒーローは記憶のない刑事”20年間の記憶を失い“ゼロ”になった刑事が、これまでにないアプローチで事件をズバズバ解決!?

詳細情報
◇番組内容
京都府警捜査一課刑事・時矢暦彦(沢村一樹)は“京都府警に時矢あり”といわれるほど優秀な刑事。だが容疑者を追跡中に転落事故に遭い、20年間の記憶を失ってしまう…そんな折、連続殺人事件が発生!新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)と事件に当たった暦彦は、2つの事件に残された図形が香りを聞き分ける遊び“組香”に関係しているのではと直感。周辺に高名な小説家・鳴島恭三(小林稔侍)が浮上した矢先、第三の事件が起き…!?
◇出演者
時矢暦彦…沢村一樹
佐相智佳…瀧本美織
福知市郎…寺島進
内海念也…横山だいすけ
背川葉奈…猫背椿
根本留夫…渡辺いっけい
奥畑記子…財前直見
生田目守雄…武田鉄矢
【ゲスト】小林稔侍、富田靖子
◇脚本
戸田山雅司
◇監督
及川拓郎
◇音楽
横山克、Evan Call
◇主題歌
THE YELLOW MONKEY『I don't know』(ワーナーミュージック・ジャパン
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】横地郁英テレビ朝日
【プロデューサー】川島誠史(テレビ朝日)、和佐野健一(東映)、望月卓(東映
◇おしらせ
☆番組HP
 https://www.tv-asahi.co.jp/keiji-0/
☆Twitter
 https://twitter.com/keiji_zero2019

 


(鐘の音)

♬~

♬~

(能見冬馬)どけ どけ! 邪魔だ!

(能見)どけ!
どけ どけ! どけ!

(男性)ああっ…。
(能見)邪魔だよ!

(時矢暦彦)能見!

(能見)おい
どけ どけ どけ! どけ!

(女性の悲鳴)

♬~

♬~

うわっ…!
(能見)ああっ!

うわっ! ああっ… あっ…!

ああっ…。

♬~

♬~

(殴る音)
ああっ…!

(能見)うっ! うっ! ううっ!
(殴る音)

オラッ!

ああっ…。

♬~

ハハハハ…!

うっ…!

ううっ… うっ…!

♬~

撃たれたくなかったら
自分から手を離せ。

(荒い息遣い)

(非常ベル)

10 数えてやる。

10 9 8 7 6 5 4…。

ハハハ… ハハッ…。

どうしてだ?

撃ちたきゃ撃ちゃいいだろ。
なんで こんなまねをする?

あんたが刑事だからだよ!

ああっ… うっ…!

あっ… ああっ…!

3 2 1…。

うわあっ!

ううっ…!

(能見)落ちろ!

(蹴る音)
うっ!

《俺は どうして
刑事になったんだろう?》

《刑事じゃなきゃ
こんな事にならなかったのに》

《なんで 俺は…》

(目覚まし時計のアラーム)

《もう朝かよ…》

《ああ まずい…
飲みすぎたかな》

やばっ! 遅刻だよ!

あっ…。 おお 痛っ…。

急がなきゃ!
痛っ… 走ったっけ?

えっと… 着替え… 着替え…。

制服ない。

手帳! 手帳 手帳 手帳…!

あった!

なんだ? この
アメリカンポリスみたいなやつ。

えっ? ちょっと…。

ここ どこだ?

(ノック)
(看護師)失礼します。

あっ ちょうどよかった!

あのね 9時までに有栖川交番へ
行かなきゃいけないんだけど

ここは どこなんだろうか?

駄目ですよ!
まだ安静にしておかないと。

安静…? あれ?

えっ… 病院!? 病院なの?
はい。

俺 なんかしたのかな?

…痛っ!
すっごい大変な事を。

えっ!?

お手柄です。

(パトカーのサイレン)

(能見)あっ… ああっ…!

(福知市郎)能見冬馬!
殺人容疑で逮捕だ オラッ!

あっ…。

おい 時矢!

(看護師)逃走中の凶悪犯を
命の危険も顧みず

追い詰めて 逮捕したんですから。
いや これ 俺じゃないよ。

さすが
京都府警に時矢刑事あり」ですね。

いやいやいや…
まだ刑事じゃないよ。

まだ交番勤務。 ほら。

おう。

ハハッ! なんだよ お前。

ピンピンしてやがるじゃねえかよ
おい。 ん?

あの…
どちらの組の方でしょうか?

ハハハハッ!

お前 京都府警捜査一課
13係組のもんだよ!

そんだけ冗談言えるんだったら
お前 大丈夫だな!

(内海念也)
ハハハ… さすが時矢先輩!

あの… 大変失礼かとは
思うんですけれども

お名前 なんでしたっけ?

お前 頭打って どうかしたか?
いや…。

俺は お前… 福知だけど。

福知…。
うん。

嫌だな… 名字じゃなくて…。

名字はね 福知 わかってる…。
下の名前 下の名前!

下? 市郎だけど…
なんで 今 聞く?

うん… あの… 福知市郎に

今 ほら 看護師さん
すごいかわいかったから

紹介しようかな? なんて思って。
うん…。

病み上がりのくせに
お前 大きなお世話なんだよ!

紹介するんだったら
内海に紹介してやれ。

えっ 俺?
内海…。

あっ そうだね 内海のほうだね
紹介するならな。

いやあ ありがとうございます。
いえいえ…。

あれ?

そんなとこいないで
入ってきていいよ。

(佐相智佳)失礼します。

佐相です。

あっ 佐相ちゃん。
あの… ごめんね 心配かけて。

髪の毛 切った?

お会いするのは初めてです。

本日付で13係に配属になった
佐相智佳といいます。

はじめまして。 ちなみに
髪を切ったのは ひと月前です。

だよね…。

こちらこそ はじめまして。

刑事になったばっかりでよ

右も左もわかんない
赤ん坊も同然だから

せいぜい鍛えてやってくれ。
ああ… うん。

でも 先輩には
早く捜査に戻ってもらわないと。

なんたって 殺しですから。

殺し!?

ああ。
府議会議員の椎名蒼が殺された。

現場は 被害者の議員事務所。

状況から 深夜に一人残っていて

侵入した犯人に
ナイフで刺殺された。

(背川葉奈)何? これ。

証拠品ですが…

念のために お持ちしました。

♬~

ちょちょちょちょ…!

先輩 触っちゃ駄目ですよ!
証拠品なんですから。

あっ そっか…。 ごめん。

(匂いを嗅ぐ音)
ん?

なんか いい匂いするな これ。

鑑識の結果 被害者の血液で
書いたものだそうです。

血!?

こちらから見れば
「ヨ」「コ」とも読めます。

ハッ! 素人は もう これだから。

こいつは 「U」と「W」だ!
間違いない。

そう見えない事もありませんが
根拠は?

ん?
まあまあ まあまあ…。

被害者のブログに 脅迫じみた
書き込みをしていた男のSNS

見つけたんだ。
確かに 字の形は似ていますが…。

それだけじゃねえよ。

この落書きの男の野郎の本名は
植田渉だ。

イニシャルは U.W.?
お言葉ですが 犯人が わざわざ

犯行現場に自分の名前を
残したりするでしょうか?

この手のオタクはな
自己顕示欲の塊だから

犯行も自分の作品だとでも
言いてえんだろう。

十中八九 このヤマのホシは
植田で決まりだ。

調べたのは 俺だ。

(内海)所轄に 植田の立ち回り先を
あたらせてます。

報告が上がってくるぞ。 行くぞ。
(内海)はい!

あの… 私は?
赤ん坊にはな

病み上がりの時矢のお守りが
お似合いだ。

よろしくね。

まずいよ このままじゃ…。

ひょっとして
福知刑事の説に 何か疑問でも?

うん… まあ そんな感じかな。

でしたら 私たちも早速 捜査を!

うん… そうだね。

でも その前に

退院しなきゃ。

あっ… そうですよね。
うん そうだね。

わかりました。
至急 退院の手続きを。

よろしく。
はい。

(戸の開閉音)

ちょっと まずいよ まずいよ。

なんか…
なんか 手掛かりないかな?

なんだ? これ。

写真?

俺 本当に刑事になれたんだ…。

ちょっと… 訳わかんない。
どうなってんの?

えっ? 落ち着け! 落ち着け 俺。

えっと… 俺の名前は時矢暦彦。
1967年12月24日生まれ。

今が1999年だから
勤続8年の31歳。 という事は…。

あれ?

2019年…?

♬~

誰?

俺…?

えっ…?

えっ!?

ああーーーっ!!

〈20年間の刑事の経験と知識
全てを失う事は

刑事としての死を意味する
悲劇だ〉

〈しかし それは 同時に

新たな刑事の
誕生でもあったのだ〉

(生田目守雄)次の方 どうぞ。

叔父さん!

おお… ヒーローのご帰還か!

叔父さん ちょっと…。
えっ?

えっ!? 年取ったな~!

おい…。 お前 いきなり
喧嘩売りに来てるのか?

(生田目)うーん…。

記憶喪失だな 間違いなく。

えっ…?

しかし 妙だなあ。

何が?
ん? うん…。

事故の衝撃による健忘症…

逆行性健忘とでもいうか…。

ああ それにしたって
20年 記憶がないっていうのは

長すぎるんだよ。

強い心理的な衝撃による
解離性健忘としか言いようがない。

えっ?
その解離性健忘っていうのは

どうやったら治るの?

治療法も特効薬も… ないな。

まあ ある日 突然
記憶が戻る事もあれば

ええ… 一生戻らない事もある。

ちょっと
言葉がきつかったかな…。

って事は…

明日 記憶が戻るかもしれないな!
ねえ?

おい! お前さ 解離性健忘だと
なんで楽天的になれるんだよ。

ねえ 叔父さん
俺 どうしたらいいかなあ?

まずは… そう

記憶喪失であるという事を
バレないようにする事だな。

バレないようにって何?
隠すの?

そうだよ。
考えてもみろよ お前。

記憶喪失で
刑事が務まるはずがねえだろう。

兄貴のせがれを褒めるのも
シャクだが お前は優秀だ。

刑事になるために
生まれてきたような男だ。

そういえば
京都府警に時矢刑事あり」って

病院の看護師さんも
言ってたけど…。

とにかく 経過観察といこう。
ああ…。

記憶喪失と
しっかり向き合う事だ。

これにな なんでもいい
自分の状態を記録しろ。

これで良くなるの?
うん。

もう一度… そう
解離性健忘になった時には

こいつが役に立つ。

帰る。

おい。

帰るって どこに帰るんだ?

あっ… そういえば
俺 どこに住んでるんだっけ?

(生田目)2階の部屋。

♬~

どこに行ってたんですか?

刑事である以上 勤務時間内での
単独行動は慎んでください。

はい。 はい。
あの… すいませんでした。

あの… ちょっ ちょっ…。

ああ…。

俺の机は どーれだ? って…。

これです。
正解! 正解。

そう これだ。 ねっ。

佐相… さん?
佐相です。

一つ 聞いてもいいかな?
何かのテストでしょうか?

うん うん。 まあ… そんな感じ。

あの… 例えばの話なんだけど。

例えば 例えば…

刑事が記憶喪失になったら
どうなると思う?

いや… 俺じゃないよ!
俺じゃない 俺じゃない!

あくまでも 例えばの話! うん。

地方公務員法上は
疾病による懲戒は難しいです。

うん…。
その場合は 分限処分が適当かと。

分限の? 分… 分限処分?

心身の故障で 職務の遂行に
支障が出る恐れがあり

刑事の適格性を欠く
可能性がある場合

当該職員の意思には関わらず

分限処分として
職を解く事が可能です。

という事は つまり…。

記憶喪失になったら
刑事はクビ…。

(ドアの開く音)
(根本留夫)おっ!

退院早々 現場復帰か!
頼もしいなあ。

根本係長 おはようございます。

根本係長 あの…

この度は いろいろ
ご迷惑をおかけしまして

すみませんでした。
何 殊勝な事…。

くだけた格好して。

ちょっと頼みがあるんだけどさ。

あっ… はい!
なんでしょう? 根本係長。

雛松町の公園で
殺しがあったんだよ。

あいにく 他の係も出払ってて…。

初動捜査だけでいいから
臨場してくれないかなあ?

ええ ええ… もちろんです。
ですが 13係は 現在

椎名議員の事件の捜査中では?

あっちは ホシも割れたし

福知たちに任せときゃ
なんとかなるだろう。

フフッ… 悪いね 退院早々。
いえ…。

(根本)ここが現場だから。

向かいます。

もう?

初動捜査は時間との戦いです。

急ぎましょう。
あっ… うん。

(ドアの開閉音)

(ドアの開く音)

さすが時矢だ。
早くも 相方をよく鍛えてる。

♬~

あれ? 時矢刑事。

ん?
あっちだと思ったんですけど…。

いや こっちだよ。
あの角を左に曲がった先。

現場 ご存じなんですか?

ううん。 さっき 係長さんが
地図くれた時に見たから。

一瞬見ただけなのに…。

あっ なんで覚えてるんだろう?

♬~

(葉奈)時矢刑事!
もう退院して大丈夫なの?

私 心配で 500グラムも
痩せちゃったんだから!

あっ それは どうも…。

そんな他人行儀な事 言わないで。

ダーリン!

あの…!
いやん!

まさかと思うけど…。

鑑識6係の背川葉奈さんですね?
噂は聞いています。

職務中の追っかけ行為は
控えてください!

もう~!

少しぐらい 妄想で遊ばせてよ!
よかった…。

あの… 現場というのは?

時矢刑事のために
心を込めて現場保存してあります。

どうも…。

(葉奈)おっ? ひょっとして
初めての臨場?

今までも デスクで
現場写真は見てきましたから。

よくあるパターンよね。
新任の刑事が 初めて臨場して

とんでもない遺体を見て
吐きそうになるの。

お気遣いなく。 私は大丈夫です。

(葉奈)おおっ!

♬~

うっ…。

やっぱ きつかった?

平気です。 刑事ですから。

うっ…!

被害者は 今宮賢 24歳。
職業不詳。

現住所は この公園を抜けた先の
安アパートです。

死亡推定時刻は 本日未明
午前3時から4時の間。

見たところ かなりの出血でしたが
死因は?

頭部を鈍器で殴られた

頭蓋骨骨折による
脳挫傷の可能性が高いかと。

これが血痕ですね。

引きずった跡のように見えますが。

(葉奈)そう。 犯人は
被害者が この道を通って

自宅アパートに帰るのを
待ち伏せして

背後から被害者に襲いかかり

遺体を この鉄棒まで運んで
吊るしたのね。

でも 犯人は なんで
こんな わざわざ面倒なまねを…。

♬~

あっ くっついちゃった。
テープ?

さすが時矢刑事!

同じテープが
鉄棒と 遺体の足元から胸

横に伸ばした腕にも
貼られてたの。

こんな感じ。

ひょっとして
何かのメッセージでしょうか?

メッセージといえば
女性議員の殺害現場にもあったね。

(葉奈)それって
椎名蒼さんの事件の遺留品でしょ。

全然違くない?

福知刑事の読みでは こちらは
被疑者のイニシャルですが

今回のほうは
アルファベットには見えません。

そもそも
向こうは有名な府議会議員で

こっちは
ただのフリーライターですし

関係があるとは思われませんね。

でも 同じだ。
えっ?

同じ匂いがする。
(葉奈)ひょっとして

2つの事件は繋がってるって事?
えっ?

お言葉ですが
手口も全然違いますし…。

京都府警に時矢あり」とまで
言われた 私の時矢刑事が

繋がってるって言うんだから
これは絶対 何かあるわよ!

いやいや そんな繋がってるとか
そんなあれじゃなくて

なんていうのかな…。
府警本部! 雛松公園のヤマ

女性議員殺しと
連続殺人の可能性が!

至急 捜査本部の設置を!
あっ いや…。

(葉奈)私も
鑑識に増員を要請してきます!

だから そんな…。

なんで?

♬~

(葉奈)これでよし! と…。

なんか すごい大事に
なっちゃったんだけど…。

(捜査員)起立!

礼!

まずは 雛松公園のほうから
概要の報告。

(内海)はい。

マル害の今宮賢は

10代の頃 半グレ集団に属し
補導歴あり。

足を洗ったあとは
フリーライターをしていました。

とはいえ
ライターとは名ばかりで

取材と称して入手した情報では

恐喝まがいの事を
していたようです。

だとしたら
恐喝相手の恨みを買ったか

昔の半グレ仲間とのトラブルで
殺された可能性が高いね。

1件目の被害者の
椎名蒼議員との接点は?

秘書に確認しましたが

椎名蒼議員と今宮賢は
接触した痕跡はなく

両者には 繋がりはありません。

(ざわめき)

はい! ですが
万が一 連続殺人だとすれば

2人の被害者の間に なんらかの
繋がりがあるはずでは?

(机をたたく音)
だから それが見当たらねえって

言ってんだよ! この野郎。

素人は口出すな! この野郎。

(根本)福知 やめて やめて。
はいはい…。

(根本)で… で?

椎名蒼のブログに
脅迫文 書き込んだっていう

植田渉っていうほうは どうなの?
(内海)はい。

元々 住所不定
ネットカフェ暮らしで

所轄署に動員をかけて
捜索の真っ最中です。

植田と 2件目の被害者の今宮賢に
接点は?

鑑取りの結果
それも出ませんでした。

そもそも どこのどいつが

繋がってるなんて
言い出したんだ?

出番です。
俺!?

根拠を説明してください。
根拠?

時矢刑事が この2件の殺人が

同一犯による連続殺人だと
推測した根拠です。

いやいや… だって 俺は

同一犯とか連続殺人なんて
言ったつもりは…。

現場で同じ匂いがするって
言ったじゃないですか。

だって それは…

最初の事件の現場にあった
チラシと

公園の遺体に貼られたテープから

本当に 同じ匂いがしたんだもん
それ…。

なんにも匂わないじゃないか。

(根本)確かに。
(捜査員たちのどよめき)

はあ~あ。

係長! さすがの時矢でも
もう少し入院させて

リハビリさせたほうが
いいんじゃないですか?

(根本)マル害2人の間には

まだ見つかっていない繋がりが
あるかもしれない。

引き続き 徹底した鑑取りと

福知班は
この植田渉の線を追ってくれよ。

はい。 内海 行くぞ!
(根本)はい 解散 解散!

(一同)はい!

京都府警です。

今宮社長に
ご面会をお願いできますか?

(受付)少々お待ちください。
はい。

うわあ… すごいですね これ。

ああ… ドローンで撮影して
それを組み合わせてます。

ドローン…? ああ… ドローン。
今は もうね もう

なんでもドローンですよね。
(社員)えっ ええ…。

ご子息が亡くなられたご心中
お察し致します。

(今宮隆司)ありがとうございます。

京都市内だけでも
6軒のホテルって すごいですね。

おかげさまで
事業のほうは順調でして。

(今宮鈴代)
問題は跡取りだけでしたから。

おい。

とっくに調べてるんでしょ?
賢さんの事。

ま… 賢さん…?

ああ… 私 後妻ですから。

賢さんは 前の奥さんの。 ねっ?

息子は 高校時代に
悪い仲間と付き合い

警察にご迷惑もおかけして
卯木先生の手を煩わせたりも…。

(卯木仁史)
顧問弁護士の卯木と申します。

先生にお願いして
親子の縁を切ろうかと思ったけど

難しいみたいで
仕方なく勘当って事に。

ねえ? 先生。

お二人 デキてます?
はあっ…!

なんて 失礼な事を…!

だって そんな気がしたから…。

(せき払い)

あっ あの… 勘当という事は
最近 賢さんと会われたりは…?

恥ずかしい事に
ここ数年は音信不通でした。

あの すみません。

これ… これ なんですか?

ああ…。 そちらは家内の趣味で。

香道に使う香炉です。

有名な作家の方の作品ですけど。

あっ… じゃあ
きっと お高いんでしょうね。

私には あくまでも
手の内を見せないおつもりですか。

手の内?

だとしても 根本係長には
聞き込みの結果を

捜査メモで
上げなければなりません。

捜査メモ…?

2件目の被害者の今宮賢さんと
両親は絶縁状態。

夫婦関係も破綻の可能性あり。
うん… うんうん。

そうそう。 そういう感じで
なんか こう 適当に書いといて。

適当?

時矢刑事の口から

そんな言葉を聞くとは
思っていませんでした。

えっ…?

(携帯電話の振動音)
あっ…!

(携帯電話の振動音)

はい 時矢です。

(植田 渉)いてててて… 放せ…!

やったぞ!
植田渉の身柄を押さえた。

6日の夜 10時から12時の間

どこにいた?
(植田)別に…。

(机をたたく音)
やっぱりなあ!

お前は その時間に
椎名蒼の事務所に侵入して

被害者を殺したんだろ コラァ!

だから 違うんだって!

その夜は ウォールアートを
描きに出たんだけど

適当な場所が見つかんなくて…。

アリバイの証明は難しそうです。
動機がある以上

現時点では 椎名蒼殺害の
最重要被疑者ですね。

でも…

彼 嘘ついてないよね?

根拠は なんですか?
根拠? そんなのないよ。

ただ 彼は嘘をついていない。
そうとしか思えないんだよね。

(ため息)

私が知る時矢刑事は

そんな刑事の勘のような
不確かなものには頼らず

組織捜査と客観的証拠を
重視する方でした。

ですから 捜査会議の時の発言や
今の発言は

正直 理解できません。

ですが 同時に

時矢刑事ほどの方が言う以上
むげに否定するべきではないと

私は思っています。

♬~

ありがとう。

佐相さんは 今の俺以上に
俺の事を信じてくれてるんだね。

お礼を言われるような事では…。

だったらさ だったら…

これから どうすればいいと思う?

また そうやって
私をテストするんですか?

いやいやいや… あの あの…
これも ほら あれ…。

組織捜査ってやつ…?
あっ…。

捜査のイロハから言えば

2人の被害者の接点を
見つけ出すのが急務と思われます。

うん…。
…ですよね?

正解。

♬~

(せき)

2件目の被害者の今宮賢さんは

両親から勘当されて
ずっと一人暮らしだったようです。

…びっくりした。

なんか 暴露週刊誌とか
裏社会の本ばっかりだな。

こんなとこにパンツが…。

あれ? でも
鳴島恭三の小説はそろってますね。

鳴島恭三?

「破滅型私小説の鬼才」だって。

鳴島恭三は 自らの放蕩な私生活や
コンプレックス

性的嗜好まで赤裸々に書く作風で
有名な作家です。

放浪癖や数々の奇行で知られ

ここ数年は 人前に姿を現さず

その居場所は
編集者も知らないという噂で…。

この最新刊は

鳴島恭三の波乱に満ちた
作家人生の集大成と評価が高く

今年の書店アワードの最優秀賞に
選ばれたはずです。

へえ~。

『郭公の庭』。

1人目の被害者の椎名蒼議員は

深夜の執務中に
この部屋で殺害されましたが

建物は古くて 防犯カメラは
設置されていませんでした。

そういえばさ あの
メッセージみたいなのが描かれた

あのチラシは どこにあったの?
ああ…。

遺体のすぐ近くです。 …これ。

ここだ。 って事は
これを上だとすると…。

これ 片仮名の「ヨコ」でもないし
アルファベットでもないね。

確かに…。
うん。

今宮賢さんの遺体にあった
メッセージも…。

5本の縦線の上のほうを
横棒で繋いだ形でした。

うん。
繋ぐ順番は全然違いますけど…。

うん…。

ちょ ちょ… ちょっと
ちょっと これ これ これ!

ちょっと これ これ…。

あっ これもだ。
ん?

椎名蒼さんも
香道の趣味があったんだ…。

ひょっとしたら 2つの事件は
本当に繋がってるのかも…。

あっ ここだ。

「お香の専門店」?
うん。

でも どうして このお店を?

だって ほら
今宮社長の奥さんの香炉の横に

この店の名前あったから。

(店主)どうぞ。

あっ…。 あっ あった。 これだ。
えっ?

「薫」どすな。

かおる?
ええ。 薫いうのは

源氏物語』の登場人物から取った
銘ですから

源氏香などにも
よう使われますよ。

ん?
げんじこう…?

(店主の声)5種類の匂いを
聞き分けるんどすけど

その答えを
図形を使て答えるんどす。

図形? 図形って…

その図形って どんな図形ですか?
ああ…。

(店主)これが源氏香図どす。 はい。

はあっ! こ… これ!

同じだ! これも!
あっ…!

やっぱり繋がってたんだ。

あの 今宮鈴代さんは

こちらの顧客ですよね?
(店主)ええ…。

彼女が源氏香をやっていたか
どうかは わかりませんか?

さあ… それは…。

あっ お師匠さんにでも
尋ねはったら どうどすか?

お師匠さんって…?

この男 知ってるか?
(植田)さあ… 知りませんけど。

本当か?

よく見てみろ オラ。
知りませんってば!

こんなの…
会った事も見た事もないです。

(舌打ち)

(ため息)

よっしゃ!
ちょ ちょ ちょっ…。

何 喜んでるんすか。 このままじゃ
2件目の殺害と議員殺しは

無関係って事に
なっちゃいますよ?

っていう事はよ 時矢が見当違いの
筋を読んだって事になるだろ。

まさか それが狙い?

いつまでも 「イケメン時矢の
ヤクザみてえな相方」なんて

言わせねえからな お前!

いててて…。

よっしゃー!

(ノック)
ああ?

失礼します!
今宮賢が常連だったバーの店員が

半月ほど前 今宮と若い男が
言い争っていたのを

見たと言っています。
ああ?

その男が 万が一 こいつだったら
2つの事件は

やっぱり繋がってるって事に
なりますけど…。

おい そのバーの店員
すぐ呼んでこい!

(刑事)はい!

違います。 あの男じゃありません。

よし。

これからは
京都府警にタフガイ福知あり」だ。

(ドアの開く音)
(葉奈)失礼します!

店の前の防犯カメラの映像
届きました。

おう。

(内海)あっ 顔も映ってる!

ちょ ちょ ちょっ…
この男ですか?

はい。 今宮さんと
言い争ってたのは この人です。

若いな…。 照合できるか?

前歴者と免許証のデータで
やってみます!

よし。

(里中荘六)源氏香の図は

5本の線の組み合わせで
できています。

そのため
源氏香で使う香木は5種類

それを5包みずつ
合わせて25包みを用います。

5が基本なんですね。
(里中)ええ。

25包みを交ぜた中から
5包みだけを取り出し

それぞれを焚いた5つの香を
順番に聞いて頂きます。

連衆は 一つ聞くごとに

記紙に
右から左に縦線を引いていき

同じ香りだと思うものを
横線で繋ぎます。

1番の香木と2番目が
同じだと思えば

それを繋ぎ

3と4が
また別の同じ香りだと思えば

こちらも繋ぐと…。

えっと… これ
源氏香図でいうと…。

あった これだ!

「若紫」。
(里中)ええ。

この空蝉とか夕顔っていう
呼び方には 何か意味が?

源氏物語』の帖
つまり 各話の題名です。

源氏物語』は
全部で54帖ありまして

その最初と最後を除いた
52帖の名前が

香図 一つ一つについています。

あの 先生。

今宮鈴代さんという方を
覚えてらっしゃいますか?

ええ。 もう20年も前ですか

当時 香道を教えていた
市民サークルに

今宮さんもいらっしゃいました。

そのサークルで
源氏香をやるような事は…?

確か 一度あったような…。

(里中)ああ… ありました。

連衆の答えを
私が記録したものです。

1人目の答えは「若菜下」で
2人目が「匂宮」…。

あっ これ 現場のメッセージと
順番も同じだ。

3つ目が「柏木」。 次が「浮舟」。

最後が「幻」。

この時の源氏香に

誰が参加してたのかっていうのは
わかりますか?

確か 今宮鈴代さんとご主人…。

あとは… ああ
亡くなられた椎名蒼さん。

椎名蒼さん!? 府議会議員の?

ええ。 あの頃は
まだ議員さんではなく

お医者様をやられていたと
記憶しています。

やっぱり 2人の被害者に
繋がりはあったんだ…。

うん…。

あの それ以外に
誰が参加してたかっていうのは

覚えてらっしゃいませんか?

サークルには
鳴島桜子さんという方も

熱心に参加されていましたから
多分…。

鳴島…?

どっかで聞いたような…。
うん。

あっ…。

♬~

あれ?

なんだよ お前ら。
いやいやいや 福知さんこそ…。

ん?
福知こそ なんで ここに?

ああ… 今宮賢と
バーで言い争っていた男がいて

調べたら
この家の息子だったんです。

鳴島芳孝。
父親は小説家の鳴島恭三。

調べたのは 俺だ。

(内海)息子の芳孝さんは
今 どちらに?

(鳴島桜子)お恥ずかしい話ですが

芳孝は 半年ほど前に
家を出てしまい

それ以来 連絡は…。

芳孝さんは未成年ですよね?

家を出た原因は なんですか?
それは…。

通っていた高校に聞いたところ
小説家志望だったそうですね。

やはり 父親の鳴島恭三さんの
影響でしょうか?

実は その事で主人と
いさかいを起こしてしまい…。

あっ… いさかいって どんな?

ご存じのように
主人には放浪癖があり

私ですら 居場所がわからなくて

たまたま 半年前に
ふらりと戻ってきた時

芳孝が初めて書いた小説を
主人に見せたところ…。

(鳴島芳孝)何するんだよ!

(鳴島恭三)
こんな生ぬるい絵空事

息子が書いたと知れたら

鳴島恭三にとって
恥辱以外の何ものでもない!

まさか
父親に酷評されたショックで

家を出た?

あの 先日 亡くなった椎名蒼さん
ご存じですよね?

えっ…。

一緒に香道のサークルにいたと
伺っています。

ちょっと… なんだ それ。
聞いてねえぞ お前。

言ってませんから。

確かに
里中荘六先生のご指導を…。

源氏香もやられた事が
あるそうですね。

これが その時 皆さんが出した
答えなんですけど…。

5つの答えの最初が「若菜下」。
2番目が「匂宮」。

実は この2つの図形が

椎名蒼さんと今宮賢さんの
殺害現場に

それぞれ残されていたんです。

お前 何 捜査情報を
堂々と漏らしてんだよ!

一連の事件は 20年前の
この5つの源氏香図を使った

見立て殺人の可能性があるんです。
何か心当たりはありませんか?

いい加減にしてください!

殺人だのなんだの 私の家族には
なんの関係もない話です。

お引き取りください。

鳴島桜子さん
絶対 何かを隠してるよね。

どうして わかるんです?

確かに すごい剣幕でしたけど…。

ひょっとしたら 桜子さんは

この5つの源氏香図が
何を意味するのか…。

気づいてるかもしれない。

意味するって 一体 何を?
あのさ…。

大至急 手に入れてほしい物が
あるんだけど…。

はい!

う~ん…。

なんで 椎名蒼が「若菜下」で
今宮賢が「匂宮」だったのか…?

犯人のメッセージだから

絶対に意味が
あるはずなんだけどな…。

源氏物語』全8巻で
合計2万8800円!?

これ 経費で落とせるのかな…?

私が まだ庶務係にいたとしても
絶対 通しません。

51歳 独身。

叔父の家に下宿って…。

(ため息)

…アルバム?

(息を吐く音)

フフッ… イエス
エスエス

ハハハッ…!

よし。

あれ?

あれ? …あれ?

あれ? あれ? あれ…!?

はあ…。

はあ…。

刑事として20年間…

俺は 何をしてきたんだ…?

(犬のほえる声)

(キーボードを打つ音)

(マウスのクリック音)

♬~

(今宮)やっぱり お前だったのか。

よせ… なあ…。 やめろ!

(芳孝)オラーッ!

♬~

(芳孝)あっ!
(刺す音)

うっ…!

お… おい!

おい! ああーっ!

うわっ うわっ… うわっ!

♬~

(荒い息遣い)

(パトカーのサイレン)

ワイヤで吊り上げられていた。
明らかな殺しだ。

これ 血痕ですよね?

(内海)被害者には索条痕以外に
外傷はなかったから

犯人が負傷して流したものと見て
間違いない。 今 鑑定を急いでる。

おい 時矢!
うん?

おい 何やってんだ? お前。
いや どっかにさ

源氏香図のメッセージが
あるはずなんだよね。

お前 また見立てとかなんとか

ふざけた事
言ってんじゃねえだろうな お前。

あっ…。

ちょ… ちょっと
これ見て見て 見て見て これ。

これ外れてる ほら。

これ 誰かが
わざとやったんだよね?

あれ? 本当だ。 外れてますね。

あの… あれ… あれないかな?
あの… 布。

でっかい布。 事件現場に…。
ああ~。

暗幕 持ってこい!
(鑑識員たち)はい!

ちょ… ちょっと これ
電源入れてよ。

んだよ もう…。 これか?

嘘…。

源氏香図の「柏木」だ。

20年前の源氏香で使われた
3番目の答え。

(葉奈)屋上の血痕と
鳴島芳孝のDNAが一致したわ!

鳴島芳孝の行方を追うぞ。
はい!

(里中)あれから気になって
アルバムを探していたら

これが…。

20年前 源氏香を行った時に
撮った写真です。

今宮隆司さんに
奥さんの鈴代さん。

鳴島桜子さんと…

これって 小説家の鳴島恭三さん?

鳴島先生は 香道には
ご興味なかったようなんですが

たまたま
この時の組香は源氏香で

小説家として
ご興味を持たれたようで

特別に参加されていました。

(里中の声)源氏香を行う前 私が
源氏物語』について触れた時…。

源氏物語』は
高尚な理念とはかけ離れた

人間の醜い色と欲にあふれ

人の生そのものをもてあそぶ
低俗な悲劇だ。

だから…。

(扇子でたたく音)
面白い!

面白いんだよ。

鳴島恭三さんが そんなふうに…。

(里中)ええ。

この中の2人と…

今宮さんの息子の賢さんが
殺害された…。

源氏香図は5つ。

だとすると あと2人…。

まさか… また誰かが
殺されるっていうんですか?

残された源氏香図は

「浮舟」と

「幻」…。

(卯木)今宮社長は生前
遺言書を残されています。

遺言書?
なんて書いてあるのよ?

申し訳ありません。

開封の手続きが済むまでは
誰にも…。

いいから 見せなさいよ!
ちょっと 鈴代さん…。

なんて書いてあるのよ!
鈴代… ちょっと…。

見せなさいよ!
落ち着いて!

断るなら 私との仲

先生の奥さんに
バラしたっていいんだから。

あ… あの…。

仏様の前ですから。

失礼します。
待ってください。

遺言書の話 本当ですか?

奥さんの鈴代さんの他に
相続人がいるんですか?

守秘義務に抵触しますので
失礼します。

やっぱり あの2人 デキてたんだ。

「記憶喪失になった
刑事の記憶が完全にない」?

ちょっ…!

あの… これはあれだよ
あの ほら…。

あの… あの… 漢字の練習をね。
記憶喪失の「喪」って…。

時矢刑事。
うん?

記憶喪失なんですか?

んなわけないじゃん。
「喪」っていう字がね 書けるか…。

ですよね。
うん 違う違う。

記憶喪失といえば
一昨年 宝良岳で

殺人の被疑者が
記憶喪失になった事件

あれ覚えてます… よね?

うん もちろん。
だって あの事件は

ややこしかったから
忘れられないな。

嘘です。
えっ?

そんな事件 ありません。

本当に記憶がないんですね。

♬~

あっ! このミョウガのおひたし
おいしいよ これ。

ちょっと食べて食べて。 ねっ。

あの…。

あの… さっきの話
忘れてたりしないよね?

時矢刑事が 刑事になってからの
記憶を全て失った事なら

しっかり 私の記憶に
焼きついています。

うらやましい。

はあ…
おかしいと思ってました。

私が知っている時矢刑事とは

はあ… あまりにも
ギャップがありすぎましたから。

あれ?

ちょっと待てよ。 さしょうさん…。
佐相です。

佐相さんと俺って
初対面だよね?

なのに なんで そんないろいろ
俺の事 知ってるわけ?

あっ…。

フフッ。

もしかしてだけど…
あっ もしかしてだけど

ひょっとして 俺の事…。

違います。

まだ 何も言ってないんだけど。

私は 庶務係として

一課の捜査の力に
少しでもなれるように

事務仕事に専念してきました。
そんな時…。

(被疑者)「殺したのは認めただろ」

「細かい事はもう
適当に書いてくれたらいいから」

「駄目だ」

公判には被害者の家族だって来る。

その人たちは
大切な人に何が起こったのか…。

「どんな些細な事でも知りたいと
願ってるんだ」

「適当でいい事なんて
何ひとつない」

「思い出せないなら…

一緒に思い出そう」

私の知る時矢刑事は

間違っても 「適当に」なんて
言う人ではありませんでした。

そういう感じで
なんか こう 適当に書いといて。

そっか。 そうだよね。

取調室で
時矢刑事を見た日から

私は 時矢刑事が担当した
事件の記録を読み返し

新たに事件が起きる度
その調書も読み込んで

全てを
頭にたたき込みました。

それで
俺の事 あんなに詳しく…。

時矢刑事は…
私にとってのかがみでした。

ですが

職務の遂行に
支障が出る恐れがある以上

記憶喪失の事は 監察官に
報告しなければなりません。

えっ?

えっ? ちょ… ちょっと!
ちょっと ちょっと。

ちょっと! ちょ… ちょっと!

ちょっと待って ちょっと待って。
あっ… うん…。

報告するのはいいんだけど

もう少しだけ
待ってくれないかな?

もう少しだけ?
だって 今 降りたら ほら

それこそ適当に投げ出す事に
なっちゃうでしょ?

いや 駄目 駄目…。

俺の中には
なんにもないんだよ。

20年 刑事を
やってきたはずなのに

誰を救い 誰を助け

誰かを傷つけたのかどうかさえ
なんにも…

何ひとつ 残ってないんだよ。

この事件が 刑事として関わる
最初で最後の事件なら

殺された3人のためにも

これ以上 被害者を
増やさないためにも

今… 俺が投げ出すわけには
いかないんだ。

♬~

(ドアの開く音)
うっす!

何やってんすか? 佐相の奴まで。

時矢の病気が
うつっちまったのかもなあ。

そんな事より

鳴島家と椎名蒼の繋がりが
見つかりました。

香道のサークルで
一緒だっただけじゃないの?

鳴島芳孝の出生届を
調べてみたら

出産に立ち会った
医者として…

椎名蒼の名前が。

何!?

そういえば 椎名さんは
府議会議員になる前は

医者をしていたって
香道の師匠の里中さんが。

じゃあ じゃあ じゃあ
産婦人科医として

鳴島芳孝を取り上げたのが
椎名蒼さんだったんだ。

鳴島桜子は そんな事
ひと言も言ってなかったぞ。

ああ~ もう一回
裏取る必要があるな ちくちょう。

(電話)

はい 13係。

(内海)「もしもし」
内海さん?

鳴島桜子さんが姿を消した。

桜子さんが姿を消したそうです。

姿が見当たらなくて捜したら
厳明寺のほうに向かったのを…。

「弁護士の卯木さんが目撃してて」

どういう事だ?

ひょっとして
犯人に呼び出されたのかも。

まさか 鳴島芳孝は
母親の桜子さんまで…?

とにかく 厳明寺に急ごう。
はい。

ちょっと…。

(2人の荒い息遣い)

桜子さんは?

ここに向かったのは
わかってるんだけど…。

もしも 桜子さんが4番目に
狙われてるんだとしたら

その場所には必ず

源氏香図の「浮舟」が
あるはずなんだ。

(女性の悲鳴)

♬~

(内海)大丈夫ですか?
しっかりしてください!

脈あります。
救急車。

桜子さん しっかりしてください。
大丈夫ですか?

(内海)
大至急 救急車1台。 場所は…。

♬~

(内海)犯人はまだ
近くにいるはずだ。 捜してくれ。

♬~

あった…。

「浮舟」。

♬~

4番目の源氏香図…。

今は鎮静剤で眠っていて
朝には目が覚めるはずだと。

階段脇の溝に これが。

付着した血液は
今宮社長の殺害現場から出た

鳴島芳孝の血液と一致しました。

(根本)やはり
鳴島芳孝が一連の犯行を?

周辺の捜索は?
今も続けていますが

厳明寺周辺には
防犯カメラが全然なくて

逃走ルートは
まだわかっていません。

でも なんで 「浮舟」が
桜子さんだったんだろう?

源氏香図の意味が
わかったんですか?

桜子さんが狙われてるって
わかってたら

未然に防ぐ事だって
できたのにな…。

だったら
5件目は絶対に防がないと。

源氏香図は あと一つ残ってます。

(卯木)これが
今宮隆司氏の遺言書です。

指定日時まで
開封は法的に禁じられています。

今宮社長が
誰に財産を残そうとしたのか

捜査のために
どうしても必要なんです。

見せて頂けませんか?

むちゃ言わないでください。

(ノック)
(事務員)失礼します。

先生 3番に
今宮社長の奥様から お電話です。

(卯木)ああ… そっちで出る。
失礼。

(ドアの閉まる音)

何してるんです?

ロックかかってないよ。
ちょっと…。

遺言書を作ったのが
卯木弁護士なら

内容の写しがあるはずだよね。

これか?
法令違反です!

バレたら 刑事クビです!

まあ でも 刑事最後の事件だから
セーフでしょ。

あった!

えっ 「DNA 親子鑑定」?

なんで?
「担当者 椎名蒼」

あっ…。

えっ… 相続人は?
(マウスのクリック音)

…えっ?

源氏物語』は
一つの視点から見ると

ある運命に
翻弄された者たちの悲劇と

読み解く事ができるんです。

ある運命って?

ひと言で言うと
不義の子を巡る悲劇。

不義の子って あの…
不倫相手にできた子か?

まあ これは俺の推測なんだけど

20年前 鳴島桜子さんは

香道のサークルで
今宮隆司 鈴代夫妻と出会い

今宮さんは桜子さんに引かれ

家庭を顧みない鳴島恭三氏との
暮らしに疲れ果てていた

桜子さんも また…。

鳴島桜子と今宮隆司が
不倫関係になり

その揚げ句にできた子が
鳴島芳孝って事か?

今宮隆司さんの遺言書には

妻の鈴代さんと
息子の賢さんの他に

この鳴島芳孝が
法定相続人として指定されてた。

そこには

DNA鑑定で親子関係を証明する
報告書も添付されてたんだ。

そんな重要な情報をどうやって?

聞かないほうが
係長の身のためです。

本題は これからです。

この『源氏物語』の人間関係が

今回の この事件の関係者に
ぴったりと当てはまるんですよ。

おお…。
つまり こう。

光源氏が鳴島恭三。

正室女三宮が鳴島桜子。

密通相手の柏木が今宮隆司。

その結果 生まれた不義の子 薫が

鳴島芳孝。

うん? だったら
2番目の被害者の今宮賢は?

源氏物語』には

成人した薫に 匂宮という恋敵が
登場するんです。

ですから
この今宮隆司の遺産を巡る

ライバルだと考えれば

今宮賢は…

匂宮。

椎名蒼はどうなんだ?

椎名蒼さんは 鳴島芳孝の
DNA鑑定にも関わってたんだよ。

つまり 今宮隆司と鳴島桜子の
不貞を知っていたとすれば…。

女三宮に仕えて
柏木との密通を仲介した小侍従。

薫の出生の秘密を知る
数少ない一人。

そうだ。
あの妙な このちんちくりんな

あの… 源氏香図
これ なんなんだ?

ああ これは 犯人は
この20年前の源氏香図が示す

5つの物語の内容に
ふさわしい人物を

この順番どおりに
殺害してるんだよ。

はあ~。
物語にふさわしい?

例えば 一番最初の被害者

椎名蒼さんの現場にあった図形は
「若菜下」。

源氏物語』では 女三宮
柏木の子供を懐妊する話だから

産婦人科医として
鳴島芳孝を取り上げた彼女には

ぴったりなんです。

って事は
次の今宮賢殺しの現場には

「匂宮」。

うん。 あの…
これもね 推測なんだけれども

恐喝専門のライターだった
今宮賢は

出生の秘密をネタに
鳴島芳孝をゆすって

そのせいで
殺されたんじゃないのかなって。

待てよ。 っていう事は

3番目の被害者の今宮隆司

これは「柏木」。

4番目
桜子さん殺害未遂の現場には

「浮舟」。

だったら
最後の この「幻」っていうのは

これ 誰を指すんだ?

「幻」は 光源氏
最後に登場する話なんだよ。

つまり 最後に狙われるのは…。

鳴島恭三。

今すぐ
鳴島恭三さんを保護しないと。

今すぐ
鳴島恭三さんを保護しないと。

(根本)保護するにしたって
どう連絡取ればいいんだ?

あっ! 聞き込みで担当の編集者に
会った時 言ってました。

鳴島恭三が
書店アワードの授賞式に

突然 出るって
連絡をしてきたって。

書店アワードの授賞式?
いつの話だ? それ。 うん?

1月9日… 今日です。
場所は京南グランドホテル。

係長 会場に連絡を!
オーケー。

おう 行くぞ!
(内海)はい!

接触できる唯一のチャンス
逃すな。

鳴島さん お加減いかがですか?

もう一度 鳴島恭三先生に
大きな拍手をお願い致します。

(拍手)

ありがとうございました。

それでは ごゆっくり
ご歓談くださいませ。

京都府警だ。
(警備員)あっ はい。

♬~

いたぞ。

京都府警です。

連続殺人犯が
あなたを襲う可能性があります。

すぐに
この会場から避難してください。

連続殺人事件か…。

芳孝も偉くなったもんだ。

ご存じだったんですか?

奴を見つけたら伝えろ!

俺は 逃げも隠れもせんとな。

怪しい奴がいたら
片っ端から声かけろ。

(智佳・内海)はい。

何してるんですか?

うん?

どっかに源氏香図の「幻」が
あるはずなんだよね。

「幻」…。

うーん…。

ちょっと…。

カッコウって ひょっとして…。

本読んでる場合でもないと
思いますけど。

(携帯電話の振動音)

はい 佐相です。

えっ!?

救急病院から
桜子さんが消えたって…。

…えっ?

失礼致します。
先生にお電話が。

♬~

誰だ?

(桜子)「あなた… 助けて…」

♬~

(トレーの落ちる音)

福知さん あのボーイ…。

♬~

後ろから回れ。
はい。

すみません。
(内海)すみません。 すみません。

♬~

(内海)すみません。

すみません。 すみません。

♬~

(人々の悲鳴)

オラァ! 鳴島芳孝 確保!

福知さん! 違います。
鳴島芳孝じゃありません。

えっ?

カメラ…。
カメラ?

(ボーイ)すいません。 あの…
週刊誌の記者に頼まれまして…。

てめえ 紛らわしい事しやがって
この野郎!

(ボーイ)すみません…。
やっぱり ここは危険です。

鳴島恭三さんを保護…。

あれ?
あれ…? おい 行くぞ!

どいて どいて! どいて どいて!
ちょっと どいて!

ごめん ごめん。 どいて!

くそっ
どこへ行きやがった? おい。

まさか
犯人に連れ去られたんですかね?

だとしても
誰かが気づくはずです。

あの騒動の中
自分から出て行ったのかも…。

なんだって マル対が
自分から逃げ出すんだよ お前。

刑事さん!
つい先ほど 先生宛てにお電話が。

何? 大至急 緊急配備だ。
はい!

犯人が鳴島恭三さんを呼び出した
って事は…。

別の場所で
5人目の殺人を行うつもりだ。

鳴島芳孝は
父親の恭三さんを殺すつもり…?

だったら 私たちも捜さないと…!
あっ ちょっと…!

ちょっと待って ちょっと待って!
佐相さん 佐相さん。

やみくもに捜しても
時間の無駄になるだけだから。

犯人の目的が
鳴島恭三の殺害だとしたら

その場所には 必ず

源氏香図の「幻」が
あるはずなんだよ。

でも そんなもの どこだって
用意できるんじゃないですか?

いや
これまでの4つの源氏香図には

法則があったでしょ?
法則って言われても…。

大きくなってる?

そう! そう そう!

犯行を重ねる度に
より大きくなってるんだよ。

だとしたら 最後 犯人は

あのお寺にあった源氏香図よりも
もっと大きな

この図形を
用意してるはずなんだよ。

お寺よりも大きいって
そんなの どこに…?

この形…
どこかで見た事あるんだよね。

どこでです?

全然 思い出せない…。
思い出してください!

他の記憶はいいから それだけは
絶対に思い出してください!

そんな むちゃ言われても…。

あれ? あれれ…?

♬~

あった…!

やっぱり そうだ。

浮舟は死んでなかったんだ…。

おい! 来てやったぞ。

俺が怖じけづくとでも
思ったのか?

愚かな事はやめるんだ! 芳孝!

(スタンガンの放電音)

♬~

あっ! ここです。

この一画は
再開発で住人はいないはずです。

行ってみよう。
はい。

♬~

明かりがともってる。

♬~

鳴島さん!

(桜子)近寄らないで!

一歩でも近づけば 火をつけます。

ねえねえ この匂い…。

桜子さん
やっぱり あなただったんですね。

どうして わかったの…?

今回の連続殺人は

20年前の源氏香で
答えとして書かれた

5つの源氏香図を見立てに用いて
行われていたんです。

だけどね 4番目だけが
しっくりこないんだよね…。

「浮舟」の物語っていうのは
ただの 恋の鞘当てなんだよ。

だから
今回の一連の事件の動機である

不義の子っていうテーマとは
無縁なんだよね。

でも 桜子さんが襲われたお寺は
「浮舟」の形でした。

浮舟という女性は

薫と匂宮との三角関係に悩んで
入水自殺するんだけど

のちの物語で

実は死んでなかったっていうのが
判明するんだよ。

死んでなかった…?

5件の連続殺人の中で

4件目の被害者だけが
実は生きていて

5件目の殺人を実行する。

それこそが

今回の この筋書きの
最大のトリックだったんだよ。

そうですよね?

最初の3件の殺人は
間違いなく鳴島芳孝の犯行でした。

彼は まず最初に
椎名蒼さんを刺殺して

源氏香図の見立てをするために
現場に「若菜下」の図形を残した。

続いて 今宮賢さんを
公園で待ち伏せして

鉄棒と遺体を使って
「匂宮」の源氏香図を作った。

3件目の屋上では

あらかじめネオンに細工をして
「柏木」の図形を用意し

今宮隆司さんを自ら呼び出した。

本来の筋書きでは

4件目 厳明寺で殺されかけるのは
鳴島芳孝のはずだったんだよ。

一命を取り留め 病院を抜け出し

5件目… つまり

鳴島恭三さんを
殺害する計画だった。

でも
厳明寺で転落したのは桜子さん。

どうして…?

その理由は

芳孝くんは もう この筋書きには
登場できなくなってたから。

違いますか?

あの子が家を出た時の事
話しましたよね。

初めて書いた小説が
原因だったって…。

もちろん
つたない筆だったとは思います。

ですが この男は…!

(桜子)あなた! やめて…。

今宮という男が

この女に邪恋を抱いているのは
すぐにわかった。

だから 俺は 無理やり襲わせた。

(桜子)やめて! やめてください!
お願いだから…。

わけわかんないよ…。
なんで そんな…。

全ては… 小説のためだ。

ハハハハ…。

ハッハッハッ…!

♬~

そうして書かれたのが
『郭公の庭』だったんだ。

小説のために
人ひとりの人生を…?

あり得ない!

かわいそうな芳孝は

この男が仕掛けた
運命の呪縛から逃れるために

自らも命を賭して…

これを書き上げた。

小説…?

ひょっとして
その中に書かれているのは

5つの源氏香図を用いた
連続殺人?

ええ。

鳴島への憎悪と
消える事のない怨嗟を

連続殺人という物語に
最期まで必死に刻み込んだ。

「最期」って…
もしかして 芳孝さんは…!

今宮社長が亡くなった
あの日の夜遅く…。

(桜子)どうしたの!?

ああっ…!

あの男を殺した…。

(桜子の声)芳孝は
全てを私に話してくれたわ。

(芳孝)僕 書いたんだ…。

これなら
父さんも絶対認めるはず…。

♬~

芳孝…。

芳孝…。

芳孝…! 芳孝!

(桜子)芳孝…。 芳孝…!

芳孝…!

芳孝! 芳孝!!

そして あなたは
小説に書かれた連続殺人を

亡くなった芳孝くんに代わって
引き継ぐために

今宮社長の通夜の帰りに
警察の目を逃れて

あたかも
犯人に突き落とされたかのように

偽装したあと

救急病院から 芳孝くんに
連れ出されたように装い…。

あなた… 助けて…。

鳴島恭三さんを
ここに来るように導いた。

この路地が 源氏香図の
「幻」の形をしている事も

芳孝くんの その小説に
書かれてたんですね。

芳孝は
子供の頃に気づいてたみたい。

この家は あの子が6歳まで
暮らしていたから…。

あなた もうすぐご飯よ。

ああ。

(桜子の声)
あの頃は まだ 少しだけ

家族と呼べる暮らしがあった。

芳孝は

自分の出生に関わり
その秘密を知る人間全てに

復讐するつもりだった。

何よりも
全ての元凶である この男を…。

その小説の最後には
何が書かれているんですか?

主人公が父親を殺害し
その場で命を絶つ。

まさか
あなたも そのつもりじゃ…!

そうする以外 あの子の小説を
世に出す方法がないの!

ちょっ… ちょっ…!
ちょっと待ってください桜子さん。

こんな話を
聞いた事はありませんか?

人は二度死ぬっていう話。

一度目は 肉体が滅んだ時。

そして 二度目は

その人の事を覚えてる人が
誰もいなくなった時。

芳孝くんの人生は

苦しみに満ちていたかも
しれません。

でも その18年という
短い人生の中には

輝いた時間だって
絶対にあったはずです。

なのに それを
誰よりも見守っていたあなたが

自ら 命を絶ってしまえば

芳孝くんの記憶も思い出も
全て この世から消えてしまう!

あなたが本当にやるべき事は

芳孝くんに代わって
復讐する事なんかじゃない!

鳴島芳孝という
傷つきやすい一人の青年が

過酷な運命にあらがいながらも
死ぬ瞬間まで

必死に 誰かに何かを伝えようと
生きてきた。

その思いを…
忘れずにいてあげる事です!

生きてください。

あなたの記憶の中の
芳孝くんのために…。

♬~

♬~

鳴島さん!
しっかりしてください!

今 救急車を呼びます。

(嗚咽)

鳴島桜子さん…。

あなたを
殺人未遂の容疑で逮捕します。

♬~

記憶はなくなってない?

そういうケースがあるんだよ。

ある記憶を引き出そうとすると

脳内で急激に邪魔が入る。

それで
うまく記憶が引き出せない。

刑事としての記憶は消えてない?

うん。 論より証拠だ。

お前の このノートは興味深いぞ。

例えばだ…。 そうそう ここ ここ。

20年分の記憶がないんだったら

お前は この時
看護婦さんと呼んでるはずだ。

それが ちゃんと
今風に 看護師さんと呼んでる。

病院の看護師さんも
言ってたけど…。

あっ…。
そして もう一つ。

20年分の記憶がないんだったら
見た事もないスマートフォン

だが お前は
ちゃんと ここで操作している。

覚えていると都合が悪いものは

無意識で
覚えていないふりをするんだ。

心ってのはな
案外 ずる賢いもんでな。

いや だけどな…。

とにかく 俺が言いたいのは
お前は ある日ある時

刑事である事に ものすごい強い
ストレスがかかった。

刑事であるもろもろを
思い出そうとすると

脳の中で急激に邪魔が入る。

お前は そういう状態にある。

でも お前の心の中には ちゃんと
刑事であるお前は生きている。

どうだ? 安心したか?

うん…。

でも もういいんだよ。

刑事としての
最初で最後の仕事だって

佐相さんとも約束したし…。

(生田目)えっ?

うん… もういいんだよ。

封筒どこだっけ? 封筒は…。

あれ…?

「刑事になったら。 五戒」

(時矢の声)「事件に関わるものは
とにかく 目に焼き付ける事」

「遺留品や現場の匂いは
消える前に必ず嗅ぐ事」

「少しでも気になる事は

事件に関係なさそうでも
訊いて確かめる事」

「手掛かりに繋がる可能性のある
資料なら とにかく読む事」

「良い刑事にとって
見逃してもいい証拠など無い」

「見逃してもいい供述など無い」

「適当に見逃していいものなど
何ひとつ無い」

「全ては 事件解決と
被害者のためにあるのだから」

俺の中に刑事はいたんだ…。

♬~

えっ! えっ!?

ちょっ… ちょっと!
せっかく書いたのに…。

時矢さんは
記憶を失ってはいますが

刑事として必要な素養は
十分備わっているとわかりました。

それは… どうも。
特筆すべきは

その直感力と 常識にとらわれない
柔軟な思考力です。

ですが それは

規律と組織捜査を重んじる
今の京都府警の中では

正直 無用の長物です。

褒められてるんだか
けなされてるんだか…。

ですが 今の新・時矢さんなら
旧・時矢とは別の形で

刑事としての能力を
開花させられるはずです。

新・時矢… なんだ?

今回の事件は
旧・時矢には解けなかったし

新・時矢だからこそ
桜子さんを救う事ができたと

私は思っています。

あっ どうも…。

でも こんな状態で
刑事 続けるなんて

やっぱり むちゃだよ。

大丈夫。 補えます。

えっ…?
私は

旧・時矢が解決した数々の事件の
調書を何度も読み込み

事件の概容や被害者
容疑者 関係者の情報を

空で言えるくらい覚えています。

あの… まさかとは思うけど…。

要するに 私は

時矢刑事の記憶喪失が
バレないようにするための

最適なバックアップデータ
あるいは

取扱説明書と呼んでも
過言ではありません。

いやいやいや! でもでもでも…!

そもそも 俺は刑事失格だし
分限処分の対象で

監察官に報告しなきゃ
ならないはずなんじゃ…。

それは もはや できません。

なんで?

私は 時矢刑事の状態を知りつつも
報告を怠り

事件捜査に加わりました。

私も共犯です。

♬~

もう少し
シャキっとしてもらえませんか?

旧・時矢刑事は女性の扱いも上手で
鑑識の背川さんのように

ファンも多かったと
聞いていますから。

そうなんだ?
「そうなんだ?」って…。

♬~

もしかして あの人
どこかで会ってたりする?

奥畑記子弁護士です。

刑事事件が専門ですので

被疑者の接見要求などで
何度も会っているはずです。

ああ…。
相変わらず おきれいですね。

今度よかったら食事でも…
なんて。

(奥畑記子)まあ 嬉しい。

まだ これ使ってくれてたんだ。

えっ…?

うっ…!

どの面 下げて
そんな事が言えるの!

♬~

えっ… えっ?

7年前に俺が逮捕した犯人が
冤罪?

(芹野泰夫)
真実は記憶の中にあります。

(記子)依頼人には近づかないで。
別荘は密室だった

って事になるよね。
ビフォー時矢刑事の捜査メモですね。

バトンなのかな。

記憶をなくす前の俺から
今の俺への。