ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

昭和元禄落語心中 第5話 岡田将生、山崎育三郎、大政絢、平田満… ドラマの原作・キャストなど…

『ドラマ10 昭和元禄落語心中(5)「決別」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数BEST10&ワードクラウド

  1. 師匠
  2. 落語
  3. 助六
  4. アタシ
  5. 八雲
  6. 七代目
  7. お前さん
  8. 名前
  9. 野郎
  10. お前

f:id:dramalog:20181109225115p:plain

『ドラマ10 昭和元禄落語心中(5)「決別」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)&EPG情報(出典)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

☆無料で民放各局の動画視聴ができるTVerティーバー)!まずはココから!
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

※その他、無料お試し期間のあるVODサービス各社との比較について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

dramalog.hatenablog.com 

 

 

ドラマ10 昭和元禄落語心中(5)「決別」[解][字]

真打昇進後、菊比古はめきめきと人気を上げていった。一方で破門された助六は落語界に居場所を失い、芸者のみよ吉と共にぷっつりと消息を聞かなくなる。

詳細情報
番組内容
真打昇進後、有楽亭菊比古(岡田将生)はめきめきと人気も実力も上げていった。一方で破門されてしまった有楽亭助六(山崎育三郎)は落語界に居場所を失ってしまい、かつて菊比古の恋人であった芸者のみよ吉(大政絢)と共に、ぷっつりと消息を聞かなくなる。それから数年後。菊比古は師匠である七代目の有楽亭八雲(平田満)から、七代目と助六との間の、過去にさかのぼるある秘密を告白される。
出演者
【出演】岡田将生,山崎育三郎,大政絢平田満篠井英介酒井美紀
原作・脚本
【原作】雲田はるこ,【脚本】羽原大介
監督・演出
【落語監修】柳家喬太郎
音楽
【音楽】村松崇継

 


(七代目)真打昇進披露も ついに千秋楽。

よぉ~!
(三本締めの音)

(みよ吉)今度 会う時は… 地獄ね。

(七代目)八雲は… 菊にやる。

この際 破門してやらぁ!

(みよ吉)何かあったの…?
話 聞いてあげる。

「百両かい? 二百両かい?」。

「あ~ら 頼もしい。 五十両」。

「えっ 五十両?」。

<助六が破門になって8か月。

その夜 何があったのか
師匠も教えてくれませんでした。

アタシは そのうち
助六が わびを入れれば

全て許されるだろうとしか
思っていませんでした。

そう信じていないと 不安で寂しくて
たまらなかったのかもしれません>

「かわいそうなやつだと思って
折れた線香の一本でも手向けておくれ」。

「お前 死んじゃうのか?

お前が死ぬんだったら 俺も死ぬよ」。

♬~

ちょいと。

(助六)鼻が利くなぁ。
貸しがある時は 余計 利くんだよ。

どこ ほっつき歩いていやがった。

ほうぼう どれだけ お前さんの尻を
拭いたと思ってるんだい?

頼んじゃいねえけど… ありがとさん。

なに意固地になってんだか。

破門てのは そういうことなんだな…。
みんな 顔 見りゃ 小言や哀れみだ。

あんなに ずっと
お前はダメだダメだって言われてたら

気が おかしくなっちまうよ。

師匠は ああいう人なんだから
お前さんが折れて…。

嫌でぇ。 俺は 何一つ間違っちゃいねえよ。

まあいいや お前さんが
落語をやらずにいられるわけがないし。

一体 何があったんだい…。

アタシにも言えないのかい。

坊の高座は 辛気くせえけど 艶がある。

ああやって見んのも いいもんだな。

やっぱり落語が恋しくなってんだ。

ちがわい!
じゃ なんで そんなもの。

昔 世話になってたジジイの名前。

天狗連
てめえで勝手に名乗ってた名前らしい。

だから 俺で二代目だ。

天狗連って
素人落語ってことかい? ああ。

その助六さんが 先代
つまり 師匠の前の

六代目八雲に弟子入りしてたんだってよ。

でも 挫折して 日雇いになって
俺を拾って育ててくれた。

それじゃ…。
師匠も会ってるはずだ。

かたや 大名人 かたや 野たれ死に。

そうならねえために
絶対 八雲になるって決めて

門をくぐったんだ。

お前さん さては 七代目に入門か?

だったら?

今日から 俺は おめえの兄貴分でい!

おもしれえだろ 助六が八雲になる。

そう思って ず~っと持ってたんだけど
もういらねえから…

おめえさんに やるよ。

俺だと思って大事にしろぃ。

♬~

おかみさんの具合も悪い
なんかあったら どこに連絡すりゃいい?

初太郎。

俺が行ったら かえって よかねえよ。

早めに謝っちまいな!

そうだ 来月にでも 二人会やろう。

稽古だけは しとけよ!

♬~

え~ よく 趣味道楽なんてことを
言いますが。

「わ~ 開けてくれ 開けてくれい!」。

♬~

(戸の開閉音)

ただいま。 お酒もらってきたよ。

おっ… ちょうど空になったとこだ。

今日も くたびれちゃったぁ
ほうぼう挨拶して。

仕事 辞めるのも 骨ね。

なに見てんの~。

菊さんは こういうの
やらせてくれなかった。

菊さんの唇って
まるで女の子みたいなの。

小さくって 薄くって 甘くって。

あ~ 会いたい!

俺の上で あいつの話 しねえでくれよ。
思い出しちまうだろ。

思い出さないように 早く忘れさせて。

おめえは もっと
かてえ女かと思ってたよ。

あれは 菊さん向け。
品のいい女なんて あなた苦手でしょ。

確かに。

女なんて 求められれば
いくらでも変われるんだよ。

求められなきゃ終わりなんだよ…。

また落語のこと?

ダメ。 アンタ おかしくなっちゃう。

(みよ吉)もうすぐ
まとまったお金が入る。

一緒に この街 出よう。

いいとこよ 私の田舎。

温泉があるから 働き口だって たくさん。

二人で 楽に ゆっくり生きよう。

その方が きっと…

この子も幸せ。

嫌んなるぐらいに かわいがって

なんでも買ってあげて
なんでも してあげるんだ。

♬~

皆さん お帰りになられました。
少し お部屋で休まれたら。

(松田)坊ちゃん… あっ いや…
師匠と お呼びすべきでしたね。

いいよ 好きに呼んどくれ。

助六師匠 とうとう
いらっしゃいませんでしたね。

アタシも 居場所を知らなくてね。

おかみさんも きっと
一目 お会いになりたかったでしょうに。

あっ あとのことは大丈夫ですから
どうぞ 七代目の話し相手を…。

あんなに お寂しそうにしている七代目
見たことがない…。

そうだね。 そうするよ。

師匠 今夜は 久しぶりに このうちに
ごやっかいになりたいと思います。

それは…?

有楽亭の系図だ。

初代は 寛政から始まってる。

みんな とんでもねえ名人ばかり。

アタシのおやじで六代目。

ここで さらに名前が大きくなった。

八雲の名を継ぐ苦労は
なまはんかじゃねえ。

名跡の重みを しっかりと受け止めきれる
度量がいるんだ…。

アタシにゃ支えきれなかった。

そんなことありません。
師匠は ご立派に。

そう見えるなら 幸いだが

到底 名前に勝てねえって思い

それが 一生 付いて回るんだ。

女房ってのは
居て当たりめえだと思っていたが

居ねえとなると寂しいもんだな。

菊 年くって独りじゃ みじめだぞ。

いい頃合いだから ちゃんと話しておこう。

あたしゃ 八代目八雲の名を

お前に継がせたいと思ってる。

無理です…。
アタシに そんな力はありません。

八雲の名を継ぐのは
助六こそが ふさわしいと。

襲名ってのは てめえの意志で
どうこうできるもんじゃねえ。

師匠だって ご存じのはずです。

あの人が どれだけ 八雲の名に焦がれて
落語をやってきたか。

知ってるよ。 だから なんだ。

まさか… 破門の原因は…
あの人にも そう言ったんですか?

(七代目)あの野郎は 性根が腐ってる。

アイツは 俺の落語を古くせえと言った。

有楽亭の落語を 否定しやがったんだ。

どうか もう一度 助六の落語を。

俺の目が節穴だって言うのかい?

俺は お前の方が
八雲に ふさわしいと思った。

でも…。

俺だって 死んだあとのことなんて
考えたくもねえ。

けど あとで ゴタゴタしねえように
そいだきゃあ キッチリやっとかねえと。

なあ お前は 俺の息子だ。

破門は… 解いてやってください。

アイツも もうガキじゃねえ。
今後を決めるのは あの野郎だ。

お前も じっくり考えろ。

♬~

<アタシは 初めて 初太郎の灼かれている
地獄を思い知りました。

逆上した理由は
幼いころから あれほど執着していた

「八代目八雲」の名前を よりにもよって

アタシなんかに取られると
知ったからだったのです。

それでも アタシは 助六
再び落語の世界に復帰させることを

諦めていませんでした。

いや 諦めることが できなかったのです>

(アキコ)菊比古師匠 お客さんですよ。

(お栄)菊さん。
どうしたぃ 急に。

おみよちゃん どこにいるか知ってる?

いや ちいとも会ってない。

あの子 お店のお金
持ち逃げしちまったみたいで。

えっ?
(お栄)まあ 退職金と思や いいんだけど。

聞いてた実家の住所も 宛所がないし

部屋も空だったの。

♬~

(お栄)菊さんなら
なんか知ってるかと思って。

♬~

折れて転んだら大変だから。

英国製で頑丈なんだって。

♬~

お前さん みよ吉と一緒にいるんだね。

なんで…。

まあ そのへんは アタシも
とやかく言えた義理じゃねえし

好きにしなよ。

別れを言いに来た。
しばらく東京を離れる。

なんで?

アイツに… 子供ができた。

田舎で生むんだと…
ついててやりてぇんだ。

今 アレを一人にさせらんねえ。
分かるだろ おめさんなら。

落語は どうするんだい…。

分かんねえ。
先のことは なんも考えてねえ。

八雲を継ぐってぇのは どうするんだい!

おめさんが なりゃいいじゃねえか。

大事な大事な坊ちゃんだもんな。
師匠からも聞いてんだろ。

俺は ずっと 坊が羨ましかった。

かわいがられて 甘やかされて
なんでも 師匠に やってもらってよ。

俺は 所詮 野良犬なんだよ。

おんなじ弟子なんかじゃねえんだよ!

はなしやがれ!

<この背中を ずっと ずっと
憧れの目で見てきたのです>

坊 俺ぁ お前さんが気に入った!

オイラと お前さんと 二人で
日本中に落語を聞かせてやろうぜ。

俺ぁ 絶対 生きて帰ってくる。

坊!

♬~

腹 減ったなぁ。
ああ… 腹 減った。

よっ 大将!

♬~

何をしてもいいよ。

けど… 落語だけは やめるな。

♬~

どうしたらいいか…

もう分からねえんだよ。

♬~

「暇乞いに伺いまして」。

「暇乞い? なんだ 旅か?
まあ 若ぇうちだ 行ったっていいや。

で どっちの方 行くんでぇ」。

「まあ よく来てくれたわ。
心配で心配でねぇ。

お前さんが来ないんじゃないかと思って」。

「冗談 言っちゃいけねえ
俺は約束したことは ちゃんと守るよ」。

「そうかい。 それは うれしいねぇ。

じゃあ 今夜は この世のお別れ
どうする?」。

「お別れだよ
飲んで食って ぱ~っとやろう!」。

「おあし あるの?」。

「ねえよ」。

「なきゃ駄目じゃないさ」。

「いいじゃねえか! 今夜
あっちのほうまで行っちまうんだろ?」。

<それから 初太郎も みよ吉も
ぷっつりと音沙汰が無くなりました。

アタシは… また捨てられたのです>

<初太郎が破門されてから
7年がたちました。

協会からも除名され 有楽亭助六の名前は
落語界から消されてしまいました。

大人気だったのが うそのように
噂も聞かなくなり

アタシ自身も どこで どうしているのかも
分かりませんでした。

人の運というのは皮肉なモノで
みよ吉と スッパリと別れたアタシは

立て続けに大きな賞を頂き

不本意ながら マスコミにも
顔を出す機会が増えていきました>

自分の落語が できりゃいいんです。

ご自身の中で ライバルはいますか?

どこで何をやってるのか バカが一人。

助六さんのことですか?

助六の落語は ただ笑わせているだけで

師匠の芸術とは比べものにならない
と言う評論家も…。

会見は おしまい。
(ざわめき)

ものが分からない人に
話すことはありません。

いや ちょっと待ってください。
ご自身も 今 助六はバカだって。

あのバカの悪口を言っていいのは
アタシだけです。

大丈夫ですか。

師匠! 菊比古師匠!

弟子にしてください!

師匠のもとで 落語がやりたいんです!
お願いします!

ちょいと失礼します。
先に お入りください。

人気者は つれぇな。

今すぐ 親元へ帰んな。
あたしゃ 弟子なんざ取りません。

ひとさまに教えることなんざ
無いんだから。

待ってください!
話くらい聞いてください!

そんだけ ずうずうしいなら
教えてやらぁ。

今日は親子会だ。
なんだって こんな日に やってきた?

お前さんは アタシの師匠を
ないがしろにして 恥をかかせた。

そいだけで 断る理由は十分だろ。

芸人なんて なるもんじゃない。

こんな はかねえ
あぶくみてえな商売をさ。

師匠 先ほどは失礼致しました。

申し訳ございませんでした。

♬~(出囃子)

≪(拍手)

え~ これは ある お長屋に
住んでおります 大工の熊五郎

大変 腕のいい
大工なんではございますが

ちょいとばかり癖がある。

これは何かと言いますと
酒と女に だらしがない。

吉原なんて所に入り浸り 仕事も…。

<師匠の「子別れ」 今 この根多で
師匠の右に出る者はいない。

有楽亭の お家芸
師匠が とことん練り上げた芸だ。

アタシや助六には
逆立ちしたって できっこない芸>

「大きくなりやがったな」。

「うん おとっつぁんも大きくなったね」。

(笑い)

「大人が大きくなるかよ。
元気にしてたか?」。

「うん 元気にしてた」。

<親子の掛け合いで
親子の親密さを愛きょうたっぷりに>

「そうじゃねえんだい
ひろったんじゃねえんだい」。

「じゃ どうしたんだい?」。

「もらったんだい」。

<父親に こっそり もらった
五十銭を見つける母親。

子に どこで手に入れたのか
トントントンと畳みかけて問い詰める>

「亀 本当のことをお言い。
その五十銭 どうしたんだい」。

「だ… だ… だから もらったんだよ
知らない おじさんに」。

「こっちに きやがれってんだ。

これはね おとっつぁんと別れる時に

道具箱から お前が持ってきた
ゲンノウだよ。

本当のこと言わなきゃ このゲンノウで
おっかさん ぶってやる」。

<情感たっぷりに
泣かせるところは とことん泣かせる。

人情噺は そういう演出の方が
聞いてる方も気持ちがいい>

「はなしてくれよ 痛いよぉ。

もらったんだ… もらったんだ

おとっつぁんから もらったんだい!」。

「今 お前 なんて言った?

おとっつぁん?
おとっつぁんに会ったのかい?」。

「ねえ おとっつぁん
また三人一緒に おまんま食べよう。

お湯にも 一緒に行こう。

また 三人で… おまんま 食べようよぅ」。

「三人一緒に
暮らしてもらうようなわけには

いかねえだろうかな」。

「お前さんって人は…

本当に勝手な人だねぇ…」。

「俺が悪かったんだい すまねえ。

このとおり 堪忍してくれ」。

「こいつを ここまで

女手ひとつで育て上げんのは

並大抵のこっちゃなかったろう。

改めて 礼を言うよ」。

「子供は 夫婦の かすがいだなぁ」。

「ええ? あたいが かすがい?」。

「それで おっかさん

ゲンノウでぶつって 言ったんだ」。

(拍手)

お疲れさまでした。

師匠。 師匠!

師匠! 師匠!

七代目! 救急車! 急いで!
はい!

師匠!

えっ…? なんですか?

助六…。

今 呼びました。

松田さん あとは お願いします。

あたしゃ 落語をやらなきゃ。

は… はい!

♬~

今 お休みになってます。

松田さんも
奥さんの具合 よくないんだろ。

あとは見てるから 今日は いいよ。
すみません こんな時に。

では…。

俺ぁ もう ダメみてぇだ…。

師匠。

大概のことは 悔いのねえ人生だったが

八雲の名…

八代目のことだけが気にかかる。

この名前は いわくが ありすぎる。

大正に入って間もなくだった。

とんでもねえ弟子が 入ってきたんだ。

お前より もっと もっと
落語で師匠に気に入られてやる。

(七代目)野郎は
途方もなく うまかった。

(七代目)野郎には
全く歯が立たなかった。

俺ぁ 息子って立場 目いっぱい使って

次の八雲は 俺に くれるって
大勢の前で おやじに約束させた。

そうすりゃ あの野郎に
落語で勝てると思い込んでたんだ。

野郎は 一門を抜け
その後 どうなったかは

誰も知らねえ。

野郎の名前は…

助六…。

♬~

まさか…。

これ 大事に持っといてくんねえか。

俺に落語を教えてくれた じいさんの形見。

その まさかだ。

アイツを育てたってぇ
じいさんが 助六だ。

落語が生き写しで すぐに分かったよ…。

「開けとくれ 開けとくれ~!
先生! わ~!」。

「その声は 隣家の八っつぁんだな。
待ちな 待ちな」。

♬~

(七代目)初に 助六を名乗りてぇと
言われた日にゃ

生きた心地がしなかった。

因果応報…。

アイツが俺んとこに来たのも 因縁なんだ。

俺ぁ そのことに目をつむろうと

必死だった。

野郎と初は 別だって。

けど どんどん
呪いみてぇに 頭が かたくなる。

助六に 八雲の名は やらねえって
意地になって…。

大事な息子の…

一人を失った…。

♬~

俺ぁ 本当に弱い 業の深ぇ人間だ。

本当は お前に
八雲を渡すのだって嫌なんだ。

みっともねえと 笑うなら笑いやがれ。

正直 言うと
師匠の そういうところ

苦手です。

もちろん 好きなところも
たくさん ありますけど。

そういうのは 絶対に似たくない。

だから アタシの落語が できたんです。

でも 弟子としても 息子としても

師匠のもとに来られて よかった。

引き取ってくれて ありがとうございます。

そうか…。

よかった…。

よかった…。

<それから程なく 師匠は 静かに

永い眠りにつかれました>

枕元に座っているときゃあ。

<アタシは また捨てられて
一人になりました>

「ねえ 先生 あたし 上方見物に
行ったことないの。 行ってみたいな」。

<お前の居場所なんか ないよ。
…と笑われている気がしました>

「一本一本が 人の寿命だ」。

「へぇ~ 人の命は

ろうそくの火みてえなもんだって言うが
ほんとなんだね」。

「震えてるな。

消えると死ぬぞ」。

「だめだ 汗が目に入って…。

あ… ああ…」。

「消えるぞ 消えるぞ。

ほ~ら ほ~ら

ほ~ら… ほ~ら

消えた」。

<これで いいのか 本当に ここなのか。

怖い 誰もいないような気がする。

やっと つかんだはずの居場所なのに>

<助六に会いたい>

<もう一度 助六

助六の落語を
取り戻さなくてはならない>

<師匠を失った今

助六の落語が アタシには
どうしても必要だったのです>

♬~

会長…。
(会長)ハッハッハッハッ…。

八雲のいねえ穴 埋めて
よくぞ立派に務めあげた。

恐れ入ります。

でだ… 七代目からも頼まれてたんだが

いつまでも あの名前を
空けとくわけにもいかねえ。

お前さん以外 誰が八代目になるんだ?

まっ よ~く考えておきなさい。

♬~

協会には しばらく休みを頂いた。

顔 見て 安心したら 戻ってくるよ。

男ってのは ほんとにバカだね。

はい これ 一度きり来たハガキ。

所番地なんか書いちゃいないけど
消印がある。

無いよりマシだろ?

(みよ吉)<「女の子を生んで
元気で過ごしております。

心配かけて ご免ね。

お借りしたもの いつか必ず返します」>

今度 会う時は… 地獄ね。

(お栄)菊さん。

四国だよ。 きっと あの子が生まれた里。

親兄弟は とうにいないって聞いたけどね。

街は遠いかい?
すぐ。

この辺で 落語を聞ける小屋は ないかい?

落語? 今は もう…。

あっ この道 行ったら
うどん屋があるで 行ってみな。

ええもん見れるで。

≪(女の子の声)

(女の子)♬「ほら すちゃらかちゃん」

「野ざらし」?

(女の子)「何があったか知りませんけど
こういう世の中ですから

気をしっかり持たないといけません」。

「何を~ 大きな声を出すな? あん!

何か? 魚に耳があんのか 魚に耳が!

どこに付いてんだ どこに? ええ!

えらの このへんに引っ掛かってんのかい
えらの このへんに」。

落語 聞いたんなら ちゃんと払って!

今の落語 助六に習ったのかい?
お前さん 誰なんだい?

小夏。
こなつ…?

一席十円! うどんも食べてってね。

ちゃんと食べてってよ。
お世話になってんだから。

ずっと電車に揺られて
食欲なんか あるかぃ。

あんたこそ 誰?
お父っつぁんの居場所 教えな。

やだ。 おじちゃん嫌い!

お兄さん もしかして

菊ナントカ言う落語家さんと違うん?

やっぱり そうや! どうぞ。

おじさん… 落語家さんなの?

どうした
さっきの けんまくは どうしたい…。

もちっと ゆっくり食べたらどうだい。

よくもまあ そんなに入るね…。

父ちゃん すごかったんでしょ? 東京で。

まあね。 父ちゃんの落語は
日本一おもしろいもん。

でもね 私にしか やってくれないの。
みんなには言っちゃダメだって。

お父っつぁん
どうして 落語しないんだい。

母ちゃんが怒るから。
普通に働けって。

でも 父ちゃん 働くの嫌いなの。

それで 今 母ちゃんが働いてんだけど
たまに帰ってくると お酒臭くって。

男の人と踊ったり。
父ちゃんとも ケンカするし。

母ちゃんは
どこで働いてんだい? 知らない。

あんまり帰ってこないし
当てになんないから 私が稼いでんの。

やっぱり そんな感じかい…。

さあ 行くよ。 案内しな。

ちょっ… ちょっと待ってよ。

♬「上げ潮 南さあ」

♬「カラス ぱっと出て こらさのさぇ」

♬~

(小夏)父ちゃ~ん!

起きて! お客さん!

ねえ 起きて! 父ちゃん!

助六! とっとと起きやがれ!

こんな小せえのに
手間かけさせやがって…。

こちとら はるばる東京から
来てやってんだい!

ぐずぐずしねえで 面ぁ見せろぃ!

♬~

坊…。 坊!

♬~

お前さん 変わらねえなぁ。

お前さんは… 相変わらず 臭いよ。

♬~

<この時 7年間も止まっていた
二人の時間が

再び動き始めたのです>