ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

昭和元禄落語心中 第3話 岡田将生、山崎育三郎、大政絢、平田満… ドラマの原作・キャスト・音楽など…

『ドラマ10 昭和元禄落語心中(3)「迷路」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数BEST10&ワードクラウド

  1. 落語
  2. アタシ
  3. 師匠
  4. 拍手
  5. 自分
  6. 稽古
  7. 芝居
  8. 初太郎
  9. お前
  10. 今日

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『ドラマ10 昭和元禄落語心中(3)「迷路」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)&EPG情報(出典)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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dramalog.hatenablog.com 

 

 

ドラマ10 昭和元禄落語心中(3)「迷路」[解][字]

八雲は地味で華がなく、客に受けなかった。一方で親友の助六は、爆笑を誘って大人気。コンプレックスを抱えて思い悩む八雲に芸者みよ吉は惚(ほ)れ込み、恋人として支えた

詳細情報
番組内容
二つ目の若手落語家として、八雲(岡田将生)は壁にぶつかっていた。生真面目で端正な芸は、地味で華がなく、客に受けなかった。一方で親友の助六(山崎育三郎)は、若くして柔軟な芸風で、爆笑を誘って大人気。人気も実力も及ばず、八雲はコンプレックスを募らせ思い悩む。そんな八雲に芸者みよ吉(大政絢)は惚れ込み、恋人として支えた。やがて八雲は自分の芸を光らせるヒントを掴(つか)み、芸人として飛躍するきっかけを得る
出演者
【出演】岡田将生,山崎育三郎,大政絢平田満篠井英介
原作・脚本
【原作】雲田はるこ,【脚本】羽原大介
監督・演出
【落語監修】柳家喬太郎
音楽
【音楽】村松崇継

 


(八雲)<実の親に捨てられ
落語家に入門させられた私は

同じ日に入門した
同い年の少年と出会いました。

アタシたちは共に稽古し 苦楽を共にして
前座修業に明け暮れました>

これ以上 差がついちまうのは嫌だ。

(助六)食うものも着るものも
なんにもねえ時だからこそ

舌三寸の落語の腕の見せどころ!
俺たちの時代が もう来てんだよ!

お待たせしました。

(客1)ねえ ボーイさん。
(客2)ちょっと来て。

ご用ですか?

ちょっとぐらい
おしゃべりしてもいいじゃない。

追加のご注文ですか?

(客2)分かってんでしょ? 私たちが
アンタ目当てに来てることぐらい。

決まってるねぇ。
巴里の千両役者みてえだ。

初太 ここには来るなってぇたのに…。

いいじゃねえかよ。
ダメだよ。

そんな噺家丸出しで来られたら
こっちの素性までバレちまうだろ。

別にいいじゃねえかよ。
ダメだよ。

銀座の こんな うわっついた店で
働いてるのが 師匠に知られたら…。

とにかく 腹 減ったんだよ。 なっ。

ほら。

悪ぃね!

♬~

「お前さん なんだって
いきなり人の頭を殴るんだ」。

「は~ どうも すみませんね。

今ね 夢中で ドンドンドンドン
たたいてるってぇとね

いきなり 戸がスッと開いて
先生の頭が にゅっと出てきたんで

思わず ポカッと やっちゃったんですよ。
勘弁してくんねえか。

それより 先生
黙って あっちに 一円おくれ」。

黙って あっちに
一円おくれ…。 ただいま。

洋食屋の残飯は?

今日は これしか出なかったよ。

なんだ…。

すぐ出ていくって言って
一体 何年 居候 決め込もうってんだい。

いいかげん家賃を入れてほしいね。
男所帯は気兼ねもねえ。

腹 減っても 寒くっても
ベラベラしゃべってりゃ 気が紛れらぁ。

日銭が無きゃ 生活できねえ。
働きゃあ 稽古できねえ。

稽古できなきゃ 寄席には呼ばれねえ。
堂々巡りの火の車だよ。

ちっとも落語を覚えられない。

気の毒になぁ。
俺なんか 明日 かけもち4軒。

近々 ラジオに
出てみねえかって話もあんだ。

最近 評判 良くってよぉ。

この助六って名前 もらってから
ずっと上りっ調子だ。

おめさんも 一丁 どっかから
名前もらってみちゃどうだい?

アタシは 一生 菊比古でいいよ。

おっと いけねえや… こんな時間だよ。
夜席の紋付 また貸してくれ。

お前さん 師匠から頂いた紋付を
直しに出してるって ありゃ うそだよね。

おうよ 質に入れて 飲んじまった。
何してんだい バレたら破門だ。

いくらでも見立ててやるから
ちったぁ金ためりゃあいいのに。

二ツ目に上がりたてで遊ばねえで
いつ遊ぶってんだい。

まあ 芸の肥やしってやつだなぁ。

真面目だなぁ。
あん?

つうか 今の借家に入ってから
おめさんのケチっぷりは尋常じゃねえよ。

当たり前だよ。 生きるか死ぬかなんだ。

今に 俺がよ ドカーンと売れるからよ。

おっ?

寒いと思ったら…。

すきっ腹には こたえらぁねぇ。

おい ちょっと 羽織 半分 貸してくれ。
出番までには返すからよ。

う~ 寒ぃ 寒ぃ。

雪ってぇのは
どうにも しょうがねえなぁ。

(2人が別々の落語を語る声)

お~さむこさむ…。

降ってくるやつに 風が ぴゅ~!
顔へ ベタベタっと張り付く。

(2人が別々の落語を語る声)

腹 減ったなぁ。
ああ 腹 減った…。

<貧乏暮らしは 心底こたえたけれど

落語をやめたいとは
ちぃとも思いませんでした>

早いとこ乱回し。

(拍手と歓声)

(文鳥師匠)おう 菊。
師匠 お早いですね。

顔色が悪ぃんじゃねえのか?
ちゃんと食ってるかい?

そばでも取るか?

師匠! ごちそうさまです! みんな
師匠が そば おごってくれるってよ!

師匠 ありがとうございます!
おい… よせよ~!

お前 一体 いくつ頼みゃいいんだよ!

(一同)頂きます!

<このころの落語界は
今から思えば天国のようなころ。

明治生まれの 神様みたいな お師匠方が
まだまだ ご健勝で

そんな人たちと
こうして軽口をたたき合うだけでも

それは幸せな楽屋でした>

こりゃ まずい菓子だね。
(客の笑い)

<落語人気も絶大で
ポツリポツリと前座も増えてきました。

厳しい世界ではありましたが

この場所に居て
落語家であり続けるためでしたら

なんだって堪えられたのです。

満州慰問で ますます腕を上げた
初太郎は

若手の中では
一番の注目株になっておりました。

持ちネタも多く
どこの寄席でも引っ張りだこ>

<その高座は 独特の熱を帯び

来るお客が みるみるトリコになる様子が
小気味いいくらいでした>

(拍手と歓声)

え~ どうも どうも。
え~ こんな雪ん中ね

こんな しみったれたとこに
よく来ましたね。

え~ 人というものは
この欲というものがありまして。

まあ あまり欲深いと
こら いけませんねぇ。

「欲深き人の心と ふる雪は

積もるにつけて道を忘るる」
なんてぇことを言ってありまして。

「ひゃ~く両 欲し~ぃ!」。

「全く 静かにしろぃ」。

「おいっ ここを開けろ」。

「はっ どうも どうも
こりゃ 寒うございますな。

どうぞ どうぞ お上がりくださいましね」。

「許せよ」。 入って参りましたのが

年の頃 二十五 六んなります浪人者。
痩せぎすでございますも…。

<こっから地の語り。

お侍と娘の姿形を丹念に語り
ふたりの姿をくっきり描き出す>

年の頃 十七 八んなります お嬢さん。

どっか大家のお嬢さんといった感じで
色が抜けるように白い。

鼻筋の通った どことなく品のあります
まことに良いご器量で。

「お嬢さん 危ねえから
足元 気を付けてくださいね」。

<娘の姿形をじっくり描いたから

なんとなく しとやかで
声の小さいお嬢さんなんだって分かる。

雪の静けさが伝わって 余計いい…>

「大和屋さん!」。

<船頭 熊のグチ>

「降ってきやがったよ おい…。

でもよ 雪が積もるってえと
花が咲いたように見えらぁ。

明るくなってらあ
こりゃ どうも いいもんだねぇ」。

<うまいな…>

「最前 身が妹と申したが
あれは真っ赤な偽り。

あの女を殺害せば
たいそうな金もうけになる。

お前も手伝え」。

「ちょちょ… ちょっ 待ってくださいよ!
なに言ってんですか!」。

<ここまでで お客は
熊に 十分 情がわいている。

ぐうっと引き込まれて
本気で心配してる顔だ>

「しからば致し方ない。
口外されては露見のおそれ。

そのほうから先に」。

「ちょちょちょ…!
ちょちょちょちょ…!」。

てめえ 肘で突きやがって
謝りは ねえのかよ! この野郎!

ああっ!? おめえこそ バカみたいに
笑いやがって。 おい! おい!

川の向こうの おめえらだよ! おい!

こっち見ろって おい!
ケンカしてる場合じゃねえんだよ!

俺は 今 殺されるかどうかの
瀬戸際なんだよ!

(笑いと拍手)

♬~

<なんてぇ度胸だ…
噺が ぶち壊しになるのを

とっさに笑いに変えて
ケンカまで おさめちまった…。

二ツ目の力じゃねえや…>

「ガタガタ震えながら 値を決めておる。
なかなか見上げた心掛けだな」。

♬~

(七代目)おはようございます。
ご苦労さまです。

助六のやつ
ずいぶん沸かしてるよ。

「金!? ああ… 頂きます 頂きます!

いくら入ってんだろうなぁ これ。

十両の包みが二つ入ってらぁ。
ありがてえ!

百両!」。

…ってんで あまりに痛いんで目が覚めた。

元の舟宿で てめえの急所を
しっかり握ってたって

バカなやつがあるもんで…。

強欲は無欲に似たり 夢金という一席で。

(拍手)

<すごい。
迷ったら すぐダメになる噺だ。

初太郎に 迷いは 全くなかった…>

♬~

すごい拍手だね。
どうでぃ 良かったろ?

ああ 良かったよ。

おめさんがケチだから
おかげで実感こもったよ。

お先に勉強させて頂きました。

稽古にゃ 顔 出さねぇ
アタシが教えた型じゃあねえ噺を演る。

初 勝手するのも ほどほどにしろ。

もう 初は やめてくださいよ。
このあと 急いで上野なんで 失礼します。

待ちな。
アタシがやった紋付は どうした?

ハハッ… どうも。

「こんちはぁ 和尚さん いますか。
和尚さん こんちはぁ」。

「はいはい 八っつぁんじゃないか
珍しいな。 なんか用かい?」。

<初太郎に比べて
アタシは全く人気が出ませんでした。

芸の力では負けてないし 師匠の型は
アタシの方が ちゃんと こなせている。

ですが どうにも
お客に喜んでもらえない。

初太郎との差は 誰が見ても歴然でした>

「生まれた子供に
こういうふうに育ってもらいたい。

こういうふうに なってもらいたい…」。

(いびき)

「…なんて
何か考えがあるんじゃないかい」。

「えぇ そうっすねぇ
長生きしてくれりゃあ 何も言う…」。

<確か 師匠の知り合いの…>

♬~

(文鳥師匠)おい 菊!

助六ってのは 化けもんだなぁ。

あの調子なら すぐに真打だよ。
菊も 負けねえように 精進しねえとなぁ。

はい。

<噺家には 年に関係なく
香盤という序列があります。

先に真打になられたら アタシは
初太郎のことを 表向きは

助六師匠」と
呼ばなくてはなりません。

初太郎と比べられる度に 落ち込み 悩み
気持ちは焦るばかりでした>

真ん中に木戸がございまして
表へ出ますってえと

海から ぴゅ~っと冷たい風。

す~っと 桟橋が延びております。

どうした 菊?
さっきから ずっと うわの空で。

稽古にならねえ 今日は しまいだ。

それに こないだから
ちっとも良くなってねぇ。

すみません 稽古不足です。

いや お前の場合 稽古のしすぎ
真面目すぎるんだ。

お前の落語には 隙がねえ。

隙? そうよ。 色気ってのは
隙から生まれるんだ。

いいかい 完璧なものに色気は差さねえ。

隙があるくれえの方が
愛きょうとか遊びがあっていいんだ。

精進します。

精進してたら遊べねえだろ。

たまには バカになって
遊べって言ってんだよ。

その方が 自分の落語を見つけるためには
手っとり早ぇ。

自分の落語?

お前は まだ 「自分の落語」ってのを
見つけてねえんだ。

よし 今度 連れてってやる。
どこにです?

♬~

誰が あいつまで呼べって言った?

すいません 口が滑って…。

♬~

(拍手)

(みよ吉)いらっしゃいませ。

遅くなって ごめんなさい。
うれしいわぁ 呼んでくださって。

菊 みよ吉だ。 満州で知り合ってな
今は アタシが世話して 芸者やってんだ。

はじめまして。

みよ吉さん 無事に引き揚げてこられて
よかったね。 おかげさまで。

初! お前は みよ吉とは しゃべんな!
なんで?

アタシは 菊に いい女と
しゃべらせてやりたくて

ここへ連れて来たんだ。
なんだよ… ひいきだ ひいき!

うるせえ 唐変木! あっち行ってろ!
そんな邪けんにしねえでくださいよ。

あっち行けってのが聞こえねえか
この うすばか野郎が!

おひとつ どうぞ。

おもしろいのねぇ 落語家さんて。

商売ですから。

≪(お座敷の にぎやかな声)

大丈夫? もどしちゃった方が
楽になるんじゃない?

アタシは 酒は あんまり。

踊りをやってたんでしょ?
今度 教えてくれない?

師匠に 遊んでやれって?
二人で話してみたいだけ。

先生には ないしょで。

ないしょは まずいです。
真面目!

真面目の何が いけないんです?

こないだ 寄席で あなたの落語 聴いたの。

知ってますよ…。

すごく好き。 アンタの落語。

師匠に見られたら…。
(みよ吉)いいじゃない 怒られたって。

いっそ 二人で殺されちゃう?

離してください。

(みよ吉)死ぬのなんて怖くない。

一人で死ぬのは寂しいけど。

♬~

大丈夫?

うっ…。

あらあら…。

♬~

なあ 雨竹亭の5月の余一会が
あいてんだってさ。

へぇ…。 芝居やってみねえか?
芝居?

二ツ目 かき集めて 噺家の芝居 鹿芝居。

二ツ目だけじゃ…。

いや 売れっ子の師匠 呼んじまったら
主役 張れねえだろ。

今は 何をやってでも
まずは お客に 顔 覚えてもらわねえと。

人気が はじけりゃあ
さっさと真打になれんだよ。

いくらなんでも まだ早ぇよ。

俺ぁ 八代目八雲を継ぐ!

いつまでも 二ツ目なんかで
グズグズしてらんねえや。

いいから おめえも 半口 乗れ!

この話は 師匠には まだ ないしょだ。
分かったな。

♬~

じゃあ 一つ教えてくれ。

こないだの女の人… みよ吉とかいう。

みよ吉が どうした?
師匠とは どういう間柄なんだ?

どういうって 満州で知り合ったんだよ。

それで? いや それ以上は
よく分かんねえなぁ。

俺と師匠が
はぐれちまってる間のことだからな。

満州は どんなだったんだい?

地獄だった…。

♬~

食うものも着るものもねえ。

落語なんて できるわけもねえ。

夜は もちろん 昼でも ソ連兵に
殺されるやつが ゴロゴロいて…。

初!

初じゃねえか! 生きてたのか…!

師匠! 師匠!
初!

物乞いをして生き延びてた俺が
大連で師匠と再会した時

横に あの女が居た。

あそこに居た女は たいがい…。

みよ吉も きっと 地獄を見たんだろうぜ。

二人で会おうって言われたんだ。

みよ吉に?

師匠には ないしょで 二人きりでって。

それで? 会うことにしたのか?

どう思う? どうって おめえの好きに
すりゃいいじゃねえか。

だけど…。
なんも気にするこたねえって。

仮に 満州で 師匠と みよ吉の間に
何かあったとしたって

あん時は あん時だ。

この世じゃなかったんだ あの時の満州は。

[ 回想 ] (みよ吉)死ぬのなんて怖くない。
一人で死ぬのは寂しいけど。

♬~(三味線)

四隅を気にして。

扇子の先を下げて。

♬~

痛っ…。
もうやだ 菊さん厳しいんだもの。

芸事は 厳しくしないと上達しません。
はい はい。

「はい」は 一度で結構。
は~い。 もう一度 初めから。

ねえ 三味線 弾いてよ。 私 うたうから。

はい。

♬~

♬「梅が香を」

♬~

♬「幸い」

驚いた。 うまいね。

昔 小唄は習ってたんだ。
いつか寄席にも出てみたいな。

目標があるのは いいこと。
頑張れば 夢は きっと かないます。

はい どうぞ。

あなたと話してると あっという間。

楽しくて 時間を忘れちゃう。

他の男と 全然 違う。
やらしい目で 私を見ないし。

うわっ!
おっ…!

やだ… こういう時は
ちゃんと受け止めるの。

ごめん びっくりして。

アンタ ほんとに おもしろいね。

♬~

いいにおい…。

♬~

もう帰らなきゃ。

なんで?
明日も 稽古で早いんだ。

男は 先に帰るなんて言っちゃダメ。

こういう時は 「送ってってあげようか」
って言うもんよ。

遠回りだろ…。
もう… つれないわね。

イテテテテテテ…。

待って。

♬~

また… 会ってね。

きっとよ。

♬~

<水が低い方に流れるように

アタシたちは
男と女の仲になっていきました>

♬~

男とみられた上からぁ
窮屈な目をするだけ無駄だ。

もし お侍さん お察しのとおり
わっちゃあ 男さ。

≪(助六と女たちの声)
どなたも まっぴら。

今 けえったよ。
こんばんは!

連れ込み宿にするつもりなら
おひとり 五百円 頂きます。

それが嫌なら 出てっておくれ。
あたしゃ 芝居の稽古がしたいんだ。

何よ 話が違うじゃない!
金なんか無いよ!

坊!
さあ 行った 行った!

芸の肥やしだって
毎日 食ってりゃ もたれちまう。

いいかげんにしときな。
で~じょうぶだって。

ひいきの お客でよ
羽振りのいい お大尽がいてな。

今日は 大勢 連れて来てくれて 鹿芝居の
テケツも だいぶ はけた。

二ツ目だけの会なのに?

いや 俺の人気は 大したもんよ。
坊の方は どうなんだい?

テケツは さばけてんのか?
ぼちぼち…。

心配すんな。 俺が おめえの分まで

さばいてやるからよ。

よいしょ…。

神様は不公平だ。
あっ?

遊んでんのに 腕ぇ上げて
仕事もらえて お客にもウケて

初太郎ばっかり。

今日は だいぶ気が立ってんなぁ。
まあ ふだん世話になってるからなぁ。

よし… 八つ当たりでも いくらでも
ぶん投げな。

アハハハハ… よし来い!

<このころのアタシは 何事も

「初太郎」という物差しを通してでしか
見られなくなっておりました。

腕があって 人気がある
テケツも売れる。

ひがんで 女々しくなっている私を
受け止める度量もある>

♬~

菊さ~ん どうしたの?

♬~

芝居の道具を借りに。 参ったわ
せっかく髪を結ってもらったのに。

ねえ すぐそこなの。 送ってよ。

お稽古しなきゃ。
また落語?

明日は芝居やるんだ。

へぇ~ 菊さんが お芝居?
どんな話か聞かせて。

もう ここから出られないもん。

♬~

だいぶ上手になったね。

♬~

雨で足が痛む。 さすっとくれよ。

♬~

しょぼくれてんね。 なんかあった?

落語…

もしかして向いてないのかもしれない。

どうして?

時々 分からなくなるんだ。

俺は 誰のため…

なんのために落語をやってるのか。

私のために やってよ。

ここじゃないのかもしれない。

アタシの居場所は…。

♬~

菊さん 魅力的だし
しゃべってる姿が とっても きれい。

そんなもん 落語に必要あるかい。
必要なのは愛きょう。

それが 致命的に ねえ。

初太郎には かなわねえんだ。

悔しいけど どんなに努力しても
その差が埋まらねえ。

(みよ吉)自分で作るもんなんじゃない?

自分の居場所は 自分で作るしかない。

ねえ 明日は何やるの?

弁天小僧…。
え~ 楽しみ!

きっと すっごく きれいよ。
私 お化粧やったげる!

≪(お栄)みよちゃん。

みよちゃん。 あれ… お客さん?

こちら お栄ちゃん。
いろいろ教えてもらってるんだ。

どうも。

(お栄)もしかして 七代目の?
お弟子さんの菊比古さん。

七代目と 女将さんには ないしょね。

ちょっと。

修業の身なのに この家に お客さん
連れ込んだなんて知られたら

大ごとだよ。
(みよ吉)大丈夫。

菊さんは そんなんじゃない。

(雷鳴)

(雷鳴)

(松田)らっしゃい らっしゃい!
はい はい!

はい どうぞ! 今 一番 勢いのある
噺家たちによる お芝居だよ!

鹿芝居! ハハッ。

松田さん 入りは どうだい?

ちょっと ちょっと ほら 上々ですよ。
ビラ いっぱい配りましたからね。

悪いねぇ 人手が足りなくてよ。
いいんですよ。

でも 若手ばかりで よくぞここまで。

どうしたい お前ら。
なんだか異様な雰囲気で。

♬~

もういい?
あん… しゃべっちゃダメ。

もっと もっと きれいに
化けさせてあげるから。

(みよ吉)はい できた。

どれどれ? こりゃあ いいなぁ。

客も喜ぶぜ。
なんでぇ。

小せえ小屋だけどよ
いっぱい来てくだすった。

心底 満足させてやりてえなぁ。

♬~

帰る…。
おいおい。

芝居なんか やったことねえし
どうせ ウケるわけがねえ。

で~じょうぶだって。
さんざっぱら稽古したろ?

衣装が重いし 苦しいし。
これじゃ 舞台で吐いちまう。

≪(拍子木の音)

≪(客の拍手と歓声)

私は 大きなお座敷に出る時にね

はじめに お客を見渡してやるの。

そしたら 怖いことなんかなくなるの。

≪(拍子木の音)

なあ 兄弟 そろそろ 腹 据えろ。

その面 見せつけてやんな。
そしたら 客なんか ついてくんだよ。

♬~

(拍手)

お嬢様! お嬢様!

お嬢様!

♬~

(客たち)おぉ~!

よっ!
(拍手)

♬~

これ 四十八
松屋というのは どこじゃぞいのぉ。

つい向こうに見えます
呉服店でござりまする。

婚礼の支度じゃということは

必ず言うてたもるなや?

申してもよいではござりませぬか。

それでも わたしゃ 恥ずかしいわいな。

言うて悪くは申しますまい。

お嬢様 おいでなされませ。

♬~

<みんな見てる…。
何なんだ この感覚ぁ…。

アタシが動くと お客の気も動く…>

おう 兄貴。 もう化けちゃあいられねえ。

おらぁ 尻尾を…

出しちゃうぜ。

<アタシが見せると お客が見てくれる。

アタシの… 骨の髄まで…>

知らざぁ言ってぇ… 聞かせやしょう…。

(客)待ってました!

名さへ由縁の弁天小僧

菊之助とは…

俺の~こと~だ!

日本一!
菊比古!

(拍手と歓声)

♬~

大成功だ! 聞いたか あの拍手!

おめえは すげぇよ!
やって良かったなぁ!

写真機 借りられました。 ほら!
さあ ここ 二人 並んで。

こんな格好 残したかねえや。
いいから やれって。

(松田)いいですか?
へい。 寄ってくださいよ。

さあ 寄ってください。
へい。 え~と。

いいですか?
へい。 はい。

(カメラのシャッター音)
(松田)もう一枚 撮りますから…。

笑ってるか?
だから 一枚でいいんだよ。

(松田)せっかくですから ちょっと
もう一枚 撮りましょうよ。

なんの せっかくだよ。
(松田)ちょっと待ってください。

おい… 打ち上げ来りゃいいのに。

菊さんに 終わったら帰れって
言われたのよ。

夜道は危ねえ。 送ってくよ。
大丈夫よ。

打ち上げ ダンナ方の相手しなきゃでしょ。

菊さんに またゆっくりって伝えて。

♬~

あなた 意外と優しいのね。

菊さんとは大違い だろ?

♬~

かい性なしが…
女ひとりで帰すたぁ どういう料簡でぇ!

勝手だろ。

お前 兄弟子の言うこたぁ
ちゃんと聞けよ。 誰が兄弟子だい。

弟子入りは アタシの方が先なんだよ。

門くぐったのは 俺の方が…
あっ 今日は やめよう。

気分が いいんだ。 ケンカは よそうぜ。

今日の客の顔
良かったなぁ…。 坊のおかげだ。

まるで満州で見た兵隊さんの顔だった。

なんだい そりゃ。 聞いたことないよ。

兵隊さんに落語を聞かせてやると
心底 喜んでくれてさ。

娯楽に飢えきってるから
大歓迎してくれんだ。

いずれは 人を殺したり
殺されたりするっていう兵隊さんがさ

今日みたいな顔でよ。 うれしそうにさぁ。

あの兵隊さんたち
何人が生きて帰れたかねぇ。

俺ぁ あの顔が大好きでよ。
そんで 俺は決めたんだ。

俺ぁ 人のために落語をやるんだ。

そう決めたんだ。

なあ 坊 おめえは どうなんだい?

♬~

お前は まだ 自分の落語ってのを
見つけてねえんだ。

俺ぁ 人のために落語をやるんだ。

<アタシの落語は なんのため?>

♬~

お願いします。 ここに居させてください!

自分の居場所は 自分で作るしかない。

♬~

♬~ (拍手)

(拍手)

<アタシの居場所は アタシが作る>

品川の新宿に
白木屋という女郎屋がございまして。

ここの板頭を務めておりました お染さん
まあ 昔は 大変 売れたんですが

だんだんトシをとってきて
シワが目立つようになった。

そうなると お客は正直ですから
お染さんから離れていく。

移り替えという時期になりますと
たいそう お金がいります。

若い売れっ子連中は
みんな済ましておりますが

店で 移り替えを済ましていないのが
お染さんひとりきり。

「くやしいっ
もう こんな みっともないこと

移り替えが できないくらいなら
死んじゃう。

でも あたしひとりで死んだら

お染は お金の都合がつかなくて死んだ
そう言われるから

誰か相手を見つけて 一緒に死のう。

そうすれば 心中と浮き名が立って
いいだろう。

誰がいいかねぇ。
ああ この人なんか いいんだけどねぇ。

親ひとり子ひとりだからねぇ
死なしちゃうと かわいそうだねぇ」。

(客の笑い) 「ああ この人は 子供が
五人もいるんだよねぇ。

なんで こんな所に来るんだろう」。
(笑い)

「これも死なしちゃうと
しょうがないねぇ」。

七代目 菊坊がよ
なんだか化けたようだぜ。 えっ?

「実はね お足がいるの」。

「金? いくらありゃいいんだよ。
いくらだよ 百両かい? 二百両かい?」。

「あら 頼もしい。 五十両」。

「五十両? そりゃあ大金だ」。

「ほら ご覧よ。 だからさ お前さんに
こしらえてとは言わないよ。

でもねぇ 移り替えができないんじゃ
みっともないから

あたしゃ死んじゃおうと思ってんの。

だけど お前さんとは
夫婦の約束をしたろ?

ねえ? 独りで死んじゃ悪いと思ってさ。

あたしが死んじゃったら お前さん」。

(客の笑い)
「かわいそうなやつだと思って

折れた線香の一本でも手向けておくれ」。

「お前 死んじゃうのか?
お前が死ぬんだったら 俺も死ぬよ」。

<なんのための落語。
てめえの居場所をこさえるため。

ここに居ても大丈夫だと思うため。

自分が自分でいるため。

作るんだ てめえで てめえの居場所を>

さあ この金蔵を
逃がしちゃいけないってんで

ふだん そっけない お染は
大変な もてなしようで。

明くる朝になるってえと
金さん ぽ~っとしちゃって

「あの女のためなら
命は いらねえ」。

このあと 仕返しに参ります

品川心中の上でございます。

(拍手)

<これが… アタシの落語>

♬~

(イネ)菊さん 今日は すごく良かったよ。

(アキコ)なんか あったんですか?

ないしょ。