ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

昭和元禄落語心中 第1話 岡田将生、山崎育三郎、竜星涼、成海璃子、大政絢… ドラマの原作・キャストなど…

『ドラマ10 昭和元禄落語心中(1)[新]<全10回>「約束」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数BEST10&ワードクラウド

  1. 落語
  2. 師匠
  3. アタシ
  4. オイラ
  5. 与太郎
  6. 小夏
  7. 死神
  8. お前さん
  9. 助六
  10. 弟子

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『ドラマ10 昭和元禄落語心中(1)[新]<全10回>「約束」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)&EPG情報(出典)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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dramalog.hatenablog.com 

 

 

ドラマ10 昭和元禄落語心中(1)[新]<全10回>「約束」[解][字]

昭和50年代。名人落語家・八雲は、刑務所帰りの若者・与太郎を弟子にする。八雲はかつて事故死した親友・助六の遺児・小夏から、「お前が父を殺した」と恨まれていた。

詳細情報
番組内容
昭和50年代。名人落語家・有楽亭八雲(岡田将生)は、刑務所帰りの風変わりな若者・与太郎竜星涼)を弟子にする。住み込みで修行を始めた与太郎は、八雲と養女・小夏(成海璃子)との間に深い確執があることを知る。小夏の実父は、落語家で八雲の親友だった有楽亭助六(山崎育三郎)。母は芸者だったみよ吉(大政絢)。ふたりは昭和30年代に謎の事故死を遂げていた。小夏は八雲に「あんたが殺したんだ」と言い放つ。
出演者
【出演】岡田将生,山崎育三郎,竜星涼成海璃子大政絢
原作・脚本
【原作】雲田はるこ,【脚本】羽原大介
監督・演出
【落語監修】柳家喬太郎
音楽
【音楽】村松崇継

 


(拍手)

(助六の声)

(みよ吉)死んで… 一緒に。

(小夏)わぁ~!

(八雲)<アタシは また…

捨てられました>

(所員)あんちゃん 出迎えなしか。
当ては あんのかい?

(与太郎)あるよ。 寄席へ行くんだ。

♬~(出囃子)

(拍手)

え… いっぱいの おはこびで…。

世の中ってものは 男と女でございます。

今日は ひとつ
心中のお噂を申し上げます。

♬~

おう おいちゃん。
これ 八雲先生の車だべ?

いろいろ調べて
やっと ここまで来たんだよ。

(松田)あの…。
弟子にしてもらいてえんだ。

八雲大先生に
弟子入りさせてもらうまでは…。

あっ…。
テコでも ここを動かねえ。

そういうことでしたら 残念ですが…。

あっ? なんで?

八代目は 弟子を取ってらっしゃいません。

えっ!?

そんじゃ この先
オイラ どうしたらいいんだよ!

そう言われましても…。 おいちゃん
どうにか 口 利いてくれよ。

なっ 頼むよ! 俺ら友達だろ?
えっ…?

ちょいと。

ウチの松田が 何か失礼でも?

大先生!

ちょっと!
やっと会えた!

松田さん なんです? この与太郎は。

オイラ アンタに 一目ぼれしたんだ。

1年前の刑務所落語慰問会で
「死神」って噺を 演ってくれた時…。

「千両で 命 売りやがった」。

ろくでもねえ男が
死神に そそのかされて

うまいこと もうけて
そんで ゲラゲラ笑ってたら

最後には ズルやって 寿命の ろうそくが
消えちまうってんだからよ~。

「ほお~ら… 消えた」。

つまり お前さんは 監獄帰りか。

おう! 本日 出たてだい!

それにしちゃあ ずいぶん楽しげだねぇ。

あきれた与太郎だ。

刑務所 出たら
今までに見た 一番偉ぇ人に

ついてこうって決めてた。
それが アンタだ!

ま ま… 待ってくれ! 頼む!

俺には 他に 居場所も
生きる道も ねえんだ!

車に乗んな。

ありがとうございます!

♬~

(小夏)「わ~ 開けてくれ
開けてくれ!

わ~ 開けてくれ!」。

「はい はい
その声は 隣家の八っつぁんだな。

待ちな 待ちな そう どんどん どんどん
どんどん たたいちゃいかん。

ご近所に迷惑だ」。

「わ~!」。

「ちょっと お待ちよ。

うちの戸は やわに出来てんだから
そう 戸を どんどん どんどん」。

小夏。
「お~ 痛い。 お~ 痛い。

お前さん なんだって…」。
小夏 いるんだろ。

♬~

今日から ウチで面倒見るから
いろいろ教えてやってくれ。

どうもっす。
面倒見るって?

弟子 取ったんだ。

今更 なに言ってんだ。
弟子は 一生 取らねえって…。

これは 小夏。 かんしゃく持ちの
ハネッカエリだけど

まあ 悪いやつじゃないよ。

ふざけんな!

ああ ちょっと… こっち。
おう。

(松田)有楽亭助六

20年前に ご活躍なすった
希代の天才とも言われた名人です。

小夏さんの
実のお父さんです。 へぇ~。

戦後まもなく
黄金期と呼ばれた落語界を

八代目と お二人で
若手のホープとして支えてらした。

師匠も助六さんも 噺家として
乗りに乗って

さあ これからって時に
助六さんは 鬼籍に入られて…。

死んじまったのか?

残された小夏さんは
他に身寄りもなかったことから

八代目が
お引き受けなすったというわけで。

ふ~ん… つまり
義理の父と娘みてえなもんか。

与太郎 ちょいと 顔 貸しな。

悪いこたぁ言わないよ。
弟子入りなんて諦めるんだね。

姉御 そりゃねえっすよ。

アネゴって呼ぶな。
私まで ヤクザになった気になんだろ。

オイラは ヤクザじゃねえですよ。
じゃ なんで ムショ入ってたんだ。

なんか しでかしたんだろ。
してません。

オイラは なんもしてねえのに 刑務所
入ることに なっちまったんすよ。

あきれた与太郎だよ。
その「与太郎」ってのは…。

あんたみたいなやつが
落語に よく出てくるんだ。

バカで まぬけな男のこと。
へぇ~。

ともかく あのオッサンが
本気で弟子なんか取るわけない。

アイツは 自分の芸を残そうなんざ
全然 考えちゃいない。

言ってたんだよ
落語と心中するって。

落語と 心中?

(小夏)だから ずっと 弟子も取らず
独りでやってる。

アイツは てめえのことしか考えてない。

私は そういうとこが大っ嫌い。

よく分かんねえけど 一つだけ分かった。

アネさんも 落語が大好きなんだね。

私?
好きなんだべ?

女が 落語なんか できたって…。

えっ… しゃべる方も できんの?
すっげえ!

一席 やってみてくれよ。
図に乗るんじゃないよ。

いった…。

こちらです。

狭いところですが。

刑務所に比べりゃ 極楽よ。
最高だね こりゃ!

♬~(三味線)
おっ レコード?

ああ いえ 師匠の稽古です。

落語には 小唄や三味線
踊りも必要ですからね。

へぇ~ なんて ぜいたくなうちだ。

じゃあ 私は これで。
おう!

これ よかったら どうぞ。

松田さん ありがとよ。
いいえ。

じゃあ お休みなさい。
おう!

ああ…!

≪(八雲が落語の稽古をする声)

こんな いいもんが
この世から なくなっちまうなんて

悲しいよなぁ。

(いびき)

♬~

与太 次は小物屋。
寄席の出番には まだちょっとある。

遊ぶよ。
へ~い!

弟子ってえのは いいもんだ。

こんなことなら もっと早くに
来てくれりゃあよかった。

こんにちは~。
こんちは!

♬~

(イネ)おはようございます。
おはよう。

おはようございます。
おはようございます。

ここが楽屋。

(アマケン)やあ やあ 八代目
ご機嫌麗しゅう。

先日の名人会 感動致しました。

まさに 極め尽くした…。 邪魔。
はい。

では また 後ほど。

誰ですか? 演芸評論家。
アタシのファン。

お前さんは 寄席ん中 見ておいで。

人に会ったら 誰にでも
挨拶だけしときゃあいい。

うす!

おはようございます!
与太郎と発しやす!

以後 お見知りおきのほど
よろしく お頼み申します!

八雲師匠の内弟子
してもらったんだって?

(アキコ)弟子は取らないって聞いてたのに
どうやって弟子入りしたんですか?

普通に 「お願いします」って。

そういや どことなく
似てるねぇ。 誰とです?

オイラ 誰かに似てるんですか?

(アマケン)ちょっといい?

手前 与太郎と発しやす!
八雲師匠の弟子です!

冗談だよね?
本当です。

八代目は 弟子を取りません。

なぜなら 八代目の芸は
「孤独でいてこそ芸が磨かれる」という

崇高なポリシーに基づいており
だからこそ あの洗練された芸

八代目の落語こそが 真の落語。

まあ 中には 助六こそ天才と言う
やからもいるが

あんな あてずっぽうは
落語じゃありません。

助六って 確か…。

♬~(出囃子)

待ってました!

♬~(出囃子)

(拍手)

困った時の神頼みなんてことを
申しますが。

<「死神」だ!>

「死のうたってなぁ
俺 初めて死ぬんだからなぁ

死にようが分からねえけど
どうやったら死ねるんだろうなぁ」。

「おせ~てやろうか」。

「なんだい てめえは」。

「死神だよ」。

「死神? うわ そっちに行けよ
気味悪ぃなぁ おい

どっかに行ってくれよ」。

「そう じゃけんにするねえ。

いっぺんしか言わねえよ。

あじゃらかもくれん てけれっつのぱ。

で 手を二つ ポンポンだ」。

「これで… 死神さん? 死神さん?」。

なるほど 消えちまった。

「なんだい おめえは」。

「死神だよ」。

「死神? そっち行けよ。 気味悪ぃな おい。
どっか行ってくれよ」。

「そう じゃけんにするねえ」。

それ オッサンの「死神」だろ?

1回 聞いただけで
覚えちゃったのかい?

ムショで聞いたから 2回目だよ。

好きなもんは 覚えちまう。

へぇ~ バカも一芸ってやつだね。

なあ アネさん
オイラ 誰かに似てんのか?

さあね…。

それより アンタの「死神」は
落語じゃなくて コントだね。

あの嫌みっぽい死神は
オッサンが演るから味がある。

うちの父ちゃんのは
もっと軽い調子で演ってたけど。

えっ? 落語って
自分勝手に演ってもいいの?

どうとでもね。

じゃあ 演ってみてくれよ
おやじさんの「死神」。

嫌だ。
頼むよ! さわりだけで いいからよ。

なっ! 頼む!

ちょっとだけだぞ。
よっしゃ~!

「おせ~てやろうか」。

「なんだい じいさん」。

「死神だ」。

「死神!?

あっ ほんとだ 死神だ。

どっからどう見ても 死神だ。

気味悪ぃから どっか行けよ。
行けってんだよ。

おめえ 仕事もねえ」。
いい声だなぁ。

りんとしてて よく通る。

(助六)いい声だなぁ。
よ~く通って気持ちがいいや。

けど アネさん そんだけ しゃべれりゃ
プロになれんだろ?

やりゃいいじゃん。 なんで やんねえの?

バカお言い。
女真打ちなんざ 聞いたこともないよ。

それに あのオッサンが
許すわきゃあないんだよ。

ただいま。

師匠! ちょっと いいですか?

なんだい?

そろそろ 師匠の落語を
ちゃんと教わりてえ。

オイラのことを かわいがってくれんのは
ありがてえし うれしい。

でも 芸のことも
厳しくたっていいから教えてくれ。

それと もう一つ

アネさんも
師匠に弟子入りしたいそうです。

バカ なに 勝手に 話 作ってんだい!
さっき言ってたろ?

ほら こうするだけだ アネさん!
お願いします!

私…。

おや アタシに 頭 下げんのかい。

こりゃあ 見ものだ。

ほら アネさん!

コソコソ何かやってると思やぁ…

全部 あの人のネタだねぇ。

悪ぃかよ 好きなんだ!

師匠! アタシに ケンカ
売ろうってのかい?

不愉快な子だよ!

アネさん! ダメだ!

殺してやる! 仇討ちだよ!

仇討ち?

父ちゃんは… 有楽亭助六

お前が殺したんだ!

♬~

松田さん。

師匠が 助六を殺したって
どういうことだ?

なあ 松田さん!

このまま この家に
置いてもらいたかったら

その話は 二度としない方が
よろしいかと。

≪「私 若旦那に捨てられたら
生きていけない。

生きていたって しかたがない。

生きていたくない…」。

≪「若旦那 あの子に お三味線を
こしらえてくださいましたでしょ。

そのお三味線が届いたんですよ」。

≪出ておいで。

アタシは 稽古は
しとりっきりでやりたい。

もう 三月たつんだ。
いいかげん覚えておくれ。

はい!

いいかい アタシが
協会に 届け出すまで

お前さんは 前座でもないんだよ。

分かってます。
届け出が出されるまでは 見習い。

だけど オイラ 早く 一人前になりてえ。
頼む お願いします!

明日 萬歳師匠と二人会だから
ついといで。

やった!

萬歳師匠は 協会の会長
アタシも世話になったお人だ。

くれぐれも粗相のないように。

合点承知之助!

♬~

失礼します。

(萬歳)お~ 八雲 今年も すまねえ。

師匠 ご無沙汰しております。

おっ 噂の弟子ってのは
おまいさんか?

はじめまして! 与太郎と発しやす!
どうぞ お見知りおき…。

ハッハッハッハッハッ。
ずいぶんと威勢のいい与太郎だ。

お前みてえな陰気な男には
こんぐれぇ大ざっぱが ちょうどいい。

八雲の弟子ってこたぁ
アタシにとっては 孫みてえなもんだ。

おい 精進しな。

萬月さん よろしく お願いしますよ。

(萬月)はい 師匠。

(萬歳の話し声)

(萬月)今日の 八代目の演目は
「たちきり」。

芸者と恋仲になった若旦那が
親に反対されて蔵に閉じ込められる。

会えないうちに 女は
恋い焦がれて死んでしまう。

それを知った若旦那…
その心情描写が切々と伝わる。

何度 聞いても ため息が出る。
あれが 本当の名人芸だ。

そうさ オイラ 刑務所で
いっぺん聞いた時から

この人しかないって
ピンと来たもんだ。 刑務所?

君 刑務所帰りなのか?
おう。

どうして 君なんかが…。

僕は 八代目に弟子入りをお願いして
なんべんも断られてる。

えっ? でも アンタ 萬歳師匠の…。

おやじの芸には興味がない。
実の親子なんですか…。

八代目の落語が 僕の理想の落語。

小夏さんは元気?

アネさんのことも知ってんのかい。
弟子入りしたくて あの家に通い詰めてね。

名人助六の忘れ形見で 名人八雲の養女。

落語界のプリンセスのような存在だ。

羨ましいよ そんな家に住めるなんて
嫉妬で どうにかなりそうだ。

嫉妬すんのは オイラの方だい。

生まれた時から 落語家の息子だなんてよ。

助六に似てる?

与太郎がですかい?

フッ おまいさんだって
とっくに気付いているはずだ。

顔だちじゃあねえ 様子が似ている。

助六に似ているから
弟子に取ったんだろ?

いや そんなこたぁ…。

小夏ちゃん 今でも
おまいさんのことを恨んでいるのか?

ええ。

あの子の おっかさん みよ吉ってえたね。

あの時分を知ってるってえ人間も
ずいぶん少なくなってきた。

あの若さで 二人一緒に
おっちんじまうとはなぁ…。

♬~

えっ… お嬢さん 何なさってるんです?

あ~ アハハハ 懐かしいなぁ。

あ~ これ 鹿芝居の時だ。
鹿芝居?

噺家のやる お芝居だから しかしばい。
噺家の余興ですよ。

こんなに仲良かったの?

あ~ もう 始終一緒で
悪さばっかりして

七代目に しょっちゅう
大目玉くらってましたよ。

そんな二人が いまや 片方は死んじまって
片方は名人で…。

皮肉な話さ。
お嬢さん…。

松田さん 私 ずっと考えてたんだ。

本当は 父ちゃんが 「八代目八雲」を
継いでたんじゃないかって。

「あの子は 布団の上に起き上がりまして

震える手で ひとばち

シャーン あてました」。

「小糸 いい音がするねって
そう申しましたら

あの子が 初めて
うれしそうに笑いましてねぇ…」。

「母さん…

あたし もう疲れた…」。

「知りませんでした…

もし そうと分かっていたら
あたしゃ 蔵の戸なんぞ

蹴破ってでも
出てきたんだ」。

(せきこみ)

♬~(三味線)

「母さん… お三味線…」。

「あの子が 若旦那のお好きな 黒髪

弾いてますねぇ…」。

「小糸… 小糸…

自分の命を詰めてまで

あたしのことを想ってくれて
ありがとう。

あたしゃ 生涯 妻と名のつく者は
持たないから

それで許しておくれ…」。

本当に誰かに謝ってるみてえだ…。

「きれいなところに お参りしてね…」。

(笑い声)

あっ アネさん!
アネさんも飲まないかい?

小夏さん お久しぶりです。

(花火が打ち上がる音)
あ~!

た~まや~! ハハハハッ。

師匠! 花火!

萬歳師匠 お加減は
あまり芳しくないようですな。

実は 高座に上がるのも反対したんです。

舌も回ってなかったし
昔に比べると 声も…。

アタシも アナタも いずれ そうなる。

そうですね…。

噺家ってのは 罪な商売ですなぁ。

死んじまったら
芸も何もかも 全部 持ってっちまう。

こんなふうに こじんまりした芸はねえ。

身近でなくなりゃ 一緒に終わり。
それで いいんです。

(花火が打ち上がる音)

だったら パッと散った方が
いくらか粋じゃ…。

師匠! ねえ 師匠!
なんだい!

オイラの落語が聞きてえって。
やっていいっすか?

君 酔ってるね? 師匠の前なのに。

だって 師匠が
飲んでいいって言ったんだもん。

てめえで考えな。
へい!

やっていいって!

おかえんなさ~い 若旦那!
若旦那 おかえんなさ~い!

あっ さだきち さだきち!
おっ さだきち!

ベロベロに酔っ払ってるし
筋も台詞も めちゃくちゃですね。

けど…。
肩すかし くっちまうって。

(萬月)変な子ですねぇ。

(笑い声)

なんだか おかしくってしょうがない。

「黙って あっしに 一円おくれ」。

「何なんだね お前さんは。 えっ?
朝っぱらから 人を」。

あんな落語は 我慢ならない。

酔ってるわ 作法も技術も なってねえ。

しかも 型は アタシのときてる。

アタシの居ねえところでは
絶対に やるんじゃねえ。

はい…。
前座ってのは 修業中の身だ。

それを ひとさまの前で
一席なんざぁ 生意気の極み。

言語道断です。
すいませんでした!

そういうのは
二ツ目んなってから おやり。

はい!

♬~

お前さんは 本当に いじめがいも
からかいがいも ねえな。

はい?

前座にしてやるって言ってんだよ。
早く気付きやがれ。

はい!?

師匠!

やめなさい。

♬~

(お栄)三味線の扱いも慣れてるし

女中じゃなくて
お座敷やった方が稼げるだろ?

嫌です オッサンみたいなやつに
愛想 振りまくなんて。

おっかさんとは まるで逆。

女将さん 母ちゃんと
仲良かったんですよね?

一緒に 芸者の修業してたからね。

じゃあ あの事故のことも?

ねえ 女将さん 知ってること教えて。

ほんとは何が起きたのか
ちゃんと知りたい。

私 その場にいたのに
肝心なことは なんにも覚えてなくて…。

アンタが そんなんじゃ あの二人も
成仏しきれやしないじゃないか。

過ぎたことに
がんじがらめに なってちゃダメ。

親の代わりに 八雲師匠が アンタを
ここまで育ててくれて 感謝しなきゃ。

もう そんな顔は およし。

いい女が 台なしだよ。

♬~

(呼び込みをする声)

♬~(出囃子)

え~ 名前というのは 大事なもんで。
子供が生まれ 名前をつける。

どういうふうに
名前をつけようかなんてのは

いつの時代になっても
頭を悩ませてるところでございまして…。

「こんちはぁ 和尚さん いますか?
こんちはぁ」。

「はい はい。 お~ 八っつぁんじゃねえか。
珍しいな。 なんか用かい?

まあ まあ こっちへ お上がり」。

「いえね 別に
大した用ってわけじゃねえんですけどね

長屋でね お子さんが
お生まれになりました」。

「こいつは知らなかった。
一体 どちらで お生まれになった?」。

「へぇ あっしんところで
お生まれになりました」。

「自分ところで
お生まれになったってやつがあるかい」。

(席亭)小夏ちゃん。
お席亭 こんにちは。

珍しいね。 与太郎ちゃん?

見てよ 私が居るのも気付いてない。

「食う寝る処に住む処
藪ら柑子のブラ柑子

パイポ パイポ パイポシューリンガン
グーリンダイ ポンポコピーの…」。

全く客が見えてない。
全部 一人でやってるよ。

「おばちゃ~ん 遅刻するから 先 行くよ」。

「ええ~ん あんまり名前が長いから
コブが引っ込んじゃった」。

(まばらな拍手)

♬~

お席亭。

お父ちゃんのこと 覚えてる?

お願いします。

小夏 これ持って
萩の間に行っておくれ。 はい。

失礼致します。

ちょいと 話があるんだ。

仕事中だよ。

アタシが 怖ぇかい?

陰で コソコソ あの時のことを
探ってるんだって?

アタシが お前の お父っつぁんを
殺したと思ってんなら それでいい。

それで お前さんの気が済むってんなら

いくらでも しょってやるよ。

アタシを殺そうが何しようが
お前さんの自由だ。

だけどねぇ

お前さんが 噺家になって
アタシの鼻 明かそうって魂胆なら

全身全霊をかけて 阻止する。

なんで?
不可能なのさ。

女は 噺家には向かない。

こればっかりは どうにもならねえ。

父ちゃんの落語を根絶やしにしたくない。

え~ よく 趣味道楽なんてことを
申しますが。

「おお~い! 開けてくれ 開けてくれ!

先生! おお~い! 開けてくれ~!」。

「ちょいと お待ちよ
うちの戸は やわに出来てんだから

そう どんどん たたいちゃいかん」。

「はっはっはっ どうも すいません。

今 夢中で どんどん どんどん
たたいてるってえとね

いきなり 戸が スッと」。
「いきなり 戸が スッと開いて

先生の頭が にゅっと出てきたんで 思わず
ポカッと やっちゃったんですよ。

勘弁してくんねえなぁ。
それより 先生

黙って あっしに 一円おくれ」。

「何なんだ お前さんは… えっ?
朝っぱらから 人をたたき起こして

頭を殴って 何が 一円おくれだ」。

♬「上げ潮 南さあ」

♬「カラスぱっと出て こらさのさあ」

♬「骨があると さいさいさい」

♬「ほら すちゃらかちゃん
ほら すちゃらかちゃん」

父ちゃん…。

「こんな針で 骨が釣れるかよってんだ」。

「あら この人 針 とっちゃったよ」。

ざらしで。

♬~

助六は 今も…

アタシん中で生きてる。

♬~

お前さんの中の
神様みてえな助六と おんなじにな。

♬~

与太郎の子守

お前さんも 少しは やっておくれ。

なんで 私が…?

噺 教えろって しつけえんだ。

ちょいと。

ちょいと!

与太。 起きろ!

与太郎
はい! はい!

ああ… アネさん。
アンタ うそついたね?

ヤクザじゃねえって言ってたろ。
その背中のもんは何なんだい!

ああ… 痛くって 筋彫りで やめちまった。

オイラ 何もかも中途半端でよう。
ヤクザも 途中で やめましたから

元ヤクザっす。
やっぱり そうなんじゃない!

刑務所 行って お務めするかわりに
すっぱり辞めさせてもらったんです。

そんなもん しょってて
バレた時 どうすんだい?

寄席のみんなは もう知ってらぁ。
訳 話したら ゲラゲラ笑ってくれました。

落語の世界は ダメなやつにだって
ちゃんと優しいんだ。

オイラ 師匠に出会えて 落語に出会えて
ほんっとうに果報もんだい。

でも 師匠
全然 教えてくんねえんだよなぁ。

なら 覚えるだけなら
私が稽古してやる。 えっ…?

素人芸だけど ねえよりマシだろ?

(2人)「食う寝る処に住む処」。

「藪ら柑子のブラ柑子」。
パイポ パイポ…」。

「藪ら柑子のブラ柑子」。 はい そこから。

(2人)「藪ら柑子のブラ柑子 パイポ
パイポ パイポシューリンガン」。

≪(小夏と与太郎が稽古する声)

八つを頭に 四人の子供がございます。

しちじゅ…。 痛っ…!

(小夏)また詰まった。
なんべん同じ間違えしてんだい!

駒が ないよ。 今日は おしまい。

アネさんが おっかなすぎて
ますます できねえんだよ。

大体 なんで こんなネタ選んだんだい?

まぬけな新米泥棒と親分の噺ってのがさ
どうも 昔のオイラに だぶって。

アンタの落語には
人に聴かせようっていう気がない。

ダラダラこなすだけで
お客が置いてきぼりなんだ。

口で言うのは簡単だけどよう…。

兄貴!

(兄貴)久しぶりだな。

わざわざ オイラのこと捜してくれたんだ。
小せえ街だ 訳なかったよ。

落語やってんだって?
うん。

くだらねえ。

また 命 張って 生きようぜ。
いい話があるんだ。 兄貴…。

前みてえに ムショ行って
出てくるだけで 幹部。 うそじゃねえ。

あっ… 俺ぁ 組 抜けたんだ。

バカか おめえ。 …んな簡単に
足抜けできると思ってんのか?

兄貴…。
断れねえんだよ おめえは 俺の頼みを。

だろ?

アンタ 吉切組のチンピラだろ? 私は…。

女は黙ってろ!

♬~

オイラ… 俺は 落語が やりてえ。

なんで落語なんだよ。
そんな くだらねえもん。

くだらなくねえ!

お取り込み中 失礼。
子供のケンカは もう おしまい。

師匠…。

ウチのが 昔 世話んなったってねぇ。
ご挨拶が遅れまして。

今 これの親代わり
やらせてもらってるもんです。

お前さんが ボロボロにして
捨てちまったのを

なんの因果か アタシが拾っちまってねぇ。

与太 寄席があるんだろ。
とっとと支度しな。

へい…!

おい!
あとで 寄席ぇ顔を出すからね。

この人 連れて。

えっ…?

聴かしてやんな くだらねえ落語をね。

へい!

♬~

八代目 どういった風の吹き回しで?

お席亭 すいませんね。

今日の与太ばかりは
客席から見させておくれ。

♬~

<どうすりゃいい…
兄貴を笑わせてぇ…。

なんで落語かを伝えてぇ!>

♬~

エヘッ どうも 本日は わざわざ
私のためなんぞに お越し頂きまして

本当に ありがとうございます!

え~ 「盗っ人にも三分の理」なんてぇ
言葉がございますが

どうも 噺ん中に出てくる
泥棒なんてぇのには

理に合わねえやつが多いようで。

(小夏)<「出来心」
あんだけトチってたのに あのアホ>

「今のうちに 足 洗わせて
堅気にした方がいいってなぁ。

どうする 堅気になっちまうか」。

「え~ でも せっかく こうやって
親分・子分の盃を頂戴したんですから。

まあ あっしも 料簡を入れ替えまして
一生懸命 悪事に励みますから」。

(笑い)
<ウケた!

オイラの噺が ウケてる!>

「はっはっはっ なるほど 分かりました。

すいません 風呂敷の大きいのあったら
貸して下さい」。

「どうするんでぇい」。
「盗んだものを包んできますから」。

「いいよ むこうので包んでくりゃあ」。
「でも 返しに行くのが面倒で」。

「返さなくたっていいよ まぬけ。
そんなの みんな とりっぱなしだ」。

今日の与太ちゃん いいね。

「分かったら 行ってこい」。

「じゃあ 親分
そろそろ 空き巣を狙いに!」。

「大きい声すんねえ! ないしょで行け」。

「へい。 あとは たんす」。

「なんだい たんすなんぞ
持ってったのかい?」。

「裏は 花色木綿」。
「たんすに裏があるかよ」。

「あとは 札で」。

「おめえさんのとこに
札なんぞあったのか」。

「裏は 花色木綿」。
(笑い)

「札に 裏があるかよ!
いいかげんにしろ こんちくしょう!」。

「床下から 変な野郎が出てきやがった。
なんだ おめえは。

あっ 泥棒だな」。

「あっ! いけねえ! え~と…
長いこと失業致しておりまして。

七十を頭に 四人の子供がございます」。

<これだ! 客との間!

楽しい! 楽しい! 楽しい!>

兄さん アレに
いいこと聞いてくれたねぇ。

なんで落語なのかって。

「出来心でございます」。
(客の笑い)

(拍手)

師匠! 兄貴は?

帰ったよ。

もう お前さんに用事はないってね。

それに あたしゃ
あの人の親分さんに貸しがある。

話はつけとくから 安心しな。

兄貴 笑ってくれてた!

帰るよ。 前座の おつとめ 行っといで。

へい!

お疲れさまでした。

お前さん
アレに 助六 仕込んでんのかい?

すぐバレるってぇのに 全く不愉快だ。

さっきの寄席の空気みたいなもんが
おんなじだった。

お互い おんなしような野郎に
引っ掛かるよう

神様に つくられちまった。

♬~

(与太郎の笑い声)

(与太郎の笑い声)

(笑い声)

おっ おぉ…。

何時だと思ってんだ!

すげえよ 助六さんは。
聴けば聴くほど ほれちまう。

≪(小夏)オッサンのより
全然 おもしれえだろ。

そんなことねえよ。
師匠の落語だって最高だ。

ただ オイラに できるかってぇと
話は別で。

≪何しろ 師匠の噺は隙もねえし
技術も頭も べらぼうに使うからよ。

やっと 身の程ってやつが
分かってきたね。

で 3日後は 何かける?

3日? オッサンの独演会
前座で出るんだろ?

あんな大きな劇場 初めてなんだから
ちゃんと 体調 整えて。

いけね… 忘れてた。
はっ?

すっかり忘れてた!

「じゃあ なんですか 大家さん。
年が二十歳で器量がよくて

たんす長持ちくらい
持ってくるってんですか?

話が うすぎるねぇ」。
おはようございます…。

あ~ 話が うますぎる…。

え~ 垂乳根の胎内を出でしときは鶴女
鶴女と申せしが これは幼名。

成長の後 これを改め
千代女と申し はべるなり~。

お付けを こしらえようとしたんですが…。

お付けを こしらえようとしたんですが
具が ございません。

昔の長屋は重宝なもんで 路地路地に…。

路地路地に 小商人が
野菜なんぞ売りに参ります。

♬~

「あっしは 八五郎ってえまして

ええ… あの~
がさつな男ではございますが

これから一つ え~ 兄弟同様

仲良く よ… よろしく お願いします」。

「まだ お名前 うかがってねえんですが
なんと おっしゃるんですか?」。

「自らことの姓名は…

父は もと京都の産にして

姓は安藤 名を慶三

あざ… 字… あざ…」。

「字を五光と申せしが…」。

(ノック)
はい はい。

失礼致します。

師匠 お先に勉強させて頂きます。

今日は頼むよ。
よろしく お願い致します。

(萬月)いやあ
その… なんと言いますか…。

あのバカ 稽古やりすぎて
満足に寝てないらしい。

寝不足で 集中できちゃいねえ。

この「たらちね」は…
助六師匠の丸パクリ。

いいんですか?

いい心持ちするわけがねえやなぁ。

(萬月)やっぱり 君には
八代目の弟子を名乗ってほしくない。

♬~

♬~ (拍手)

え~ 今日は 開口一番から
名人でございました。

(客の笑い)

(萬月)え~ もう
お寒うございますねぇ。

先日は節分でございましたけれども。

お先に… 勉強させて頂きました。

♬~

師匠。

話すこたぁない。

♬~

♬~(出囃子)

(拍手)

乗りもんのない その昔

振り分けの荷物 持って
単身 旅ぃ出て参ります。

山道ぃさしかかる
とっぷりと日が暮れて参りまして

折しも どんより曇ってえた空から
こぶしが舞うように

さんさんさんさんさんさんさ…。

降ってくるやつに 風が ぴゅ~うう~。

顔へ ベタベタっと張り付く。

辺りを見回しても
人家らしいものは見当たらない。

こんな心細いことはございませんで。

「えらい雪んなってきた。

あ~ 人家も見当たらない。

こんな所で野宿をしたら
凍え死んじまう…。

なんとか助かりてえもんだ…。

南無妙法蓮華経
妙法蓮華経 妙法蓮華経…」。

雪風のために笠を飛ばされまいと
しっかりと手で抑え

お題目を唱えながら歩いて参りますと

向こうに ふっと明かりがさした。

「ありませんよ」。

経験も技術も要る 難しい噺…。

八代目の真骨頂だな…。

「ああ…」。

「あのう 吹雪の中
道も分からず歩いて参りまして

すっかり冷えきったところに

外からは 焚火 腹ん中は 熱い玉子酒

急に酔いが回ってきたようで

なんだか こうしてるのも
つらいくらいで」。

「風が来て おかしいと思ったら
野郎 勘付いたようだよ。

お前の仇は あの旅人なんだからねぇ

あたしが… あたしが
鉄砲で撃ち殺してやる!」。

(いびき) 鉄砲っていうのが
聞こえましたんで

ズブリ ズブリ

ズブリ ズブリ。
(与太郎のいびき)

(与太郎のいびき)

降り積む雪ん中を 夢中で逃げ出す。

「あの向こうに 村があるかもしれない」。

こけつまろびつ やってくる。
ひょいっと見下ろす。

きっ削いだような断崖。

東海道は岩淵へ切って落とす鰍沢の急流

雪のため 水かさは増しておりまして。

「おおうっと! えらいとこに出ちまった」。

(いびき)

なんだか変な寝息まで聞こえてきた。
(客の笑い)

この辺は 熊も出るってぇたなぁ。

(笑い)

振り返ると お熊が
火縄の火をちらちらさせながら

「おおおお~い おおおお~い!」。

「後ろは鉄砲 前は崖か。

こんな所で撃ち殺されるぐらいなら
身を投げた方が まだましだ。

南無妙法蓮華経 妙法蓮華経
妙法蓮華経 妙法蓮華経…」。

そおお~っと見上げる崖の上では

お熊が 鉄砲を腰だめに致しまして
旅人の胸に 十分に狙いをつける。

「南無妙法蓮華経!」。

お題目を唱えた途端に ターン!

(与太郎のいびき) 筒を離れた弾が
新助のまげっぷち かすって

後ろの岩へ カチリ。

「ああ~ 助かった!

お材木のおかげだ」。

(拍手)

与太さん。 与太さん!

松田さん…。

松田さん 悪ぃけど すぐに帰りますよ。
車 出しておくれ。

はい。

与太郎

お前さんは ウチに戻らなくてよろしい。

破門だよ。

師匠! 師匠!

申し訳ありませんでした!

よく眠れたろ。
アタシの落語は退屈でさ。

お前さん 助六
弟子入りすりゃあいい。

待ってくれ… 待って下さい!

ガキじゃねえんだ 聞き分けろ!

オイラ 師匠に捨てられたら
なんも なくなっちまう!

へぇ~ そうかい。

出しとくれ。

師匠! 師匠!

♬~

師匠!

♬~

だから 言ったろ。
ロクなやつじゃねえって。

悪いのは 師匠じゃねえ。

ほら 立って。
入れねえんだ。

オイラ 師匠に破門されちまった。

じゃあ なんで ここに?
未練タラタラじゃねえか。

そんなに好きなら 話つけてきなよ。

男だろ。

♬~

師匠 口きいてくんねえのは
ようく分かった。

居ねえもんとして聞いて下さい。

俺は 師匠に 心底 ほれてる。

これは もう
自分の根っこみてえなもんだから

変えようがねえ。

でも 落語やらさせてもらってるうちに
分かってきた。

師匠の落語は
俺には絶対できねえんだって。

死んだ助六師匠の落語の方が
まだ近ぇ気もする。

でも それが やりてえのか
まだまだ 全然 分からねえんだ。

分からねえから 師匠のそばに
居させてもらいてえんです。

師匠と落語のそばに 居させて下さい!

俺には もう どこにも
行き場が ねえんです。

ここで生きて

ここに居場所を作るしかねえんです!

お願いします。 ここに居させて下さい!

頼みます このとおりです!
頼みます このとおりです!

お願いします!

居もしねえもんが
べらべら よくしゃべりやがらぁ。

お前さんが やりたい落語が 何か
分からねえなら 教えてやろうか?

♬~

お前さん自身の落語だよ。

破門しねえかわりに お前さんは アタシと
三つ約束しなけりゃあならないよ。

三つ?

二ツ目んなるまでは
ウチで面倒見てやらぁ。

それまでに アタシのと助六の落語を
たたき込む。 全部 覚えろ。

それが ひとつ。

それと アタシはね

助六と約束をして
果たせなかったことがある。

「二人で落語の生き延びる道を
作ろう」ってねぇ…。

どっちが 一人 欠けたって
できねえことなんだ。

だから この穴を埋めておくれ。

これが ふたつ。

落語 覚えんのは いいけど…

そんな でけえ約束
オイラ できんのか…。

できねえ時ゃ もろとも心中だ。

♬~

あとの一つは?

絶対に…

アタシより先に死なねえこと。

いいね 約束だよ。

♬~

小夏 お前さんも。

♬~

ひとつ お前さん方に
話して聞かしてやろうか。

あの人と アタシの約束の噺をさ。

♬~

長ぇ夜になりそうだ。

覚悟しな。