ドラマログテキストマイニング

テレビ番組(ドラマ)の字幕情報を対象に、テキストマイニングの研究をしておりますので、解析結果の公開をメインに関連グッズを交えた構成で記事にしてます。また、解析結果の信憑性が確認できるよう、解析用ソースも部分引用し掲載してあります。

渡る世間は鬼ばかり3時間SP2018 角野卓造、泉ピン子、吉村涼、村田雄浩… ドラマの原作・キャストなど…

橋田壽賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり3時間SP2018」』のテキストマイニング結果(キーワード出現数BEST10&ワードクラウド

  1. 貴子
  2. 母さん
  3. お父さん
  4. 仕事
  5. 日向子
  6. 幸楽
  7. 本当
  8. 一緒
  9. 自分
  10. 世話

f:id:dramalog:20180918125714p:plain

橋田壽賀子ドラマ「渡る世間は鬼ばかり3時間SP2018」』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)&EPG情報(出典)

 

解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?

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dramalog.hatenablog.com 

 

 

今年も敬老の日橋田壽賀子ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』通算510回目の今年も3時間SP!泣いて笑って仲良くしましょ!喧嘩したって家族なんですから…

詳細情報
番組内容
階段から転げ落ち、大怪我を負った勇(角野卓造)は、しばらく「幸楽」を休み入院することになる。勇がいなくなった店を支えようと五月(泉ピン子)は気丈にふるまうが、長女の愛(吉村涼)、誠(村田雄浩)夫婦ら従業員から勇に付き添うように言われ、五月は看護に専念することに。
勇がリハビリをする間、長男の眞(えなりかずき)・貴子(清水由紀)の家に住まわせてもらおうと五月は期待するが、
番組内容2
義父母との同居に自信が持てない貴子は猛反対。眞は長男としての責任を感じ、懸命に説得するが、貴子は“長男が親の面倒をみるのは当たり前”だという五月らの考えに反発し、息子の香を連れて家を出て行くと言い出す。その上、眞に「幸楽」を継ぐつもりがないのなら、今のうちに遺産相続の権利を放棄して愛に五月や勇の面倒をみてもらえるようにと懇願される。
出演者
野田弥生…長山藍子
小島五月…泉ピン子
高橋文子…中田喜子
大原葉子…野村真美
本間長子…藤田朋子
野田良 …前田吟
小島勇 …角野卓造
高橋亨 …三田村邦彦
大原透 …徳重聡
本間英作…植草克秀
出演者2
田口誠 …村田雄浩
田口愛 …吉村涼
小島眞 …えなりかずき
小島貴子…清水由紀
田島周平…岡本信人
田島聖子…中島唱子
本間日向子…大谷玲凪
森山壮太…長谷川純
森山まひる西原亜希
出演者3
本間由紀…小林綾子
野田佐枝…馬渕英里何
長谷部力矢…丹羽貞仁
高野浩平…長谷川哲夫
畠山作次…坂口芳貞
中井保三…外山誠二
八木晴彦…関口まなと
中本源太…山本コウタロー
出演者4
金田典介…佐藤B作
青山タキ…野村昭子
川上華江…天童よしみ
ナレーション…石坂浩二
スタッフ
作: 橋田壽賀子 
音楽: 羽田健太郎 
演出: 清弘誠 
プロデューサー: 石井ふく子 
製作著作: TBS
音楽
エンディングテーマ
「人生賛歌 ~渡る世間は鬼ばかり~」
作曲:羽田健太郎
作詞:Satomi
唄 :天童よしみ
公式ページ
◇番組HP http://www.tbs.co.jp/oni/

 


(2人)「渡る世間は鬼ばかり
3時間スペシャ

このあと すぐ
どうぞ

(勇)よいしょ

(目覚ましを解除する)

あっ!

いっ…

あいたたたたっ

(周平)おはようございます
(聖子)おはようございます

あれ? 旦那 寝坊したかな
珍しいこともあるもんだ

疲れてるのよ ゆうべ
お店 忙しかったしさ

お年もお年だし それなのに

あんなに
頑張ってらっしゃるんだから

周ちゃんか?

すまない ちょっと来てくれ

どうしたんです 旦那!?

情けない話だけど

階段 踏み外して落ちた
(周平)ええっ!

脚が立たないんだ
膝も動かないし

この… 階段の上からですか?

年のせいにはしたくないけど

やっぱり…
筋肉が衰えてるのかな?

とにかく救急車 頼みましょう

あの おかみさんは?
疲れてんだよ

寝かしといてやった方が
いいと思ってさ

そんなこと言ってる場合じゃ
ないでしょうっ

おかみさん おかみさん!

(五月)ごめんなさいね
目覚ましが止まってるんだもの

階段から落っこったって
えっ?

あんた! 立てないの?
本当に立てないの?

救急車 すぐ来てくれるそうです

あんたさ いつも言ってるじゃない
あんた黙ってないで

私を起こしてくれれば
こんなことになんないのよ

何でも一人でやれると思ったら
大きな間違いなんだから

この年になったら お互いに
助け合ってやっていかなきゃって

(誠)おはようございます
あれ お義父さん?

階段から落ちて
脚が立たないそうなんです

脚が立たないって…
どの辺が痛みますか?

右の… 膝と
左の足首かな

右と左って 両方ですか?

両脚だと面倒なことになりますね
大丈夫よっ

この人 日頃から鍛えてるんだから

きっとね 捻挫か打撲よ
ここが痛いの?

やーっ!

<人間 明日のことは分かりません>

<この一年 新しく改装した
「幸楽」は客も増え>

<勇も五月も 誠と愛夫婦も>

<従業員達も 何とか元気で
精いっぱい働いてきて>

<勇も五月も幸せでした>

<それが今 勇の一瞬の事故で>

<大きく変わろうとしていました>

<一年の月日というのは>

<また 五月の姉妹達>

<弥生 文子 葉子
長子の暮らしにも>

<それぞれ変化が
訪れようとしているのでした>

立てるわけないでしょ!

♬~

(ドアが開く)

あら あんたお店があるんだから

父さんの入院の支度ぐらい
母さん一人で できるわよ

(愛)これ 歯ブラシとか
入院に必要な物

あら ありがとう
気が利いてんじゃない

右膝の前十字靱帯断裂に

左脚は
足首の捻挫だっていうんでしょ

入院 相当長くなるよね

手術も無事に済んだんだから
すぐ よくなるわよ

だといいけど
そう簡単には…

とにかくさ こんな忙しい時に

こんなことになっちゃってって

父さん 申し訳ないって
つらそうだった

お店なんて どうにでもなるわよ
周ちゃんもいるし

誠だって調理場支えられる
くらいの力はついてきてる

何も心配することないから
お店のことは忘れて

ゆっくり治療に
専念するようにって

よくお父さんに言っといて

これ 念のため

ありがとう

あんたんとこも 色々物入りなのに

本当に迷惑かけちゃって…

お父さんは何十年も ただ
幸楽のために働きとおしてきたの

この辺で少し休みなさいっていう
神様のお気持ちなのよ

焦らないで
ゆっくり治すようにって

それが お店の皆の願いだから

じゃあ私ね これを病院に届けたら
すぐお店 戻ってくるから

何バカなこと言ってるの 今夜から
お父さんのそばにいてあげなきゃ

特別室しか空いてないっていう
のも まだついてるっていうこと

誠がちゃんと病院で聞いてきたの

特別室に入院してたら 泊まり込み
の付き添い 認めてもらえるって

冗談じゃないわよ 母さんが
店出ないで どうすんのよ

お父さんだったら 病院にいればさ
病院が面倒みてくれるんだもん

母さんがついてたって
何にもできやしないじゃないの

そういうもんじゃないでしょ
大ケガして入院してるのよ?

一人ぼっちじゃ
どんなにつらくて寂しいか

それはね 看護師さんや
お医者さまがいてくれるからって

慰められるようなものじゃないの

母さんが そばにいてあげなきゃ

たとえ母さんは何もできなくても
そばにいてあげるだけでいいの

母さんにしか
できないことなんだから

病院の暮らしは不自由だろうけど
お父さんのためよ 我慢して

はい

皆にも とんだ迷惑かけたわね

(滝本)タクシーつかまえてきます
お願いします

大変でしょうけど
あれぐらいのことで済んで

頭でも打ったら
命にかかわることだって…

起きるんだったら
私を起こしてくれればさ

階段から落ちるようなこと
なかったじゃない

何でも
自分でできると思ってる人だから

旦那は おかみさんは疲れてて
よく眠っていらっしゃるんで

起こすのはかわいそうだからって
おっしゃってましたよ

人のことより
自分のこと考える方が先でしょ

もう あの年になったらさ
自分で危ないと思わなきゃ

今頃 そんなこと言ったって
仕方ないでしょ

今度のケガは お父さんだって
精神的にも参ってると思う

力になってあげられるのは
母さんしかいないんだから

ゆっくり看病してあげて下さい
お店のことは心配いりませんから

調理場は
周平さんと俺でやれますし

出前はタッキーが
この一年かけて しっかり

お得意さんのことも
分かってくれてますしね

でも お店は聖子ちゃん一人じゃ
無理だから 私がいないと…

それなら達ちゃんもいますから
(達夫)はい

タクシー来ました
(愛)ありがとう

じゃあ あとよろしく
行ってらっしゃい

お願いしますね
はい

本当に お店のことは忘れて

お父さんのこと
よろしくお願いしますね

夫婦二人っきりになるなんてこと
今までなかったでしょ

新婚当時の気持ちになって
はい

じゃあ行ってきます お願いします
(一同)行ってらっしゃい

おお 来てくれたのか

大丈夫? 痛む?

今日は店があるから
来れないかと思ってたよ

皆はね
お店は何とかなるから

あんたに付き添って
看病してやってくれって

へっへー そんなことを

けどさ 俺が抜けた上に お前まで
いないなんてことになったらな

愛はさ しっかりと

お父さんに 泊まって
付き添って看病してやってねって

嬉しいこと言ってくれんな

だけど店が忙しい時に
そんなのんきなこと…

俺のことはいいからさ

帰れないのよ

幸楽はね 私達がいなくたって

もうしっかりと
皆やってく

覚悟もできてるの

私なんかいなくたって
いいんじゃないかと思うぐらい

何を言ってんだ
皆 俺達のこと考えてくれて

そりゃそうなんだけどさ

でもね 幸楽だってさ

私達から

愛夫婦の代にかえてやっても

いつまでも私達が頑張ってるとさ

愛達だって 好きなことが
できないんじゃないかと思って

何ひがんでんだよ お前
そんなのは思いすごしだよ

誰の代もへちまもねえだろ

幸楽は皆のもんだ
皆でやってきたんだから

現に店の改装だって 誠君や
皆の意見でしたことだよ

俺はそれでいいと思ってるし

これからも
そうやってきゃいいんだよ

それが幸楽なんだよ

あんたが こんなことになると

私 考えちゃうのよね

このまま年取って
働けなくなったら

幸楽にはいられない

ただのお荷物になっちゃうんじゃ
ないかって

何を取り越し苦労してんだ
そんな先のこと

現に今 その時が来てるじゃないの

こんな脚になって あんた半年は
調理場立てないのよ?

幸楽帰ったって
何にもできないじゃないの

あの二階に閉じ込められて
そんなの我慢できる?

もうお前 よしてくれよ
手術が済んだばっかりで

今 ケガのこと考えるんで
精いっぱいなんだぞ

うん…
嫌なこと言って ごめんなさい

そんなこと言うつもり
なかったのに

ああ私は 今日からここへ
泊めさせて頂いて

あんたのお世話を
させて頂きます

何でも言って下さい

それしか私には
能がないんだから

ありがたいね

入院してたら 不自由すること
なんかないと思ってたけど

やっぱり看護師さんに
頼みにくいことだってあるからな

何でも言って
ちょっと

おなかがすいてきちゃったん
だけど 何とかなるか?

何か買ってこようか
寿司 食いたいんだけどさ

探して おいしいお寿司
買ってこようか

こういう時でもないと
贅沢できないもんね

じゃあ行ってくる
ああ ちょっちょ…

あのな ちょっと…

背中かいてくれ
背中かいいんだ

背中? どこ?

どこら辺?
違う違う違う もうちょっと下

下 下 下 もっと下 ああ~

気持ちいいや
痛い痛い ちょっと待て

もうちょっと もうちょっと真ん中
ああ 気持ちいい

(眞)あっ

ああ

どうしたの?

ここまで来て
お店に来ればいいじゃない

仕事に追われて 顔出す暇もなくて
電話もらってビックリしてさ

久しぶりね 貴子さんも香ちゃんも
元気でうまくやってるのよね?

何かあったら
連絡くらいあるだろうし

何もないのがいい便りって
いつも母さんと話してたの

分かったよ
もう何言われたって仕方ない

貴子だって1歳半の香の子育てに
追われて ご無沙汰続きなんだから

今日も お父さんのケガのこと
聞いて すぐ病院行きたかったけど

まだ仕事残っててさ
とにかく様子聞いてからと思って

ケガの方は無事 手術も済んで

あとはリハビリで治すより他
ないんだけど

よかった だったらゆっくり
入院して 母さんがついてればいい

そうできたらいいんだけど

病院だって ずっとは
置いてくれないのよね

2週間もすれば 通いでリハビリできる
ようになるから退院していいって

けど うちへ帰ってきたって
お父さん達の部屋二階でしょ?

階段の上り下りなんて
とても無理だし

それで あんたに
相談しなきゃって思ってたの

眞のとこはマンションだからエレベーターも
あるし 病院通いには困らないよね

うちで暮らすっていうの?
(愛)脚が使えるようになるまで

ほんの1カ月くらいのことよ?

そりゃあ 貴子さんには
迷惑かけるだろうし

子育てもあるから
大変なのは分かってる

けど眞は長男なのよ たまには
それくらいのことしたって

それに お父さんの世話は
母さんに通ってもらうから

お母さんも来るの!?
(愛)母さんだって

時々は かわいい孫のそばに
いてみたいのよ

いい機会じゃない

たまには親孝行に 長男らしいこと
してあげたっていいでしょ

これから病院へ行くんでしょ?

お見舞いは明日にするわ
まだ仕事あるし

急いで行かなきゃならないような
病状でもないようだし

じゃあ 貴子さんによろしくね
お父さんのこと うまく話してよ

母さんには私から連絡するから

えっ いやあの…

ええ~

(弥生)ねえ お茶なんていいのよ

お見舞いに勇さんの顔
見に来ただけなんだから

のんびりしてってよ

こういう時じゃなかったら
私も ゆっくりできないんだから

(長子)そうよね
お店だったら忙しくて

ろくに話もできないけど

まあね ケガは
とんだ災難だったけど

ちゃんと療養すれば
よくなるんだから

働き続けてきた長い人生に

やっともらった
お休みだと思って

こんないい部屋に入れてもらって

親孝行してくれてるじゃないの
ありがたいと思って

夫婦仲よく 五月姉ちゃんだって
こんなことでもなければ

勇さんに尽くしてあげられる時
なんて ないんだから

働くことしか
考えられないんだから

あっ えっと 文子姉ちゃんと
葉子姉ちゃんは

仕事のやりくりがつかないから
今日は来れない

そのうち伺いますって
ことだったから

で これね 姉妹四人から

勇さんの必要なものに使って

えっ

そんな とんでもない
そんなお気遣いは もう…

ただの そそっかしい
ケガなんですから

いや 私は嬉しいわよ
ありがとうございます

やっぱり姉妹って
いいもんよね

今日さ 夜 あの人
お寿司食べたいっていうから

近所でお寿司買ってくるから
よかったら 皆も一緒にどう?

こういう時でもないとさ
ごめんなさい

私はそうそうクリニック
留守にできないのよ

これでも仕事が山ほどあるの

私もね 色々 お役目があって

お店 忙しいんだ
まあボランティアみたいなもんだけど

少しでもよかったって
思ってくれる人がいたら

やりがいもあるしね

弥生姉ちゃん
バカがつくほど人がいいからね

でもまあ 自分が納得してやってん
だから 人が言うことじゃないか

だけど すごいですよね

気軽にお年寄りが
集まれるようにって

茶店 開いちゃうなんて

たまたまね お散歩してた公園で

私と似たような境遇のお仲間と
知り合って

年を取ったら できるだけ
人とつきあう方が

認知症対策にもなるそうだから

いいことしてんのよ
弥生姉ちゃん

私は 今やっと
自分のしたいことがやれてるの

それだけ
そうよね

五月姉ちゃんだって 文子姉ちゃん
だって 葉子姉ちゃんだって

私だって 仕事持ってるから
老後の生きがいなんて

考えたこともなかったけど
弥生姉ちゃんは

お孫さんが大きくなって
相手にされなくなっちゃって

良さんだって
仕事で忙しいでしょう?

お嫁さんは 子供に手がかからなく
なったらバイトに出かけちゃって

弥生姉ちゃん 皆から
取り残されちゃって 一人ぼっち

家族から必要とされなくなるの
って むなしいわよね

でもよかった
やりたいことが見つかって

まっ お金儲けにはならないけどね

そんなこと関係ないですよ
お義姉さん 生き生きしてらしたら

良義兄さんだって安心だろうし

佐枝さんだって
良武君や勇気君だって

皆 ホッとしてますよ

長いこと文子と葉子にも
会ってないけど

元気でやってるんだ

うちだけ
こんなことになっちゃってね

大丈夫だよ
すぐによくなるから

でも いいことだってあんのよ

あの人さ 階段が使えないじゃない

だから幸楽へ帰ったって
住めないでしょ

それで どうしようかなって
悩んでたら

愛がね 眞に相談してくれて

眞のとこで
世話になるかもしれないの

今 愛が眞に相談してくれてんの

それ いいじゃない!
こんなことでもなかったら

眞ちゃんとこなんか行けないわよ

かわいいお孫さんの香ちゃんとも
一緒に暮らせるしね

まあ私がついてるから 勇のことは
私が面倒みればいいんだし

貴子さんだって
家事に疲れてんだから

家事のことは私が あのうちの
手伝ってやりゃあいいんだからね

五月は幸せよ

いい子供持って
そうね

眞も りっぱにやってくれてるし

女房子供 養ってくれて

愛夫婦だって 私達の代わりに
幸楽やってくれてんの

本当に ありがたいと思ってる

そうだよ 親がいなくても子供が
生きていけるようになったから

親はもう
邪魔者になったんだなんて

そんな ひがんだこと言ってたら
罰当たるぞ お前

そうですね
ありがたいと思ってます

(貴子)♬~眠れ よい子よ

♬~庭や牧場に

あっ 香 寝たのか?

ねえ すまない 腹減ってんだ
お茶漬けの支度してくんないかな

さっきのお話ですけど

お断りして下さい
断るって?

私は とても お義父さんの
お世話なんてできません

親父の世話は お袋がする

それが こんな
狭いとこに引き取るなんて

大変なことは分かってる
けど一生って訳じゃない

たかが ひと月か 長くても2カ月?

階段の上り下りが
できるようになるまでのことだ

俺には長男としての責任もある

何とか 辛抱してくんないかな

親父とお袋も
こんな機会でもないと

俺達と一緒に暮らすことなんて
ないと思う

親父もお袋も 一度は俺達や孫と
暮らすのを楽しみにしてんだ

ごめんなさい あなたには
つらいことだって よく分かってる

けど私には とても
お義父さんと お義母さんと

うまくやっていく自信なんてない
お願いだから お断りして下さい

貴子…
あなたは長男長男って言うけど

幸楽を継いだのは愛さんなのよ?

とっくに長男は降りて
幸楽は捨てて

自分の力で生きていく道を
選んだんでしょ

そういう あなたを見ていたから
私は あなたと結婚したの

長男と結婚したつもりなんて
ありません

このことは いつか はっきり
させとかなきゃと思ってたの

この際 はっきり
話し合っておきたい

あなたには 幸楽を
継ぐつもりなんてないんでしょう

だったら 今のうちに

遺産相続の権利を
放棄するってことを

ちゃんと公正証書にして
お父さんや愛さんに渡してほしい

もちろん
もう親の世話になるつもりも

遺したものをもらうつもりもない

りっぱに教育受けさせてもらって
独り立ちできるようになったんだ

しかも 幸楽にも
何の役にも立ってはいない

遺産もらう資格なんて
ないと思ってる

だったら 話は早いじゃない
今のうちに遺産放棄の手続きして

幸楽は 愛さん夫婦が相続したら
お義父さんとお義母さんの面倒は

愛さん夫婦に
みてもらえばいいことでしょう

そんなバカな…

私はね 結局 自分の母親とも
うまくいかなくて

今も付き合ってはいない

親に干渉されるのが嫌だし

相手に気を使いながら生きるって
どんなに疲れるか…

あなたのご両親と暮らすなんて
とても無理

私が あなたと結婚したのは
あなたは幸楽を継がなくていいし

そしたら 親の面倒をみることも
ないと分かったからなの

それを忘れないで

親の世話をするのは
遺産をもらうとかもらわないとか

そんなこととは関係ないだろ
子供は親をみる責任があるんだ

だったら どうぞ
親孝行してさしあげて下さい

私は お義父さんが
ここにいらっしゃる間

香を連れて どこか行ってます
ちょっと 貴子!

私はね 本当に自信がないの

離れて暮らしてたら 何とか
嫁らしいこともできるけど

一日でも一緒にいたら
愛想尽かされて

追い出されるかもしれない
それが怖いの

あなたと一生
うまくやっていきたいから

ひどいことだって承知して
頼んでるの

私には あなたと香との
三人の平和な暮らしが

何よりも大事だから

幸楽を愛さん夫婦に
譲ると決めたら

ご両親のことは 愛さん夫婦に
お願いするのが筋ってものでしょ

私は 本当に何にもいらない

だから 遺産放棄の手続き
一日も早くして

お願いします

あんた 皆さんから頂きました
皆さん すいませんね

(金田)何だ何だ もっとしょんぼり
してるかと思って来たら

全然
いつもと変わらないじゃないか

手術うまくいってさ
もうリハビリ始めてんだよ

何にも心配してもらうこと
ないからな

あと1週間たったらね
退院して

通院してリハビリできるそうです

じゃあ いつでも車いす
出歩けるってことじゃないか

(華江)よかったあ
そしたら もうすぐ

幸楽に お帰りに
なられるんですね

いやいや それがね
幸楽 住まいが二階でしょう

階段の上り下りが
まだ無理なんで しばらくの間

眞夫婦のとこへ世話になることに
なるらしいんですけどね

(華江)へえ うらやましいなあ

眞ちゃんは昔から
優しい子だったから

じゃあ 奥さんも かわいい
お孫さんと一緒に暮らせるんだ

いや うちは忙しいもんですからね
なかなか かまってやれなくて

でも 今度は
眞のところへ行ったら

久しぶりに孫を抱いてやれます

それに 向こうへ行ったら

嫁と孫のことも
やってやれますから どうぞ お茶

(源太)幸楽の名物おかみも
ただのおばあちゃんなんだよな

けど 車いすででも
外出できるようになったら

おやじバンドも
やれるんじゃないの?

(源太)そうだよね
ギターさえ弾けたらさ

脚が悪くてもギター弾く手は
大丈夫じゃないですか?

冗談じゃないですよ それこそ
足手まといになるだけですから

いやいや 意外とね
受けるって気がするんだよな

俺達が呼ばれるところは
介護施設

老人ホームのボランティアだ

膝の靱帯が切れても
車いすで来て演奏してくれたって

感動して
もらえるんじゃないかな

私達も頑張ろうって
励ましにもなるしさ

いい! それいい!
少々つらくてもやってもらおう

とにかく 俺達の評判聞いて
来てほしいってところが

たまりにたまってんだよ

そうですよ
ありがたい話じゃないですか

あなた お役に立つんだったら
うちにいるよりも

皆様には お世話かけるかも
しれませんけど

この際ですから 是非
リハビリにもなるかもしれないぞ

そうだな
じゃあ 何とかトライしてみるか

(金田)安心した~

哲が亡くなった時も
メンバーが 一人欠けたら

おやじバンドはおしまいかって
半分 諦めてたら

奥さんの華江さんが 哲の代わりに

入れてほしいって
言って下さってさ

奥さんの歌で おやじバンドの株が
上がって しめたって思ってたら

マスターの大ケガだろう また
ダメかってガッカリしてたんだ

それが大ケガ売りものにして
やれるなんて ついてるよなあ

本当にありがたいですよ

だって この人 うちにいたって
何にもすることないし

一日中 暗い顔してるんだもの

参加さして頂けたら
よろしく お願いします

お手数かけますけど
いや そうだよ!

車いすはさ 私達が
お見舞いにプレゼントしましょう

もちろん おやじバンドの時は
俺達が押して

身の回りの世話もします
任せといてくだ…

やめろって だから

おい
あっ ありがとうございました

どうもありがとうございました

何だ お前 昼休みに
来るんじゃなかったのかよ?

お母さんに携帯したら
午前中は幸楽へ帰るから

お昼頃 来てくれって言われて
そうだよ 母さん 眞が来るから

眞のお昼も店で支度してくるって
今 出かけたんだよ

昼飯 ここで一緒に
食ってくんだろ?

早く見舞いに来なきゃと
思いながら色々あってさ

いいんだよ 今すぐ
どうこうって病気でもないんだし

お前が忙しいのは
よく分かってんだから

お父さん
元気そうなんで安心したよ

結構 リハビリ大変だよ

つらいなんて
誰にも言えねえけどな

そんな時に 申し訳ありません

ただ こういう時でもないと
はっきり言えないことだから

えっ?
これ 持ってきました

どういうことだ? これ

俺には 遺産相続の権利は
ないと思ってる

だから早く手続きした方が

お父さん 分かってくれよ
親不孝は百も承知です

ただ 貴子の気持ちも
大事にしてやりたい

香が生まれてなかったら

貴子と別れるって選択も
できたかもしれない

けど 香を父親のない子にだけは
できない しちゃいけないんだ

遺産相続の権利を
放棄するってことは

親への責任も放棄することだ
って言いたいのか?

貴子だってつらいんだよ

舅や 姑と一緒に
暮らす自信がないって

それで 母さんのいない時
狙って来たのかよ

さすがに 母さんには
こんなこと…

そりゃな 誰だって
舅や姑と

顔合わせたくなんかないだろ

貴子さん 正直なだけだよ

自分が母さんに気に入られてない
嫁だってこと よ~く自覚してんだ

それはそれでいいじゃないか
はっきりしててさ

父さん…
俺はな

子供達の世話になる
つもりなんかないんだよ

ただ 今度のことは 幸楽で
暮らすのが大変だって言われて

それなら ほんの
少しの間だけって軽い気持ちで

お前のとこ 厄介になる
つもりにもなったんだよ

ただ 母さんはな
眞のとこ行ったら

俺の面倒みんのはもちろんだけど
世話になるどころか

貴子さんの代わりに
うちのことや香のお守りまでして

少しでも 貴子さん
助けてやりたいって

張り切ってんだよ

そんな母さんに 貴子さんに
嫌がられてるなんて

言える道理がねえだろう

本当に申し訳ありません

遺産相続放棄のことも

貴子さんや お前の本音も

まだ母さんや愛達には黙ってろ

俺だけの胸の内におさめとくから
お前も そのつもりでな

貴子さんにも そう言っとけ

いつか 時が来るまで

口が裂けても
誰にも言うんじゃねえぞ

母さんの耳に入ったら
母さん どんなつらいか

けど 母さん 父さんと
うちへ来るの楽しみにしてんのに

俺が何とかするから
俺に任せとけって

貴子との結婚
間違ってたのかなあ

お前もなあ
今頃 何を言ってんだよ

舅や姑と付き合いたい嫁なんか
いるわけないだろうが

どんな子と
一緒になったって同じだよ

貴子さん 責めたら
かわいそうだぞ

だったら 早く帰った方がいい

母さんと会うと
面倒なことになるから

今年3回目となる南北首脳会談が

明日から北朝鮮ピョンヤンで開
かれるのを前に

韓国のムン・ジェイン大統領が首脳
会談への意気込みを語った。

ムン・ジェイン大統領は明日午前1
0時に

ピョンヤンの空港に到着し、

昼食後、キム・ジョンウン党委員長
と会談する。

首脳会談はあさっても行われ、

順調にいけば両首脳が合意内容を
発表する

共同記者会見を行う予定。

首脳会談の焦点は朝鮮半島の非核
化に向け、

どのような話し合いが行われるか
で、

米朝交渉が難航する中で

仲介役に意欲を見せるムン大統領

キム党委員長から何を引き出せる
のかが注目される。

関東地方は大気が不安定になって
いる。

ご苦労さん

眞 来た?
ああ それがな

さっき電話があって

ちょっと仕事でトラブってて
今日 行けなくなったって

何よ また来ないの

来る来るっつって

仕事と あんた 父親と
どっちが大事なのよ

眞は男だから
仕事に決まってんだろ

だから よく言っといたよ

わざわざ見舞いになんか
来なくてもいいって

貴子さんだって
子育てで精いっぱいだしさ

大体 たいしたケガじゃ
ねえんだから これ

冗談じゃないわよ
眞は長男なんですよ

親が困った時は 助けて
くれるのは当たり前じゃないの

何も
貴子さんの世話になんないわよ

あんた 大きな顔して
世話になりゃいいのよ

いや 俺はごめんだね

眞は仕事で外へ出てて
ほとんどいないんだぞ

世話になんのは
眞の嫁さんなんだよ

そんなの遠慮で気使っちゃって
疲れるだけだよ

貴子さんには
何にもやらせませんよ

俺はな 子供の厄介になんのが
嫌なんだよ

こんな体になった時ぐらい

自分の好きに
ゆっくり療養したいんだよ

じゃあ この脚で
どこへ行くっていうんですか

行くとこないでしょ

じゃあ しばらく
この病院に言って

ここにいさせてもらいますか?
病院は もうたくさんだよ

じゃあ どこ行くっていうのよ
幸楽へ帰れないし

どっか部屋 借りるかな

ひと月ぐらい
のんびり自由に暮らせるとこ

探しゃあるだろ
贅沢よ

今まで 幸楽のために
骨身削って働いてきたんだよ

それぐらいのこと
さしてもらったって お前

費用は 店から出さしゃ
いいんだから

あんたも息子の嫁は苦手なんだ

そうよね 結婚したら
他人と同じよね

お前 楽譜は持ってきてくれた?
えっ?

おやじバンドの楽譜
持ってきてくれって言っただろ

頼まれたっけ?
えっ?

えっ?

アケボノハイツ 斉藤さん 行ってきます
日替わり定食2丁 あがったよ

(周平)日替わり定食 あがりました

はい 幸楽です はい 毎度

はい 5時半のお届けですね
毎度ありがとうございます

青山商事さん 5時半に
日替わり定食 6人前です

はいよ
ここんとこ やけに出前 多いな

日替わり定食 始めてから
ますます人気出ちゃって

何にするか考えることないし
今日のメニューは何だろうって

楽しみもあるのかもしれませんね
当たるのはありがたいんですが

毎日 メニュー考えるのも
結構 大変ですよね

今の時代は いつも
新しいこと考えなきゃ

ただの中華料理だけじゃなくて

幸楽でしかできないもの作って
売れるようにしたいですね

店の客だけじゃしれてるし

出前とか お持ち帰りとかでも
勝負しないとね

(愛)ありがとうございました
ありがとうございました

ありがとうございました
母さん!

お帰りなさい おかみさんも
ご苦労さまですよね

病院で付き添っていてもね
別にやることもないし

でも 病院暮らしも疲れるわ
周りに気使うしね

退院の許可が出たら

貴子さんとこで
世話になんのは嫌だって

えっ!?

嫁の世話になんのは
ごめんだっていうのよ

貴子さんのこと
苦手なんじゃないの?

嫁の世話になんの 大きな顔して
世話になりゃいいじゃないね

何となく分かるなあ

娘ならいいんでしょうけど
嫁は所詮 他人ですし

少しは事情 考えてくれたって
いいんじゃないの?

行くところもないんだしさ
わがままなんだから

あの この近くにウイークリーマンション
っていうのがあるでしょ

うち よく出前 行ってますけど
短くても借りられんの?

ちょっと聞いてみたんですけど
あそこなら大丈夫そうなんですよ

うちからも近いし

部屋は ちょっと狭いから
ご不自由でしょうけど

脚がよくなられるまで そこで
辛抱して頂けたらって

お金かかるんでしょう

だったら 病院に話して
大部屋に移してもらったらどう?

それだったら 保険もきくだろうし

(誠)それじゃあ お義父さん
お気の毒ですよ

あんなに病院
嫌がっておいでなのに

せめて お義父さんの自由に
お暮らしになれるように

そうね ウイークリーマンションなら
母さんも ずっと一緒にいられて

お父さんと二人で 誰に
気兼ねもなく暮らせるんだから

費用のことは心配しないで
仕事中の事故として

何とか お店から
出せるようにするわよ

お店のことは
何も ご心配いりません

今の体制で十分やっていけてます
お店のことは忘れて

ご夫婦でゆっくり 旦那の療養に
専念なさって下さい

お父さんと母さんがいなくても
全然 お店は大丈夫

売り上げだって上がっても
落ちたりはしてないから

ああ ウイークリーマンションな

そういえば
あそこへ滞在してる客って

うちのお得意さまだろ

店にも来てくれるし
出前だって結構あるしさ

費用は うちで出すって
ありがたいねえ

あそこだったら おやじバンドへ
出かけるのも楽だしなあ

あんた
おやじバンドっかないんですねえ

お前さ この脚じゃ 当分
店へは出らんないんだよ

だったら 思いっきり
好きなことやらしてもらわなきゃ

この脚ででもできるって
いうんだったら

こんなチャンスないんだから
あんた 悔しくないんですか?

マスターも おかみさんもいなくたって
お店は困らないなんて言われて

俺達が安心して
ゆっくりできるようにって

皆 そう言ってくれてんだろう
ありがたいと思わなきゃ

本当に困ってないんですよね
お客様は来ているし

出前は力入れてるし

私達 寂しいと思わなきゃ

またそんなこと言ってんのかよ
お前 どこまでひがむんだよ

ありがたいと思わなきゃ
罰が当たるぞ

それにな 幸楽は もう愛夫婦と

今いる皆でやっていけるって
ことが分かったんだよ

こんな結構なこと
ありゃしないよ

喜んだって文句言うことじゃ
ねえんだからな

眞に 跡継がせれば
よかったんですよ

眞に嫁もらって跡継がせれば

一緒に暮らせたんですよ

愛は娘だから 嫁にやったって
気楽に遊びに来れたでしょう

どこで子育て間違えたんだろうか

何をバカなこと言ってんだよ

愛が継いでくれて

誠くんみたいな
いい婿が来てくれたから

幸楽は安泰なんだろ

子離れしろよ もう

今日だってそうですよ
眞が来るっていうから

眞の分まで
お弁当 持ってきたんですよ

貴子さんも
少しは楽になると思うから

手土産にと思って
シューマイとギョーザ持ってきたのに

本当に親の気持ち
分かってないんだから

あーっ もう寂しいったら
ありゃしない!

ああ…

そうだ これさ 長子のとこ
持ってってやりますよ

長子のとこ いつも
食べるもので困ってるしね

少しは 長子のとこ持ってけば
役に立つんじゃないのかしら

こんにちは

(タキ)お帰りなさいませ

タキさんは いっつも
そう言ってくれるけど

私のうちは
もうここじゃないんだから

(日向子)今 やっと
お昼のお店終わって

これから皆で お昼ご飯なの
お母さんも一緒に食べる?

そのつもりで来たんでしょ?
そんなのんびりしてられないの

頼んだものもらったら
すぐに帰って支度しないと

うちの人達は いつ暇ができて
いつ食べるか分かんないんだから

分かってますよ 用意してあるから
(壮太)牛も豚も鶏の肉も

野菜もご注文のもの 今朝の河岸で
一緒に仕入れてきてあります

昼休みになったら
お届けしようと思っていたんです

とんでもない 皆だって
忙しいんだから

買ってきてくれるだけでも
助かってるの

今日は おいくらになりますか?
いつも そういうことおっしゃって

ここは 長子さんの
お店でもあるんですよ

長子さんが皆さんのもの作って
それくらい こちらでできますよ

何で そんなに
遠慮なさってんですか

本当 どんなにありがたいか

とにかく うちは お医者さまが
三人 看護師さんが三人

それだけの人の食事の支度
しなきゃならないんだもんね

材料だってバカにならないし
そのくせ使える生活費はギリギリで

食べさせたいと思ってても
うまくいかなくって

つい ここを頼ることに
なっちゃって

申し訳ないと思ってます

お気になさらないで下さい

河岸のものでしたら
普通の店で買うより安いですし

とにかく 「おかくら」の
仕入れですむんです

いつも言っているようですが当然
のことさせて頂いてるだけです

少し料理も作っといた
お父さんに食べさせてあげて

もちろん 他の人達の分もあるから
ありがとう

お父さんも
ヒナに会いたいだろうけど

なにしろ たくさん
患者さん抱えてて

ここに来る暇なんてないのよ

今度は ヒナがうちに来て
顔見してあげて

そうはいかないの 私だって一応
おかくらの看板娘なの

私の顔見ないと寂しいって

おっしゃるお客様だって
いらっしゃるんだから

お父さんに そう言っといて
何よ 偉そうに

(まひる)本当なんですよ
若いのに よく頑張ってる

日向子ちゃん見たら勇気もらえる
って皆さん そうおっしゃって

大事にして下さってるんですよ
私はお医者さまになれなくて

お父さんには申し訳ないこと
したけど 一生懸命 稼いで

せめて少しでも クリニックを
助けられるようになるから

材料 買ってもらってるだけで十分
早く帰って 夕飯の支度しないと

三日に一回は
取りにいらして下さいね

日向子ちゃんだって お母さんに
会いたいって思ってんですよ ねえ

そうよ ヒナ 待ってるんだから

じゃあ お帰りは
荷物がおありなんです

私の車で お送りします
じゃあ遠慮なく お世話になります

じゃ またね

長子が戻りましたら
渡してやって下さい

これ うちのお店の冷凍の
ギョーザとシューマイなんです

よかったら
何かの役に立てて下さい

(由紀)久しぶりに
いらして下さったんです

間もなく帰るでしょうから
待って頂けたら

長子さんも喜びます

いえ この間 うちの主人の
お見舞いに来て会いましたから

それに 主人
ほっとけませんので

それに 由紀さんにも
お目にかかれたし

由紀さんがおいでになってる
ことは聞いてたんですけど

私も なかなか出られませんで

あの どうぞ お上がり下さい
どうぞ どうぞ はい

おかけになって下さい
じゃあ ちょっとお邪魔して

息子が海外留学して
私 一人になっちゃったでしょう

そしたら 兄が診療所 開いて
忙しい仕事をしてるっていうんで

兄は母をホームへ預けて
面倒みてやれないまま

死なせてしまったのを
悔やんでいて

その罪滅ぼしみたいに

お年寄りの在宅医療に
尽くしたいって

この診療所始めたって
聞いていて

それは私も
同じ思いだったので

兄を手伝えたらと どうぞ

長子さんも気持ちよく
迎えて下さって

結局 こちらへ
お世話になることに

長子さんには
申し訳ないと思ってます

いえ 長子も英作さんと由紀さんと
気持ちは一緒だと思います

長子は 本間家の長男の
英作さんと結婚して

本間のお母さんには
責任があるんです

長子が おかくらで
働いてるもんですから

本間のお母さんと一緒に
暮らすことができないで

本間のお母さんは ご自分の意思で
介護のホームにお入りになって

岡倉の人間としては 本当に
申し訳ない気持ちでいっぱいです

申し訳ありません

私のところへだって

子供の世話にはなりたくないって
来なかったんですから

母は母なりに
自分の生き方を通したんでしょう

ただ子供としては
兄も私も悔いることばかりで

でも ご兄妹で

お年寄りの在宅医療クリニックを
おやりになってて

本間のお母さん

お喜びになってると思います

でも在宅医療は忙しいばっかりで

長子さんには
ご迷惑ばかりかけてます

いえ 長子も覚悟して

英作さんの仕事の手伝いを
しようとしてるんです

至らないところばっかりだと
思いますけど

よろしくお願い致します

ただいま~
あっ お帰り

あれ 五月姉ちゃん どうしたの?
何かあったの?

いや 病院へさ
うちのお店の人達が

皆 何か食べ物
持たせたんだけど

冷凍のギョーザとシューマイじゃ
どうやって病院で使うの

あんたんところだったら
何かの役に立つと思って

色々 頂きました

ありがとう
幸楽の料理なんて久しぶり

長子も色々 料理
大変だと思うから

いや よかったらさ

定期的に うちから
何か届けさせようか?

あっ いいの いいの
食べるものぐらい私がしなきゃ

先生方も看護師さん達も
りっぱなお仕事してんの

家事は私にしか
できないことだから

長子も大変だ

でもね 結構
おかくらが助けてくれてんの

ヒナが継いでくれてよかった

男の子が継いでたら
お嫁さんなんかがいて

たとえ実家でも
ろくに顔も出せないでしょう

娘は優しいし

五月姉ちゃんとこも愛ちゃんが
継いでくれて本当によかった

感謝しなきゃ
じゃ 私は…

あっ 私のことは心配しないでね

私のね 作った料理を
おいしいって

食べてくれる人がいて
幸せだと思ってるの

料理も楽しんでやってるから
人の役に立って

頼りにされてるうちが花かもね

(ハル)由紀先生 往診のお時間です

はい じゃあ私は失礼します

よろしくお願い致します
こちらこそ

ねえ 英作さんが出てってよ

もう一人の先生も出てって

もし由紀先生も出てったら
ここはどうなるわけ?

午前中はね 交代制で

誰か一人 診察室に入って
外来の患者さんを診るの

午後は休診

先生三人とも往診に出かけないと
間に合わないのよ

私だって
これから忙しくなんのよ

家の掃除して
それから夕飯の支度して

電話番もしなきゃ
いけないんだから

はあ~

何か長子が羨ましいわ

私なんて いてもいなくても
いい人間だもんね

年は取りたくないわね

また何 ひがんでんの?

五月姉ちゃんは忙しくないと
不幸な人なんだから

けどね そろそろ楽させて
もらえることも考えなきゃ

皆 年取るんだからね

(ドアが開く)

申し訳ありません
午後は休診となっております

(春彦)患者ではないんです
本間先生に お目にかかりたくて

あの 今 往診に出かけており…
待たせて頂いてもよろしいですか

いや お邪魔でしたら
その辺で時間つぶしてまいります

何時頃 お帰りでしょうか?

いえ あの
どうぞ 中でお待ち下さい

あっ はい
いつ戻るか分からないんで本当…

すっかりお待たせしてしまって

いらしてること
連絡したいんですけれども

往診中に携帯にかけると
叱られるんです

よっぽどの急患なら
別なんですけど

申し訳ないんですけど
改めて お出かけになられた方が

ご迷惑でしたら帰りますが
あっ 私の方は別に…

ただ あの 患者さんの都合で
いつ帰るか分かりませんし

何のお構いもできませんし
ほっといて頂けばいいんです

ですから厚かましいお願いを
承知で もうしばらく

(ミツ)戻りました
あっ お帰りなさい

(英作)高原さんが亡くなった

奥さんと娘さんに
みとられて

穏やかなお顔だった

あっ

あれ 君 八木さんの?

はい 八木の息子です

その節は
父が大変お世話になりまして

3時間近くも
お待ちになってるのよ

ああ 何かあったんですか?

大学病院の外科に勤務なされて
お忙しい方が うちへなんか…

はい 折り入って
お願いがございまして

お忙しいの承知で
申し訳ないんですが

何とぞ よろしく

ミツさん いいから休んでて

仕事だけだって大変なんだから

私だって お夕飯
ごちそうになって帰るんです

お手伝いぐらいしないと

けど あの人
一体 何しに来たんでしょうね

本間先生の患者さんだった人の
息子さんで

往診してた頃 一 二回
会ったような気がするんですけど

千葉の大学病院で
外科の先生とかで

亡くなったお父さんが ガンで

あの息子さんの病院に
入院してたんですけどね

ご本人が どうしても うちに
帰りたいって言ってるからって

奥さんが本間先生に
相談に来られて

結局 本間先生が責任持って
みるってことになったんですけど

その時 あの息子さんが
最後まで反対して

息子さんとケンカしてまで
自宅療養に踏み切ったんです

あ~ 思い出した
あの八木さんか

息子さんの反対 押し切って
自宅療養にしたから

死んじゃったって
恨まれてんじゃないのかしら

大丈夫かな 英作

亡くなったお父さんのこと

君の気持ちを大事にできなくて

君が どんなに
つらい思いをしたか

本当に
申し訳ないと思ってる

とんでもない お詫びしなければ
ならないのは私の方です

本間先生のおかげで
父は幸せそうな顔をして

あの世へ旅立ってくれました

本間先生には
改めてお礼申し上げます

私は医者として父親には一日でも
長く生きてほしかったんです

父親だって母や私達のために
同じ思いだろうと

私の勤務している
大学病院へ入院させて

最高の治療
受けてもらえるよう努力しました

もちろん もう高齢でしたし

肺ガンの末期で手術もできず
死を覚悟しての入院でした

それでも せめて精いっぱいの
延命治療をしてやりたい

それが医者になった
息子の使命だと信じていたんです

まさか父親が
うちへ帰りたい

死ぬのなら うちで
って言い出すなんて

思ってもいませんでした

退院なんかしたら
思うような治療はできません

死期が早くなることは
目に見えています

けど母親は
治療のために管だらけになって

ただベッドにいる父親を見るのが
たまらなかったんですね

あの管から解放してやってほしい

うちへ連れて帰って

もう一度 自分の好きな暮らしを
させてやりたいって

泣いて頼まれて

それでも私は反対しました

そしたら母は
本間先生を病院へお連れして

父親の主治医と
相談して頂き

結局 自宅療養ということになって

父は うちへ帰りました

お父さんも お母さんも
喜んで下さった

けど 君にしたら

どんなに腹の立つ
つらいことだったか

よく分かってる

今更 君に謝っても遅いでしょうが

いえ 間違っていたのは
私の方でした

うちへ帰ると父は
本間先生のご指示で

生きるためにつけていた
色んな管は もうつけずに

のびのびと寝ていました

今まで管で送り込まれてた栄養は
どうなるのかと心配しましたが

何と 母が作った料理を
自分で食べたのです

それも
おいしい おいしいと言って

言葉も取り戻し

笑顔も見せるようになって

ほとんど普通の人と変わらない
暮らしが帰ってきていました

それには
私もビックリしました

病院で
一日でも長く生きてほしいと

努力していた治療は何だったのか

実は父を苦しめていただけでは
なかったのかと

やっと思い当たりました

在宅治療になってから

父は色んな方に見舞って頂き

父なりに悔いのない
お別れもすることができたと

喜んでいたそうです

ひと月ほど母や姉達に囲まれて

笑いながら暮らし

眠るように旅立ちました

母は今でも 本間先生のおかげだと
感謝しております

だったら よかった

息子さんの君には
私のしたことは

許せないんじゃないかと
思っていました

私は大学病院の医師として

人の命を救うこと

一日でも長く生きられることを
目指してきました

でも 父の死を見て

本人が希望しない延命はしないで

幸せな最期を過ごさせてあげて

安らかな笑顔で死を迎えられる

そういう人の死と向かい合える

医者になりたいと
思うようになったんです

本間先生のような医者に

それで
お願いにまいりました

先生のクリニックで
働かせて頂けないでしょうか?

いずれ私も在宅医として
開業するつもりでおりますが

そのために しばらく先生の
お手伝いをさせて頂いて

本間先生と同じ志を持つ
医者になりたいのです

よろしくお願いします
いや せっかく母校の大学病院で

勉強なさってるのに
もったいないじゃないですか

病気を治すことだって
大事な仕事なんですよ

これから高齢化社会になって
医療はもっと大切になってきます

だから…
君の気持ちは よく分かりました

でも ご家族とも
よくご相談なさって

相談するも何も大学病院 辞めて
実家へ帰ってきちゃったんです

もう後へは引けません

本人が希望しない延命治療が

どんなに患者本人や その家族に
つらい思いをさせているのか

本当に身にしみて分かりました

もちろん命を救うための
医療だって大事です

それが医療に携わる者の
本当の仕事でしょう

ただ父の死から

私には医者として
もう一つ大事な役目があると

大学病院を辞めたのも そのためで
何の後悔もありません

母だって 私の決意を聞いて
賛成してくれてるんです

本間先生のお世話になって

いつか本間先生のような
お医者さまになれたらいいねって

中谷さんからお電話で
ご主人の様子が おかしいって

ああ 分かった すぐ行きます
今日は急患なんで これで

先生!

今日か明日かっていう
患者さんなんだ

君に待ってもらっても
いつ帰れるかどうか

お供させて下さい
少しでも お手伝いできたら

させて頂きたいんです
お願いします!

そのまま お兄さんに
ついてっちゃったの? 彼

結局 うちのクリニックで勤めることに
なったんですって どうぞ

腕の立つ外科医だよ
大学病院にいる方が

役に立ちそうな男なんだけど
本人の意志が固くて

(服部)骨のある青年ですね
うん しっかりしてる

お夕飯 一緒にって言ったんだけど
お母さんが待ってるって帰った

でも うちのスタッフになって
忙しくなったら

皆と一緒に食べることに
なるんでしょうけどね

長子さん また苦労が増えますね

一人増えようと減ろうと
どうってことないわよ

私は
患者さんを診ることはできない

せめて食事を作って
皆に食べてもらうことで

皆と一緒に
仕事をしてる気にもなるの

私は
おかくら出ることになったけど

しっかり おかくらに代わる
生きがいを見つけることができた

これで
これからも元気にやっていける

ありがたいと思ってます

はい どうぞ

(文子)ご無沙汰してます
あら

あ~ 葉子も来てたの

(葉子)勇義兄さんのお見舞いに
来たくても

仕事してると なかなか思うように
時間がとれなくて やっと今日

もう私もね
早く来たかったんだけど

葉子も忙しいんだわね
本当にごめんね

おケガなさったって
伺っていながら

遅くなって申し訳ありません

二人とも お見舞い
ありがとうございます

お忙しいのは分かってんですから
わざわざ来て下さらなくたって

いや けど 亨くんまで

亨くんとは もうご縁が
なくなったとばかり思ってて

もうお目にかかることはないと
まさか いらして下さるなんてね

(亨)文子と別れはしましたが

仕事のことで どうしても文子の
力を借りたいことなどありまして

昨日もハワイから
こちらへ まいりましたら

お義兄さんのおケガのこと伺って
もうビックリして

これ 定番の

どうもありがとうございます
あっ どうぞ

亨さんと また付き合ってんの?

亨と他人になったっていったって

ハワイの亨のところには

私が おなかを痛めた
息子がいるんですもの

付き合わないわけに
いかないでしょ いや それにね

私達 旅行関係の仕事してるから

ハワイから日本へ旅行客が来たり
日本からハワイへ行ったり

お互いに必要なんです

また元のさやに収まる
ってこともあるわけ?

それはありません

他人同士だから何とか折り合って
仕事ができるんです

夫婦の時はね

亨も私も どうしても
わがままが出るでしょう

自分を通したい 通してくれるのが
夫の愛情だ みたいに思い込んでて

けど相手は譲らない

亨は亨で 女房は夫の言うとおりに
すんのが当たり前だって気持ちで

お互いに甘えてたのね

仕事だけの付き合いだったら
やだったら私は降りるし

亨も思いどおりにならなかったら
割り切って諦めるし

仕事のルールを守って
付き合ってるからケンカもないし

アハッ けどね

友達として結構
私のこと守ってくれてるの

本当に今は
ありがたいと思ってる

最高の友達です

そういう付き合い方もあるんだ

夫婦の時は文子と意見が違うと

どうして亭主の言うことが
聞けないんだって頭にきました

すると文子も意地になって
自分の方を通そうとするでしょう

あげくに女房だと思って
バカにしてるとか

亭主として優しくないとかって

今は
別れてよかったと思ってます

亨さん 再婚は?

ああ もうたくさんです
仕事だけで手いっぱいで

女房の機嫌とらなきゃ
ならないなんて とても

フフッ 一人で自由が何よりです

私も こりごり

息子は ハワイでホテル経営してるから
もう何の心配もないし

私は母親を卒業しちゃって

本当に今は一人なの 一人が一番よ

何だか負け惜しみみたいに
聞こえるけど はい どうぞ~

こりゃ どうもありがとう
ゼリーでも いかがですか?

葉子は子供が小さいから
子育てに精いっぱいで

夫婦のこと考える余裕なんて
ないのよ しかも双子なんだもん

私は透と一緒になって
よかったと思ってる

ゆきとみきの父親だから
いてくれないと困るし

一生懸命 働いてくれるしね

透がいてくれるから私も母親
やりながら したい仕事もできるし

葉子さんとこも夫婦で
同じお仕事しておいでなんでしょ

意見が合わないなんてこと
ないんですか?

同じ一級建築士の資格持って

事務所も
二人の看板にはなってるけど

私と透とは
仕事の分野が全然違うの

透は大きな建設会社と契約して

ビルとか
施設とかの仕事をしてるの

で 私は透とは正反対で

普通の住宅とか
マンションの内装とかっていう

個人相手の
ささやかな仕事をしてるの

収入は透とは全然違うけど
私は お金儲けは二の次

とにかく妻になっても
母親になっても好きな仕事だけは

続けていたいっていう
一念でやってることだから

小さい仕事でいいの

生活費は皆
透の方から出してくれるから

私が稼いだものは私のものとして
貯金していけるし ありがたいのよ

すごいじゃない
じゃ 結構 貯金できたでしょう

いやいや それでもお手伝いさんの
費用は私が出してるの

だって 子供の面倒みるのは
私の仕事なのに

それを人に頼んで
仕事してるんだもん

私が出すのは当然でしょう

それぐらいのけじめは つけなきゃ
透に申し訳ないもんね

文子も葉子も元気でよく働いて

長子だって責任のある仕事
背負って働いてるもんね

五月姉さんだって忙しいじゃない
うちは世代交代よ

いつまで働けるかね
ありがたいことじゃねえか

俺がケガしたら お前が
泊まりがけで付き添ってくれるし

俺達二人いなくたって店は
りっぱにやっていけてんだ

こんなありがたいことないんだぞ
何度言ったら分かんだよ

そうよ こんな贅沢な
入院生活させてもらって

今まで働き続けてきた
父親と母親に

この際 夫婦で
の~んびりしてほしいっていう

愛ちゃんの思いやりでしょ
甘えてたらいいじゃない

とんでもないわよ こんな高い部屋

もうこの人 退院して
リハビリだって通院でいいんだから

それじゃあ
退院したら幸楽へ?

いや 幸楽の二階じゃ無理でしょう

眞ちゃんとこは どうなの?
マンションだからエレベーターあるし

いや眞は来いって言ってくれてん
だけど この人が嫌だって

眞のとこっていったってね
眞 ほとんどいないんですよ

眞の嫁さんに世話になるなんて
気い使っちゃってね

治るもんも治りゃしませんから

だから 私がついてるんだから

この人のことは貴子さんには
迷惑かけないって言ってるのに

この人 嫌だって
一点張りなんだから

眞の気持ち
踏みにじるようなことねえ

(亨)分かりますね

私だって息子にホテル任せて
今 一緒に暮らしてますが

息子が結婚したら
別居するつもりです

息子の嫁さんに遠慮しながら
暮らすなんて ごめんです

娘夫婦なら まだいいんでしょうが
そういうもんなんですか

だったら退院したらどうすんの?

ウイークリーマンション
借りてくれるって

へえ~ じゃあ
また夫婦二人っきりで?

結構じゃありませんか フフフ…

けど 何も
そんなに急いで退院なさることは

少しぐらい費用がかかったって
病院の方が その方が安心でしょう

お金のことだったら
私達姉妹だって何とかするわよ

そんなことじゃないわよ

この人 病院にいたら おやじバンドの
ボランティアできないじゃない

病院にいたら
勝手なことできないからよ

エヘヘヘ…
その脚で おやじバンド?

いやいや ギターは脚で
弾くわけじゃありませんからね

好きなことやれんの
今のうちですから

(笑う一同)

(チャイム)

ただいま

(二人)お帰りなさい
ああ ただいま

(ゆき)パパも帰ってるよ
えっ こんな時間にもう?

(二人)うん

何かあったの? こんなに早く

今 忙しいんでしょ?

(ゲームの音)

あなた達 学校から帰ると
ゲームばっかりして

公園で少し遊んで
体 動かしてきなさい

(二人)は~い
はい 行ってらっしゃい

(二人)行ってきま~す
は~い

(ため息)

ワインでも いかが?

子供達には聞かせたくない
話じゃないんですか?

だから 散歩に行ってもらいました

飲んだら
気が楽になるんじゃないかな

そんな顔してますよ

(透)黙っていても何とかなるん
じゃないかとも思ったけど

やっぱり話さなきゃな

家族の暮らしに関わることだから

仕事が うまくいかないのかな

去年から契約して

何棟かビル建設に
かかっていた建設会社が

今日 破産宣告した

えっ?
つぶれたんだ

それは お気の毒に

何が原因だか知らないけど

この会社の幹部の人達

随分 贅沢な交際費
使ってるなと思ってた

あなただって いつも
いい料亭に招待されたり

何となく この会社
大丈夫かなと思ってた

破産したんじゃ
契約金も設計料も

何も もらえないわね

それだけじゃない

その会社の仕事させてもらうんだ
義理で株も買った

もちろん その会社を信用して
契約したんだから

将来性を買ってもいた

私の目が節穴だったんだ

その株も
ただの紙きれになってしまって

今まで少しずつ貯めておいた
貯金を

はたいて買った株だったから
結局 丸裸になってしまった

しかも
手数料も もう入ってこない

今すぐ他の仕事をすると言っても
そう うまくいくはずもない

あっ… だったら
しばらく仕事休んで

ゆっくり
次のこと考えたらいいじゃない

この際 思い切って気分転換に

海外の建築物
見てくるのもいいじゃない

何をのんきなこと言ってるんだ
収入がなかったら

生活費切り詰めてもらわないと
やっていけないんだぞ

そんなこと心配しなくても
私がついてます

私は あなたと結婚したおかげで

好きな仕事辞めずに済んで
勝手なことさせてもらってます

しかも生活費は
み~んな あなたに出してもらって

おかげで
せっせとヘソクリして

しっかり
貯めさせて頂いてます

当分 暮らしに困るようなことは
ありませんから

しかし…
私が貯めたお金は 私のじゃないの

あなたに貯めさせてもらって
できたものなの

家族のために使うのは
当たり前でしょ

任せといて下さい

おかげで私は
今も仕事させてもらってるし

小さい仕事だけど
まあ これでも

家族が食べていけるくらいの
収入はあるし

すまない
ああ…

私達 同じ仕事してるのに

別々の世界で働いてきて
よかったわよね

共倒れしないで済むもんね

はい

大丈夫 乾杯!

今年も お願いしますね

もうね 高校の卒業旅行の依頼が
いくつかきてるの

亨さんのホテルは
望がしっかりしてるし

若い支配人が
若者の気持ちをよく分かって

他のホテルにはない
心遣いがありがたいって

皆さん 喜んで下さってるのよ

そういう口コミが広がって
また増えると思うわ

効率のいい仕事とはいえないけど
これからも引き受けて下さいね

ああ 望には合ってる
お客なんじゃないかな

食事はもちろん 色んなイベントも
高校生向きのこと考えたり

それが結構 評判よくってさ
望のやつ 張り切ってやってる

儲けは少なくたって
お客が喜んでくれるのが

望には嬉しいんじゃないかね

あの望が そういう気持ちで
ホテル経営してるなんて

信じられないわ

おとなしく見えても
ガッツがあるのは

君の血を引いてるんだよ

これで 望のことは安心ね

ああ

今日 話そうと思ってたんだが

来月 結婚することになってさ

へえ~

あなたも やっと
そういう人に巡り会えたんだ

おめでとう
何勘違いしてるんだよ

結婚するのは望だよ

あっ なんだ

ええ~ 望が結婚?

望 いくつだと思ってるんだ

そうよね

考えたら もう…

32ですものね

でも 望が自分で相手を見つける

甲斐性なんてあると思えないけど

どなたかのお世話なの?
いや

学生時代の友達だとかで

やっと相手が
ハワイへ来る気になったそうだ

私は反対する理由もない

望が決めた人なら
それでいいと思ってる

だから許した

そしたらバタバタと話が進んで

来月 ハワイで式を挙げるって

出席してやってくれるよね

私は もう 望の母親は

とっくに卒業しちゃってるの

望は好きに生きたらいいと思って

父親のあなたと
ハワイへ出したし

今更 母親面して
お式に出るのはおかしいし

いや これからもね 望のことは
当てにするつもりもありません

文子
私には

もう子供は いないの

一人で生きてる それで結構

心配する人も
心配される人もいない

自分一人だけのことを
考えてればいいの

死ぬ時だってね
一人って決めてるから

もう その準備もしてるし

こんな のんきな人生ないわよ

今が一番幸せ

私も ホッとしてるんだ

望に嫁さんがきてくれたら

もう父親の責任は終わる

望の自由に生きたらいい

望や嫁さんの負担に
ならないように

ホテルを出て
一人暮らしをするつもりだ

そうね お嫁さんに気を使うのもね

一緒にいたら
うるさがられるだけだろうし

いや けど 男の一人暮らしは
無理よ 早く再婚したら?

大きなお世話 私だって一人が一番

責任持たなきゃならないもの
なんて もう たくさん

フフフ… じゃあ 私はこれで

あっ そうそうそうそう
あなたからの依頼の

民泊のお客のケース

うちね そういう面倒なケースを
扱いたくないんだ

本当に利益の大きなものしか
受けないことにしてるの

それが 私のやり方だから

じゃあ またね

ああ いいよ
今夜は私が

ダメよ
割り勘って決めてるでしょ

一人ね 6696円

1円でも貸し借りがあったら

仕事に差し障りが出るのよ

そういうもんなの

あなたとは

いつも他人で

そして 対等でいたいの

それが長続きする秘訣だから

あなたとは

いつまでも
いい友達でいたいから

はいはい

ドルですけど

あっ… ハハハ

こっちだ

いいよ

悪いなあ こんないい
車いす用意してもらって

おやじバンドのために
必要なんだ

一日も早く これに乗って
出かけられるように

俺達からのプレゼント

とにかくさ 今日退院して

ウイークリーマンションへ移る
って聞いたから 慌てて支度してさ

この車いすに乗せて 俺達が
押していこうってことになってな

おっ 楽々 軽々動くね

けど 自分で
動かせるようにならないとな これ

いやいやいや これ平気だよ
俺 ちょっと やってみるよ

おっ 大丈夫か?
よし よし よし

おお~ できる できる できる
おお~ うまい うまい うまい

こりゃいいね 軽いよ

(金田)いや~
マスター 何でもやるな

動きが軽いな これ

楽だね これ ええ?

(金田)いや すごい すごい すごい

これで止まるんだから ほら

まあ 準備が終わったら
出発しますか

あとのことは もう私が
ありがとうございました

そんな水くさいことは言わないの

俺達 引っ越し手伝うつもりで
来たんですから なあ?

マスターをお送りする時の車

車いすが乗れるように
してもらってあるんです

どうぞ ご安心して
お任せ下さい

はい
奥さん 正直に言います

はい
実は今日 退院して引っ越す途中に

ちょっと練習してみるかって
ことになってね アハハ

えっ?
でも まだ ご無理なんですよね

ああ いやいや 私もね 一日も早く
練習にトライしたいです

この状態で ギター弾けるかどうか
ちょっと不安なんでね

よし じゃあ 決まりだ
俺達 そのつもりで来たんで

あの 奥さん一人に引っ越し
押しつけて申し訳ありませんが

そういうわけなんで
よろしくお願いします

いや 引っ越しったって そんな
荷物があるわけじゃないんだから

俺一人 無事
退院できればいいんだからね

あと 頼むな
はい

じゃあ ひと足 お先に
よろしくお願いします

練習が終わったら ちゃんと
マンションまで お送りしますから

ありがとうございます
よし 行こうか

はい さあ 行こう
はいはい はい 行こう

(金田)さあ 行こ~う よ~し

はいはい

遅くなりました 今 マスターや
皆さんとお会いしました

引っ越しのお手伝いに行けって
言われて

ああ 車 下にありますから

荷物 そんなにないから

ウイークリーマンションでは 愛さんが
待っておられるそうですから

あっ お店
そんなに留守にしていいの?

昼の店 もうすぐ終わりますから

皆 マスターの退院
喜んでおられるんですよ

よかったです

さあさあ 小島勇
帰ってまいりました

あれ? 何だよ 誠くん 来てたのか

お待ちしておりました
ああ~ 危ない 危ない 危ない!

店 どうしたんだ?

周平さんも達ちゃんも
聖子ちゃんも もちろん愛も

お義父さんの
快気祝いみたいなもんだから

どうしても行ってこいって
夜の店が開くまでに帰れば

あっ お義父さんのギター
持ってきましたよ

ああ そうか ありがとう
いや… いやいやいや

懐かしいな おい

いつ お前に再会できると思って
情けなかったけど

こんなに早く

おお~
わあ~

(金田)イエイ イエイ
OKだよな?

テスト テスト ワン ツー

いいかな?
はい

(金田)いいかな?
はい

(金田)いいかな?
はい

いいかな? じゃあ とにかく
はい

お祝いに一曲

「心をギュッと抱きしめて」 から
いこう

誠くん ドンカマ
はい

♬~

いきましょう ワン ツー
ワン ツー スリー フォー

♬~

♬~金は無いけどヒマならあるさ

♬~居場所は無いけど
ロマンはあるさ

♬~人生まだまだ

♬~これからですよ

♬~今夜は仲間と一騒ぎ

♬~WOW WOW MY DREAM

♬~おまえを

♬~いつも追いかけていたいのさ

♬~WOW WOW MY LOVE

♬~俺の

♬~心をギュッと抱きしめて

はい ここでメンバー紹介をします

ギター 小島勇

右膝前十字靱帯断裂
にもかかわらず伺っております

そして ベース
はい!

以下省略です

ほっ

♬~WOW WOW MY DREAM

♬~おまえを

♬~おまえを

♬~いつも追いかけていたいのさ

♬~WOW WOW MY LOVE

♬~俺の

♬~俺の

♬~心をギュッと抱きしめて

♬~心をギュッと抱きしめて

♬~

やった~ OK OK!

いや~ 何も変わってやしないよ
これで明日からでも やれるぞ

はい
やっぱりいいな おやじバンドって

仲間って いいね
皆さんのおかげです ありがとう

(金田)イエイ ヤーッ!

わあ~!

ああっ いや~

こちらです
はい

おかみさん お連れしました

(愛)あっ ご苦労さま

タッキー もう
お店へ帰ってちょうだい

はい
ありがとう

ありがとう
いいえ

(愛)お父さんのベッド作っといた
うん

母さんは 普通の布団一組
押し入れに入れてあるから

それに お父さんと母さんが
使うもの 一通り用意してある

足りないものあったら電話して
すぐ届ける

食事も うちから運ぶつもりだから
食べたいもの言ってね

とにかく
お父さんから目を離さないで

母さんしか
頼れる人いないんだからね

あっ 食事
うちから運ぶって言っても

何がいるか分からないから
一通りの台所用品 揃えといた

本当に迷惑かけちゃって

そうよ こんな時は眞のところで
世話になるのが一番いいと思って

眞と相談してたのに

お父さんが どうしても嫌だって
聞かないって言うから

眞も諦めたらしくて
お父さんも少しは考えて

ほんの少しの間なんだから
我慢してくれたらいいのにさ

そしたら こんなとこで不自由な
暮らしすることだってないのに

息子の嫁に気兼ねすることなんて
ないじゃないね

長男の嫁なんだから
威張ってりゃいいのよ

お父さん 気が弱すぎる

結局 母さんが全部しょっちゃう
ことになるじゃないね

母さん かわいそう

けど お父さんと
二人きりになれることなんて

今までなかったんだから 仲よく
優しく面倒みてあげてね

はい どうぞ
うん ありがとう

じゃあ 私
そろそろ お店あるから

本当に色々ありがとう

お父さんに また会いに来る
よろしく言ってね

ちょっと よくなったら
おやじバンドって

何言ってんのかしらね 本当に

お父さんには
おやじバンドが一番の特効薬なの

おやじバンドで元気になって

しっかりリハビリしてくれたら
言うことないじゃないの

応援してあげよう
文句なんて言っちゃダメよ

お父さんの たった一つの
生きがいなんだからね

母さんも
何か趣味でも持ったら?

いつまでも
お店で働いてはいられないのよ

いつか 足腰つらくなる時もくる

そんな時 何もしたいことが
なかったら つらいわよ

母さんも もう年なんだから

今のうちに年を取っても
生きがいになるようなものをさ

じゃあ これ鍵ね

何かあったら電話して
近いんだから すぐ来られる

ねえ あんた 眞に お父さんのこと
相談してくれたらしいけど

眞は お父さんを預かることを
承知してくれたの?

承知するも何もないでしょう
眞は長男なのよ

お店 私達に任せて
好きに暮らしてるけど

親への責任はあるの それを今
果たしてないのよ

たまに
こんなことがあった時ぐらい

お父さんの面倒みるの
当たり前でしょう

眞だって
それくらい覚悟してるわよ

母さん
眞が断ってきたとでも思ってる?

アハハ それじゃ眞
かわいそうよ

眞は預かるつもりなのに
断ったの お父さんですからね

けど お父さんの気持ちも
分からないでもない

貴子さんって

今まで うちの嫁らしいこと
何もしてないし

お父さんや母さんにも
懐いてないもんね

お父さんだって
好きじゃないのかもね

私は お姑さんのいる人と
結婚しなくてよかった

どんなにいい お姑さんだって
やっぱり気が重いと思う

母さんだって おばあちゃんで
苦労したじゃない

貴子さんのこと気に入らなくても
許してあげてね

じゃあ

ありがとう

あっ…

(長谷部)ああ

いつも眞が
お世話になっております

いや 眞くんも すっかり
公認会計士として力をつけられて

今 色んな企業から
引っ張りだこでしてね

今は 私の方が随分
助けてもらっております

長谷部さんのおかげで 一人前に
なったって感謝してるんです

眞くんに会いにみえたんですよね
はい

今 仕事で出かけておりましてね

方々まわるので
帰りが いつになるか

もし 私で伺って
お役に立つことでしたら

いつも お世話になってます
ああ いや あの…

せっかく いらしたんです
せめて お茶ぐらい

いいえ とんでもない
あっ すいません

ここなら誰にも気を使うことなく
お話も伺えます

長谷部さんでしたら 眞のこと
色々 分かって下さると思って

正直言って 眞くんは

ご実家と貴子さんとのことを
いつも気に病んでて

お母さんがいらしたのも
そのことじゃないかと

察してはおりました

眞も 長谷部さんにしか
相談できる人 いないんですね

親として
お恥ずかしい話なんですけど

眞のことが分からなくなりまして

今日は眞を問い詰めるつもりで
来たんですけど

あの…

このことなんですけど

長谷部さん
何か聞いてますか?

このことは相談されてますか?

遺産相続放棄の…

これを眞くんが?

私 全く知らなかったんですよ

うちの人が隠してたのを見つけて

これはね うちの人が
書かせたのかと思ったんですけど

でも その前に
眞に事情を聞いてみようと思って

そうですか

本当に眞くん これ書いたんだ

まさかとは思ってましたが

眞くんとしては
悩んで悩んで

悩み抜いた末のことなんでしょう

今更 綺麗事をお話ししても
どうなるものでもありません

この際 お母さんも
しっかり本当のことを

承知しておかれた方が
いいかもしれません

眞くんは 貴子さんが
どうしても

長男としての嫁の自覚を
持ってくれないって

こぼしてましてね

だからって 貴子さんとは
別れられないんですよね

香ちゃんって子供が
できちゃったんですから

結局 親をみてもらうのは
愛さん夫婦に頼るしかない

それには 眞くんが
遺産相続の権利を放棄し

愛さん夫婦に

幸楽の何もかも譲ることに
するより他ないんだろうなって

それで 親への責任がなくなるって
ことにはならないだろうけど

せめて それぐらいのことは
しないと申し訳が立たない

そんなことを言ってました

私も それで親子の縁が切れて

親の面倒をみなくてもよくなる
とは思えません

けど 眞くんには精いっぱいの
お詫びの気持ちだったんでしょう

貴子さんの気持ち

大事にしてるんですね

お母さん

眞くんの つらい気持ち
分かってやって下さい

今の法律では

親の面倒をみなくても
遺産相続の権利があれば

もらえるものは もらえることに
なってますから

皆 権利を主張するんです

それを思ったら
眞くんなんて りっぱですよ

そうでも思わないと 今の時代

腹の立つことばかりで
やってられませんよ

私は
貴子さんの気持ちも分かるんです

眞くんは長男でも
店を継がない

だったら
親をみる義務もない

もちろん
親の遺産をもらうつもりもない

だから 眞くんとは結婚したって
言ってるそうですから

けど
貴子さんを恨むのは間違いですよ

昔から姑なんて嫌に決まってます

ただ嫁の立場が弱かったから
辛抱していただけで

今は何でも通る時代に
なっちゃったんですから

参ったな
はっきり言っちゃって

お母さんが どんなに
つらい思いなさるか分かってて

けど 早く割り切られた方が

お楽になるんじゃないかと
許して下さい

かえって長谷部さんに
嫌な思いをさせました

申し訳ありません

眞も
子供が かわいいんですね

その子供の母親だったら
どんな女だって大事なんです

親より大事なのかもしれません

あの子だけは

親を裏切る子じゃないと
思ったんですけど

親バカも いいとこですよね

眞も普通の男だったんです

子供も女房も大事

それでいいんです

そうじゃなきゃ
いけないんですよね

埼玉県が多いよなあ…
ただいま

えっ?
お帰りなさい

お邪魔してます
お前 どこ行ってたんだよ

おやじバンドの練習が終わって

皆 ここまで送ってくれたのに
お前 いないからさ

源ちゃん 心配して
俺を一人にできないって

今まで ついててくれたんだぞ

急に用ができて すぐ帰るつもりが

どうも すいません
いいの いいの

今 うちの店も
女房と娘達が仕切っててね

私がいても いなくても
どうってことないし

あの
私 ちょっと用ができて

この人が帰ってくるまでに
帰ってくるつもりだったんですが

今日 久しぶりに
おやじバンドの方に

お会いするって
聞いてたもんですから

もう ちょっと遅くなると
思ってたもんですから

あっ お茶いれましょう
ああ いやいや…

おかみさんの顔見たら
安心して帰れます

勇ちゃんね
ギター りっぱに弾けましたよ

そうですか
これから忙しくなるぞ

楽しみにしてるからな

じゃあ また
あっ ありがとね

すいませんでした
申し訳ありません

勇ちゃんのこと
よろしくお願いしますよ

すいません 申し訳ありません
それじゃ

あ痛たた…

これ どういうことですか

眞が持ってきたんだ

黙って受け取ったんですか

眞は幸楽を継がなかった
当然のことだろ

遺産相続 放棄したら
親の面倒はみない

みたくないってことですよね

お前 眞に会いに行ったのか

あんたが隠してるから

私が これ見たら
黙ってるわけいかないでしょう

眞の気持ちを聞きに じかに

バカなことすんなよ お前

眞の気持ちが どうであれ

もう眞夫婦を
当てにすんのは やめるんだよ

眞はな
立派に独り立ちして 家族もできた

それでもう
俺達 親の責任は果たしたんだよ

無事に親のところから
巣立っていったんだから

それで親子の縁は
切れたっていうんですか

もう眞の思うとおり生きりゃいい
親が干渉することも

ましてや 子供に見返りを
求めるなんて とんでもないよ

子供なんていうのはな
育ててる時が楽しかった

それで十分だと思わなきゃ

眞だけじゃない 愛も同じだよ

愛夫婦は幸楽を継いでくれた

親としては それ以上のことを
望んじゃいけないんだ

愛夫婦に遺産を
全部 譲ることになったって

だから 愛夫婦に世話になろう

世話になれると思ったら
大間違いだからな

愛夫婦が責任 感じて
面倒みてくれても

それはそれで愛夫婦に大きな
負担をかけることになるんだよ

俺はな
子供達に迷惑かけたくないんだよ

私達が
働けなくなったら どうすんですか

だから それを そろそろ
考えなきゃいけない時が来たんだ

子供達に迷惑をかけないで済む
老後を準備しなきゃ

それには
経済的なことは もちろんだけど

まずは心の準備をしないとな

子供達を頼らないと

それを しっかりさ

子供達の
本当の幸せを願ってるんなら

それが親の愛情なんだから

私は嫌ですよ 情けない

頼らないなんて 何のために
今まで苦労してきたんですか

私は子供達に頼りますよ

私はね 愛と眞には
優しく見守ってほしいの

私は諦めません

愛と眞には そばにいてほしいの

老後は
ずっと そばにいてほしいんですよ

そのために子供達を育ててきたの

貴子さんに尻に敷かれてたって

眞は私達の息子じゃないですか

私達が年を取ったら

眞に大きな顔して世話に
なったって何が悪いんですか

貴子さんが何だっていうんですか

嫁に遠慮なんか
することないんですよ

私は姑として
嫁をビシビシ仕込んでやります

いい加減にしろよ 今どきの嫁に

そんなことが
通用すると思ってんのか

自分の幸せを
守ることしか考えてない若い嫁に

分からずやの姑ってバカにされて

間に入った眞に
つらい思いさせるだけなんだぞ

そうやってね
物分かりのいいことを言うから

若者が つけ上がるの

言いたいことは通しますよ

年寄りの言い分は通します

あんたはね 男親だから
女親の気持ちが分かんないのよ

女親っていうのはね
おなか痛めて お乳をあげて

愛をおぶって 眞をおぶって
お店の仕事をしてきたんです

男親に女親の気持ちが
分かってたまるもんですか

(チャイム)

誰よ もう はい!

はい
お客様 お連れしました

あら お姉ちゃん

病院 行ったら
今日 退院したって

ビックリして幸楽へ行ってみたの
入って入って

ありがとう お邪魔します

これ夕飯です お客様の分も
用意してありますから

ありがとうね
(延彦)失礼します

あんた お姉ちゃん

ごめんなさいね
起こしちゃって

いえ またわざわざ お見舞いに
来て下さったんですか

申し訳ありません
いやいや それもあるんだけど

実は
勇さんに相談したいことがあって

はあ 今 こんな体ですからね

ご相談 受けても
お役に立てるかどうか

厄介なことは ごめんよ

うん…

ごちそうさま

(佐枝)
はい ありがとうございました

お気をつけて
はい

いらっしゃいませ

(浩平)おっ やってるね

おっ こんにちは

あれっ 弥生さんは?

出かけてます

例の方のことで 妹さんのご主人に
相談してくるって

ああ そう 今 作ちゃんがね
彼を迎えに行ってるんだよ

何としてでも
今夜 引っ張り出して

ここへ連れてくるんだってさ

いらっしゃいますかねえ

私も一度 お誘いに伺いましたけど
「友達なんて いらない」

老人クラブなんて 年寄りの
幼稚園みたいなとこ行くのは」

「たくさんだ」って 相手にも
してはもらえませんでした

いらっしゃい
(作次)ああ

何だ 一人か

やっぱりダメだったよ
どうして あんなに強情なのかねえ

大きな屋敷に一人暮らしでさ

いつ掃除したかも分からない
ゴミだらけの中でさ

ここへ来て
皆と付き合えるようになったら

ボランティアで
掃除ぐらいしに行ってやるのにさ

あっ いつもの
ああ 私もね

はい
今 弥生さんがね

彼のことで妹さんのところへ
行ってるそうなんだよ

あっ 弥生さんなら
何とかしてくれるかもな

う~ん あんな男のことは
ほっときゃいいんだよ

一人で
のたれ死にしたって知るかよ

弥生さんも
いい加減 諦めたらいいのに

弥生姉ちゃんは
人が よすぎんのよ

縁も ゆかりもない人のために
そんな苦労して

今ね
孤独なお年寄りが増えてんのよ

子供がいたって
結婚すれば うち出てっちゃって

残された親も
夫婦揃ってる時はいいけれど

連れ合いに死なれて
一人ぼっちになったら

もう どうしようもないもんね

私は まだ
家族と一緒に暮らしてはいるけど

うちの人は おかげで
今も庭師の仕事が忙しいし

私なんてもう いらない
おばあちゃんになっちゃって

家族に取り残されて

一人ぼっちに
なっちゃったのよね

寂しかった

そんな時 公園を散歩してたら

似たような境遇の人達に会って

それでね 孤独な
お年寄りの力になれたらって

皆さんが
集まれるような場所を作ったの

もうすぐ一年になるんだけど

皆さんの
お役に立てるようになったのよ

ただの
お人よしで やってるんじゃないの

私自身 一人ぼっちで

することない時に
救われたんだから

本当 これから高齢化が進んだら
お年寄りの問題は大変ですよね

年寄り同士で
助け合っていかないと

それでね
お願いしたい人がいるんだけど

その方
ギターを趣味にしてらっしゃるの

できたら
勇さんの おやじバンドの

メンバーに
入れてもらえないかと思って

えっ?
今は頑固な引きこもりでね

何とか お付き合いができるように
なれたらって

とにかく お気の毒な方で
ほっとけないのよ

60過ぎた男の一人暮らしなの

それも三男なのに ご両親と
一緒に暮らしてたもんだから

とうとう結婚もできないで

親と
同居してるような男のところへは

嫁の来手がなかったって噂だけど

何とかして 社会に出て

働けるものなら
働かせてあげたくって

お義姉さん 本当 優しいんだ

気の毒でね

気の毒で

ほっとけないのよね

それでね
その人 ギターが弾けるんだから

おやじバンド 入れてもらって

お仲間ができたら 人が変わって

もしかしたら 働く気にも

なってくれるんじゃないかと
思って

まずは
勇さんのOKを頂かないことには

話にならない話だから

分かりました
一応 その方には お目にかかって

ギター
どれぐらい弾けるか知りたいし

おやじバンドの
メンバーにも相談しないと

とにかく その方にうちのバンドへ
入る意思があるかどうか

それが先決問題ですから

ありがとうございます

もちろん 本人がどうするかは
私にも分かりません

でも もし おやじバンド
入れて頂けるんなら

うちのバンドのメンバーになって

これから先の人生
少しでも幸せになれれば

そんな いいことはないですけどね

そうよね 親御さんのために
精いっぱい やってたんだもん

何か いいことないとね

ありがとう 私はね
今のボランティアが続けられて

誰かのお役に立っていられたら
と思っているの

そして 最後まで良と
誰にも迷惑をかけずに

やっていくつもり

佐枝さんも 良武も勇気も

当てにはしてないの

何もしてくれないって恨むのも

してもらって
申し訳ないと思うのも 嫌だもの

あら ただいま

(佐枝)お帰りなさい
(良)お帰り

あっ どうも いらっしゃいませ

ああ
ごめんなさい 忙しい思いさせて

(良)じゃ 乾杯だ
(口々に)おう

乾杯 ありがとうございました

どうも
お疲れさまでした

盛り上がってらっしゃるじゃ
ありませんか

今日はね
こちらに手伝ってもらったんだよ

しかも安い日当でさ
ビールぐらい飲んでほしいじゃないか

今日はね 私のおごりですからね
遠慮なく飲んで下さい

それはいかん それはいかん

ここは自分のものは
自分で払うと決めてある

おごるの おごられるのっては
仲間が気まずくなるもとだ

おごらなければ ケチだなんて
言われて来づらくなる

おごられれば借りができるしな

それにさ 働いたっていったって
ただの雑草抜きとか

親方が
切り払った枝をトラックに運んだり

遊んでるようなもんなんだから

外へ出て お日様に当たって
仕事ができるなんて

こんな ありがたいことはないよ

お待たせしました

おう 来た来た来た来た
こっちへ頼むよ

出前 お取りになったの?

ええ 今夜はね 皆でここで一緒に

夕飯を済ませようってことに
なりましてね

自分の分は自分で払って下さいよ

分かってる そんなこと

ご主人はね
うちに夕飯の支度がしてあるから

いらないって おっしゃって

はい 私達は うちで

中井さんのこと どうなりました?

う~ん 妹の主人がね

本人に その意思があれば
メンバーに入れてもいいって

そう言ってくれたから 帰りに
中井さんのとこ寄ってきたのよ

中井さん ギターが好きなのよね

一緒に
弾かせてもらえるんならって

乗り気になって下さって

妹の主人のところへ

お連れするところまで
こぎつけました

へえ~ 彼
弥生さんの言うことなら聞くんだ

ホレてんのかな
おい 失礼だぞ

ご主人の前で そんなことを

弥生さんのね 優しさだよ

へえ~ 俺には厳しいのに
人には優しいんだ

もう
亭主にも優しくしてほしいね

変なこと言わないで下さい

皆さん 本当になさるでしょう

いやいや 奥さんがね こういう
スペースを作って下さったから

この辺の一人暮らしの老人達が
どんなに救われてるか

いや ご主人には
ご迷惑かもしれませんがね

奥さんの優しさ
許してあげて下さいよ

いやいや 私は女房
第一の理解者のつもりですよ

ここのスペースだって
私だって気に入ってるんです

弥生だって 私だって
老人の孤独は感じてるんです

ですから
皆さんが いらっしゃって下さると

やっぱり救われるんですよ

(作次)中井さんも
ここへ来てくれるようになったら

少しは変わるかもしれないよね

しかし 彼は こういう所
バカにしてるからな

あんまり
入れ込まない方がいいですよ

やつは ちょっと その…
難しい男ですからね

あっ 俺 800円だったっけ
ごめんごめん 遅くなっちゃった

楽しそうだな

ああ どうも
すいません

お呼び出しして

そこ ちょっと
危ない危ない…

ほら おい おお
奥さん

車いすを押していらしたんですか

せめて このぐらい 私
この人と二人きりになって やっと

女房らしいこと
気がついたんですよ

今までは お店と子育てに忙しくて

この人のことは
二の次 三の次でしたから

食べることっていったら
お店で済ましちゃうし

それに この人
自分のことは自分でしますから

今まで本当に
何にもしてこなくて反省してます

今回はね 何もかも
女房の世話になってるでしょ

女房の
ありがたさが身に染みてますよ

それじゃ お義父さんケガなさって

よかったじゃないですか
えっ?

五月
もういいからさ あっち座って

本当に皆さん すいません

お話ししたようにね 何かちょっと
変わった人らしいんですよ

おやじバンドへ入る気になって

引きこもりじゃなくなったら
何よりじゃないですか

とにかくギター どれぐらい
弾けるのか分からないからね

皆さんに聴いてもらおうと思って

こうやって
集まってもらったわけです

私の姉の頼みなんで
よろしくお願いします

あっ 遅くなりました

この度は とんだご無理な
お願いをしてしまいまして

あの 中井保三さんです

(中井)話は聞きました

皆さん おやじバンドを
作っておいでだとか

もう弥生さんが私に

バンドのメンバーに
なってくれって うるさくてね

とにかく 皆さんの演奏を聴いて

どれほどの腕があるのか
分からないと話にならないんでね

はい 早速 聴かせてもらおうか

(誠)ああ…

じゃあ 始めるか

(誠)はい

じゃ 誠くん ドンカマ

はい

♬~

いくぜ ワン ツー スリー

♬~

♬~冷たい風が

♬~吹いているけど

♬~いつかは春になる

♬~

♬~やりたいことを

♬~やれることから

♬~やってゆけばいい

♬~

♬~年のことなど

♬~関係ないさ

♬~気持ちがはずむよ

♬~ああ青春は

♬~

♬~心の中にある

♬~

♬~夢どこまでも

♬~

♬~追いかけてみたい

♬~

♬~ああ青春は

♬~

♬~心の中に咲く

♬~

♬~愛いつまでも

♬~

♬~抱きしめていたい

♬~

♬~ああ青春は
♬~ああ青春は

♬~

♬~心の中にある
♬~心の中にある

♬~

♬~夢どこまでも
♬~夢どこまでも

♬~

♬~追いかけてみたい
♬~追いかけてみたい

♬~

うわ~っ

マチュアだって聞いてたから
大して期待はしてなかったが

結構 皆
いい線いってるじゃないか

どうも ありがとうございます

いや 中井さんの演奏には とても
かないません お見事でした

これぐらい できるバンドなら
一緒に やってみてもいいな

どうせ 金は取れない
ボランティアなんだろうが

一緒に 頑張ろう!

ありがとう

お願いしよう なあ
はい よろしくお願いします

ありがとうございます

それじゃ
中井さんとのお顔つなぎに

今夜は 皆さんとお食事を
私が ごちそうします

あの おかくらでいいわね

私 この脚だからね
ちょっと遠慮します

皆をよろしくお願いしますね

何言ってんの 車いすなんだから
どこへだって行けるじゃないの

五月が
ちゃんと ついてるんだから

私が いるんだから
そう ねっ

それじゃ お付き合い下さいますね

まあ 仕方ないよな
バンドのためなら

ありがとう わあ すてきだった

(中井)いやあ いい店だねえ

お料理も気取ってなくて うまいっ

いや こういうとこへ来たのも
何年ぶりかなあ

まだ会社へ勤めてたころの
話だから

両親が病気になって

みてやる人間が 私しかいないから
勤め辞めて

それからは こういうとこへ
仲間達と来ることも

できなくなってしまった

大変でしたね ご両親のお世話

親だもの 仕方ないでしょう

親も かわいそうに

兄二人は嫁さんに遠慮して ろくに
見舞いにも来られなかったから

頼れるのは
私しか いなかったしね

若い時は
ギターが好きだったから

いつかバンド作ってって
夢もってた

けど 親に反対されて
サラリーマンになって

いつも うちで一人で弾いてた

親が死んじまったら
急に することがなくなっちまって

けど 何をする気力もなくて

早く お迎えが
きてくれることだけを待ってた

まさか今になって一緒にギター弾ける
仲間に巡りあえるなんてさ

きっと 親が まだ生きてろって
言ってるんだよな

そうですよ

中井さんのギター

まだまだ これから
皆さん 楽しみにして下さいますよ

(中井)
バンドに入って ギターが弾ける

皆に喜んでもらえる
ギタリストになるぞ!

何なの? 勇さんまで

いや おやじバンドの集まりでね

来て頂いたのは
お話ししたいこと あったんだけど

でも お二人も
おみえになって下さったから

ご一緒に よろしいですか?

ごめんなさい 私
勇 連れて帰らなきゃなんないから

それでしたら ちゃんと
車いすはタクシーにお乗せして

それで こちらから…

私どもも ちょっと
お話し合いがあるので

そうさせて頂きます

ねえ 日向子ちゃんを
お嫁にほしいって人がいるの

ええっ 日向子ちゃん 結婚って
まだ早すぎるじゃない

ヒナ もう21よ

結婚したいって人がいても
おかしくはないけど

その人のね お父様は
大きい会社を経営してらして

じゃあ その大きい会社の
御曹子さんなわけ?

そう
へえ

日向子ちゃん
その人のこと 好きなの?

まあね

しょっちゅうね
おいでになるでしょ

日向子ちゃんも 嬉しそうな顔して

≪こんばんは 和田です

いらした
えっ

いらっしゃいませ
(和田)こんばんは

ちょっと
ブレーキきつくないかな これ

(金田)贅沢言ってんじゃない
自分でやれよ ちゃんと

自分でやってるけどさ…
大丈夫ですよ

はい
どうも すいませんね

あんた 一人なの?
おいでおいで 一緒にやろうよ

あら あの人 イケメンじゃないの

いくつなの?


私 ちょっと会ってくる
ちょっと待って

日向子ちゃんと
ちゃんと話し合って

それから行きなさい ねっ

じゃ そろそろ…

ビールきましたから ほら
ビールがきたから

(金田)立つんじゃない!

すいません ありがとうございます
どうぞどうぞ

先日 和田さ… あっ
日向子ちゃんのお相手なんですが

和田さんのお母様も
時々 こちらに おみえになって

やっぱり 日向子ちゃんのことを
気に入ったようで

それで ぜひ
息子の嫁にっておっしゃって

きのう おみえになった時
私と お約束したんです

ヒナを嫁にって言われても
ヒナは おかくらを継ぐ子なのよ

婿にきてくれるんだったら
話は別だけど

(タキ)日向子ちゃんが 和田さんを
愛していらっしゃるのなら

結婚させておあげになるのが
私は…

日向子 好きなんだ
和田さんのこと

和田さん いらっしゃると
本当 日向子ちゃん 楽しそうで

かわいくなられんですよ

ただ この おかくらは
どうなるんでしょう

ひと思いに
おかくらも お売りになって

ご姉妹で
遺産として お分けになる

それが 日向子ちゃんのためにも
皆さんのためにも

一番 お幸せじゃないでしょうか

そうよね

ヒナは 料理を作って
ひとさまに喜んでもらえるのが

一番の幸せだっていうから
ヒナに任せてきたけど

この店で
働いて働いて終わるなんて

幸せじゃないのかもね

好きな人ができたら
おかくらから出してやるのも

親としての責任かもしれないわね

日向子ちゃんを おかくらの
犠牲にすることだけは…

私は タキさんと同じ意見よ

日向子ちゃんに
好きな人がいるんだったら

おかくらのことは
考えなくていいんじゃない?

(弥生)そうよね
あとで後悔させないように

日向子ちゃんと よーく話し合って

女の幸せは チャンス逃したら

取り返しのつかないことにだって
なりかねないんだから

今夜 ここへ泊まろうかな

クリニック忙しいから 日中 なかなか
ここへは帰ってこれないし

早い方がいいから

中井さんって
不幸な人だったんだな

ご両親に尽くして

ご両親が亡くなると
何していいか分かんなくなって

自分の中に
閉じこもっちゃうなんて

なんとか立ち直らせてあげたいね

ご両親の介護をして
自分 犠牲にしてらしたんだもんね

でも これから
そういう人 増えるんでしょうね

長子さん 何の話だったんだよ

あなたさ 日向子ちゃんの
お客さんと話してたでしょ

ああ 和田くんな

彼は いい青年だよ

さわやかで 礼儀正しくて
ユーモアもあるしさ

何より やさしいんだよ

彼は 完全に
日向子ちゃんのファンだな

日向子ちゃんも
まんざらでもなさそうだし

日向子ちゃんの願い
かなえてやりたいね

(チャイム)

誰? こんな時間に

☎(愛)私

愛です

何?

(愛)心配した

お夕飯届けさせたのに
二人とも いないっていうんだもの

何かあったのかって

何も 夕飯にいないからって
心配することないじゃないの

だって おやじバンドで
誠は帰ってきてるのよ

あれ 誠さんに聞いてないの?
おかくらへ行ったこと

けど こんなに遅くなるとは
思ってなかったから

途中で
何か あったんじゃないかって

子供じゃあるまいし あんた

お夕飯にいないぐらいで
心配することないじゃないの

お父さんは 脚悪いし

母さん一人じゃ お父さんの
面倒みるの大変なの 分かってるし

二人きりじゃ ケンカもするだろうし
心配するわよ

ちゃんと うまくやってます

今日は おかくらへ行って
お夕飯食べて帰るつもりが

日向子ちゃんのことで相談されて

遅くなるのなら なるって
電話くらいしてよね

くだらない心配するなって
言われたって

年寄り二人きりになったら
しなくてもいい心配するの

眞のところにいてくれたら
こんな苦労することもないのに

お父さん わがままなんだから

せっかく
眞だって その気になってたのに

息子の嫁の世話になるのは
ごめんだなんて言って

孫だっているの たまには
一緒に暮らすのもいいじゃない

眞夫婦だって お父さんに
甘えてもらえたら嬉しいのよ

それを…
冗談じゃないよ

お前には黙ってたけどな
眞には断られたんだよ

あんた 愛に そんなこと…
いや いいよ

いずれは
愛にも話さなきゃなんないことだ

眞はな 自分の遺産相続の権利を
放棄したいって言って

遺産相続放棄の宣誓書を
持ってきたんだよ

相続の権利を
放棄するっていうことは

もう親の面倒はみないって
宣言したも同じなんだ

それを お前は長男なんだから

親の面倒みる義務があるんだぞ
なんていって

眞のとこ押しかけるなんて

そんなことが できるわけないだろ

へえ こんなもの作ってたんだ

幸楽は私にやるから
私に親の面倒みろってことなんだ

ずいぶん はっきりしてるわよね

貴子さんに言わされてんのよ 眞は

けど 私は認めない

眞は 小島家の長男なんですからね
私は眞に面倒みてもらいますよ

あんた達夫婦には 苦労はかけない

もう よせよ
子供達に迷惑かけることないだろ

俺達は俺達で
しっかり老後を考えていかなきゃ

大丈夫よ
眞がいなくたって私達がついてる

お父さんと母さんには
幸せな老後を送ってもらえるよう

しっかり働くから

貴子さんのことなんか忘れるの

いないと思えばいいことなの

うち もう お店閉める時間だから

今夜は ここで
少し おしゃべりしていくかな

今夜
久しぶり 三人で飲もうと思って

たまには
お父さんや母さんに甘えたいのよ

娘だってこと
忘れてもらわないように

何バカなこと言ってんの

あんた 誠さん 待ってんのよ
かわいそうに

私がいなくたって
どうってことないの

さくらは もう
自分のしたいこと して

親なんて うっとうしいって年に
なっちゃったし

誠は うるさい私がいなくて

やれやれって
のんびりしてるだろうし

家族って そんなもの
それでいいのよ

けど お父さんと母さんとは
お店で 一日中 一緒だって

親子だけで ゆっくり
話すってことなんてないし

お店あがったら
別れ別れに暮らしてるの

こんなことでもないと

親子水いらずで
話せる時なんてないし

何か話したいことでも あんのかよ
うん? 別に

俺達だって
別に話したいことなんかないよ

お前もさ 毎日忙しいんだから
早く帰って ゆっくりしろよ

俺達に気使うことなんか
ないんだから

いやいや 俺はね
お前達に気使ってもらって

ここで のんきな暮らしを
させてもらってるよ

それは ありがたいと思ってる

私が
お父さんや母さんと飲みたいの

おいしいワインだから

一日も早く お父さんが幸楽へ
帰ってこられるように祈って

乾杯

乾杯
はい 乾杯

ああ…

おお
久しぶりに飲んだら おいしい

年取ったら お父さんと二人で

ゆっくりワイン飲めるような
暮らしをしてよね

お店は
一生懸命 私達がやってくから

眞のことは許してあげて

眞だって かわいそうなのよ

貴子さんも
守ってやらなきゃならないし

貴子さんだって
眞しか頼れる人いないしさ

貴子さん 今 香ちゃん育てるのに
精いっぱいなんじゃないかしら

だから つい眞に あんなまね
させるようなことになったの

貴子さんのこと忘れなさいって
言ったけど

貴子さんのつらさも
分かってあげてほしいのよね

じゃなきゃ 母さんだって

貴子さんのこと
怒ったり恨んだりしてたら

一生 情けない思い
してなきゃならないんだからね

そうだよ
眞が気に入ってる嫁なんだからな

もう どうしようもねえだろ

腹立てるだけ損なんだから
もう諦めろ

そんな…

貴子さん 眞の嫁なんです

そんな簡単に
諦められるわけないでしょ

子供なんてな
一人前になったら親の責任は終了

もう親のもんじゃないんだよ

子供にしてやったことに 見返りを
求めるなんて間違ってんだから

何度言ったら分かんだよ

お父さん 貴子さんに甘いの

貴子さんだけじゃない

今の若い人は
皆 貴子さんと同じなんだから

おいしいでしょ

ビールのほうがいい?

お母さんは何もしなくていいの

たまに帰ってきたんだから
ゆっくりしててよ

クリニックじゃ休んでる暇もないくらい
忙しいんだから

とにかく ここなら 今夜は
急患で起こされないでも済むから

こんばんは

いらっしゃいませ

お待ちしてました

どうしたの お父さん
うち 急患なんていないわよ

お母さんが来てもらったの
いいの? 夫婦でクリニック空けて

うちには
優秀な先生がいてくれてるから

けど 夫婦の仲がよくて結構でした
安心してます

(英作)ヒナが お世話になって
(タキ)いいえ

お体の方 大丈夫ですか?

私も年ですから
何があるか分かりませんけど

いざとなったら
先生が いらっしゃるんですから

その時がきたら 先生

いいところへ
連れてってくださいませ

それには生前から ご本人の意志を
書き残しておいてくれないと

まあ タキさんは
認知症の心配は ないでしょうから

明日 人間
何があるか分かりませんからね

日向子ちゃんが
結婚でもなさったら

私の仕事納めでございます

タキさん 何言ってるの?

私が結婚するなんて
いつのことになるか

一生しないかもしれないし

そんなこと言っていいのか?
(日向子)えっ?

ヒナに縁談の話がある

ヒナを見込んで下さった方がいて

ヒナも その相手の方に
好意をもっているようだから

この際 ヒナの幸せを考えて

結婚させた方が
いいんじゃないかって

今夜 父さん 飛んできたんだよ
何よ 一体 何の話?

(タキ)日向子ちゃんには
まだ言ってないんですけど

二度ぐらい 和田さんのお母様が
おみえになりましたでしょ

日向子ちゃんをご覧になって
そのあとで

うちの息子に嫁に頂いてって
私に おっしゃったんですの

えっ 和田さんって

いつも お店を ひいきに
して下さってる あの和田さん?

(タキ)はい
いい方だそうじゃないか

うん 最高の男性

私のこと かわいがって下さって
それも妹みたいに

時々辛口で叱って下さったり けど
やさしいの 思いやりがあって

好きなのか? 和田さんのこと
大好き

私の料理 ほめて下さるの
若いのに よくやってるって

それで
いろんなアドバイスもくださるの

将来 お父様の会社を継ぐ人だから
経営のことも しっかり勉強してる

じゃあ プロポーズされたら
お受けするつもりか?

和田さんは お兄さんみたいな人よ
結婚なんて そんなバカな

けどな 和田さんのお母さんは

息子の嫁にと
思っておいでだそうだよ

もちろん 和田さんが
ヒナのことを愛してることを

ご存じのうえでのことだろうけど
冗談じゃないわよ

私 和田さんから そんなこと
一言だって聞いたことない

ただ 和田さんは

そういうことを ご自分で
おっしゃる方じゃないんです

ですから お母さんを通じて ねっ

和田さんの実家で

ご両親が 気に入って頂ける
方じゃないとって

父さんも母さんも

ヒナが結婚したいんだったら
反対はしないよ

ヒナの気持ちを
大事にしたいんだから

おかくらのことなんか
気にしなくたっていい

ヒナの幸せが大事だからさ

ヒナ 真剣な話してんのよ

だって 私には
考えてみたこともないことが

いつの間にか ひとり歩きして

こんな大ごとになってたなんて

日向子ちゃんが
お店のことを考えて

諦めようって お思いになっても

お父さんも お母さんも
分かっておいでなんですから

だって 私

和田さんと結婚するつもりなんて
最初から ないもの

そりゃ
和田さんは すてきな男性よ

けどね 彼 長男なの

ご両親のこと 愛してるし…
というより 親に頭あがらないのね

そういう人 私 ダメ

お嫁にいったら お舅さんや
お姑さんに気を使いながら

一生 過ごさなきゃならないのよ

しかも 今は長生きの時代で

いつまで 嫁としての苦労
しなきゃならないのか

病気になれば
看病もしなきゃならないし

そんな苦労が分かってて
嫁にいくバカ いる?

私は おかくらやりながら
一生独身でもいいと思ってる

結婚して
幸せなこともあるだろうけど

一人には一人の幸せもある

だって 自分のことだけ
考えてればいいんだもん

結婚したら 亭主の面倒みて

子供が生まれたら
母親の苦労して

自分のこと考える暇なんて
なくなるのよ

おかくらやってたら
生活には困らないし

すてきなお客様とも巡りあえる
それで 十分 楽しいもの

(壮太)日向子ちゃん

本当に結婚する気持ちは
おありにならないんですね

当たり前でしょ
おかくらやらせてもらって

伯母さん達に
どんなに感謝してるか

おかくらが
私の生きがいになってるのに

それを捨てるようなバカなまね
するわけないじゃない

それで安心しました

今だから言わせていただきますが

私は おかくらに
青春のすべてをかけてきました

亡くなった親方の思いを

孫の日向子ちゃんが
継がれたことが嬉しくて

今は 日向子ちゃんのためにも
と思って頑張ってきたんです

日向子ちゃんが
お嫁さんにいかれてしまったら

おかくらは どうなっちゃうのか

私の今までの苦労も水の泡です
心配しました

けど 日向子ちゃんのお気持ちを
伺って安心しました

日向子ちゃんが 本当に これから

おかくらを続けていく力を
おつけになるまで

これからも もうしばらく

まひると一緒に
こちらでお世話になります

私も おかくらが好きです

日向子ちゃんも大好きです

日向子ちゃんが
おかくら続けて下さるなんて

こんなありがたいこと ありません

なんだ もう 私は
何のために慌てて来たんだか

急に疲れが出た

まあ 申し訳ございません

私が勝手に忖度いたしまして

私 タキさんの気持ち よく分かる

ヒナのこと
本当に心配して下さってるのよね

私だって ヒナにいい人がいたら
お嫁にいってもらいたい

おかくらより
ヒナの方が大事なんだから

もし お婿さんにきてくれる人が
いなかったら

おかくらなんて
手放したっていいんだから

やめてよ
私は おかくら やっていきたいの

これから私の好きなお店に
するように いろんな夢ももってる

結婚なんかして
家族に縛られるより

その方が どんなに楽しいか

本当に
私の幸せ考えてくれるのなら

二度と こんなバカ騒ぎ しないで

(日向子)でも
タキさんには お礼言わなきゃ

本当に
私のこと心配してくれてるんだ

けど 私は 私の好きなように
させてもらいます

悪く思わないで

私の早とちりで
皆さんに ご迷惑をおかけしました

でもね 私はね おかくらを
残して下さったんです

もうひとふんばりも

もうふたふんばりも
させて頂かないと

それが
私の元気の源でございますよ

でも タキさん
あんまり無理しないでね

大丈夫 タキさんは
今のところ どこも悪くないし

ヒナを守ろうという気持ちが

タキさんには
年を取る暇を与えない

当分 ヒナのために働いて下さい

英作っ もう

本間の先生の
おっしゃるとおりでございますよ

日向子さんのおかくらを
残して下さってるし

私は 大丈夫です

病気なんかに かかりません

よかった

お父さんやお母さんに
分かってもらえて また頑張れる

そうでした おかくらの配当
差し上げる時がきました

皆さんに お知らせしなくては

また今年ももらえるんだ
はいっ

おかくらがあるかぎり
一年に一度ですけど

今年も去年と同じぐらいで
たいしたことはできませんが

もっと配当が出せるように

お客様に かわいがっていただける
おかくらにするから

いいよ まだ寝てなさい

ゆうべは香の世話で
あんまり寝られなかったんだから

俺の朝飯の心配なんて
しなくていいの

ごめんなさい いつも寝坊して
朝ご飯の支度してあげられなくて

香が大きくなるまでは
俺の世話は無理だよ

ほっといてくれていいって
言ってんだろ ゆっくり寝てな

(チャイム)

こんなに早く誰かしら?

はい どなたですか?

☎(愛)私

は~い

姉貴

朝早くからごめんね

こんな時間じゃないと
出かけられないから

朝ご飯まだでしょ? 焼きそばと
チャーハン ギョーザも持ってきた

誠が作ってくれたの
まだ熱いから すぐ食べられるわよ

貴子さんは?
うん まだ寝てる

夜中に起きて香の世話で
あんまり寝られなかったんだ

それで眞がパン焼いてるんだ

優しいんだよね 眞は

色々こしらえてきたの
今 支度してあげるから

何かあったの? こんな時間に

別に ちょっと
眞と話し合いたいことあってさ

おはようございます

よくいらして下さいました

眞さんと二人きりで
お話がおありでしたら

私は香を連れて出かけますが

よかった 貴子さんが
起きてくるの待ってたの

貴子さんと眞と

三人で話し合わなきゃ
ならないことだから

眞 遺産相続の権利を
放棄するっていう宣誓書

お父さんとこへ
持って行ったのよね

昨日 見せてもらった

母さんはね
遺産もらわないってことは

親子の縁も それで切れる

いや
切りたいと思ってるからだろう

そんな寂しいことあるかって
泣きそうな顔してた

親父 お袋にも見せたんだ

私はね 貴子さんが

舅 姑の面倒みるのが
嫌だって気持ち よく分かる

誰だって 舅 姑と一緒になんて
暮らしたくないの 当たり前なの

そんな貴子さんの思いを察して
眞が遺産相続の権利 放棄して

貴子さんに親の負担を
かけないようにしたっていうのも

ホレた女房のためなんだから
仕方ないと思ってる

はっきり言っとく
幸楽は姉貴がやればいい

俺達は遺産なんてほしくはない

だから 親父とお袋のことは
幸楽でみてほしい

それだけのことだ

それは違うでしょう

遺産相続の権利 放棄したって

親子の縁は切れないの

何もそんなもの作って
お父さんや母さんに

つらい思い
させることないでしょう

そういうもの作っとかなきゃ
分かってはもらえないだろ

貴子には舅や姑の苦労
させたくないんだよ

だからってあんなもの作って

お父さんに
見せることないでしょう

お父さんと母さんが
どんなに寂しい思いしたか

お父さんと母さんの面倒は
私がみる

実の娘の世話になる方が

お父さんだって母さんだって
気が楽だと思う

だから 私は覚悟してる

お父さんと母さんが
どんなことになっても

私が介護する そう決めてるの

貴子さんに迷惑はかけない

だから 遺産相続放棄なんて

バカなことしてほしくないの

あんなもの 破って捨てたからね

それでいいよね?

幸楽は 眞と二人で
平等に相続しようよ

したいの
俺は幸楽に何もしてはやれない

やるつもりもないから
分かってるわよ それぐらい

でも 眞には
幸楽のオーナーの一人でいてほしいの

色々相談したいことも
出てくるだろうしさ

それに 幸楽の株
半分持つことにしてくれたら

利益の中から
それ相応のもの眞にあげられる

あげられるようにしたいの

姉弟だもの

おかくらがそうしたように
うちもそうしたいの

二人で相続することにしたら

お父さんも母さんも
どんなに安心するか

遺産放棄されたら
親子の縁が切れるって

つらそうにしてたもの

申し訳ありませんでした

遺産放棄のことは
私がお願いしたことなんです

今は香に手がかかって
眞さんは仕事が忙しくて

一人で何もかも
やってるものですから

疲れ果てていて
とてもお義父さんのお世話なんか

させて頂く余裕なんて
ありませんでした

だから つい
あんなことを眞さんに

お義父さんにも お義母さんにも

お詫びの言葉もありません

いいの いいのよ

誰だって子供抱えて

ケガした舅の面倒みるのは
大変だもの

貴子さんは正直だっただけ

ただね 一つだけお願いがあるの

時々は我慢して

小島家の嫁としての顔も
見せてもらえたらさ

一年に一度でもいい

貴子さんは うちの嫁だったって

お父さんと母さんを
喜ばせるようなことしてくれたら

それで

はい

肝に銘じておきます

お父さんも母さんも
時々は香ちゃんを

抱いてもみたいと思ってるの

それも分かってやってね

はい

ありがとうございました
どうぞお気をつけて

中井さんに わざわざ来て頂いて

こうして一緒に飲めるなんて
夢にも思っていませんでしたよ

奥さんに誘って頂いて

思いがけず
おやじバンドとご縁ができて

一度ゆっくりお礼にと思って
伺っただけでしたのに もう

こんな
ごちそうになるようなことに

あの 一つだけ

はっきりさせて頂いておきたいと
思うんですけど

こちらで召し上がるものは

ご自分でお支払い頂くことに
なっているんです

ごちそうしたり されたりは
面倒なことになるんで

そう決めさせて頂いております

ここは 皆様に集まって頂いて

そういう場所を
提供してるだけですので

いいんだよ 中井さんは

君にお礼を言いに
いらっしゃったお客様なんだから

難しいことは言いっこなし
いや とんでもない

私だって この場所のことは
よく知ってるんです

この辺では噂になってますしね

ちゃんと承知して
伺ってるんですから

本当に
よくいらっしゃって下さいました

しかし 中井さん
ギター 玄人だって

おやじバンドの連中 中井さんに
仲間に入ってくれただけで

どんなにか助かったって
皆 喜んでたそうですよ

いや~ 私にはたった一つ

現実から逃避できる慰めとして

一人で弾いてきたギターが
この年になって役に立つなんて

思ってもいませんでした

しかも
皆さんに喜んでもらえるなんて

私は父親と母親を
続けて見送って

それからは
何をする気にもなれなくて

長い間 ご両親に
尽くされてきたんですものね

奥さんも座って下さい

初めは親の面倒を
みるつもりなんてなかったんです

金さえ出せば介護なんて
人任せですむって思ってました

けど 両親の気に入る人が
なかなか来てくれなくて

で 結局 私がみるよりほかに

50で会社辞めて この10年は

ただ両親のために
生きていたようなもんです

その両親が亡くなってからは
もう 何をする気もなくて

うちは ゴミの山

最近はただ
死ぬことばっかり考えてました

そんなバカな
まだこれからじゃありませんか

それに ギターという生きがいだって
おありになるんだから

もし働きたいっていう
お気持ちがおありでしたら

我々と一緒にどうですか?

野田さんは庭師を?

ええ 私もサラリーマンでした

でも小さい頃は
草や木を育てるのが好きでしてね

庭師になるのが夢でした

それで つい失礼なことを

いや 俺たちもボスに誘われてさ

皆 定年後ですることなくて

ブラブラしてるより
庭仕事手伝った方が

体のためにもいいよ

うちでゴロゴロしてると
不機嫌な女房も

ニコニコしてくれてるしさ

皆さんね 安い日当で
よく働いてくれてるんですよ

安いなんてとんでもない
1時間960円なんですから

外で体を動かす仕事って
気持ちいいよ

皆さんも
サラリーマンでいらしたんでしょ

それでも務まる仕事なら
私にもできるのかも

(浩平)いや~ できる できるって

最初は大変かもしれないがね

慣れてくると結構楽しいんだよ

草や木相手の仕事ってさ

お義父さん お義母さん
お食事の支度ができました

いやいや 私はここで
親子丼 皆さんと一緒に食べる

あなた…
奥で食べたって

孫達は勝手なことして
いやしないし

家族団らんなんて もう無理だよ
だったら皆さんと一緒の方が

じゃあ 私もここでカツ丼だ

えっ?
よろしくお願いします

もちろん仕事の方も
皆さんとご一緒に

よし また一人お仲間が増えた

せっせと仕事とってくるぞ!

親方 頼みましたよ

(良)じゃあまあ
乾杯といきますか ねえ

皆 大丈夫なの?

うん うちはさ
勇 一人にできないもの

長居できないわよ

うん 喜んで伺います はい

りっぱなもんだな
お義父さんが亡くなった時

五人の姉妹で
遺産相続するとなったら

おかくら
売らなきゃなんなかったのに

皆がお義父さんの気持ち
大事にして

おかくら遺すことにして

だったら五人の姉妹で
平等に株を持って 利益があったら

それを五人の
配当にしようなんていうのは

なかなかいないよ
そんないい姉妹は

たいていは現金がほしくて
店売って分けるとか

いつまでも どうするかでもめて

きょうだい絶縁に
なったりするとこなんだよ

配当がほしいからじゃないのよ

おかくらを遺したい一念で
賛成したの

律儀にくれるんだもんね

日向子ちゃんも縁談断って
続けてくれるそうだし

またくれるのかな?

和田くんって いい青年なのにな

私ね

年取って
足腰立たなくなったら

介護つきホームに
入ることにしました

えっ?
中井さん見てて

子供達に

親の犠牲にしてはいけないな
と思ったの

介護つきのホームに
入るって決めたら

お金貯める

貴子さん恨むのも

間違いだって思い知った

日向子ちゃんだって 親の面倒
みなきゃいけないからって

長男はごめんだって

和田さんとのお付き合いも
断ったんだもんね

日向子ちゃんだって
そういう気持ちになんだから

貴子さんの考えてることが
普通なのよ

私 これからは
眞も貴子さんも当てにしません

愛夫婦にも迷惑はかけない

介護つきホームなんて
ひと事だとばっかり

思ってたけどな

私達も
まだまだ働けると思ったけど

覚悟はしとかないとね

あなた そろそろ支度しないと
今日 夜は

おやじバンドのボランティアあるんでしょ?
うん

皆さん 迎えに来て下さるんでしょ

その間 私はおかくら行ってきます

やっぱり配当もらうんだ
お金の問題じゃないでしょ

姉妹に会えんのが嬉しいの
そんなチャンスないもの

(チャイム)

はい
☎(愛)母さん

はい

何? 愛

どうしたの? 貴子さん
お見舞いに伺おうと思いながら

色々あって
今日になってしまいました

申し訳ありません
いいのよ そんなこと

こんな大きい赤ん坊
抱えてんだから

出るなんて無理よ 上がって

あっ 母さん これ 貴子さんから

そんな気使わなくていいのに
ありがとう

行こ
どうぞ

貴子さん
えっ?

おお!
失礼します

よく来られたね

香ちゃん よく来てくれたね
いい子だね

大きくなっちゃって
はい おじいちゃんです

重たい重たい
香ちゃん やっと会えたね

いい子だね おじいちゃんだよ

重たいね
重たい重たい

よく来てくれた ありがとうね

この度は
大変勝手なことを致しまして

お詫びの言葉もありません!
貴子さん…

そんなこと いきなり何?

香ちゃん
ほら 伯母ちゃんち行こう

行こう よいしょ はい よいしょ

眞さんが遺産相続の権利を
放棄したことで

愛さんが それをすごく気にされて

お父さんやお母さんを
悲しませないでって

あのこと

遺産相続の権利を
放棄するってことは

親子の縁を切りたいと
言ってるのと同じだって

私には全然そんな気持ち
ありませんでしたから

ビックリして
でも 遺産放棄をするってことは

親子の縁を切るっていうのと

同じだって
人は思うんじゃないかしらね

そうお思いになっても
仕方ありません

ただ 今日は
正直にお話しをしておきたくて

遺産放棄を眞さんに頼んだのは
私です

私は香が生まれてから
子育てに疲れていて

子育てもろくにできない私に

お義父さんと
お義母さんのお世話など

とても無理だと
情けない思いでおりました

自信がなかったんです

私には ご両親が血の汗を流して
遺された財産を

たとえ1円でも
頂く資格はないと思ったので

私が眞さんにお願いしたのです

ろくでもない嫁の

せめてもの罪滅ぼしだと
思い込んでいたんです

分かってるよ

私達だってね 嫁だからって

貴子さんに
面倒みてもらおうなんて

思ってやしないよ

子供を一人前にするのが
親の責任で

育ててやったんだから
その見返りに

親の面倒みろなんていうのは
間違ってんだぞって

いっつも五月にそう言ってんだよ

今は 五月も同じ気持ちでいる

もう 私達の心配
してもらうことはないからね

でも…

ただただ 何てバカなこと
したんだろうって

もういいから ほら

すんだことなんだから ねっ

私達も
子供達には迷惑をかけないで

私達もね 覚悟は決めてるの

あんた達が自分達の暮らしを

しっかり守ってくれれば
いいんだから

でも 私は嫁に来た人間です

香からも手が離れたら

少しでも幸楽を
お手伝いできたらと思っています

幸楽は
愛夫婦に任せとけばいいのよ

けど 愛さんは
おかくらさんみたいに

愛さん 眞さん 二人で株を持って

利益があがったら
眞さんにも配当を下さるって

だったら私だって
お手伝いしないと

愛が そんなこと言ったの?

はい

私 それいいと思う
おいおい 五月

いやいや 私さ
配当の問題じゃないのよ

お金の問題じゃないわよ

だって 姉弟
ずっといられるってことだもの

幸楽だって そうしてくれたら

愛と眞が
ずっと姉弟でいられるってことよ

私 嬉しいな

愛も いいとこあるじゃないですか

愛の言うこと 聞いてやって

そしたら私達も安心できるもんね

(日向子)失礼致します

お待たせしました

ご用意ができましたので
ご案内致します

おかげさまで
今年もささやかですが

おかくらの利益を
分けさせて頂きました

ありがとうございます

たいしたもんだわよ 日向子ちゃん

赤字を出したっておかしくない
厳しい時なのに

遠慮なく頂きます

うちはね
ボランティアのお店開けてるでしょ

自分で飲んだり食べたりするのは

めいめい自分で払うから
いいんだけれど

光熱費とか色んな消耗品は
うちが負担してるのよね

だから このお金
とっても助かるの

私はね
老後のために役に立てたいな

今度のことで色々考えたから

年を取ったら
介護つきのホームに入ることにします

まだ若いのに何言ってんの ねえ

何言ってんのよ 葉子なんて
仕事と子育てに忙しいの

分かる道理がないでしょ

うちは本当に老後考えるなんて
とんでもない

透の仕事が
ちょっとつまずいちゃって

私が暮らしを支えてるの
だから この配当金 ありがたい

日向子ちゃん 感謝です

とにかく日向子ちゃん
応援してるからね

私達 岡倉出てしまったけど

日向子ちゃんが
頑張ってくれてるおかげで

お父さんも
喜んでくれてるだろうし

とにかく こうやって

五人姉妹が集まれるところが
あるんだもの

それじゃあ 乾杯しましょうか

皆が元気に おかくらで
集まることができたことに

感謝して
乾杯!

乾杯!

<岡倉家の五人の姉妹にも
この一年>

<色々なことがありました>

<これからの一年も
また悲喜こもごもあるでしょう>

<でも 久しぶり
姉妹が顔を合わせた時>

<父・大吉が若い時からの夢だった
料理への思いをかなえて>

<始めた店 おかくらを>

<孫娘の日向子が継いでくれて
それをありがたいと思い>

<いつまでも五人の姉妹が>

<集まれる場所に
なっていてくれることを>

<祈っているのでした>

♬~